JP3620031B2 - 剥離紙用アンダーコート剤 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、剥離紙用アンダーコート剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ラベル、シールの粘着剤に関連する分野では剥離紙が広く使用されており、その生産量は年々増加してきている。こうした剥離紙は、主に溶剤型もしくはエマルジョン型のシリコーン樹脂等の剥離剤液を台紙に直接塗布する方法により製造されていたが、塗工液が台紙に浸透するため、近年では剥離紙を製造するにあたって、まずポリエチレンを台紙の上にラミネートし、その上に溶剤型のシリコーン樹脂を塗布する方法が主流となってきている。
【0003】
しかし、資源、環境問題から、紙をリサイクルして再生紙とする必要性が生じてきており、回収性の悪い前記ポリエチレン方式の剥離紙を、易回収性の剥離紙へ転換するよう通商産業省から通達指示が出されている。剥離紙を易回収性にする方法としては、ポリエチレンを台紙の上にラミネートする代わりに、アンダーコート剤としてSBR、アクリルエマルジョン等のラテックス類や、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等の各種水溶性のポリマーを台紙に塗布する方法が検討されている。
【0004】
これらの方法のうちSBRやアクリルエマルジョン等のラテックス類は、塗工性は優れるが、耐溶剤性に劣るためシリコーン樹脂のトルエン溶液を塗工する際に、台紙へトルエン溶液が浸透する問題がある。一方、ポリビニルアルコールに代表される水溶性のポリマーは耐溶剤性を向上させるため高分子量の水溶性のポリマー(すなわち、高粘度の水溶性のポリマー)を使用する必要があり、水溶液の経時安定性、作業性に劣る問題がある。また、作業性の改善のため低濃度で塗工した場合には、乾燥時間が長くなったり、台紙への溶液の浸透が認められ十分な光沢が得られない。また、アンダーコート剤とシリコーン樹脂との密着性も重要な因子であるが、水溶性のポリマーのなかには密着性に劣るものもあり、塗工性と密着性等のバランスのよい水溶性のポリマーは未だ得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、易回収性の剥離紙に適し、しかも溶剤型のシリコーン樹脂を台紙に塗工した場合にも紙層中にシリコーン樹脂が浸透することなく、特にシリコーン樹脂との密着性が良好で優れた光沢を付与でき、塗工性にも優れた剥離紙用アンダーコート剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、以下に示す水性樹脂によれば、前記課題を悉く解決しうる剥離紙用アンダーコート剤を提供できることを見出した。本発明はかかる新たな知見により完成されたものである。
【0007】
すなわち、本発明は、(1)ポリビニルアルコールおよび水の存在下で、ラジカル重合性の単官能性ビニルモノマー(シラン基を有するものを除く)100重量部および多官能性ビニルモノマー(シラン基を有するものを除く)を0.1〜10重量部乳化重合して得られる水性樹脂を主成分として含有することを特徴とし、シリコーン樹脂層と密着するアンダーコート層として供される、剥離紙用アンダーコート剤、(2) ポリビニルアルコール、乳化剤および水の存在下で、ラジカル重合性の単官能性ビニルモノマーおよび多官能性ビニルモノマーを0.1〜10重量部乳化重合して得られる水性樹脂を主成分として含有することを特徴とし、シリコーン樹脂層と密着するアンダーコート層として供される、剥離紙用アンダーコート剤、に関する。
【0008】
まず、剥離紙用アンダーコート剤(1)の主成分である水性樹脂の構成成分について説明する。
【0009】
本発明で使用されるポリビニルアルコールは、水溶性である限り特に限定されないが、通常、重合度が200〜2500程度であり、ケン化度が75%〜100%の部分ケン化物または完全ケン化物が好ましい。また珪素含有ポリビニルアルコールや、カルボキシル基、アセトアセチル基、アセタール基、の官能基を有する変性ポリビニルアルコール等も同様に使用できる。また、ポリビニルアルコールは得られるアンダーコート剤の耐溶剤性に影響を及ぼすためその使用量はこれら性能を考慮して適宜決定される。すなわち、ポリビニルアルコールの使用量は、単官能性ビニルモノマーの全量100重量部に対して、通常5〜900重量部程度、好ましくは40〜250重量部とするのがよい。5重量部未満では得られるアンダーコート剤の耐溶剤性が悪くなり、また900重量部を越えると得られる剥離紙用アンダーコート剤としての水性樹脂溶液の粘度が高くなり作業性の面で好ましくない。
【0010】
本発明ではラジカル重合性の単官能性ビニルモノマーとして(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび/またはスチレン系化合物を使用するのが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等があげられる。また、スチレン系化合物としてはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等があげられる。
【0011】
また、ラジカル重合性の単官能性ビニルモノマーとしては、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル、スチレン系化合物の他に、各種のアニオン性の単官能性ビニルモノマー、カチオン性の単官能性ビニルモノマーや前記以外のノニオン性の単官能性ビニルモノマーを使用することができる。
【0012】
アニオン性の単官能性ビニルモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、ムコン酸等のジカルボン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の有機スルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート等のリン酸系ビニルモノマー、およびこれら各種有機酸のナトリウム塩、カリウム塩等があげられる。
【0013】
カチオン性の単官能性ビニルモノマーとしてはジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の第三級アミノ基を有するビニルモノマーまたはそれらの塩酸、硫酸、酢酸等の無機酸もしくは有機酸の塩類、または該第三級アミノ基含有ビニルモノマーとメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸、エピクロルヒドリン等の四級化剤との反応によって得られる第四級アンモニウム塩を含有するビニルモノマー等があげられる。
【0014】
ノニオン性の単官能性ビニルモノマーとしては(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、メチルビニルエーテルや、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類、グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ウレタンアクリレート類、ジフェニル−2(メタ)アクリロイルオキシホスフェート等のリン酸エステル系ビニルモノマー等があげられる。
【0015】
なお、ここで例示したアニオン性の単官能性ビニルモノマーカチオン性の単官能性ビニルモノマーやノニオン性の単官能性ビニルモノマーの使用量は単官能性ビニルモノマーの通常40重量%程度以下、好ましくは30重量%以下とされる。
【0016】
本発明では、前記例示した単官能性のビニルモノマーに加えて、多官能性のビニルモノマーを使用することが必須とされる。たとえば、2官能性ビニルモノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類、メチレンビス(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビス(メタ)アクリルアミド類、アジピン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル等のジビニルエステル類、アリルメタクリレート、ジアリルアミン、ジアリルジメチルアンモニウム、ジアリルフタレート、ジアリルクロレンデート、ジビニルベンゼン等があげられる。また、3官能性モノマーとしては、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−S−トリアジン、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルアミン、トリアリルトリメリテート、N,N−ジアリルアクリルアミド等があげられ、4官能性ビニルモノマーとしては、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラアリルピロメリテート、N,N,N’,N’−テトラアリル−1,4−ジアミノブタン、テトラアリルアミン塩、テトラアリルオキシエタン等があげられる。
【0017】
多官能性ビニルモノマーの使用量は、前記単官能性ビニルモノマーの合計100重量部に対して10重量部程度以下、好ましくは0.1〜5重量部である。多官能性のビニルモノマーが10重量部を越えると凝集が起こったり、高濃度の水性樹脂溶液を得るのが困難になるため好ましくない。
【0018】
次に、剥離紙用アンダーコート剤(2)の主成分である水性樹脂の構成成分について説明する。
【0019】
剥離紙用アンダーコート剤(2)の水性樹脂の構成は、剥離紙用アンダーコート剤(1)の水性樹脂の構成に加えて、乳化剤を使用する点のみが異なる。したがって、剥離紙用アンダーコート剤(1)で説明したポリビニルアルコール、ラジカル重合性の単官能性ビニルモノマー、多官能性ビニルモノマーと同様のものを剥離紙用アンダーコート剤(2)においても使用できる。
【0020】
乳化剤としては、特に限定されず、各種公知のアニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤等を使用できる。アニオン性乳化剤としては、長鎖α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩等があげられ、ノニオン性乳化剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等があげられる。これらアニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤等は1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0021】
かかる乳化剤を使用した場合には、水性樹脂の製造工程において凝集物の発生を抑制できるが、剥離紙用アンダーコート剤の耐溶剤性、シリコーン樹脂との密着性に悪影響を及ぼすため、その使用量は必要最低量に抑えるのがよい。通常は前記単官能性のビニルモノマー100重量部に対し、15重量部以下程度、好ましくは5重量部以下とするのがよい。
【0022】
次いで、本発明の水性樹脂の製造方法について説明する。本発明の水性樹脂の製造方法は公知の乳化重合方法により行えばよい。たとえば、(1)の場合は所定の反応容器にポリビニルアルコールおよび水を仕込み加熱しながら溶解し、次いで単官能性ビニルモノマーおよび多官能性ビニルモノマーを仕込み、乳化した後、ラジカル重合開始剤を加え、撹拌下、加温する方法によればよい。また、(2)の場合は所定の反応容器にポリビニルアルコールおよび水を仕込み加熱しながら溶解し、次いで単官能性ビニルモノマー、乳化剤および多官能性ビニルモノマーを仕込み、乳化した後、ラジカル重合開始剤を加え、撹拌下、加温する方法によればよい。なお、単官能性ビニルモノマーおよび多官能性ビニルモノマーやラジカル開始剤は、滴下法にて添加してもよく、その滴下方法は一括滴下、分割滴下のいずれの方法でもよい。
【0023】
また、反応系の固形分濃度は通常10〜50重量%程度、好ましくは15〜30重量%とするのがよい。また、重合時のpHは通常3〜9程度の範囲とするのがよい。反応温度は、重合触媒を活性化させる温度範囲であればよく通常は40〜90℃程度、好ましくは50〜80℃であり、反応時間は通常30分〜2時間程度がよい。
【0024】
前記ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素、水性のアゾ系開始剤等の水溶性のラジカル重合開始剤、または前記過硫酸塩等と亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム等の還元剤とを組み合わせた形のレドックス系重合開始剤等があげられる。通常、前記開始剤の使用量は前記ビニルモノマー(単官能性ビニルモノマーおよび多官能性ビニルモノマー)の合計量に対して0.05〜5重量%程度、好ましくは0.1〜3重量%とするのがよい。
【0025】
このようにして、平均粒子径が通常10〜300nm程度の微粒子を含んだ水性樹脂溶液が得られる。また、該水性樹脂溶液を剥離紙用アンダーコート剤として使用するにあたっては不揮発分を通常10〜30重量%程度で、粘度を100cps程度以下(25℃)に調整するのがよい。
【0026】
なお、本発明の剥離紙用アンダーコート剤を台紙に塗工するにあたっては、グリオキザール、水溶性ジルコニウム化合物等の架橋剤を併用することにより、高温高湿におけるシリコーン樹脂との密着性をさらに向上させることができる。剥離紙用アンダーコート剤の塗工方法としてはワイヤーバー、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター等を採用でき、また乾燥はオーブン、ドラムドライヤー等の公知の乾燥装置を採用できる。さらにはキャレンダー処理を施し、所望の平滑度となるように調整してもよい。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、剥離剤(たとえば、シリコーン樹脂のトルエン溶液)を台紙に塗工した場合にも紙層中に剥離剤が吸収されることなく、かつ塗工性に優れ、しかもシリコーン樹脂との密着性が良好で、優れた光沢を有する剥離紙用アンダーコート剤を提供することができる。さらには該剥離紙用アンダーコート剤を使用して得られる剥離紙は易回収性であり、省資源、環境問題にも貢献できる。
【0028】
【実施例】
以下に、実施例および比較例をあげて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、各例中の%は、特に断らない限り重量基準である。
【0029】
実施例1
撹拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管、モノマー滴下ロート及び温度計を備えた反応容器に、アセトアセチル化ポリビニルアルコール(商品名ゴーセハイマーZ100、日本合成化学(株)製)40gおよび水420gを仕込み、加熱しながら撹拌して溶解させ水溶液とした。この水溶液を40℃まで冷却した。つぎに、メタクリル酸ブチル及びメタクリル酸メチルからなる混合モノマー(重量混合比は順に40:60)60g及びメチレンビスメタクリレート3gを加えて一定速度(250±10rpm)で乳化した。窒素気流下で昇温を行い70℃で過硫酸カリウムおよびチオ硫酸ナトリウムの等モル量からなるレドックス系開始剤(系中濃度6.0×10−3モル/リットル)を添加し重合を開始させた。重合温度が80℃を越えないように60分反応させ水性樹脂溶液を得た。得られた水性樹脂溶液の不揮発分は20%、pH4.9、25℃における粘度は85cpsであった。
【0030】
実施例2
実施例1と同様の反応容器に、重合度500の完全ケン化ポリビニルアルコール(商品名PVA105、(株)クラレ製)40gおよび水420gを仕込み、加熱しながら撹拌して溶解させ水溶液とした。この水溶液を40℃まで冷却後、メタクリル酸エチル、スチレンおよびメタアクリル酸2ーヒドロキシエチルからなる混合モノマー(重量混合比は順に57:37:6)60g及びエチレングリコールジアクリレート3gを加えて一定速度(250±10rpm)で乳化した。窒素気流下で昇温を行い60℃で過硫酸カリウムおよびチオ硫酸ナトリウムを系中濃度6.0×10−3モル/リットルとなるように添加し重合を開始させた。重合温度が80℃を越えないように60分反応させ水性樹脂溶液を得た。得られた水性樹脂溶液の不揮発分は20%、pH4.0、25℃における粘度は90cpsであった。
【0031】
実施例3
実施例1において、乳化剤としてポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(商品名エマルジット、第一工業製薬(株)製)0.6gを、水とともに仕込んだ以外は実施例1と同様に行い水性樹脂溶液を得た。得られた水性樹脂溶液の不揮発分は20%、pH4.8、25℃における粘度は95cpsであった。
【0032】
実施例4
実施例2において、乳化剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(商品名ノイゲンET165、第一工業製薬(株)製)0.6gを、水とともに仕込んだ以外は実施例2と同様に行い水性樹脂溶液を得た。得られた水性樹脂溶液の不揮発分は20%、pH3.8、25℃における粘度は95cpsであった。
【0033】
実施例5
実施例1において、乳化剤としてポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(商品名エマルジット49、第一工業製薬(株)製)3.0gを、水とともに仕込んだ以外は実施例1と同様に行い水性樹脂溶液を得た。得られた水性樹脂溶液の不揮発分は21%、pH4.8、25℃における粘度は90cpsであった。
【0034】
比較例1
実施例5において、アセトアセチル化ポリビニルアルコールを使用せず、用いた水の量を250gとした以外は実施例1と同様に行い水性樹脂溶液を得た。得られた水性樹脂溶液の不揮発分は20%、pH4.0、25℃における粘度は15cpsであった。
【0035】
比較例2
実施例1と同様の反応容器に、イオン交換水250gおよびジアルキルスルホコハク酸エステルソーダ塩(商品名ネオコールP、第一工業製薬(株)製、不揮発分75%)6.5gを仕込み溶解した。窒素気流気下で80℃まで昇温を行い、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル及びメタクリル酸グリシジルからなる混合モノマー(重量混合比は順に59:39:2)100g及び過硫酸カリウム水溶液を連続的に滴下して重合を行った。重合温度が80℃を越えないように90分反応させて水溶性樹脂溶液を得た。得られた水性樹脂溶液の不揮発分は25.5%、pH5.2、25℃における粘度は50cpsであった。
【0036】
(性能評価)
実施例1〜5及び比較例1〜2で得られた水性樹脂溶液、重合度500の完全ケン化ポリビニルアルコール(商品名PVA105、(株)クラレ製)(比較例3)を表1に示す塗工濃度に調整したのち、固形分付着量が5g/m2 となるようにPPC用紙に塗布および乾燥を行い、さらにカレンダー処理(50Kg/cm)を施した。これを試料として下記の方法に従って性能試験を行った。その結果を表1に示す。
【0037】
(平滑度)
王研式透気度平滑度計試験機にて測定した。
【0038】
(耐溶剤性)
染料を溶かしたトルエンを絵筆を用いて塗布面に塗り、裏抜けの有無を観察した。
○:裏抜けなし。
△:所々に裏抜け有り。
×:裏抜け多い。
【0039】
(シリコーン密着性)
トルエンで5%濃度に希釈したシリコーン樹脂(KS776A 信越化学工業(株)製)に硬化触媒(CAT−PL−8 信越化学工業(株)製)を1%(KS766Aの固形分に対して)添加し、固形分付着量が1g/m2 となるように塗布した後、まず70℃で30秒間乾燥させ、次いで140℃で1分間乾燥硬化させた。その後、20℃、湿度65%の条件下で1日放置した後(条件1)と、50℃、湿度90%(条件2)の各条件下で1週間放置した後、塗布面を指で擦りシリコーンの剥離状態を観察した。
○:剥離しない。
△:少し剥離する。
×:完全に剥離する。
【0040】
【表1】
【0041】
比較例3のポリビニルアルコールは塗工濃度が実施例の半分の10%にもかかわらず、塗工時にムラが生じた。
【産業上の利用分野】
本発明は、剥離紙用アンダーコート剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ラベル、シールの粘着剤に関連する分野では剥離紙が広く使用されており、その生産量は年々増加してきている。こうした剥離紙は、主に溶剤型もしくはエマルジョン型のシリコーン樹脂等の剥離剤液を台紙に直接塗布する方法により製造されていたが、塗工液が台紙に浸透するため、近年では剥離紙を製造するにあたって、まずポリエチレンを台紙の上にラミネートし、その上に溶剤型のシリコーン樹脂を塗布する方法が主流となってきている。
【0003】
しかし、資源、環境問題から、紙をリサイクルして再生紙とする必要性が生じてきており、回収性の悪い前記ポリエチレン方式の剥離紙を、易回収性の剥離紙へ転換するよう通商産業省から通達指示が出されている。剥離紙を易回収性にする方法としては、ポリエチレンを台紙の上にラミネートする代わりに、アンダーコート剤としてSBR、アクリルエマルジョン等のラテックス類や、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等の各種水溶性のポリマーを台紙に塗布する方法が検討されている。
【0004】
これらの方法のうちSBRやアクリルエマルジョン等のラテックス類は、塗工性は優れるが、耐溶剤性に劣るためシリコーン樹脂のトルエン溶液を塗工する際に、台紙へトルエン溶液が浸透する問題がある。一方、ポリビニルアルコールに代表される水溶性のポリマーは耐溶剤性を向上させるため高分子量の水溶性のポリマー(すなわち、高粘度の水溶性のポリマー)を使用する必要があり、水溶液の経時安定性、作業性に劣る問題がある。また、作業性の改善のため低濃度で塗工した場合には、乾燥時間が長くなったり、台紙への溶液の浸透が認められ十分な光沢が得られない。また、アンダーコート剤とシリコーン樹脂との密着性も重要な因子であるが、水溶性のポリマーのなかには密着性に劣るものもあり、塗工性と密着性等のバランスのよい水溶性のポリマーは未だ得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、易回収性の剥離紙に適し、しかも溶剤型のシリコーン樹脂を台紙に塗工した場合にも紙層中にシリコーン樹脂が浸透することなく、特にシリコーン樹脂との密着性が良好で優れた光沢を付与でき、塗工性にも優れた剥離紙用アンダーコート剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、以下に示す水性樹脂によれば、前記課題を悉く解決しうる剥離紙用アンダーコート剤を提供できることを見出した。本発明はかかる新たな知見により完成されたものである。
【0007】
すなわち、本発明は、(1)ポリビニルアルコールおよび水の存在下で、ラジカル重合性の単官能性ビニルモノマー(シラン基を有するものを除く)100重量部および多官能性ビニルモノマー(シラン基を有するものを除く)を0.1〜10重量部乳化重合して得られる水性樹脂を主成分として含有することを特徴とし、シリコーン樹脂層と密着するアンダーコート層として供される、剥離紙用アンダーコート剤、(2) ポリビニルアルコール、乳化剤および水の存在下で、ラジカル重合性の単官能性ビニルモノマーおよび多官能性ビニルモノマーを0.1〜10重量部乳化重合して得られる水性樹脂を主成分として含有することを特徴とし、シリコーン樹脂層と密着するアンダーコート層として供される、剥離紙用アンダーコート剤、に関する。
【0008】
まず、剥離紙用アンダーコート剤(1)の主成分である水性樹脂の構成成分について説明する。
【0009】
本発明で使用されるポリビニルアルコールは、水溶性である限り特に限定されないが、通常、重合度が200〜2500程度であり、ケン化度が75%〜100%の部分ケン化物または完全ケン化物が好ましい。また珪素含有ポリビニルアルコールや、カルボキシル基、アセトアセチル基、アセタール基、の官能基を有する変性ポリビニルアルコール等も同様に使用できる。また、ポリビニルアルコールは得られるアンダーコート剤の耐溶剤性に影響を及ぼすためその使用量はこれら性能を考慮して適宜決定される。すなわち、ポリビニルアルコールの使用量は、単官能性ビニルモノマーの全量100重量部に対して、通常5〜900重量部程度、好ましくは40〜250重量部とするのがよい。5重量部未満では得られるアンダーコート剤の耐溶剤性が悪くなり、また900重量部を越えると得られる剥離紙用アンダーコート剤としての水性樹脂溶液の粘度が高くなり作業性の面で好ましくない。
【0010】
本発明ではラジカル重合性の単官能性ビニルモノマーとして(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび/またはスチレン系化合物を使用するのが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等があげられる。また、スチレン系化合物としてはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等があげられる。
【0011】
また、ラジカル重合性の単官能性ビニルモノマーとしては、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル、スチレン系化合物の他に、各種のアニオン性の単官能性ビニルモノマー、カチオン性の単官能性ビニルモノマーや前記以外のノニオン性の単官能性ビニルモノマーを使用することができる。
【0012】
アニオン性の単官能性ビニルモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、ムコン酸等のジカルボン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の有機スルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート等のリン酸系ビニルモノマー、およびこれら各種有機酸のナトリウム塩、カリウム塩等があげられる。
【0013】
カチオン性の単官能性ビニルモノマーとしてはジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の第三級アミノ基を有するビニルモノマーまたはそれらの塩酸、硫酸、酢酸等の無機酸もしくは有機酸の塩類、または該第三級アミノ基含有ビニルモノマーとメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸、エピクロルヒドリン等の四級化剤との反応によって得られる第四級アンモニウム塩を含有するビニルモノマー等があげられる。
【0014】
ノニオン性の単官能性ビニルモノマーとしては(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、メチルビニルエーテルや、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類、グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ウレタンアクリレート類、ジフェニル−2(メタ)アクリロイルオキシホスフェート等のリン酸エステル系ビニルモノマー等があげられる。
【0015】
なお、ここで例示したアニオン性の単官能性ビニルモノマーカチオン性の単官能性ビニルモノマーやノニオン性の単官能性ビニルモノマーの使用量は単官能性ビニルモノマーの通常40重量%程度以下、好ましくは30重量%以下とされる。
【0016】
本発明では、前記例示した単官能性のビニルモノマーに加えて、多官能性のビニルモノマーを使用することが必須とされる。たとえば、2官能性ビニルモノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類、メチレンビス(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビス(メタ)アクリルアミド類、アジピン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル等のジビニルエステル類、アリルメタクリレート、ジアリルアミン、ジアリルジメチルアンモニウム、ジアリルフタレート、ジアリルクロレンデート、ジビニルベンゼン等があげられる。また、3官能性モノマーとしては、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−S−トリアジン、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルアミン、トリアリルトリメリテート、N,N−ジアリルアクリルアミド等があげられ、4官能性ビニルモノマーとしては、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラアリルピロメリテート、N,N,N’,N’−テトラアリル−1,4−ジアミノブタン、テトラアリルアミン塩、テトラアリルオキシエタン等があげられる。
【0017】
多官能性ビニルモノマーの使用量は、前記単官能性ビニルモノマーの合計100重量部に対して10重量部程度以下、好ましくは0.1〜5重量部である。多官能性のビニルモノマーが10重量部を越えると凝集が起こったり、高濃度の水性樹脂溶液を得るのが困難になるため好ましくない。
【0018】
次に、剥離紙用アンダーコート剤(2)の主成分である水性樹脂の構成成分について説明する。
【0019】
剥離紙用アンダーコート剤(2)の水性樹脂の構成は、剥離紙用アンダーコート剤(1)の水性樹脂の構成に加えて、乳化剤を使用する点のみが異なる。したがって、剥離紙用アンダーコート剤(1)で説明したポリビニルアルコール、ラジカル重合性の単官能性ビニルモノマー、多官能性ビニルモノマーと同様のものを剥離紙用アンダーコート剤(2)においても使用できる。
【0020】
乳化剤としては、特に限定されず、各種公知のアニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤等を使用できる。アニオン性乳化剤としては、長鎖α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩等があげられ、ノニオン性乳化剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等があげられる。これらアニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤等は1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0021】
かかる乳化剤を使用した場合には、水性樹脂の製造工程において凝集物の発生を抑制できるが、剥離紙用アンダーコート剤の耐溶剤性、シリコーン樹脂との密着性に悪影響を及ぼすため、その使用量は必要最低量に抑えるのがよい。通常は前記単官能性のビニルモノマー100重量部に対し、15重量部以下程度、好ましくは5重量部以下とするのがよい。
【0022】
次いで、本発明の水性樹脂の製造方法について説明する。本発明の水性樹脂の製造方法は公知の乳化重合方法により行えばよい。たとえば、(1)の場合は所定の反応容器にポリビニルアルコールおよび水を仕込み加熱しながら溶解し、次いで単官能性ビニルモノマーおよび多官能性ビニルモノマーを仕込み、乳化した後、ラジカル重合開始剤を加え、撹拌下、加温する方法によればよい。また、(2)の場合は所定の反応容器にポリビニルアルコールおよび水を仕込み加熱しながら溶解し、次いで単官能性ビニルモノマー、乳化剤および多官能性ビニルモノマーを仕込み、乳化した後、ラジカル重合開始剤を加え、撹拌下、加温する方法によればよい。なお、単官能性ビニルモノマーおよび多官能性ビニルモノマーやラジカル開始剤は、滴下法にて添加してもよく、その滴下方法は一括滴下、分割滴下のいずれの方法でもよい。
【0023】
また、反応系の固形分濃度は通常10〜50重量%程度、好ましくは15〜30重量%とするのがよい。また、重合時のpHは通常3〜9程度の範囲とするのがよい。反応温度は、重合触媒を活性化させる温度範囲であればよく通常は40〜90℃程度、好ましくは50〜80℃であり、反応時間は通常30分〜2時間程度がよい。
【0024】
前記ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素、水性のアゾ系開始剤等の水溶性のラジカル重合開始剤、または前記過硫酸塩等と亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム等の還元剤とを組み合わせた形のレドックス系重合開始剤等があげられる。通常、前記開始剤の使用量は前記ビニルモノマー(単官能性ビニルモノマーおよび多官能性ビニルモノマー)の合計量に対して0.05〜5重量%程度、好ましくは0.1〜3重量%とするのがよい。
【0025】
このようにして、平均粒子径が通常10〜300nm程度の微粒子を含んだ水性樹脂溶液が得られる。また、該水性樹脂溶液を剥離紙用アンダーコート剤として使用するにあたっては不揮発分を通常10〜30重量%程度で、粘度を100cps程度以下(25℃)に調整するのがよい。
【0026】
なお、本発明の剥離紙用アンダーコート剤を台紙に塗工するにあたっては、グリオキザール、水溶性ジルコニウム化合物等の架橋剤を併用することにより、高温高湿におけるシリコーン樹脂との密着性をさらに向上させることができる。剥離紙用アンダーコート剤の塗工方法としてはワイヤーバー、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター等を採用でき、また乾燥はオーブン、ドラムドライヤー等の公知の乾燥装置を採用できる。さらにはキャレンダー処理を施し、所望の平滑度となるように調整してもよい。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、剥離剤(たとえば、シリコーン樹脂のトルエン溶液)を台紙に塗工した場合にも紙層中に剥離剤が吸収されることなく、かつ塗工性に優れ、しかもシリコーン樹脂との密着性が良好で、優れた光沢を有する剥離紙用アンダーコート剤を提供することができる。さらには該剥離紙用アンダーコート剤を使用して得られる剥離紙は易回収性であり、省資源、環境問題にも貢献できる。
【0028】
【実施例】
以下に、実施例および比較例をあげて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、各例中の%は、特に断らない限り重量基準である。
【0029】
実施例1
撹拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管、モノマー滴下ロート及び温度計を備えた反応容器に、アセトアセチル化ポリビニルアルコール(商品名ゴーセハイマーZ100、日本合成化学(株)製)40gおよび水420gを仕込み、加熱しながら撹拌して溶解させ水溶液とした。この水溶液を40℃まで冷却した。つぎに、メタクリル酸ブチル及びメタクリル酸メチルからなる混合モノマー(重量混合比は順に40:60)60g及びメチレンビスメタクリレート3gを加えて一定速度(250±10rpm)で乳化した。窒素気流下で昇温を行い70℃で過硫酸カリウムおよびチオ硫酸ナトリウムの等モル量からなるレドックス系開始剤(系中濃度6.0×10−3モル/リットル)を添加し重合を開始させた。重合温度が80℃を越えないように60分反応させ水性樹脂溶液を得た。得られた水性樹脂溶液の不揮発分は20%、pH4.9、25℃における粘度は85cpsであった。
【0030】
実施例2
実施例1と同様の反応容器に、重合度500の完全ケン化ポリビニルアルコール(商品名PVA105、(株)クラレ製)40gおよび水420gを仕込み、加熱しながら撹拌して溶解させ水溶液とした。この水溶液を40℃まで冷却後、メタクリル酸エチル、スチレンおよびメタアクリル酸2ーヒドロキシエチルからなる混合モノマー(重量混合比は順に57:37:6)60g及びエチレングリコールジアクリレート3gを加えて一定速度(250±10rpm)で乳化した。窒素気流下で昇温を行い60℃で過硫酸カリウムおよびチオ硫酸ナトリウムを系中濃度6.0×10−3モル/リットルとなるように添加し重合を開始させた。重合温度が80℃を越えないように60分反応させ水性樹脂溶液を得た。得られた水性樹脂溶液の不揮発分は20%、pH4.0、25℃における粘度は90cpsであった。
【0031】
実施例3
実施例1において、乳化剤としてポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(商品名エマルジット、第一工業製薬(株)製)0.6gを、水とともに仕込んだ以外は実施例1と同様に行い水性樹脂溶液を得た。得られた水性樹脂溶液の不揮発分は20%、pH4.8、25℃における粘度は95cpsであった。
【0032】
実施例4
実施例2において、乳化剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(商品名ノイゲンET165、第一工業製薬(株)製)0.6gを、水とともに仕込んだ以外は実施例2と同様に行い水性樹脂溶液を得た。得られた水性樹脂溶液の不揮発分は20%、pH3.8、25℃における粘度は95cpsであった。
【0033】
実施例5
実施例1において、乳化剤としてポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(商品名エマルジット49、第一工業製薬(株)製)3.0gを、水とともに仕込んだ以外は実施例1と同様に行い水性樹脂溶液を得た。得られた水性樹脂溶液の不揮発分は21%、pH4.8、25℃における粘度は90cpsであった。
【0034】
比較例1
実施例5において、アセトアセチル化ポリビニルアルコールを使用せず、用いた水の量を250gとした以外は実施例1と同様に行い水性樹脂溶液を得た。得られた水性樹脂溶液の不揮発分は20%、pH4.0、25℃における粘度は15cpsであった。
【0035】
比較例2
実施例1と同様の反応容器に、イオン交換水250gおよびジアルキルスルホコハク酸エステルソーダ塩(商品名ネオコールP、第一工業製薬(株)製、不揮発分75%)6.5gを仕込み溶解した。窒素気流気下で80℃まで昇温を行い、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル及びメタクリル酸グリシジルからなる混合モノマー(重量混合比は順に59:39:2)100g及び過硫酸カリウム水溶液を連続的に滴下して重合を行った。重合温度が80℃を越えないように90分反応させて水溶性樹脂溶液を得た。得られた水性樹脂溶液の不揮発分は25.5%、pH5.2、25℃における粘度は50cpsであった。
【0036】
(性能評価)
実施例1〜5及び比較例1〜2で得られた水性樹脂溶液、重合度500の完全ケン化ポリビニルアルコール(商品名PVA105、(株)クラレ製)(比較例3)を表1に示す塗工濃度に調整したのち、固形分付着量が5g/m2 となるようにPPC用紙に塗布および乾燥を行い、さらにカレンダー処理(50Kg/cm)を施した。これを試料として下記の方法に従って性能試験を行った。その結果を表1に示す。
【0037】
(平滑度)
王研式透気度平滑度計試験機にて測定した。
【0038】
(耐溶剤性)
染料を溶かしたトルエンを絵筆を用いて塗布面に塗り、裏抜けの有無を観察した。
○:裏抜けなし。
△:所々に裏抜け有り。
×:裏抜け多い。
【0039】
(シリコーン密着性)
トルエンで5%濃度に希釈したシリコーン樹脂(KS776A 信越化学工業(株)製)に硬化触媒(CAT−PL−8 信越化学工業(株)製)を1%(KS766Aの固形分に対して)添加し、固形分付着量が1g/m2 となるように塗布した後、まず70℃で30秒間乾燥させ、次いで140℃で1分間乾燥硬化させた。その後、20℃、湿度65%の条件下で1日放置した後(条件1)と、50℃、湿度90%(条件2)の各条件下で1週間放置した後、塗布面を指で擦りシリコーンの剥離状態を観察した。
○:剥離しない。
△:少し剥離する。
×:完全に剥離する。
【0040】
【表1】
【0041】
比較例3のポリビニルアルコールは塗工濃度が実施例の半分の10%にもかかわらず、塗工時にムラが生じた。
Claims (5)
- ポリビニルアルコールおよび水の存在下で、ラジカル重合性の単官能性ビニルモノマー(シラン基を有するものを除く)100重量部および多官能性ビニルモノマー(シラン基を有するものを除く)を0.1〜10重量部乳化重合して得られる水性樹脂を主成分として含有することを特徴とし、シリコーン樹脂層と密着するアンダーコート層として供される、剥離紙用アンダーコート剤。
- ポリビニルアルコール、乳化剤および水の存在下で、ラジカル重合性の単官能性ビニルモノマーおよび多官能性ビニルモノマーを0.1〜10重量部乳化重合して得られる水性樹脂を主成分として含有することを特徴とし、シリコーン樹脂層と密着するアンダーコート層として供される、剥離紙用アンダーコート剤。
- 多官能性ビニルモノマー(シラン基を有するものを除く)が5〜10重量部である請求項1〜2のいずれかに記載の剥離紙用アンダーコート剤。
- 不揮発分が10〜30重量%である請求項1〜3のいずれかに記載の剥離紙用アンダーコート剤。
- 単官能性ビニルモノマーが、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび/またはスチレン系化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の剥離紙用アンダーコート剤。
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