JP3619317B2 - 磁気共鳴イメージング方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、核磁気共鳴現象を利用して被検体(人体)の対象部位の断層像を得る際、脂肪の信号を抑制した画像を得るための撮像を行なう磁気共鳴イメージング(以下、MRIという)方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
MRI装置では、通常被検体組織に含まれるプロトン(H)を対象としており、プロトンの核スピンをその共鳴周波数と同じ周波数の高周波(RF)磁場で励起し、それから発生する核磁気共鳴(以下、NMRという)信号を計測する。ところでプロトンは生体組織の水や蛋白質に含まれるのみならず、脂肪にも多くのプロトンが含まれるために、この脂肪からのNMR信号がMRIでは高信号となり診断の妨げになることがある。このため、脂肪からの信号を抑制する方法が種々提案されている。例えば、水のプロトンと脂肪のプロトンとの化学シフト差を利用して脂肪のプロトンを選択励起する方法(ジャーナル オブ マグネチックレゾナンス、第55号、283〜300頁、1983年)などが開発されている。
【0003】
このうち化学シフト差を利用して脂肪のプロトンを選択励起する方法は、選択励起のための高周波パルスとして二項式パルスを用いる。ここで言う二項式パルスとは、パルス全体の強度の絶対値の合計が90°となっており、奇数番目と偶数番目に照射するパルスの符号を正負反転させたもので、
【0004】
【数1】
Figure 0003619317
(以下、[1・−1]パルスと記述する。)
【0005】
【数2】
Figure 0003619317
(以下、[1・−2・1]パルスと記述する。)
【0006】
【数3】
Figure 0003619317
(以下、[1・−3・3・−1]パルスと記述する。)
などがある。このような二項式パルスによって脂肪のプロトンが選択励起される原理を図6及び図7を参照して説明する。尚、図6は二項パルスを用いた脂肪抑制撮像シーケンスの模式図であり、図7は図6のシーケンスにおける脂肪抑制部分(二項式パルス照射部分)での水の磁化と脂肪の磁化(核スピンの巨視的磁化)の振る舞いを模式的に示した図であり、(a)はz’軸に平行な平面から見た図、(b)はx’y’平面図である。ここでは、説明を簡単にするために二項式パルスとして[1・−1]パルスを用いている。
【0007】
まず図6に示すように所定の周波数の45゜パルスを照射すると、水と脂肪の磁化は共に静磁場方向に対し45゜傾く(図7の状態(1)→(2))。これら磁化は、その化学シフトの差によって位相差を生じ、所定の時間τが経過したときに脂肪の磁化の位相は水の磁化に対し反転する(同図(3))。この時点で−45゜パルスを照射すると、水の磁化は元に戻るのに対し脂肪の磁化は更に45゜傾き、結果として元の位置から90゜傾くことになる(同図(4))。この状態で通常行なわれる撮像シーケンス(信号計測部)を実行しMRI画像を作成すると、脂肪からは信号が発生せず、脂肪信号の抑制された画像となる。ここでは撮像シーケンスとしてMRIにおける代表的なシーケンスであるスピンエコー法を示しているが他の撮像シーケンスを用いても当然のことながらかまわなぃ。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところでこのような、二項式パルスを照射する際に奇数番目のパルスと偶数番目のパルスとの間の時間τは、水の磁化の位相と脂肪の磁化の位相とを180°反転させるのに必要な最短時間であって、次式(1)により表わすことができる。
【0009】
【数4】
Figure 0003619317
ここで、δは水と脂肪の化学シフト差をHz単位で表わしたものである。この化学シフト差δは、静磁場強度に依存し、静磁場強度の大きい装置では化学シフト差δも大きいが、低磁場装置では化学シフト差δが小さい。このことは、上述した2項式パルスを用いた脂肪抑制シーケンスにおいてパルス間時間τを大きくしなければならないことを意味する。
【0010】
一方、スピンの磁化は次式(2)で表されるように時間の経過とともに縦(T1)緩和(縦磁化成分の回復)を生じる。
【0011】
【数5】
Figure 0003619317
このように縦緩和は時定数Tに特徴付けられ、時間tの関数として表わすことができる。図7ではこのようなT緩和を無視して脂肪抑制を説明したが、上述のように静磁場強度の低い装置ではパルス間の時間τが大きくなるため、このτ間に生じるT緩和を無視することはできない。即ち、実際には図8に示すように2つの二項パルスの時間間隔τに生じるT緩和により、2番目のパルス照射時(図8(a)の(3))に磁化は45°より縦磁化成分が回復した位置にある。この状態で2番目のパルスを照射すると(同図(4))、脂肪の縦磁化はゼロにはならないため、完全に脂肪抑制効果を得ることができなくなる。
【0012】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、脂肪抑制シーケンスを含んだMRI方法において、低磁場装置であっても縦緩和による画像の劣化がなく、効果的に脂肪からの信号が抑制された画像を得ることができるMRI方法及び装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明のMRI方法は、極性の反転する複数の高周波パルスから成る二項式パルスを用いて、化学シフト差のある原子核スピンの一方を選択励起して当該原子核スピンを含む組織からのNMR信号を抑制するステップを含むMRIにおいて、二項式パルスは複数の高周波パルスのパルス間における核スピン縦緩和を補償するパルス強度に設定されている。
【0014】
また本発明のMRI装置は、被検体の配置される空間に静磁場及び傾斜磁場を発生する磁場発生手段と、被検体の目的部位の核スピンを励起する高周波磁場を照射する高周波磁場発生手段と、目的部位から発生するNMR信号を検出する検出手段と、NMR信号を信号処理して画像化し表示する手段と、磁場発生手段、高周波磁場発生手段及び検出手段を所定のパルスシーケンスで駆動するシーケンサとを含むMRI装置において、シーケンサが実行するパルスシーケンスは、極性の反転する複数の高周波パルスから成る二項式パルスを用いて、化学シフト差のある原子核スピンの一方を選択励起して当該核スピンを含む組織からのNMR信号を抑制するステップと、ステップの後に実行される撮像のためシーケンスとを含み、抑制ステップに用いられる二項式パルスは複数の高周波パルスのパルス間における核スピン縦緩和を補償するパルス強度に設定されているものである。
【0015】
尚、ここでパルス強度とは、静磁場方向に向いた磁化を傾ける角度(フリップ角)と同義である。
【0016】
【作用】
二項式パルスの強度を、化学シフト差のある核スピン位相が反転するまでの時間間隔τに生じるT緩和を補償するような所望の強度(角度)に設定しておくことにより、二項式パルスの照射終了時に一方の核スピンを正確に横磁化とすることができ、それに続く撮像シーケンスにおいて、その核スピンを含む組織からの信号を抑制することができる。従って、より正確に脂肪のみを半選択的に励起することができるため、効果の高い脂肪肪抑制画像が得られる。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図3は本発明によるMRI方法が適用されるMRI装置の全体構成を示すブロック図である。このMRI装置は、NMR現象を利用して被検体の断層像を得るもので、同図に示すように、静磁場発生磁気回路1と、傾斜磁場発生系2と、送信系3と、受信系4と、信号処理系5と、シーケンサ6と、中央処理装置(CPU)7と、操作部8とを備えて成る。
【0019】
上記静磁場発生磁気回路1は、被検体9の周りにその体軸方向または体軸と直交する方向に均一な静磁場を発生させるもので、上記被検体9の周りのある広がりをもった空間に永久磁石方式又は常電導方式あるいは超電導方式の磁場発生手段が配置されている。傾斜磁場発生系2は、X、Y、Zの三軸方向に巻かれた傾斜磁場コイル10と、それぞれのコイルを駆動する傾斜磁場電源11とから成り、後述のシーケンサ6から命令にしたがってそれぞれのコイルの傾斜磁場電源11を駆動することにより、X、Y、Zの三軸方向の傾斜磁場Gs、Gp、Gfを被検体9に印加するようになっている。この傾斜磁場の加え方により、被検体9に対するスライス面を設定することができ、またNMR信号に位置情報を付加することができる。
【0020】
送信系3は、後述のシーケンサ6から送出される高周波磁場パルスにより被検体9の生体組織を構成する原子の原子核に核磁気共鳴を起こさせるために高周波信号を照射するもので、高周波発振器12と変調器13と高周波増幅器14と送信側の高周波コイル15とから成り、上記高周波発振器12から出力された高周波パルスを高周波増幅器14で増幅した後に被検体9に近接して配置された受信側の高周波コイル16に供給することにより、電磁波が上記被検体9に照射されるようになっている。ここで高周波磁場パルスの周波数は、静磁場強度と原子核種で決まる核スピンの共鳴周波数に設定されている。対象原子核としてはプロトンが一般的である。
【0021】
受信系4は、被検体9の生体組織の原子核の核磁気共鳴により放出されるエコー信号(NMR信号)を検出するもので、受信側の高周波コイル16と増幅器17と直交位相検波器18とA/D変換器19とから成り、上記送信側の高周波コイル15から照射された電磁波による被検体9の応答の電磁波(NMR信号)は被検体9に近接して配置された受信側の高周波コイル16で検出され、増幅器17及び直交位相検波器18を介してA/D変換器19に入力してディジタル量に変換され、さらにシーケンサ6からの命令によるタイミングで直交位相検波器18によりサンプリングされた二系列の収集データとされ、その信号が信号処理系5に送られるようになっている。
【0022】
この信号処理系5は、上記受信系4で検出したエコー信号を用いて画像再構成演算を行うと共に画像表示をするもので、上記エコー信号についてフーリエ変換、補正係数計算、画像再構成等の処理及び後述シーケンサ6の制御を行うCPU7と、経時的な画像解析処理及び計測を行うプログラムやその実行において用いる不変のパラメータなどを記憶するROM(読み出し専用メモリ)20と、計測で得た計測パラメータや上記受信系4で検出したエコー信号、及び関心領域設定に用いる画像を一時保管すると共にその関心領域を設定するためのパラメータなどを記憶するRAM(随時書き込み読み出しメモリ)21と、上記CPU7で再構成された画像データを記録するデータ格納部となる光磁気ディスク22及び磁気ディスク23と、これらの光磁気ディスク22又は磁気ディスク23から読み出した画像データを映像化して断層像として表示する表示部となるディスプレイ24とから成る。
【0023】
シーケンサ6は、上記被検体9の生体組織を構成する原子の原子核に核磁気共鳴を起こさせる高周波磁場パルスをある所定のパルスシーケンスで繰り返し印加する制御手段となるもので、CPU7の制御で動作し、被検体9の断層像のデータ収集に必要な種々の命令を送信系3及び傾斜磁場発生系2並びに受信系4に送るようになっている。また、操作部8は、上記信号処理系5で行う処理の制御情報を入力するもので、トラックボール25及びキーボード26から成る。
【0024】
図1は、シーケンサ6に組み込まれているパルスシーケンスの一実施例を示す模式図であり、このパルスシーケンスは、脂肪からの信号を抑制するためのシーケンス部分(脂肪抑制部)と撮像シーケンス部分(信号計測部)とから成る。脂肪抑制部は、プリパルスである2項式パルスからなり、ここでは説明を簡単にするために[1・−1]パルスを用いている。2項式パルスとしては、この他[1・−2・1]パルス、[1・−3・3・−1]パルス等その他の2項式パルスを用いてもよい。またこのプリパルスに続く信号計測部では、90°パルスと180°パルスとの照射により1つのエコー信号を計測するスピンエコー法を用いている。尚、本発明のMRI方法はプリパルスの与え方に特徴を有するものであり、信号計測部にどのようなタイプのパルスシーケンスを用いても一向に差し支えない。
【0025】
[1・−1]パルスは、一般には+45°パルス(第1パルス)と、これと間隔τを置いて照射される−45°パルス(第2パルス)とからなり、間隔τは、脂肪の磁化の位相が水の磁化の位相に対し反転するのに必要な時間である。また、本発明においては第1パルスは間隔τにおける磁化の縦緩和を補償する強度(フリップ角:(45+α)°)に設定されている。αの求め方については後述する。
【0026】
次に、このようなパルスシーケンスにおける磁化の振る舞いを図2を参照して説明する。尚、図2は回転座標系(x’、y’、z’)における磁化の振る舞いを示したもので静磁場方向をz’軸とし、(a)はz’軸に平行な平面から見た図、(b)はx’y’平面図を示している。
【0027】
まず第1パルス照射前の状態(1)では水の磁化及び脂肪の磁化は共にz’軸上にある。ここでフリップ角(45+α)°の第1パルスを照射すると(2)、水の磁化及び脂肪の磁化はz軸から(45+α)°傾けられる。その後、水の磁化及び脂肪の磁化はそれぞれ回転の位相が変化し、時間τの間に水の位相と脂肪の位相が反転する。これにより脂肪の磁化はx’y’平面上、水の磁化に対して符号が反転する。またT緩和による縦磁化の回復(α°回復する)によりz軸から45°傾くことになる(3)。最後に第2パルス(−45°パルス)を照射するにより水の磁化はZ軸に戻り、脂肪の磁化はx’y’平面上に倒されることになる。
【0028】
次にαの求め方を説明する。αは、第1のパルス照射からτ時間後(第2パルス照射直前)に磁化が45°に回復しているように設定されるのであるから、磁化が45°に回復する時刻tよりもτ時間遡った時刻Tにおける磁化の挙動が分ればそれから求めることができる。
【0029】
まず一般に縦磁化成分(Mz’)と磁化(M)の関係は次式(3)で表わされる。
【0030】
【数6】
Figure 0003619317
ここでθは巨視的磁化のz軸に対する傾きを表す。
また磁化の縦緩和Tは、次式(4)で表され、
【0031】
【数7】
Figure 0003619317
ここでTは組織による時定数であり、縦磁化成分Mz’が0である時刻を0として時間t経過後に縦磁化が左辺の大きさに回復することを示す。従って、式(4)よりθ=45°である時刻tを求めることができる。
【0032】
次に、時刻tから時間τさかのぼった時刻をTとおくと、この時刻Tにおける縦磁化成分Mz’Tは、式(3)及び(4)から次式で示される。
【0033】
【数8】
Figure 0003619317
この式(5)における左辺Mz’Tは、式(3)より
【0034】
【数9】
Figure 0003619317
であるから、
【0035】
【数10】
Figure 0003619317
となり、第1のパルスのフリップ角を得ることができる。
【0036】
以上説明したように、図1に示すパルスシーケンスでは、2項式パルスの最後のパルス(第2のパルス)を照射する直前で、縦緩和が補償されているので、第2パルスを照射することにより脂肪の磁化を正確に縦磁化が0磁化とすることができる。従って、その後の撮像シーケンスにおいて、脂肪からの信号を抑制したエコー信号を計測することができる。そして図示するスピンエコー法による計測の場合には、プリパルスの照射と撮像シーケンスとを1枚の画像を得るために所定回数繰り返してエコー信号を計測することにより、脂肪抑制画像を得ることができる。
【0037】
既に述べたように撮像シーケンスとしては、図示するスピンエコー法のほか、高速スピンエコー法、GE(グラジエントエコー)法、EPI(エコープラナーイメージング)法等任意のシーケンスを採用することができる。この際、EPI法のように1回の励起で1枚の画像を得るシーケンスでは上述した2項式パルスを用いた脂肪抑制シーケンスを1回の励起の直前に行えばよく、また分割EPIやGE法のようにパルスシーケンスの繰り返しを含むイメージング方法では、繰り返し毎に上述した2項式パルスを用いた脂肪抑制シーケンスを追加する。
【0038】
次に、本発明の他の実施例として[1・−2・1]パルスを用いた実施例を説明する。図4及び図5はそれぞれ本実施例によるパルスシーケンス及び磁化の挙動を示す図であるが、ここでも説明を簡単にするために撮像シーケンスとしてスピンエコー法が示されているが、この撮像シーケンスを任意のシーケンスとすることができるのは、前述の実施例と同様である。
【0039】
このパルスシーケンスでは、水の磁化及び脂肪の磁化が共にz’軸上にある状態(1)で、第1のパルスとして(22.5+α)°パルスを照射する。これにより水の磁化及び脂肪の磁化をそれぞれz’軸から(22.5+α)°傾けられる(状態2)。このαは、次のτ時間の間に縦磁化が回復する角度に対応するように決定されている。次に第1のパルス照射から時間τ経過した状態(3)では、水の磁化の位相と脂肪の磁化の位相が反転するため脂肪の磁化はx’y’平面上、水の磁化に対して符号が回転する。また時間τのT緩和による縦磁化の回復により、z’軸から22.5傾くことになる。この状態で、第2のパルスとして−(45+α)°パルスを照射する(状態4)。これにより水の磁化はz’軸から−(22.5+α)°傾いた状態となり、一方脂肪の磁化はz’軸から−(67.5+α)°傾いた状態となる。
【0040】
この第2のパルス照射から更に時間τ経過した状態(5)では、水の磁化の位相と脂肪の磁化の位相が反転するため脂肪の磁化はx’y’平面上、水の磁化に対して符号が回転するとともに、時間τのT緩和による縦磁化の回復により、水の磁化はz’軸から−22.5°、脂肪の磁化はz’軸から67.5°傾くことになる。最後に第3のパルスとして22.5°パルスを照射すると、水の磁化はz’軸に戻り、脂肪の磁化はz’軸に対し90°倒れ、x’y’平面上にある、即ち0磁化となる。
【0041】
この場合にも、第1及び第2のパルスにおいて縦磁化を補償するために設定されるフリップ角(α)は、磁化が所望の角度A倒れた状態の時刻をtとして、時刻tより時間τ遡った時刻Tにおける磁化Mz’Tを求めることにより、得ることができる。
【0042】
即ち、図示する実施例において第1のパルス照射から角度A(=22.5°)に縦磁化が回復する時刻をtとすると、その縦緩和は
【0043】
【数11】
Figure 0003619317
で求められ、この式(6)から時刻tを求めることができる。また時刻tからτ遡った時刻における縦磁化Mz’Tは、式(5)と同様
【0044】
【数12】
Figure 0003619317
で表され、左辺Mz’Tは、式(3)より
【0045】
【数13】
Figure 0003619317
であるから、
【0046】
【数14】
Figure 0003619317
となり、第1のパルスのフリップ角を得ることができる。第2のパルスについても、この角度Aを45°で置換することにより、第2のパルスのフリップ角を求めることができるが、近似的にαは同じ値として差し支えない。
【0047】
以上のように2項式パルスとして、どのようなパルスを用いた場合でも、そのパルス強度(フリップ角)は、τとTが決まっていれば求めることができ、水及び脂肪の磁化についてのT値は計測された値が知られており、またτについてはMRI装置の静磁場強度によって式(1)より化学シフトδから求められるので、図3のMRI装置において操作部8で計測条件を設定する際に、脂肪抑制シーケンスを設定することにより、シーケンサ6を介して送信系3における変調器13及び高周波増幅器14の設定を決めることができる。
【0048】
また[1・−2・1]パルスより高次の2項式パルスを用いる場合においても、最後のパルスを除くパルスについて、上述したのと同様に、そのパルス照射で達成しようとする所望の角度Aについて、縦緩和を補償するフリップ角度(A+α)を求めることができ、同様の効果を得ることができる。尚、二項式パルスの項数が高次なものになるほどT緩和による誤差が蓄積されるため、本発明の方法を適用する効果は高いものとなる。
【0049】
【発明の効果】
本発明は以上のように撮像シーケンスに先立つプリパルスの照射方法を工夫することにより、化学シフト差のある核スピンの一方からの信号を効果的に抑制することができ、特に組織の画像において診断の妨げとなる脂肪からの信号を抑制することができる。従ってより診断上価値の高い脂肪抑制画像を作成できるMRI装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のMRI方法によるパルスシーケンスの1実施例を示す模式図
【図2】図1のパルスシーケンスにおける水の磁化と脂肪の磁化の振る舞いを示す模式図
【図3】本発明が適用されるMRI装置の全体構成を示すブロック図
【図4】本発明によるパルスシーケンスの他の実施例を示す模式図
【図5】図4のパルスシーケンスにおける水の磁化と脂肪の磁化の振る舞いを示す模式図
【図6】従来のMRI方法によるパルスシーケンスを示す模式図
【図7】脂肪抑制シーケンスの原理を説明する模式図
【図8】従来法による脂肪抑制シーケンスにおける水の磁化と脂肪の磁化の振る舞いを示す模式図
【符号の説明】
1・・・・・・静磁場発生磁気回路
2・・・・・・傾斜磁場発生系
3・・・・・・送信系(高周波磁場発生手段)
4・・・・・・受信系(検出手段)
5・・・・・・信号処理系
6・・・・・・シーケンサ
7・・・・・・CPU
9・・・・・・被検体
15・・・・・・高周波照射コイル(高周波磁場発生手段)
16・・・・・・高周波受信コイル(検出手段)

Claims (1)

  1. 被検体の配置される空間に静磁場及び傾斜磁場を発生する磁場発生手段と、前記被検体の目的部位の核スピンを励起する高周波磁場を照射する高周波磁場発生手段と、前記目的部位から発生する核磁気共鳴信号を検出する検出手段と、前記核磁気共鳴信号を信号処理して画像化し表示する手段と、前記磁場発生手段、前記高周波磁場発生手段及び前記検出手段を所定のパルスシーケンスで駆動するシーケンサとを含む磁気共鳴イメージング装置において、
    前記シーケンサが実行するパルスシーケンスは、極性の反転する複数の高周波パルスから成る二項式パルスを用いて、化学シフト差のある原子核スピンの一方を選択励起して当該原子核スピンを含む組織からの核磁気共鳴信号を抑制するステップと、前記ステップの後に実行される撮像のためシーケンスとを含み、前記抑制ステップに用いられる二項式パルスは前記複数の高周波パルスのパルス間における前記原子核スピンの縦緩和を補償するパルス強度に設定されていることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
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