JP3613809B2 - 加熱接着用表面被覆電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

加熱接着用表面被覆電磁鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、表面被覆鋼板を打ち抜き、剪断、プレス加工後に加圧および加熱により、複数枚積層し接着して鉄芯等に用いられる表面被覆電磁鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、無方向性電磁鋼板を電気機器等の鉄芯に積層して使用する場合は、まず電磁鋼板の表面に渦電流を減少させるための絶縁被膜を施し、次いでそれを打抜きまたは切断加工後、積層しさらに溶接、かしめ、もしくは接着剤により固着して製造していた。
しかしながら、複数枚の表面被覆鋼板を溶接やかしめにより固着させる方法は鉄芯のエッジ部が短絡して絶縁性が低下したり、かしめ時の加工歪みにより鉄芯としての磁気特性を満足しないといった問題がある。
また、接着剤により固着させる方法も、単位鉄芯としての表面被覆鋼板1枚毎に接着剤を塗布する必要があり、それゆえ作業性が非常に悪く、さらに絶縁塗膜を施しているため、接着力が十分ではないというような各種問題があった。
【0003】
そこで、近年、加熱圧着により接着力を発現する絶縁塗膜を施した表面被覆電磁鋼板の製造方法が提案されている。
この表面被覆電磁鋼板に要求される特性としては、加圧・加熱接着性、耐ブロッキング性、打ち抜き性、剪断性、プレス加工性および耐食性など数多く挙げられる。
これらの諸要求を満たすために数多くの研究がなされ、加熱接着用表面被覆電磁鋼板の被膜組成に関して多くの提案がなされている。
【0004】
例えば、特公昭49−13318号公報には、熱可塑性エポキシ樹脂とベンゾグアナミン樹脂からなる被膜を有する接着用電磁鋼板が、特公昭52−8998号公報には熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の混合樹脂(フェノキシ樹脂とメタノール変性メラミン樹脂の混合樹脂、フェノキシ樹脂とベンゾグアナミン樹脂の混合樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂およびメラミン樹脂からなる混合樹脂)からなる被膜を有する接着用表面被覆電磁鋼板が、さらに、特開平2−38042号公報には、熱可塑性アクリル樹脂、エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤からなる混合樹脂を被覆した鋼板が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した方法で得られる接着用表面被覆電磁鋼板は、加圧加熱接着後の常温における接着強度は良好なものの、高温下の接着強度は必ずしも十分とはいえないものであった。あるいは、十分な高温接着強度を得るために、接着時間を長時間必要とする、もしくは接着後に熱処理する必要があるなど、作業性に劣るものであった。具体的には、特公昭49−13318号公報では、実施例から明らかなように、130℃での接着強度が18kg/cmであり、しかも接着するために130℃で24時間の加圧積層時間を要していた。また、特公昭52−8998号公報では、十分な耐熱接着強度を得るために200℃で3時間の加圧積層時間を要していた。特開平2−38042号公報には、高温下での接着強度の記載がないが、本発明者らの試験によると150℃においては接着性が発現しなかった。
【0006】
本発明の目的は、トランスやモーターなどの鉄芯として用いられ、表面被膜を絶縁被膜として使用する電磁鋼板を製造するにあたり、複数枚の表面処理鋼板を積層して接着した後に150℃程度の高温環境下に晒された場合においても十分な接着強度を発現し、かつ、この接着特性を短時間(1分程度)の積層接着時間で達成し、さらに、耐ブロッキング性などを接着用表面被覆電磁鋼板に要求される他の特性をも同時に満足する加熱接着用表面被覆電磁鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を行なった結果、特定の水系塗料を用いて特定の工程により絶縁被膜を形成すると短時間の積層接着時間で耐ブロッキング性が良く、加熱時に接着性が高く、しかも接着後は高温環境下でも十分な接着強度を発現する加熱接着用表面被覆電磁鋼板が得られることを知見し本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明は、電磁鋼板の少なくとも一方の面に、
(A)ガラス転移温度が80℃以上の熱可塑性アクリルエマルジョン樹脂と、
(B)エポキシ樹脂エマルジョン樹脂と、
(C)水性のフェノール樹脂と、
(D)水性のアクリルシリコーン樹脂とを、
含有する水系塗料を乾燥膜厚み1μm〜10μmになるよう塗工機にて塗布し、乾燥後、到達板温度が150℃〜300℃の範囲内で加熱処理することを特徴とする加熱接着用表面被覆電磁鋼板の製造方法である。
ここで、前記塗工機としてロールコーターを用いる際の、前記水系塗料の粘度を4号フォードカップ値で60秒〜200秒の範囲内に調整する製造方法が好ましい。
【0010】
【作用】
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明の被膜を形成する組成物である水系塗料(以下、単に被覆組成物と略称する)につき説明する。
【0011】
(A)成分である熱可塑性アクリルエマルジョン樹脂は、アクリル酸の炭素数1〜8のアルキルエステルモノマー、メタクリル酸の炭素数1〜8のアルキルエステルモノマー、スチレンモノマーもしくはこれらモノマーの混合物からなり、さらに必要に応じアクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート等の官能基含有モノマーを約10モル%以下含有せしめたモノマー混合物を、得られるアクリル樹脂のガラス転移温度(以下Tgという)が80℃以上好ましくは、80℃〜150℃になるように適宜組み合わせて、通常の乳化重合法により得られるものである。
【0012】
なお、Tgが前記特定範囲より低いと、得られる塗膜に粘着性が残り、例えば被覆鋼板をコイルとして巻取る場合や積み重ねた時などにブロッキング現象が起きやすくなり、かつそれが原因で塗膜が損傷することがあるので好ましくない。
一方、Tgが200℃超の場合には必然的に溶融、軟化する温度が高くなることから、焼付温度を高く設定する必要を生じ、積層接着温度の高温化をも必要とするため、作業性を低下させるので好ましくない。
【0013】
次に(B)成分であるエポキシエマルジョン樹脂は、塗膜の鋼材に対する密着力、防錆力等を向上させ、かつ積層鉄芯を加熱圧着した際、単位鉄芯間を強力に接着させるために配合される。
ここでいうエポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を含有する、常温で液状もしくは固形のものである。具体的には、多価アルコールや多価フェノールとハロヒドリンとを反応させて得られるもので、ビスフェノールA型、ハロゲン化ビスフェノールA型、ノボラック型、ポリグリコール型、ビスフェノールF型、エポキシ化油等が挙げられる。
【0014】
当該エポキシ樹脂は、エポキシ当量が約200〜1000のものが適当である。また、耐ブロッキング性等を考慮して常温で固形のものの使用が望ましい。具体的な市販品としては、エピコート#828、#1001、#1004、#1007(以上、油化シェルエポキシ社製商品名);D.E.R.511−A80、732(以上ダウケミカル社製商品名);YD−011、001、001Z、012、014、ST−5080、5100、YDCN−701、702、703、704、YDPN−638(以上、東都化成社製商品名)等が代表的なものとして挙げられる。
【0015】
エポキシエマルジョン樹脂は、これらエポキシ樹脂を乳化剤の存在下で通常の強制乳化方式により製造される。なお使用する乳化剤は、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル系ノニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリエーテル類、あるいはこれらとジイソシアネート化合物との付加物を単独、もしくはブレンドして使用するのが望ましい。
【0016】
本発明において使用される(C)成分である水性フェノール樹脂は、焼付け時および加熱圧着時に(A)成分および(B)成分と反応し、3次元の架橋をすることにより塗膜のTgを向上させるために配合される。
【0017】
フェノール樹脂は、p−クレゾール、o−クレゾール、p−tertブチルフェノール、p−エチルフェノール、ビスフェノールA、p−フェニルフェノール、2,3−キシレノールのようなフェノール類とホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒドのようなアルデヒド類とを塩基性触媒または酸性触媒下で公知の方法で反応させて得られる樹脂である。
フェノール樹脂は、ノボラック型とレゾール型等が挙げられるが、(A)成分および(B)成分との反応性を考慮してレゾール型を使用するのが望ましい。
【0018】
市販品としては、ヒタノール7007H(日立化成工業社製商品名);ユカレジンKE−910、911、912(以上、吉村油化学社製商品名);タマノール722、771(以上、荒川化学工業社製商品名);PL−2761、2975(以上、群栄化学工業社製商品名);BRE−174、CKE−2370(以上、昭和高分子社製商品名);プライオーフェン4302(以上、大日本インキ化学工業社製商品名)等が代表的なものとして挙げられる。
水性フェノール樹脂は、これらフェノール樹脂を乳化剤の存在下で通常の強制乳化方法により製造される。
【0019】
(C)成分以外で(A)成分および(B)成分と反応し、3次元の架橋をするものとして、アミノ樹脂やベンゾグアナミン樹脂等が挙げられるが、これらの樹脂は塗膜表面に配向して架橋を起こすため、接着性の低下を起こし不適当である。
【0020】
本発明において使用される(D)成分である水性アクリルシリコーン樹脂は、焼付け時にアルコキシシリル基の縮合反応により、分子間に安定なシロキサン結合を形成するため高温時の接着性を向上させるために配合される。
【0021】
アクリルシリコーン樹脂は、例えばアクリル酸、メタクリル酸、それらの誘導体と架橋成分であるアルコキシシリル基を含有するモノマーとの共重合により得られるアクリル系共重合体である。
【0022】
前記アクリル酸またはメタクリル酸の誘導体としては、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリルなどが挙げられる。
【0023】
前記アルコキシシリル基を含有するモノマーとしては、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランなどが挙げられる。
【0024】
アルコキシシリル基含有アクリル系共重合体は、たとえば、遷移金属等の触媒下で公知の方法により反応させて得られる樹脂である。
市販品としては、カネビノールKD−3、4、5、20、30(以上カネボウNSC社製商品名);LX−854A1(ヘキスト合成社製商品名)等が代表的なものとして挙げられる。
水性アクリルシリコール樹脂は、これらアクリルシリコーン樹脂を乳化剤の存在下で通常の強性乳化方法または通常の溶媒置換方法等により製造される。
【0025】
本発明で使用する被覆組成物は以上の(A)〜(D)成分を結合剤とし、さらに必要に応じ、着色顔料、体質顔料、防錆顔料あるいは消泡剤、表面調整剤、増粘剤、顔料分散剤、防錆剤等の各種添加剤を配合したものからなるものである。
【0028】
本発明の被覆組成物において、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の樹脂固形分重量割合は、(A)成分100重量部に対して、(B)成分3〜80好ましくは5〜60重量部、(C)成分は3〜100好ましくは5〜60重量部、(D)成分は3〜80好ましくは5〜60重量部配合するのが適当である。
【0029】
(B)成分が前記範囲より少ないと、塗膜の基材に対する密着力が弱いため、接着力が低下する。逆に(B)成分が多過ぎると、加熱圧着する前の塗膜の物性が悪くなり、また加熱圧着時に(A)成分の熱融着を阻害するため接着力が弱い。
【0030】
また、(C)成分が前記範囲より少ないと、架橋による3次元構造が少ないため、高温時(150℃)での接着力が弱い。逆に(C)成分が多過ぎると、架橋の進み過ぎにより塗膜のTgが高くなり、加熱圧着時の熱融着が阻害されるため、接着力が弱い。
【0031】
また、(D)成分が前記範囲より少ないと、アルコキシシリル基の縮合反応により形成される安定なシロキサン結合が少ないため、高温時(150℃)での接着力が弱い。逆に(D)成分が多過ぎると、アルコキシシリル基の縮合反応が進み過ぎ、加熱圧着する前の塗膜の物性が悪くなるとともに、加熱圧着時に(A)成分の熱融着を阻害するため接着力が弱い。
【0032】
本発明に用いる基板は鋼板、特に電磁鋼板である。この電磁鋼板には予め絶縁被覆が施されていてもよい。なお、本発明に用いる基板として電磁鋼板以外にも軟鋼板、ステンレス鋼板ならびに、特殊鋼板の熱間圧延板および冷間圧延板のいずれを使用しても、すなわち基地鋼板を特に限定しなくても、本発明の効果を得ることができる。この電磁鋼板は所望の板厚に冷間圧延した後、優れた磁気特性を得るために、所定の温度で連続焼鈍を施し、引続き鋼板表面に上記の被覆組成物を塗布する方法が工業的に採用される製造方法である。
【0033】
冷間圧延後の表面粗度は通常約0.2μm前後で平滑な表面であるが、安定して高い接着強度を得るには酸洗や砥粒入り回転ブラシ等で鋼板表面に微細な凹凸を加えることが望ましい。
【0034】
本発明においては、この電磁鋼板の少なくとも一方の表面に前記組成物を均一に塗布し、これを所定の温度での熱処理で焼付けして鋼板表面に被膜を形成する方法である。
塗布方法としてはロールコーター、カーテンフローコーター、スプレー塗布、スクイズコーターなどの方法が利用でき、特に限定するものではない。鋼板表面に均一に塗布するには適正な粘度調整が必要である。
【0035】
粘度は温度依存性が大きいので、高粘度の組成物は加温することにより調整が可能である。工業的には塗布設備に組込まれた温調設備のタンク内で被覆組成物を加温又は冷却して適正な粘度を維持しながら塗布する。
【0036】
粘度の好適範囲は塗布方法によるが、例えばロールコーターを用いた場合の粘度は4号フォードカップ値で60秒〜200秒好ましくは80秒〜150秒が望ましい。60秒未満ではかすれ模様が発生しやすく、200秒超では高粘度に起因する塗布方向の帯模様が発生しやすい。
焼付方法としては、熱風乾燥炉、誘導加熱炉、抵抗加熱炉などの公知の焼付炉が利用でき特に限定されない。
焼付後の被膜の乾燥膜厚は、1μm〜10μm好ましくは3μm〜8μmが望ましい。膜厚が1μm未満では接着強度が未達となることがあり、また、膜厚が10μm超の場合は接着強度が飽和することにより非経済的となるほか、ブロッキングしやすくなるなどの問題を生じることがある。
【0037】
焼付温度は到達板温で150℃〜300℃好ましくは200℃〜280℃が望ましい。150℃未満では水性媒体の乾燥が不十分となって、接着時にふくれが生じたり、架橋反応の進行(ゲル化率)が不足することによって、ブロッキングを生じたり、最終的な架橋反応率が不十分となることに起因して接着強度の未達を招くことがある。一方、300℃超の場合には、焼付時に架橋反応がほぼ完結してしまい、積層接着時にはもはや溶融せず接着しなくなるので、焼付後の被膜のゲル化率の好適な範囲は30%〜85%好ましくは50%〜80%である。なおこのゲル化率は焼付後の被覆鋼板をソックスレー抽出器に、メチルエチルケトンを用いて2時間抽出を行った後の残量から算出した。
【0038】
本発明方法により得られる加熱接着用表面被覆電磁鋼板で積層鉄芯を製造する際の接着条件は鉄芯の大きさ等にもよるが、複数枚の電磁鋼板を積層し通常圧力5〜100kg/cm、温度200℃〜300℃の条件下で10秒〜200秒間加熱圧着するのが適当である。
このようにして表面被覆電磁鋼板を加熱圧着することにより、被覆組成物の構成成分である(A)成分は溶融状態になり、鉄板同志を強固に接着させ、接着強度の高い積層鉄芯が得られる。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。なお、実施例における「部」、「%」は重量を基準とする。
【0040】
A成分:[熱可塑性アクリル樹脂エマルジョン]
下記に示す組成の各モノマーの混合物を水中において、通常の乳化重合方法によってエマルジョンを合成した。なお、エマルジョン中の固形分は40%とした。
メチルメタクリレート:70部、 スチレン:22部、
アクリル酸 : 1部、 エチルアクリレート:7部
B成分:[エポキシ樹脂エマルジョン]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂/商品名:エポルジョンEA55(メーカー名:カネボウNSC)、エマルジョン中の固形分は55%である。
C成分:[水性フェノール樹脂]
レゾール型フェノール樹脂/商品名:プライオーフェン4302(メーカー名:大日本インキ化学工業)、エマルジョン中の固形分は40%である。
D成分:[水性アクリルシリコーン樹脂]
商品名:カネビノールKD−5(メーカー名:カネボウNSC)、エマルジョン中の固形分は35%である。
【0041】
なお、得られた電磁鋼板の性能評価は以下の条件で行った。
(1)塗装作業性
塗装後焼付けた後、常温で被覆表面を目視により観測し、表面が平滑均一の状態であれば塗装作業性良好とし、塗布むら不均一の状態であれば不良とした。
【0042】
(2)耐ブロッキング性
40×40mmに切断した塗装板の塗面同志を重ね合せ、その外側に、クッション材とアルミニウム板を取付け、万力で圧力(20kg/cm)をかけ、80℃、24時間放置後のブロッキングの有無を調べた。
○:ブロッキング無 ×:ブロッキング有
【0043】
(3)耐食性
JISK5400に基づき塩水噴霧試験を行った。
○:塗膜に異常がない場合 ×:点錆、フクレが発生した場合
【0044】
(4)接着強度(20℃)
20×50mmに切断した塗装板の塗面同志の重ね合わせ部が20×10mmになる様重ね、圧力20kg/cmで220℃、70秒間加熱圧着した。得られた接着体について島津製作所社製「オートグラフS−2000C」にて、接着体温度を20℃にして引張速度3mm/分での剪断接着力の測定を行った。
【0045】
(5)接着強度(150℃)
上記の接着強度の測定と同様にして、ただし、被着体温度を150℃として剪断接着力の測定を行った。
【0046】
比較例1)
前記A、B、Cの各成分を表1に示す配合割合にて混合し、水を加えて粘度を100秒(4号フォードカップ値/室温)に調整した。
次に、板厚0.5mm、表面粗さRa0.18μmの電磁鋼板(C:0.02%およびSi:0.8%を含有し、残部実質的にFeの組成からなる)の表面に上記調整済みの塗料を乾燥膜厚みが5μmになるようにロールコーターを用いて塗布した。その後、乾燥してから、熱風乾燥炉にて到達板温度が220℃になるように焼付けした。
塗布時の塗装作業性および得られた接着用電磁鋼板の性能を表2に示す。
【0047】
(実施例
前記A、B、C、Dの各成分を表1に示す配合割合にて混合し、水を加えて粘度を125秒(4号フォードカップ値/室温)に調整した。
次に、板厚0.5mm、表面粗さRa0.18μmの電磁鋼板(C:0.02%およびSi:0.8%を含有し、残部実質的にFeの組成からなる)の表面に上記調整済みの塗料を乾燥膜厚みが7μmになるようにロールコーターを用いて塗布した。その後、乾燥してから、熱風乾燥炉にて到達板温度が250℃になるように焼付けした。塗布時の塗装作業性および得られた接着用電磁鋼板の性能を表2に示す。
【0048】
比較
前記A、B、Cの各成分を表1に示す配合割合にて混合し、水を加えて粘度を130秒(4号フォードカップ値/室温)に調整した。
次に、板厚0.5mm、表面粗さRa0.18μmの電磁鋼板(C:0.02%およびSi:0.8%を含有し、残部実質的にFeの組成からなる)の表面に上記調整済みの塗料を乾燥膜厚みが6μmになるようにロールコーターを用いて塗布した。その後、乾燥してから、熱風乾燥炉にて到達板温度が200℃になるように焼付けした。塗布時の塗装作業性および得られた接着用電磁鋼板の性能を表2に示す。
【0049】
(比較例
電磁鋼板の塗布する塗料の粘度を30秒に調整し、乾燥膜厚みが0.8μmになるようにロールコーターを用いて塗布した以外は、比較例1と同様に製造し、塗布時の塗装作業性および得られた電磁鋼板の性能を表2に示した。
【0050】
(比較例
電磁鋼板に塗布する塗料の粘度を215秒に調整し、乾燥膜厚みが11μmになるようにロールコーターを用いて塗布した以外は、比較例1と同様に製造し、塗布時の塗装作業性および得られた電磁鋼板の性能を表2に示した。
【0051】
(比較例
熱風乾燥炉にて到達板温度が315℃になるように焼付けした以外は、比較例1と同様に製造し、塗布時の塗装作業性および得られた電磁鋼板の性能を表2に示した。
【0052】
(比較例
熱風乾燥炉にて到達板温度が140℃になるように焼付けした以外は、比較例1と同様に製造し、塗布時の塗装作業性および得られた電磁鋼板の性能を表2に示した。
【0053】
(比較例
電磁鋼板に塗布する塗料の粘度を35秒に調整し、乾燥膜厚みが0.6μmになるようにロールコーターを用いて塗布した以外は、実施例と同様に製造し、塗布時の塗装作業性および得られた電磁鋼板の性能を表2に示した。
【0054】
(比較例
電磁鋼板に塗布する塗料の粘度を220秒に調整し、乾燥膜厚みが13μmになるようにロールコーターを用いて塗布した以外は、実施例と同様に製造し、塗布時の塗装作業性および得られた電磁鋼板の性能を表2に示した。
【0055】
(比較例
熱風乾燥炉にて到達板温度が315℃になるように焼付けした。以外は、実施例と同様に製造し、塗布時の塗装作業性および得られた電磁鋼板の性能を表2に示した。
【0056】
(比較例10
熱風乾燥炉にて到達板温度が140℃になるように焼付けした以外は、実施例と同様に製造し、塗布時の塗装作業性および得られた電磁鋼板の性能を表2に示した。
【0057】
(比較例11
A成分:[熱可塑性アクリル樹脂エマルジョン]
下記に示す組成の各モノマーの混合物を水中において、通常の乳化重合方法によってエマルジョンを合成した。なお、エマルジョン中の固形分は45%とした。
メチルメタクリレート:49部、 スチレン :15部、
アクリル酸 : 1部、 エチルアクリレート:25部、
ヒドロキシエチルメタクリレート:10部
B成分:[エポキシ樹脂エマルジョン]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂/商品名:エポルジョンEA55(メーカー名:カネボウNSC)、エマルジョン中の固形分は55%である。
C成分:[水性フェノール樹脂]
レゾール型フェノール樹脂/商品名:プライオーフェン4302(メーカー名:大日本インキ化学工業)、エマルジョン中の固形分は40%である。
前記A、B、Cの各成分を表1に示す比較例1と同様の配合割合にて混合し、水を加えて粘度を110秒(4号フォードカップ値/室温)に調整した。
【0058】
次に、板厚0.5mm、表面粗さRa0.18μmの電磁鋼板(C:0.02%およびSi:0.8%を含有し、残部実質的にFeの組成からなる)の表面に上記調整済みの塗料を乾燥膜厚みが5μmになるようにロールコーターを用いて塗布した。その後、乾燥してから、熱風乾燥炉にて到達板温度が220℃になるように焼付けした。塗布時の塗装作業性および得られた接着用電磁鋼板の性能を表2に示す。
【0059】
Figure 0003613809
【0060】
【表1】
Figure 0003613809
【0061】
【発明の効果】
本発明の製造方法は、特定の水系熱接着型絶縁性被覆組成物を特定の工程により使用している。そのため鋼板に対し単に塗装することにより、平滑でハジキ等のない塗膜が得られ、また得られた塗膜は耐食性、耐水性等に優れ、かつブロッキング等が生じにくいというような従来の塗料に具備されていた機能を充分有している。さらに、任意の必要な時期に、被覆電磁鋼板を加工して所望形状の単位鉄芯を作り、それを積重ね、高温で加熱圧着することにより、強固な接着力を発現させることが可能である。
【0062】
従って、鉄芯製造に、従来法の如く溶接工程あるいは接着剤塗布工程が不要となり、工程の省力化、コストダウンなどが達成でき、さらに高温領域で接着力の高い積層接着電磁鋼板の製造を可能とした本発明の製造方法は、積層鉄芯用材料の製造方法として実用的価値極めて大なるものがある。

Claims (2)

  1. 電磁鋼板の少なくとも一方の面に、
    (A)ガラス転移温度が80℃以上の熱可塑性アクリルエマルジョン樹脂と、
    (B)エポキシ樹脂エマルジョン樹脂と、
    (C)水性のフェノール樹脂と、
    (D)水性のアクリルシリコーン樹脂とを、
    含有する水系塗料を乾燥膜厚み1μm〜10μmになるよう塗工機にて塗布し、乾燥後、到達板温度が150℃〜300℃の範囲内で加熱処理することを特徴とする加熱接着用表面被覆電磁鋼板の製造方法。
  2. 前記塗工機としてロールコーターを用いる際の、前記水系塗料の粘度を4号フォードカップ値で60秒〜200秒の範囲内に調整することを特徴とする請求項1記載の加熱接着用表面被覆電磁鋼板の製造方法。
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