JP3615662B2 - 床材 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、床材に関し、さらに詳しくは防音性能が良好でかつ歩行感に優れ、且つ、床スラブに対し直接貼着するのに好適な床材に関する。なお、本発明において床材及び連続発泡層の「表面側」とは、敷設したときに直接、又は化粧シートを介して、表面に露出する側をいい、「裏面側」とは、コンクリートスラブ等に敷設される側をいう。
【0002】
【従来の技術】
従来、集合住宅の床材としては、カーペット、ジュウタン等がよく用いられていた。しかし、カーペットやジュウタンは、カビやダニが発生しやすく、かつ汚れ易い事から、近年、掃除がし易く、衛生的な硬質板状体を用いた床材の要望が高まっている。
しかしながら、硬質板状体を用いた床材は、衝撃による音が発生しやすく、階下への生活音つまり歩行音や物の落下音が伝わりやすいという問題点を有していた。
【0003】
上記のような問題点を解消する方法として硬質板状体裏面に発泡体や、不織布等の多孔体を緩衝層として積層した床材が数多く提案されている。例えば実公昭52ー30125号公報に記載の床材は、硬質板状体の裏面に、発泡倍率3〜10倍の軟質高発泡体および1.5〜3倍未満の軟質低発泡体を順次形成した床材である。また、実公平3ー21395号公報に記載の床材は、硬質板状体の裏面に隣接する上下の緩衝層の発泡倍率を相互に異ならせたものであり、この緩衝層が10〜50倍の高発泡層と5〜20倍の低発泡層とからなる床材である。衝撃力を受けた場合、これらの緩衝層は変形し、衝撃作用時間が延長することにより、衝撃力のピーク値や衝撃固有周波数を低下させ、衝撃による音や振動の伝搬を防止し、防音性を向上させるものであるが、硬質板状体の剛性が大きいため、高い防音性を発現するためには緩衝層を厚くする必要がある。したがって、防音性の高い床材は荷重に対する沈み込みが大きくなり、床材上面の歩行時に『船酔い現象』と称される違和感を覚えるという新しい問題が発生した。
【0004】
一方、沈み込みの小さい床材として、例えば実開昭56ー3945号公報では、厚さ0.3〜15mmの硬質板状体の裏面に20〜100mmの発泡体を積層した床材が提案されている。しかしながら、通常使用される均質な発泡体では、力学的に等方性を有し、沈み込みを小さくするために高い圧縮弾性率を付与すると曲げ弾性率がおのずと高くなり、高い防音性は期待できない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、防音性と沈み込みという2つの相反する問題点があり、高い防音性を付与するためには、緩衝性を大きく付与する高倍率の発泡合成樹脂シートの厚みを増加する必要があるが、防音性と沈み込み防止を両立することは困難であった。
【0006】
本発明の目的は、上記の問題を解決し、防音性能と歩行感を両立しながら、施工性も優れた床材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の床材は、熱可塑性樹脂発泡体の片面に硬質板状体が積層されてなる床材であって、上記熱可塑性樹脂発泡体が、シート状の連続発泡層と、該連続発泡層の少なくとも一面に複数配置された高発泡部と、該高発泡部の全表面を上記連続発泡層と共に被覆する低発泡薄膜とからなり、
上記低発泡薄膜により被覆された高発泡部が、上記連続発泡層から凸状に形成され、相隣接する高発泡部間が凹状に形成されることにより、熱可塑性樹脂発泡体裏面に凹凸が形成されているものである。
【0008】
請求項2記載の床材は、熱可塑性樹脂発泡体の片面に硬質板状体が積層されてなる床材であって、上記熱可塑性樹脂発泡体が、シート状の連続発泡層と、該連続発泡層の裏面上に複数配置された高発泡部と、該高発泡部全表面を上記連続発泡層と共に被覆する低発泡薄膜とからなり、上記高発泡部は連続発泡層から凸状に形成され、相隣接する高発泡部間が凹状に形成されていると共に、各高発泡部に接する連続発泡層の表面側は凹状に形成されているものである。
【0009】
請求項1又は2に記載の発明に係る床材において、請求項3に記載のように、高発泡部の少なくとも一部分同士が、低発泡薄膜を介して、相互に連設されているものが好ましい。
【0010】
上記請求項3に記載の発明に係る床材において、低発泡薄膜を高発泡部に順次接着してもよいが、請求項4に記載のように、高発泡部の少なくとも一部分同士が、熱融着した低発泡薄膜を介して、相互に連設されているものが好ましい。
【0011】
上記請求項1〜4に記載の発明に床材において、請求項5に記載のように、上記熱可塑性樹脂よりなる複数の高発泡部は、格子状、又は、千鳥状に配置されているものが好ましい。
【0012】
上記請求項1〜5に記載の発明に係る床材において、高発泡部側の、凸状形成部分の高さが凹状形成部分から3mm以上突設されているのが好ましい。
【0013】
上記請求項1〜6に記載の発明に係る床材において、床材を、高発泡部を裏面側として平板上に載置したときに、高発泡部の凸状形成部分の平板に対する接触面積が、硬質板状体の断面積の10〜70%であるのが好ましい。
【0014】
上記請求項1〜7に記載の発明に係る床材において、熱可塑性樹脂発泡体の体積が、該熱可塑性樹脂発泡体を外接しうる最小の直方体の体積に対して50〜90%(以下、この比率を「充填率」という)であるのが好ましい。
【0015】
上記請求項1〜8に記載の発明に係る床材において、上記熱可塑性樹脂発泡体を形成するシート状体の一面に硬質板状体が積層され、他面側に、高発泡部が突設されているのが好ましい。
【0016】
上記請求項1〜9に記載の発明に係る床材において、熱可塑性樹脂発泡体の裏面に不陸吸収層が形成されているのが好ましい。
【0017】
上記請求項1〜10に記載の床材は、硬質板状体を表面としたときに、裏面側が床スラブに対し直接貼着されるのが好ましい。
【0018】
[熱可塑性樹脂発泡体に用いられる熱可塑性樹脂]
請求項1〜11に記載の発明の床材において、熱可塑性樹脂発泡体を構成する連続発泡層、低発泡薄膜及び高発泡部に用いられる熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではない。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(以下、「ポリエチレン」とは、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、又はこれらの混合物をいう。)、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ブロック状ポリプロピレン(以下、「ポリプロピレン」とは、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ブロック状ポリプロピレン、又はこれらの混合物をいう。)等のオレフィン系樹脂及びこれらの共重合体;ポリエチレンビニルアセテート、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、及びこれらの共重合体等が挙げられ、これらは、単独で用いられても、併用されてもよい。
【0019】
上記熱可塑性樹脂の中でも、熱安定性、転写性に優れているため凹凸を形成し易い、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂またはこれらの混合物が好ましく、表面平滑性と、得られる床材の歩行時の沈み込みの防止を両立するためには、高密度ポリエチレン、ホモポリプロピレンまたはこれらの少なくとも一方を含む混合物が特に好ましい。
【0020】
さらに、上記熱可塑性樹脂は、一部が架橋されたものであつことが好ましい。架橋されることによって、発泡時の破泡が防止でき、発泡倍率が増加し、床材の軽量化につながるからである。
【0021】
上記熱可塑性樹脂発泡体を構成する連続発泡層、高発泡体及び低発泡薄膜に用いられる樹脂は、同一の樹脂である必要性はないが、得られる床材が歩行時及び重量物を載置したときに破壊しにくい点から、同種の樹脂を用いることが好ましい。この際、特に高発泡体及び低発泡薄膜に用いられる樹脂は、同一の樹脂で形成されるのが接着性の点で好ましい。
【0022】
[熱可塑性樹脂発泡体の形態]
本発明の熱可塑性樹脂発泡体の形態は、シート状の連続発泡層と、該連続発泡層の少なくとも片面上に複数配置された高発泡部と、該高発泡部表面を前記連続発泡層と共に被覆する低発泡薄膜からなり、さらに前記高発泡部は連続発泡層に対して各々凸状に形成されているものである。
【0023】
上記熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率は、低すぎると、床材の軽量化が図れず、高すぎると、床材の沈み込み量が増加するので、2〜30倍が好ましく、より好ましくは3〜20倍、さらに好ましくは5〜10倍である。
【0024】
上記熱可塑性樹脂発泡体の厚みは、薄すぎると防音性能が低下し、厚すぎると床材の沈み込み量が増加するので、3〜50mmが好ましく、さらに好ましくは3〜30mm、特に好ましくは5〜10mmである。
【0025】
上記連続発泡層の発泡倍率は、低すぎると、床材の軽量化が困難になり、且つ弾性率が増大するため、防音性能が低下し、高すぎると床材の沈み込み量が増加し、又、歩行時及び重量物を載置したときに破壊しやすくなるので、1.1〜10倍が好ましく、さらに好ましくは2〜8倍であり、2〜7倍が特に好ましい。
【0026】
上記連続発泡層の厚みは、薄すぎると、得られる床材が歩行時及び重量物を載置したときに破壊しやすくなり、厚すぎると相対的に熱可塑性樹脂発泡体中に占める割合が増え、床材の軽量化が困難になり、防音性能が低下するので、100μm〜5mmが好ましく、さらに好ましくは300μm〜3mmであり、500μm〜2mmが特に好ましい。
なお、連続発泡層の厚みは、均一である必要はなく、不均一であっても良い。また、連続発泡層は、完全な平板である必要はなく、多少の凹凸があってもよい。ここで、連続発泡層の厚みとは、熱可塑性樹脂発泡体の厚さ方向に平行な断面の連続発泡層平均厚さをいう。
【0027】
上記高発泡体の発泡倍率は、低すぎると、床材の軽量化が困難になり、且つ弾性率が増大するため、防音性能が低下し、高すぎると床材の沈み込み量が増加し、又、歩行時及び重量物を載置したときに破壊しやすくなるので、2〜100倍が好ましく、さらに好ましくは5〜50倍であり、10〜35倍が特に好ましい。
【0028】
上記高発泡体の大きさは、小さすぎると床材の軽量化が困難になり、大きすぎると得られる床材が歩行時及び重量物を載置したときに破壊しやすくなるので3〜50mmが好ましく、さらに好ましくは5〜30mmである。
なお、高発泡部の大きさは、均一である必要はなく、不均一であってもよい。
ここで、高発泡部の大きさとは、熱可塑性樹脂発泡体の厚さ方向に平行な断面の大きさの最大値をいう。
【0029】
上記低発泡薄膜の発泡倍率は、低すぎると、床材の軽量化が困難になり、且つ弾性率が増大するため、防音性能が低下し、高すぎると床材の沈み込み量が増加し、又、歩行時及び重量物を載置したときに破壊しやすくなるので、1.1〜10倍が好ましく、さらに好ましくは1.2〜7倍であり、1.2〜5倍が特に好ましい。
【0030】
上記低発泡薄膜の厚みは、薄すぎると高発泡体部分が相対的に大きくなり、得られる床材の圧縮強度が低下し、厚すぎると防音性能が低下するので、30〜500μmが好ましく、さらに好ましくは40〜400μmであり、50〜400μmが特に好ましい。
なお、低発泡薄膜の厚みは、均一である必要はなく、不均一であってもよい。ここで、低発泡薄膜の厚みとは、熱可塑性樹脂発泡体の熱可塑性樹脂発泡体の厚さ方向に平行な断面の平均厚さをいう。
【0031】
前記高発泡部は連続発泡体の片面上に配置されることが一般的であるが、両面に配置されても良い。
【0032】
前記高発泡部は連続発泡層に対して凸状に形成される。
上記高発泡部の凸状に形成された部分の高さは、低すぎると高い防音性能が得られないため、連続面に対して1mm以上が好ましく、より好ましくは2mm以上、さらに好ましくは3mm以上である。
【0033】
各高発泡部に対応する連続発泡体の裏面側は、凹状に形成されることが好ましく、凹状に形成されている場合、凹部の深さは、大きすぎると高い圧縮強度を発現することが困難となり、沈み込み量が増加し、低すぎると十分な防音性が得られないため、1〜5mmが好ましく、より好ましくは1〜3mmである。
【0034】
上記高発泡部の少なくとも一部分同士が、低発泡薄膜を介して、相互に連設されているものが好ましい。低発泡薄膜を介して、少なくとも一部分で相互に連設している場合は、個々の低発泡薄膜を介した個々の高発泡部の密着性が向上し、床材上に重量物が積載された場合に破壊しにくくなるために好ましい。
【0035】
上記高発泡部の少なくとも一部分同士を、低発泡薄膜を介して、相互に連設させる方法としては、接着材による、接着等が考えられるが、熱可塑性樹脂で形成されていることから、熱融着が床材の成形性の点から最も好ましい。
【0036】
熱可塑性樹脂発泡体の厚み精度、重量精度の向上及び圧縮強度のバラツキの低減のためには、複数の高発泡体が発泡体横断面方向において平面的に略均一に配置されることが好ましい。もっとも、複数の高発泡体を平面的に略均一に配置する態様としては、特に限定されるものではなく、格子状に配置されていてもよく、千鳥状に配置されていてもよい。
【0037】
複数高発泡体が格子状に配置されている場合には、個々の高発泡体が四角柱の形状となり、床材に形成した際に沈み込み量が減少するため、発泡性熱可塑性樹脂粒状体は格子状に配置されることが好ましい。
【0038】
また、複数の高発泡体が、千鳥配置されている場合、複数の六角柱状の高発泡体が低発泡薄膜を介して熱融着されている構造となり、全体としてハニカム状の熱可塑性樹脂発泡体が得られることになり、沈み込み量が特に少ない床材となるため特に好ましい。
【0039】
また、本発明の低発泡薄膜で外表面を被覆された高発泡部の凸状に形成された部分の平板に対する接触面積比は、10〜70%が好ましく、大きすぎると防音性が低下し、小さすぎると床材の沈み込み量が増大する。
【0040】
また、本発明の熱可塑性樹脂発泡体の充填率は、小さすぎると、高い圧縮強度を示す事ができず、沈み込み量が増加し、大きすぎると、防音性が低下することから、30〜90%が好ましく、50〜90%が特に好ましい。
【0041】
〔熱可塑性樹脂発泡体の製造方法〕
上記熱可塑性樹脂発泡体の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、発泡剤を含有した発泡性熱可塑性樹脂ペレットを発泡させ融着面を除いた外表面を熱可塑性樹脂よりなる低発泡薄膜が被覆している、熱可塑性樹脂よりなる複数の高発泡部を成形し、これを互いに低発泡薄膜を介して熱融着した後、別工程で成形した熱可塑性樹脂よりなる連続発泡層を熱融着させた後、熱プレス等で凹凸状に成形する方法等が挙げられるが、後述する、発泡剤を含有している発泡性熱可塑性樹脂粒状体が平面的に略均一に配置されており、かつ前記発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡性熱可塑性樹脂薄膜を介して一体的に連結されている発泡性熱可塑性樹脂シート状体を、前記発泡剤の分解温度以上に加熱し発泡させる工程と、発泡して得られる発泡体が完全充填される以上の空隙を有する冷却型内で冷却する工程とを備える方法が最も好ましい。
【0042】
発泡性熱可塑性樹脂シート状体を発泡させると、発泡性熱可塑性樹脂粒状体の部分が発泡するが、このとき、熱可塑性樹脂粒状体の外表面は発泡により生じる気泡を保持し難いため、内部に比べ発泡倍率が低くなり、低発泡薄膜となる。この結果、粒状体の内部の高い発泡倍率の高発泡部の外表面を低発泡薄膜が被覆した状態となる。また発泡性熱可塑性樹脂シート状体の粒状体を連結している発泡性熱可塑性樹脂薄膜は、連続発泡層となり、この連続発泡層の上に高発泡部が複数配置された状態となる。なお、連続発泡層も厚みが薄く、気泡保持が困難になるため低発泡になる。このような低発泡薄膜は、粒状体の内部の発泡により、隣接する粒状体の低発泡薄膜と近接し熱融着するわけであるが、発泡後冷却する冷却装置の隙間を、発泡膨張する熱可塑性樹脂シート状体が完全充填される以上に設定する事で融着が一部分のみ進行し、完全充填でない凹凸状の熱可塑性樹脂発泡体が得られる。
【0043】
[発泡性熱可塑性樹脂シート状体等に用いられる熱可塑性樹脂]
上記発泡性熱可塑性樹脂シート状体を構成する発泡性熱可塑性樹脂粒状体及び発泡性熱可塑性樹脂薄膜に用いられる熱可塑性樹脂としては、上記熱可塑性樹脂樹脂発泡体に使用される樹脂と同様のものが使用される。
【0044】
上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体に用いられる熱可塑性樹脂と、発泡性熱可塑性樹脂薄膜に用いられる熱可塑性樹脂とは、同一の樹脂である必要性はないが、発泡性及び接着性等の観点から、同種の樹脂を用いることが好ましい。
【0045】
上記発泡性熱可塑性樹脂シート状体に用いられる熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂樹脂発泡体の項で述べたように、発泡倍率の向上及び得られる熱可塑性樹脂発泡体の軽量化を図り得るため、架橋されているものを用いることが好ましい。架橋方法としては、特に限定されず、例えば、▲1▼シラングラフト重合体を熱可塑性樹脂に溶融混練後、水処理を行い、架橋する方法、▲2▼熱可塑性樹脂に過酸化物を該過酸化物の分解温度より低い温度で溶融混練後、過酸化物の分解温度以上に加熱して架橋する方法、▲3▼放射線を照射して架橋する方法等が挙げられる。但し、後述する高架橋樹脂と、低(無)架橋樹脂を得るためには、▲1▼のシラングラフト重合体を用いた架橋方法が好ましい。
【0046】
上記シラングラフト重合体としては、特に限定されず、例えば、シラングラフトポリエチレンやシラングラフトポリプロピレン等を例示することができる。
【0047】
前述の水処理方法は、水中に浸漬する方法のほか、水蒸気にさらす方法も含まれ、かかる場合、100℃より高い温度で処理する場合には、加圧下において行ってもよい。
【0048】
上記水処理の際の水及び水蒸気の温度が低いと、架橋反応速度が低下し、また、高すぎると発泡性熱可塑性樹脂が熱でくっついてしまうので、50〜130℃が好ましく、90〜120℃が特に好ましい。
【0049】
また、水処理する際の時間が短いと、架橋反応が完全に進行しない場合があるので、水処理時間は0.5〜12時間の範囲とすることが好ましい。
【0050】
シラングラフト重合体を混合する方法は、均一に混合し得る方法であれば、特に限定されない。例えば、熱可塑性樹脂及びシラングラフト重合体を1軸または2軸押出機に供給し、溶融混練する方法、ロールを用いて溶融混練する方法、ニーダーを用いて溶融混練する方法等が挙げられる。
【0051】
シラングラフト重合体の添加量が多すぎると、架橋がかかりすぎ、得られる熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率が低下し、また、少なすぎると、セルが破泡し、均一な発泡セルが得られなくなるので、シラングラフト重合体の添加量は、全熱可塑性樹脂中5〜50重量%が好ましく、10〜35重量%が特に好ましい。
【0052】
また、シラングラフト重合体を用いてシラン架橋する場合には、必要に応じてシラン架橋触媒を用いてもよい。シラン架橋触媒は、シラングラフト重合体同士の架橋反応を促進するものであれば、特に限定されず、例えば、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、オクタン酸錫、オレイン酸錫、オクタン錫鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、オクタン酸コバルト、ナフテン酸鉛、カブリル酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
【0053】
上記シラン架橋触媒の添加量が多くなると、得られる熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率が低下し、また、少なくなると、架橋反応速度が低下し、水処理に時間を要するので、上記熱可塑性樹脂100重量部に対して、シラン架橋触媒の添加量は、0.001〜10重量部の範囲が好ましく、0.01〜0.1重量部がより好ましい。
【0054】
上記発泡性熱可塑性樹脂は、上述したように特に限定されないが、発泡剤と、互いにほとんど相溶性を有しない高架橋熱可塑性樹脂と低架橋もしくは無架橋熱可塑性樹脂との混合物よりなる。この場合、発泡時には低架橋もしくは無架橋樹脂が流動し易いので、得られる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の凹凸部が形成しやすいので特に好ましい。
【0055】
高架橋熱可塑性樹脂と低架橋又は無架橋熱可塑性樹脂における高架橋及び低架橋とは、双方の架橋度の大小により決定される相対的な表現であり、2つの架橋樹脂組成のうち、相対的に高架橋の熱可塑性樹脂を高架橋熱可塑性樹脂といい、他方を低架橋又は無架橋熱可塑性樹脂という。
【0056】
上記互いにほとんど相溶性を有さない上記2種の熱可塑性樹脂に使用される熱可塑性樹脂(架橋前)としては、前述した熱可塑性樹脂のうち2種類(以下、樹脂そのものの架橋性能ではなく、高架橋熱可塑性樹脂を形成する樹脂を「高架橋性樹脂」、低架橋あるいは無架橋熱可塑性樹脂を形成する樹脂を「低(無)架橋性樹脂」という)を適宜選択して用いることができるが、上記高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋もしくは無架橋熱可塑性樹脂が互いに相溶せずに均一微細に分散するためには、高架橋性樹脂と低(無)架橋性樹脂の熱可塑性樹脂の溶解度パラメーターの差が0.1〜2.0であることが好ましく、0.2〜1.5であることがさらに好ましい。
【0057】
溶解度パラメーターの差が2.0を超えると、架橋して得られる高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋あるいは無架橋熱可塑性樹脂が非常に粗く分散するため、得られる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率が低下する。他方、溶解性パラメーターの差が0.1より小さいと、架橋して得られる高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋あるいは無架橋熱可塑性樹脂の相溶性が高くなり、得られる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の表面平滑性が低下する。
【0058】
上記溶解性パラメーターは、σ=ρΣFi/Mにより求めた値をいう。なお、ρは樹脂成分の密度、Mは樹脂成分を構成するモノマーの分子量、Fiは、モノマーの構成グループのモル吸引数である。
【0059】
上記、高架橋性樹脂と、低(無)架橋性樹脂のメルトインデックス(MI)の差が、大きくなると、架橋して得られる高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋あるいは無架橋熱可塑性樹脂とが非常に粗く分散するため、得られる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率が低下し、小さくなると、架橋して得られる高架橋熱可塑性樹脂と低架橋あるいは無架橋熱可塑性樹脂の相溶性が高くなり、得られる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の凹凸を形成することが困難になることがあるため、高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋あるいは無架橋熱可塑性樹脂とが互いに相溶せずに均一微細に分散し、かつ高発泡倍率の熱可塑性樹脂発泡体を得るには、MIの差は5〜13g/10分が好ましく、7〜11g/10分がより好ましい。
【0060】
なお、本明細書におけるMIは、JIS K7210に従って、測定された値である。
架橋して得られる高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋あるいは無架橋熱可塑性樹脂とが均一微細に分散し、かつ表面平滑性に優れた高発泡倍率の熱可塑性樹脂発泡体を得るためには、高架橋性樹脂と、低(無)架橋性樹脂との混合比率は重量比で、2:8〜8:2であることが望ましく、4:6〜6:4がより好ましい。
【0061】
高架橋熱可塑性樹脂の架橋度が高すぎると、架橋がかかりすぎ、得られる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率が低下し、逆に、低すぎると発泡時にセルが破泡し、均一なセルが得られないことがあるので、架橋度の指標となるゲル分率で5〜40重量%が好ましく、10〜30重量%がより好ましい。
【0062】
低架橋又は無架橋熱可塑性樹脂の架橋度が高いと、架橋がかかりすぎ、得られる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の流動性が低下し、凹凸を形成しにくくなることがあるので、架橋度の指標となるゲル分率で5重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましい。
【0063】
なお、本明細書におけるゲル分率とは、架橋樹脂成分を120℃のキシレン中に24時間浸漬した後の残渣重量のキシレン浸漬前の架橋樹脂成分の重量に対する重量百分率をいう。
【0064】
互いにほとんど相溶性を有さない、高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋又は無架橋熱可塑性樹脂の混合物を調製する方法としては、上記2種類の熱可塑性樹脂を混合し、高架橋性樹脂のみを、又は低(無)架橋性樹脂より高架橋性樹脂を優先的に架橋することにより達成される。
【0065】
高架橋性樹脂のみを、又は低(無)架橋性樹脂より高架橋性樹脂を優先的に架橋する方法としては、例えば、▲1▼高架橋性樹脂のみを、又は低(無)架橋性樹脂より高架橋性樹脂を優先的に架橋する架橋剤を用いて架橋する方法、▲2▼第1段階で、架橋性官能基を有する、高架橋性樹脂と同種の架橋性樹脂とを混合して架橋して、高架橋熱可塑性樹脂を形成させた後、第2段階で、これを無架橋性樹脂と混合する方法等が挙げられる。
【0066】
もっとも、高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋あるいは無架橋熱可塑性樹脂とが均一微細に分散できること、高架橋性樹脂を優先的に架橋し易いこと、並びに熱可塑性樹脂を容易に調製し得ることから、高架橋性樹脂とほとんど同じメルトインデックスを有し、かつ架橋性官能基を有する、高架橋性樹脂と同種の架橋性樹脂を、高架橋性樹脂及び低架橋性樹脂と共に混合した後、架橋させる方法が最も好ましい。
【0067】
高架橋性樹脂とほとんど同じメルトインデックスを有した架橋性官能基を有する高架橋性樹脂と同種の架橋性樹脂としては、反応性官能基を有し、架橋することができる熱可塑性樹脂であれば特に限定されない。このような官能基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基等の不飽和基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、シラネート基等を有する前述した熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0068】
上記架橋性樹脂の具体的な例としては、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、シラン変性ポリエチレン、シラン変性ポリプロピレン等が挙げられる。高架橋性樹脂のみに、又は低(無)架橋性樹脂より高架橋性樹脂を優先的に架橋することが容易なこと、及び混合後の架橋が容易なことから、シラン変性ポリエチレン、シラン変性ポリプロピレンが最も好ましい。
【0069】
高架橋性樹脂と架橋性樹脂のメルトインデックスの差が、大きいと高架橋性樹脂のみに、又は低(無)架橋樹脂より高架橋性樹脂を優先的に架橋することが困難になるため、上記メルトインデックスの差は2g/10分以下が好ましく、1g/10分以下がさらに好ましい。
【0070】
上記架橋性官能基を有する架橋性樹脂を架橋する方法としては、過酸化物を用いて架橋する方法、イソシアネートを用いて架橋する方法、アミンを用いて架橋する方法、反応性官能基を加水分解した後、水架橋する方法等が挙げられる。
【0071】
混合後の架橋が容易なことから、反応性官能基を加水分解した後水架橋する方法が最も好ましい。
【0072】
[発泡剤]
上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体及び発泡性熱可塑性樹脂薄膜に含有される発泡剤として熱分解型発泡剤が用いられる。
【0073】
上記熱分解型発泡剤としては、用いられる熱可塑性樹脂の溶融温度より高い分解温度を有するものであれば、特に限定されず、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、アジド化合物、ほう水素化ナトリウム等の無機系熱分解型発泡剤;アゾジカルボンアミド、アゾビスホルムアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウム、ジアゾアミノベンゼン、N,N´−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、Pートルエンスルホニルヒドラジド、P,P´−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、トリヒドラジノトリアジン等が挙げられ、分解温度や分解速度の調整が容易でガス発生量が多く、衛生上優れているアゾジカルボンアミドが好ましい。
【0074】
上記熱分解型発泡剤の添加量が多すぎると、破泡し、均一なセルが形成されず、逆に少なすぎると十分に発泡しなくなることがあるため、熱分解型発泡剤は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、1〜25重量部の割合で含有させることが好ましい。
【0075】
[他に添加し得る成分]
熱可塑性樹脂発泡体の強度を高めるために、上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体及び発泡性熱可塑性樹脂薄膜に用いられる上記熱可塑性樹脂には、必要に応じて、ガラス短繊維、炭素短繊維、ポリエステル短繊維等の補強材;炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ガラスパウダー等の充填材等を添加してもよい。
【0076】
また、上記充填剤を添加する場合、添加量が多いと、発泡時にセルが破壊し、高発泡倍率の発泡体を得ることができず、また、少ないと、得られる発泡体を補強する効果が充分に得られないことがある。従って、充填剤の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、100重量部以下が好ましく、50重量部以下が特に好ましい。
【0077】
[発泡性熱可塑性樹脂シート状体]
発泡性熱可塑性樹脂シート状体は、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が平面的に略均一に配置しており、上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡性熱可塑性樹脂薄膜を介して一体的に連結されているものである。上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体の形状は、特に限定されず、例えば、六方体、円柱状、球状体などが挙げられるが、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡する際に、発泡を均一に行わせるには、円柱状が最も好ましい。
【0078】
発泡性熱可塑性樹脂粒状体が円柱状の場合、その径は、目的とする凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率や厚さ等によっても異なるため特に限定されるものではないが、大きすぎると発泡速度が低下し、小さすぎると発泡時の加熱で円柱が溶融・変形し、変形しやすく一次発泡性を発現できなくなり、厚み精度、重量精度のばらつきが大きくなる。従って、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が円柱の場合、その径は、1〜30mmが好ましく、2〜20mmの範囲が特に好ましい。
【0079】
発泡性熱可塑性樹脂粒状体が円柱状の場合、その高さは、目的とする熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率や厚さ等によっても異なるため特に限定されるものではないが、高すぎると発泡速度が低下し、低すぎると発泡性熱可塑性樹脂薄膜と同時に発泡するため、幅方向及び長手方向において大きく膨張することになる。従って、円柱状の発泡性熱可塑性樹脂粒状体の高さは1〜30mmが好ましく、より好ましくは2〜20mmである。
【0080】
発泡性熱可塑性樹脂粒状体間の距離は、目的とする熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率や厚さ等によっても異なるため、特に限定されるものではないが、上記距離が長すぎると発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡した時に充填不足が大きく発生する可能性があり、短すぎると完全充填してしまう。従って、発泡性熱可塑性樹脂粒状体間の中心間距離は、2〜50mmが好ましく、より好ましくは3〜30mmである。
【0081】
最終的に得られる熱可塑性樹脂発泡体の厚み精度、重量精度を向上し、凹凸形状と発泡倍率を均一化するには、上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体は、発泡性熱可塑性樹脂シート状体において平面的に略均一に配置されることが必要である。もっとも、熱可塑性樹脂粒状体を平面的に略均一に配置する態様としては、特に限定されるものではなく、格子状に配置されていてもよく、千鳥状に配置されていてもよい。発泡性熱可塑性樹脂粒状体が格子状に配置されている場合には、個々の発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡して得られる高発泡部が四角柱の形状となり、凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の緩衝性が均一となり、かつ圧縮強度も十分な値とされるため、発泡性熱可塑性樹脂粒状体は格子状に配置されることが好ましい。
【0082】
また、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が千鳥状に配置されている場合には、個々の発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡して得られる高発泡部が六角柱の形状となるため、擬似的なハニカム構造を構成することになる。そのため、得られる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の緩衝性が均一となり、圧縮強度も十分なものとなる。従って、好ましくは、発泡性熱可塑性樹脂粒状体は、千鳥状に配置される。
【0083】
発泡性熱可塑性樹脂薄膜の厚みは、目的とする熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率や厚み等によっても異なるため、特に限定されるものではないが、厚くなりすぎると、発泡時に発泡性熱可塑性樹脂粒状体を移動させ、幅方向及び長手方向における膨張が大きくなり、薄すぎると発泡性熱可塑性樹脂粒状体を保持できなくなる。従って、発泡性熱可塑性樹脂薄膜の厚みは、0.05〜3mmが好ましく、より好ましくは0.1〜2mmである。
【0084】
[発泡性熱可塑性樹脂シート状体の製造方法]
上記発泡性熱可塑性樹脂シート状体の製造方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、1)発泡性熱可塑性樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂及び発泡剤などを射出成形機に供給し、熱分解型発泡剤の分解温度より低い温度で溶融混練し、発泡性熱可塑性樹脂粒状体の形状に応じた凹部を有する金型に射出した後冷却する方法等が挙げられるが、2)発泡性熱可塑性樹脂シート状体を構成する熱可塑性樹脂及び発泡剤などを押出機に供給し、熱分解型発泡剤の分解温度より低い温度で溶融混練した後、軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂を、該シート状発泡性熱可塑性樹脂の厚みより狭いクリアランスを有し、少なくとも一方の外周面に多数の凹部が均一に配設された異方向に回転する一対の賦形ロールに導入し、前記凹部に軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂の一部を圧入した後、冷却、離型する方法が最も好ましい。
【0085】
上記2)の方法をさらに詳しく説明する。
先ず、軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂を得るには、通常、押出機により発泡性熱可塑性樹脂を溶融混練押出しする方法やカレンダーロールを用いて溶融化する方法が挙げられ、押出機を用いた溶融化が連続重量精度、定量性の点から最も好ましい。
【0086】
軟化状態の発泡性熱可塑性樹脂の形態は、連続的に成形できる形態であれば特に限定されず、シート形態、多数のストランド形態等が挙げられるが、流れ直角方向(幅方向)の定量性の点からシート形態が最も好ましい。
【0087】
賦形ロールの外周面の凹部の配設は、得られる発泡性熱可塑性樹脂シート状体の重量精度、厚み精度の向上の為、略均一的に配置されることが好ましい。賦形ロールの外周面の凹部の配設は、賦形ロール外周面全体で均一的にあれば特に限定されないが、より均一であることから、格子又は千鳥に配設されていることが最も好ましい。
【0088】
賦形ロールの外周面の凹部の形状は、特に限定されず、例えば、六方体状、円柱状、球状体等が挙げられるが、凹部を成形し易い点、発泡性熱可塑性樹脂粒状体を均一に成形し易い点、冷却後の離型が行い易い点から円柱状が最も好ましい。
【0089】
賦形ロールの外周面の凹部の形状が円柱状であるとき、円柱の径は、目的とする発泡性熱可塑性樹脂シート状体の形状により変化するため、特に限定されないが、大きすぎると冷却後の離型が行い難く、発泡性熱可塑性樹脂薄膜が破れ、小さすぎると冷却後の離型時に発泡性熱可塑性樹脂粒状体が破壊するため、1mm〜30mmが好ましく、2mm〜20mmが特に好ましい。
【0090】
賦形ロールの外周面の凹部の形状が円柱状であるとき、円柱の高さは、目的とする発泡性熱可塑性樹脂シート状体の形状により変化するため、特に限定されないが、高すぎると冷却後の離型が行い難く、発泡性熱可塑性樹脂薄膜が破れ、低すぎると一次元発泡を行える発泡性熱可塑性樹脂シート状体が形成できないため、1mm〜30mmが好ましく、2mm〜20mmが特に好ましい。
【0091】
賦形ロールのクリアランスは、軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂の厚みより狭いことが必要である。よって、この範囲であれば、目的とする発泡性熱可塑性樹脂シート状体の形状により変化するため、特に限定されないが、厚すぎると、一次元発泡を行える発泡性熱可塑性樹脂シート状体が形成できなくなり、薄すぎると冷却後の離型時に発泡性熱可塑性樹脂薄膜が破れ易いため、0.05mm〜3mmが好ましく、0.1mm〜2mmが特に好ましい。
【0092】
軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂の一部を凹部への圧入する方法は、1対の賦形ロールのクリアランスを変化させないことにより、軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂に賦形ロールからの圧力が付与されて成し遂げられる。
【0093】
一部を圧入され賦形された軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂の冷却方法は、発泡性熱可塑性樹脂の融点以下に下げることができれば、特に限定されず、例えば賦形ロール内部に冷却水を流すなどの方法がある。
【0094】
[硬質板状体]
本発明1〜11に使用される硬質板状体は、床材に通常負荷される荷重で容易に破損、損傷を起こさない材料であれば特に限定されず、例えば、
1)木単板、合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)、高密度繊維板(HDF)、ハードボード、平行合板(L.V.L)等の木質材料、
2)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂などよりなる樹脂材料、
3)繊維強化熱硬化樹脂、繊維強化熱可塑性樹脂などの複合材料、
等が挙げられる。
【0095】
上記硬質板状体には、必要に応じて、突板、合成樹脂又は合成樹脂発泡シート、化粧紙、合成樹脂含浸シートなどの表面化粧材を接着、積層してもよい。さらに意匠性、木質感、耐傷性などを付与するために、印刷、塗装、着色、コーティング等を行ってもよい。
【0096】
上記硬質板状体には、熱可塑性樹脂発泡体との積層面に任意方向に延長する凹溝が設けられてもよく、これにより硬質板状体の曲げ剛性をさらに低下させ、防音性をより向上させることが可能である。凹溝の形状は通常U字状、V字状、コの字状等に形成され、その溝幅は、1〜5mm、その溝深さは1〜5mm程度である。
【0097】
上記硬質板状体には、その周縁の全部または一部に、実矧ぎ、相欠きなど従来公知の接合法のための加工が施されていてもよい。
【0098】
硬質板状体の厚みは、薄すぎると、歩行時や重量物載置時に破壊しやすく、厚すぎると防音性が低下するため、2〜12mmが好ましく、より好ましくは2〜9mmであり、もっとも好ましくは2〜6mmである。
【0099】
上記硬質板状体の厚みと熱可塑性樹脂発泡体の厚みとの比は、硬質板状体の厚みが熱可塑性樹脂発泡体の厚みに比べて、厚すぎると床材の剛性が増加するため防音性が低下し、又、薄すぎると歩行時や重量物載置時に破壊しやすくなるので、硬質板状体の厚みに対し、好ましくは、1〜10倍、さらに好ましくは1〜5倍、最も好ましくは1〜3倍である。
【0100】
床材の厚みは、特に限定されないが、厚すぎると部屋の天井が低くなり、且つ歩行時の沈み込みも大きくなるため、65mm以下であることが好ましい。
【0101】
本発明9の床材は、硬質板状体が、連続発泡層の高発泡部が配置された面と反対の面に積層されている床材であるが、このような床材では防音性がさらに向上しより好ましい。
【0102】
[他に積層される材料]
請求項1〜9記載の記載の床材には、例えば、硬質板状体と硬質発泡体との間に、必要に応じ緩衝性、制振性、遮音性等の向上のために積層される樹脂シート、織布、不織布又は、発泡シートが積層されてもよい。
【0103】
上記緩衝性、制振性、遮音性等の向上のために積層される樹脂シートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂及びこれらの共重合体の樹脂シート:不飽和ポリエステル、ウレタン、エポキシ等の熱硬化性樹脂の樹脂シート、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンーブタジエンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレンープロピレンゴム等の加硫、非加硫ゴムの樹脂シートなどが挙げられる。
また、上記樹脂シートには、上記樹脂に無機、有機あるいは金属材料を充填した複合樹脂シートも含まれる。
【0104】
上記樹脂シートは、厚すぎると床材の沈み込みが大きくなり、薄すぎると緩衝性、制振性、遮音性の効果が発現できないため、30μm〜10mmが好ましく、50μm〜5mmがさらに好ましく、100μm〜3mmが最も好ましい。
【0105】
緩衝性、制振性、遮音性等の向上のために積層される織布あるいは、不織布としては、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、アラミド等の有機繊維などからなるものが挙げられる。
【0106】
上記織布あるいは不織布は、厚すぎると床材の沈み込みが大きくなり、薄すぎると緩衝性、制振性、遮音性などの効果が発現できないため、30〜1000g/m2 が好ましく、50〜800g/m2 がさらに好ましく、80〜500g/m2 が最も好ましい。
【0107】
緩衝性、制振性、遮音性等の向上のために積層される発泡シートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル、ウレタン等の樹脂及びこれらの共重合体からなるものが挙げられる。
【0108】
上記発泡シートは、厚すぎると床材の沈み込みが大きくなり、薄すぎると緩衝性、制振性、遮音性の効果が発現できないため、300μm〜10mmが好ましく、500μm〜5mmがさらに好ましく、1〜3mmが最も好ましい。
【0109】
請求項10記載の床材は、上記熱可塑性樹脂発泡体の裏面に不陸吸収層が形成されているものである。
【0110】
上記不陸吸収層は、床スラブとの不陸を調整するものであり、軟質発泡体を用いるのが好ましく、上記熱可塑性樹脂発泡体と相対的に圧縮弾性率の小さいものであれば特に限定されず、例えば、発泡倍率が10〜30倍のポリエチレン製発泡体、発泡倍率が20〜40倍のポリウレタン発泡体などがあげられる。
【0111】
上記軟質発泡体(C)の圧縮弾性率は特に限定されないが、小さすぎると歩行感が低下し(上述した「ふかふかする」状態)、大きすぎると防音性能が低下するので、0.2〜3kg/cm2 が好ましい。
【0112】
不陸吸収層の厚みは、厚すぎると床材の沈み込みが大きくなり、薄すぎると不陸吸収効果が発現できないため、300μm〜10mmが好ましく、500μm〜5mmがさらに好ましく、1〜3mmが最も好ましい。
【0113】
[熱可塑性樹脂発泡体と硬質板状体および他に積層される材料の積層方法]
熱可塑性樹脂発泡体と硬質板状体の積層方法としては、接着剤や粘着剤を用いた積層方法があげられる。使用される接着剤としては、酢酸ビニル系やビニルエステル系接着剤、クロロプレン系接着剤等が挙げられ、粘着剤としては、アクリル系粘着剤等が挙げられる。
【0114】
また、接着性、粘着性の向上のため、熱可塑性樹脂発泡体の少なくとも片面をコロナ処理、あるいはプライマー処理を行うことも好ましい。
【0115】
[床材の施工方法]
請求項1〜10の床材は、コンクリート等の床下地面材に直接接着または、粘着施工される床材であるが、他に、根太または支柱上に敷設された合板、パーティクルボード等の上面に接着剤、または粘着剤で施工してもよい。
【0116】
請求項11記載の床材は、請求項1〜10の床材が床スラブに直接積層されているものである。
【0117】
上記床材は、集合食住宅のコンクリート等の床スラブに直接接着剤又は粘着剤などで直貼される。上記床材の厚みは一般に5〜20mmが適当であり、12mmと15mmが標準サイズとして多用される。
【0118】
上記床材が積層される床スラブの厚みは100〜250mmが適当である。
(作用)
【0119】
請求項1記載の床材は、熱可塑性樹脂発泡体の片面に硬質板状体が積層されてなる床材であって、上記熱可塑性樹脂発泡体が、シート状の連続発泡層と、該連続発泡層の少なくとも一面に複数配置された高発泡部と、該高発泡部の全表面を上記連続発泡層と共に被覆する低発泡薄膜とからなり、
上記低発泡薄膜により被覆された高発泡部が、上記連続発泡層から凸状に形成され、相隣接する高発泡部間が凹状に形成されることにより、熱可塑性樹脂発泡体裏面に凹凸が形成されることにより、熱可塑性樹脂発泡体裏面に凹凸が形成されているものであるから、高い圧縮弾性率を有するものであっても曲げ剛性が大きくならないために床材上に衝撃が与えられた際の変形が容易となり、緩衝層が薄くても衝撃作用時間を延長することができ、少ない圧縮変形量と高い防音性が発現できる。加えて、連続発泡層が個々の高発泡体を繋ぐようになっているため、歩行時や重量物積載時の破壊が起こりにくい。従って、歩行時の「船酔い現象」を無くすことができ、防音性能に優れ、かつ歩行感の良い床材となる。
【0120】
請求項2記載の床材は、熱可塑性樹脂発泡体の片面に硬質板状体が積層されてなる床材であって、上記熱可塑性樹脂発泡体が、シート状の連続発泡層と、該連続発泡層の裏面上に複数配置された高発泡部と、該高発泡部全表面を上記連続発泡層と共に被覆する低発泡薄膜とからなり、上記高発泡部は連続発泡層から凸状に形成され、相隣接する高発泡部間が凹状に形成されていると共に、各高発泡部に接する連続発泡層の表面側は凹状に形成されているものであるから、硬質板状体と熱可塑性樹脂発泡体の接触が部分的となり硬質板状体の振動を熱可塑性樹脂発泡体に伝播しにくくなると共に、凹部で形成された空間で振動減衰がおこることにより防音性がさらに良好のものとなる。
【0121】
請求項3記載の床材は、請求項1又は2記載の床材において、上記高発泡部同士が、低発泡薄膜を介して、相互に連設されているため、個々の高発泡部の密着性が向上することにより一体化して負荷を分散するため、歩行時や重量物積載時の破壊が起こりにくい。
【0122】
請求項4記載の床材は、請求項3記載の床材において、隣接する低発泡薄膜同士がが熱融着しているものであり、密着性が更に向上する。
【0123】
請求項5記載の床材は、請求項1〜4記載の床材において、上記高発泡部が、連続発泡層に対して格子状、又は、千鳥状に配設されているものであり、個々の高発泡体が角柱状又は六角柱状となり、熱可塑性樹脂発泡体の厚み精度、重量精度のばらつきが少ない為、圧縮強度および強度ばらつきも向上するため、床材の沈み込みが小さくなり、歩行感がさらに良好のものとなる。
【0124】
請求項6記載の床材は、請求項1〜5記載の床材において、上記高発泡部側の、凸状形成部分の高さが凹状形成部分から3mm以上突設されており、曲げ剛性が更に低下することにより、床材に衝撃が発生した際の変形量が増大することにより防音性がさらに向上する。
【0125】
請求項7記載の床材は、請求項1〜6記載の床材において、上記床材の高発泡部側を平板上に載置したときに、高発泡部の凸状形成部分の平板に対する接触面積が、硬質板状体の断面積の10〜70%であり、上記接触面積が小さいので、緩衝性が増大し、防音性能の向上と発泡体の変形防止ができ、高防音性と好歩行感を更に両立した防音床材となる。
【0126】
請求項8記載の床材は、請求項1〜7記載の床材において熱可塑性樹脂発泡体の充填率が50〜90%であり、凹凸の空間による高防音化と発泡体の高強度化を共に高めることができ、高防音性と好歩行感をより両立した防音床材となる。
【0127】
請求項9記載の床材は、請求項1〜8記載の床材において、上記熱可塑性樹脂発泡体を形成するシート状体の一面に硬質板状体が積層され、他面側に、高発泡部が突設されているから、施工した際に凸状部が下面となり、施工面との接触面積が低下し、且つ施工面との間に空間が形成されることにより防音性が更に向上する。
【0128】
請求項10記載の床材は、請求項1〜9記載の床材において、上記熱可塑性樹脂発泡体の裏面に不陸吸収層が形成されているため、施工時の床スラブ等の不陸を吸収することができ床材の施工が容易になり且つ仕上がりが向上する。
【0129】
請求項11記載の床材は、請求項1〜10記載の床材が床スラブに直接積層されるものであり、高防音性と歩好感の両立に加えて、施工性も良好となる。
【実施例】
【0130】
本発明を実施例をもって、さらに詳しく説明する。
実施例1
熱可塑性樹脂発泡体
高密度ポリエチレン(三菱化学社製、商品名「HY340」、MI=1.5g
/10分)50重量%、シラングラフトポリプロピレン(三菱化学社製、商品名「XPM800H」、MI=11g/10分、架橋後のゲル分率80重量%)20重量%、ポリプロピレン(三菱化学社製、商品名「MA3」、メルトインデックス(MI)=11g/10分)30重量%からなる熱可塑性樹脂100重量部、アゾジカルボンアミド(大塚化学社製、商品名:SO−20、分解温度210℃)4重量部及びシラン架橋触媒としてのジブチル錫ジラウレート0.1重量部を含有する組成物を、図1に示した2軸押出機11に供給した。
【0131】
2軸押出機11としては、径44mmのものを用いた。2軸押出機11において、上記組成物を180℃で溶融混練し、面長500mm、リップ1.0mmのTダイ12により軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂を押し出した。
【0132】
さらに、深さ約10mm、直径4mmの円柱状の凹部13aが1個/cm2 の密度になるように、賦形ロール13のみにランダムに配置された、径250mm、面長500mmのロール13,14(クリアランス0.2mm)間で該発泡性熱可塑性樹脂シート状体を賦形しつつ冷却し、さらに発泡性熱可塑性シート状体を98℃の水中に2時間浸漬した後乾燥することにより、実測高さ、平均5.5mm、標準偏差1mm;直径4mmの円柱状の発泡性熱可塑性樹脂粒状体が1個/cm2 の密度になるように、ランダムに構成された表1のような発泡性熱可塑性樹脂シート状体を得た。
【0133】
上記のようにして得た発泡性熱可塑性樹脂シート状体1では、発泡性熱可塑性樹脂粒状体2が発泡性熱可塑性樹脂薄膜3により連結されて、全体として発泡性熱可塑性樹脂シート状体1が構成されていた。
【0134】
得られた発泡性熱可塑性樹脂シート状体1を300×900mmに切断し、図2(a)〜(e)に示したように、ポリフッ化エチレンシート15上に配置し、さらにポリフッ化エチレンシート16をその上面に配置して、ハンドプレスにより、ポリフッ化エチレンシート15、16間が10mmの厚みとなるようにして、210℃で10分間加熱発泡した後、30℃の冷却プレスで10分間冷却し、発泡倍率8倍、厚み10mmの凹凸状熱可塑性樹脂発泡体(図3)を得た。
【0135】
この発泡体は、板状体の連続発泡層3と、該連続発泡層3の片面上に複数配置された高発泡部2と、該高発泡部2表面を上記連続発泡層3と共に被覆する低発泡薄膜4からなり、更に前記高発泡部2は連続発泡層3に対して各々凸状に形成され、各高発泡部2に接する連続発泡体3の表面側は凹状に形成されたが、連続発泡体3の凸部に対応する部位は切削して平滑形状とした。
【0136】
なお、得られた熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率、発泡体の厚みは以下の方法で測定した。
【0137】
(発泡倍率)
JIS K6767に準拠して発泡倍率を測定した。
(発泡体の厚み)
ノギスを用い、得られた熱可塑性樹脂発泡体の厚みを測定した。
【0138】
(床材の製作)
ラワン合板に、厚み0.3mmの突き板(北三社製、商品名「ホワイトオーク」)を水性ビニルウレタン系樹脂(光陽産業社製、商品名「KR120」)で接着し、厚み4.0mmの硬質板状体を得た。
得られた硬質板状体にアクリル系粘着剤(積水化学工業社製、商品名「#5782)を用いて厚さ8mmに調整した上記熱可塑性樹脂発泡体を接着積層し、床材(厚み12mm)(図4)を得た。
【0139】
なお、得られた床材の全体厚さ、発泡体の厚さ、凹状の形成の有無、密接の有無、配置、凸部の高さ、面積率、充填率は以下の方法で測定した。
【0140】
(床材全体及び発泡体、硬質板状体の厚み)
ノギスを用い、得られ床材を構成する個々の厚みを測定した。
(凹状の形成の有無、密接の有無、配置)
制作した床材を目視観察した。
(凸部高さ)
連続層に対する凸部の高さをノギスにて測定した。
(面積率)
床材の発泡体凸部に着色、平板にこれを転写した際の着色面積率を測定した。
(充填率)
(配置重量(g/m2)×発泡倍率)/(発泡体の厚み×1000)×100の計算式により算出した。
【0141】
実施例2〜10
ロール凹部配置態様を表1に示す発泡性熱可塑性樹脂シート状体を得るか為に変化したこと以外は、実施例1と同様にして表1のような発泡性熱可塑性樹脂シート状体を得た。なお、表中ロール凹部配置態様が「ランダム」とあるのは、凹部13aが1個/cm2 の密度になるように、ランダムに配置されたことを示し、「格子」とあるのは凹部13aが表1に示した間隔に格子状(図5参照)に、「千鳥」とあるのは凹部13aが表1に示した間隔に千鳥状(図6参照)に配置されたことを示す。
【0142】
上記のようにして得た発泡性熱可塑性樹脂シート状体1では、発泡性熱可塑性樹脂粒状体2が発泡性熱可塑性樹脂薄膜3により連結されて、全体として発泡性熱可塑性樹脂シート状体1が構成されていた。
【0143】
得られた発泡性熱可塑性樹脂シート状体1を300×900mmに切断し、図2に示したように、ポリフッ化エチレンシート15上に配置し、さらにポリフッ化エチレンシート16をその上面に配置して、ハンドプレスにより、ポリフッ化エチレンシート15、16間が表1に示した隙間となるようにして、210℃で10分間加熱発泡した後、30℃の冷却プレスで10分間冷却し、発泡倍率8倍、厚み8mmの凹凸状熱可塑性樹脂発泡体(図7)を得た。
【0144】
この発泡体は、板状体の連続発泡層と、該連続発泡層の少なくとも片面上に複数配置された高発泡部と、該高発泡部表面を前記連続発泡層と共に被覆する低発泡薄膜からなり、更に前記高発泡部は連続発泡層に対して各々凸状に形成されていると共に、各高発泡部に対応する連続発泡体の表面側3aは凹状に形成されているものであった。
【0145】
なお、得られた熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率、発泡体の厚みは実施例1と同様に測定した。
【0146】
さらに実施例1と同様にして、硬質板状体に得られた熱可塑性樹脂発泡体を表1に示した積層面に接着積層し、図8に示した床材を得た。
【0147】
さらに実施例10では、ポリウレタン発泡体(発泡倍率40倍、2.5mm厚)からなる不陸層を熱可塑性樹脂発泡体の硬質板状体が積層されている面と反対の面に接着積層し、図9に示した床材を得た。
【0148】
比較例1
床材を、ラワン合板に実施例1と同様の0.3mmの突き板を接着して得られた、厚み12mmの硬質板状体とした。
【0149】
比較例2
アゾジカルボンアミド(大塚化学社製、商品名:SO−20、分解温度210℃)を5重量部に増やした事以外は実施例1と同様にして得られた軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂を、凹部を有しない、径250mm、面長500mmのロール(クリアランス1mm)間で冷却し、さらに98℃の水中に2時間浸漬した後乾燥することにより、厚み1.0mmの発泡性熱可塑性樹脂シートを得た。
得られた発泡性熱可塑性樹脂シートを実施例1と同様にして発泡させたところ厚み2.2mmの発泡体となった。得られた発泡体を4枚重ねて積層し、加熱圧着して厚み8.0mmの熱可塑性樹脂発泡体を得た。得られた熱可塑性樹脂発泡体からを実施例1と同様にして硬質板状体に得られた熱可塑性樹脂発泡体を接着積層し、床材を得た。
【0150】
比較例3
アゾジカルボンアミド(大塚化学社製、商品名:SO−20、分解温度210
℃)を5重量部に増やした事以外は実施例1と同様にして得られた軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂をロール凹部配置態様を表1に示す発泡性熱可塑性樹脂シート状体を得る為に変化したこと以外は、実施例1と同様にして表1のような発泡性熱可塑性樹脂シート状体を得た。
【0151】
得られた発泡性熱可塑性樹脂シート状体1を300×900mmに切断し、図2に示したように、ポリフッ化エチレンシート15上に配置し、さらにポリフッ化エチレンシート16をその上面に配置して、ハンドプレスにより、ポリフッ化エチレンシート15、16間が表1に示した隙間となるようにして、210℃で10分間加熱発泡した後、30℃の冷却プレスで10分間冷却し、発泡倍率8倍、厚み8mmの熱可塑性樹脂発泡体を得た。
【0152】
この発泡体は、板状体の連続発泡層と、該連続発泡層の少なくとも片面上に複数配置された高発泡部と、該高発泡部表面を前記連続発泡層と共に被覆する低発泡薄膜からなり、個々の高発泡部は、低発泡薄膜を介して熱融着された平面状の発泡体であった。
さらに実施例1と同様にして、硬質板状体に得られた熱可塑性樹脂発泡体を表1に示した積層面に接着積層し、床材を得た。
【0153】
【表1】
【0154】
実施例1〜10、比較例1〜3で得られた床材を以下の評価に供し、その結果を表2に纏めて示した。
【0155】
床材の評価
▲1▼沈み込み量
得られた床材を200×200mmに切断し、硬質板状体側にφ50mmの鋼製円柱圧子を載置し、2m/minの速度で80kgfの圧縮荷重を負荷したときの沈み込み量を測定した。
【0156】
▲2▼防音性能
JIS A1418に準拠して軽量床衝撃騒音レベルを測定した。
【0157】
▲3▼不陸吸収性
床材を3枚平行にならべ、2mmの凹凸部を有する疑似平板に対しての接触度合いを目視にて確認、
以下の基準で4段階評価した。
◎:完全に密接
○:平板と床材の隙間が0.5mm未満
△:平板と床材の隙間が0.5〜1.5mm
×:平板と床材の隙間が1.5mm以上
【0158】
【表2】
【0159】
【発明の効果】
請求項1記載の床材は、上述の如き構成とされているので、防音性能に優れ、かつ歩行感の良い床材となる。
【0160】
請求項2記載の床材は、上述の如き構成とされているので、防音性がさらに良好のものとなる。
【0161】
請求項3〜5記載の床材は、上述の如き構成とされているので、歩行感がさらに良好のものとなる。
【0162】
請求項6記載の床材は、上述の如き構成とされているので、防音性がさらに良好のものとなる。
【0163】
請求項7、8記載の床材は、上述の如き構成とされているので、防音性と歩行感がさらに両立されたものとなる。
【0164】
請求項9記載の床材は、上述の如き構成とされているので、防音性がよく且つ施工性に優れたものとなる。
【0165】
請求項10記載の床材は上述の如き構成とされているので、施工性がさらに良好のものとなる。
【0166】
請求項11記載の床材は、請求項1〜10の床材を直貼りしているので、防音性、歩行に加え、施工性も優れた物となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明(請求項1〜11)に使用され得る発泡性熱可塑性樹脂の製造方法の一例を説明するための工程図である。
【図2】(a)〜(e)は、本発明(請求項1〜11)に使用される得る熱可塑性樹脂発泡体の製造方法の一例を説明するための断面図である。
【図3】実施例1により得られた熱可塑性樹脂発泡体を示す断面図である。
【図4】実施例1により得られた床材を示す断面図である。
【図5】発泡性熱可塑性樹脂粒状体が格子状に配置されている状態を説明するための平面図である。
【図6】発泡性熱可塑性樹脂粒状体が千鳥状に配置されている形態を説明するための平面図である。
【図7】実施例2〜10により得られた熱可塑性樹脂発泡体を示す断面図である。
【図8】実施例2〜9により得られた床材を示す断面図である。
【図9】実施例11により得られた床材を示す断面図である。
【符号の説明】
1 熱可塑性樹脂発泡体
2 高発泡体
3 連続発泡層
3a連続発泡層
4 低発泡薄膜
5 発泡性熱可塑性樹脂シート状体
6 発泡性熱可塑性樹脂粒状体
7 発泡性熱可塑性樹脂薄膜
11 二軸押出機
12 Tダイ
13 賦型ロール
14 賦型ロール
15 シート
16 シート
21 硬質板状体
22 不陸層
【発明の属する技術分野】
本発明は、床材に関し、さらに詳しくは防音性能が良好でかつ歩行感に優れ、且つ、床スラブに対し直接貼着するのに好適な床材に関する。なお、本発明において床材及び連続発泡層の「表面側」とは、敷設したときに直接、又は化粧シートを介して、表面に露出する側をいい、「裏面側」とは、コンクリートスラブ等に敷設される側をいう。
【0002】
【従来の技術】
従来、集合住宅の床材としては、カーペット、ジュウタン等がよく用いられていた。しかし、カーペットやジュウタンは、カビやダニが発生しやすく、かつ汚れ易い事から、近年、掃除がし易く、衛生的な硬質板状体を用いた床材の要望が高まっている。
しかしながら、硬質板状体を用いた床材は、衝撃による音が発生しやすく、階下への生活音つまり歩行音や物の落下音が伝わりやすいという問題点を有していた。
【0003】
上記のような問題点を解消する方法として硬質板状体裏面に発泡体や、不織布等の多孔体を緩衝層として積層した床材が数多く提案されている。例えば実公昭52ー30125号公報に記載の床材は、硬質板状体の裏面に、発泡倍率3〜10倍の軟質高発泡体および1.5〜3倍未満の軟質低発泡体を順次形成した床材である。また、実公平3ー21395号公報に記載の床材は、硬質板状体の裏面に隣接する上下の緩衝層の発泡倍率を相互に異ならせたものであり、この緩衝層が10〜50倍の高発泡層と5〜20倍の低発泡層とからなる床材である。衝撃力を受けた場合、これらの緩衝層は変形し、衝撃作用時間が延長することにより、衝撃力のピーク値や衝撃固有周波数を低下させ、衝撃による音や振動の伝搬を防止し、防音性を向上させるものであるが、硬質板状体の剛性が大きいため、高い防音性を発現するためには緩衝層を厚くする必要がある。したがって、防音性の高い床材は荷重に対する沈み込みが大きくなり、床材上面の歩行時に『船酔い現象』と称される違和感を覚えるという新しい問題が発生した。
【0004】
一方、沈み込みの小さい床材として、例えば実開昭56ー3945号公報では、厚さ0.3〜15mmの硬質板状体の裏面に20〜100mmの発泡体を積層した床材が提案されている。しかしながら、通常使用される均質な発泡体では、力学的に等方性を有し、沈み込みを小さくするために高い圧縮弾性率を付与すると曲げ弾性率がおのずと高くなり、高い防音性は期待できない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、防音性と沈み込みという2つの相反する問題点があり、高い防音性を付与するためには、緩衝性を大きく付与する高倍率の発泡合成樹脂シートの厚みを増加する必要があるが、防音性と沈み込み防止を両立することは困難であった。
【0006】
本発明の目的は、上記の問題を解決し、防音性能と歩行感を両立しながら、施工性も優れた床材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の床材は、熱可塑性樹脂発泡体の片面に硬質板状体が積層されてなる床材であって、上記熱可塑性樹脂発泡体が、シート状の連続発泡層と、該連続発泡層の少なくとも一面に複数配置された高発泡部と、該高発泡部の全表面を上記連続発泡層と共に被覆する低発泡薄膜とからなり、
上記低発泡薄膜により被覆された高発泡部が、上記連続発泡層から凸状に形成され、相隣接する高発泡部間が凹状に形成されることにより、熱可塑性樹脂発泡体裏面に凹凸が形成されているものである。
【0008】
請求項2記載の床材は、熱可塑性樹脂発泡体の片面に硬質板状体が積層されてなる床材であって、上記熱可塑性樹脂発泡体が、シート状の連続発泡層と、該連続発泡層の裏面上に複数配置された高発泡部と、該高発泡部全表面を上記連続発泡層と共に被覆する低発泡薄膜とからなり、上記高発泡部は連続発泡層から凸状に形成され、相隣接する高発泡部間が凹状に形成されていると共に、各高発泡部に接する連続発泡層の表面側は凹状に形成されているものである。
【0009】
請求項1又は2に記載の発明に係る床材において、請求項3に記載のように、高発泡部の少なくとも一部分同士が、低発泡薄膜を介して、相互に連設されているものが好ましい。
【0010】
上記請求項3に記載の発明に係る床材において、低発泡薄膜を高発泡部に順次接着してもよいが、請求項4に記載のように、高発泡部の少なくとも一部分同士が、熱融着した低発泡薄膜を介して、相互に連設されているものが好ましい。
【0011】
上記請求項1〜4に記載の発明に床材において、請求項5に記載のように、上記熱可塑性樹脂よりなる複数の高発泡部は、格子状、又は、千鳥状に配置されているものが好ましい。
【0012】
上記請求項1〜5に記載の発明に係る床材において、高発泡部側の、凸状形成部分の高さが凹状形成部分から3mm以上突設されているのが好ましい。
【0013】
上記請求項1〜6に記載の発明に係る床材において、床材を、高発泡部を裏面側として平板上に載置したときに、高発泡部の凸状形成部分の平板に対する接触面積が、硬質板状体の断面積の10〜70%であるのが好ましい。
【0014】
上記請求項1〜7に記載の発明に係る床材において、熱可塑性樹脂発泡体の体積が、該熱可塑性樹脂発泡体を外接しうる最小の直方体の体積に対して50〜90%(以下、この比率を「充填率」という)であるのが好ましい。
【0015】
上記請求項1〜8に記載の発明に係る床材において、上記熱可塑性樹脂発泡体を形成するシート状体の一面に硬質板状体が積層され、他面側に、高発泡部が突設されているのが好ましい。
【0016】
上記請求項1〜9に記載の発明に係る床材において、熱可塑性樹脂発泡体の裏面に不陸吸収層が形成されているのが好ましい。
【0017】
上記請求項1〜10に記載の床材は、硬質板状体を表面としたときに、裏面側が床スラブに対し直接貼着されるのが好ましい。
【0018】
[熱可塑性樹脂発泡体に用いられる熱可塑性樹脂]
請求項1〜11に記載の発明の床材において、熱可塑性樹脂発泡体を構成する連続発泡層、低発泡薄膜及び高発泡部に用いられる熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではない。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(以下、「ポリエチレン」とは、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、又はこれらの混合物をいう。)、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ブロック状ポリプロピレン(以下、「ポリプロピレン」とは、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ブロック状ポリプロピレン、又はこれらの混合物をいう。)等のオレフィン系樹脂及びこれらの共重合体;ポリエチレンビニルアセテート、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、及びこれらの共重合体等が挙げられ、これらは、単独で用いられても、併用されてもよい。
【0019】
上記熱可塑性樹脂の中でも、熱安定性、転写性に優れているため凹凸を形成し易い、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂またはこれらの混合物が好ましく、表面平滑性と、得られる床材の歩行時の沈み込みの防止を両立するためには、高密度ポリエチレン、ホモポリプロピレンまたはこれらの少なくとも一方を含む混合物が特に好ましい。
【0020】
さらに、上記熱可塑性樹脂は、一部が架橋されたものであつことが好ましい。架橋されることによって、発泡時の破泡が防止でき、発泡倍率が増加し、床材の軽量化につながるからである。
【0021】
上記熱可塑性樹脂発泡体を構成する連続発泡層、高発泡体及び低発泡薄膜に用いられる樹脂は、同一の樹脂である必要性はないが、得られる床材が歩行時及び重量物を載置したときに破壊しにくい点から、同種の樹脂を用いることが好ましい。この際、特に高発泡体及び低発泡薄膜に用いられる樹脂は、同一の樹脂で形成されるのが接着性の点で好ましい。
【0022】
[熱可塑性樹脂発泡体の形態]
本発明の熱可塑性樹脂発泡体の形態は、シート状の連続発泡層と、該連続発泡層の少なくとも片面上に複数配置された高発泡部と、該高発泡部表面を前記連続発泡層と共に被覆する低発泡薄膜からなり、さらに前記高発泡部は連続発泡層に対して各々凸状に形成されているものである。
【0023】
上記熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率は、低すぎると、床材の軽量化が図れず、高すぎると、床材の沈み込み量が増加するので、2〜30倍が好ましく、より好ましくは3〜20倍、さらに好ましくは5〜10倍である。
【0024】
上記熱可塑性樹脂発泡体の厚みは、薄すぎると防音性能が低下し、厚すぎると床材の沈み込み量が増加するので、3〜50mmが好ましく、さらに好ましくは3〜30mm、特に好ましくは5〜10mmである。
【0025】
上記連続発泡層の発泡倍率は、低すぎると、床材の軽量化が困難になり、且つ弾性率が増大するため、防音性能が低下し、高すぎると床材の沈み込み量が増加し、又、歩行時及び重量物を載置したときに破壊しやすくなるので、1.1〜10倍が好ましく、さらに好ましくは2〜8倍であり、2〜7倍が特に好ましい。
【0026】
上記連続発泡層の厚みは、薄すぎると、得られる床材が歩行時及び重量物を載置したときに破壊しやすくなり、厚すぎると相対的に熱可塑性樹脂発泡体中に占める割合が増え、床材の軽量化が困難になり、防音性能が低下するので、100μm〜5mmが好ましく、さらに好ましくは300μm〜3mmであり、500μm〜2mmが特に好ましい。
なお、連続発泡層の厚みは、均一である必要はなく、不均一であっても良い。また、連続発泡層は、完全な平板である必要はなく、多少の凹凸があってもよい。ここで、連続発泡層の厚みとは、熱可塑性樹脂発泡体の厚さ方向に平行な断面の連続発泡層平均厚さをいう。
【0027】
上記高発泡体の発泡倍率は、低すぎると、床材の軽量化が困難になり、且つ弾性率が増大するため、防音性能が低下し、高すぎると床材の沈み込み量が増加し、又、歩行時及び重量物を載置したときに破壊しやすくなるので、2〜100倍が好ましく、さらに好ましくは5〜50倍であり、10〜35倍が特に好ましい。
【0028】
上記高発泡体の大きさは、小さすぎると床材の軽量化が困難になり、大きすぎると得られる床材が歩行時及び重量物を載置したときに破壊しやすくなるので3〜50mmが好ましく、さらに好ましくは5〜30mmである。
なお、高発泡部の大きさは、均一である必要はなく、不均一であってもよい。
ここで、高発泡部の大きさとは、熱可塑性樹脂発泡体の厚さ方向に平行な断面の大きさの最大値をいう。
【0029】
上記低発泡薄膜の発泡倍率は、低すぎると、床材の軽量化が困難になり、且つ弾性率が増大するため、防音性能が低下し、高すぎると床材の沈み込み量が増加し、又、歩行時及び重量物を載置したときに破壊しやすくなるので、1.1〜10倍が好ましく、さらに好ましくは1.2〜7倍であり、1.2〜5倍が特に好ましい。
【0030】
上記低発泡薄膜の厚みは、薄すぎると高発泡体部分が相対的に大きくなり、得られる床材の圧縮強度が低下し、厚すぎると防音性能が低下するので、30〜500μmが好ましく、さらに好ましくは40〜400μmであり、50〜400μmが特に好ましい。
なお、低発泡薄膜の厚みは、均一である必要はなく、不均一であってもよい。ここで、低発泡薄膜の厚みとは、熱可塑性樹脂発泡体の熱可塑性樹脂発泡体の厚さ方向に平行な断面の平均厚さをいう。
【0031】
前記高発泡部は連続発泡体の片面上に配置されることが一般的であるが、両面に配置されても良い。
【0032】
前記高発泡部は連続発泡層に対して凸状に形成される。
上記高発泡部の凸状に形成された部分の高さは、低すぎると高い防音性能が得られないため、連続面に対して1mm以上が好ましく、より好ましくは2mm以上、さらに好ましくは3mm以上である。
【0033】
各高発泡部に対応する連続発泡体の裏面側は、凹状に形成されることが好ましく、凹状に形成されている場合、凹部の深さは、大きすぎると高い圧縮強度を発現することが困難となり、沈み込み量が増加し、低すぎると十分な防音性が得られないため、1〜5mmが好ましく、より好ましくは1〜3mmである。
【0034】
上記高発泡部の少なくとも一部分同士が、低発泡薄膜を介して、相互に連設されているものが好ましい。低発泡薄膜を介して、少なくとも一部分で相互に連設している場合は、個々の低発泡薄膜を介した個々の高発泡部の密着性が向上し、床材上に重量物が積載された場合に破壊しにくくなるために好ましい。
【0035】
上記高発泡部の少なくとも一部分同士を、低発泡薄膜を介して、相互に連設させる方法としては、接着材による、接着等が考えられるが、熱可塑性樹脂で形成されていることから、熱融着が床材の成形性の点から最も好ましい。
【0036】
熱可塑性樹脂発泡体の厚み精度、重量精度の向上及び圧縮強度のバラツキの低減のためには、複数の高発泡体が発泡体横断面方向において平面的に略均一に配置されることが好ましい。もっとも、複数の高発泡体を平面的に略均一に配置する態様としては、特に限定されるものではなく、格子状に配置されていてもよく、千鳥状に配置されていてもよい。
【0037】
複数高発泡体が格子状に配置されている場合には、個々の高発泡体が四角柱の形状となり、床材に形成した際に沈み込み量が減少するため、発泡性熱可塑性樹脂粒状体は格子状に配置されることが好ましい。
【0038】
また、複数の高発泡体が、千鳥配置されている場合、複数の六角柱状の高発泡体が低発泡薄膜を介して熱融着されている構造となり、全体としてハニカム状の熱可塑性樹脂発泡体が得られることになり、沈み込み量が特に少ない床材となるため特に好ましい。
【0039】
また、本発明の低発泡薄膜で外表面を被覆された高発泡部の凸状に形成された部分の平板に対する接触面積比は、10〜70%が好ましく、大きすぎると防音性が低下し、小さすぎると床材の沈み込み量が増大する。
【0040】
また、本発明の熱可塑性樹脂発泡体の充填率は、小さすぎると、高い圧縮強度を示す事ができず、沈み込み量が増加し、大きすぎると、防音性が低下することから、30〜90%が好ましく、50〜90%が特に好ましい。
【0041】
〔熱可塑性樹脂発泡体の製造方法〕
上記熱可塑性樹脂発泡体の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、発泡剤を含有した発泡性熱可塑性樹脂ペレットを発泡させ融着面を除いた外表面を熱可塑性樹脂よりなる低発泡薄膜が被覆している、熱可塑性樹脂よりなる複数の高発泡部を成形し、これを互いに低発泡薄膜を介して熱融着した後、別工程で成形した熱可塑性樹脂よりなる連続発泡層を熱融着させた後、熱プレス等で凹凸状に成形する方法等が挙げられるが、後述する、発泡剤を含有している発泡性熱可塑性樹脂粒状体が平面的に略均一に配置されており、かつ前記発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡性熱可塑性樹脂薄膜を介して一体的に連結されている発泡性熱可塑性樹脂シート状体を、前記発泡剤の分解温度以上に加熱し発泡させる工程と、発泡して得られる発泡体が完全充填される以上の空隙を有する冷却型内で冷却する工程とを備える方法が最も好ましい。
【0042】
発泡性熱可塑性樹脂シート状体を発泡させると、発泡性熱可塑性樹脂粒状体の部分が発泡するが、このとき、熱可塑性樹脂粒状体の外表面は発泡により生じる気泡を保持し難いため、内部に比べ発泡倍率が低くなり、低発泡薄膜となる。この結果、粒状体の内部の高い発泡倍率の高発泡部の外表面を低発泡薄膜が被覆した状態となる。また発泡性熱可塑性樹脂シート状体の粒状体を連結している発泡性熱可塑性樹脂薄膜は、連続発泡層となり、この連続発泡層の上に高発泡部が複数配置された状態となる。なお、連続発泡層も厚みが薄く、気泡保持が困難になるため低発泡になる。このような低発泡薄膜は、粒状体の内部の発泡により、隣接する粒状体の低発泡薄膜と近接し熱融着するわけであるが、発泡後冷却する冷却装置の隙間を、発泡膨張する熱可塑性樹脂シート状体が完全充填される以上に設定する事で融着が一部分のみ進行し、完全充填でない凹凸状の熱可塑性樹脂発泡体が得られる。
【0043】
[発泡性熱可塑性樹脂シート状体等に用いられる熱可塑性樹脂]
上記発泡性熱可塑性樹脂シート状体を構成する発泡性熱可塑性樹脂粒状体及び発泡性熱可塑性樹脂薄膜に用いられる熱可塑性樹脂としては、上記熱可塑性樹脂樹脂発泡体に使用される樹脂と同様のものが使用される。
【0044】
上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体に用いられる熱可塑性樹脂と、発泡性熱可塑性樹脂薄膜に用いられる熱可塑性樹脂とは、同一の樹脂である必要性はないが、発泡性及び接着性等の観点から、同種の樹脂を用いることが好ましい。
【0045】
上記発泡性熱可塑性樹脂シート状体に用いられる熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂樹脂発泡体の項で述べたように、発泡倍率の向上及び得られる熱可塑性樹脂発泡体の軽量化を図り得るため、架橋されているものを用いることが好ましい。架橋方法としては、特に限定されず、例えば、▲1▼シラングラフト重合体を熱可塑性樹脂に溶融混練後、水処理を行い、架橋する方法、▲2▼熱可塑性樹脂に過酸化物を該過酸化物の分解温度より低い温度で溶融混練後、過酸化物の分解温度以上に加熱して架橋する方法、▲3▼放射線を照射して架橋する方法等が挙げられる。但し、後述する高架橋樹脂と、低(無)架橋樹脂を得るためには、▲1▼のシラングラフト重合体を用いた架橋方法が好ましい。
【0046】
上記シラングラフト重合体としては、特に限定されず、例えば、シラングラフトポリエチレンやシラングラフトポリプロピレン等を例示することができる。
【0047】
前述の水処理方法は、水中に浸漬する方法のほか、水蒸気にさらす方法も含まれ、かかる場合、100℃より高い温度で処理する場合には、加圧下において行ってもよい。
【0048】
上記水処理の際の水及び水蒸気の温度が低いと、架橋反応速度が低下し、また、高すぎると発泡性熱可塑性樹脂が熱でくっついてしまうので、50〜130℃が好ましく、90〜120℃が特に好ましい。
【0049】
また、水処理する際の時間が短いと、架橋反応が完全に進行しない場合があるので、水処理時間は0.5〜12時間の範囲とすることが好ましい。
【0050】
シラングラフト重合体を混合する方法は、均一に混合し得る方法であれば、特に限定されない。例えば、熱可塑性樹脂及びシラングラフト重合体を1軸または2軸押出機に供給し、溶融混練する方法、ロールを用いて溶融混練する方法、ニーダーを用いて溶融混練する方法等が挙げられる。
【0051】
シラングラフト重合体の添加量が多すぎると、架橋がかかりすぎ、得られる熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率が低下し、また、少なすぎると、セルが破泡し、均一な発泡セルが得られなくなるので、シラングラフト重合体の添加量は、全熱可塑性樹脂中5〜50重量%が好ましく、10〜35重量%が特に好ましい。
【0052】
また、シラングラフト重合体を用いてシラン架橋する場合には、必要に応じてシラン架橋触媒を用いてもよい。シラン架橋触媒は、シラングラフト重合体同士の架橋反応を促進するものであれば、特に限定されず、例えば、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、オクタン酸錫、オレイン酸錫、オクタン錫鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、オクタン酸コバルト、ナフテン酸鉛、カブリル酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
【0053】
上記シラン架橋触媒の添加量が多くなると、得られる熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率が低下し、また、少なくなると、架橋反応速度が低下し、水処理に時間を要するので、上記熱可塑性樹脂100重量部に対して、シラン架橋触媒の添加量は、0.001〜10重量部の範囲が好ましく、0.01〜0.1重量部がより好ましい。
【0054】
上記発泡性熱可塑性樹脂は、上述したように特に限定されないが、発泡剤と、互いにほとんど相溶性を有しない高架橋熱可塑性樹脂と低架橋もしくは無架橋熱可塑性樹脂との混合物よりなる。この場合、発泡時には低架橋もしくは無架橋樹脂が流動し易いので、得られる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の凹凸部が形成しやすいので特に好ましい。
【0055】
高架橋熱可塑性樹脂と低架橋又は無架橋熱可塑性樹脂における高架橋及び低架橋とは、双方の架橋度の大小により決定される相対的な表現であり、2つの架橋樹脂組成のうち、相対的に高架橋の熱可塑性樹脂を高架橋熱可塑性樹脂といい、他方を低架橋又は無架橋熱可塑性樹脂という。
【0056】
上記互いにほとんど相溶性を有さない上記2種の熱可塑性樹脂に使用される熱可塑性樹脂(架橋前)としては、前述した熱可塑性樹脂のうち2種類(以下、樹脂そのものの架橋性能ではなく、高架橋熱可塑性樹脂を形成する樹脂を「高架橋性樹脂」、低架橋あるいは無架橋熱可塑性樹脂を形成する樹脂を「低(無)架橋性樹脂」という)を適宜選択して用いることができるが、上記高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋もしくは無架橋熱可塑性樹脂が互いに相溶せずに均一微細に分散するためには、高架橋性樹脂と低(無)架橋性樹脂の熱可塑性樹脂の溶解度パラメーターの差が0.1〜2.0であることが好ましく、0.2〜1.5であることがさらに好ましい。
【0057】
溶解度パラメーターの差が2.0を超えると、架橋して得られる高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋あるいは無架橋熱可塑性樹脂が非常に粗く分散するため、得られる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率が低下する。他方、溶解性パラメーターの差が0.1より小さいと、架橋して得られる高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋あるいは無架橋熱可塑性樹脂の相溶性が高くなり、得られる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の表面平滑性が低下する。
【0058】
上記溶解性パラメーターは、σ=ρΣFi/Mにより求めた値をいう。なお、ρは樹脂成分の密度、Mは樹脂成分を構成するモノマーの分子量、Fiは、モノマーの構成グループのモル吸引数である。
【0059】
上記、高架橋性樹脂と、低(無)架橋性樹脂のメルトインデックス(MI)の差が、大きくなると、架橋して得られる高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋あるいは無架橋熱可塑性樹脂とが非常に粗く分散するため、得られる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率が低下し、小さくなると、架橋して得られる高架橋熱可塑性樹脂と低架橋あるいは無架橋熱可塑性樹脂の相溶性が高くなり、得られる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の凹凸を形成することが困難になることがあるため、高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋あるいは無架橋熱可塑性樹脂とが互いに相溶せずに均一微細に分散し、かつ高発泡倍率の熱可塑性樹脂発泡体を得るには、MIの差は5〜13g/10分が好ましく、7〜11g/10分がより好ましい。
【0060】
なお、本明細書におけるMIは、JIS K7210に従って、測定された値である。
架橋して得られる高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋あるいは無架橋熱可塑性樹脂とが均一微細に分散し、かつ表面平滑性に優れた高発泡倍率の熱可塑性樹脂発泡体を得るためには、高架橋性樹脂と、低(無)架橋性樹脂との混合比率は重量比で、2:8〜8:2であることが望ましく、4:6〜6:4がより好ましい。
【0061】
高架橋熱可塑性樹脂の架橋度が高すぎると、架橋がかかりすぎ、得られる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率が低下し、逆に、低すぎると発泡時にセルが破泡し、均一なセルが得られないことがあるので、架橋度の指標となるゲル分率で5〜40重量%が好ましく、10〜30重量%がより好ましい。
【0062】
低架橋又は無架橋熱可塑性樹脂の架橋度が高いと、架橋がかかりすぎ、得られる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の流動性が低下し、凹凸を形成しにくくなることがあるので、架橋度の指標となるゲル分率で5重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましい。
【0063】
なお、本明細書におけるゲル分率とは、架橋樹脂成分を120℃のキシレン中に24時間浸漬した後の残渣重量のキシレン浸漬前の架橋樹脂成分の重量に対する重量百分率をいう。
【0064】
互いにほとんど相溶性を有さない、高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋又は無架橋熱可塑性樹脂の混合物を調製する方法としては、上記2種類の熱可塑性樹脂を混合し、高架橋性樹脂のみを、又は低(無)架橋性樹脂より高架橋性樹脂を優先的に架橋することにより達成される。
【0065】
高架橋性樹脂のみを、又は低(無)架橋性樹脂より高架橋性樹脂を優先的に架橋する方法としては、例えば、▲1▼高架橋性樹脂のみを、又は低(無)架橋性樹脂より高架橋性樹脂を優先的に架橋する架橋剤を用いて架橋する方法、▲2▼第1段階で、架橋性官能基を有する、高架橋性樹脂と同種の架橋性樹脂とを混合して架橋して、高架橋熱可塑性樹脂を形成させた後、第2段階で、これを無架橋性樹脂と混合する方法等が挙げられる。
【0066】
もっとも、高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋あるいは無架橋熱可塑性樹脂とが均一微細に分散できること、高架橋性樹脂を優先的に架橋し易いこと、並びに熱可塑性樹脂を容易に調製し得ることから、高架橋性樹脂とほとんど同じメルトインデックスを有し、かつ架橋性官能基を有する、高架橋性樹脂と同種の架橋性樹脂を、高架橋性樹脂及び低架橋性樹脂と共に混合した後、架橋させる方法が最も好ましい。
【0067】
高架橋性樹脂とほとんど同じメルトインデックスを有した架橋性官能基を有する高架橋性樹脂と同種の架橋性樹脂としては、反応性官能基を有し、架橋することができる熱可塑性樹脂であれば特に限定されない。このような官能基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基等の不飽和基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、シラネート基等を有する前述した熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0068】
上記架橋性樹脂の具体的な例としては、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、シラン変性ポリエチレン、シラン変性ポリプロピレン等が挙げられる。高架橋性樹脂のみに、又は低(無)架橋性樹脂より高架橋性樹脂を優先的に架橋することが容易なこと、及び混合後の架橋が容易なことから、シラン変性ポリエチレン、シラン変性ポリプロピレンが最も好ましい。
【0069】
高架橋性樹脂と架橋性樹脂のメルトインデックスの差が、大きいと高架橋性樹脂のみに、又は低(無)架橋樹脂より高架橋性樹脂を優先的に架橋することが困難になるため、上記メルトインデックスの差は2g/10分以下が好ましく、1g/10分以下がさらに好ましい。
【0070】
上記架橋性官能基を有する架橋性樹脂を架橋する方法としては、過酸化物を用いて架橋する方法、イソシアネートを用いて架橋する方法、アミンを用いて架橋する方法、反応性官能基を加水分解した後、水架橋する方法等が挙げられる。
【0071】
混合後の架橋が容易なことから、反応性官能基を加水分解した後水架橋する方法が最も好ましい。
【0072】
[発泡剤]
上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体及び発泡性熱可塑性樹脂薄膜に含有される発泡剤として熱分解型発泡剤が用いられる。
【0073】
上記熱分解型発泡剤としては、用いられる熱可塑性樹脂の溶融温度より高い分解温度を有するものであれば、特に限定されず、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、アジド化合物、ほう水素化ナトリウム等の無機系熱分解型発泡剤;アゾジカルボンアミド、アゾビスホルムアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウム、ジアゾアミノベンゼン、N,N´−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、Pートルエンスルホニルヒドラジド、P,P´−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、トリヒドラジノトリアジン等が挙げられ、分解温度や分解速度の調整が容易でガス発生量が多く、衛生上優れているアゾジカルボンアミドが好ましい。
【0074】
上記熱分解型発泡剤の添加量が多すぎると、破泡し、均一なセルが形成されず、逆に少なすぎると十分に発泡しなくなることがあるため、熱分解型発泡剤は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、1〜25重量部の割合で含有させることが好ましい。
【0075】
[他に添加し得る成分]
熱可塑性樹脂発泡体の強度を高めるために、上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体及び発泡性熱可塑性樹脂薄膜に用いられる上記熱可塑性樹脂には、必要に応じて、ガラス短繊維、炭素短繊維、ポリエステル短繊維等の補強材;炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ガラスパウダー等の充填材等を添加してもよい。
【0076】
また、上記充填剤を添加する場合、添加量が多いと、発泡時にセルが破壊し、高発泡倍率の発泡体を得ることができず、また、少ないと、得られる発泡体を補強する効果が充分に得られないことがある。従って、充填剤の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、100重量部以下が好ましく、50重量部以下が特に好ましい。
【0077】
[発泡性熱可塑性樹脂シート状体]
発泡性熱可塑性樹脂シート状体は、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が平面的に略均一に配置しており、上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡性熱可塑性樹脂薄膜を介して一体的に連結されているものである。上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体の形状は、特に限定されず、例えば、六方体、円柱状、球状体などが挙げられるが、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡する際に、発泡を均一に行わせるには、円柱状が最も好ましい。
【0078】
発泡性熱可塑性樹脂粒状体が円柱状の場合、その径は、目的とする凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率や厚さ等によっても異なるため特に限定されるものではないが、大きすぎると発泡速度が低下し、小さすぎると発泡時の加熱で円柱が溶融・変形し、変形しやすく一次発泡性を発現できなくなり、厚み精度、重量精度のばらつきが大きくなる。従って、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が円柱の場合、その径は、1〜30mmが好ましく、2〜20mmの範囲が特に好ましい。
【0079】
発泡性熱可塑性樹脂粒状体が円柱状の場合、その高さは、目的とする熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率や厚さ等によっても異なるため特に限定されるものではないが、高すぎると発泡速度が低下し、低すぎると発泡性熱可塑性樹脂薄膜と同時に発泡するため、幅方向及び長手方向において大きく膨張することになる。従って、円柱状の発泡性熱可塑性樹脂粒状体の高さは1〜30mmが好ましく、より好ましくは2〜20mmである。
【0080】
発泡性熱可塑性樹脂粒状体間の距離は、目的とする熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率や厚さ等によっても異なるため、特に限定されるものではないが、上記距離が長すぎると発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡した時に充填不足が大きく発生する可能性があり、短すぎると完全充填してしまう。従って、発泡性熱可塑性樹脂粒状体間の中心間距離は、2〜50mmが好ましく、より好ましくは3〜30mmである。
【0081】
最終的に得られる熱可塑性樹脂発泡体の厚み精度、重量精度を向上し、凹凸形状と発泡倍率を均一化するには、上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体は、発泡性熱可塑性樹脂シート状体において平面的に略均一に配置されることが必要である。もっとも、熱可塑性樹脂粒状体を平面的に略均一に配置する態様としては、特に限定されるものではなく、格子状に配置されていてもよく、千鳥状に配置されていてもよい。発泡性熱可塑性樹脂粒状体が格子状に配置されている場合には、個々の発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡して得られる高発泡部が四角柱の形状となり、凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の緩衝性が均一となり、かつ圧縮強度も十分な値とされるため、発泡性熱可塑性樹脂粒状体は格子状に配置されることが好ましい。
【0082】
また、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が千鳥状に配置されている場合には、個々の発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡して得られる高発泡部が六角柱の形状となるため、擬似的なハニカム構造を構成することになる。そのため、得られる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の緩衝性が均一となり、圧縮強度も十分なものとなる。従って、好ましくは、発泡性熱可塑性樹脂粒状体は、千鳥状に配置される。
【0083】
発泡性熱可塑性樹脂薄膜の厚みは、目的とする熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率や厚み等によっても異なるため、特に限定されるものではないが、厚くなりすぎると、発泡時に発泡性熱可塑性樹脂粒状体を移動させ、幅方向及び長手方向における膨張が大きくなり、薄すぎると発泡性熱可塑性樹脂粒状体を保持できなくなる。従って、発泡性熱可塑性樹脂薄膜の厚みは、0.05〜3mmが好ましく、より好ましくは0.1〜2mmである。
【0084】
[発泡性熱可塑性樹脂シート状体の製造方法]
上記発泡性熱可塑性樹脂シート状体の製造方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、1)発泡性熱可塑性樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂及び発泡剤などを射出成形機に供給し、熱分解型発泡剤の分解温度より低い温度で溶融混練し、発泡性熱可塑性樹脂粒状体の形状に応じた凹部を有する金型に射出した後冷却する方法等が挙げられるが、2)発泡性熱可塑性樹脂シート状体を構成する熱可塑性樹脂及び発泡剤などを押出機に供給し、熱分解型発泡剤の分解温度より低い温度で溶融混練した後、軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂を、該シート状発泡性熱可塑性樹脂の厚みより狭いクリアランスを有し、少なくとも一方の外周面に多数の凹部が均一に配設された異方向に回転する一対の賦形ロールに導入し、前記凹部に軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂の一部を圧入した後、冷却、離型する方法が最も好ましい。
【0085】
上記2)の方法をさらに詳しく説明する。
先ず、軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂を得るには、通常、押出機により発泡性熱可塑性樹脂を溶融混練押出しする方法やカレンダーロールを用いて溶融化する方法が挙げられ、押出機を用いた溶融化が連続重量精度、定量性の点から最も好ましい。
【0086】
軟化状態の発泡性熱可塑性樹脂の形態は、連続的に成形できる形態であれば特に限定されず、シート形態、多数のストランド形態等が挙げられるが、流れ直角方向(幅方向)の定量性の点からシート形態が最も好ましい。
【0087】
賦形ロールの外周面の凹部の配設は、得られる発泡性熱可塑性樹脂シート状体の重量精度、厚み精度の向上の為、略均一的に配置されることが好ましい。賦形ロールの外周面の凹部の配設は、賦形ロール外周面全体で均一的にあれば特に限定されないが、より均一であることから、格子又は千鳥に配設されていることが最も好ましい。
【0088】
賦形ロールの外周面の凹部の形状は、特に限定されず、例えば、六方体状、円柱状、球状体等が挙げられるが、凹部を成形し易い点、発泡性熱可塑性樹脂粒状体を均一に成形し易い点、冷却後の離型が行い易い点から円柱状が最も好ましい。
【0089】
賦形ロールの外周面の凹部の形状が円柱状であるとき、円柱の径は、目的とする発泡性熱可塑性樹脂シート状体の形状により変化するため、特に限定されないが、大きすぎると冷却後の離型が行い難く、発泡性熱可塑性樹脂薄膜が破れ、小さすぎると冷却後の離型時に発泡性熱可塑性樹脂粒状体が破壊するため、1mm〜30mmが好ましく、2mm〜20mmが特に好ましい。
【0090】
賦形ロールの外周面の凹部の形状が円柱状であるとき、円柱の高さは、目的とする発泡性熱可塑性樹脂シート状体の形状により変化するため、特に限定されないが、高すぎると冷却後の離型が行い難く、発泡性熱可塑性樹脂薄膜が破れ、低すぎると一次元発泡を行える発泡性熱可塑性樹脂シート状体が形成できないため、1mm〜30mmが好ましく、2mm〜20mmが特に好ましい。
【0091】
賦形ロールのクリアランスは、軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂の厚みより狭いことが必要である。よって、この範囲であれば、目的とする発泡性熱可塑性樹脂シート状体の形状により変化するため、特に限定されないが、厚すぎると、一次元発泡を行える発泡性熱可塑性樹脂シート状体が形成できなくなり、薄すぎると冷却後の離型時に発泡性熱可塑性樹脂薄膜が破れ易いため、0.05mm〜3mmが好ましく、0.1mm〜2mmが特に好ましい。
【0092】
軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂の一部を凹部への圧入する方法は、1対の賦形ロールのクリアランスを変化させないことにより、軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂に賦形ロールからの圧力が付与されて成し遂げられる。
【0093】
一部を圧入され賦形された軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂の冷却方法は、発泡性熱可塑性樹脂の融点以下に下げることができれば、特に限定されず、例えば賦形ロール内部に冷却水を流すなどの方法がある。
【0094】
[硬質板状体]
本発明1〜11に使用される硬質板状体は、床材に通常負荷される荷重で容易に破損、損傷を起こさない材料であれば特に限定されず、例えば、
1)木単板、合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)、高密度繊維板(HDF)、ハードボード、平行合板(L.V.L)等の木質材料、
2)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂などよりなる樹脂材料、
3)繊維強化熱硬化樹脂、繊維強化熱可塑性樹脂などの複合材料、
等が挙げられる。
【0095】
上記硬質板状体には、必要に応じて、突板、合成樹脂又は合成樹脂発泡シート、化粧紙、合成樹脂含浸シートなどの表面化粧材を接着、積層してもよい。さらに意匠性、木質感、耐傷性などを付与するために、印刷、塗装、着色、コーティング等を行ってもよい。
【0096】
上記硬質板状体には、熱可塑性樹脂発泡体との積層面に任意方向に延長する凹溝が設けられてもよく、これにより硬質板状体の曲げ剛性をさらに低下させ、防音性をより向上させることが可能である。凹溝の形状は通常U字状、V字状、コの字状等に形成され、その溝幅は、1〜5mm、その溝深さは1〜5mm程度である。
【0097】
上記硬質板状体には、その周縁の全部または一部に、実矧ぎ、相欠きなど従来公知の接合法のための加工が施されていてもよい。
【0098】
硬質板状体の厚みは、薄すぎると、歩行時や重量物載置時に破壊しやすく、厚すぎると防音性が低下するため、2〜12mmが好ましく、より好ましくは2〜9mmであり、もっとも好ましくは2〜6mmである。
【0099】
上記硬質板状体の厚みと熱可塑性樹脂発泡体の厚みとの比は、硬質板状体の厚みが熱可塑性樹脂発泡体の厚みに比べて、厚すぎると床材の剛性が増加するため防音性が低下し、又、薄すぎると歩行時や重量物載置時に破壊しやすくなるので、硬質板状体の厚みに対し、好ましくは、1〜10倍、さらに好ましくは1〜5倍、最も好ましくは1〜3倍である。
【0100】
床材の厚みは、特に限定されないが、厚すぎると部屋の天井が低くなり、且つ歩行時の沈み込みも大きくなるため、65mm以下であることが好ましい。
【0101】
本発明9の床材は、硬質板状体が、連続発泡層の高発泡部が配置された面と反対の面に積層されている床材であるが、このような床材では防音性がさらに向上しより好ましい。
【0102】
[他に積層される材料]
請求項1〜9記載の記載の床材には、例えば、硬質板状体と硬質発泡体との間に、必要に応じ緩衝性、制振性、遮音性等の向上のために積層される樹脂シート、織布、不織布又は、発泡シートが積層されてもよい。
【0103】
上記緩衝性、制振性、遮音性等の向上のために積層される樹脂シートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂及びこれらの共重合体の樹脂シート:不飽和ポリエステル、ウレタン、エポキシ等の熱硬化性樹脂の樹脂シート、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンーブタジエンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレンープロピレンゴム等の加硫、非加硫ゴムの樹脂シートなどが挙げられる。
また、上記樹脂シートには、上記樹脂に無機、有機あるいは金属材料を充填した複合樹脂シートも含まれる。
【0104】
上記樹脂シートは、厚すぎると床材の沈み込みが大きくなり、薄すぎると緩衝性、制振性、遮音性の効果が発現できないため、30μm〜10mmが好ましく、50μm〜5mmがさらに好ましく、100μm〜3mmが最も好ましい。
【0105】
緩衝性、制振性、遮音性等の向上のために積層される織布あるいは、不織布としては、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、アラミド等の有機繊維などからなるものが挙げられる。
【0106】
上記織布あるいは不織布は、厚すぎると床材の沈み込みが大きくなり、薄すぎると緩衝性、制振性、遮音性などの効果が発現できないため、30〜1000g/m2 が好ましく、50〜800g/m2 がさらに好ましく、80〜500g/m2 が最も好ましい。
【0107】
緩衝性、制振性、遮音性等の向上のために積層される発泡シートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル、ウレタン等の樹脂及びこれらの共重合体からなるものが挙げられる。
【0108】
上記発泡シートは、厚すぎると床材の沈み込みが大きくなり、薄すぎると緩衝性、制振性、遮音性の効果が発現できないため、300μm〜10mmが好ましく、500μm〜5mmがさらに好ましく、1〜3mmが最も好ましい。
【0109】
請求項10記載の床材は、上記熱可塑性樹脂発泡体の裏面に不陸吸収層が形成されているものである。
【0110】
上記不陸吸収層は、床スラブとの不陸を調整するものであり、軟質発泡体を用いるのが好ましく、上記熱可塑性樹脂発泡体と相対的に圧縮弾性率の小さいものであれば特に限定されず、例えば、発泡倍率が10〜30倍のポリエチレン製発泡体、発泡倍率が20〜40倍のポリウレタン発泡体などがあげられる。
【0111】
上記軟質発泡体(C)の圧縮弾性率は特に限定されないが、小さすぎると歩行感が低下し(上述した「ふかふかする」状態)、大きすぎると防音性能が低下するので、0.2〜3kg/cm2 が好ましい。
【0112】
不陸吸収層の厚みは、厚すぎると床材の沈み込みが大きくなり、薄すぎると不陸吸収効果が発現できないため、300μm〜10mmが好ましく、500μm〜5mmがさらに好ましく、1〜3mmが最も好ましい。
【0113】
[熱可塑性樹脂発泡体と硬質板状体および他に積層される材料の積層方法]
熱可塑性樹脂発泡体と硬質板状体の積層方法としては、接着剤や粘着剤を用いた積層方法があげられる。使用される接着剤としては、酢酸ビニル系やビニルエステル系接着剤、クロロプレン系接着剤等が挙げられ、粘着剤としては、アクリル系粘着剤等が挙げられる。
【0114】
また、接着性、粘着性の向上のため、熱可塑性樹脂発泡体の少なくとも片面をコロナ処理、あるいはプライマー処理を行うことも好ましい。
【0115】
[床材の施工方法]
請求項1〜10の床材は、コンクリート等の床下地面材に直接接着または、粘着施工される床材であるが、他に、根太または支柱上に敷設された合板、パーティクルボード等の上面に接着剤、または粘着剤で施工してもよい。
【0116】
請求項11記載の床材は、請求項1〜10の床材が床スラブに直接積層されているものである。
【0117】
上記床材は、集合食住宅のコンクリート等の床スラブに直接接着剤又は粘着剤などで直貼される。上記床材の厚みは一般に5〜20mmが適当であり、12mmと15mmが標準サイズとして多用される。
【0118】
上記床材が積層される床スラブの厚みは100〜250mmが適当である。
(作用)
【0119】
請求項1記載の床材は、熱可塑性樹脂発泡体の片面に硬質板状体が積層されてなる床材であって、上記熱可塑性樹脂発泡体が、シート状の連続発泡層と、該連続発泡層の少なくとも一面に複数配置された高発泡部と、該高発泡部の全表面を上記連続発泡層と共に被覆する低発泡薄膜とからなり、
上記低発泡薄膜により被覆された高発泡部が、上記連続発泡層から凸状に形成され、相隣接する高発泡部間が凹状に形成されることにより、熱可塑性樹脂発泡体裏面に凹凸が形成されることにより、熱可塑性樹脂発泡体裏面に凹凸が形成されているものであるから、高い圧縮弾性率を有するものであっても曲げ剛性が大きくならないために床材上に衝撃が与えられた際の変形が容易となり、緩衝層が薄くても衝撃作用時間を延長することができ、少ない圧縮変形量と高い防音性が発現できる。加えて、連続発泡層が個々の高発泡体を繋ぐようになっているため、歩行時や重量物積載時の破壊が起こりにくい。従って、歩行時の「船酔い現象」を無くすことができ、防音性能に優れ、かつ歩行感の良い床材となる。
【0120】
請求項2記載の床材は、熱可塑性樹脂発泡体の片面に硬質板状体が積層されてなる床材であって、上記熱可塑性樹脂発泡体が、シート状の連続発泡層と、該連続発泡層の裏面上に複数配置された高発泡部と、該高発泡部全表面を上記連続発泡層と共に被覆する低発泡薄膜とからなり、上記高発泡部は連続発泡層から凸状に形成され、相隣接する高発泡部間が凹状に形成されていると共に、各高発泡部に接する連続発泡層の表面側は凹状に形成されているものであるから、硬質板状体と熱可塑性樹脂発泡体の接触が部分的となり硬質板状体の振動を熱可塑性樹脂発泡体に伝播しにくくなると共に、凹部で形成された空間で振動減衰がおこることにより防音性がさらに良好のものとなる。
【0121】
請求項3記載の床材は、請求項1又は2記載の床材において、上記高発泡部同士が、低発泡薄膜を介して、相互に連設されているため、個々の高発泡部の密着性が向上することにより一体化して負荷を分散するため、歩行時や重量物積載時の破壊が起こりにくい。
【0122】
請求項4記載の床材は、請求項3記載の床材において、隣接する低発泡薄膜同士がが熱融着しているものであり、密着性が更に向上する。
【0123】
請求項5記載の床材は、請求項1〜4記載の床材において、上記高発泡部が、連続発泡層に対して格子状、又は、千鳥状に配設されているものであり、個々の高発泡体が角柱状又は六角柱状となり、熱可塑性樹脂発泡体の厚み精度、重量精度のばらつきが少ない為、圧縮強度および強度ばらつきも向上するため、床材の沈み込みが小さくなり、歩行感がさらに良好のものとなる。
【0124】
請求項6記載の床材は、請求項1〜5記載の床材において、上記高発泡部側の、凸状形成部分の高さが凹状形成部分から3mm以上突設されており、曲げ剛性が更に低下することにより、床材に衝撃が発生した際の変形量が増大することにより防音性がさらに向上する。
【0125】
請求項7記載の床材は、請求項1〜6記載の床材において、上記床材の高発泡部側を平板上に載置したときに、高発泡部の凸状形成部分の平板に対する接触面積が、硬質板状体の断面積の10〜70%であり、上記接触面積が小さいので、緩衝性が増大し、防音性能の向上と発泡体の変形防止ができ、高防音性と好歩行感を更に両立した防音床材となる。
【0126】
請求項8記載の床材は、請求項1〜7記載の床材において熱可塑性樹脂発泡体の充填率が50〜90%であり、凹凸の空間による高防音化と発泡体の高強度化を共に高めることができ、高防音性と好歩行感をより両立した防音床材となる。
【0127】
請求項9記載の床材は、請求項1〜8記載の床材において、上記熱可塑性樹脂発泡体を形成するシート状体の一面に硬質板状体が積層され、他面側に、高発泡部が突設されているから、施工した際に凸状部が下面となり、施工面との接触面積が低下し、且つ施工面との間に空間が形成されることにより防音性が更に向上する。
【0128】
請求項10記載の床材は、請求項1〜9記載の床材において、上記熱可塑性樹脂発泡体の裏面に不陸吸収層が形成されているため、施工時の床スラブ等の不陸を吸収することができ床材の施工が容易になり且つ仕上がりが向上する。
【0129】
請求項11記載の床材は、請求項1〜10記載の床材が床スラブに直接積層されるものであり、高防音性と歩好感の両立に加えて、施工性も良好となる。
【実施例】
【0130】
本発明を実施例をもって、さらに詳しく説明する。
実施例1
熱可塑性樹脂発泡体
高密度ポリエチレン(三菱化学社製、商品名「HY340」、MI=1.5g
/10分)50重量%、シラングラフトポリプロピレン(三菱化学社製、商品名「XPM800H」、MI=11g/10分、架橋後のゲル分率80重量%)20重量%、ポリプロピレン(三菱化学社製、商品名「MA3」、メルトインデックス(MI)=11g/10分)30重量%からなる熱可塑性樹脂100重量部、アゾジカルボンアミド(大塚化学社製、商品名:SO−20、分解温度210℃)4重量部及びシラン架橋触媒としてのジブチル錫ジラウレート0.1重量部を含有する組成物を、図1に示した2軸押出機11に供給した。
【0131】
2軸押出機11としては、径44mmのものを用いた。2軸押出機11において、上記組成物を180℃で溶融混練し、面長500mm、リップ1.0mmのTダイ12により軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂を押し出した。
【0132】
さらに、深さ約10mm、直径4mmの円柱状の凹部13aが1個/cm2 の密度になるように、賦形ロール13のみにランダムに配置された、径250mm、面長500mmのロール13,14(クリアランス0.2mm)間で該発泡性熱可塑性樹脂シート状体を賦形しつつ冷却し、さらに発泡性熱可塑性シート状体を98℃の水中に2時間浸漬した後乾燥することにより、実測高さ、平均5.5mm、標準偏差1mm;直径4mmの円柱状の発泡性熱可塑性樹脂粒状体が1個/cm2 の密度になるように、ランダムに構成された表1のような発泡性熱可塑性樹脂シート状体を得た。
【0133】
上記のようにして得た発泡性熱可塑性樹脂シート状体1では、発泡性熱可塑性樹脂粒状体2が発泡性熱可塑性樹脂薄膜3により連結されて、全体として発泡性熱可塑性樹脂シート状体1が構成されていた。
【0134】
得られた発泡性熱可塑性樹脂シート状体1を300×900mmに切断し、図2(a)〜(e)に示したように、ポリフッ化エチレンシート15上に配置し、さらにポリフッ化エチレンシート16をその上面に配置して、ハンドプレスにより、ポリフッ化エチレンシート15、16間が10mmの厚みとなるようにして、210℃で10分間加熱発泡した後、30℃の冷却プレスで10分間冷却し、発泡倍率8倍、厚み10mmの凹凸状熱可塑性樹脂発泡体(図3)を得た。
【0135】
この発泡体は、板状体の連続発泡層3と、該連続発泡層3の片面上に複数配置された高発泡部2と、該高発泡部2表面を上記連続発泡層3と共に被覆する低発泡薄膜4からなり、更に前記高発泡部2は連続発泡層3に対して各々凸状に形成され、各高発泡部2に接する連続発泡体3の表面側は凹状に形成されたが、連続発泡体3の凸部に対応する部位は切削して平滑形状とした。
【0136】
なお、得られた熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率、発泡体の厚みは以下の方法で測定した。
【0137】
(発泡倍率)
JIS K6767に準拠して発泡倍率を測定した。
(発泡体の厚み)
ノギスを用い、得られた熱可塑性樹脂発泡体の厚みを測定した。
【0138】
(床材の製作)
ラワン合板に、厚み0.3mmの突き板(北三社製、商品名「ホワイトオーク」)を水性ビニルウレタン系樹脂(光陽産業社製、商品名「KR120」)で接着し、厚み4.0mmの硬質板状体を得た。
得られた硬質板状体にアクリル系粘着剤(積水化学工業社製、商品名「#5782)を用いて厚さ8mmに調整した上記熱可塑性樹脂発泡体を接着積層し、床材(厚み12mm)(図4)を得た。
【0139】
なお、得られた床材の全体厚さ、発泡体の厚さ、凹状の形成の有無、密接の有無、配置、凸部の高さ、面積率、充填率は以下の方法で測定した。
【0140】
(床材全体及び発泡体、硬質板状体の厚み)
ノギスを用い、得られ床材を構成する個々の厚みを測定した。
(凹状の形成の有無、密接の有無、配置)
制作した床材を目視観察した。
(凸部高さ)
連続層に対する凸部の高さをノギスにて測定した。
(面積率)
床材の発泡体凸部に着色、平板にこれを転写した際の着色面積率を測定した。
(充填率)
(配置重量(g/m2)×発泡倍率)/(発泡体の厚み×1000)×100の計算式により算出した。
【0141】
実施例2〜10
ロール凹部配置態様を表1に示す発泡性熱可塑性樹脂シート状体を得るか為に変化したこと以外は、実施例1と同様にして表1のような発泡性熱可塑性樹脂シート状体を得た。なお、表中ロール凹部配置態様が「ランダム」とあるのは、凹部13aが1個/cm2 の密度になるように、ランダムに配置されたことを示し、「格子」とあるのは凹部13aが表1に示した間隔に格子状(図5参照)に、「千鳥」とあるのは凹部13aが表1に示した間隔に千鳥状(図6参照)に配置されたことを示す。
【0142】
上記のようにして得た発泡性熱可塑性樹脂シート状体1では、発泡性熱可塑性樹脂粒状体2が発泡性熱可塑性樹脂薄膜3により連結されて、全体として発泡性熱可塑性樹脂シート状体1が構成されていた。
【0143】
得られた発泡性熱可塑性樹脂シート状体1を300×900mmに切断し、図2に示したように、ポリフッ化エチレンシート15上に配置し、さらにポリフッ化エチレンシート16をその上面に配置して、ハンドプレスにより、ポリフッ化エチレンシート15、16間が表1に示した隙間となるようにして、210℃で10分間加熱発泡した後、30℃の冷却プレスで10分間冷却し、発泡倍率8倍、厚み8mmの凹凸状熱可塑性樹脂発泡体(図7)を得た。
【0144】
この発泡体は、板状体の連続発泡層と、該連続発泡層の少なくとも片面上に複数配置された高発泡部と、該高発泡部表面を前記連続発泡層と共に被覆する低発泡薄膜からなり、更に前記高発泡部は連続発泡層に対して各々凸状に形成されていると共に、各高発泡部に対応する連続発泡体の表面側3aは凹状に形成されているものであった。
【0145】
なお、得られた熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率、発泡体の厚みは実施例1と同様に測定した。
【0146】
さらに実施例1と同様にして、硬質板状体に得られた熱可塑性樹脂発泡体を表1に示した積層面に接着積層し、図8に示した床材を得た。
【0147】
さらに実施例10では、ポリウレタン発泡体(発泡倍率40倍、2.5mm厚)からなる不陸層を熱可塑性樹脂発泡体の硬質板状体が積層されている面と反対の面に接着積層し、図9に示した床材を得た。
【0148】
比較例1
床材を、ラワン合板に実施例1と同様の0.3mmの突き板を接着して得られた、厚み12mmの硬質板状体とした。
【0149】
比較例2
アゾジカルボンアミド(大塚化学社製、商品名:SO−20、分解温度210℃)を5重量部に増やした事以外は実施例1と同様にして得られた軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂を、凹部を有しない、径250mm、面長500mmのロール(クリアランス1mm)間で冷却し、さらに98℃の水中に2時間浸漬した後乾燥することにより、厚み1.0mmの発泡性熱可塑性樹脂シートを得た。
得られた発泡性熱可塑性樹脂シートを実施例1と同様にして発泡させたところ厚み2.2mmの発泡体となった。得られた発泡体を4枚重ねて積層し、加熱圧着して厚み8.0mmの熱可塑性樹脂発泡体を得た。得られた熱可塑性樹脂発泡体からを実施例1と同様にして硬質板状体に得られた熱可塑性樹脂発泡体を接着積層し、床材を得た。
【0150】
比較例3
アゾジカルボンアミド(大塚化学社製、商品名:SO−20、分解温度210
℃)を5重量部に増やした事以外は実施例1と同様にして得られた軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂をロール凹部配置態様を表1に示す発泡性熱可塑性樹脂シート状体を得る為に変化したこと以外は、実施例1と同様にして表1のような発泡性熱可塑性樹脂シート状体を得た。
【0151】
得られた発泡性熱可塑性樹脂シート状体1を300×900mmに切断し、図2に示したように、ポリフッ化エチレンシート15上に配置し、さらにポリフッ化エチレンシート16をその上面に配置して、ハンドプレスにより、ポリフッ化エチレンシート15、16間が表1に示した隙間となるようにして、210℃で10分間加熱発泡した後、30℃の冷却プレスで10分間冷却し、発泡倍率8倍、厚み8mmの熱可塑性樹脂発泡体を得た。
【0152】
この発泡体は、板状体の連続発泡層と、該連続発泡層の少なくとも片面上に複数配置された高発泡部と、該高発泡部表面を前記連続発泡層と共に被覆する低発泡薄膜からなり、個々の高発泡部は、低発泡薄膜を介して熱融着された平面状の発泡体であった。
さらに実施例1と同様にして、硬質板状体に得られた熱可塑性樹脂発泡体を表1に示した積層面に接着積層し、床材を得た。
【0153】
【表1】
【0154】
実施例1〜10、比較例1〜3で得られた床材を以下の評価に供し、その結果を表2に纏めて示した。
【0155】
床材の評価
▲1▼沈み込み量
得られた床材を200×200mmに切断し、硬質板状体側にφ50mmの鋼製円柱圧子を載置し、2m/minの速度で80kgfの圧縮荷重を負荷したときの沈み込み量を測定した。
【0156】
▲2▼防音性能
JIS A1418に準拠して軽量床衝撃騒音レベルを測定した。
【0157】
▲3▼不陸吸収性
床材を3枚平行にならべ、2mmの凹凸部を有する疑似平板に対しての接触度合いを目視にて確認、
以下の基準で4段階評価した。
◎:完全に密接
○:平板と床材の隙間が0.5mm未満
△:平板と床材の隙間が0.5〜1.5mm
×:平板と床材の隙間が1.5mm以上
【0158】
【表2】
【0159】
【発明の効果】
請求項1記載の床材は、上述の如き構成とされているので、防音性能に優れ、かつ歩行感の良い床材となる。
【0160】
請求項2記載の床材は、上述の如き構成とされているので、防音性がさらに良好のものとなる。
【0161】
請求項3〜5記載の床材は、上述の如き構成とされているので、歩行感がさらに良好のものとなる。
【0162】
請求項6記載の床材は、上述の如き構成とされているので、防音性がさらに良好のものとなる。
【0163】
請求項7、8記載の床材は、上述の如き構成とされているので、防音性と歩行感がさらに両立されたものとなる。
【0164】
請求項9記載の床材は、上述の如き構成とされているので、防音性がよく且つ施工性に優れたものとなる。
【0165】
請求項10記載の床材は上述の如き構成とされているので、施工性がさらに良好のものとなる。
【0166】
請求項11記載の床材は、請求項1〜10の床材を直貼りしているので、防音性、歩行に加え、施工性も優れた物となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明(請求項1〜11)に使用され得る発泡性熱可塑性樹脂の製造方法の一例を説明するための工程図である。
【図2】(a)〜(e)は、本発明(請求項1〜11)に使用される得る熱可塑性樹脂発泡体の製造方法の一例を説明するための断面図である。
【図3】実施例1により得られた熱可塑性樹脂発泡体を示す断面図である。
【図4】実施例1により得られた床材を示す断面図である。
【図5】発泡性熱可塑性樹脂粒状体が格子状に配置されている状態を説明するための平面図である。
【図6】発泡性熱可塑性樹脂粒状体が千鳥状に配置されている形態を説明するための平面図である。
【図7】実施例2〜10により得られた熱可塑性樹脂発泡体を示す断面図である。
【図8】実施例2〜9により得られた床材を示す断面図である。
【図9】実施例11により得られた床材を示す断面図である。
【符号の説明】
1 熱可塑性樹脂発泡体
2 高発泡体
3 連続発泡層
3a連続発泡層
4 低発泡薄膜
5 発泡性熱可塑性樹脂シート状体
6 発泡性熱可塑性樹脂粒状体
7 発泡性熱可塑性樹脂薄膜
11 二軸押出機
12 Tダイ
13 賦型ロール
14 賦型ロール
15 シート
16 シート
21 硬質板状体
22 不陸層
Claims (11)
- 熱可塑性樹脂発泡体の片面に硬質板状体が積層されてなる床材であって、上記熱可塑性樹脂発泡体が、シート状の連続発泡層と、該連続発泡層の少なくとも一面に複数配置された高発泡部と、該高発泡部の全表面を上記連続発泡層と共に被覆する低発泡薄膜とからなり、
上記低発泡薄膜により被覆された高発泡部が、上記連続発泡層から凸状に形成され、相隣接する高発泡部間が凹状に形成されることにより、熱可塑性樹脂発泡体裏面に凹凸が形成されていることを特徴とする床材。 - 熱可塑性樹脂発泡体の片面に硬質板状体が積層されてなる床材であって、上記熱可塑性樹脂発泡体が、シート状の連続発泡層と、該連続発泡層の裏面上に複数配置された高発泡部と、該高発泡部全表面を上記連続発泡層と共に被覆する低発泡薄膜とからなり、上記高発泡部は連続発泡層から凸状に形成され、相隣接する高発泡部間が凹状に形成されていると共に、各高発泡部に接する連続発泡層の表面側は凹状に形成されていることを特徴とする床材。
- 上記高発泡部同士が、低発泡薄膜を介して、相互に連設されていることを特徴とする請求項1又は2記載の床材。
- 上記高発泡部同士が、熱融着した低発泡薄膜を介して、相互に連設されていることを特徴とする請求項3記載の床材。
- 上記高発泡部が、連続発泡層に対して格子状、又は、千鳥状に配設されていることを特徴とする請求項1〜4記載の床材。
- 上記高発泡部側の、凸状形成部分の高さが凹状形成部分から3mm以上突設されていることを特徴とする請求項1〜5記載の床材。
- 上記床材の高発泡部側を平板上に載置したときに、高発泡部の凸状形成部分の平板に対する接触面積が、硬質板状体の断面積の10〜70%であることを特徴とする請求項1〜6記載の床材。
- 前記熱可塑性樹脂発泡体の体積が、該熱可塑性樹脂発泡体を外接しうる最小の直方体の体積に対して50〜90%であることを特徴とする請求項1〜7記載の床材。
- 上記熱可塑性樹脂発泡体を形成するシート状体の一面に硬質板状体が積層され、他面側に、高発泡部が突設されていることを特徴とする請求項1〜8記載の床材。
- 上記熱可塑性樹脂発泡体の裏面に不陸吸収層が形成されていることを特徴とする請求項1〜9記載の床材。
- 硬質板状体を表面としたときに、裏面側が床スラブに対し直接貼着されるものであることを特徴とする請求項1〜10記載の床材。
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