JP3621313B2 - 排水設備用合成樹脂製ヤリトリ型接合部材およびその使用法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、排水設備用合成樹脂製ヤリトリ型接合部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、排水設備に用いる合成樹脂製(塩ビ製)ヤリトリ型接合部材(スライド継手、ヤリトリソケットともいう)とは、上流側および下流側の各設備が固定状態にあるとき、両設備を水平管で接続するのに用いられるもの、とされている(例えば、実開昭60−36469号公報、実開昭61−152886号公報、特開平4−107390号公報、実開平6−18790号公報参照)。
【0003】
これについて、前掲の特開平4−107390号公報で示された1例で説明する。
【0004】
図4において、布設されている合成樹脂製排水管50の一部 が破損した場合、この破損箇所を修理するときに、2つのヤリトリ型接合部材51,51を用いて修理する。
【0005】
すなわち、この排水管50の不良箇所のある管体を、切断箇所52,52を定めて切取り、そこに新規な管体53を挿入して(介在させて)、元の排水管50と接続するときに、このヤリトリ型接合部材51を用いる。
【0006】
このヤリトリ型接合部材51の一つは、ゴム輪受口カラ−(WRと略号する)51aとして下水道用硬質塩化ビニル管で規格化しているものを一般に用いる。
【0007】
すなわち、このゴム輪受口カラ−51aは、カラ−本体54の両端部内面に形成されたシ−ル溝55,55にそれぞれゴム輪56を嵌挿して構成している。
【0008】
因みに、このゴム輪受口カラ−51aは前記規格によれば、その寸法は呼び径(例えば125mmφ)に対しカラ−本体54の軸長(例えば最大200mm)やゴム輪56間隔(例えば最小76mm)の寸法等が決められている。
【0009】
そこで、このヤリトリ型接合部材51を2つ用いて不良箇所が切り取られた既設の排水管50の上、下流側にそれぞれ外嵌して、2点鎖線のようにそれぞれスライドさせておき、新規な管体53を挿入してから、これらのヤリトリ型接合部材51を前記切断箇所52を跨ぐようにそれぞれスライドさせると、排水管50の修理ができる。
【0010】
ところで前記規格によると、ゴム輪受口カラ−51aそのものは、負圧試験の合格、つまり封水性や、地震時の抜止め安全性を確保すると共に、市場に提供されている他のゴム輪受口カラ−との互換性に支障がないようにしている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記ゴム輪受口カラ−51aをヤリトリ接合部材51に用いた場合、2つの切断箇所52を中にして、このゴム輪受口カラ−51aが既設の排水管50と新規な管体53とにスライドして跨ぐことから、計4つの接合長さ(ゴム輪受口における接合長さ、すなわち、ゴム輪からストッパ−迄の間隔に相当)ができ、これらは必ずしも規格値通りにはならず、片寄ることもあって信頼性に欠けるおそれがあった。
【0012】
そこで本発明は、規格化されているゴム輪受口カラ−をヤリトリ接合部材に適用したときも、かかる規格による信頼性が確実に生かされることを目的とするものであり、しかも施工現場の取扱を更に容易にすることを併せて目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、本発明の要旨とするところは、1)挿入用管本体にゴム輪受口カラ−をスライド自在に外嵌し、該ゴム輪受口カラ−と挿入用管本体との間にストッパ−用Cリングを設け、該ストッパ−用Cリングが挿入用管本体の外面またはゴム輪受口カラ−の内面に設けたストッパ−凹溝に嵌合するとゴム輪受口カラ−が挿入用管本体でストップするように構成して、既設の排水管に該挿入用管本体を当接して接続し、該ゴム輪受口カラ−を該挿入用管本体上を前記のようにストップするまでスライドさせることにより、前記排水管に外嵌する該ゴム輪受口カラ−における、日本下水道協会制定の規格を満足する接合長さを得ると共に、該機械的なスライドにより施工現場の取扱いを容易にして、これらの排水管と挿入用管本体とを接続することを特徴とする排水設備用合成樹脂製ヤリトリ型接合部材の使用法にあり、また、2)同一寸法の2つのゴム輪受口カラ−を挿入用管本体にスライド自在に外嵌して、互に離反させてストップするまでスライドさせると共に、互に近接させて該挿入用管本体の管長内に収まるようにした排水設備用合成樹脂製ヤリトリ型接合部材を用いて、既設の上、下流側の排水管を接続するに当り、該接続箇所を前記挿入用管本体の管長と略同一長さに切断した後、該接続箇所へ、前記ゴム輪受口カラ−を互に近接させた挿入用管本体を当接して接続・介在させてから、これらのゴム輪受口カラ−を前記排水管へ前記ストップする迄単に離反スライドさせることにより、これらのゴム輪受口カラ−を外嵌した前記排水管への接合長さを日本下水道協会制定の規格を満足させながら、該排水管への接続作業を単純化して施工現場の取扱いを容易にすることを特徴とする排水設備用合成樹脂製ヤリトリ型接合部材の使用法にあり、また、3)同一または軸長のみ若干異なる2つのゴム輪受口カラ−を挿入用管本体に略対称的、かつ、スライド自在に外嵌した排水設備用合成樹脂製ヤリトリ型接合部材にあって、前記ゴム輪受口カラ−と挿入用管本体との間で且つ該ゴム輪の各側にストッパ−用Cリングを設けることにより、これらの2つのゴム輪受口カラ−を該ストッパ−用Cリングでストップする迄互に離反させるようにして、該ゴム輪受口カラ−が外嵌し且つ前記挿入用管本体を当接して接続した既設の排水管における接合長さを日本下水道協会制定の規格値にすると共に、該挿入用管本体における接合長さを日本下水道協会制定の規格値より小にしたことを特徴とする排水設備用合成樹脂製ヤリトリ型接合部材にある。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明を添付図面に示す実施の形態例により詳細に述べる。
【0015】
図1は本発明の実施の形態例の軸に沿う断面図、図2は図1の要部図で、(A)は正面図、(B)は軸に沿う断面図、図3は他の要部図で、その上半分が軸に沿う断面図であり、前記従来技術と共通する部分は省略ないし簡略にするので、これを補充する必要がある。
【0016】
本実施の形態例の合成樹脂製(塩ビ製)ヤリトリ型接合部材(ヤリトリ型ゴム輪両口ソケットともいう)1は、同一寸法(勿論、同一形状)または軸長のみ若干異なる寸法の2つのゴム輪受口カラ−2,2を、1つ挿入用管本体(単に挿入管ともいう)3に対称的に(向き合って)スライド自在に外嵌して構成し、特に、このゴム輪受口カラ−(WR)2は、日本下水道協会制定の規格を満足し、しかも、かかるゴム輪受口カラ−2からなるヤリトリ型接合部材1もまた、前記規格の制定根拠をなす封水性や、地震による抜止性や、互換・汎用性を満足しているものである。
【0017】
因みに、図2において、このゴム輪受口カラ−2が呼び径100mmφの場合、カラ−本体10の軸長Z1=113.5mm(<180mm)、ゴム輪間隔Z2=95mm(>66mm)、カラ−内径d=116mmφ(>114.5mmφ)の寸法で構成され、カッコ内の規格値を満足している。
【0018】
次に、本実施の形態例のヤリトリ型接合部材1が規格の根拠をなす封水等を満足することについて述べる。
【0019】
このゴム輪受口カラ−2には当然、両端部内面、つまり1対のゴム輪4,5を設けているが、これらの2つのゴム輪受口カラ−2,2は対称的に挿入用管本体3に外嵌されて、互に近接・離反するようスライドする。このスライド自在に外嵌された2つのゴム輪受口カラ−2,2における各ゴム輪4,5のうち互に隣接する側のゴム輪5,5の各内側には、縮径傾向の弾性を有するストッパ−用Cリング6,6を設けている。
【0020】
なお、このストッパ−用Cリング6は図示のようにゴム輪受口カラ−2側に設けているが、挿入用管本体3側の定位置に設けてもよい。
【0021】
一方、挿入用管本体3の両端部外面には、これらのストッパー用Cリング6が係止するガイド用傾斜面とストッパ−段部のあるストッパ−凹溝7,7を周設している。したがって、ストッパ−用Cリング6が弾性により縮径してストッパ−凹溝7に落込み嵌合すると、ゴム輪受口カラ−2は挿入用管本体3から抜けないようになる。
【0022】
なお、このストッパ−用Cリング6を挿入用管本体3側に設けた場合、図示しないがゴム輪受口カラ−2の内面にガイド用傾斜面とストッパ−段部のあるストッパ−凹溝7を凹設する。
【0023】
すなわち、2つのゴム輪受口カラ−2,2が互に離反したスライドしたとき挿入管用本体3から外れないようにストップさせ、そのとき、離反した状態のゴム輪受口カラ−2の、既設の排水管8との接合長さLが規格値(ゴム輪受口における接合長さに相当)を満足させるようにしている。
【0024】
勿論、そのとき、排水管8と挿入管用本体3とは当接させて接続する。つまり、排水管8に挿入用管本体3を当接させた状態で、両ゴム輪受口カラ−2を排水管8へストップする迄単に機械的に離反スライドさせる。
【0025】
したがって、このヤリトリ型接合部材1を用いると、例えば既設の排水管8との封水性や地震による抜止め性や互換・汎用性については保証されるのである。
【0026】
なお、このゴム輪受口カラ−2と挿入用管本体3との接合長さaは、ストッパ−用Cリング6を設けているので、規格値より小であってもよい。したがって、通常のゴム輪受口カラ−2を2つ用いた場合(例えば図4のもの)より挿入用管本体3の軸長を短くすることができる。
【0027】
以上のように保証されたヤリトリ型接合部材1は、前記従来例で述べたような管途中の破損箇所の修理に用いたり、また、補助短管を付加して用いると、排水ますと増設家屋の排水管との接続や、既設同志の排水ますと公共ますとの接続に用いることができる。
【0028】
特に、後者の使用について述べると、従来、この種の接続に用いている、差口とゴム輪受口とをその管底を一致させて一体にしたスライド継手(前掲の実開昭60−36469号公報やアロン化成製CUSLR継手参照)では、接続後、管底に段差が形成され、排水の溜まりとなって異臭発生の原因になるが、このヤリトリ型接合部材1を代りに用いると、これを防ぐ特徴をもっている。
【0029】
更に、このヤリトリ型接合部材1で、特に、同一寸法のゴム輪受口カラ−2を2つ用いたタイプでは、挿入用管本体3上で両者を突き合せて当接させると、両者は管本体3と略等しくなり、したがって、1つのゴム輪受口カラ−2は挿入用管本体3の略半分の軸長となり、コンパクトになって出荷され、現場に持込むことができる、という特徴をもっており、また、既設の排水管8の不良箇所の修理の場合には、その不良箇所の切取り長さを挿入用管本体3の軸長に等しくする、という切断箇所の作業標準化にもなる特徴ももっている。
【0030】
勿論、この切取った箇所、つまり接続箇所に、請求項1に記載の使用法をそのまま適用する。
【0031】
次に、以上のヤリトリ型接合部材1を具体的に詳述する。
このヤリトリ型接合部材1は、前記従来例のように、主として既設排水管8が部分的に破損したときの補修に用いられる。
【0032】
このゴム輪受口カラ−2は、規格上も同名で表示されており、カラ−本体(短管)10の両端部内面にそれぞれゴム輪をもっているものであり、このゴム輪そのものはは規格化されていない。
【0033】
したがって、このゴム輪受口カラ−2における一方のゴム輪4は、断面C字状のシ−ルリングで構成し、C字連結部が摺動面になっている。そのため、このゴム輪4が嵌挿するシ−ル溝9は若干大きくなり、カラ−本体10を膨出して形成している。
【0034】
他方ゴム輪5は、いわゆるOリングで構成し、このゴム輪5が嵌挿するシ−ル溝11は、カラ−本体10の内面を穿設して形成している。
【0035】
このシ−ル溝11に隣接して内側(カラ−本体10の開口に対する内方向をいう)に、ストッパ−用Cリング6が嵌合するリング溝12を形成している。
【0036】
このリング溝12は、シ−ル溝11より大にしたため、前記シ−ル溝9と同様、カラ−本体10を膨出して形成している。
【0037】
このストッパ−用Cリング6はバネ鋼からなる断面4mm角のCリングで構成され、その自然体の内径は挿入用管本体3の外径より小にし、この挿入用管本体3に外嵌すれば常時縮径力が作用する(縮径傾向の弾性をいう)ようになっている。
【0038】
このストッパ−用Cリング6が係止する、挿入用管本体3のストッパ−凹溝7は内側にガイド用傾斜面13を形成し、ストッパ−用Cリング6が挿入用管本体3の内側方向には容易にスライドするようになっている。
【0039】
なお、挿入用管本体3の端部外周の定位置にストッパ−用Cリング6を設けた場合、不図示であるが、ガイド用傾斜面13のあるストッパ−凹溝7はカラ−本体10のシ−ル溝9,11の内側に2つ設け、ゴム輪受口カラ−2の近接・離反時にそれぞれストッパ−させると、挿入用管本体3が前記のものより長尺ものを用いることができる。
【0040】
なお、本実施の形態例の2つのゴム輪受口カラ−2,2は形状寸法共に同一であるが、本発明はこれに限らず、カラ−本体10の軸長のみ若干異なる2つのゴム輪受口カラ−であってもよい。但し、これらの異なる2つのゴム輪受口カラ−の、排水管(単に管を指す)8との接合長さLは、少なくとも規格値を満たすものでならなければならない。
【0041】
【発明の効果】
本発明によると、ゴム輪受口カラ−と挿入用管本体との間にストッパ−用Cリングを設けたので、作業を単純化しながらヤリトリ型接合部材の全体が規格値をクリアすることになり、規格化されていなくても準規格品として封水性や地震による抜止め性や互換・汎用性を保証することができ、布設の信頼性を向上させることができる。
【0042】
更に、請求項2によると、前記の外、コンパクトになって出荷でき施工現場では既設排水管の切断長さの標準にもなる。
【0043】
また、請求項3によると、前記の外、ストッパ−用Cリングがゴム輪の側にあるので、接合長さを短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態例の軸に沿う断面図である。
【図2】図1の要部図で、(A)は正面図、(B)は軸に沿う断面図である。
【図3】他の要部図で、その上半分が軸に沿う断面図である。
【図4】従来例である。
【符号の説明】
1…ヤリトリ型接合部材、2…ゴム輪受口カラ−、3…挿入用管本体、6…ストッパ−用Cリング、7…ストッパ−凹溝
Claims (3)
- 挿入用管本体にゴム輪受口カラ−をスライド自在に外嵌し、該ゴム輪受口カラ−と挿入用管本体との間にストッパ−用Cリングを設け、該ストッパ−用Cリングが挿入用管本体の外面またはゴム輪受口カラ−の内面に設けたストッパ−凹溝に嵌合するとゴム輪受口カラ−が挿入用管本体でストップするように構成して、既設の排水管に該挿入用管本体を当接して接続し、該ゴム輪受口カラ−を該挿入用管本体上を前記のようにストップするまでスライドさせることにより、前記排水管に外嵌する該ゴム輪受口カラ−における、日本下水道協会制定の規格を満足する接合長さを得ると共に、該機械的なスライドにより施工現場の取扱いを容易にして、これらの排水管と挿入用管本体とを接続することを特徴とする排水設備用合成樹脂製ヤリトリ型接合部材の使用法。
- 同一寸法の2つのゴム輪受口カラ−を挿入用管本体にスライド自在に外嵌して、互に離反させてストップするまでスライドさせると共に、互に近接させて該挿入用管本体の管長内に収まるようにした排水設備用合成樹脂製ヤリトリ型接合部材を用いて、既設の上、下流側の排水管を接続するに当り、
該接続箇所を前記挿入用管本体の管長と略同一長さに切断した後、該接続箇所へ、前記ゴム輪受口カラ−を互に近接させた挿入用管本体を当接して接続・介在させてから、これらのゴム輪受口カラ−を前記排水管へ前記ストップする迄単に離反スライドさせることにより、これらのゴム輪受口カラ−を外嵌した前記排水管への接合長さを日本下水道協会制定の規格を満足させながら、該排水管への接続作業を単純化して施工現場の取扱いを容易にすることを特徴とする排水設備用合成樹脂製ヤリトリ型接合部材の使用法。 - 同一または軸長のみ若干異なる2つのゴム輪受口カラ−を挿入用管本体に略対称的、かつ、スライド自在に外嵌した排水設備用合成樹脂製ヤリトリ型接合部材にあって、
前記ゴム輪受口カラ−と挿入用管本体との間で且つ該ゴム輪の各側にストッパ−用Cリングを設けることにより、これらの2つのゴム輪受口カラ−を該ストッパ−用Cリングでストップする迄互に離反させるようにして、該ゴム輪受口カラ−が外嵌し且つ前記挿入用管本体を当接して接続した既設の排水管における接合長さを日本下水道協会制定の規格値にすると共に、該挿入用管本体における接合長さを日本下水道協会制定の規格値より小にしたことを特徴とする排水設備用合成樹脂製ヤリトリ型接合部材。
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