JP3618808B2 - カラー受像管 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、カラー受像管に係り、特に平坦なフェースプレートに加わる大気圧荷重を支える支持手段を備えるカラー受像管に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にカラー受像管は、実質的に矩形状の曲面からなるパネルおよびこのパネルに一体に接合された漏斗状のファンネルからなる真空外囲器を有する。そのパネルの内面には、青、緑、赤に発光する3色蛍光体層およびこの3色蛍光体層の隙間を埋込むように光吸収層が形成され、さらにこれら3色蛍光体層および光吸収層の背面にアルミニウム蒸着膜からなる導電膜が形成された蛍光体スクリーンが設けられている。またこの蛍光体スクリーンに対向して、その内側にシャドウマスクが配置されている。一方、ファンネルのネック内に3電子ビームを放出する電子銃が配設されている。そして、この電子銃から放出される3電子ビームをファンネルの外側に装着された偏向装置の発生する磁界により偏向して、蛍光体スクリーンを水平、垂直走査することによりカラー画像を表示する構造に形成されている。ブラックストライプ型カラー受像管では、その蛍光体スクリーンの3色蛍光体層および光吸収層は、それぞれストライプ状に形成されている。
【0003】
このようなカラー受像管において、特にパネルを平坦なフェースプレートで構成されたカラー受像管が特開平5−36363号公報に示されている。このカラー受像管は、平坦なフェースプレート、このフェースプレートの周辺部に接合された側壁を介して、フェースプレートとほぼ平行に対向するリアプレートおよびこのリアプレートに接合されたコーン部からなる真空外囲器を有し、そのフェースプレートとリアプレートとの間に平坦なフェースプレートに加わる大気圧荷重を支える複数の支持手段が配置されている。その各支持手段は、フェースプレート側端部が楔状をなす円柱状に形成され、その楔状の先端部がフェースプレート内面に形成された蛍光体スクリーンのストライプ状光吸収層上に位置するものとなっている。
【0004】
ところで、このカラー受像管には、つぎの問題がある。すなわち、真空外囲器内に円柱状の支持手段を配置してフェースプレートに加わる大気圧荷重を支えるためには、その支持手段は、当然フェースプレートやリアプレートに直接または間接的に接触していなければならない。この支持手段の接触は、リアプレート側については、特に問題はないが、フェースプレート側については、フェースプレート内面に形成された蛍光体スクリーンの背面のアルミニウム蒸着膜からなる導電膜と接触することになる。この場合、そのアルミニウム蒸着膜は脆弱であるため、このアルミニウム蒸着膜に支持手段の楔状の先端部が接触すると損傷し、この損傷部分を起点として広範囲のアルミニウム蒸着膜が剥離し、蛍光体スクリーンの背面にアルミニウム蒸着膜のない部分ができる。
【0005】
このようにアルミニウム蒸着膜のない部分ができると、このアルミニウム蒸着膜のない部分では、カラー受像管の動作時、電子ビームの衝突により蛍光体層が帯電し、電子ビームが蛍光体層を正しくランディングしなくなる。またアルミニウム蒸着膜の剥離した部分では、アルミニウム蒸着膜からの反射光がなくなるため、アルミニウム蒸着膜の被着している部分にくらべて輝度が低下し、良好な画像を表示しなくなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、フェースプレートを平坦にし、このフェースプレートの周辺部に接合された側壁を介してほぼ平行に対向するリアプレート、このリアプレートに接合されたコーン部からなる真空外囲器を有し、そのフェースプレートとリアプレートとの間にフェースプレートに加わる大気圧荷重を支える複数の支持手段が配置されたカラー受像管が提案されている。その各支持手段は、フェースプレート側端部が楔状をなす円柱状に形成され、その楔状の先端部がフェースプレート内面に形成された蛍光体スクリーンのストライプ状光吸収層上に位置する。
【0007】
しかしこのようなカラー受像管では、特に支持手段のフェースプレート側端部の楔状の先端部が蛍光体スクリーンの背面のアルミニウム蒸着膜からなる導電膜と接触し、脆弱なアルミニウム蒸着膜を損傷する。その結果、この損傷部分を起点として広範囲のアルミニウム蒸着膜が剥離し、蛍光体スクリーンの背面にアルミニウム蒸着膜のない部分ができる。このようにアルミニウム蒸着膜のない部分ができると、このアルミニウム蒸着膜のない部分では、カラー受像管の動作時、電子ビームの衝突により蛍光体層が帯電し、電子ビームが蛍光体層を正しくランディングしなくなる。またアルミニウム蒸着膜のない部分では、アルミニウム蒸着膜からの反射光がなくなるため、アルミニウム蒸着膜の被着している部分にくらべて輝度が低下し、良好な画像を表示しなくなるなどの問題が生ずる。
【0008】
この発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、フェースプレートが平坦な真空外囲器を有し、この真空外囲器の内側にフェースプレートに加わる大気圧荷重を支える支持手段が配置されるカラー受像管において、フェースプレート内面に設けられた蛍光体スクリーンの背面の導電膜に対する支持手段の接触による損傷をなくし、良好な画像を表示する構造にすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
実質的に矩形状の平坦なフェースプレートおよびこのフェースプレートとほぼ平行に対向するリアプレートを有する真空外囲器と、フェースプレートの内面に規則的に配列形成された複数色の蛍光体層および蛍光体層間に形成された光吸収層を有し、蛍光体層および光吸収層の背面は同一平面であり、背面に導電膜が蒸着により形成された蛍光体スクリーンと、フェースプレートとリアプレートとの間に配置され、フェースプレートに加わる大気圧荷重を支える支持手段とを備えるカラー受像管において、蛍光体スクリーンの導電膜を、少なくとも上記支持手段のフェースプレート側端部近傍に形成しないかまたは他の部分にくらべて薄い膜厚に形成した。
【0010】
【作用】
上記のように、蛍光体スクリーンの導電膜を、少なくとも支持手段のフェースプレート側端部近傍に形成しないようにすると、蛍光体スクリーンの背面の導電膜に対する支持手段の蛍光体スクリーン側端部の接触による損傷をなくすことができる。また他の部分にくらべ膜厚を薄くした場合は、支持手段の蛍光体スクリーン側端部と接触しても、損傷による導電膜の剥離が防止され、蛍光体スクリーン上に表示される画像に影響を与えないようにすることができる。
【0011】
【実施例】
以下、図面を参照してこの発明を実施例に基づいて説明する。
【0012】
図1および図2にその一実施例であるカラー受像管を、また図3および図4にその要部構成を示す。このカラー受像管は、実質的に矩形状の平坦なフェースプレート1と、このフェースプレート1の周辺部に接合された側壁2と、この側壁2に接合され、上記フェースプレート1とほぼ平行に対向する実質的に矩形状の平坦なリアプレート3と、このリアプレート3に設けられた複数個の開孔4を各別に取囲むようにリアプレート3に接合された複数個のコーン部5とからなる真空外囲器6を有する。図示例では、リアプレート3の水平方向(x軸方向)に5個、垂直方向(y軸方向)に4個、計20個の開孔4が設けられ、これら開孔4を各別に取囲むように20個のコーン部5が設けられている。
【0013】
そして上記フェースプレート1の内面には、青、緑、赤に発光する垂直方向に細長いストライプ状の3色蛍光体層B,G,Rが水平方向に所定の配列で、図2、図4に図示の如く、平坦で規則的に配列され、これら3色蛍光体層B,G,Rの隙間を埋込むように垂直方向に細長いストライプ状の光吸収層8が3色蛍光体層B,G,Rと同じ平坦面を構成するように形成され、かつこれら平坦面となされた3色蛍光体層B,G,Rおよび光吸収層8の背面に後述するアルミニウム蒸着膜からなる導電膜9が形成された蛍光体スクリーン10が設けられている(図4参照)。またこの蛍光体スクリーン10と対向かつ所定間隔離れてシャドウマスク11が配置されている。このシャドウマスク11は、リアプレート3に固定された複数個のマスク架設手段12に支持されている。さらにリアプレート3に接合された複数個のコーン部5の各ネック13内に電子銃14が封止されている。さらにまたフェースプレート1とリアプレート3との間には、これら平坦なフェースプレート1およびリアプレート3に加わる大気圧荷重を支える複数個の支持手段15が配置されている。この支持手段15は、フェースプレート1側端部が楔状をなす円柱状に形成され、直接または間接的にリアプレート3に固定され、そのフェースプレート1側端部の楔状の先端部が蛍光体スクリーン10の後述する走査領域の境界部に位置する光吸収層8を介して、フェースプレート1の内面に接触している。
【0014】
特にこの例のカラー受像管においては、蛍光体スクリーン10の背面の導電膜9に対して支持手段15のフェースプレート1側端部の接触を避けるため、図3に示したように、導電膜9は、上記支持手段15のフェースプレート1側端部の楔状の先端部近傍を避けて形成され、その楔状先端部の接触する光吸収層8上の一定領域16には形成されていない。なお、図3に示した破線17は、導電膜9で覆われた3色蛍光体層および光吸収層を示したものである。
【0015】
このような導電膜9は、フェースプレート1の内面に光吸収層8および3色蛍光体層B,G,Rを形成したのち、導電膜9を形成しない領域16を遮蔽してアルミニウムを蒸着することにより形成することができる。
【0016】
このカラー受像管では、複数個のコーン部5の各ネック13内に配設された複数個の電子銃14から放出される電子ビームを各コーン部5の外側に各別に装着された偏向装置19の発生する水平、垂直磁界により偏向して、蛍光体スクリーン10を複数個の領域、図示例では水平方向に5個、垂直方向に4個、計20個の領域R1 〜R20に分割して走査する。この分割走査により蛍光体スクリーン10上に描かれるラスターは、各電子銃14および各偏向装置19に供給される信号により繋がり、蛍光体スクリーン10上には、切れ目や重なり合いのない連続した1つのラスターを描くことができるものとなっている。
【0017】
ところで、上記のように蛍光体スクリーン10の背面の導電膜9を、支持手段15のフェースプレート1側端部の楔状の先端部近傍の光吸収層8上の一定領域16に形成されないようにすると、導電膜9に対する支持手段15のフェースプレート1側端部の接触を避けることができ、従来支持手段のフェースプレート側端部の楔状の先端部分が蛍光体スクリーンの背面の導電膜と接触して損傷し、その損傷部分を起点として広範囲のアルミニウム蒸着膜が剥離し、蛍光体スクリーンの背面にアルミニウム蒸着膜のない部分ができるために生じたカラー受像管の動作時の蛍光体層の帯電によるランディングミスや、輝度低下をなくし、良好な画像を表示するカラー受像管とすることができる。
【0018】
なお、上記実施例では、平坦なフェースプレートに加わる大気圧荷重を支える支持手段のフェースプレート側端部の楔状の先端部近傍の光吸収層上の背面に導電膜を形成しない構造としたが、この導電膜は、図5に示すように、支持手段15のフェースプレート1側端部の楔状の先端部が接触する光吸収層8全体の背面に形成しない構造としてもよい。すなわち、光吸収層8は、蛍光体層の発光とは直接関係ないので、このように光吸収層8全体の背面に導電膜9を形成しない構造としてもよく、またこのように形成することにより、支持手段15が光吸収層8の長手方向に対する位置の自由度が増し、カラー受像管の組立てが容易となる。
【0019】
また、上記実施例では、支持手段のフェースプレート側端部の楔状の先端部が接触する光吸収層上に導電膜のない部分を形成したが、この導電膜のない部分は、蛍光体層上にかかっても、狭い範囲であれば、画像の表示にほとんど影響を与えることはない。
【0020】
さらに、上記実施例では、支持手段のフェースプレート側端部の楔状の先端部が接触する光吸収層上に導電膜を形成しない構造としたが、この支持手段のフェースプレート側端部の楔状の先端部近傍の光吸収層の背面あるいは楔状の先端部が接触する光吸収層全体の背面に、蛍光体スクリーン背面の他の部分にくらべて膜厚の薄い導電膜を形成してもよい。このような導電膜は、フェースプレートの内面に形成された3色蛍光体層と光吸収層の背面にアルミニウムを蒸着するとき、その膜厚の薄い導電膜を形成する部分を所定時間遮蔽することにより形成することができる。
【0021】
このように支持手段のフェースプレート側端部の楔状の先端部と接触する部分の導電膜を薄くすると、この導電膜に支持手段のフェースプレート側端部の楔状の先端部が接触しても、導電膜は、破損せず、前記実施例と同様に良好な画像を表示するカラー受像管とすることができる。
【0022】
【発明の効果】
実質的に矩形状の平坦なフェースプレートおよびこのフェースプレートとほぼ平行に対向するリアプレートを有する真空外囲器と、フェースプレートの内面に規則的に配列形成された複数色の蛍光体層およびこの蛍光体層間に形成された光吸収層を有し、蛍光体層および光吸収層の背面は同一平面であり、背面に導電膜が蒸着により形成された蛍光体スクリーンと、フェースプレートとリアプレートとの間に配置され、フェースプレートに加わる大気圧荷重を支える支持手段とを備えるカラー受像管において、蛍光体スクリーンの導電膜を、少なくとも支持手段のフェースプレート側端部近傍には形成しないかまたは他の部分にくらべ薄い膜厚に形成すると、この蛍光体スクリーンの導電膜に対する支持手段の蛍光体スクリーン側端部の接触による導電膜の剥離を防止することが可能となるので、導電膜の損傷をなくし、蛍光体スクリーン上に表示される画像に影響を与えないようにすることができ、良好な画像を表示するカラー受像管とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例であるカラー受像管の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示したカラー受像管のII−II線断面図である。
【図3】上記カラー受像管の蛍光体スクリーンの背面の導電膜の形状を示す図である。
【図4】同じく蛍光体スクリーンの背面の導電膜を示す断面図である。
【図5】蛍光体スクリーンの背面の導電膜の異なる形状を示す図である。
【符号の説明】
1…フェースプレート
2…側壁
3…リアプレート
5…コーン部
6…真空外囲器
8…光吸収層
9…導電膜
10…蛍光体スクリーン
15…支持手段
B,G,R…3色蛍光体層
【産業上の利用分野】
この発明は、カラー受像管に係り、特に平坦なフェースプレートに加わる大気圧荷重を支える支持手段を備えるカラー受像管に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にカラー受像管は、実質的に矩形状の曲面からなるパネルおよびこのパネルに一体に接合された漏斗状のファンネルからなる真空外囲器を有する。そのパネルの内面には、青、緑、赤に発光する3色蛍光体層およびこの3色蛍光体層の隙間を埋込むように光吸収層が形成され、さらにこれら3色蛍光体層および光吸収層の背面にアルミニウム蒸着膜からなる導電膜が形成された蛍光体スクリーンが設けられている。またこの蛍光体スクリーンに対向して、その内側にシャドウマスクが配置されている。一方、ファンネルのネック内に3電子ビームを放出する電子銃が配設されている。そして、この電子銃から放出される3電子ビームをファンネルの外側に装着された偏向装置の発生する磁界により偏向して、蛍光体スクリーンを水平、垂直走査することによりカラー画像を表示する構造に形成されている。ブラックストライプ型カラー受像管では、その蛍光体スクリーンの3色蛍光体層および光吸収層は、それぞれストライプ状に形成されている。
【0003】
このようなカラー受像管において、特にパネルを平坦なフェースプレートで構成されたカラー受像管が特開平5−36363号公報に示されている。このカラー受像管は、平坦なフェースプレート、このフェースプレートの周辺部に接合された側壁を介して、フェースプレートとほぼ平行に対向するリアプレートおよびこのリアプレートに接合されたコーン部からなる真空外囲器を有し、そのフェースプレートとリアプレートとの間に平坦なフェースプレートに加わる大気圧荷重を支える複数の支持手段が配置されている。その各支持手段は、フェースプレート側端部が楔状をなす円柱状に形成され、その楔状の先端部がフェースプレート内面に形成された蛍光体スクリーンのストライプ状光吸収層上に位置するものとなっている。
【0004】
ところで、このカラー受像管には、つぎの問題がある。すなわち、真空外囲器内に円柱状の支持手段を配置してフェースプレートに加わる大気圧荷重を支えるためには、その支持手段は、当然フェースプレートやリアプレートに直接または間接的に接触していなければならない。この支持手段の接触は、リアプレート側については、特に問題はないが、フェースプレート側については、フェースプレート内面に形成された蛍光体スクリーンの背面のアルミニウム蒸着膜からなる導電膜と接触することになる。この場合、そのアルミニウム蒸着膜は脆弱であるため、このアルミニウム蒸着膜に支持手段の楔状の先端部が接触すると損傷し、この損傷部分を起点として広範囲のアルミニウム蒸着膜が剥離し、蛍光体スクリーンの背面にアルミニウム蒸着膜のない部分ができる。
【0005】
このようにアルミニウム蒸着膜のない部分ができると、このアルミニウム蒸着膜のない部分では、カラー受像管の動作時、電子ビームの衝突により蛍光体層が帯電し、電子ビームが蛍光体層を正しくランディングしなくなる。またアルミニウム蒸着膜の剥離した部分では、アルミニウム蒸着膜からの反射光がなくなるため、アルミニウム蒸着膜の被着している部分にくらべて輝度が低下し、良好な画像を表示しなくなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、フェースプレートを平坦にし、このフェースプレートの周辺部に接合された側壁を介してほぼ平行に対向するリアプレート、このリアプレートに接合されたコーン部からなる真空外囲器を有し、そのフェースプレートとリアプレートとの間にフェースプレートに加わる大気圧荷重を支える複数の支持手段が配置されたカラー受像管が提案されている。その各支持手段は、フェースプレート側端部が楔状をなす円柱状に形成され、その楔状の先端部がフェースプレート内面に形成された蛍光体スクリーンのストライプ状光吸収層上に位置する。
【0007】
しかしこのようなカラー受像管では、特に支持手段のフェースプレート側端部の楔状の先端部が蛍光体スクリーンの背面のアルミニウム蒸着膜からなる導電膜と接触し、脆弱なアルミニウム蒸着膜を損傷する。その結果、この損傷部分を起点として広範囲のアルミニウム蒸着膜が剥離し、蛍光体スクリーンの背面にアルミニウム蒸着膜のない部分ができる。このようにアルミニウム蒸着膜のない部分ができると、このアルミニウム蒸着膜のない部分では、カラー受像管の動作時、電子ビームの衝突により蛍光体層が帯電し、電子ビームが蛍光体層を正しくランディングしなくなる。またアルミニウム蒸着膜のない部分では、アルミニウム蒸着膜からの反射光がなくなるため、アルミニウム蒸着膜の被着している部分にくらべて輝度が低下し、良好な画像を表示しなくなるなどの問題が生ずる。
【0008】
この発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、フェースプレートが平坦な真空外囲器を有し、この真空外囲器の内側にフェースプレートに加わる大気圧荷重を支える支持手段が配置されるカラー受像管において、フェースプレート内面に設けられた蛍光体スクリーンの背面の導電膜に対する支持手段の接触による損傷をなくし、良好な画像を表示する構造にすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
実質的に矩形状の平坦なフェースプレートおよびこのフェースプレートとほぼ平行に対向するリアプレートを有する真空外囲器と、フェースプレートの内面に規則的に配列形成された複数色の蛍光体層および蛍光体層間に形成された光吸収層を有し、蛍光体層および光吸収層の背面は同一平面であり、背面に導電膜が蒸着により形成された蛍光体スクリーンと、フェースプレートとリアプレートとの間に配置され、フェースプレートに加わる大気圧荷重を支える支持手段とを備えるカラー受像管において、蛍光体スクリーンの導電膜を、少なくとも上記支持手段のフェースプレート側端部近傍に形成しないかまたは他の部分にくらべて薄い膜厚に形成した。
【0010】
【作用】
上記のように、蛍光体スクリーンの導電膜を、少なくとも支持手段のフェースプレート側端部近傍に形成しないようにすると、蛍光体スクリーンの背面の導電膜に対する支持手段の蛍光体スクリーン側端部の接触による損傷をなくすことができる。また他の部分にくらべ膜厚を薄くした場合は、支持手段の蛍光体スクリーン側端部と接触しても、損傷による導電膜の剥離が防止され、蛍光体スクリーン上に表示される画像に影響を与えないようにすることができる。
【0011】
【実施例】
以下、図面を参照してこの発明を実施例に基づいて説明する。
【0012】
図1および図2にその一実施例であるカラー受像管を、また図3および図4にその要部構成を示す。このカラー受像管は、実質的に矩形状の平坦なフェースプレート1と、このフェースプレート1の周辺部に接合された側壁2と、この側壁2に接合され、上記フェースプレート1とほぼ平行に対向する実質的に矩形状の平坦なリアプレート3と、このリアプレート3に設けられた複数個の開孔4を各別に取囲むようにリアプレート3に接合された複数個のコーン部5とからなる真空外囲器6を有する。図示例では、リアプレート3の水平方向(x軸方向)に5個、垂直方向(y軸方向)に4個、計20個の開孔4が設けられ、これら開孔4を各別に取囲むように20個のコーン部5が設けられている。
【0013】
そして上記フェースプレート1の内面には、青、緑、赤に発光する垂直方向に細長いストライプ状の3色蛍光体層B,G,Rが水平方向に所定の配列で、図2、図4に図示の如く、平坦で規則的に配列され、これら3色蛍光体層B,G,Rの隙間を埋込むように垂直方向に細長いストライプ状の光吸収層8が3色蛍光体層B,G,Rと同じ平坦面を構成するように形成され、かつこれら平坦面となされた3色蛍光体層B,G,Rおよび光吸収層8の背面に後述するアルミニウム蒸着膜からなる導電膜9が形成された蛍光体スクリーン10が設けられている(図4参照)。またこの蛍光体スクリーン10と対向かつ所定間隔離れてシャドウマスク11が配置されている。このシャドウマスク11は、リアプレート3に固定された複数個のマスク架設手段12に支持されている。さらにリアプレート3に接合された複数個のコーン部5の各ネック13内に電子銃14が封止されている。さらにまたフェースプレート1とリアプレート3との間には、これら平坦なフェースプレート1およびリアプレート3に加わる大気圧荷重を支える複数個の支持手段15が配置されている。この支持手段15は、フェースプレート1側端部が楔状をなす円柱状に形成され、直接または間接的にリアプレート3に固定され、そのフェースプレート1側端部の楔状の先端部が蛍光体スクリーン10の後述する走査領域の境界部に位置する光吸収層8を介して、フェースプレート1の内面に接触している。
【0014】
特にこの例のカラー受像管においては、蛍光体スクリーン10の背面の導電膜9に対して支持手段15のフェースプレート1側端部の接触を避けるため、図3に示したように、導電膜9は、上記支持手段15のフェースプレート1側端部の楔状の先端部近傍を避けて形成され、その楔状先端部の接触する光吸収層8上の一定領域16には形成されていない。なお、図3に示した破線17は、導電膜9で覆われた3色蛍光体層および光吸収層を示したものである。
【0015】
このような導電膜9は、フェースプレート1の内面に光吸収層8および3色蛍光体層B,G,Rを形成したのち、導電膜9を形成しない領域16を遮蔽してアルミニウムを蒸着することにより形成することができる。
【0016】
このカラー受像管では、複数個のコーン部5の各ネック13内に配設された複数個の電子銃14から放出される電子ビームを各コーン部5の外側に各別に装着された偏向装置19の発生する水平、垂直磁界により偏向して、蛍光体スクリーン10を複数個の領域、図示例では水平方向に5個、垂直方向に4個、計20個の領域R1 〜R20に分割して走査する。この分割走査により蛍光体スクリーン10上に描かれるラスターは、各電子銃14および各偏向装置19に供給される信号により繋がり、蛍光体スクリーン10上には、切れ目や重なり合いのない連続した1つのラスターを描くことができるものとなっている。
【0017】
ところで、上記のように蛍光体スクリーン10の背面の導電膜9を、支持手段15のフェースプレート1側端部の楔状の先端部近傍の光吸収層8上の一定領域16に形成されないようにすると、導電膜9に対する支持手段15のフェースプレート1側端部の接触を避けることができ、従来支持手段のフェースプレート側端部の楔状の先端部分が蛍光体スクリーンの背面の導電膜と接触して損傷し、その損傷部分を起点として広範囲のアルミニウム蒸着膜が剥離し、蛍光体スクリーンの背面にアルミニウム蒸着膜のない部分ができるために生じたカラー受像管の動作時の蛍光体層の帯電によるランディングミスや、輝度低下をなくし、良好な画像を表示するカラー受像管とすることができる。
【0018】
なお、上記実施例では、平坦なフェースプレートに加わる大気圧荷重を支える支持手段のフェースプレート側端部の楔状の先端部近傍の光吸収層上の背面に導電膜を形成しない構造としたが、この導電膜は、図5に示すように、支持手段15のフェースプレート1側端部の楔状の先端部が接触する光吸収層8全体の背面に形成しない構造としてもよい。すなわち、光吸収層8は、蛍光体層の発光とは直接関係ないので、このように光吸収層8全体の背面に導電膜9を形成しない構造としてもよく、またこのように形成することにより、支持手段15が光吸収層8の長手方向に対する位置の自由度が増し、カラー受像管の組立てが容易となる。
【0019】
また、上記実施例では、支持手段のフェースプレート側端部の楔状の先端部が接触する光吸収層上に導電膜のない部分を形成したが、この導電膜のない部分は、蛍光体層上にかかっても、狭い範囲であれば、画像の表示にほとんど影響を与えることはない。
【0020】
さらに、上記実施例では、支持手段のフェースプレート側端部の楔状の先端部が接触する光吸収層上に導電膜を形成しない構造としたが、この支持手段のフェースプレート側端部の楔状の先端部近傍の光吸収層の背面あるいは楔状の先端部が接触する光吸収層全体の背面に、蛍光体スクリーン背面の他の部分にくらべて膜厚の薄い導電膜を形成してもよい。このような導電膜は、フェースプレートの内面に形成された3色蛍光体層と光吸収層の背面にアルミニウムを蒸着するとき、その膜厚の薄い導電膜を形成する部分を所定時間遮蔽することにより形成することができる。
【0021】
このように支持手段のフェースプレート側端部の楔状の先端部と接触する部分の導電膜を薄くすると、この導電膜に支持手段のフェースプレート側端部の楔状の先端部が接触しても、導電膜は、破損せず、前記実施例と同様に良好な画像を表示するカラー受像管とすることができる。
【0022】
【発明の効果】
実質的に矩形状の平坦なフェースプレートおよびこのフェースプレートとほぼ平行に対向するリアプレートを有する真空外囲器と、フェースプレートの内面に規則的に配列形成された複数色の蛍光体層およびこの蛍光体層間に形成された光吸収層を有し、蛍光体層および光吸収層の背面は同一平面であり、背面に導電膜が蒸着により形成された蛍光体スクリーンと、フェースプレートとリアプレートとの間に配置され、フェースプレートに加わる大気圧荷重を支える支持手段とを備えるカラー受像管において、蛍光体スクリーンの導電膜を、少なくとも支持手段のフェースプレート側端部近傍には形成しないかまたは他の部分にくらべ薄い膜厚に形成すると、この蛍光体スクリーンの導電膜に対する支持手段の蛍光体スクリーン側端部の接触による導電膜の剥離を防止することが可能となるので、導電膜の損傷をなくし、蛍光体スクリーン上に表示される画像に影響を与えないようにすることができ、良好な画像を表示するカラー受像管とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例であるカラー受像管の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示したカラー受像管のII−II線断面図である。
【図3】上記カラー受像管の蛍光体スクリーンの背面の導電膜の形状を示す図である。
【図4】同じく蛍光体スクリーンの背面の導電膜を示す断面図である。
【図5】蛍光体スクリーンの背面の導電膜の異なる形状を示す図である。
【符号の説明】
1…フェースプレート
2…側壁
3…リアプレート
5…コーン部
6…真空外囲器
8…光吸収層
9…導電膜
10…蛍光体スクリーン
15…支持手段
B,G,R…3色蛍光体層
Claims (2)
- 実質的に矩形状の平坦なフェースプレートおよびこのフェースプレートとほぼ平行に対向するリアプレートを有する真空外囲器と、上記フェースプレートの内面に規則的に配列形成された複数色の蛍光体層および上記蛍光体層間に形成された光吸収層を有し、前記蛍光体層および光吸収層の背面は同一平面であり、前記背面に導電膜が蒸着により形成された蛍光体スクリーンと、上記フェースプレートとリアプレートとの間に配置され、上記フェースプレートに加わる大気圧荷重を支える支持手段とを備えるカラー受像管において、
上記蛍光体スクリーンの導電膜は、少なくとも上記支持手段のフェースプレート側端部近傍には形成されないかまたは他の部分にくらべて薄い膜厚に形成されていることを特徴とするカラー受像管。 - 上記導電膜は、上記支持手段の上記フェースプレート側端部が接触する上記光吸収層の背面全体にわたって形成されないかまたは他の部分にくらべて薄い膜厚に形成されていることを特徴とする請求項1記載のカラー受像管。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28769994A JP3618808B2 (ja) | 1994-11-22 | 1994-11-22 | カラー受像管 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28769994A JP3618808B2 (ja) | 1994-11-22 | 1994-11-22 | カラー受像管 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH08148094A JPH08148094A (ja) | 1996-06-07 |
JP3618808B2 true JP3618808B2 (ja) | 2005-02-09 |
Family
ID=17720599
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28769994A Expired - Fee Related JP3618808B2 (ja) | 1994-11-22 | 1994-11-22 | カラー受像管 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3618808B2 (ja) |
-
1994
- 1994-11-22 JP JP28769994A patent/JP3618808B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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JPH08148094A (ja) | 1996-06-07 |
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