JP2000234071A - 防汚剤組成物 - Google Patents

防汚剤組成物

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JP2000234071A
JP2000234071A JP11036688A JP3668899A JP2000234071A JP 2000234071 A JP2000234071 A JP 2000234071A JP 11036688 A JP11036688 A JP 11036688A JP 3668899 A JP3668899 A JP 3668899A JP 2000234071 A JP2000234071 A JP 2000234071A
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Kensaku Azuma
健策 東
Akira Murata
亮 村田
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Tomoegawa Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた防汚性能を有し、その溶液の安定性が
高く、塗布ムラを生じることなく均一な塗工が可能で、
安全性が高く、オゾン層の破壊や地球温暖化に寄与する
ことが少なく、かつ経済的である防汚剤組成物を提供す
る。 【解決手段】 防汚剤組成物として、ハイドロフルオロ
カーボンおよびハイドロフルオロエーテルから選ばれる
少なくとも1種を含有したフッ素系溶剤、またはこのフ
ッ素系溶剤と非フッ素系溶剤との混合溶剤に、少なくと
もパーフルオロアルキルエーテル基を有し、その分子中
に基材との親和性の高い官能基および/または基材と化
学結合可能な官能基を1つ以上有する防汚成分を溶解す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油状の汚染物質に
対する防汚性に優れ、特に指紋汚れに対する防汚性に優
れた防汚剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】金属、ガラス、プラスチック、陶磁器、
漆器等の基材は、家庭用品、自動車部品、OA機器、家
電製品、包装材料として汎用されている。これらの基材
表面には、室内、車内、オフィス内、屋外に浮遊するゴ
ミや油状物質が付着したり、人の手により指紋が付着し
て汚れることが多いため、これらの汚れを付着し難く
し、さらには、一旦付着した汚れを容易に除去できるよ
うな防汚性の機能が求められている。
【0003】特に、透明なガラスやプラスチックの表面
に付着した汚れは、ショーウィンドウのガラスケースで
は美観を損ない、眼鏡レンズでは視界を妨げ、自動車等
のウィンドウでは安全走行を妨げることにもなる。さら
に、カメラ等の光学装置の場合は機能を十分に発揮でき
ないことになる。
【0004】また、近年、CRT、LCD、PDP等の
ディスプレイが発達し、多方面に使用されるようになっ
てきたが、それに伴って画像をより見易くするための反
射防止膜をディスプレイ表面上に設けることが増えてき
た。この反射防止膜は、一般的に下層よりも屈折率の低
い材料を、対象とする光の波長の1/4の光学的膜厚分
だけ最表面に設けて構成される。この最表面層を作製す
る方法としては、フッ化マグネシウムやシリカ等の材料
を真空蒸着やスパッタリング法により設ける方法、アル
コキシシランの加水分解物等を溶液塗工する方法、フッ
素系の高分子膜を蒸着や塗工で形成する方法等が用いら
れているが、これらの層の屈折率が低いために、特に指
紋汚れが目立ち易いという問題がある。
【0005】これらの汚れを防止するために、これまで
に多くの方法が提案されてきた。特開昭58−1429
58号公報、特開昭58−147483号公報、特開昭
58−147484号公報には、ポリフルオロアルキル
基含有シラン化合物またはその部分加水分解縮合物と、
水ガラスまたはシランカップリング剤およびコロイダル
シリカとからなるガラス表面の撥水撥油剤が汚れ防止に
有効であることが開示されている。特開昭60−490
79号公報には、炭素数4〜21個のポリフルオロアル
キル基またはポリフルオロエーテル基を含有する化合物
を含む指紋付着防止剤が挙げられている。特開平4−8
9877号公報には、パーフルオロアルキル基を一部含
有する有機溶剤可溶性オルガノポリシロキサンレジンと
水に不溶な潤滑油からなる自動車の塗膜用保護撥水性組
成物が紹介されている。また、特開平5−125083
号公報では、TiまたはZrのテトラアルコキシドと、
含フッ素アルキルシラン化合物とを反応させることによ
る表面処理剤の製造方法が示されている。さらに、特開
平9−157582号公報では、基材表面にパーフルオ
ロポリエーテル基を含有する特定構造のケイ素含有有機
含フッ素ポリマーの層を形成した防汚性基材が提供され
ている。
【0006】ディスプレイ用途に注目した例としては、
特開平9−127307号公報に開示されているよう
に、透明基体上に設けた二酸化ケイ素を主体とする単層
または多層の反射防止膜に、末端に極性基を持つパーフ
ルオロポリエーテルを被覆した反射防止フィルターおよ
び表示装置が挙げられる。さらに、特開平9−2559
19号公報には、特定構造を有するパーフルオロポリエ
ーテル基を有するアルコキシシラン化合物を含有する防
汚膜形成用組成物が示され、また、特開平9−3262
40号公報、特開平10−26701号公報、特開平1
0−120442号公報、特開平10−148701号
公報等には、このパーフルオロポリエーテル基を有する
アルコキシシラン化合物を各種材料と組み合わせて得ら
れる表面改質膜、表示装置用フィルター等が示されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上に示したように、
防汚性については多くの提案がなされているが、基材に
設けて防汚性の機能を発揮する材料として、撥水撥油性
の高い含フッ素化合物を用いる場合がほとんどである。
このような含フッ素化合物を基材に設けるには、ハロゲ
ン系溶剤やフッ素系溶剤に溶解するか、アルコール系、
エーテル系、ケトン系、脂肪族および芳香族炭化水素等
の汎用溶剤に溶解または分散した液を塗布する方法が一
般に用いられてきた。例えば、先に示した特開昭60−
49079号公報では、1,1,2−トリフルオロ−
1,2,2−トリクロロエタンが、特開平9−1575
82号公報では、パーフルオロへキサンが、特開平9−
255919号公報では、アルコールが、特開平10−
120444号公報では、パーフルオロヘプタンが、そ
れぞれ実施例に用いられている。
【0008】ところが、防汚性を有する含フッ素化合物
の塗料化を図るべく、本発明者が検討したところ、以上
の溶剤選定には多くの問題があることが判明した。すな
わち、これら含フッ素化合物は、汎用の非フッ素系溶剤
に対する溶解性が極めて乏しく、一時的にはこれらの溶
剤への分散が可能であるが、この分散状態は本質的に不
安定であり、時間の経過と共に含フッ素化合物が容器の
壁面や底に析出・付着してしまうという問題があった。
そのため、非フッ素系溶剤に溶解させた含フッ素化合物
では、所定の膜厚に安定して塗工することが極めて困難
であることが判明した。一方、ハロゲン系溶剤やフッ素
系溶剤を用いた場合では、含フッ素化合物も十分に溶解
し、溶液安定性も良好であった。
【0009】しかしながら、上記の如き溶液を基材に塗
布・乾燥した場合、含フッ素化合物、溶剤および基材の
3成分間の親和性に起因していると思われる塗布ムラが
生じ、均一に塗布できないという問題があった。また、
一般にハロゲン系溶剤には、人体への有害性が高いとい
う問題がある。ハロゲン系溶剤やフッ素系溶剤は、大気
中に揮散した場合にオゾン層の破壊や地球温暖化の原因
になるフロン物質として問題となり、使用が規制される
ようになってきている。たとえば、CFC−11,1
2,113,114,115等のクロロフルオロカーボ
ン(CFC)や1,1,1−トリクロロエタン、四塩化
炭素等は、オゾン破壊係数が高いことから既に全廃され
ており、また、代替フロンとして挙げられるHCFC−
123,225,141b等のハイドロクロロフルオロ
カーボン(HCFC)もオゾン破壊係数がゼロではない
ため、2020年には実質的に全廃されることになって
いる。さらに、パーフルオロカーボン(PFC)は一般
に毒性が低く、オゾン破壊もほとんど起こさないが、大
気寿命が非常に長く、温暖化係数が高いという問題が指
摘されている。
【0010】これらの問題を解決する方法として、特開
平10−120443号公報では、含フッ素化合物の溶
解に、アルコール系溶剤と炭化水素系溶剤との混合溶剤
を使用することが提案されている。しかしながら、この
方法も含フッ素化合物の溶解安定性に関しては不十分で
あり、一時的に溶解したように見えても経時的に含フッ
素化合物が析出してくるという問題がある。また、含フ
ッ素化合物の溶液は、溶剤の乾燥過程で塗布ムラを生じ
易い傾向があるため、均一塗布を実現するためには、溶
剤の種類や混合溶剤の組成を十分吟味する必要がある。
【0011】このように、基材に塗布して防汚性を付与
するための防汚剤組成物として、溶液安定性、均一塗工
性だけでなく、安全性、環境問題まで考慮に入れた溶剤
組成に着目した開発は、これまで行われていなかった。
よって、本発明の目的は、優れた防汚性能を有し、その
溶液の安定性が高く、塗布ムラを生じることなく均一な
塗工が可能で、安全性が高く、オゾン層の破壊や地球温
暖化の原因になることが少なく、かつ経済的である防汚
剤組成物を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために、防汚成分およびその溶剤について鋭意
検討を重ねた結果、パーフルオロアルキルエーテル基を
有する防汚成分を溶解する溶媒として、ハイドロフルオ
ロカーボンまたはハイドロフルオロエーテルを用いると
極めて効果的であることを見出した。よって、本発明の
防汚剤組成物は、上記知見に基づいてなされたもので、
フッ素系溶剤、またはフッ素系溶剤と非フッ素系溶剤と
の混合溶剤に少なくとも防汚成分を溶解した防汚剤組成
物であって、上記フッ素系溶剤は、ハイドロフルオロカ
ーボンおよびハイドロフルオロエーテルから選ばれる少
なくとも1種を含有し、上記防汚成分は、パーフルオロ
アルキルエーテル基を有し、その分子中に基材との親和
性の高い官能基および/または基材と化学結合可能な官
能基を1つ以上有する化合物を含有することを特徴とし
ている。以下、本発明のより好適な実施の形態について
詳細に説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明で使用されるフッ素系溶剤
としては、下記の防汚成分を充分に溶解する特性と、塗
工に適した沸点を有することが必須であるが、先に述べ
たように、人体への安全性、大気寿命、オゾン層破壊係
数、地球温暖化係数、さらには光化学スモッグ原因物質
等を充分に考慮して選択する必要がある。このような観
点から本発明ではフッ素系溶剤として、ハイドロフルオ
ロカーボン(HFC)およびハイドロフルオロエーテル
(HFE)が使用される。HFCは、基本的に水素、フ
ッ素、炭素原子からなり、HFEは、これに加えさらに
分子内にエーテル性の酸素原子を有するものである。具
体的には、デュポン社のバートレルXF(CFCHF
CHFCFCF:bp.55℃)、日本ゼオン社の
ゼオローラH(へプタフルオロシクロペンタン:bp.
82.5℃)、3M社のHFE−7100(C
CH:bp.60℃)、同HFE−7200(C
OC :bp.78℃)等が挙げられるが、これ
らに限定されるものではない。これらの化合物は、フッ
素以外のハロゲン原子を含まないため、安全性が高く、
また、下記表1に示すように、他のCFC、HCFCお
よびPFC等のフッ素系溶剤と比べるとオゾン破壊係数
がゼロであり、温暖化係数も従来のフッ素系溶剤よりも
一桁以上小さく、さらに、光化学スモッグを生じること
もない優れたものである。
【0014】
【表1】
【0015】本発明では、これらの溶剤から選ばれる1
種類を単独または2種類以上を混合して使用することが
できる。ただし、これらのフッ素系溶剤は、汎用溶剤と
比べると価格的に一桁以上高価であるため、安価な非フ
ッ素系溶剤で希釈して使用することによりコストダウン
を行うことも可能である。
【0016】本発明で使用される非フッ素系溶剤は、通
常の塗工に使用される汎用溶剤の中で上記のフッ素系溶
剤と相溶するものが使用可能で、高価なフッ素系溶剤の
使用量を低減する希釈剤の役割を果たすものである。こ
れらは、パーフルオロアルキルエーテル基を有する防汚
成分を単独で溶解することは難しいが、上記フッ素系溶
剤と混合することにより、フッ素系溶剤の優れた溶解力
を損なうことなく、むしろ溶解性を向上するものが望ま
しい。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロ
ピルアルコール、sec−ブチルアルコール等のアルコ
ール系溶剤、アセトン、MEK、MIBK等のケトン系
溶剤、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等の
エステル系溶剤、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエ
ーテル、THF、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ
等のエーテル系溶剤、へキサン、シクロへキサン、メチ
ルシクロへキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化
水素系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族
炭化水素系溶剤が使用可能である。なお、これらの非フ
ッ素系溶剤についても1種類または2種類以上を混合し
て使用することができる。
【0017】本発明では、フッ素系溶剤および非フッ素
系溶剤の沸点が、共に50〜150℃のものが好まし
い。沸点が50℃以下では、溶剤の揮発性が高過ぎるた
めに塗布ムラを生じ易く、また、作業環境も悪くなる。
一方、150℃以上の沸点を有する溶剤は、乾燥にエネ
ルギーと時間を多く要するために不経済であるばかりで
なく、耐熱性の低いプラスチックフィルムには適用でき
ない場合がある。さらに、フッ素系溶剤と非フッ素系溶
剤の沸点の差は、50℃以内であることが好ましい。こ
れは、両者の沸点が50℃以上離れていると、塗工・乾
燥時の溶剤の蒸発挙動が異なるために塗布ムラを生じ易
い等の不具合が現れてくるためである。
【0018】本発明で実質的に防汚性の機能を発揮する
防汚成分は、パーフルオロアルキルエーテル基を有し、
その分子中、好ましくは分子の末端に基材との親和性の
高い官能基および/または基材と化学結合可能な官能基
を1つ以上有する化合物である。ここでパーフルオロア
ルキルエーテル基の分子構造としては、特に限定される
ものではないが、好ましくは炭素数1〜3程度のパーフ
ルオロアルキルオキシ基を繰り返し単位とするもので、
一価または二価のパーフルオロアルキルエーテル基の例
として、下記化1に示すのものを挙げることができる。
なお、下記化学構造式中のn、mは、1以上の整数を示
す。
【0019】
【化1】
【0020】また、ガラスやプラスチック基材表面に
は、水酸基やシラノール基、カルボキシル基、カルボン
酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、アミノ基、ア
ンモニウム塩基、アミド基、エステル基、ケトン基、エ
ーテル基、ハロゲン基、芳香環等のいずれかの官能基が
露出している。したがって、パーフルオロアルキルエー
テル基を有する防汚成分が、これらの基材と高い固着力
を有するためには、その分子中に基材との親和性の高い
官能基および/または基材と化学結合可能な官能基を1
つ以上有することが必要であり、特に分子末端にかかる
官能基を有することより優れた防汚効果が得られて好ま
しい。ここで、親和性の高い官能基としては、基材表面
の官能基とイオン結合やファンデルワールス力により固
着するものであり、具体的には、カルボキシル基、カル
ボン酸塩基、リン酸基、リン酸塩基、スルホン酸基、ス
ルホン酸塩基、水酸基、アミノ基、イミノ基、アンモニ
ウム塩基、アミド基、メルカプト基等が挙げられる。ま
た、化学結合が可能な官能基としては、基材の水酸基や
アミノ基と結合可能なイソシアネート基、シラノール基
と結合できるクロロシリル基、アルコキシシリル基等が
挙げられる。ガラスやシリカを含む基材に対しては、特
にアルコキシシリル基が好ましい。これらの官能基は、
パーフルオロアルキルエーテル基を有する防汚成分中に
1つ以上含有される。2官能のパーフルオロアルキルエ
ーテル基の場合には、2個の同一または異なる官能基を
有することができる。
【0021】本発明においては、上記の如き防汚成分の
分子中に有する官能基の中でも、カルボキシル基、イソ
シアネート基およびアルコキシシリル基が特に好適であ
る。これらは、本発明で用いる溶媒との組合せにおい
て、特に良好な塗膜の耐久性と塗布ムラのない優れた均
一塗工性が得られ、したがって、特に優れた防汚性が達
成されるものである。
【0022】パーフルオロアルキルエーテル基と、上述
の基材との親和性の高い官能基および/または基材と化
学結合可能な官能基とは、直接あるいは適当な2価の原
子または基を介して結合されるが、これらの分子構造に
ついては、特別の制約はなく、合成のし易さで選択する
ことができる。このような結合基としては、O、NH、
S等の原子または原子団、アルキレン基、フェニレン
基、アルキルエーテル基、カルボニル基、エステル基、
アミド基等が挙げられ、これらを単独または複数組み合
わせて使用することができる。本発明で使用できる防汚
成分の例を下記化2に列挙する。なお、下記化学構造式
中のn、mは、1以上の整数を示す。
【0023】
【化2】
【0024】ただし、本発明は、これらに限定されるも
のではなく、また2種類以上を混合して使用することも
可能である。さらに、これらの防汚成分の分子量は、5
00〜10000が好ましく、さらに好ましくは500
〜4000である。分子量が500以下では、充分な防
汚性を発揮できず、また10000以上では本発明の混
合溶剤に必要量の防汚成分を溶解することが困難となる
からである。
【0025】本発明の防汚剤組成物における防汚成分の
最適含有量は、後述する基材や塗工方法により適宜異な
るが、概略の目安としては全組成物の0.01〜10重
量%が好ましく、さらには0.03〜1重量%がより好
ましい。防汚成分の配合量が0.01重量%未満では、
これを塗工した基体に充分な防汚性を持たせることはで
きず、逆に10重量%を越えると防汚剤の付着量が多す
ぎてベタつきを生じるだけでなく、経済的にも不利であ
る。
【0026】本発明で使用する混合溶剤については、混
合溶剤中に占めるフッ素系溶剤の含有量が1重量%以上
であることが好ましい。フッ素系溶剤が1%未満では、
防汚成分を充分に安定して溶解することができなくなる
ためである。
【0027】本発明の防汚性組成物には、防汚性をさら
に高めるためや、摩擦力を低減させたり、耐磨耗性を高
めたり、基材との濡れ性を向上させたりする目的で、こ
の他に各種材料を添加することが可能である。具体的に
は、各種シランカップリング剤、チタネートカップリン
グ剤、シリコーンオイル、シリコーン樹脂、界面活性剤
等が挙げられる。
【0028】使用可能なシランカップリング剤として
は、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メ
トキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルト
リメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−ア
ミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエト
キシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメ
トキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−ク
ロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロ
ピルメチルジクロロシラン等が挙げられる。また、パー
フルオロアルキル基を有するシランカップリング剤も使
用可能である。
【0029】また、チタネートカップリング剤として
は、イソプロピルイソステアリルチタネート、イソプロ
ピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネー
ト、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスフェート)
チタネート、テトラ(2,2−ジアルキルオキシメチル
−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスフェートチタ
ネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシア
セテートチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエ
チル−アミノエチル)チタネート等が挙げられる。
【0030】シリコーンオイル、シリコーン樹脂につい
ては、一般的な潤滑用、離型用から選択可能であるが、
基材との固着力を考慮すると、分子の側鎖または末端に
エポキシ基、アルキル基、アミノ基、カルボキシル基、
水酸基等の官能基を有するものが好ましい。さらに、フ
ッ素変成品も使用可能である。また、基材との濡れ性を
向上し、塗布ムラを防ぐために各種界面活性剤も使用可
能であり、アニオン系、ノニオン系界面活性剤が好まし
い。さらに、パーフルオロアルキル基を有する界面活性
剤は、本発明の防汚成分であるパーフルオロアルキルエ
ーテル基を有する化合物の溶解性を高める働きがあり、
より好ましい。
【0031】なお、これらの添加剤の添加量は、本発明
の防汚成分に対して、30重量%以下であることが好ま
しく、より好ましくは10重量%以下である。30重量
%を越える添加量では、防汚剤組成物の溶液安定性が低
下したり、均一塗工が困難となったりして、本発明の優
れた防汚性を損なうからである。
【0032】本発明の防汚剤組成物を用いることのでき
る基材としては、金属、ガラス、プラスチック、陶磁
器、漆器等が適用可能である。特に家庭やオフィス、自
動車、ディスプレイ等で広く使用されているガラスやプ
ラスチックを基材として選択することが好ましく、反射
防止膜を設けたプラスチックフィルムにも、反射防止性
を損なうことなく良好に塗工できることから好適であ
る。また、通常の基材表面は、無機塩や油状物質で汚染
されている可能性が高いため、本発明の防汚性組成物を
基材に塗布する前に、基材を適当な溶剤や洗剤で十分に
洗浄しておくことが好ましい。さらに、本発明の防汚剤
組成物の濡れ性や固着力を向上させるために、基材表面
を事前にシランカップリング剤等で処理しておくことも
可能である。
【0033】本発明の防汚剤組成物は、上記基材に通常
のコーティング作業で用いられる各種の方式を使用して
塗布することができる。使用可能な塗工方法としては、
スピンコート法、デイッピング法、カーテンフロー法、
グラビア法、フレキソ法、メイヤーバー法、マイクログ
ラビア法、スプレー法、キス法、エアーナイフ法、ブレ
ード法、3本ロール法等が挙げられるが、これらに限定
されるものではなく、基材の種類や形状、サイズ等を考
慮して最適の方法を選択することが望ましい。また、乾
操条件も、使用する溶剤の蒸気圧や沸点を考慮して最適
化を図る必要があるが、本発明の混合溶剤は沸点範囲が
50〜150℃であり、また後述するが充分な防汚性能
を得るために必要な防汚成分の塗布量はかなり少ないた
め、溶剤の乾燥は比較的容易である。ただし、防汚成分
を基材に強固に結合させる場合には、その界面に存在す
る両者の官能基のタイプによりキュアー条件を最適化す
る必要がある。例えば防汚成分の末端がアルコキシシラ
ンを有し、シラノール結合で基材との化学結合を図る場
合には、100〜200℃で数時間加熱するか、高湿環
境に数日〜数週間放置することが好ましい。また、末端
にイソシアネート基を有する防汚成分を使用する場合
は、30〜70℃で数日〜数週間のキュアーを行うこと
が好ましい。
【0034】本発明の防汚剤組成物の好ましい塗布量
は、防汚成分の厚さに着目すると、0.1〜50nmで
あり、より好ましくは0.5〜20nmである。0.1
nm未満では、防汚性の機能を発揮できず、また50n
mを越えると防汚性は充分であるが塗布面にべたつきが
感じられ、また経済的にも不利である。
【0035】なお、本発明の防汚剤組成物を調製するに
は、上記の基材、塗布方法、塗布膜厚を考慮して防汚性
の有効成分の溶液濃度をまず決定し、次に、これに応じ
たフッ素系溶剤および非フッ素系溶剤の選定、配合比の
決定を行うことが適当である。
【0036】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。本発明の防汚剤組成物を塗布した実施例およ
び比較例の防汚性基体の作製において、防汚剤組成物と
して用いた防汚成分(成分1〜5)、フッ素系溶剤(溶
剤A1〜A7)および非フッ素系溶剤(溶剤B1〜B
7)は、それぞれ下記表2、表3および表4に示す。な
お、実施例中において「部」は、重量部を表すものであ
る。
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】<実施例1> A.塗工基材の作製 厚さ75μmの透明トリアセチルセルロース(TAC)
フィルムの片面上に、下記配合のハードコート層用塗料
をリバースコーティング方式にて塗布し、加熱乾燥後、
紫外線硬化により3.5μmのハードコート層を設け
た。さらに、このハードコート層上に、下記配合の表面
層用塗料をマイクログラビア方式で塗布し、100℃で
2時間乾燥・硬化して0.1μmの表面層を設けたもの
を塗工基材1とした。 [ハードコート層用塗料配合] ・ウレタンアクリレート 70部 (商品名:NKオリゴマーU−15HA、新中村化学社製) ・ペンタエリスリトールトリアクリレート 30部 (商品名:ライトアクリレートPE−3A、共栄社化学社製) ・光ラジカル重合開始剤 3部 (商品名:グロキュアー1173、メルク社製) ・MEK 150部 ・トルエン 100部 [表面層用塗料配合] ・コロイダルシリカのエタノール分散液 10部 (粒子径15nmでSiOとして固形分濃度30%、日産化学工業社製) ・結着剤 30部 (テトラエトキシシランの加水分解物含有エタノール溶液、SiOとしての 固形分濃度6%) ・エタノール 300部
【0041】B.本発明または比較用の防汚剤組成物を
用いた防汚性基体の作製 表2に示す防汚成分1を表3に示すフッ素系溶剤A1に
溶解して0.03%の溶液とした本発明の防汚剤組成物
(塗料)を、塗工基材1の表面層上にメイヤーバー法に
より推定膜厚3nmとなるように塗工し、100℃で2
時間乾燥し、実施例1の防汚性基体を作製した。
【0042】<実施例2〜4>フッ素系溶剤A1をそれ
ぞれフッ素系溶剤A2〜A4に代えた他は実施例1と同
様にして本発明の防汚剤組成物の塗工を行い、実施例2
〜4の防汚性基体を作製した。
【0043】<実施例5>フッ素系溶剤A2と表4に示
す非フッ素系溶剤B1(メタノール)を30/70の重
量比で混合した溶剤に防汚成分1を溶解して0.04%
の溶液としたものを本発明の防汚剤組成物として、塗工
基材1の表面層上にメイヤーバー法により推定膜厚4n
mとなるように塗工し、100℃で2時間乾燥し、実施
例5の防汚性基体を作製した。
【0044】<実施例6〜9>非フッ素系溶剤B1をそ
れぞれ非フッ素系溶剤B2〜B5(IPA、MEK、M
IBK、THF)に変えた他は全て実施例5と同様にし
て、本発明の防汚剤組成物の塗工を行い、実施例6〜9
の防汚性基体を作製した。
【0045】<実施例10>フッ素系溶剤A2と非フッ
素系溶剤B3を10/90の重量比で混合した溶剤に防
汚成分1を溶解して0.04%の溶液としたものを本発
明の防汚剤組成物として、塗工基材1の表面層上にメイ
ヤーバー法により推定膜厚5nmとなるように塗工し、
100℃で2時間乾燥し、実施例10の防汚性基体を作
製した。
【0046】<実施例11> A.塗工基材の作製 厚さ1mmの透明なホウケイ酸ガラス板を、アセトンで
洗浄したものを塗工基材2とした。 B.防汚性基体の作製 フッ素系溶剤A3と非フッ素系溶剤B1を重量比で40
/60混合した溶剤に防汚成分2を溶解して0.7%の
溶液としたものを本発明の防汚剤組成物として、塗工基
材2上にデイッピング法により塗工し、150℃で15
分間乾燥し、実施例11の防汚性基体を作製した。な
お、推定膜厚は12nmであった。
【0047】<実施例12> A.塗工基材の作製 厚さ0.35mmの鏡面仕上げしたSUS304の板
を、アセトンで洗浄したものを塗工基材3とした。 B.防汚性基体の作製 フッ素系溶剤A4に防汚成分2を溶解して1%の溶液と
したものを本発明の防汚剤組成物として、塗工基材3上
にスプレー法により塗工し、150℃で15分間乾燥
し、実施例12の防汚性基体を作製した。なお、推定膜
厚は20nmであった。
【0048】<実施例13> A.塗工基材の作製 厚さ100μmの透明PETフィルムの片面に、真空蒸
着法により厚さ120nmのITOを成膜し、さらにそ
の上に70nmのSiO層を蒸着して形成したものを
塗工基材4とした。 B.防汚性基体の作製 フッ素系溶剤A1と非フッ素系溶剤B5を10/90の
重量比で混合した溶剤に防汚成分1を溶解して0.04
%の溶液としたものを本発明の防汚剤組成物として、塗
工基材4のSiO層上にメイヤーバー法により推定膜
厚4nmとなるように塗工し、100℃で2時間乾燥
し、実施例13の防汚性基体を作製した。
【0049】<実施例14> A.塗工基材の作製 厚さ100μmの透明PETフィルムの片面に、下記配
合のハードコート層用塗料を塗工し、加熱乾燥後、紫外
線硬化により4.7μmのハードコート層を設けたもの
を塗工基材5とした。 [ハードコート層用塗料配合] ・エポキシアクリレートオリゴマー 40部 (商品名:エポキシエステルEH−1001、共栄社化学社製) ・ペンタエリスリトールテトラアクリレート 50部 (商品名:ライトアクリレートPE−4A、共栄社化学社製) ・2−ヒドロキシエチルアクリレート 25部 (商品名:ライトエステルOA、共栄社化学社製) ・光ラジカル重合開始剤 4部 (商品名:ダロキュアー1173、メルク社製) B.防汚性基体の作製 フッ素系溶剤A3に防汚成分3を溶解して0.1%の溶
液としたものを本発明の防汚剤組成物として、塗工基材
5のハードコート層上にメイヤーバー法により推定膜厚
10nmとなるように塗工し、110℃で1時間乾燥
し、実施例14の防汚性基体を作製した。
【0050】<実施例15>フッ素系溶剤A4と非フッ
素系溶剤B4を30/70の重量比で混合した溶剤に防
汚成分4を溶解して0.2%の溶液としたものを本発明
の防汚剤組成物として、塗工基材5のハードコート層上
にメイヤーバー法により推定膜厚17nmとなるように
塗工し、100℃で2時間乾燥し、実施例15の防汚性
基体を作製した。
【0051】<実施例16>フッ素系溶剤A1をフッ素
系溶剤A5に代えた他は全て実施例1と同様にして、本
発明の防汚剤組成物の塗工を行い、実施例16の防汚性
基体を作製した。
【0052】<実施例17>フッ素系溶剤A1をフッ素
系溶剤A6に代えた他は全て実施例1と同様にして、本
発明の防汚剤組成物の塗工を行い、実施例17の防汚性
基体を作製した。
【0053】<実施例18>フッ素系溶剤A5と非フッ
素系溶剤B4を20/80の重量比で混合した溶剤に防
汚成分2を溶解して0.04%の溶液としたものを本発
明の防汚剤組成物として、塗工基材4のSiO層上に
メイヤーバー法により推定膜厚5nmとなるように塗工
し、100℃で2時間乾燥し、実施例18の防汚性基体
を作製した。
【0054】<実施例19>フッ素系溶剤A2と非フッ
素系溶剤B6(ジエチルエーテル)を10/90の重量
比で混合した溶剤に防汚成分2を溶解して0.04%の
溶液としたものを本発明の防汚剤組成物として、塗工基
材4のSiO層上にメイヤーバー法により推定膜厚5
nmとなるように塗工し、100℃で2時間乾燥し、実
施例19の防汚性基体を作製した。
【0055】<実施例20>フッ素系溶剤A2と非フッ
素系溶剤B7(シクロへキサノン)を10/90の重量
比で混合した溶剤に防汚成分2を溶解して0.04%の
溶液としたものを本発明の防汚剤組成物として、塗工基
材4のSiO層上にメイヤーバー法により推定膜厚5
nmとなるように塗工し、100℃で2時間乾燥し、実
施例20の防汚性基体を作製した。
【0056】<実施例21>フッ素系溶剤A6と非フッ
素系溶剤B3を10/90の重量比で混合した溶剤に防
汚成分2を溶解して0.04%の溶液としたものを本発
明の防汚剤組成物として、塗工基材4のSiO層上に
メイヤーバー法により推定膜厚5nmとなるように塗工
し、100℃で2時間乾燥し、実施例21の防汚性基体
を作製した。
【0057】<比較例1>フッ素系溶剤A1を非フッ素
系溶剤B1に代えた他は全て実施例1と同様にして、比
較用の防汚剤組成物の塗工を行い、比較例1の防汚性基
体を作製した。
【0058】<比較例2>フッ素系溶剤A1を非フッ素
系溶剤B3に代えた他は全て実施例1と同様にして、比
較用の防汚剤組成物の塗工を行い、比較例2の防汚性基
体を作製した。
【0059】<比較例3>防汚成分5をフッ素系溶剤A
2に溶解して0.03%の溶液としたものを比較用の防
汚剤組成物として、塗工基材1の表面層上にメイヤーバ
ー法により推定膜厚3nmとなるように塗工し、100
℃で2時間乾操し、比較例3の防汚性基体を作製した。
【0060】<比較例4>フッ素系溶剤A1をフッ素系
溶剤A7に代えた他は全て実施例1と同様にして、比較
用の防汚剤組成物の塗工を行い、比較例4の防汚性基体
を作製した。
【0061】以上の実施例および比較例における各種構
成要素を表5に示す。なお、防汚剤組成物を塗工・乾燥
して基材表面に形成されている防汚層の推定膜厚とは、
ウエットでの既知の塗布量と防汚成分および溶剤の比重
から計算により求めたものである。
【0062】
【表5】
【0063】評価方法 上記実施例1〜21および比較例1〜4で得られた防汚
性基体を、下記の特性について評価した。 (1)塗膜外観 防汚層表面の外観を観察し、塗布ムラの有無を調べ、以
下の基準により評価した。 ○:防汚層表面に塗布ムラは見受けられない △:わずかに塗布ムラが観察される ×:明らかに塗布ムラが観察される
【0064】(2)防汚性 ・サインペン:防汚層表面にサインペン(商品名:マッ
キー黒、ゼブラ社製)で線を引き、インクのはじき具合
を観察し、ティッシュペーパーでインクをふき取り、以
下の基準により評価した。 ○:防汚層表面がインクをはじき、ふき取れる △:防汚層表面はインクをはじくが、ふき取れない ×:防汚層表面がインクをはじかない ・指紋汚れ:防汚層表面に指紋をつけ、ティッシュペー
パーでふき取り、以下の基準により評価した。 ○:指紋がきれいにふき取れる △:指紋がふき取りにくい ×:指紋がふき取れない
【0065】(3)接触角 ・未処理:防汚層表面に水滴を滴下し、接触角計(エル
マ社製、エルマG−I型接触計)で接触角を測定した。 ・エタノール処理:溶剤に対する耐久性を評価するため
に、防汚層表面に対し、エタノールを含浸させた綿製の
不織布を用いて500g/cmの荷重で20回擦った
後に、水滴を滴下し、接触角計(エルマ社製、エルマG
−I型接触角計)で接触角を測定した。 以上の評価結果を表6に示す。
【0066】
【表6】
【0067】表6の結果から明らかなように、本発明の
実施例1〜15の防汚性基体は、塗膜外観、防汚性、溶
剤に対する耐久性のいずれにおいても、優れた特性を示
した。また、実施例16〜21では、フッ素系溶剤ある
いは非フッ素系溶剤のどちらか一方の沸点が好適な温度
範囲からはずれていることから、塗膜外観および防汚性
がやや劣っていた。これに対し、溶剤にフッ素系溶剤が
含まれていない比較例1,2では、防汚成分が溶解せず
に塗料が白濁状態のままで塗工を行わなければならいと
いう問題が生じ、作製した防汚性基材は、塗膜外観、防
汚性ともに実用に耐え得るものではなかった。特に、溶
剤に対する耐久性は、非常に劣ったものであった。さら
に、パーフルオロアルキルエーテル基を有していない防
汚成分を用いた比較例3および溶剤に本発明のものと異
なるパーフルオロカーボンを用いた比較例4は、塗膜外
観、防汚性ともに劣ったものであった。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の防汚剤組
成物は、防汚成分として特定のパーフルオロアルキルエ
ーテル基を有する化合物を、特定のフッ素系溶剤と非フ
ッ素系溶剤との混合溶剤に溶解したものであり、これを
基材に塗工することにより、容易に優れた防汚性を発揮
することができる。また、使用するフッ素系溶剤は、防
汚成分の溶解性が高いばかりでなく、安全性も高く、オ
ゾン破壊ゼロ、温暖化係数が小さく、光化学スモッグも
引き起こさないという優れた溶剤である。さらに、この
フッ素系溶剤は、非フッ素系溶剤で希釈することが可能
であり、経済性においても優れた防汚剤組成物を調製す
ることができる。したがって、この防汚剤組成物を任意
の材質、形状、サイズの基材に塗工して作製した防汚性
基体は、優れた防汚性、安全性、経済性を有することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C09D 171/00 C09D 171/00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ素系溶剤、またはフッ素系溶剤と非
    フッ素系溶剤との混合溶剤に少なくとも防汚成分を溶解
    した防汚剤組成物であって、上記フッ素系溶剤は、ハイ
    ドロフルオロカーボンおよびハイドロフルオロエーテル
    から選ばれる少なくとも1種を含有し、上記防汚成分
    は、パーフルオロアルキルエーテル基を有し、その分子
    中に基材との親和性の高い官能基および/または基材と
    化学結合可能な官能基を1つ以上有する化合物を含有す
    ることを特徴とする防汚剤組成物。
  2. 【請求項2】 前記フッ素系溶剤および非フッ素系溶剤
    は、沸点が50〜150℃であることを特徴とする請求
    項1に記載の防汚剤組成物。
  3. 【請求項3】 前記混合溶剤中に占めるフッ素系溶剤の
    含有量は、重量比で1%以上であることを特徴とする請
    求項1または2に記載の防汚剤組成物。
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