JP3618220B2 - 薄板の研磨方法および薄板保持プレート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウェーハ、石英やセラミック材料のウェーハ等(以下単に薄板という)の研磨方法と、この研磨の際に使用される薄板保持プレートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、薄板を研磨する場合、研磨すべき薄板を薄板保持プレートに保持させつつ、該薄板保持プレート上から研磨ヘッドにより荷重をかけて、薄板保持プレートに保持されている薄板を研磨布(研磨パッド)に押圧し、薄板および研磨布の間に相対運動を与えてその両者を摺接させると共に、その摺接部に研磨剤を供給することにより、研磨を行っている。
【0003】
薄板を保持する薄板保持プレートとして、従来、ガラス製のものや、セラミック製のものが使用されているが、このうち、ガラス製のものは研磨ヘッドにより荷重を加えた場合に比較的撓みやすく、この撓みの影響により薄板の周辺部が強く研磨布に押しつけられる傾向にあり、薄板の周辺部分が中央部分に比べて過剰に研磨されることとなり、その分、薄板の面内における研磨が不均一となり、平坦度の点でセラミックプレートに劣るという問題があった。このため、高平坦度が要求される場合には、セラミックプレートが一般的となっている。
【0004】
一方、セラミック製の薄板保持プレートは、成型および焼結の工程を経て作製されるが、それだけでは表裏面の寸法出しが困難であるため、その寸法出しを行う必要から、成型および焼結の後にプレートの周面や表裏面に機械加工を施している。この機械加工としては、固定ダイヤモンド砥石を使用するラップ加工が行われている。そして、このラップ加工にあっては所定の研削液が供給され、ラップ加工後には、研削液の洗い流し等のため、薄板保持プレートには塩酸等からなる酸性水溶液を用いての酸洗浄と純水洗浄が施される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようにして製作されたセラミック製の薄板保持プレートを使用して研磨を行った場合、下記のような問題が少なからず生じることが確認された。
すなわち、薄板をバッチで研磨処理した場合、ガラス製の薄板保持プレートに比較してセラミック製の薄板保持プレートの場合には、全部の薄板の研磨面に研磨キズができる割合が高く、あるいは薄板の裏面にキズや汚れが付着する割合が高いことが確認された。このような研磨キズや凹部の存在は、薄板の良品率を著しく低下させることになるので、その対策が急がれている。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、薄板のスループットの向上に有効な研磨方法と薄板保持プレートを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、種々の実験を行って薄板のスループットの低下が生じる原因を調べてみたところ、次のことが分かった。
第1に、薄板表面の研磨キズや薄板裏面のキズや汚れが固定ダイヤモンド砥石の砥粒やセラミックの粉塵に起因していること、第2に、研磨キズは主に薄板保持ブロックの裏面に付着している固定ダイヤモンド砥石の砥粒やセラミックの粉塵に起因していること、第3に、薄板の裏面のキズおよび汚れは薄板保持ブロックの表面に付着している固定ダイヤモンド砥石の砥粒やセラミックの粉塵に起因していることが分かった。
すなわち、固定ダイヤモンド砥石によって薄板保持プレートをラップ加工する際に該固定ダイヤモンド砥石から砥粒が落ち、その砥粒が薄板保持プレートの表裏面に付着する。この薄板保持プレートの表裏面に付着した砥粒は、その後の酸洗浄および純水洗浄でも取れにくく、薄板保持プレートに残ってしまう。また一方で、ラップ加工後の薄板保持プレートには微小な凹凸が存在、この凹凸に起因して粉塵が生じやすい。そして、薄板保持プレートに残った砥粒や、セラミックの粉塵が研磨中あるいは研磨前に研磨布上に落ちて、研磨した薄板の表面に研磨キズを付けてしまう。また、薄板保持プレートの表面に砥粒が残っていたり、セラミックの粉塵が付着していたりすると、その砥粒や粉塵が残っている領域に薄板がワックスを介して貼付けられて研磨された場合、薄板の背面にキズを付けたり、背面の汚れを誘起させることになる。
【0008】
本発明は、かかる知見に基づいてなされたもので、請求項1記載の薄板の研磨方法では、薄板保持プレートにより薄板を保持して研磨布に押圧し、該薄板および研磨布の間に相対運動を与えてその両者を摺接させると共に、その摺接部に研磨剤を供給して前記薄板を研磨するにあたり、寸法出しのための固定ダイヤモンド砥石を使用するラップ加工が行われた前記薄板保持プレートとしてセラミック製で、前記薄板の保持面である表面にコロイダルシリカを用いた研磨加工が施されたプレートを使用することとしている。この薄板の研磨方法によれば、薄板保持プレートの表面のコロイダルシリカを用いた研磨加工によって、寸法出しのための固定ダイヤモンド砥石を使用するラップ加工が行われた薄板保持プレートの表面の固定ダイヤモンドの砥粒やセラミックの粉塵が除去されるとともに、薄板保持プレートの表面が平滑となる。その結果、薄板保持プレートの表面に固定ダイヤモンドの砥粒やセラミックの粉塵がない状態で薄板の研磨が行えるので、薄板保持プレートの表面からの前記砥粒や粉塵の脱落に起因する、薄板の表面の研磨キズの発生や、薄板保持プレートの表面に付着されている前記砥粒や粉塵に起因する、薄板の裏面のキズや汚れの発生が効果的に防止される。
【0009】
請求項2記載の薄板の研磨方法では、請求項1記載の薄板の研磨方法において、寸法出しのための固定ダイヤモンド砥石を使用するラップ加工が行われた前記薄板の保持面の裏側である裏面にコロイダルシリカを用いた研磨加工が施されたプレートを使用することを特徴とする。この薄板の研磨方法によれば、薄板保持プレートの裏面のコロイダルシリカを用いた研磨加工によって、寸法出しのための固定ダイヤモンド砥石を使用するラップ加工が行われた薄板保持プレートの裏面の固定ダイヤモンドの砥粒やセラミックの粉塵が除去されるとともに、薄板保持プレートの裏面が平滑となる。その結果、薄板保持プレートの裏面に固定ダイヤモンドの砥粒やセラミックの粉塵がない状態で薄板の研磨が行えるので、薄板保持プレートの裏面からの前記砥粒や粉塵の脱落に起因する、薄板の表面の研磨キズの発生が効果的に防止される。
【0010】
請求項3記載の薄板の研磨方法では、請求項1または2記載の薄板の研磨方法において、周面にコロイダルシリカを用いた研磨加工が施されたプレートを使用することを特徴とする。この薄板の研磨方法によれば、薄板保持プレートの周面のコロイダルシリカを用いた研磨加工によって、寸法出しのための固定ダイヤモンド砥石を使用するラップ加工が行われた薄板保持プレートの周面の固定ダイヤモンドの砥粒やセラミックの粉塵が除去されるとともに、薄板保持プレートの周面が平滑となる。その結果、薄板保持プレートの周面に固定ダイヤモンドの砥粒やセラミックの粉塵がない状態で薄板の研磨が行えるので、薄板保持プレートの周面からの前記砥粒や粉塵の脱落に起因する、薄板の表面の研磨キズの発生が効果的に防止される。
【0011】
請求項4記載の薄板保持プレートは、ワックス法により薄板を保持して研磨布に押圧するのに用いられる薄板保持プレートであって、セラミックから構成され、寸法出しのための固定ダイヤモンド砥石を使用するラップ加工が行われた前記薄板の保持面である表面にコロイダルシリカを用いた研磨加工が施されていることを特徴とする。この薄板の薄板保持プレートによれば、表面がコロイダルシリカで研磨加工されているので、その表面には固定ダイヤモンドの砥粒やセラミックの粉塵の付着がない。また、薄板保持プレートの表面が平滑となっている。その結果、薄板保持プレートの表面に固定ダイヤモンドの砥粒やセラミックの粉塵がない状態で薄板の研磨が行えるので、薄板保持プレートの表面からの前記砥粒や粉塵の脱落に起因する、薄板の表面の研磨キズの発生や、薄板保持プレートの表面に付着されている前記砥粒や粉塵に起因する、薄板の裏面のキズや汚れの発生が効果的に防止される。
【0012】
請求項5記載の薄板保持プレートは、請求項4記載の薄板保持プレートにおいて、前記薄板の保持面の裏側である裏面にコロイダルシリカを用いた研磨加工が施されていることを特徴とする。この薄板保持プレートによれば、裏面がコロイダルシリカで研磨加工されているので、その裏面には固定ダイヤモンドの砥粒やセラミックの粉塵の付着がない。また、薄板保持プレートの裏面が平滑となっている。その結果、薄板保持プレートの裏面に固定ダイヤモンドの砥粒やセラミックの粉塵がない状態で薄板の研磨が行えるので、薄板保持プレートの裏面からの前記砥粒や粉塵の脱落に起因する、薄板の表面の研磨キズの発生が効果的に防止される。
【0013】
請求項6記載の薄板保持プレートは、請求項4または5記載の薄板保持プレートにおいて、周面にコロイダルシリカを用いた研磨加工が施されていることを特徴とする。この薄板保持プレートによれば、周面がコロイダルシリカで研磨加工されているので、その周面には固定ダイヤモンドの砥粒やセラミックの粉塵の付着がない。また、薄板保持プレートの周面が平滑となっている。その結果、薄板保持プレートの周面に固定ダイヤモンドの砥粒やセラミックの粉塵がない状態で薄板の研磨が行えるので、薄板保持プレートの周面からの前記砥粒や粉塵の脱落に起因する、薄板の表面の研磨キズの発生が効果的に防止される。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1には本発明に係る研磨方法を実施するための研磨機の一例が示されている。この研磨機1は定盤2および研磨ヘッド3を備えている。
定盤2には研磨布4が貼り付けられ、この定盤2は、定盤駆動モータ(図示せず)に連結され、この定盤駆動モータによって、回転駆動されるように構成されている。一方、研磨ヘッド3は、回転可能に構成されると共に、シリンダ装置(図示せず)に連結され、このシリンダ装置によって、上下動できるように構成されている。
【0015】
この研磨機1の研磨ヘッド3の下側にはウェーハ保持プレート7が設置される。このウェーハ保持プレート7はセラミック製のプレートとなっている。このウェーハ保持プレート7の表裏面および周面には研磨加工が施されている。この研磨加工にあたっては、特に限定はされないが、研磨布として例えばシリコンウェーハの研磨に用いられる研磨布と同じものが、研磨剤としてシリコンウェーハの研磨に用いられるコロイダルシリカが用いられる。このようにして表裏面および周面が研磨されたウェーハ保持プレート7には、複数枚のシリコンウェーハ(薄板)Wがワックス8を介して貼付け・保持されている。
【0016】
また、定盤2の中央部上方には、シリコンウェーハWと研磨布4との摺接部に研磨剤を供給するノズル9が設けられている。
【0017】
次に、シリコンウェーハWの研磨の仕方の一例を説明すれば、研磨ヘッド3をシリンダ装置によって上昇させた状態で、研磨ヘッド3の下方の定盤2上にウェーハ保持プレート7を設置する。その後、定盤2を回転させる。すると、定盤2上に設置されたウェーハ保持プレート7は前記定盤2の回転に伴ってその場で回転する。これによって、シリコンウェーハWと研磨布4とが摺接する。なお、研磨中はノズル9から研磨剤が供給される。
【0018】
このような方法によってシリコンウェーハWの研磨を行えば下記のような効果が得られる。
すなわち、この研磨方法によれば、シリコンウェーハWの保持面である表裏面および周面に研磨加工が施されたウェーハ保持プレート7を用いているので、薄板保持プレートの表面には固定ダイヤモンドの砥粒やセラミックの粉塵の付着はなく、したがって、シリコンウェーハWの裏面にキズが付いたり、裏面が汚れるのが防止されると共に、ウェーハ保持プレート7の裏面および周面から固定ダイヤモンドの砥粒やセラミックの粉塵が研磨布4に落ちることがなく、したがって、シリコンウェーハWの表面の研磨キズの発生が抑制される。
【0019】
この点に関して、本願の研磨方法によって研磨されたシリコンウェーハと、従来法によって研磨されたシリコンウェーハとを各3万枚ずつ用意してシリコンウェーハの表面の研磨キズ(集光ランプを当てて目視で発見できるキズ)の発生枚数を調べたところ、従来法では1.00%であったのに対して本願の研磨方法では0.20%と約1/5に減少したことが確認された。
【0020】
また、本願の研磨方法によって研磨されたシリコンウェーハと、従来法によって研磨されたシリコンウェーハとを各3万枚ずつ用意してシリコンウェーハの裏面の3.0μm以上の大きさの異物の個数を調べたところ、従来法では平均100個程度であったのに対して本願の研磨方法では10個程度と約1/10に減少したことが確認された。
【0021】
なお、この2つの実験においては、ウェーハ保持プレートについて、通常のシリコンウェーハの研磨の場合に行われる3段研磨(粗研磨、さざ波研磨および仕上げ研磨)を施した後、純水またはアルカリ溶液にて超音波洗浄を行った。
【0022】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態には限定されず、その要旨を変更しない範囲で、種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0023】
例えば、前記実施形態では、バッチ処理式の研磨方法について説明したが、毎葉処理式の研磨方法の場合にも適用できることは勿論である。
【0024】
また、前記実施形態では、ワックス法によってシリコンウェーハをウェーハ保持プレートに保持させる場合について説明したが、ワックスレス法のものにも適用できることは勿論である。
【0025】
さらに、前記実施形態では、シリコン(半導体)ウェーハを例に説明したが、石英やセラミック材料のウェーハ等にも適用できることは勿論である。
【0026】
【発明の効果】
本発明の代表的なものの効果について説明すれば、薄板保持プレートにより薄板をワックスを介して保持して研磨布に押圧し、該薄板および研磨布の間に相対運動を与えてその両者を摺接させると共に、その摺接部に研磨剤を供給して前記薄板を研磨するにあたり、前記薄板保持プレートとしてセラミック製で、前記薄板の保持面である表面にダイヤモンド砥粒除去のための研磨加工が施されたプレートを使用することとしたので、薄板保持プレートの表面には固定ダイヤモンドの砥粒等の付着はなく、したがって、薄板の裏面にキズが付いたり、裏面が汚れるのが防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る研磨方法を実施するための研磨機を示す図である。
【符号の説明】
1 研磨機
2 定盤
7 ウェーハ保持プレート
W ウェーハ
Claims (6)
- 薄板保持プレートにより薄板を保持して研磨布に押圧し、該薄板および研磨布の間に相対運動を与えてその両者を摺接させると共に、その摺接部に研磨剤を供給して前記薄板を研磨するにあたり、前記薄板保持プレートとしてセラミック製で、寸法出しのための固定ダイヤモンド砥石を使用するラップ加工が行われた前記薄板の保持面である表面にコロイダルシリカを用いた研磨加工が施されたプレートを使用することを特徴とする薄板の研磨方法。
- 寸法出しのための固定ダイヤモンド砥石を使用するラップ加工が行われた前記薄板の保持面の裏側である裏面にコロイダルシリカを用いた研磨加工が施されたプレートを使用することを特徴とする請求項1記載の薄板の研磨方法。
- 周面にコロイダルシリカを用いた研磨加工が施されたプレートを使用することを特徴とする請求項1または2記載の薄板の研磨方法。
- 薄板を保持して研磨布に押圧するのに用いられる薄板保持プレートであって、セラミックから構成され、寸法出しのための固定ダイヤモンド砥石を使用するラップ加工が行われた前記薄板の保持面である表面にコロイダルシリカを用いた研磨加工が施されていることを特徴とする薄板保持プレート。
- 前記薄板の保持面の裏側である裏面にコロイダルシリカを用いた研磨加工が施されていることを特徴とする請求項4記載の薄板保持プレート。
- 周面にコロイダルシリカを用いた研磨加工が施されていることを特徴とする請求項4または5記載の薄板保持プレート。
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