JP3622638B2 - ロールチョッククランプ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はワークロール(作業ロール)、バックアップロール及びワークロールのロールチョック(軸受け箱)を備えた圧延機のロールチョッククランプ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱間又は冷間で鋼板をロールで圧延する圧延機は、1対のワークロール及びそのワークロールを支持して圧下力を伝えるバックアップロールから構成されている。各ロールはロールチョック(軸受け箱)を介して圧延機のハウジングで支持されているが、ワークロールとハウジングとの間には、ロール交換のためにわずかな隙間(ガタ)が設けられている。この隙間があるために、圧延中にロールが水平方向に動き、上ロールと下ロールとのクロス量が変化したり、ワークロールの水平方向のがたつきでワークロールとバックアップロールとの支持関係がくずれ、ワークロールの両端での圧下力に差異が生じたりすることがある。そして、これらの挙動が板蛇行の発生や品質劣化の原因となっている。
【0003】
このようなロールのがたつきを解決すべく、ロール交換時にはロールチョックとハウジングとの間に隙間を確保し、圧延中には油圧シリンダなどでロールチョックを機械的に拘束する機構が、例えば特開昭61−129208号公報、特開平8−174009号公報等に提案されている。また、実開昭63−80006号公報等にはロールチョックに取り付けられたライナーの厚みを油圧で可変させることで、ロールチョックとハウジングとの隙間を詰める構造が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
(課題1)
これらの公報(特開昭61−129208号公報、特開平8−174009号公報)に提案されている装置は、圧延時のワークロール等の挙動そのものを拘束するための装置であり、ハウジング側に設けられた油圧シリンダなどでロールチョックを一定圧で押し付けるものである。圧延機には、圧延中に板厚が所定の値となるように、ロールの圧下力、板の張力、圧延速度等を常時微妙に制御するAGC(オートゲインコントロール)システムが作動している。そのため、ワークロール及びワークロールを支持するバックアップロールは垂直方向に常に微妙に上下運動を行っている。このような状況下でロールチョックを油圧シリンダで積極的に押し付けることは、AGCシステムに対して悪影響を与えることになり、また、一定の押付け力で常に押し付けることで、ロールチョック側のライナーの摩耗を激しくするという問題点があった。
【0005】
(課題2)
また、一般的に、圧延機はワークロールとバックアップロールとをオフセットして取り付けることで、バックアップロールを介しての圧下力によりワークロールが圧延機出側に押し出され、圧延中のワークロールの挙動を安定化させる工夫がされている(出側に固定されている)。このとき、圧下力でワークロールが圧延機の板出側方向に受ける荷重と、ワークロールが板を圧延しながら送り出すことによる反力として板入り側方向に受ける荷重とはバランスしていると考えられる。このような状況下で、ロールチョックとハウジングとの隙間を拘束するために(即ち、ロールチョックを拘束するために)、油圧シリンダでロールチョックを押し付けることは、圧延機内のロールの力のバランスを崩すものとなり、結果的にAGCシステムに悪影響を及ぼすという問題点があった。
【0006】
(課題3)
また、圧延中においては上記のごとく、ワークロールは圧延機の板出側にバックアップロールによって押し付けられる状態にある。図10は圧延機のワークロールチョックとハウジングとの隙間の挙動を計測したタイミングチャートであり、これはハウジングに対するロールチョックの挙動を示している。図10の特性によると、ロールヘの板先端噛み込み時と、ロールからの板尾端抜け時に激しく変化し、圧延が定常的になるとロールチョックの動きは安定している。特に、この激しく隙間が変動する、すなわち、ワークロールが水平方向にがたつくことは、結果的にバックアップロールとの支持関係に影響し、ワークロールの上下方向の変動につながり、結果的に板蛇行や板幅方向の板厚精度の劣化につながっている。したがって、ロールヘの板先端噛み込み時と、ロールからの板尾端抜け時にロールチョック挙動の自由度を制限することが重要である。つまり、剛性の高い装置でこの隙間をつめたり、小さくしたりすることで、ロールチョックの水平方向の動作制限をすればよい。しかし、一定圧で積極的にロールチョック押し付けることはAGCシステムに悪影響を及ぼすだけであり、不必要である。
【0007】
(課題4)
また、上記の公報(特開昭61−129208号公報、特開平8−174009号公報)等で提案されている装置は、圧延機内に油圧シリンダが1つ組み込まれた構造になっている。1つの油圧シリンダでロールチョックを拘束する場合には、ロールチョックとハウジングとの隙間は必ずしも平行ではないため、ピストンでロールチョック部を押し付けたときに偏荷重がピストンに対してかかる可能性がある。このため、油圧ピストンの横方向の強度が問題となる。上記の公報においては、ピストンでチョックを押し付ける部分の構造に関する記述も、偏荷重に対する対策についての記述もなく、このため、実用的ではない。また、熱延の仕上げ圧延機や粗圧延機のワークロールのロールチョックは大きく、油圧シリンダで一個所のみ押し付けるよりは、面で受ける形の方が理想的である。
【0008】
(課題5)
また、実開昭63−80006号公報で提案されている装置は、ハウジング側に取り付けられたライナーの厚みを油圧で可変させることで、ロールチョックの隙間を拘束する機構が採用されている。同公報では、ハウジングライナーの面全体でロールチョックを押さえる構造となっているが、偏荷重に対しての記述がなく、これもまた実用的ではない。
【0009】
本発明の目的は、AGCシステムに対して影響を与えることなく、ロールチョックをクランプするようにしたロールチョッククランプ装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記に加えて、ロールチョックの偏荷重に対応できるようにしたロールチョッククランプ装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明に係るロールチョッククランプ装置は、圧延機のハウジング側に設けられるシリンダと、シリンダに挿入されたピストンと、シリンダに液圧を供給してピストンをロールチョック側に移動させて、ピストンがロールチョックに接地し又は所定の距離だけ移動した時点で液圧の供給を停止してシリンダ内の液を封止する液圧供給手段とを備え、シリンダは、ロールチョックの端部に対応してそれぞれ複数個配置されて、その液圧経路を共通にしたものである。
【0011】
本発明においては、シリンダに液圧を供給してピストンを移動させて、ピストンがロールチョックに接地(接触)した時点(又は所定の距離だけ移動した時点)で液圧の供給を停止してシリンダ内の液を封止する。このシリンダ内に閉じこめられた液によりピストンの位置が固定される。この状態においてロールチョックが動こうとしても、ピストンはその位置が固定されており、ピストンとの距離は殆ど零(零又はそれに近い状態)なので動くことができない。このため、横剛性の高い圧延機が実現される。更に、ピストンはロールチョックを積極的に押圧するのではなく、接地(接触)する程度なので、ワークロールのAGCシステムへの影響も最小限に抑えることができる。また、ロールチョック側のライナーが設けられている場合においても、ロールチョックに対して所定の押圧力で押し付けるという機構を採用していないので、ライナーの摩耗を軽減させることができる。更に、本発明においては、複数のシリンダのうち、どれか1つが接地(接触)しても、他のピストンがロールチョックに接していないときは、流路が共通化しているので、抵抗の少ない側に自然に液が流れはじめ、先に接したピストンのシリンダヘの液圧の供給が止まって、ロールチョックにまだ接していないピストンのシリンダ側に液圧が供給される。このため、偏荷重に対しても適切に対応できる。
【0013】
(2)本発明に係るロールチョッククランプ装置は、上記(1)の装置において、液圧供給手段は、シリンダに液圧を供給する液圧ポンプと、ピストンのロールチョックヘの接地又は所定距離の移動を検出する検出手段と、検出手段による検出によりシリンダ内の液を封止するための切替手段とを備えたものである。本発明においては、液圧ポンプによりシリンダに液圧を供給し、ピストンのロールチョックヘの接地又は所定距離の移動を検出すると、切替手段によりシリンダ内の液を封止する。
【0014】
(3)本発明に係るロールチョッククランプ装置は、上記(1)又は(2)の装置において、ピストンの移動量を制限するストッパー機構を設けたものである。本発明においてはストッパー機構によりピストンの動作量を制限するようにしたので、ピストンの移動距離を適宜制限することができ、例えばピストンがロールチョックに接地する直前の位置に固定することができる。
【0015】
(4)本発明に係るロールチョッククランプ装置は、上記(1)又は(2)の装置において、シリンダ内に液圧が無くなったときにピストンを初期位置に戻すためのピストン戻し機構を設けたものである。本発明においては、シリンダ内に液圧が無くなったときには、ピストン戻し機構がピストンを自動的に初期位置に戻す。
【0016】
【発明の実施の形態】
実施形態1.
図1は本発明の実施形態1に係るロールチョッククランプ装置及びその関連設備の構成を示した図である。圧延機の1対のワークロール10には上下にそれぞれバックアップロール(図示せず)が配置されており、ワークロール10の軸はロールチョック11により支持されている。ハウジング12にはTブロック13が設けられており、このTブロック13とロールチョック11との間にはシフトブロック14がワークロール10の軸方向に移動可能に設けられている。この圧延機は従来と同様にAGCシステムによる制御がなされているものとする。そして、このシフトブロック14には、ロールチョッククランプ装置20を構成することとなる、シリンダ21及びそのシリンダ21内に配置されたピストン22が設けられている。このように、ロールチョッククランプ装置20は、シフトミルタイプやペアクロスタイプの圧延機ではロールチョック11とハウジング12との間にあるシフトブロック14等の中に組込まれることとなる。
【0017】
なお、圧延機のロールチョック11とハウジング12(具体的にはシフトブロック14)との隙間は片側で0.5mm〜1.0mmである。定常的な圧延中には、ワークロール10が圧延機の出側の方向に寄っているとすると、最大隙間で2.0mmと考えられる。但し、ワークロール10は一定生産量毎に組み替えられるため、隙間はロール毎に変わり常に同じ値とは限らない。
【0018】
また、このロールチョッククランプ装置20は、ピストン22を制御するとともにシリンダ21内の油を封止するための油圧システム30を備えている。この油圧システム30は、油圧を供給する油圧ポンプ31と、油圧供給管32を締め切るためのシート形2ポジション3ポート電磁切替弁(以下電磁切替弁という)33と、シリンダ21への油圧供給管32の経路上に設けられ経路内で電磁切替弁33の2次側の圧力を計測する圧力センサ34及び圧力スイッチ付きセンサ35と、シリンダ21への油の供給量を任意に設定するための流量調整弁36と、油圧供給管32の経路内の圧力上昇を所定圧以上上昇させないためのリリーフ弁37とから構成されている。なお、この油圧システム30は圧延機の板入り側のハウジング12に取り付けられている。
【0019】
図2(A)(B)は、図1のロールチョッククランプ装置20のシリンダ21及びピストン22を抽出して示した正面図及び側面断面図である。シリンダ21内のピストン22にはOリング41が設けられており、シリンダ21内の油をシールしている。また、シリンダ21の周囲のフランジ部分には、シリンダ21をシフトブロック14に固定するための固定ボルト42が周方向に等間隔に取り付けられており、シリンダ21がシフトブロック14に固定されている。また、シリンダ21及びピストン22のフランジ部分には、ピストン戻し機構43及びストッパー機構44がそれぞれ周方向に等間隔に設けられている。なお、図2(B)においては、図2(A)に示された固定ボルト42、ピストン戻し機構43及びストッパー機構44の図示が省略されているものとする。
【0020】
図3(A)(B)はピストン戻し機構の説明図であり、図2のフランジ部分を拡大して図示している。このピストン戻し機構43として、シリンダ21のフランジ部分にはシリンダとして機能する凹部45が設けられ、更にその凹部45の底部には貫通孔46が設けられている。この凹部45及び貫通孔46には弾性体47を介して特殊ボルト48が配置されており、そして、特殊ボルト48の先端部はピストン22のフランジに固定されている。このため、図3(A)に示されるように、初期状態においては、弾性体47に力が加わっておらず最も伸びた状態になっている。次いで、図3(B)に示されるように、ピストン22がせり出して来た時には特殊ボルト48もそれに伴って凹部45内を移動することとなり、弾性体47が特殊ボルト48により圧縮されることになる。このため、弾性体47は縮むことになり、シリンダ21に油が供給されていない状態では(ピストンが開放される状態)、ピストン22を初期状態に戻そうとする力が生まれる。
【0021】
図4(A)(B)はストッパー機構の説明図であり、図2のフランジ部分を拡大して図示している。このストッパー機構44として、ピストン22のフランジ部分にはシリンダとして機能する凹部51が設けられ、更にその凹部51の底部には貫通孔52が設けられている。この凹部51及び貫通孔52には特殊ボルト53が配置されており、そして、特殊ボルト53の先端部はシリンダ21のフランジに固定されている。このため、図4(A)に示されるように、初期状態においては、特殊ボルト53はシリンダ21から最も遠い位置にある。次いで、図4(B)に示されるように、ピストン22がせり出して来た時には、ピストン22が移動することで、特殊ボルト53が凹部51内をその軸方向に相対的に移動することとなり、凹部51の底に特殊ボルト53の頭部がくると、ピストン22の動作に規制が加わり、ピストン22の移動が制限されることとなる。
【0022】
次に、本実施形態に係るロールチョッククランプ装置20の動作について説明する。
(1)動作開始前では、ピストン22はシリンダ21内にあり、ロールチョック11とハウジング12(シフトブロック14)との間に隙間が存在している。つまり、ピストン22は図3(A)及び図4(A)の状態にあり、ピストン22はロールチョック11に接触していない。
(2)外部からの油圧供給開始指令の制御信号で油圧ポンプ31が起動し、電磁切替弁33がシリンダ21側に切り替わり、流量調整弁36で予め設定した流量でシリンダ21に油を供給する。
(3)流量は4リットル/min以下程度に設定しておく、これぐらいの供給量であると、油圧供給管32の経路内の圧力とロールチョッククランプ装置20のシリンダ21内の圧力は同じ値を示す。
(4)油がシリンダ21内に供給されはじめると、ピストン22は少しずつせり出す。
(5)このとき、ロールチョップクランプ装置20のピストン戻し機構43は、ピストン22がせり出すことで、ピストン戻し機構43の弾性体(例えばウレタンゴム、皿バネ等)47が圧縮する(図3(B)参照)。
【0023】
(6)図5に示されるように、ピストン21先端がロールチョック11に接地(接触)すると、シリンダ22内の圧力が上昇する。ただし、供給量を上記(3)のような少ない量に設定しておくと、接地(接触)した時点でも急に圧力は上昇しない。このときのシリンダ21の内圧及びピストン22の動作位置は図6に示される関係になる。
(7)油の供給抵抗プラス0.1MPa程度の圧力に油圧供給管32の油圧がなった時点で、圧力センサ34(又は圧力スイッチ35)からの信号で、電磁切替弁33で油圧供給管32を締め切り、油圧ポンプ31を停止させる。
(8)或いは、ピストン22がロールチョック11に接地したことをタッチセンサー(図示せず)で検出し、その信号で電磁切替弁33を切替え、油圧ポンプ31を停止させてもかまわない。
(9)このとき、ピストン22はロールチョック11と接触している程度で、積極的に一定圧でチョックを押しているものではない。
(10)シリンダ21内に封じ込められた油でピストン22を支える。つまり、締め切られているので油の供給はなくなるが、ピストン22の位置は固定される。この場合、封じ込められた油の圧力は一定に保たれるとは限らない。ピストン22のロールチョック11に対する接地時の圧力はできる限り小さい方が望ましく、シリンダ21の径にもよるが、望ましくは0.3MPa〜1.0MPa程度である。
【0024】
(11)この状態ではロールチョック11が動こうとしても、ピストン22で隙間は限りなくゼロになっているので、動くことができない。
(12)ロールチョック11がピストン22を押した場合には、油が封じ込められているので、シリンダ21内の圧力が上昇する。ロールチョッククランプ装置20側のリリーフ弁37の設定圧までは圧力が上昇するのみでピストン22の位置は固定される。リリーフ弁37の設定圧以上になった場合には、安全のためシリンダ21内の油をリリーフ弁37を介して油圧ポンプ31のタンク38ヘ逃がすことで、ピストン22の位置がリリーフ弁37から抜けた油量分だけせり出し量が少なくなる。
(13)また、油も圧縮性があり、ロールチョック11によって押された場合には、この圧縮性によって縮むこととなるが、十分に油圧経路内の空気抜きをすることと、油の体積弾性係数とシリンダ21内の油量から計算される圧縮性による縮みしろが無視できるぐらいに、シリンダ21の面積を設定することで、油の圧縮性の影響を小さくすることができる。
(14)再度、ロールチョック11とハウジング12(シフトブロック14)とのの隙間をあけるためには、電磁切替弁33を動作させて、ロールチョッククランプ装置20のシリンダ21内の油を大気圧であるタンク38に開放する。
(15)シリンダ21内の油圧は瞬時に大気開放となるが、ピストン22はシリンダ21内の圧を抜いただけではもとに戻らない。
【0025】
(16)ここで、ピストンがせり出すときに圧縮したピストン戻し機構43の弾性体47が、シリンダ21内の油圧が大気開放となったことで、その圧縮された状態からもとに戻ろうとする力で、ピストン22はもとに戻る。
(17)また、ロールチョック11にピストン21が接地した時は接触程度の力であっても、ロールチョック11の熱膨張で、ロールチョック11とハウジング12(シフトブロック14)との間の隙間が狭まり、せり出しているピストン22がロールチョック11に押されることで、シリンダ22内の油圧が上がり、不要な押付け力がロールチョック11にかかる恐れがある。これを最小限に押さえるべく、ストッパー機構44によりピストン22のせり出し量を制限する。或いは、このストッパー機構44による制限量を適当に設定することにより、ピストン22をロールチョック11に直接接触させることなく、ピストン22がロールチョック11に接地する手前でせり出しを止めるようにしても良い。いずれにしても、このようなストッパー機構44によりピストン22のせり出し量を制限することで、AGCシステムへの影響を最小限に押さえることができる。
【0026】
実施形態2.
図7は本発明の実施形態2に係るにロールチョッククランプ装置の一部(シリンダ、ピストン)及びその関連設備の構成を示した図であり、図8はそのロールチョッククランプ装置の全体の構成を示した図である。本実施形態に係るロールチョッククランプ装置20Aにおいては、シフトブロック14の端部に対応してそれぞれ2個のシリンダ21,21aが設けられており、シリンダ21,21aにはそれぞれピストン22,22aが挿入されている。そして、シリンダ21,21aは共通の配管39を介して油圧供給管32に接続されている。
【0027】
このように構成することで、シリンダダ21,21aは油圧供給管32が共通となっており、圧力的にバランスするようになっている。この点が上記の実施形態1と異なっており、それ以外の機構については基本的に同一のものが使用されている。即ち、各シリンダ21,21aはピストン戻し機構43及びストッパー機構44を備えている。なお、この例では、ロールチョック11を2個のシリンダ21,21bで保持しているが、面積が大きくなれば、シリンダの個数を更に増やして対応する。また、複数の小径シリンダを用いることにより、受圧面積を増やすことが可能であり、この場合にはリリーフ弁37の設定圧を小さくできるため、シール性に有利であるばかりでなく、図9に示されるように、偏荷重を受けたときのシリンダ内のピストンの傾きが小さくなり、大面積シリンダに比べて有利となる。
【0028】
次に、本実施形態のロールチョッククランプ装置20Aの動作について説明する。なお、上記の実施形態1の(1)〜(3)、(5)、(7)〜(17)についてはそのまま本実施形態2においても適用されるので、上記の実施形態1の(4)及び(6)に対応する動作を(4a)及び(6a)として説明する。
【0029】
(4a)油がシリンダ21内に供給されはじめると、各々のピストン22,22aは少しずつせり出す。このとき、各々のシリンダ21,21aが同程度の速度でせり出すようにロールチョッククランプ装置20までの油圧供給管32やハウジング13内のシリンダ21,21aヘの配管39の経路を各々のシリンダ毎に同一にしておく。
【0030】
(6a)各々のピストン22,22aの先端がロールチョック11に接地(接触)すると,シリンダ21,21a内の圧力が上昇する。ただし、供給量を上記(3)のような少ない量に設定しておくと、接地(接触)した時点でも急に圧力は上昇しない。また、複数のシリンダ21,21aのうち、どれか1つが接地(接触)しても、他のピストンがロールチョック11に接していないときは流路が共通化しているので、抵抗の少ない側に自然に油が流れはじめ、先に接したピストンのシリンダヘの油供給が止まって、まだ、ロールチョックに接していないピストンのシリンダ側に油が供給される。ロールチョック11の面とハウジング13とがある角度をもって向かいあっていた場合には、その面に倣う形で各ピストンのせり出し量がきまる。そして、全てのピストン22,22aがロールチョック11に接すると、シリンダ21,21a内の油の圧力が上昇しはじめ、所定の圧まで油が各シリンダヘ供給されるようになる。このように各シリンダ21,21aに油圧が供給された後は上述の実施形態1と同様に動作するが、この例ではシリンダ21,21aの油圧経路が共通になっているので、偏荷重を受けたときにのシリンダ21,21aの傾きが大面積のシリンダに比べて小さくなる。
【0031】
実施形態3.
なお、上記の実施形態1,2においては、シリンダ及びピストンの対を更に増加させる場合には、シフトブロック14に適宜設けることになる。また、ストッパー機構44によりピストン22がロールチョック11に接地する手前でせり出し量を止めるようにした場合には、ストッパー機構44が機能したことを検出して、電磁切替弁33の切替えや油圧ポンプ31の停止を行う。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るロールチョッククランプ装置及びその関連設備の構成を示した図である。
【図2】図1のロールチョッククランプ装置のシリンダ及びピストンを抽出して示した正面図及び側面断面図である。
【図3】図2のピストン戻し機構の説明図である。
【図4】図2のストッパー機構の説明図である。
【図5】図1のピストンのロールチョックへの接地時の説明図である。
【図6】図1のロールチョッククランプ装置の動作を示したタイミングチャートである。
【図7】本発明の実施形態2に係るロールチョッククランプ装置の一部(シリンダ、ピストン)及びその関連設備の構成を示した図である。
【図8】本発明の実施形態2に係るロールチョッククランプ装置の全体の構成を示した図である。
【図9】図7及び図8のロールチョッククランプ装置の動作説明図である。
【図10】ロールチョックとハウジング隙間の挙動を示したタイミングチャートである。
【符号の説明】
20 ロールチョッククランプ装置
21 シリンダ
22 ピストン
30 油圧システム
43 ピストン戻し機構
44 ストッパー機構
Claims (4)
- ワークロール、バックアップロール及びワークロールのロールチョックを備えた圧延機のロールチョッククランプ装置であって、
前記圧延機のハウジング側に設けられるシリンダと、
該シリンダに挿入されたピストンと、
前記シリンダに液圧を供給して前記ピストンを前記ロールチョック側に移動させて、当該ピストンが前記ロールチョックに接地し又は所定の距離だけ移動した時点で液圧の供給を停止して前記シリンダ内の液を封止する液圧供給手段とを備え、
前記シリンダは、前記ロールチョックの端部に対応してそれぞれ複数個配置されて、その液圧経路を共通にしたことを特徴とするロールチョッククランプ装置。 - 前記液圧供給手段は、前記シリンダに液圧を供給する液圧ポンプと、前記ピストンのロールチョックヘの接地又は所定の移動量を検出する検出手段と、該検出手段による検出により前記シリンダ内の液を封止するための切替手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載のロールチョッククランプ装置。
- 前記ピストンの移動量を制限するストッパー機構を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のロールチョッククランプ装置。
- 前記シリンダ内に液圧が無くなったときに前記ピストンを初期位置に戻すためのストッパー戻し機構を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のロールチョッククランプ装置。
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