JP3613355B2 - ポリカーボネート及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリカーボネート及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、流動性及び耐湿性に優れたポリカーボネート、及びこのものを特定の触媒の存在下でエステル交換反応により効率よく製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネートは耐衝撃性,耐熱性,透明性などに優れたエンジニアリングプラスチックであって、各種機械部品,光学用ディスク,自動車部品などに広く用いられているが、近年、光学用ディスクなどの分野においては、より高い流動性が求められている。
このような要望に対して、塩化メチレンなどの溶媒を用いる界面重縮合法により得られた末端をクミルフェノキシ基などで変性してなるポリカーボネートが提案されている(特開平1−245016号公報)。しかしながら、この界面重縮合法により得られたポリカーボネートは、ナトリウム分や塩素分などの不純物を完全に除去することが困難であって光学用途向けとしては、充分なものとはいえない。
【0003】
これに対し、溶媒を用いずに不純物の少ないポリカーボネートを得る方法としてエステル交換反応法(溶融重合法)が知られている。このエステル交換反応法により、末端位にクミルフェノキシ基を導入したポリカーボネートを製造する方法としては、例えば重合触媒として、含窒素塩基性化合物とアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物とホウ酸との組合せからなる触媒を用いる方法(特開平2−175723号公報)、触媒としてアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を用いて重合を行ったのち、酸性化合物を添加する方法(特開平5−9287号公報)などが提案されている。しかしながら、これらの方法においては、得られたポリカーボネートは、高温,高湿下でクラックが発生し、強度が低下するという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、流動性及び耐湿性(耐スチームクラック性)に優れるポリカーボネート、及びこのものを効率よく製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、流動性及び耐湿性に優れるポリカーボネートについて鋭意研究を重ねた結果、主鎖中に微量含有するサリチル酸フェニル構造単位が耐湿性(耐スチームクラック性)を低下させる原因であり、この単位の含有量を特定の値以下に抑えることにより、耐湿性に優れるポリカーボネートが得られること、そしてこの条件を満たし、かつ末端位にp−クミルフェノキシ基,フェノキシ基及び水酸基を特定の割合で有するものが、特に流動性及び耐湿性に優れていることを見出した。さらに、これらのポリカーボネートは、特定の触媒を用いるエステル交換反応法により、効率よく得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)主鎖が、一般式(I)
【0006】
【化4】
Figure 0003613355
【0007】
(式中、R及びRは、それぞれ水素原子又は炭素数1〜7のアルキル基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、またたがいに結合して環構造を形成していてもよい。)
で表される繰り返し単位からなり、かつその主鎖中に含まれる式(II)
【0008】
【化5】
Figure 0003613355
【0009】
で表されるサリチル酸フェニル構造単位の量が100重量ppm以下であることを特徴とする粘度平均分子量10,000以上のポリカーボネート、特に好ましくは、
(2)末端位にp−クミルフェノキシ基5〜98モル%,フェノキシ基1〜94モル%及び水酸基1〜94モル%を有する上記(1)記載のポリカーボネート、を提供するものである。
また、本発明は、
(3)(A)一般式(III)
【0010】
【化6】
Figure 0003613355
【0011】
(式中、R及びRは上記と同じである。)
で表される芳香族ジヒドロキシ化合物と(B)炭酸ジエステルとを、(a)含窒素有機塩基性化合物と(b)四級ホスホニウム塩との組合せからなる重合触媒を用いて、エステル交換反応させることを特徴とする上記(1)記載のポリカーボネートの製造方法、
及び
(4)上記一般式(III)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物と(B’)ジフェニルカーボネートとを、p−クミルフェノールの存在下、(a)含窒素有機塩基性化合物と(b)四級ホスホニウム塩との組合せからなる重合触媒を用いて、エステル交換反応させることを特徴とする上記(2)記載のポリカーボネートの製造方法、
をも提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のポリカーボネートは、主鎖が、一般式(I)
【0013】
【化7】
Figure 0003613355
【0014】
で表される繰り返し単位からなり、かつその主鎖中に含まれる式(II)
【0015】
【化8】
Figure 0003613355
【0016】
で表されるサリチル酸フェニル構造単位の量が100重量ppm以下のものである。
上記一般式(I),(II) において、R及びRはそれぞれ水素原子又は炭素数1〜7のアルキル基を示す。このアルキル基は、直鎖状,分岐鎖状,環状のいずれであってもよく、例えばメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,ヘプチル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基などである。該R及びRはたがいに同一でも異なっていてもよく、またたがいに結合して環構造を形成していてもよい。
また、このポリカーボネートの粘度平均分子量は10,000以上であることが必要である。粘度平均分子量が10,000未満のものは実用に供するには機械物性が不充分である。成形性及び機械物性のバランスの点から、好ましい粘度平均分子量は10,000〜100,000の範囲であり、特に14,000〜40,000の範囲が好適である。なお、この粘度平均分子量(Mv)は、ポリカーボネートを塩化メチレンに溶解し、温度20℃での塩化メチレン溶液の極限粘度〔η〕を測定して、式
〔η〕= 1.23 × 10−5 × Mv0.83
より、算出した値である。
【0017】
さらに、このポリカーボネートにおいて、主鎖中に含まれる式(II) で表されるサリチル酸フェニル構造単位は、重合中において、熱や触媒作用を受けてカーボネート基の炭素がオルト位に転移することにより、生成するものと推測される。その含有量が100重量ppmを超えると耐湿性が低下し、高温,高湿下でクラックが発生し、衝撃強度が低下するなど、好ましくない事態を招来する。このような現象は、特に、実用成形品として最も流動性及び強度のバランスの良い粘度平均分子量14,000〜17,000程度において著しく現れる。なお、このサリチル酸フェニル構造単位の含有量は、以下に示す方法により測定した値である。
ポリマー500mgを塩化メチレン25ミリリットルに溶解して、320nmにおける吸光度を測定した。なお、レファレンス側には、界面法で製造したポリカーボネート〔出光石油化学(株)製〕フレークを同様に塩化メチレンに溶解して用いた。
一方、サリチル酸フェニルを標準として検量線を作成し、この検量線と上記吸光度とから、ポリマー中のサリチル酸フェニル構造単位量(重量ppm)を求めた。
本発明のポリカーボネートを製造する方法については、上記の性状を有するポリカーボネートが得られる方法であればよく、特に制限はないが、とりわけエスエル交換反応法によって製造するのが有利である。
本発明の方法によると、(A)一般式(III)
【0018】
【化9】
Figure 0003613355
【0019】
(式中、R及びRは上記と同じである。)
で表される芳香族ジヒドロキシ化合物と(B)炭酸ジエステルとを、(a)含窒素有機塩基性化合物と(b)四級ホスホニウム塩との組合せからなる重合触媒を用いて、エステル交換反応させることにより、所望のポリカーボネートを効率よく製造することができる。
上記(A)成分の一般式(III)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えばビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通常ビスフェノールA);1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソブタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン;3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン;3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン;3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン;4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン;3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン;4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどが挙げられる。
この(A)成分の芳香族ジヒドロキシ化合物は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で特にビスフェノールAを用いるのが好ましい。
【0020】
一方、本発明において、(B)成分として用いられる炭酸ジエステルは、各種のものがある。例えば、炭酸ジアリール化合物,炭酸ジアルキル化合物又は炭酸アルキルアリール化合物から選択される少なくとも一種の化合物である。
この(B)成分の一つとして用いられる炭酸ジアリール化合物は、一般式(IV)
【0021】
【化10】
Figure 0003613355
【0022】
(式中、Ar及びArはそれぞれアリール基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい。)
で表される化合物、又は一般式(V)
【0023】
【化11】
Figure 0003613355
【0024】
(式中、Ar及びArはそれぞれアリール基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、Dは前記芳香族ジヒドロキシ化合物から水酸基2個を除いた残基を示す。)
で表される化合物である。
また、炭酸ジアルキル化合物は、一般式(VI)
【0025】
【化12】
Figure 0003613355
【0026】
(式中、R及びRはそれぞれ炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数4〜7のシクロアルキル基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい。)
で表される化合物、又は一般式(VII)
【0027】
【化13】
Figure 0003613355
【0028】
(式中、R及びRはそれぞれ炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数4〜7のシクロアルキル基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、Dは前記芳香族ジヒドロキシ化合物から水酸基2個を除いた残基を示す。)
で表される化合物である。
そして、炭酸アルキルアリール化合物は、一般式(VIII)
【0029】
【化14】
Figure 0003613355
【0030】
(式中、Ar はアリール基、Rは炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数4〜7のシクロアルキル基を示す。)
で表される化合物、又は一般式(IX)
【0031】
【化15】
Figure 0003613355
【0032】
(式中、Arはアリール基,Rは炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数4〜7のシクロアルキル基、Dは前記芳香族ジヒドロキシ化合物から水酸基2個を除いた残基を示す。)
で表される化合物である。
ここで、炭酸ジアリール化合物としては、例えば、ジフェニルカーボネート,ジトリルカーボネート,ビス(クロロフェニル)カーボネート,m−クレジルカーボネート,ジナフチルカーボネート,ビス(ジフェニル)カーボネート,ビスフェノールAビスフェニルカーボネートなどが挙げられる。
また、炭酸ジアルキル化合物としては、例えば、ジエチルカーボネート,ジメチルカーボネート,ジブチルカーボネート,ジシクロヘキシルカーボネート,ビスフェノールAビスメチルカーボネートなどが挙げられる。
【0033】
そして、炭酸アルキルアリール化合物としては、例えば、メチルフェニルカーボネート,エチルフェニルカーボネート,ブチルフェニルカーボネート,シクロヘキシルフェニルカーボネート,ビスフェノールAメチルフェニルカーボネートなどが挙げられる。
本発明において、(B)成分の炭酸ジエステルとしては、上記の化合物一種又は二種以上を適宜選択して用いるが、これらの中では、ジフェニルカーボネートを用いるのが好ましい。
【0034】
本発明の製造方法においては、必要に応じて末端停止剤を用いることができる。この末端停止剤としては、例えばフェノール;o−n−ブチルフェノール;m−n−ブチルフェノール;p−n−ブチルフェノール;o−イソブチルフェノール;m−イソブチルフェノール;p−イソブチルフェノール;o−t−ブチルフェノール;m−t−ブチルフェノール;p−t−ブチルフェノール;o−n−ペンチルフェノール;m−n−ペンチルフェノール;p−n−ペンチルフェノール;o−n−ヘキシルフェノール;m−n−ヘキシルフェノール;p−n−ヘキシルフェノール;o−シクロヘキシルフェノール;m−シクロヘキシルフェノール;p−シクロヘキシルフェノール;o−フェニルフェノール;m−フェニルフェノール;p−フェニルフェノール;o−n−ノニルフェノール;m−n−ノニルフェノール;p−n−ノニルフェノール;o−クミルフェノール;m−クミルフェノール;p−クミルフェノール;o−ナフチルフェノール;m−ナフチルフェノール;p−ナフチルフェノール;2,6−ジ−t−ブチルフェノール;2,5−ジ−t−ブチルフェノール;2,4−ジ−t−ブチルフェノール;3,5−ジ−t−ブチルフェノール;2,5−ジクミルフェノール;3,5−ジクミルフェノール;式
【0035】
【化16】
Figure 0003613355
【0036】
で表される化合物や、式
【0037】
【化17】
Figure 0003613355
【0038】
で表されるクロマン誘導体などの一価フェノール、さらには、式
【0039】
【化18】
Figure 0003613355
【0040】
で表される化合物などが挙げられる。
これらの中で、フェノール,p−t−ブチルフェノール,p−クミルフェノール,p−フェニルフェノールなどが好ましく、特に得られるポリカーボネートの流動性などの点から、p−クミルフェノールが好適である。
さらに、本発明では、必要に応じて、フロログルシン;トリメリット酸;1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;1−〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α’,α’−ビス(4”−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン;α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン;イサチンビス(o−クレゾール)などを分岐剤として用いることもできる。
【0041】
本発明の製造方法においては、エステル交換反応の際に、重合触媒として、(a)含窒素有機塩基性化合物と(b)四級ホスホニウム塩との組合せが用いられる。
上記(a)成分の含窒素有機塩基性化合物としては、特に制限はなく、各種のものがある。例えば、トリメチルアミン,トリエチルアミン,トリプロピルアミン,トリブチルアミン,トリペンチルアミン,トリヘキシルアミン,ジメチルベンジルアミンなどの脂肪族第三級アミン化合物、トリフェニルアミンなどの芳香族第三級アミン化合物、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン,4−ジエチルアミノピリジン,4−ピロリジノピリジン,4−アミノピリジン,2−アミノピリジン,2−ヒドロキシピリジン,4−ヒドロキシピリジン,2−メトキシピリジン,4−メトキシピリジン,イミダゾール,2−メチルイミダゾール,4−メチルイミダゾール,2−ジメチルアミノイミダゾール,2−メトキシイミダゾール,2−メルカプトイミダゾール,アミノキノリン,ジアザビシクロオクタン(DABCO)などの含窒素複素環化合物が挙げられる。
【0042】
さらに、一般式(X)
(NR10 ( X ・・・(I)
で表される四級アンモニウム塩を挙げることができる。
上記一般式(X)において、R10は有機基、例えばメチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基、オクチル基,シクロヘキシル基などのアルキル基やシクロアルキル基、フェニル基,トリル基,ナフチル基,ビフェニル基などのアリール基、ベンジル基などのアリールアルキル基などを示す。四つのR10はたがいに同一でも異なっていてもよく、また二つのR10が結合して環構造を形成していてもよい。Xはハロゲン原子,水酸基又はBRを示す。ここで、Rは水素原子又はアルキル基やアリール基などの炭化水素基を示し、四つのRはたがいに同一でも異なっていてもよい。
【0043】
このような四級アンモニウム塩としては、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド,テトラエチルアンモニウムヒドロキシド,テトラブチルアンモニウムヒドロキシド,トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシドなどのアルキル基,アリール基,アルアリール基などを有するアンモニウムヒドロキシド類、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド,テトラブチルアンモニウムボロハイドライド,テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート,テトラメチルアンモニウムテトラフェニルボレートなどの塩基性塩が挙げられる。
これらの含窒素有機塩基性化合物の中で、触媒活性が高く、かつ熱分解が容易でポリマー中に残留しにくいなどの点から、上記一般式(X)で表される四級アンモニウム塩、具体的にはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド,テトラブチルアンモニウムヒドロキシド,テトラメチルアンモニウムボロハイドライド,テトラブチルアンモニウムボロハイドライドが好ましく、特にテトラメチルアンモニウムヒドロキシドが好適である。
この(a)成分の含窒素有機塩基性化合物は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
一方、(b)成分の四級ホスホニウム塩としては、特に制限はなく、各種のものがあり、例えば一般式(XI)
(PR11 (X ・・・(XI)
で表される化合物が好ましく用いられる。
上記一般式(XI)において、R11は有機基を示し、この有機基としては、上記一般式(X)におけるR10の説明において例示したものと同じものを挙げることができる。四つのR11はたがいに同一でも異なっていてもよく、また二つのR11が結合して環構造を形成していてもよい。Xはハロゲン原子,水酸基,アルキルオキシ基,アリールオキシ基,(R’O)P(=O)O又はBR’’を示す。ここで、R’はアルキル基やアリール基などの炭化水素基を示し、二つのR’Oはたがいに同一でも異なっていてもよい。またR’’は水素原子又はアルキル基やアリール基などの炭化水素基を示し、四つのR’’はたがいに同一でも異なっていてもよい。
【0045】
このような四級ホスホニウム塩としては、例えばテトラフェニルホスホニウムヒドロキシド,テトラナフチルホスホニウムヒドロキシド,テトラ(クロロフェニル)ホスホニウムヒドロキシド,テトラ(ビフェニル)ホスホニウムヒドロキシド,テトラトリルホスホニウムヒドロキシド,テトラメチルホスホニウムヒドロキシド,テトラエチルホスホニウムヒドロキシド,テトラブチルホスホニウムヒドロキシドなどのテトラ(アリール又はアルキル)ホスホニウムヒドロキシド類、さらにはテトラメチルホスホニウムテトラフェニルボレート,テトラフェニルホスホニウムブロミド,テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,メチルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,ベンジルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,テトラトリルホスホニウムテトラフェニルボレート,テトラフェニルホスホニウムフェノレート,テトラ(p−t−ブチルフェニル)ホスホニウムジフェニルホスフェート,トリフェニルブチルホスホニウムフェノレート,トリフェニルブチルホスホニウムテトラフェニルボレートなどが挙げられる。
【0046】
また、上記一般式(XI) で表される化合物以外に、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのビス−テトラフェニルホスホニウム塩,エチレンビス(トリフェニルホスホニウム)ジブロミド,トリメチレンビス(トリフェニルホスホニウム)−ビス(テトラフェニルボレート)なども挙げることができる。
これらの四級ホスホニウム塩の中で、触媒活性が高く、かつ熱分解が容易でポリマー中に残留しにくいなどの点から、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,メチルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート及びベンジルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートが好適である。
【0047】
この(a)成分の四級アンモニウム塩は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、これらの含窒素有機塩基性化合物及び四級アンモニウム塩は、金属不純物の含有量ができるだけ少ないものが好ましく、特にアルカリ金属及びアルカリ土類金属化合物の含有量が50ppm以下のものが好適である。
本発明においては、重合触媒として、上記(a)成分の含窒素有機塩基性化合物を10−1〜10−6モル、好ましくは10−2〜10−5モル用い、(b)成分の四級ホスホニウム塩を10−3〜10−8モル、好ましくは10−4〜10−7モル用いるのが望ましい。(a)成分の使用量が10−6モル未満では反応初期での触媒活性が不充分となり、また10−1モルを超えるとコストアップに繋がり好ましくない。一方、(b)成分の使用量が10−8モル未満では反応後期での触媒活性が不充分となり、また10−3モルを超えるとコストアップに繋がり好ましくない。
【0048】
また、この重合触媒は、原料である(A)成分の芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、(a)成分と(b)成分との合計量が、通常10−1〜10−8モル、好ましくは10−2〜10−7モルになるような割合で添加される。この触媒の添加量が10−8モル未満では、触媒効果が発現されないおそれがある。また、10−1モルを超えると、最終製品であるポリカーボネートの物性、特に、耐熱性, 耐加水分解性の低下を招くおそれがあり、また、コストアップに繋がり、これを超えてまで添加することはない。
【0049】
本発明のポリカーボネートにおいては、特に流動性及び耐湿性の優れたものとして、前記式(II) で表されるサリチル酸フェニル構造単位の含有量が100重量ppm以下で、かつ末端位にp−クミルフェノキシ基5〜98モル%,フェノキシ基1〜94モル%及び水酸基1〜94モル%を有するものが好適である。
このようなポリカーボネートは、(A)前記一般式(III)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物と(B’)ジフェニルカーボネートとを、末端停止剤のp−クミルフェノールの存在下に、前記の(a)含窒素有機塩基性化合物と(b)四級ホスホニウム塩との組合せからなる重合触媒を用いてエステル交換反応させることにより、効率よく製造することができる。
本発明においては、末端停止剤は、予め反応系に全量添加しておいてもよい。また、予め反応系に一部添加しておき、反応の進行に伴って残部を添加してもよい。さらに、場合によっては、前記(A)成分の芳香族ジヒドロキシ化合物と(B)成分の炭酸ジエステルとのエステル交換反応が一部進行した後に、反応系に全量添加してもよい。また、末端停止剤としてp−クミルフェノールを用いる場合、その使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し、好ましくは0.01〜0.2モル、より好ましくは0.02〜0.15モル、特に好ましくは0.02〜0.1モルの範囲である。
【0050】
本発明の製造方法に従ってエステル交換反応を行うに当たっては、反応温度は、特に制限はなく、通常100〜330℃の範囲、好ましくは180〜300℃の範囲で選ばれるが、より好ましくは、反応の進行に合わせて次第に180〜300℃まで温度を上げていく方法がよい。このエステル交換反応の温度が100℃未満では反応速度が遅くなり、一方330℃を超えると副反応が生じたり、あるいは生成するポリカーボネートが着色するなどの問題が生じ、好ましくない。また、反応圧力は、使用するモノマーの蒸気圧や反応温度に応じて設定される。これは、反応が効率良く行われるように設定されればよく、限定されるものではない。通常、反応初期においては、1〜50atm (760〜38,000torr)までの大気圧(常圧)ないし加圧状態にしておき、反応後期においては、減圧状態、好ましくは最終的には0.01〜100torrにする場合が多い。
さらに、反応時間は、目標の分子量となるまで行えばよく、通常、0.2〜10時間程度である。
【0051】
そして、上記のエステル交換反応は、通常不活性溶剤の不存在下で行われるが、必要に応じて、得られるポリカーボネートの1〜150重量%の不活性溶剤の存在下において行ってもよい。ここで、不活性溶剤としては、例えば、ジフェニルエーテル,ハロゲン化ジフェニルエーテル,ベンゾフェノン,ポリフェニルエーテル,ジクロロベンゼン,メチルナフタレンなどの芳香族化合物、トリシクロ(5,2,10)デカン,シクロオクタン,シクロデカンなどのシクロアルカンなどが挙げられる。また、必要に応じて不活性ガス雰囲気下で行ってもよく、ここで、不活性ガスとしては、例えばアルゴン,二酸化炭素,一酸化二窒素,窒素などのガス、クロロフルオロ炭化水素,エタンやプロパンなどのアルカン、エチレンやプロピレンなどのアルケンなど、各種のものが挙げられる。
【0052】
また、本発明においては、必要に応じ、酸化防止剤を反応系に添加してもよい。この酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤が好ましく、例えばトリメチルホスファイト,トリエチルホスファイト,トリブチルホスファイト,トリオクチルホスファイト,トリノニルホスファイト,トリデシルホスファイト,トリオクタデシルホスファイト,ジステアリルペンタエリスチルジホスファイト,トリス(2−クロロエチル)ホスファイト,トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスファイトなどのトリアルキルホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイトなどのトリシクロアルキルホスファイト、トリフェニルホスファイト,トリクレジルホスファイト,トリス(エチルフェニル)ホスファイト,トリス(ブチルフェニル)ホスファイト,トリス(ノニルフェニル)ホスファイト,トリス(ヒドロキシフェニル)ホスファイトなどのトリアリールホスファイト、2−エチルヘキシルジフェニルホスファイトなどのモノアルキルジアリールホスファイト、トリメチルホスフェート,トリエチルホスフェート,トリブチルホスフェート,トリオクチルホスフェート,トリデシルホスフェート,トリオクタデシルホスフェート,ジステアリルペンタエリスリチルジホスフェート,トリス(2−クロロエチル)ホスフェート,トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェートなどのトリアルキルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェートなどのトリシクロアルキルホスフェート、トリフェニルホスフェート,トリクレジルホスフェート,トリス(ノニルフェニル)ホスフェート,2−エチルフェニルジフェニルホスフェートなどのトリアリールホスフェートなどが挙げられる。
【0053】
本発明においては、反応が進行するとともに、使用した炭酸ジエステルに対応するフェノール類,アルコール類,又はそれらのエステル類及び不活性溶剤が反応器より脱離してゆく。これら脱離物は、分離、精製しリサイクル使用も可能であり、これらを除去する設備があれば好ましい。
そして、本発明は、バッチ式又は連続式に行うことができ、かつ任意の装置を使用することができる。なお、連続式で製造する場合には、少なくとも二基以上の反応器を使用し、上記の反応条件を設定するのが好ましい。
本発明で用いられる反応器は、その材質や構造は、特に制限はされないが、通常の攪拌機能を有していればよい。ただし、反応後段においては粘度が上昇するので高粘度型の攪拌機能を有するものが好ましい。さらに、反応器の形状は槽型のみならず、押出機型のリアクターなどでもよい。
【0054】
本発明においては、エステル交換反応終了後、得られるポリカーボネートの品質(着色)を良好なものとするために、触媒の分解温度以上、好ましくは300℃前後に反応物を熱処理して、触媒を熱分解除去するのが好ましい。
以上のようにして得られたポリカーボネートは、そのまま造粒してもよく、また、押出機などを用いて成形することもできる。
また、本発明によって得られるポリカーボネートは、可塑剤,顔料,潤滑剤,離型剤,安定剤,無機充填剤などのような周知の添加剤を配合して使用することができる。
さらに、このポリカーボネートは、ポリオレフィン,ポリスチレン,ポリエステル,ポリスルホネート,ポリアミド,ポリフェニレンエーテルなどの重合体とブレンドすることが可能である。特に、OH基,COOH基,NH基などを末端に有するポリフェニレンエーテル,ポリエーテルニトリル,末端変性ポリシロキサン化合物,変性ポリプロピレン,変性ポリスチレンなどと併用すると効果的である。
【0055】
【実施例】
次に、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるのではない。
実施例1
内容積1.4リットルの攪拌機付ニッケル鋼製オートクレーブに、ビスフェノールA(BPA)228g(1.00モル),ジフェニルカーボネート226.8g(1.06モル)及びp−クミルフェノール6.1g(0.029モル)を仕込み、さらに触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)20重量%水溶液(Na<1ppb,Ca<1ppb,K<1ppb)及びテトラブチルホスホニウムヒドロキシド(TBPH)40重量%水溶液(Na<40ppm,K<5ppm)を、それぞれTMAHが2.5×10−4モル/モルBPA,TBPHが1×10−5モル/モルBPAになるように仕込んだのち、窒素置換を5回行った。
【0056】
混合物を180℃まで加熱し、ビスフェノールAとジフェニルカーボネートを溶融させ30分間攪拌したのち、210℃に昇温し、真空度を100mmHgとし、生成するフェノールを留去した。フェノールの留出速度が低下したところで240℃とし、さらにフェノールを留出させた。次いで、次第に真空度を10mmHgまで上げて1時間反応させたのち、270℃に昇温し、真空度を徐々に上げて0.4mmHgにして60分間反応させた。
次に、オートクレーブ内の粘稠で透明な縮合物を取り出し、このポリカーボネートについて、次の方法に従って性状を求めた。p−クミルフェノール量及び触媒の種類,量を第1表に、結果を第2表に示す。
(1)サリチル酸フェニル構造単位の含有量
明細書本文に記載の方法に従って、主鎖中のサリチル酸フェニル構造単位の含有量を求めた。
(2)末端モル分率
H−NMRを用いて、末端位のp−クミルフェノキシ基,フェノキシ基及び水酸基のモル分率を求めた。
(3)粘度平均分子量
明細書本文に記載の方法に従って、粘度平均分子量(Mv)を求めた。
(4)クラック発生数
ポリカーボネートを280℃で、5×5cm、厚さ3mmにプレス成形し、次いで121℃で48時間滅菌器内でスチームに暴露した後、水中に保存し、24時間後のクラック発生量を、5×5cmのプレート当たりのクラック数として次のようにして測定した。万能投影機(OLYMPUS UP−350)を用い、単色フィルターを使用して拡大投影写真(10倍)を撮影し、続いて、画像解析装置(スタンレー電器(株)画像解析システムV2.0)により、25cm×20cmに設定したスキャナーで読み取り、その画像を判別分析法により二値化した。10画素(1画素=0.3mm)以上の粒子数をカウントし、この計測値を5倍したものをクラック発生数とした。
(5)流れ値
280℃,160kg/cmの圧力下で、径1mm,長さ10mmのノズルから流出する樹脂量(ミリリットル/秒)を測定し流れ値とした。
(6)サリチル酸フェニル構造の定性分析
ポリマー500mgを塩化メチレンに溶解後、2規定KOH−メタノール溶液を用いて加水分解処理した。加水分解処理後、塩化メチレンを揮発させ、塩酸にて中和したのち、高速液体クロマトグラフィーにて分離した。310nm付近(サリチル酸フェニル構造はメチルエステルになっているため、通常320nmから308nmに吸収極大がシフトする)に吸収極大をもつ成分を分取し、質量分析計にてマススペクトルを測定した。図1にマススペクトルチャートを示す。
なお、上記加水分解処理における反応式を下記に示す。
【0057】
【化19】
Figure 0003613355
【0058】
実施例2
実施例1において、TBPHの代わりにメチルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(MTPTB,Na<7ppm,Mg<5ppm)を1×10−5モル/モルBPAの割合で用いた以外は、実施例1と同様にして実施した。p−クミルフェノール量及び触媒の種類,量を第1表に、結果を第2表に示す。実施例3
実施例1において、p−クミルフェノール量を4.1g(0.02モル)用い、かつ触媒として、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH,Na<5ppm,K<10ppm)を2.5×10−4モル/モルBPA及びテトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(TPTB,Na<1ppm,Mg<1ppm)を1×10−5モル/モルBPAの割合で用いた以外は、実施例1と同様にして実施した。p−クミルフェノール量及び触媒の種類,量を第1表に、結果を第2表に示す。
実施例4
実施例1において、p−クミルフェノールの添加時期を240℃に昇温後に行った以外は、実施例1と同様にして実施した。p−クミルフェノール量及び触媒の種類,量を第1表に、結果を第2表に示す。
【0059】
比較例1
実施例1において、触媒として第1表に示したものを用い、かつ重合終了後にp−トルエンスルホン酸ブチルをポリマー当たり1.8重量ppmとなるよに添加し、30分間混合攪拌したのち、溶融物を取り出した。結果を第2表に示す。
比較例2
実施例1において、触媒として第1表に示したものを用い、かつ重合終了後にp−トルエンスルホン酸ブチルをポリマー当たり10重量ppmとなるよに添加し、30分間混合攪拌したのち、溶融物を取り出した。結果を第2表に示す。
比較例3
実施例3において、触媒として第1表に示したものを用いた以外は、実施例3と同様にして実施した。結果を第2表に示す。
比較例4
実施例3において、触媒として第1表に示したものを用いた以外は、実施例3と同様にして実施した。結果を第2表に示す。
【0060】
【表1】
Figure 0003613355
【0061】
〔注〕
TMAH:テトラメチルアンモニウムヒドロキシド20重量%水溶液
(Na<1ppb,Ca<1ppb,K<1ppb)
TBAH:テトラブチルアンモニウムヒドロキシド
(Na<5ppm,K<10ppm)
TBPH:テトラブチルホスホニウムヒドロキシド40重量%水溶液
(Na<40ppm,K<5ppm)
MTPTB:メチルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート
(Na<7ppm,Mg<5ppm)
TPTB:テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート
(Na<1ppm,Mg<1ppm)
【0062】
【表2】
Figure 0003613355
【0063】
【表3】
Figure 0003613355
【0064】
【発明の効果】
本発明のポリカーボネートは、主鎖中のサリチル酸フェニル構造単位の含有量が少なく、流動性及び耐湿性に優れ、高温,高湿下でのクラックの発生が抑制され、光学分野,自動車分野,機械分野などに好適に用いられる。
また、このポリカーボネートは、特定の触媒を用いるエステル交換反応により、効率よく製造することができる。
【0065】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1におけるポリマー中のサリチル酸フェニル構造の定性分析において用いたマススペクトルチャートである。

Claims (6)

  1. 主鎖が、一般式(I)
    Figure 0003613355
    (式中、R及びRは、それぞれ水素原子又は炭素数1〜7のアルキル基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、またたがいに結合して環構造を形成していてもよい。)
    で表される繰り返し単位からなり、かつその主鎖中に含まれる式(II)
    Figure 0003613355
    で表されるサリチル酸フェニル構造単位の量が100重量ppm以下であることを特徴とする粘度平均分子量10,000以上のポリカーボネート。
  2. 末端位にp−クミルフェノキシ基5〜98モル%,フェノキシ基1〜94モル%及び水酸基1〜94モル%を有する請求項1記載のポリカーボネート。
  3. エステル交換反応で得られた請求項1又は2記載のポリカーボネート。
  4. (A)一般式(III)
    Figure 0003613355
    (式中、R及びRは、それぞれ水素原子又は炭素数1〜7のアルキル基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、またたがいに結合して環構造を形成していてもよい。)
    で表される芳香族ジヒドロキシ化合物と(B)炭酸ジエステルとを、(a)含窒素有機塩基性化合物と(b)四級ホスホニウム塩との組合せからなる重合触媒を用いて、エステル交換反応させることを特徴とする請求項1記載のポリカーボネートの製造方法。
  5. (A)一般式(III)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物と(B’)ジフェニルカーボネートとを、p−クミルフェノールの存在下、(a)含窒素有機塩基性化合物と(b)四級ホスホニウム塩との組合せからなる重合触媒を用いて、エステル交換反応させることを特徴とする請求項2記載のポリカーボネートの製造方法。
  6. (A)成分の芳香族ジヒドロキシ化合物が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンである請求項4又は5記載の方法。
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