JP3619997B2 - 内倒し窓 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、窓枠に障子を室内側に傾倒自在に装着した内倒し窓に関する。
【0002】
【従来の技術】
実公平1−15824号公報に示す内倒し窓が提案されている。
この内倒し窓は、図10に示すように窓枠の下枠100が、障子取付壁101を有する形状で、障子の下框102が取付片103を有する形状で、この取付片103の凹部を障子取付壁101に室内外側方向に揺動自在に嵌め込むことで障子が窓枠に、室内側に傾倒自在に装着してある。
前述の内倒し窓においては障子を閉じ状態で窓枠と障子との間を次のようにして気密・水密している。
窓枠の上枠、下枠100の立上り壁104、左右縦枠に気密材105を四周連続して取付け、障子の上框、左右縦框の外向片の室外側面と前記下框102の取付片103の室外側面103aを気密材105に圧接して気密・水密する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように窓枠と障子との間を気密・水密しても、気密材取付け誤差などの施工誤差や障子の建付け調整不良又は、強い雨が降っている際に障子を開放したままの場合には、下枠100の立上り壁104と障子取付壁101との間の凹部106に雨水が流れ込んで溜る。
この雨水が障子取付壁101を越えて室内側に流れ落ちるので、前述した従来の内倒し窓においては、下枠100の障子取付壁101よりも室内寄りに凹溝107を形成し、前述のように障子取付壁101を越えた雨水を凹溝107で受け、その凹溝107内の雨水を室外側に排水するようにしている。
【0004】
このために、下枠100が、障子取付壁101の室内寄りに凹溝107を有する形状であるから、その下枠100の見込み寸法が大きくなってしまう。
【0005】
本発明は、前述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、雨水が、下枠を越えて室内側に流れ落ちることがないと共に、下枠の見込み寸法を小さくできるようにした内倒し窓を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、上横枠材と下横枠材と左右の縦枠材を方形状に連結した窓枠と、
上框と下框と左右の縦框を方形状に連結し、パネルを装着した障子を有し、
前記下横枠材の障子取付片と、下框の取付片を室内外側方向に揺動自在に連結することで障子を室内側に傾倒可能とし、
前記下横枠材の障子取付片よりも室外側に、窓枠と障子との間の気密・水密部から洩れた雨水が流れ込む凹部を有する内倒し窓であって、
前記下横枠材の長手方向端部寄りに、前記凹部を室外側に連通する排水用部材を取付け、
前記排水用部材は、下框の取付片の先端部が室内外側方向に揺動自在に嵌まり合うと共に、その取付片の室内側への傾倒を規制する傾倒規制部を備えていることを特徴とする内倒し窓である。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において排水用部材は取付本体部と、この取付本体部の長手方向一端寄りに設けた排水部を有し、
その排水部は取付本体部の裏面よりも突出し、
前記取付本体部の裏面における長手方向中間部に、障子取付片が嵌まり込む凹溝を有し、長手方向他端部には、取付片が嵌まり込む凹部を有し、その凹溝と凹部との境い目に段差部を有し、
前記障子取付片の長手方向端面よりも取付片の長手方向端面が面内方向内側に位置し、
前記取付本体部の裏面を下横枠材の室内側面に取付けることで、その下横枠材の長手方向端部寄りに形成した切欠部に排水部が挿入され、その排水部と下横枠材の凹部の底部が連続し、前記凹溝に障子取付片が嵌まり込み、前記排水用部材の凹部と下横枠材の室内側面との間に凹陥部を形成し、
前記取付片が凹陥部に室内側方向に回動自在に嵌まり合うことで前記傾倒規制部とし、その取付片の長手方向端面が段差部に当接することで障子を面内方向に位置決めする位置決め部とした内倒し窓である。
【0010】
【作 用】
第1の発明によれば、何らかの事由で窓枠と障子との間の気密・水密部から洩れた雨水は、下横枠材の凹部に流れ込み、排水用部材を通って室外側に排水される。
したがって、下横枠材の障子取付片よりも室内側に排水用の凹部を形成する必要がなく、その障子取付片が最も室内側部とすることができるから、下横枠材の見込み寸法を小さくできる。
また、排水用部材で障子が大きく室内側に傾倒して脱落することを防止できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1に示すように、サッシ枠1と、このサッシ枠1に引き違いに装着した内障子2、外障子3と、その内障子2に取付けた換気用小窓4で換気用小窓付き引き違いサッシを形成している。
しかして、内障子2、外障子3を閉じた状態で換気用小窓4を開放することで室内と室外が連通し、室内を換気することができる。
【0014】
前記サッシ枠1は上枠1aと下枠1bと左右の縦枠1cを方形状に連結してある。
前記内障子2は、上框2aと下框2bと召合せ框2cと戸当り框2dを方形状に連結し、その召合せ框2cの下部寄りと戸当り框2dの下部寄りに亘って中帯2eを連結することで上部開口部5と下部開口部6を有する框組体7を有する。
前記框組体7の上部開口部5にガラス8が装着してある。前記框組体7の下部開口部6に換気用小窓4が取付けてある。この換気用小窓4は窓枠4aに障子4bを室内側に傾倒自在に取付けて、内倒し窓としてある。
前記外障子3は、上框3aと下框3bと召合せ框3cと戸当り框3dを方形状に連結した框組体7にガラス8を装着してある。
前記各ガラス8は複層ガラスである。
【0015】
次に、前述の換気用小窓4とした内倒し窓について説明する。
前記窓枠4aは図2と図3に示すように、上横枠材10と下横枠材11と左右の縦枠材12を方形状に連結してある。
前記障子4bは上框13と下框14と左右の縦框15を方形状に連結し、その内部にパネル、例えば複層ガラス16が装着してある。
前記窓枠4aの上横枠材10、下横枠材11、左右の縦枠材12は、前記中帯2e、下框2b、召合せ框2c、戸当り框2dに着脱自在に取付けてあると共に、各枠材の室内側部は各框の室内側部よりも室内側に突出し、各枠材の室外側部と各框の室外側部は略面一である。
【0016】
前記下横枠材11は図2に示すように、中空形状の本体20と、この本体20の室内側部、例えば室内側壁20aの上部に一体的に設けた面内方向内側に向う障子取付片21と、本体20の室内外側方向中間部、例えば面内方向内側の内側壁20bの室内外側方向中間部に、一体的に設けた面内方向内側に向う中間内向片22を備えている。前記障子取付片21の先端部(上端部)は室内外側方向に向う断面略円孤形状である。
前記下框14は面内方向外側に向う室内側の取付片23を備えている。
【0017】
この室内側の取付片23の先端部(下端部)は室内外側方向に向う断面略円孤形状に凹み、取付用凹部24を形成している。
前記障子取付片21の先端部と前記室内側の取付片23の取付用凹部24を室内外側方向に揺動自在に嵌め合せて連結することで、下横枠材11に下框14が室内外側方向に揺動自在に連結され、障子4bが窓枠4aに室内側に傾倒自在に装着してある。
【0018】
前記上横枠材10の室内寄り部と縦枠材12の室内寄り部と前記下横枠材11の中間内向片22に気密材装着部、例えば凹条溝10a,12a,22aが室内外側方向略同一位置として形成してある。
前記各凹条溝10a,12a,22aに気密材25が四周連続して室内側に向けて装着してある。
【0019】
障子4bを閉じることで、上框13の室内側外向片26、縦框12の室内側外向片27の室外側面26a,27aと、前記下框14の室内側の取付片23の室外側面23aが、前記気密材25にそれぞれ圧接し、窓枠4aと障子4bとの間を気密・水密する。
【0020】
下框14の室内側の取付片23の室外側面23aと下横枠材11に装着した気密材25との圧接部、つまり気密・水密部は、下横枠材11の障子取付片21と取付用凹部24の嵌め合せ部、つまり障子取付部よりも上方位置である。
この気密・水密部から何らかの原因で浸入した雨水は、下横枠材11における障子取付片21と中間内向片22と本体20の内側壁20bとで形成された凹部28に流れ落ちて溜る。
【0021】
図4に示すように、下横枠材11の長手方向両端部(縦枠材12との連結コーナー部)に排水用部材30がそれぞれ取付けてある。この排水用部材30は、前記凹部28に流れ落ちた雨水を室外側に排水する。
前記排水用部材30は図5に示すように、取付本体部31と排水部32を備えている。
前記取付本体部31は所定の幅(室内外側方向の寸法)と高さ(上下方向の寸法)と長さ(左右方向の寸法)を有するブロック形状で、その裏面31aにおける長手方向一端寄りに上向きコ字状片33が一体的に設けてある。この上向きコ字状片33は裏面31aよりも突出して取付本体部31の裏面31aよりも突出した排水部32を形成している。
前記取付本体部31の長手方向中間部下方には、その裏面31aと表面31bに貫通した取付用孔34が形成してある。
前記取付本体部31の裏面31aにおける長手方向中間部上方には裏面側に開口した略横向きコ字形状の凹溝35が形成してある。この凹溝35の下内面35aは前記上向きコ字状片33の上面33aと略面一に連続している。
前記取付本体部31の裏面31aにおける長手方向他端寄り上方には、裏面31aと上面31cに開口した断面略円孤形状の凹部36が形成してある。この凹部36は取付本体部31の長さ方向他端面31dまで連続し、その下面36aは凹溝35の下内面35aよりも下方位置で、凹部36の縦内面36bは凹溝35の縦内面(底部)35bよりも表面31b寄りで、凹溝35と凹部36との境い目に段差部37を有する。この段差部37は長さ方向他端面31dに向いている。
【0022】
前記上向きコ字状片33の取付本体部31の裏面31aからの突出寸法は、下横枠材11の本体20における室内側壁20aから中間内向片22までの室内外側方向の寸法よりも若干長い。
この上向コ字状片33の突出端部の上部は切欠きされ、その切欠部33bと取付本体部31の裏面31aとの間の寸法は前述の室内側方向の寸法と略等しい。
前記上向きコ字状片33(排水部32)の高さは、前記下横枠材11の内側壁20bと外側壁20cとの間の寸法と略等しい。
前記凹溝35は障子取付片21の先端部が嵌まり合う形状、大きさである。
【0023】
次に、前記排水用部材30の取付けについて図6〜図8に基づいて説明する。
前記下横枠材11の長手方向両端寄りの室内側部分に、前記排水部32(上向きコ字状片33)が挿入する排水部挿入部が形成してある。
例えば、図8に示すように、下横枠材11の本体20における室内側壁20aと、内側壁20bの中間内向片22よりも室内寄り部の長手方向両端寄りをそれぞれ切欠きし、その切欠部40を排水部挿入部とする。障子取付片21の長手方向両端部も切欠きされる。
この切欠部40の長さ(面内方向の寸法)は前記上向きコ字状片33の幅(面内方向の寸法)と同一で、高さ(上下方向の寸法)は前記上向きコ字状片33(排水部32)の高さと同一である。
【0024】
前記縦枠材12の板状本体12bの内面12cと前記切欠部40とで図6に示すように排水部挿入空間Eを形成する。
つまり、縦枠材12の板状本体12bの内面12cに設けられた内向片41における下部寄りを下横枠材11の上下寸法に合せて切断して除去し、縦枠材12の内面12c下部寄りを凹凸のない平坦面とする。
下横枠材11の長手方向の端面11aを縦枠材12の内面12cにおける平坦面に突き当て、縦枠材12からビスを下横枠材11のビスホールに螺合して縦枠材11の下端部に下横枠材11を突き当て連結する。
これによって、縦枠材12の内面12cと切欠部40との間に排水部挿入空間部Eを形成する。
【0025】
下框14の室内側の取付片23は下横枠材11の障子取付片21よりも短かく、その室内側の取付片23の長手方向端面23bは障子取付片21の長手方向端面21aよりも面内方向内側寄りである。
つまり、縦框15の内面の内向片の下部寄りを切断して平坦面とし、その平坦面に下框14の長手方向端面を突き当てビスで連結しているので、図6に示すように室内側の取付片23の長手方向端面23bは障子取付片21の長手方向端面21aよりも面内方向内側寄りとなる。
【0026】
窓枠4aに障子4bを装着した状態で、排水用部材30の排水部32を前述の排水部挿入空間Eに挿入し、取付本体部31の裏面31aを下横枠材11の本体20の室内側壁20a(下横枠材11の室内側面)に当接する。
取付用孔34からビス38を、前述の室内側壁20aに螺合して排水用部材30を取付ける。
【0027】
前記排水用部材30の上向きコ字状片33の面内方向一側面33cが縦枠材12の内面12cと対向すると共に、取付本体部31の上向きコ字状片33の面内方向一側面33cよりも突出した部分31eが縦枠材12(板状本体12b)の室内側端面12dに当接する。
排水部32は下横枠材11の本体20の中空部20dに突出すると共に、下横枠材11の本体20の内側壁20b(つまり、凹部28の底部)と連続する。
このようであるから、前述の凹部28内に流れ落ちた雨水は排水部32に流れ込み、その排水部32から中空部20d内に流れる。
前記中空部20d内に流れた雨水は、図2に示すように排水穴50を通って下框2b内に流れ落ち、その下框2bの排水穴51から下枠1bに流れ、下枠1bに沿って室外側に排水される。
【0028】
よって、下横枠材11の障子取付片21よりも室内寄りに排水用の凹部を形成することがなく、その障子取付片21を最も室内側部とすることができるので、下横枠材11の見込み寸法を小さくできる。
【0029】
図9に示すように、排水用部材30の凹溝35内に障子取付片21の上端部が嵌まり込む。
排水用部材30の凹部36と下横枠材11の本体20の室内側壁20aとの間に上向きの凹陥部52が形成される。この凹陥部52が後述するように障子4bの傾倒規制部となる。
この凹陥部52内に下框14の室内側の取付片23の先端部が室内外側方向に揺動自在に嵌まり込み、障子4bの脱落を防止する。
前記室内側の取付片23の長手方向端面23bが段差部37に当接し、障子4bが面内方向に位置決めされる。
【0030】
つまり、図9に仮想線で示すように障子4bが室内側にある程度傾倒すると、室内側の取付片23の一部分が凹部36の上端部(取付本体部31の上面31c)に当接して室内側への傾倒を阻止し、障子4bが室内側に大きく傾倒し、室内側の取付片23の取付用凹部24が障子取付片21の上端部から外れることを防止するので、障子4bが窓枠4aから脱落することがない。
【0031】
また、下框14の室内側の取付片23の長手方向端面23bが左右の排水用部材30の段差部37にそれぞれ当接し、下框14が左右方向に位置決めされるので、障子4bが面内方向に位置決めされる。この段差部37が位置決め部である。
【0032】
以上の実施の形態では換気用小窓として説明したが、通常一般の内倒し窓でも良いことは勿論である。
【0033】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、何らかの事由で窓枠と障子との間の気密・水密部から洩れた雨水は、下横枠材の凹部に流れ込み、排水用部材を通って室外側に排水される。
したがって、下横枠材の障子取付片よりも室内側に排水用の凹部を形成する必要がなく、その障子取付片が最も室内側部とすることができるから、下横枠材の見込み寸法を小さくできる。
また、排水用部材で障子が大きく室内側に傾倒して脱落することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】換気用小窓付き引き違いサッシの内観図である。
【図2】図1のA−A拡大断面図である。
【図3】図1のB−B拡大断面図である。
【図4】換気用小窓の拡大詳細内観図である。
【図5】排水用部材を裏側から見た斜視図である。
【図6】排水用部材の取付部分を拡大した内観図である。
【図7】図6のC−C断面図である。
【図8】排水用部材の取付部分を分解した斜視図である。
【図9】図7のD−D断面図である。
【図10】従来例の断面図である。
【符号の説明】
4…換気用小窓(内倒し窓)、4a…窓枠、4b…障子、10…上横枠材、11…下横枠材、12…縦枠材、13…上框、14…下框、15…縦框、16…複層ガラス(パネル)、20…本体、20a…室内側壁、20b…内側壁、21…障子取付片、22…中間内向片、23…取付片、25…気密材、28…凹部、30…排水用部材、31…取付本体部、32…排水部、33…上向きコ字状片、35…凹溝、36…凹部、37…段差部、38…ビス、40…切欠部、52…凹陥部。
Claims (2)
- 上横枠材と下横枠材と左右の縦枠材を方形状に連結した窓枠と、
上框と下框と左右の縦框を方形状に連結し、パネルを装着した障子を有し、
前記下横枠材の障子取付片と、下框の取付片を室内外側方向に揺動自在に連結することで障子を室内側に傾倒可能とし、
前記下横枠材の障子取付片よりも室外側に、窓枠と障子との間の気密・水密部から洩れた雨水が流れ込む凹部を有する内倒し窓であって、
前記下横枠材の長手方向端部寄りに、前記凹部を室外側に連通する排水用部材を取付け、
前記排水用部材は、下框の取付片の先端部が室内外側方向に揺動自在に嵌まり合うと共に、その取付片の室内側への傾倒を規制する傾倒規制部を備えていることを特徴とする内倒し窓。 - 排水用部材は取付本体部と、この取付本体部の長手方向一端寄りに設けた排水部を有し、
その排水部は取付本体部の裏面よりも突出し、
前記取付本体部の裏面における長手方向中間部に、障子取付片が嵌まり込む凹溝を有し、長手方向他端部には、取付片が嵌まり込む凹部を有し、その凹溝と凹部との境い目に段差部を有し、
前記障子取付片の長手方向端面よりも取付片の長手方向端面が面内方向内側に位置し、
前記取付本体部の裏面を下横枠材の室内側面に取付けることで、その下横枠材の長手方向端部寄りに形成した切欠部に排水部が挿入され、その排水部と下横枠材の凹部の底部が連続し、前記凹溝に障子取付片が嵌まり込み、前記排水用部材の凹部と下横枠材の室内側面との間に凹陥部を形成し、
前記取付片が凹陥部に室内側方向に回動自在に嵌まり合うことで前記傾倒規制部とし、その取付片の長手方向端面が段差部に当接することで障子を面内方向に位置決めする位置決め部とした請求項1記載の内倒し窓。
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