JP3616586B2 - 薄膜堆積用分子線源セル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸発材料を加熱することにより、その蒸発材料を溶融、蒸発して、固体表面に薄膜を成長させるための蒸発分子を発生する薄膜堆積用分子線源セルに関し、特に熱伝導率の低い有機エレクトロルミネッセンス材料等の蒸発に好適な分子線源セルに関する。
【0002】
【従来の技術】
分子線エピタキシ装置と呼ばれる薄膜堆積装置は、高真空に減圧可能な真空チャンバ内に半導体ウエハ等の基板を設置し、所要の温度に加熱すると共に、この基板の薄膜成長面に向けてクヌードセンセル等の分子線源セルを設置したものである。この分子線源セルの坩堝に収納した蒸発材料をヒータにより加熱して溶融、蒸発させ、これにより発生した蒸発分子を前記基板の薄膜成長面に入射し、その面に薄膜をエピタキシャル成長させて、蒸発材料の膜を形成する。
【0003】
図8は、このような薄膜堆積装置に使用される分子線源セルの従来例である。この分子線源セルは、熱的、化学的に安定性の高い、例えばPBN(パイロリティック・ボロン・ナイトライド)等からなる坩堝3の中に蒸発材料cを収納し、この蒸発材料cを坩堝3の外側に設けた電気ヒータ5で加熱し、これにより蒸発材料を溶融、蒸発させ、蒸発分子を発生させ、これを放出口4から放出し、基板上に堆積させるものである。
【0004】
図8から明らかなように、従来の分子線源セルの坩堝3は、全体としてほぼ均一な内径を有する有底円筒形のものであり、これを周囲から加熱するヒータ5としては、コイル状に巻かれたシーズヒータが使用されている。坩堝3の底部中央に測温接点を接触させた熱電対7により坩堝3の温度を測定しながらヒータ5の加熱温度を制御し、蒸発材料cを蒸発させる。
【0005】
近年、ディスプレイや光通信等の分野で、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の研究、開発が進められている。この有機EL素子は、EL発光能を有する有機低分子または有機高分子材料で発光層を形成した素子であり、自己発光型の素子としてその特性が注目されている。例えばその基本的な構造は、ホール注入電極上にトリフェニルジアミン(TPD)等のホール輸送材料の膜を形成し、この上にアルミキノリノール錯体(Alq) 等の蛍光物質を発光層として積層し、さらにMg、Li、Cs等の仕事関数の小さな金属電極を電子注入電極として形成したものである。
【0006】
【発明が解決しようとしている課題】
このような有機EL素子を形成する各層は、前述のような薄膜堆積装置を使用して形成される。特に有機EL膜を形成するための有機EL材料は、融点が低く、しかも熱伝導率が低い。また、高分子材料であるため、長時間高温に晒されると、高分子の鎖をなす化学的結合が破壊される等して、熱損傷を受けやすい。このような熱損傷を受けると、分子の堆積により形成された膜において、所要の特性が得られないこともある。
【0007】
ところが、前述のような分子線源セルでは、ヒータ5としてシーズヒータが使用されているため、ヒータ5の発熱線で発生した熱がマグネシア等の無機絶縁粉末とステンレス等のシースを介して坩堝3に伝熱されるため、熱応答性が悪く、蒸発材料が蒸発されるまでに長時間高温に晒されることになる。
【0008】
さらに、図8に二点鎖線で示すように、ヒータ5に近い坩堝3の周壁に近い部分の蒸発材料cの温度が高く、坩堝3の周壁から遠い中央部の蒸発材料cの温度が低くなるような温度分布が生じてしまう。このため、ヒータで加熱される坩堝3の周壁に近い周囲の部分では、蒸発に必要な所要の温度が得られても、坩堝3の中央側で温度が極端に低くなり、蒸発材料cの蒸発温度に満たない状態となる。この結果、坩堝3に収納された蒸発材料cのうち、坩堝3の周壁に近い周囲の部分のみが蒸発され、坩堝3の中央部にある蒸発材料cが蒸発されずに残ってしまう。そのため、蒸発材料cの歩留まりが悪いだけでなく、温度の不均一性による膜の欠陥等が生じやすい。
【0009】
さらに、この温度分布の不均一性は、図8において一点鎖線で示す坩堝3の中心軸方向に沿っても生じる。図9は、坩堝3の中心軸方向の温度分布と放出口4の径方向に沿った温度分布を模式的に示している。
さらに、前記のような円筒形の坩堝3では、放出口4から放出される蒸発材料cの分子が坩堝3の周壁の内面に沿って放射されるため、図8において一点鎖線で示す坩堝3の中心軸方向の延長線に近い部分の分子のフラックス密度が極端に大きくなる。この結果、蒸発材料cの分子が基板に堆積することにより形成される膜は、図8において一点鎖線で示す坩堝3の中心軸と基板の成膜面とが交差する部分の膜厚が極端に厚くなり、それから遠くなるに従って膜厚が急激に薄くなるというような膜厚の不均一性が生じる。
【0010】
本発明は、このような従来の分子線源セルにおける課題に鑑み、坩堝の中での温度勾配を小さくし、有機EL材料のような高分子であって熱伝導率の低い蒸発材料でも、熱損傷を与えることなく、効率よく蒸発して蒸発分子を発生することができるようにすることを目的とする。さらに、膜を形成する主成分の他に、ドーパントのような微量成分である副成分も基板に向けて同時に放出し、反応蒸着を可能とすることを目的とする。加えて、均一な膜厚の成膜を可能とすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明では、前記の目的を達成するため、坩堝10、20の蒸発材料a、bを収納するボトムに近い側の蒸発材料収納部11、21を有底円筒形とし、放出口14、24に近い先端側部分に括れ部12、22を設け、この括れ部12、22から放出口14、24までも部分を、テーパガイド部13、23とした。そして、坩堝10、20の前者の部分と後者の部分をそれぞれ別のヒータ15、25、16、26で加熱し、それぞれに最適な温度分布を形成できるようにした。
【0012】
より具体的に説明する、本発明による薄膜堆積用分子線源セルは、坩堝10、20の蒸発材料a、bを収納するボトムに近い側の蒸発材料収納部11、21が円筒形であり、放出口14、24に近い先端側部分に括れ部12、22を有し、この括れ部12、22から放出口14、24までの部分が次第に内径が増大するテーパを有するテーパガイド部13、23となっている。さらに、ヒータ15、16、25、26が、蒸発材料収納部11、21を加熱する第一のヒータ15、25と、括れ部12、22からテーパガイド部13、23にわたる部分を加熱する第二のヒータ16、26とに分かれている。
【0013】
このような本発明による薄膜堆積用分子線源セルでは、坩堝10、20の蒸発材料a、bを収納するボトムに近い側の蒸発材料収納部11、21が円筒形であるのに対し、放出口14、24に近い先端側部分に括れ部12、22を有し、この括れ部12、22から放出口14、24までも部分が内径が次第に増大するテーパを形成したテーパガイド部13、23となっているため、蒸発材料収納部11、21に収納された蒸発材料a、bが蒸発することにより発生した分子のフラックスがテーパガイド部13、23に形成されたテーパにより広がりながら放出される。このため、坩堝10、20の中心軸の延長線の部分に分子のフラックスの密度が集中しない。これにより、基板33の成膜面上に均一な膜厚の薄膜を形成することができる。
【0014】
さらに、ヒータ15、16、25、26が、蒸発材料収納部11、21を加熱する第一のヒータ15、25と、括れ部12、22からテーパガイド部13、23にわたる部分を加熱する第二のヒータ16、26とに分かれているため、それぞれの部分を最適な温度に加熱することができる。特に、括れ部12、22からテーパガイド部13、23にわたる部分を第二のヒータ16、26で加熱するため、括れ部12、22での分子の再凝縮が起こらない。
【0015】
このような分子線源セルは、複数のものを組み合わせて構成することができる。具体的には、基板33の成膜面に堆積させる主成分となる蒸発材料aを収納する坩堝10を備える第一の分子線源セル1と、基板33の成膜面に堆積させる副成分となる蒸発材料bを収納する坩堝20を備える第二の分子線源セル2とを組み合わせる。これにより、基板33の成膜面上に薄膜の主成分を堆積させることができると同時に、副成分としてドーパント材料を注入することができる。
【0016】
このような複合的な分子線源セルにおいて、第二の分子線源セル2の坩堝20の放出口24からの蒸発材料bの分子の放出を制限する絞り孔32を設ける。これにより、第一の分子線源セル1から放射される主成分の分子と第二の分子線源セルから放射される副成分の分子とのモル比を所定のモル比にすることができる。
【0017】
このような第二の分子線源セル2の坩堝20の絞り孔32は、坩堝20と一体の壁により形成してもよいが、坩堝20のテーパガイド部23の内周側テーパと同じテーパを有するカップ状の閉止部材31を同テーパガイド部23の中に嵌め込み、このカップ状の閉止部材31の底壁に絞り孔32を設ける。このカップ状の閉止部材31に熱吸収性の吸熱塗装28が施してあるか或いはカップ状の閉止部材31を熱吸収性の吸熱材料による作ると、閉止部材31が第二のヒータ26の熱を吸収し、前述した分子の再凝縮を防止し、絞り孔32の目詰まりを確実に防止することができる。
【0018】
他方の第一の分子線源セル1の坩堝10には、その蒸発材料収納部11の上端部分から括れ部12及びテーパガイド部13を経て放出口14に至る部分に熱吸収性の吸熱塗装18を施す。この場合も同様にして、第二のヒータ16の熱を吸熱塗装18が吸収するため、坩堝10の括れ部12における分子の再凝縮を確実に防止することができる。
【0019】
これらの分子線源セル1、2では、坩堝10、20の温度を、その蒸発材料収納部11、21の底部側に巻いた帯状の測温素子17、27により測定する。坩堝10、20の正確な温度は、その底壁より周壁においてより再現されやすく、これにより、坩堝10、20の正しい温度を測定することにより、その的確な温度制御が可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について、具体的且つ詳細に説明する。
図1は、基板33に成膜する薄膜として、主成分の蒸発材料aを蒸発し、その分子を放出する第一の分子線源セル1とドーパント等の副成分の蒸発材料bを蒸発し、その分子を放出する第二の分子線源セル2とを組み合わせた複合分子線源セルの例である。
【0021】
図2と図3は、主成分の蒸発材料aを蒸発し、その分子を放出する第一の分子線源セル1を示す断面図と側面図である。
坩堝10は、PBN(パイロリティック・ボロン・ナイトライド)等からなる容器状のもので、前述した蒸発材料aを収納する蒸発材料収納部11と、この蒸発材料収納部11より放出口14側にあって、一部内径及び外形が細くなった括れ部12と、この括れ部12から放出口14に至るテーパガイド部13とを有する。
【0022】
蒸発材料aを収納する蒸発材料収納部11は、有底の円筒形であり、その上部の放出口14側は先が細くなるようなテーパが形成され、その先に内径が最も細くなった括れ部12を有する。この括れ部12から先の放出口14に至る部分は、内径及び外径が次第に広くなるようなテーパが形成されたテーパガイド部13となっている。このテーパガイド部13の先に放出口14が開口している。
【0023】
この坩堝10は、二つのヒータ15、16で囲まれている。第一のヒータ15は、坩堝10の蒸発材料収納部11の周囲に配置され、その蒸発材料収納部11を加熱する。この第一のヒータ15は、線状ヒータを坩堝10の縦方向に蛇行させると共に、坩堝10の外周面を囲むように折り曲げられている。第二のヒータ16は、坩堝10の蒸発材料収納部11の上部から括れ部12及びテーパガイド部13を経て放出口14に至る部分の周囲に配置され、その部分を加熱するものである。この第二のヒータ16もまた、線状ヒータを坩堝10の縦方向に蛇行させると共に、坩堝10の外周面を囲むように折り曲げられている。
【0024】
坩堝10の前記第二のヒータ16で加熱される部分、すなわち、坩堝10の蒸発材料収納部11の上部から括れ部12及びテーパガイド部13を経て放出口14に至る部分の外周面及び内周面の少なくとも何れかの面に熱吸収性が良好で、且つ化学的、熱的に安定した塗装、例えばグラファイト塗装等の吸熱塗装18が施されている。図3に示した例では、坩堝10の外周面に吸熱塗装18が施されている。
また、坩堝10の蒸発材料収納部11の底部近くには、帯状の測温素子17が巻かれ、この測温素子17により坩堝10の蒸発材料収納部11底部近くの温度が測定される。
【0025】
他方、図4と図5は、副成分の蒸発材料bを蒸発し、その分子を放出する第二の分子線源セル2を示す断面図と側面図であり、図6はその上端部付近の分解縦断側面図である。
この坩堝20もまた、前記の坩堝10と基本的に同じである。すなわち、坩堝20は、PBN(パイロリティック・ボロン・ナイトライド)等からなる容器状のもので、前述した蒸発材料bを収納する蒸発材料収納部21と、この蒸発材料収納部21より放出口24側にあって、一部内径及び外形が細くなった括れ部22と、この括れ部22から放出口24に至るテーパガイド部23とを有する。
【0026】
蒸発材料bを収納する蒸発材料収納部21は、有底のほぼ円筒形であり、その上部の放出口24側は先が細くなるようなテーパが形成され、その先に内径が最も細くなった括れ部22を有する。この括れ部22から先の放出口24に至る部分は、内径及び外形が次第に広くなるようなテーパが形成されたテーパガイド部23となっている。このテーパガイド部23の先に放出口24が開口している。
【0027】
但し、この副成分である蒸発材料bを蒸発する坩堝20では、そのテーパガイド部23の部分にカップ状の閉止部材31が嵌め込まれている。この閉止部材31は、その外周に坩堝20のテーパガイド部23の内周側テーパと同じテーパを有し、同テーパガイド部23の中に密に嵌め込まれている。さらに、このカップ状の閉止部材31の底壁に幾つかの絞り孔32が開設されている。坩堝20の蒸発材料収納部21の内部は、この閉止部材31の底壁に設けられた絞り孔32を介して放出口24側に通じている。このような閉止部材31を使用せずに、坩堝20の括れ部22の部分に、蒸発材料収納部21の内部と放出口24側とを仕切る壁を設け、この壁に絞り孔を設けてもよい。
【0028】
この閉止部材31の内面と外面の少なくとも何れかの面に熱吸収性が良好で、且つ化学的、熱的に安定した塗装、例えばグラファイト塗装等の吸熱塗装28が施されている。図4及び図6に左側に示した閉止部材31の例では、閉止部材31の内面に吸熱塗装28が施されている。また、図6に右側に示した閉止部材31の例のように、吸熱塗装28を施す代わりに、閉止部材31そのものをグラファイト等のように熱吸収性が良好で、且つ化学的、熱的に安定した吸熱材料で形成してもよい。
【0029】
この坩堝20は、二つのヒータ25、26で囲まれている。第一のヒータ25は、坩堝20の蒸発材料収納部21の周囲に配置され、その蒸発材料収納部21を加熱する。この第一のヒータ25は、線状ヒータを坩堝20の縦方向に蛇行させると共に、坩堝20の外周面を囲むように折り曲げられている。第二のヒータ26は、坩堝20の蒸発材料収納部21の上部から括れ部22及びテーパガイド部23を経て放出口24に至る部分の周囲に配置され、その部分を加熱すると共に、坩堝20のテーパガイド部23を介して前記閉止部材31を加熱する。この第二のヒータ26もまた、線状ヒータを坩堝20の縦方向に蛇行させると共に、坩堝20の外周面に沿って折り曲げられている。
【0030】
坩堝20の蒸発材料収納部21の底部近くには、帯状の測温素子27が巻かれ、この測温素子27により坩堝20の蒸発材料収納部21底部近くの温度が測定される。
これら第一の分子線源セル1の坩堝10と第二の分子線源セル2の坩堝20には、そられの蒸発材料収納部11、21に蒸発材料を収納する。この場合、有機エレクトロルミネッセンス材料のような熱伝導性が悪い材料を蒸発する場合は、本件特許出願人らの先の特許出願(特願2001−192261号)において提案したように、蒸発材料a、bと共に、熱的、化学的に安定しており、且つ蒸発材料a、bより熱伝導率の高い伝熱媒体を分散して収納する。或いは、粒状の伝熱媒体をコアとして、その表面に蒸発材料a、bを被覆するようにして設け、これを坩堝10、20の蒸発材料収納部11、21の中に収納する。使用する伝熱媒体としては、パイロリティック・ボロン・ナイトライド(PBN)、シリコンカーバイト、窒化アルミニウム等の高熱伝導材料からなるものが例示される。
【0031】
図7は、このようにして前記の第一の分子線源セル1の坩堝10の坩堝10の蒸発材料収納部11に伝熱媒体と共に蒸発材料aを収納し、加熱した場合の中心軸方向の温度分布と放出口14の径方向に沿った温度分布を模式的に示している。もちろん真空中で、ヒータ15、16により坩堝10を加熱した場合のものである。
【0032】
坩堝10の中心軸方向の温度分布については、吸熱塗装18を施した部分を第二のヒータ16で加熱する部分の温度が高く、その温度は放出口14で最大となる。伝熱媒体と共に蒸発材料aを収納した蒸発材料収納部11の中心軸方向の温度分布はほぼ均一である。また、坩堝10の放出口14の径方向の温度分布は、中央でやや低いものの、概ね一定である。
【0033】
例えば図1に示すように、前記第一と第二の分子線源セル1、2は、それらの坩堝10、20の中心軸が基板33の成膜面に垂直な線に対してそれぞれ15゜傾き、且つそれらの中心軸が基板33の中心で交差するように配置する。
既に述べた通り、前述のような分子線源セル1、2では、坩堝10、20の放出口14、24に近い先端側部分に括れ部12、22を有し、この括れ部12、22から放出口14、24までも部分が内径が次第に増大するテーパを形成したテーパガイド部13、23となっているため、蒸発材料収納部11、21に収納された蒸発材料a、bが蒸発することにより発生した分子のフラックスがテーパガイド部13、23に形成されたテーパにより広がりながら放出される。これにより、基板33の成膜面上に均一な膜厚の薄膜を形成することができる。
【0034】
さらに、ヒータ15、16、25、26が、蒸発材料収納部11、21を加熱する第一のヒータ15、25と、括れ部12、22からテーパガイド部13、23にわたる部分を加熱する第二のヒータ16、26とに分かれているため、それぞれの部分を最適な温度に加熱することができる。特に、括れ部12、22からテーパガイド部13、23にわたる部分を第二のヒータ16、26で加熱するため、括れ部12、22での分子の再凝縮が起こらない。
【0035】
さらに、図1に示すように第一と第二の分子線源セル1、2を組み合わせた複合的な分子線源セルにおいて、第二の分子線源セル2の坩堝20の放出口24からの蒸発材料bの分子の放出を制限する絞り孔32を設けていることにより、第一の分子線源セル1から放射される主成分の分子の量に比べて第二の分子線源セルから放射される副成分の分子量が少なくなる。このため、第一の分子線源セル1から放射される主成分の分子と第二の分子線源セルから放射される副成分の分子とのモル比を所要のモル比とすることができる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明による薄膜堆積用分子線源セルでは、有機EL材料のような高分子であって熱伝導率の低い蒸発材料でも、熱損傷を与えることなく、坩堝の中で効率良く伝熱でき、これにより坩堝の中での温度勾配を小さくし、蒸発材料を効率よく蒸発して蒸発分子を発生することができるようにすることが出来る。さらに、膜を形成する主成分の他に、ドーパントのような微量成分である副成分も基板に向けて同時に放出し、反応蒸着を可能となる。加えて、均一な膜厚の成膜が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による複合的な薄膜堆積用分子線源セルの配置の例を示す概略縦断側面図である。
【図2】同実施形態による薄膜堆積用分子線源セルの主成分蒸発用の分子線源セルの例を示す蒸発材料を収納してない状態の縦断側面図である。
【図3】同主成分蒸発用の分子線源セルの例を示す側面図である。
【図4】同実施形態による薄膜堆積用分子線源セルの副成分蒸発用の分子線源セルの例を示す蒸発材料を収納してない状態の縦断側面図である。
【図5】同副成分蒸発用の分子線源セルの例を示す側面図である。
【図6】同副成分蒸発用の分子線源セルの例を示す要部拡大分解縦断側面図である。
【図7】同実施形態による薄膜堆積用分子線源セルの主成分蒸発用の分子線源セルの例の坩堝の温度分布を示す模式図である。
【図8】薄膜堆積用分子線源セルの従来例を示す縦断側面図である。
【図9】薄膜堆積用分子線源セルの従来例の坩堝の温度分布を示す模式図である。
【符号の説明】
1 第一の分子線源セル
2 第二の分子線源セル
10 第一の分子線源セルの坩堝
11 第一の分子線源セルの坩堝の蒸発材料収納部
12 第一の分子線源セルの坩堝の括れ部
13 第一の分子線源セルの坩堝のテーパガイド部
14 第一の分子線源セルの坩堝の放出口
15 第一の分子線源セルの第一のヒータ
16 第一の分子線源セルの第二のヒータ
17 第一の分子線源セルの坩堝の測温素子
18 第一の分子線源セルの坩堝の吸熱塗装
20 第二の分子線源セルの坩堝
21 第二の分子線源セルの坩堝の蒸発材料収納部
22 第二の分子線源セルの坩堝の括れ部
23 第二の分子線源セルの坩堝のテーパガイド部
24 第二の分子線源セルの坩堝の放出口
25 第二の分子線源セルの第一のヒータ
26 第二の分子線源セルの第二のヒータ
27 第二の分子線源セルの坩堝の測温素子
28 第二の分子線源セルの坩堝の閉止部材の吸熱塗装
31 第二の分子線源セルの坩堝の閉止部材
32 第二の分子線源セルの坩堝の絞り孔
a 第一の分子線源セルの蒸発材料
b 第二の分子線源セルの蒸発材料

Claims (6)

  1. 坩堝(10)、(20)内に収納した蒸発材料(a)、(b)を坩堝(10)、(20)の周囲に配置したヒータ(15)、(16)、(25)、(26)で加熱して蒸発し、その分子を放出口(14)、(24)から放出し、基板(33)の成膜面上に堆積させて薄膜を形成する薄膜堆積用分子線源セルにおいて、基板(33)の成膜面に堆積させる主成分となる蒸発材料(a)を収納する坩堝(10)を備える第一の分子線源セル(1)と、基板(33)の成膜面に堆積させる副成分となる蒸発材料(b)を収納する坩堝(20)を備える第二の分子線源セル(2)とを組み合わせてなると共に、これらの坩堝(10)、(20)の蒸発材料(a)、(b)を収納するボトムに近い側の蒸発材料収納部(11)、(21)が円筒形であり、放出口(14)、(24)に近い先端側部分に括れ部(12)、(22)を有し、この括れ部(12)、(22)から放出口(14)、(24)までの部分が次第に内径が増大するテーパを有するテーパガイド部(13)、(23)となっており、ヒータ(15)、(16)、(25)、(26)が、蒸発材料収納部(11)、(21)を加熱する第一のヒータ(15)、(25)と、括れ部(12)、(22)からテーパガイド部(13)、(23)にわたる部分を加熱する第二のヒータ(16)、(26)とに分かれていることを特徴とする薄膜堆積用分子線源セル。
  2. 第一の分子線源セル(1)の坩堝(10)は、蒸発材料収納部(11)の上端部分から括れ部(12)及びテーパガイド部(13)を経て放出口(14)に至る部分に熱吸収性の吸熱塗装(18)が施してあることを特徴とする請求項に記載の薄膜堆積用分子線源セル。
  3. 第二の分子線源セル(2)は、その坩堝(20)の放出口(24)から蒸発材料(b)の分子の放出を制限する絞り孔(32)を有することを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜堆積用分子線源セル。
  4. 第二の分子線源セル(2)の坩堝(20)の絞り孔(32)は、坩堝(20)のテーパガイド部(23)の内周側テーパと同じテーパを有し、同テーパガイド部(23)の中に嵌め込まれたカップ状の閉止部材(31)の底壁に開設されていることを特徴とする請求項に記載の薄膜堆積用分子線源セル。
  5. 第二の分子線源セル(2)の坩堝(20)は、そのテーパガイド部(23)の内側に嵌め込まれたカップ状の閉止部材(31)に熱吸収性の吸熱塗装(28)が施してあるか、或いはカップ状の閉止部材(31)が熱吸収性の吸熱材料からなることを特徴とする請求項に記載の薄膜堆積用分子線源セル。
  6. 坩堝(10)、(20)は、その蒸発材料収納部(11)、(21)の底部側に巻いた測温素子(17)、(27)により温度が測定されることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の薄膜堆積用分子線源セル。
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