JP3614144B2 - 変圧器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は受変電設備に多く用いられている変圧器に関する。
【０００２】
【従来の技術】
良く知られているように、受変電設備の油入変圧器は一次線輪と二次線輪を巻装した鉄心をタンク内の絶縁油中に浸し、一次線輪と二次線輪の端末をタンク表面に配置された外部との接続端子を有する絶縁貫通ブッシングの貫通導体端部に接続している。
【０００３】
また、変圧器と一次側、二次側に各々設置される開閉器などの電気機器を接続するには、電力ケーブルや接地金属外被で覆われた導体で構成されたバスダクトを用いている。電力ケーブルやバスダクトは電源系統の短時間耐電流を電気的・機械的に考慮した容量のものが用いられている。変圧器と開閉器の接続端末部は十分な絶縁端末処理を施している。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術は、変圧器とその一次側、二次側に設置された電気機器との接続は、電力ケーブルやバスダクトで行っており、容量の大きな電力ケーブルやバスダクトを必要とし、かつ、現地据付では変圧器一次端子部における十分な絶縁端末処理を行わなければならず現地調整作業に多くの工数を必要とするという問題点を有している。
本発明の目的は電力ケーブルやバスダクトなどの機器が不要で、現地据付工数を大幅に低減できる変圧器を提供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明の特徴とするところは、絶縁物質を密封封入したタンクの上板を貫通して設けた絶縁ブッシング碍管内を貫通してケーブルを配設し、ケーブルの下端は絶縁ブッシング碍管の下端より下方に突出して絶縁物質中に位置させ、ケーブルの絶縁物質中に位置する下端に一次線輪のリード線を接続するようにしたことにある。
【０００６】
本発明は変圧器に付属させた電力ケーブルを他機器へ接続するだけで現地施工作業が完了するので、バスダクト等の他機器との取合い機器や現地施工及び変圧器表面のブッシング端子部での気中絶縁処理作業等が一切不要となり、現地作業工程の大幅に短縮することができる。
【０００７】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基いて説明する。
図１、図２に本発明の一実施例を示す。図２は図１の左側面観図である。なお、図１は油入変圧器の例を示している。
【０００８】
図１において、タンク１の内部には絶縁物質としての絶縁油５が密閉封入されている。鉄心２は磁束が通り易いけい素鋼板を積層して構成され、一次線輪３と二次線輪４が夫々各相（図２のｕ、ｖ、ｗ相）毎に巻装されている。鉄心２は絶縁油５の中に浸して配置されている。
【０００９】
タンク１の上板２０には絶縁ブッシング碍管７が固定金具１２によって固定されている。絶縁ブッシング碍管７にはケーブル８が貫通して配設されている。図１は絶縁ブッシング碍管７を一相分のみを示している。ケーブル８のタンク１外の上端には開閉器端子１５と接続するプラグ２２が設けられている。また、タンク１の上板２０には変圧器二次端子１４が固定金具２１により固定されている。
【００１０】
図３に絶縁ブッシング碍管７の詳細拡大図を示す。
図３において、タンク１の上板２０には絶縁ブッシング碍管７が固定金具１２によって固定されている。絶縁ブッシング碍管７にはケーブル８が貫通して配設されている。ケーブル８はその下端８ａが絶縁ブッシング碍管７の下端より下方に突出して絶縁油５中に位置するように配設されている。
【００１１】
絶縁ブッシング碍管７の上端部（タンク１の外側）には内壁にＯリング９―１が設けられ、ケーブル８の外被に密着させている。また、Ｏリング９とケーブル８の間で絶縁ブッシング碍管７の外側に絶縁物１０―１を充填し、さらに、絶縁ブッシング碍管７とケーブル８の表面をヒートシュリンク材（熱収縮材）１１―１で密着させて外部からの水分の浸入を防止している。これらの、Ｏリング９―１、絶縁物１０―１、ヒートシュリンク材１１―１は密閉部材を構成する。
【００１２】
同様に、絶縁ブッシング碍管７の下端部（タンク１の内側）には、内壁にＯリング９―２が設けられ、ケーブル８の外被に密着させている。また、Ｏリング９とケーブル８の間で絶縁ブッシング碍管７の外側に絶縁物１０―２を充填し、さらに、絶縁ブッシング碍管７とケーブル８の表面をヒートシュリンク材（熱収縮材）１１―２で密着させてタンク１から絶縁油５の浸み出しを防止している。これらの、Ｏリング９―２、絶縁物１０―２、ヒートシュリンク材１１―２も密閉部材を構成する。
【００１３】
絶縁ブッシング碍管７の下端部にはケーブル８の端部に電界緩和材１３が挿入されており、ケーブル８の端部の電界を緩和して端末処理寸法を短くできるようにしている。
【００１４】
この構成において、一次側の電気機器である開閉器端子１５には、絶縁ブッシング碍管７内に貫通しているケーブル８により、絶縁耐力に優れたタンク１の内部から直接高電圧をタンク１の外部へ引出して直接接続することができる。したがって、変圧器の一次側端子部での高電圧電力ケーブルの気中絶縁端末処理作業を不要にでき、また、変圧器の一次側には系統の短時間容量に電気的・機械的に見合った容量の電力ケーブルやバスダクトが不要となり、これ等の制作費や現地での据付及び調整作業等が一切不要となり、現地工数の大幅な低減が可能となる。
【００１５】
図４に本発明の他の実施例を示す。図４の実施例において図１の実施例と異なるところは、タンク１内の絶縁油５とタンク１の間に絶縁耐力の高い窒素ガス１６を封入して密封し、タンク１上部の窒素ガス封入部で一次線輪３のリード線６と電力ケーブル８を接続したことである。
【００１６】
図４の実施例においても、変圧器の一次側端子部での高電圧電力ケーブルの気中絶縁端末処理作業を不要にでき、また、変圧器の一次側には系統の短時間容量に電気的・機械的に見合った容量の電力ケーブルやバスダクトが不要となり、これ等の制作費や現地での据付及び調整作業等が一切不要となり、現地工数の大幅な低減が可能となる。その上、一次線輪３のリード線６と電力ケーブル８を窒素ガス部１６で接続する事により接続部の端末処理を簡素化することができる。
【００１７】
以上説明したように、本発明は絶縁物質を密封封入したタンクの上板を貫通して設けた絶縁ブッシング碍管内を貫通してケーブルを配設し、ケーブルの下端は絶縁ブッシング碍管の下端より下方に突出して絶縁物質中に位置させ、ケーブルの絶縁物質中に位置する下端に一次線輪のリード線を接続するようにしている。
【００１８】
したがって、変圧器に付属させた電力ケーブルを他機器へ接続するだけで現地施工作業が完了するので、バスダクト等の他機器との取合い機器や現地施工及び変圧器表面のブッシング端子部での気中絶縁処理作業等が一切不要となり、現地作業工程の大幅に短縮することができる。
【００１９】
なお、上述の実施例はタンクに封入する絶縁物質が絶縁油であるがＳＦ６ガスなどの絶縁気体を封入した変圧器でも同様な効果が得られるのは勿論のことである。
【００２０】
また、タンクに絶縁油と窒素ガスを封入した窒素ガスの代りに高圧乾燥空気を封入しても良いことは明らかなことである。
【００２１】
さらに、上述の実施例は一次側だけに絶縁ブッシング碍管を貫通するケーブルを設けているが、二次側にも設けて良いことは明らかなことである。
【００２２】
【発明の効果】
本発明に依ればしたがって、変圧器に付属させた電力ケーブルを他機器へ接続するだけで現地施工作業が完了するので、バスダクト等の他機器との取合い機器や現地施工及び変圧器表面のブッシング端子部での気中絶縁処理作業等が一切不要となり、現地作業工程の大幅に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図２】図１の左側面観図である。
【図３】本発明の要部の詳細構成図である。
【図４】本発明の他の実施例を示す構成図である。
【符号の説明】
１…油入変圧器のタンク、２…変圧器鉄心、３…一次線輪、４…二次線輪、５…絶縁油、６…一次線輪端末リード線、７…絶縁ブッシング碍管、８…ケーブル、９…Ｏリング、１０…絶縁物、１１…ヒートシュリンク材、１２、２１…固定金具、１３…電界緩和材、１４…変圧器二次端子、１５…開閉器端子、１６…窒素ガス、２０…タンク１の上板、２２…プラグ。
Claims (6)
- タンク内に密封封入した絶縁物質中に、一次線輪と二次線輪を巻装した鉄心を配置した変圧器において、前記タンクの上板を貫通し前記タンクに固定された絶縁ブッシング碍管と、前記絶縁ブッシング碍管内を貫通して配設され、下端が前記絶縁ブッシング碍管の下端より下方に突出して前記絶縁物質中に位置するケーブルと、前記絶縁ブッシング碍管の上端部と下端部を密閉する密閉部材とを具備し、前記ケーブルの前記絶縁物質中に位置する下端に前記一次線輪のリード線を接続するようにしたことを特徴とする変圧器。
- タンク内に絶縁油とその上部に絶縁気体を密封封入し、一次線輪と二次線輪を巻装した鉄心を前記絶縁油中に配置した変圧器において、前記タンクの上板を貫通し前記タンクに固定された絶縁ブッシング碍管と、前記絶縁ブッシング碍管内を貫通して配設され、下端が前記絶縁ブッシング碍管の下端より下方に突出して前記絶縁気体中に位置するケーブルと、前記絶縁ブッシング碍管の上端部と下端部を密閉する密閉部材とを具備し、前記ケーブルの前記絶縁気体中に位置する下端に前記一次線輪のリード線を接続するようにしたことを特徴とする変圧器。
- 請求項１において、前記絶縁物質は絶縁油であることを特徴とする変圧器。
- 請求項１において、前記絶縁物質はＳＦ６ガスであることを特徴とする変圧器。
- 請求項２において、前記絶縁気体は窒素ガスであることを特徴とする変圧器。
- 請求項２において、前記絶縁気体は高圧乾燥空気であることを特徴とする変圧器。
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