JP3613639B2

JP3613639B2 - 液晶表示画面の防汚処理方法

Info

Publication number: JP3613639B2
Application number: JP01464695A
Authority: JP
Inventors: 英幸友田; 孝志門出
Original assignee: Neos Co Ltd
Current assignee: Neos Co Ltd
Priority date: 1995-01-31
Filing date: 1995-01-31
Publication date: 2005-01-26
Anticipated expiration: 2020-01-26
Also published as: JPH08201746A

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、液晶表示画面の防汚処理方法及び防汚処理された液晶表示画面に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、液晶表示画面は、パーソナルコンピューター、ワードプロセッサー、テレビ、キャッシュコーナーのタッチパネルなど、多方面で使用されている。この液晶表示画面は、一般にガラス基盤そのものや、ガラス基盤上に樹脂フィルムを接着し、さらにＳｉＯ_２を蒸着させたものであり、表面に水酸基を多く含んだ構造となっている。そのため、指紋や空気中の塵等が付着すると、画像上に陰影が現れる不具合がある。
【０００３】
この様な問題を解決するために、フッ素化炭化水素基及びクロロシリル基を有する化合物を液晶表示画面と反応させ、ポリシロキサン構造を有する防汚被膜を液晶表示画面表面に形成し、防汚性を付与することが提案されている（特開平６−１１００４９号公報）。
【０００４】
しかしながら、クロロシリル基を有するポリシロキサン化合物を反応させると、反応に伴い塩化水素が発生するため、公害の原因となったり、液晶基盤そのものに悪影響を与える可能性がある。また、クロロシリル基は非水系溶媒中では安定性が低い問題がある。
【０００５】
本発明は、塩化水素などの有害なガスが発生せず、非水系溶媒中で安定な処理剤を用いた液晶表示画面の処理方法及び防汚処理された液晶表示画面を提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題に鑑み検討を重ねた結果、特定構造のフッ化シラザン化合物を用いて液晶表示画面を処理することで、安全且つ容易に液晶表示画面の表面に防汚被膜を形成できることを見出した。
【０００７】
本発明は、液晶表示画面を下記一般式（Ｉ）
【０００８】
【化３】

【０００９】
〔式中、ＲｆはＣ_ｍＦ_２ｍ＋１−（ＣＨ_２）_ｐ−｛ｍは、５〜１５の整数を示し、ｐは２又は３を示す。｝を示し、Ｒは炭素原子数１〜１０のフッ素原子を含まない置換又は非置換の１価の炭化水素基を示し、ａは０、１または２である。〕
で表される基を含む分子量５０００以下のシラザン化合物で処理することを特徴とする液晶表示画面の防汚処理方法を提供するものである。
【００１０】
また、本発明は、下記の一般式（ＩＩ）
【００１１】
【化４】

【００１２】
〔式中、ＲｆおよびＲは前記に同じ。ｘは０〜２０の整数を示す。〕
で表される表面構造を有する液晶表示画面を提供するものである。
【００１３】
本発明で用いる一般式（Ｉ）のシラザン化合物は、公知の化合物である。
【００１４】
一般式（Ｉ）及び（ＩＩ）において、Ｒｆは、Ｃ_ｍＦ_２ｍ＋１−（ＣＨ_２）_ｐ−で表される。
【００１５】
Ｒｆにおいて、ｍは５〜１５の整数、好ましくは６〜１２の整数を表す。ｐは２又は３である。好ましいＲｆとしては、Ｃ_８Ｆ_１７ＣＨ_２ＣＨ_２−、Ｃ_６Ｈ_１３ＣＨ_２ＣＨ_２−、Ｃ_３Ｆ_７Ｃ（ＣＦ_３）（ＣＦ_３）ＣＨ_２ＣＨ_２ＣＨ_２−が例示できる。ｘは０〜２０の整数であれば、いずれであってもよく、特に限定されない。
Ｒは、炭素数１〜１０の炭化水素基を示し、該炭化水素基としてはメチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、ビニル基、アリル基などのアルケニル基、１−シクロペンテニル基、１−シクロヘキセニル基などのシクロアルケニル基等の脂肪族又は脂環式の飽和又は不飽和の炭化水素基；フェニル基、トリル基、キシリル基等の芳香族炭化水素基；及びシアノエチル基、メトキシエチル基などの置換炭化水素基が挙げられる。
【００１６】
一般式（Ｉ）で表されるシラザン化合物の分子量は、５０００以下であるのが好ましい。該分子量が５０００以下であれば、立体障害等による反応性の低下もなく、液晶表示画面表面のＯＨ基を十分にシリル化できるため好ましい。
【００１７】
一般式（Ｉ）の化合物で処理される液晶表示画面は、表面にＳｉ−ＯＨ構造を有する限り特に限定されず、公知の液晶表示画面が広く用いられ、例えばガラス基盤そのものや、ガラス基盤上に樹脂フィルムを接着し、さらにＳｉＯ_２を蒸着させたものなどが挙げられる。
【００１８】
本発明の液晶表示画面の保護被膜は、単分子膜であるのが好ましい。また、屈折率は保護被膜の形成の前後でほとんど変化しないのが好ましい。
【００１９】
一般式（Ｉ）の化合物を用いて液晶表示画面に防汚性保護膜を形成する方法を以下に例示する。
【００２０】
（１）一般式（Ｉ）の化合物を非水系溶媒に溶解し、液晶表示画面を浸漬し、引き上げることによって化学結合させた保護膜を形成する方法；
（２）一般式（Ｉ）の化合物を非水系溶媒に溶解し、液晶表示画面に塗布又はスプレーすることによって化学結合させた保護膜を形成する方法；および
（３）液晶表示画面に一般式（Ｉ）の化合物を蒸着させることにより、化学結合させた保護膜を形成させる方法。
【００２１】
上記（１）及び（２）の方法における非水系溶媒としては、１，１−ジクロロ−１−フルオロエタン（１４１ｂ）、１，１，２，２−テトラクロロジフルオロエタン（１１２）、１，１，１−トリフルオロジクロロエタン（１２３）等の代替フロン類、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール等のフッ素化アルコール類、ヘキサフルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン，１，３−ビス（トリフルオロメチル）ベンゼン、１，４−ビス（トリフルオロメチル）ベンゼン等のフッ素化芳香族化合物等を使用するのが好ましい。
【００２２】
溶液の濃度としては、０．０００１重量％〜１重量％程度が好ましく、特に０．０００５重量％〜０．１重量％程度が好ましい。濃度が上記の範囲内にあれば、所望の効果が得られ且つ保護膜が単分子膜になるため好ましい。
【００２３】
上記（２）及び（３）の方法を用いると、液晶表示画面の片面だけに保護膜を形成させることができるため好ましい。
【００２４】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、塩化水素などの有害なガスが発生せず、安全且つ簡便に液晶表示画面に防汚性の保護膜を形成することができる。
【００２５】
また、本発明の液晶表示画面は、一般式（ＩＩ）のシロキサン構造を有しているため、防汚効果、屈折率、耐久性等に優れている。
【００２６】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて説明する。
【００２７】
実施例１
フッ素化シラザン（一般式（Ｉ）においてＲｆ−＝C₈ F ₁₇CH₂CH₂−、Ｒ＝CH₃、平均分子量３０００）を、１，３−ビス（トリフルオロメチル）ベンゼンに０．１重量％の濃度で溶解して使用液とし、液晶表示画面用ガラスを該溶液に１分間浸漬し、ゆっくり引き上げ、保護膜を形成した。
【００２８】
保護膜を形成させた液晶表示画面用ガラスの水及びオレイン酸の接触角を測定したところ、それぞれ１１０゜および７４゜であった。
【００２９】
また、このガラスに指紋を付着させ、ティッシュペーパーで軽く拭き取ったところ、完全に除去できた。
【００３０】
実施例２
液晶表示画面用ガラスの代わりにアクリル樹脂フィルムの表面にＳｉＯ_２を蒸着させたフィルムを用いる以外は、実施例１の方法に従って、水及びオレイン酸の接触角を測定したところ、それぞれ１０７゜および６１゜であった。
【００３１】
また、このガラスに指紋を付着させ、ティッシュペーパーで軽く拭き取ったところ、完全に除去できた。
【００３２】
比較例１
保護膜を形成させていない液晶表示画面用ガラスの水及びオレイン酸の接触角を測定したところ、それぞれ６０゜及び２０゜であった。
【００３３】
また、未処理のガラスに指紋を付着させ、ティッシュペーパーで強く拭き取ってもなかなか除去できなかった。

Claims

液晶表示画面を下記一般式（Ｉ）

〔式中、ＲｆはC_mF_2m+1-(CH₂)_p-｛ｍは、５〜１５の整数を示し、ｐは２又は３を示す。｝を示し、Ｒは炭素原子数１〜１０のフッ素原子を含まない置換又は非置換の１価の炭化水素基を示し、ａは０、１または２である。〕で表される基を含む分子量５０００以下のシラザン化合物の０．０００１重量％〜１重量％の溶液で処理することを特徴とする液晶表示画面の防汚処理方法。
下記の一般式（II）

〔式中、ＲｆおよびＲは前記に同じ。ｘは０〜２０の整数を示す。〕で表される表面構造を有する液晶表示画面。