JP3610622B2 - リーチ式フォークリフトの駆動制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、リーチ式フォークリフトの駆動制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、滑りやすい路面での発進時のスリップを防止する為に前輪と後輪の両方を駆動制御するリーチ式フォークリフトが、第一の従来技術である特開平5−162995号公報に示す様に提案されている。
【0003】
このリーチ式フォークリフトは、アクセルレバーを操作すると、その操作量に基づいて前輪及び後輪を常に回転させてリーチ式フォークリフトを駆動制御する様になっている。その結果、車両が滑り易い路面を発進する際、スリップの防止を図ると共に、車両の発進を円滑に行う事ができる。
【0004】
しかしながら、この第一の従来技術には以下に述べる様な第一の問題点があった。
即ち、前記リーチ式フォークリフトにおいては、常に前輪及び後輪用モータが駆動制御される構成となっているので、後輪用モータのみが駆動制御されるリーチ式フォークリフトに比べて前輪の磨耗が早く、ランニングコストの増加につながる。又、車両に搭載されたバッテリの消費電力も前輪用モータを駆動させる分だけ大きくなり、稼働時間が低下してしまう。
【0005】
そこで、以上の様な問題点を解決する手段として、例えば第二の従来技術である特願平5−308378号に記載されている方法がある。
即ち、リーチ式フォークリフトの発進時には、前輪及び後輪用モータを両方共回転し駆動させる一方、発進後の走行時には後輪用モータのみを回転し駆動させ、前輪用モータは駆動させず、前輪を従動輪とする。従って、第二の従来技術によれば、第一の従来技術に比べて、前輪の磨耗、及びバッテリの消費電力を軽減する事ができる。
【0006】
又、前輪の磨耗、及びバッテリの消費電力を更に改善する技術として、第三の従来技術である特願平6−251000号に記載されている方法がある。
即ち、リーチ式フォークリフトの発進時且つスリップ時にのみ、前輪及び後輪用モータを両方共回転し駆動させ、それ以外の時には後輪用モータのみを回転し駆動させ、前輪用モータは駆動させず、前輪を従動輪とする。従って、第三の従来技術によれば、第二の従来技術に比べて、一層、前輪の磨耗、及びバッテリの消費電力を軽減する事ができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前項に記載した第二、及び第三の従来技術には各々、未だ以下に示す様な問題点があった。
【0008】
即ち、第三の従来技術においては、発進当初は駆動されていなかった前輪用モータを、スリップを検出してから駆動させる制御が行われるので、発進時且つスリップ時に後輪と前輪の全てを駆動させて発進するまでに、スリップを検出する分、第二の従来技術に較べて若干のタイムラグが生じる事になっていた。
【0009】
ところで、低μ路面(低摩擦係数の路面を意味する。以降、同じ。)である凍結路面においては、リーチ式フォークリフトの最もスリップが発生し易い条件である、フォークに荷を積載し且つ、フォークを前方にリーチさせた時にはスリップを発生するが、スリップの発生しにくい条件である、フォークに荷を積載していない時には、スリップを発生せず、従って後輪駆動のみでも、比較的容易に発進できる場合が多かった。
【0010】
しかし、凍結路面以上に低μ路面である油濡路面においては、前述したリーチ式フォークリフトの最もスリップが発生し易い条件においては勿論の事、同じく前記したリーチ式フォークリフトのスリップが発生しにくい条件においてさえも、容易にスリップを発生し、従って後輪駆動のみでは発進する事が極めて困難であった。そして、この様な油濡路面においては、第三の従来技術によると、スリップを検出してから前輪駆動も含めた三輪駆動に切り換えて発進する。
【0011】
この様に、油濡路面における発進時では殆ど常時スリップを発生する為、第三の従来技術の様な発進時のスリップ検出を待ってからの前輪駆動への切り換え制御は、実用上、必要なくなり、むしろ、前述したタイムラグがある分、第二の従来技術による方が適している。しかし、第二、第三の従来技術では、この様な路面状態等に合わせて適宜、制御方法を切り換える事が出来なかった。
【0012】
又、第二、第三の従来技術においては、発進時、即ち三輪駆動時のアクセル操作で調節可能な(前輪用モータと後輪用モータに印加する電圧を公知のチョッパ制御により決定する為の)目標デューティ比の上限値を、発進時以外、即ち一輪駆動時のそれより低く設定してある。
【0013】
同様に、発進時、即ち三輪駆動時のアクセル操作で、前輪用モータと後輪用モータに流れる電流の制限値を、発進時以外、即ち一輪駆動時のそれより、一定のアクセル操作量以下においては高く、一定のアクセル操作量以上では低く設定している。
【0014】
これらの設定を行うのは、以下の理由による。
即ち、前者の設定においては、三輪駆動時の必要以上のアクセル操作により駆動力過多でスリップが発生するのを防止する。後者の設定においては、一定電圧以下では、電流が3つの駆動モータに分流されるので、一つの駆動モータにのみ電流が流れる一輪駆動時と比べ駆動力が不足するのを防止し、一定電圧以上では、駆動力過多によるスリップが発生するのを防止する。
【0015】
そして、三輪駆動時のこれらの設定は、前述したリーチ式フォークリフトの最もスリップが発生し易い条件である、フォークに荷を積載し且つ、フォークを前方にリーチさせた時にも有効に機能する様に予め調整してある。
【0016】
ところが、路面状態が本来スリップの発生しにくい高μ路面(高摩擦係数の路面を意味する。以降、同じ。)である場合や、低μ路面であっても、凍結路面で荷を積載していない場合等では、前述した一輪駆動時と同じ設定であっても、スリップを発生する事無く発進する事が可能である。それにも係わらず、前述した設定に従って制御が成されると、かえって運転者の望む十分な加速や駆動力が得られないと言う問題点があった。
【0017】
勿論、スリップの発生を検出してから三輪駆動に切り換えて発進する第三の従来技術であれば問題は無いが、スリップを検出する事無く発進時に必ず三輪駆動に切り替わる第二の従来技術では、三輪駆動時に必ずしもスリップが発生しているとは限らず、もしスリップの発生しにくい路面において使用する場合には、作業上、重大な支障を来す事があった。
【0018】
本発明は、以上に述べた様な問題点を解決するものであり、種々の路面状態や荷の積載状態に応じた最適な制御を可能にし、常時リーチ式フォークリフトの確実且つスムーズな発進を容易にした、低コストで高性能なリーチ式フォークリフトの駆動制御装置を提供する事を目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する為に請求項1記載のリーチ式フォークリフトの駆動制御装置では、車両前方の左右両側に設けられたレグと、該レグに設けられた前輪と、該前輪を駆動する前輪用モータと、該車両の下部に設けられた駆動輪である後輪と、該後輪を駆動する後輪用モータと、該後輪を操舵する操舵装置とから成るリーチ式フォークリフトの駆動制御装置において、
【0020】
該前輪用モータを作動させる電流供給経路を開閉する手段と、車両速度を検出する手段と、車両速度を検出する該手段により検出した速度が、予め設けた車両速度のしきい値を越えたか否かを判別する手段と、しきい値を越えたか否かを判別する該手段により車両速度が停止状態から一度も該しきい値を越えていないと判断した時に、前輪用モータを作動させる電流供給経路を開閉する該手段により電流供給経路を開き前輪を駆動可能とする一方、車両速度が停止状態から一度でも該しきい値を越えたと判断した時には、前輪用モータを作動させる電流供給経路を開閉する該手段により電流供給経路を閉じ、前輪を駆動不能な従動輪とする第一の処理手段と、
【0021】
該前輪用モータと該後輪用モータに印加する電圧を調節する手段と、電圧を調節する該手段により調節可能な電圧の上限値を電流供給経路を開閉する該手段による電流供給経路の開閉に係わらず同一値にする手段とを有する様にしている。
【0022】
請求項2記載のリーチ式フォークリフトの駆動制御装置では、車両前方の左右両側に設けられたレグと、該レグに設けられた前輪と、該前輪を駆動する前輪用モータと、該車両の下部に設けられた後輪と、該後輪を駆動する後輪用モータと、該後輪を操舵する操舵装置とから成るリーチ式フォークリフトの駆動制御装置において、
【0023】
該前輪用モータを作動させる電流供給経路を開閉する手段と、車両速度を検出する手段と、車両速度を検出する該手段により検出した速度が、予め設けた車両速度のしきい値を越えたか否かを判別する手段と、しきい値を越えたか否かを判別する該手段により車両速度が停止状態から一度も該しきい値を越えていないと判断した時に、前輪用モータを作動させる電流供給経路を開閉する該手段により電流供給経路を開き前輪を駆動可能とする一方、車両速度が停止状態から一度でも該しきい値を越えたと判断した時には、前輪用モータを作動させる電流供給経路を開閉する該手段により電流供給経路を閉じ、前輪を駆動不能な従動輪とする第一の処理手段と、
【0024】
該前輪用モータと該後輪用モータに印加する電圧を調節する手段と、前輪用モータを作動させる電流供給経路を開閉する該手段により電流供給経路を閉じ前輪が駆動不能な従動輪となっている時に、該後輪用モータに流れる電流を検出する手段と、電流供給経路を開閉する該手段により電流供給経路を開き、前輪が駆動可能となっている時に、該前輪用モータと該後輪用モータの両方に流れる電流を検出する手段と、後輪用モータに流れる電流を検出する該手段により検出した電流が予め設けられた第一のしきい値を越えたか否かを判別する手段と、
【0025】
電流が予め設けられた第一のしきい値を越えたか否かを判別する該手段により越えたと判断した時には、該第一のしきい値を下回るまで電流を停止する手段と、前輪用モータと後輪用モータの両方に流れる電流を検出する該手段により検出した電流が、予め設けられた第二のしきい値を越えたか否かを判別する手段と、電流が予め設けられた該第二のしきい値を越えたと判断した時には、該第二のしきい値を下回るまで電流を停止する手段と、該第一のしきい値を該第二のしきい値より低くする手段とを有する様にしている。
【0026】
請求項3記載のリーチ式フォークリフトの駆動制御装置では、車両前方の左右両側に設けられたレグと、該レグに設けられた前輪と、該前輪を駆動する前輪用モータと、該車両の下部に設けられた後輪と、該後輪を駆動する後輪用モータと、該後輪を操舵する操舵装置とから成るリーチ式フォークリフトの駆動制御装置において、
【0027】
該前輪用モータを作動させる電流供給経路を開閉する手段と、車両速度を検出する手段と、車両速度を検出する該手段により検出した速度が、予め設けた車両速度のしきい値を越えたか否かを判別する手段と、しきい値を越えたか否かを判別する該手段により車両速度が停止状態から一度も該しきい値を越えていないと判断した時に、前輪用モータを作動させる電流供給経路を開閉する該手段により電流供給経路を開き前輪を駆動可能とする一方、車両速度が停止状態から一度でも該しきい値を越えたと判断した時には、前輪用モータを作動させる電流供給経路を開閉する該手段により電流供給経路を閉じ、前輪を駆動不能な従動輪とする第一の処理手段と、
【0028】
該前輪用モータと該後輪用モータに印加する電圧を調節する手段と、電流供給経路を開閉する該手段による電流供給経路の開閉に係わらず、電圧を調節する該手段により調節される電圧に到達するまでの電圧の増加率を調節する手段とを有する様にしている。
【0029】
請求項4記載のリーチ式フォークリフトの駆動制御装置では、スリップを検出する手段と、車両速度がしきい値を越えたか否かを判別する前記手段により車両速度が停止状態から一度も該しきい値を越えていないと判断した時、且つスリップを検出する該手段によりスリップ発生と判断した時にのみ、前輪用モータを作動させる電流供給経路を開閉する前記手段により電流供給経路を開き前輪を駆動可能とする一方、それ以外の時には、前輪用モータを作動させる電流供給経路を開閉する該手段により電流供給経路を閉じ、前輪を駆動不能な従動輪とする第二の処理手段と、
【0030】
車両速度がしきい値を越えたか否かを判別する該手段により車両速度が停止状態から一度も該しきい値を越えていないと判断した時に、前輪用モータを作動させる電流供給経路を開閉する該手段により電流供給経路を開き前輪を駆動可能とする一方、車両速度が停止状態から一度でも該しきい値を越えたと判断した時には、前輪用モータを作動させる電流供給経路を開閉する該手段により電流供給経路を閉じ、前輪を駆動不能な従動輪とする前記第一の処理手段と該第二の処理手段の両処理手段の内の何れか一方を選択する手段と、選択する該手段により選択された処理手段のみを作動させると同時に、他方の処理手段を作動不能にする手段とを有する様にしている。
【0031】
【作用】
請求項1記載のリーチ式フォークリフトの駆動制御装置によれば、リーチ式フォークリフトの車両速度が、停止状態から一度も車両速度のしきい値を越えていない時には前輪を駆動可能とする一方、停止状態から一度でも車両速度のしきい値を上回った時には前輪を駆動不能な従動輪とする。そして、前輪の駆動可能、不能に係わらず、モータに印加する電圧の調節可能な上限値は同じである。
【0032】
請求項2記載のリーチ式フォークリフトの駆動制御装置によれば、リーチ式フォークリフトの車両速度が、停止状態から一度も車両速度のしきい値を越えていない時には前輪を駆動可能とする一方、停止状態から一度でも車両速度のしきい値を上回った時には前輪を駆動不能な従動輪とする。そして、前輪が駆動可能な時にモータに流れる電流の最大値は、前輪が駆動不能な従動輪の時にモータに流れる電流の最大値よりも大きい。
【0033】
請求項3記載のリーチ式フォークリフトの駆動制御装置によれば、リーチ式フォークリフトの車両速度が、停止状態から一度も車両速度のしきい値を越えていない時には前輪を駆動可能とする一方、停止状態から一度でも車両速度のしきい値を上回った時には前輪を駆動不能な従動輪とする。そして、前輪の駆動可能、不能に係わらず、調節される電圧に到達するまでの増加率を調節できる。
【0034】
請求項4記載のリーチ式フォークリフトの駆動制御装置によれば、リーチ式フォークリフトの車両速度が、停止状態から一度も車両速度のしきい値を越えていない時、且つスリップを発生した時に前輪を駆動可能とし、それ以外の時は前輪を駆動不能な従動輪とする制御と、リーチ式フォークリフトの車両速度が、停止状態から一度も車両速度のしきい値を越えていない時に前輪を駆動可能とする一方、停止状態から一度でも車両速度のしきい値を越えた時の前輪を駆動不能な従動輪とする制御の何れか一方を選択できる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図を参照しながら説明する。
図1〜図3に示す様に、リーチ式フォークリフトにおける車両1の前面側には、左右一対のレグ2L,2Rが延出して設けられ、そのレグ2L,2Rの間に前後方向に移動可能なマストMが配設されている。そして、マストMの前面側には左右一対のフォークFが設けられ、このフォークFはマストMに沿って上下に昇降する様になっている。
【0036】
前記レグ2L,2Rの後端外側には、各々左右前輪用モータ5L,5Rが設けられている。又、該レグ2L,2Rの前端外側には、各々、左右ギアボックス3L,3Rを介して前記左右前輪用モータ5L,5Rから駆動伝達可能に接続された左右前輪4L,4Rが、回動可能に配設されている。
【0037】
図2に示す様に、車両1の下部左側には操舵輪と駆動輪を兼ねる後輪7が設けられ、同じく右側にはキャスタホイール8が配設されている。又、図3に示す様に、車両1の内部には前記後輪7を回転駆動する後輪用モータ9が配設されている。図3及び図4に示す様に、前記後輪用モータ9の回転軸17には、リブ19が一定間隔で設けられたブレーキディスク16が貫設され、更に該リブ19の外面に極僅かな一定間隔を保つ様に、例えば磁気式サイン波ジェネレータである後輪回転速度センサ6が設けられている。
【0038】
前記後輪回転速度センサ6は、前記回転軸17と一体で回転する前記ブレーキディスク16の前記リブ19が通り過ぎる度に発生する磁束変化を捕らえ、サイン波電圧に変換し、前記後輪7の回転速度Rとして後述するコントローラ23に出力する。従って、回転速度を間接的に表す信号が得られれば、前記後輪回転速度センサ6は磁気式サイン波ジェネレータには限定はされず、例えばパルス電圧を発生する磁気式パルスジェネレータであっても良いし、或いはエンコーダの様なタイプであっても良い。
【0039】
該後輪用モータ9からは、ドライブユニット20を介して駆動力が前記後輪7に伝達される。更に、前記ドライブユニット20の上端には、ドライブユニットギア10が水平に固定され、該ドライブユニット20、前記後輪用モータ9、及び前記後輪7が、該後輪7の操舵方向に一体回動可能になっている。
【0040】
ステアリングシャフト18の先端にはステアリングギア21が、前記ドライブユニットギア10と噛み合い可能に設けられている。又、前記ドライブユニットギア10には、操舵角センサ11の検出ギア11aが、噛み合い可能に設けられている。
【0041】
前記後輪7は、前記車両1の運転席Wに設けられたハンドルHの回転量に基づいて図示しない操舵用モータが駆動され、前記ステアリングシャフト18を回転させ、前記ステアリングギア21、及び前記ドライブユニットギア10を介して操舵される様になっている。そして、その時の操舵角θが前記操舵角センサ11により検出され、後述するコントローラ23へ出力される。
【0042】
図3に示す様に、前記車両1の前記運転席Wには走行操作手段としてのアクセルレバー12が設けられている。又、前記アクセルレバー12にはポテンショメータ13が設けられ、該アクセルレバー12の操作量Sを検出し、後述するコントローラ23へ出力する。更に、アクセルレバー12には、操作方向スイッチ14が設けられ、該アクセルレバー12の操作方向を検出し、車両1の進行方向Dとして後述するコントローラ23へ出力する。
【0043】
同じく、前記運転席Wには、後に詳述するが、前記左右前輪4L,4Rを駆動可能、駆動不能に切り換える時期として、車両速度しきい値のみを判断材料に用いる所謂マニュアルと、車両速度しきい値とスリップの有無の両方を判断材料に用いる所謂オートとを選択可能な切換装置15が設けられている。そして、その選択内容Eが後述するコントローラ23へ出力される。
【0044】
車両1の内部には、前記左右前輪用モータ5L,5R、及び前記後輪用モータ9を駆動制御する為の駆動制御装置20が設けられている。
次に、前記駆動制御装置20の電気的構成について以下に述べる。
【0045】
図1に示す様に、前記駆動制御装置20は、後輪駆動回路部21、前輪駆動回路部22、及びコントローラ23とから構成され、これらは直流電源としてのバッテリ24に接続されている。
【0046】
後輪駆動回路部21は後輪用モータ9の駆動が成される回路であって、該後輪用モータ9は一方の端子側が回生用コンタクタ25を介して、他方の端子側がスイッチング素子としてのメイントランジスタ28等を介し、各々バッテリ24の−側と+側に接続されている。
【0047】
界磁巻線9bには、後輪前進用コンタクタ26、及び後輪後進用コンタクタ27が接続されている。そして、両コンタクタ26,27の相補的な切り替え動作により、界磁巻線9bに流れる磁界電流の方向が変化し、前記後輪用モータ9が正逆転される様になっている。
【0048】
前記メイントランジスタ28はそのコレクタ端子が前記後輪前進用コンタクタ26、及び前記後輪後進用コンタクタ27に接続され、エミッタ端子が前記バッテリ24の−側に接続されている。従って、前記メイントランジスタ28は後輪用モータ9に対して直列に接続されている。
【0049】
そして、そのベース端子には、前記コントーラ23からの公知のチョッパ信号が入力される。尚、前記メイントランジスタ28は、バイポーラトランジスタ、SIT、或いはFET等の何れのタイプであっても良い。但し、SIT、或いはFETの場合には、前記コレクタ端子はドレイン端子に、前記エミッタ端子はソース端子に、前記ベース端子はゲート端子に変わる。
【0050】
フライホイールダイオード29は、そのアノードが界磁巻線9bの後輪前進用コンタクタ26側に接続され、カソードがバッテリ24の+側に接続されている。又、フライホイールダイオード30は、そのアノードが界磁巻線9bの後輪後進用コンタクタ27側に接続され、カソードがバッテリ24の+側に接続されている。
【0051】
全電流センサ31は、後輪用モータ9と回生用コンタクタ25との間に接続され、バッテリ24から供給される全電流Itを検出して、前記コントローラ23に出力する様になっている。
【0052】
尚、前記全電流センサ31で検出される前記全電流Itは、左右前輪モータ用コンタクタ41,40がオンし、左右前輪4L,4Rが駆動可能となっている場合には、前記左右前輪用モータ5L,5R、及び前記後輪用モータ9の両方に流れる電流を意味するが、該両コンタクタ40,41がオフし、左右前輪4L,4Rが駆動不能となっている場合には、後輪用モータ9にのみ流れる電流を意味する事になる。
【0053】
即ち、前記全電流センサ31は、左右前輪4L,4Rが駆動可能となっている場合には、左右前輪用モータ5L,5R、及び前輪用モータ9の両方に流れる全電流を検出するセンサとして機能し、左右前輪4L,4Rが駆動不能となっている場合には、後輪用モータ9に流れる電流を検出するセンサとして機能する。
【0054】
回生用トランジスタ32は、そのコレクタがバッテリ24の+端子に接続され、エミッタが回生用抵抗33を介して電機子9aの後輪前進用コンタクタ26、及び後輪後進用コンタクタ27側に各々接続されている。
【0055】
回生用ダイオード34は、そのカソードが回生用コンタクタ25の電機子9a側に接続され、アノードがバッテリ24の−側に接続されている。
公知のスナバ回路36は、メイントランジスタ28のコレクタ・エミッタ間に並列に接続されている。
【0056】
前輪駆動回路部22は、左右前輪用モータ5L,5Rの駆動が成される回路であって、右前輪用モータ5R、及び左前輪用モータ5Lはマグネット型直流モータであり、各々電機子5La,5Ra、及び界磁マグネット5Lb,5Rbから構成されている。前記右前輪用モータ5Rは開閉手段としての右モータ用コンタクタ40と直列に接続され、前記左前輪用モータ5Lは同じく開閉手段としての左モータ用コンタクタ41と直列に接続されている。
【0057】
又、前記右モータ用コンタクタ40と前記右前輪用モータ5R、及び前記左モータ用コンタクタ41と左前輪用モータ5Lは並列に接続されている。左右前輪用モータ5L,5Rへの電気エネルギー供給経路を開閉する手段である前記両コンタクタ40,41は、コントローラ23からの制御信号を受けてオン・オフ制御され、左右前輪4L,4Rの駆動・非駆動が切り替えられる。
【0058】
更に、この両端には前輪前進用コンタクタ42、及び前輪後進用コンタクタ43が接続されている。そして、両コンタクタ42,43の相補的な切り替え動作により、電機子5La,5Raに流れる電流の方向が変化し、右前輪用モータ5R、及び左前輪用モータ5Lが正逆転する様になっている。
【0059】
そして、右前輪用モータ5R、及び左前輪用モータ5Lは、前輪前進用コンタクタ42、及び前輪後進用コンタクタ43を介して一端が前記電機子9aの全電流センサ31側に接続され、他端が前記メイントランジスタ28のコレクタ側に接続されている。従って、後輪用モータ9、右前輪用モータ5R、及び左前輪用モータ5Lは、バッテリ24に対して並列に接続されている。
【0060】
前輪電流センサ46は、前輪前進用コンタクタ42、前輪後進用コンタクタ43間と、電機子9aの回生用コンタクタ25側との間に接続されている。前輪電流センサ46は、左右前輪用モータ5L,5Rに供給される前輪電流Ifを検出して前記コントローラ23に出力する様になっている。
【0061】
フライホイールダイオード44は、そのアノードが右前輪用モータ5R、及び左前輪用モータ5Lの前輪前進用コンタクタ42側に接続され、カソードが前記電機子9aの回生用コンタクタ25側に接続されている。又、フライホイールダイオード45は、そのアノードが右前輪モータ用コンタクタ40、及び左前輪モータ用コンタクタ41の前輪後進用コンタクタ43側に接続され、カソードが前記電機子9aの回生用コンタクタ25側に接続されている。
【0062】
又、コントローラ23は、バッテリ24の+・−の各端子間に接続されている。
前記コントローラ23の電気的構成を、図6を用いて以降に示す。
【0063】
コントローラ23は、制御部(以降CPUという)50、及び記憶部51を有している。記憶部51には、CPU50を作動させる為の制御プログラムが記憶されている。この制御プログラムは、操作量S、操舵角θ、進行方向D、回転速度R、選択内容E、全電流It、及び前輪電流Ifに基づいて、前記各コンタクタ25,26,27,40,41,42,43の開閉を指示するプログラムを有している。又、回生用トンジスタ32のオン・オフを指示する為のプログラムを有している。更に、操作量Sに基づいてメイントランジスタ28を駆動するチョッパ信号を生成する為のプログラムを有している。
【0064】
記憶部51には、図7,8に示す、ポテンショメータ13が検出したアクセルレバー12の操作量Sに対するチョッパ信号の目標デューティ比、即ち、各駆動モータに印加される電圧を決定する(公知のチョッパ制御により、目標デューティ比から電圧が決定される)為のマップが記憶されている。
【0065】
前記切換装置15がオートに選択されている場合、両マップの内、図8のマップは、後述する、フォークリフトの発進時で且つスリップ検出時(以降、スリップ発進モードと呼ぶ)、即ち左右前輪4L,4R、及び後輪7が共に駆動される時(後述するスイッチバック時を除く;以降同じ)における、前記操作量Sと目標デューティ比M1の相関関係を表している。
【0066】
同様に、図7のマップは、後述する、発進時でスリップ非検出時、及び発進終了後(以降、標準Aモードと呼ぶ)、即ち後輪7のみが駆動される時における、前記操作量Sと目標デューティ比M2の相関関係を表している。そして、前記回転速度R及び全電流Itに基づいて、後に詳述する制御プログラムにより、前記両モードの何れかが判別され、各々に対応するこの二つのマップが使い分けられる。
【0067】
一方、前記切換装置15がマニュアルに選択されている場合、図7のマップは、後述する、フォークリフトの発進時(以降、発進モードと呼ぶ)、即ち左右前輪4L,4R、及び後輪7が共に駆動される時と、後述する発進終了後(以降、標準Mモードと呼ぶ)、即ち後輪7のみが駆動される時とを問わず、前記操作量Sと目標デューティ比M2の相関関係を表している。又、図8のマップは使用されない。
【0068】
図8に示すスリップ発進モードのマップでは、操作量Sで調節可能な目標デューティ比M1の上限値が、図7に示す標準Aモード(即ち、標準Mモード、及び発進モードでもある;以降、記載を省略)での同様の目標デューティ比M2の上限値に較べて低く設定されている。又、前記両マップにおいて、前記上限値に達するまでの同じ操作量Sに対応する両目標デューティ比M1,M2は同一であるので、スリップ発進モードのマップでは、標準Aモードのマップに較べて目標デューティ比M1に達する操作量Sが小さくなる。
【0069】
又、記憶部51には、図9,図10,図11,図12に示す、左右前輪用モータ5L,5Rと後輪用モータ9に印加される電圧に対する全電流しきい値を決定する為のマップが記憶されている。前記切換装置15により、オートが選択されている時には図9,図10のマップが使用され、マニュアルが選択されている時には図11,図12のマップが使用される。
【0070】
この内、図9のマップは、標準Aモードにおける、後輪用モータ9に印加される電圧と全電流しきい値L4Aとの相関関係を表している。同様に、図10のマップは、スリップ発進モードにおける、左右前輪用モータ5L,5R、及び後輪用モータ9に印加される電圧と全電流しきい値L6Aとの相関関係を表している。そして、前記回転速度R及び全電流Itに基づいて、後に詳述する制御プログラムにより、前記両モードの何れかが判別され、各々に対応するこの二つのマップが使い分けられる。
【0071】
尚、図9の標準Aモードにおけるマップの前記電圧と、図10のスリップ発進モードにおけるマップの前記電圧とが同一時に、両該電圧が一定電圧(2V弱)以下ではスリップ発進モードのマップに従う前記全電流しきい値L6Aの値は、同じく標準Aモードのマップに従う前記全電流しきい値L4Aの値より高い。一方、前記一定電圧以上では、その逆になる。これは、後に詳述するが、スリップ発進モードにおいて、前記一定電圧以下では十分な駆動力を確保し、前記一定電圧以上では駆動力過多によるスリップ発生を防止する為である。
【0072】
又、図11のマップは、標準Mモードにおける、後輪用モータ9に印加される電圧と第一のしきい値である全電流しきい値L4Mの相関関係を表している。同様に、図12のマップは、前記発進モードにおける、左右前輪用モータ5L,5R、及び後輪用モータ9に印加される電圧と第二のしきい値である全電流しきい値L6Mの相関関係を表している。そして、前記回転速度Rに基づいて、後に詳述する制御プログラムにより、前記両モードの何れかが判別され、各々に対応するこの二つのマップが使い分けられる。
【0073】
尚、図11の標準Mモードにおけるマップの前記電圧と、図12の発進モードにおけるマップの前記電圧とが同一時には、前記全電流しきい値L4Mが前記全電流しきい値L6Mより低い。これは、後に詳述するが、本来スリップの発生し得ない高μ路面等の路面状態での発進時に、運転者の望む必要且つ十分な加速と駆動力を得る為である。
【0074】
CPU50には、前記ポテンショメータ13が検出したアクセルレバー12の操作量SがA/D変換機52を介して入力される。同様に、CPU50には、前記操作方向スイッチ14の進行方向Dが入力される。同様に、CPU50には、前記操舵角センサ11が検出した操舵角θがA/D変換機53を介して入力される。同様に、CPU50には、前記後輪回転速度センサ6が検出した回転速度Rがフィルター54を介して入力される。同様に、CPU50には、前記切換装置15による選択内容Eが入力される。
【0075】
又、CPU50は、前記回転速度Rに基づいてその時の車両速度を算出し、車両が発進時か否かを判別する。前記車両速度がゼロ(停止した状態)から、予め定め記憶部51に記憶された車両速度のしきい値である発進終了車速L7に到達するまでの間を発進時と見なし、それ以外の時は走行時と見なす。即ち、車両速度が該発進終了車速L7以上の時は勿論、該発進終了車速L7以下であっても、一度該発進終了車速L7をこえてから再度下回った場合は、完全に停止してから再度発進しない限りは走行時と見なす。
【0076】
更に、CPU50は、前記車両速度を基に、予め設定された一定時間内での車両速度変化率を算出する。
CPU50には、前記前輪電流センサ46が検出した前輪電流Ifがノイズ除去用のフィルタ61、及びA/D変換器62を介して入力される。尚、前輪電流Ifは、フィルタ61を介して比較器63にも入力される。比較器63は、この前輪電流Ifと前輪過電流制限値設定回路(以降、前輪OCL設定回路と呼ぶ)64で設定した過電流制限値(以降、前輪OCL値と呼ぶ)とを比較する。
【0077】
前輪OCL値は、マグネット型モータである左右前輪用モータ5L,5Rのマグネットが減磁されない為の最大許容電流であって、予め試験又は計算で求め設定したものである。そして、前輪OCL設定回路64には、左右前輪用モータ5L,5Rの何れか一方が駆動している時の前輪OCL値L5Sと、左右前輪用モータ5L,5Rが両方駆動している時の前輪OCL値L5Wの二種類が設定されている。
【0078】
前輪OCL設定回路64は、左右前輪用モータ5L,5Rの何れか一方が駆動している時には前輪OCL値L5Sを、左右前輪用モー5L,5Rが両方駆動している時には前輪OCL値L5Wを比較器63に出力する様になっている。そして、比較器63は、前輪電流Ifと前輪OCL値L5S(或いはL5W)とを比較し、前輪駆動電流Ifの方が大きい時、Hレベルの第一の制限信号S1をCPU50に出力する。
【0079】
又、CPU50には、前記全電流センサ31が検出した全電流Itがノイズ除去用のフィルタ65、及びA/D変換器66を介して入力される。尚、全電流Itは、フィルタ65を介して比較器67にも入力される。比較器67は、この全電流Itと前後輪過電流制限値設定回路(以降、前後輪OCL設定回路と呼ぶ)68で設定した過電流制限値(以降、前後輪OCL値と呼ぶ)L3とを比較する。
【0080】
前後輪OCL値L3は、メイントランジスタ28の破壊を防止する為の最大許容電流であって、予め試験又は計算で求め設定したものである。前後輪OCL設定回路68は、前後輪OCL値L3を比較器67に出力する様になっている。そして、比較器67は、全電流Itと前後輪OCL値L3とを比較し、全電流Itの方が大きい時、Hレベルの第二の制限信号S2をCPU50に出力する。
【0081】
記憶部51には、図13に示すマップが記憶されている。このマップは、標準Aモード、即ち前記切換装置15がオートに選択され、且つ前記両コンタクタ40,41がオフされ、後輪7のみが駆動される時における、前記操作量Sと全電流しきい値L2との相関関係を表している。又、記憶部51には、車両速度変化率しきい値L1が記憶されている。
【0082】
CPU50は、算出した車両速度から発進時と判断した時、全電流Itが前記全電流しきい値L2を下回り、且つ算出した車両速度変化率が前記車両速度変化率しきい値L1を越えたと判断した時に、スリップ発生を決定する。
【0083】
記憶部51には、図14に示す、図7のマップに従って決定される操作量Sに対応する目標デューティ比M2に到達するまでの増加率を決定するデューティ比の経時増加パターンが少なくとも2種類以上(図14では8種類)設定されたマップが記憶されている。使用されるデューティ比の経時増加パターンは、運転席Wに設けられた図示しない選択手段により、二種類以上の前記デューティ比の経時増加パターンの中から、状況に適した一つが予め作業者により選択される。
【0084】
CPU50は、前記切換装置15がオートに選択されている場合、算出した車両速度から発進時と判断した時、且つスリップ発生していないと判断した時にのみ、予め選択された図14のマップ中のデューティ比の経時増加パターンに従って、目標デューティ比M2に対する割合を100%、即ち目標デューティ比M2まで増加させる制御信号を出力する。
【0085】
又、CPU50は、前記切換装置15がマニュアルに選択されている場合、発進モードと判断した時にのみ、予め選択された図14のマップ中のデューティ比の経時増加パターンに従って、目標デューティ比M2に対する割合を100%、即ち目標デューティ比M2まで増加させる制御信号を出力する。
【0086】
又、記憶部51には、図15に示す、図8のマップに従って決定される操作量Sに対応する目標デューティ比M1に到達するまでの増加率を決定するデューティ比の経時増加パターンが設定されたマップが、図14の前記マップとは別に記憶されている。CPU50は、前記切換装置15がオートに選択されている場合、算出した車両速度から発進時と判断した時、且つスリップ発生と判断した時、即ちスリップ発進モードでのみ、図14のマップに優先して、図15のマップ中のデューティ比経時増加パターンに従って、目標デューティ比M1に対する割合を100%、即ち目標デューティ比M1まで増加させる。
【0087】
尚、同一時間経過後での図15のマップの経時増加パターンに従った目標デューティM1に対する割合は、図14のマップに従った最も低い経時増加パターンの目標デューティM2に対する割合以下である。
【0088】
CPU50は、後輪前進用及び後輪後進用コンタクタ26,27、前輪前進用及び前輪後進用コンタクタ42,43、右前輪及び左前輪モータ用コンタクタ40,41、及び回生用コンタクタ25をオン・オフする為の図示しない励磁コイルを駆動する為の駆動信号を各々のコイル駆動回路69a〜69gに出力する。以降にその内容を詳述する。
【0089】
前記切換装置15がオートに選択されている場合、CPU50は、スリップ発進モードと判断した時に、前記両コンタクタ41,40をオンする為の駆動信号を、コイル駆動回路69e,69fに出力する。一方、それ以外の時、即ち標準Aモードと判断した時には、オフする為の駆動信号を同様に出力する。前記駆動信号を受けて、コイル駆動回路69e,69fは、前記両コンタクタ40,41をオン・オフする。即ち、左右前輪4L,4Rは、前者の時には駆動可能となり、後者の時には駆動不能な従動輪となる。
【0090】
ところで、発進時とは、前述した様に、車両速度がゼロから前記発進終了車速L7に到達するまでの間である。よって、CPU50が、スリップ発進モード、即ち発進時、且つスリップ発生と判断した時、左右前輪4L,4Rが駆動可能となった後、車両速度が上昇して前記発進終了車速L7以上となると、左右前輪4L,4Rは駆動不能に切り替わる。その後、車両速度が減速し、再び前記発進終了速度L7を下回る事があっても、完全に停止してから再度発進しない限りは、発進時とは見なさず、従って再び左右前輪4L,4Rが駆動可能に切り替わる事は無い。
【0091】
又、コントローラ23は、スリップ発進モードと判断した直後から、前記両コンタクタ40,41が実際にオン状態に至るまでの所謂ディレイ時間の間、チョッパ信号のメイントランジスタ28への出力を遮断し、電源供給を停止する。具体的には、CPU50から後述するアンド回路70へのチョッパ信号の出力を停止する事による。
【0092】
更に、CPU50は、チョッパ信号の出力を停止後、記憶部51に記憶され、予め実験・計算により求められた一定時間を経過させてから、前述した、図8及び図15に示したマップに従ってチョッパ信号の出力を再開する。
【0093】
一方、前記切換装置15がマニュアルに選択されている場合、CPU50は、発進モードと判断した時に、前記両コンタクタ41,40をオンする為の駆動信号を、コイル駆動回路69e,69fに出力する。一方、それ以外の時、即ち標準Mモードと判断した時には、オフする為の駆動信号を同様に出力する。前記駆動信号を受けて、コイル駆動回路69e,69fは、前記両コンタクタ40,41をオン・オフする。即ち、左右前輪4L,4Rは、前者の時には駆動可能となり、後者の時には駆動不能な従動輪となる。
【0094】
ところで、発進時とは、前述した様に、車両速度がゼロから前記発進終了車速L7に到達するまでの間である。よって、CPU50が、発進モード、即ち発進時と判断した時、左右前輪4L,4Rが駆動可能となった後、車両速度が上昇して前記発進終了車速L7以上となると、左右前輪4L,4Rは駆動不能な従動輪に切り替わる。その後、車両速度が減速し、再び前記発進終了速度L7を下回る事があっても、完全に停止してから再度発進しない限りは、発進時とは見なさず、従って再び左右前輪4L,4Rが駆動可能に切り替わる事は無い。
【0095】
CPU50は、左右前輪モータ用コンタクタ41,40をオン・オフさせる為にコイル駆動回路69e,69fに出力する駆動信号を前記前輪OCL設定回路64に出力する。そして、前輪OCL設定回路64はこの両駆動信号の有無によって、前輪OCL値L5S,L5Wの何れか一方を比較器63に出力する様になっている。即ち、前輪OCL設定回路64は両コンタクタ40,41がオンされる場合には前輪OCL値L5Wを、何れか一方のみがオンされる場合には前輪OCL値L5Sを出力する。
【0096】
CPU50は、前記した標準Aモード、標準Mモード、或いは発進モードの三つのモードにおいては、図7に示すマップに従って、アクセルレバー12の操作量Sに対する目標デューティ比M2のチョッパ信号をアンド回路70を介して前記メイントランジスタ28のベース端子に出力する様になっている。又、CPU50は、前記したスリップ発進モードにおいては、図8に示すマップに従って、アクセルレバー12の操作量に対する目標デューティ比M1のチョッパ信号をアンド回路70を介して前記メイントランジスタ28のベース端子に出力する様になっている。
【0097】
又、CPU50は、車両1が前記スリップ発進モード或いは前記発進モードと判断した時に、操舵角センサ11が検出した操舵角θに基づいて左右前輪モータ用コンタクタ41,40をオン・オフ制御する。即ち、車両1が右旋回し、操舵角θが左に33°以上の右旋回となった時、CPU50は右前輪モータ用コンタクタ40をオフさせる為の信号をコイル駆動回路69eに出力する様になっている。そして、CPU50は、右前輪用モータ5Rの電源を遮断しフリー状態にして、右前輪4Rが従動輪となる様にする。
【0098】
同様に、車両1が左旋回し、操舵角θが右に40°以上の左旋回となった時、CPU50は左前輪モータ用コンタクタ41をオフさせる為の信号をコイル駆動回路69fに出力する様になっている。そして、CPU50は左前輪用モータ5Lの電源を遮断しフリー状態にして、左前輪4Lが従動輪となる様にする。
【0099】
この発進時における旋回の制御は、右旋回では内輪となる右前輪4Rが外輪となる左前輪4Lより旋回速度が遅くなり、左旋回では逆に内輪となる左前輪4Lが外輪となる右前輪4Rより旋回速度が遅くなる。その結果、旋回速度が小さい内輪側のモータは電機子電流が増大し、旋回速度が大きい外輪側のモータは電機子電流が減少する。そこで、本実施例では内輪側のモータの電機子電流が許容電流を超えない様にすると共に、外輪側のモータの電機子電流が減少し駆動能力の低下を防止する様にしている。
【0100】
本実施例では、予め試験して右前輪4Rと左前輪4Lの旋回速度比が60%以下になった時、内輪側のモータの電源を遮断する様にしている。即ち、旋回速度比が60%以下となる操舵角θは、右旋回の場合には左に33°以上、左旋回の場合には右に40°以上である。尚、右旋回時と左旋回時とでその操舵角が相違するのは、図2に示す様に後輪7が車両1に対して左側に偏在している為、右旋回と左旋回の各場合における、右前輪4Rの旋回半径と左前輪4Lの旋回半径が、各々違っているからである。
【0101】
尚、前述した操舵角センサ11で検出した操舵角θに基づく一連の制御は、前記スリップ発進モード及び前記発進モードでのみ成され、前記標準Aモード及び前記標準Mモードでは行われない。即ち、標準Aモード及び標準Mモードにおいては、前述した、両コンタクタ40,41がオフされ、左右前輪4L,4Rが駆動不能に維持される制御が優先される。
【0102】
一方、スリップ発進モード及び発進モードにおいては、逆に前述した操舵角センサ11で検出した操舵角θに基づく制御が優先される。よって、スリップ発進モード及び発進モードにおいては、操舵角θが左に33°未満、或いは右に40°未満の時には、左右前輪4L,4Rの両方が駆動可能となるが、操舵角θが左に33°以上、或いは右に40°以上の時には、操舵角センサ11で検出した操舵角θに基づく制御に従って、左右前輪4L,4Rの一方のみが駆動可能となり、他方は従動輪となる。
【0103】
車両1が前進駆動している場合において、アクセルレバー12を前進方向から中立位置を介して後進方向に操作すると、CPU50はスイッチバック操作と判断する。この時、CPU50は後輪前進用及び後輪後進用コンタクタ26,27を後輪用モータ9が後進駆動される向きに切り替える。尚、後進駆動している場合においても同様であり、アクセルレバー12を後進方向から中立位置を介して前進方向に操作しても、CPU50はスイッチバック操作と判断する。
【0104】
スイッチバック操作が行われると、CPU50は、右前輪及び左前輪モータ用コンタクタ40,41がオン、即ちスリップ発進モード及び発進モードの時には、該両コンタクタ40,41をオフし、一方該両コンタクタ40,41がオフ、即ち標準Aモード及び標準Mモードの時には、該両コンタクタ40,41をそのままオフの状態に維持する。つまり、CPU50は、スイッチバック操作と判断した時には、モードの如何を問わず、前記両コンタクタ40,41をオフにする。
【0105】
同時にCPU50は、その時の車両速度が回生制動可能な速度にあるか否かを判断する。尚、回生制動可能な車両速度は、予め試験・実験等で求めたものである。そして、今の車両速度が回生制動可能な速度内にある時、CPU50は回生用コンタクタ25をオフし、回生制動を行わせる。
【0106】
CPU50は、メイントランジスタ28及び回生用トランジスタ32をオンさせて公知の予備励磁を行い、予備励磁が終了するとメイントランジスタ28及び回生用トランジスタ32をオフさせる。CPU50はこの予備励磁に基づいて回生電流を発生させる様になっている。
【0107】
この回生電流は全電流センサ31にて検出され、その回生電流値はCPU50に出力される。そして、回生電流が予め定めた許容電流値以上になった時、CPU50はメイントランジスタ28をチョッパ制御して回生電流を抑える。この許容電流値は予め記憶部51に図示しないマップとして記憶されている。このマップは、その時のアクセルレバー12のスイッチバック操作における操作量Sに対する回生電流の許容電流値の相関関係を表したものであり、操作量Sに比例して許容電流値が大きくなる様になっている。
【0108】
車両速度が回生制動のできない速度になると、CPU50はプラギング制動に移る。CPU50は、コイル駆動回路69a,69bを介して後輪用モータ9が後進駆動する様に後輪前進用及び後輪後進用コンタクタ26,27を切り替えると共に、コイル駆動回路69c,69dを介して左右前輪用モータ5L,5Rが後進駆動する様に、前輪前進用及び前輪後進用コンタクタ42,43を切り替える。
【0109】
又、CPU50は、コイル駆動回路69gを介して、回生用コンタクタ25をオンする。そして、CPU50は、その時のアクセルレバー12のスイッチバック操作における操作量Sに対するデューティ比でメイントランジスタ28をチョッパ制御する様になっている。即ち、CPU50は、後輪用モータ9を逆転させ、後進駆動してプラギング制動を実行する。尚、スイッチバック操作をした時、回生制動が出来ない車両速度の場合には、CPU50は回生制動を行う事無く、直ちにプラギング制動の為の制御を開始する。
【0110】
ところで、本実施例では、回生制動・プラギング制動の何れの制動時においても、後輪用モータ9のみ作用させているが、これに限定はされず、例えば、両制動時において、左右前輪用モータ5L,5R、後輪用モータ9の両方を作用させても良い。但し、この場合は、右前輪及び左前輪モータ用コンタクタ40,41をオンにする制御が必要となるのは言うまでも無い。
【0111】
尚、回生制動とプラギング制動を共に、左右前輪用モータ5L,5R、後輪用モータ9の両方について作用させれば、制動力は上がるが、回路構成が複雑になるという問題がある。
【0112】
比較器74は状況に応じ、前記A/D変換器66にてデジタル変換された全電流Itと、CPU50から出力される前記した図9に示すマップに基づく全電流しきい値L4A、図10に示すマップに基づくL6A、図11に示すマップに基づくL4M、或いは図12に示すマップに基づくL6Mとを比較する。
【0113】
即ち、スリップ発進モードにおいては、CPU50は図10に示すマップに基づいて、その時の左右前輪用モータ5L,5R、及び後輪用モータ9に印加される電圧に対応する全電流しきい値L6Aを比較器74に出力する。比較器74は全電流Itと前記全電流しきい値L6Aとを比較し、全電流Itの方が大きい時にのみ、Hレベルの第三の制限信号S3を出力する。
【0114】
同様に、標準Aモードにおいては、CPU50は図9に示すマップに基づいて、その時の後輪用モータ9に印加される電圧(標準Aモードでは、前述した様に左右前輪用コンタクタ41,40がオフになっているので、電圧は左右前輪用モータ5L,5Rには印加されない。)に対応する全電流しきい値L4Aを比較器74に出力する。比較器74は全電流Itと前記全電流しきい値L4Aとを比較し、全電流Itの方が大きい時にのみ、Hレベルの第三の制限信号S3を出力する。
【0115】
同様に、発進モードにおいては、CPU50は図12に示すマップに基づいて、その時の左右前輪用モータ5L,5R、及び後輪用モータ9に印加される電圧に対応する全電流しきい値L6Mを比較器74に出力する。比較器74は全電流Itと前記全電流しきい値L6Mとを比較し、全電流Itの方が大きい時にのみ、Hレベルの第三の制限信号S3を出力する。
【0116】
同様に、標準Mモードにおいては、CPU50は図11に示すマップに基づいて、その時の後輪用モータ9に印加される電圧(標準Mモードでは、前述した様に左右前輪用コンタクタ41,40がオフになっているので、電圧は左右前輪用モータ5L,5Rには印加されない。)に対応する全電流しきい値L4Mを比較器74に出力する。比較器74は全電流Itと前記全電流しきい値L4Mとを比較し、全電流Itの方が大きい時にのみ、Hレベルの第三の制限信号S3を出力する。
【0117】
アンド回路70は、ノット回路71、及びオア回路72,73を介して、前記第一、及び第二の制限信号S1,S2が入力される様になっている。同様に、ノット回路71、及びオア回路72を介して、前記第三の制限信号S3が入力される様になっている。(ノット回路71が設けられているので、Hレベルの制限信号S1,S2,S3はLレベルの信号に転換され、アンド回路70に入力される。)又、操作量Sに基づくチョッパ信号が、CPU50から入力される様になっている。更に、アンド回路70からは、前述した二つ(制限信号とチョッパ信号)の入力状態に従って、メイントランジスタ28に出力される様になっている。よって、前記各制限信号S1,S2,S3の少なく共何れか一つが出力された時、アンド回路70は、CPU50からメイントランジスタ28への前記チョッパ信号を遮断する。
【0118】
即ち、スリップ発進モード、及び発進モードの場合には、前記制限信号S1,S2,S3の少なく共何れか一つが出力された時にメイントランジスタ28へのチョッパ信号が停止され、一方、標準Aモード、及び標準Mモードの場合には、前記制限信号S2,S3の少なく共何れか一方が出力された時にメイントランジスタ28へのチョッパ信号が停止される。又、停止されたメイントランジスタ28へのチョッパ信号は、前記制限信号S1,S2,S3の全ての出力が消失した時点で再開される。
【0119】
以上の様に構成されたリーチ式フォークリフトの駆動制御装置の作用について、以下に説明する。
運転者は、フォークリフトを使用する路面状態等に合わせ、予め前記切換装置15により、前述したオートとマニュアルの何れかを選択する。以降の説明に際しては、まず、オートを選択した場合について説明した後、マニュアルを選択した場合について説明する。
【0120】
オートを選択した場合において、車両1が停止した状態では、CPU50は標準Aモードでの制御を行う。即ち、左右前輪用コンタクタ41,40はコイル駆動回路69e,69fを介してオフされ、左右前輪4L,4Rは駆動不能に維持され、後輪9のみが駆動可能となっている。そして、例えば前進走行を行う為アクセルレバー12を中立位置から前進方向に操作すると、CPU50はコイル駆動回路69a,69bを介して後輪用モータ9が前進駆動する様に後輪前進用及び後輪後進用コンタクタ26,27を切り替える。
【0121】
同じくCPU50は、コイル駆動回路69e,69fを介して左右前輪用モータ5L,5Rが前進駆動する様に前輪前進用及び前輪後進用コンタクタ42,43を切り替える。但し、前述した様に左右前輪4L,4Rは駆動不能に維持されたままである。更に、CPU50はコイル駆動回路69gを介して回生用コンタクタ25をオンする。
【0122】
続いて、CPU50は図7に示した標準Aモードにおけるマップを選択し、該マップに基づいてその時のアクセルレバー12の操作量Sに対応するチョッパ信号の目標デューティ比M2を算出する。
【0123】
又、車両1は停止した状態、即ち車両速度ゼロからの走行であるので、CPU50は発進時と判断する。更に、CPU50はその判断に基づき、図14に示したマップに設定された二種類以上のデューティ比の経時増加パターン中の、予め選択された経時増加パターンに従って、チョッパ信号のデューティ比を、算出した前記目標デューティ比M2まで増加させながら、そのデューティ比のチョッパ信号をアンド回路70を介してメイントランジスタ28に出力する。
【0124】
メイントランジスタ28は、このチョッパ信号に基づいてオン・オフされ、バッテリ24から後輪用モータ9に駆動電源が供給される。そして、後輪用モータ9は回転駆動を開始する。
【0125】
尚、発進時に、前述した図14に示したマップによるデューティ比の制御を行う事で、運転者のアクセル操作技術に頼る事無く、後輪用モータ9への過大な電源供給を防止し、スムーズな発進が可能となる。
【0126】
又、図14に示したマップによるデューティ比の制御は、発進時以外、即ち車両速度が発進終了車速L7を一度でも超えた場合には、その後車両1が一旦停止しない限り機能しない。
【0127】
ところで、リーチ式フォークリフトにおいては、フォークFを前方にリーチさせた状態で該フォークF上に荷を積載すると、左右前輪4L,4Rよりも前方側に荷重が加わる為、左右前輪4L,4Rよりも後方側に位置する後輪7における輪重が低下する。この様な荷役作業を、車両1の使用環境が、例えば冷凍庫内の凍結した路面の様な低μ路面の場合に行うと、後輪7は容易にスリップする。
【0128】
前述した、標準Aモードでの車両1の発進時においては、CPU50は、全電流Itが、図13に示したマップによって決定される全電流しきい値L2を超えていないかを判別する。更に、CPU50は、車両速度変化率が、予め設定、記憶された車両速度変化率しきい値L1を超えていないかを判別する。その結果、CPU50が、全電流Itが全電流しきい値L2を下回り、且つ車両速度変化率が車両速度変化率しきい値L1を超えたと判断した時に、前記スリップの発生を決定する。
【0129】
ここで、CPU50が、前記全電流しきい値L2と前記車両速度変化率しきい値L1の両者を用い、前述した様な判別制御に従ってスリップ発生を決定するのは以下の理由による。
【0130】
車両速度変化率は、後輪回転速度センサ6により検出した後輪7の回転速度Rから算出している。又、一般に、発進時にスリップした時の駆動輪の回転速度は、走行抵抗が低下する為、スリップする直前の回転速度に較べ急激に上昇する。従って、前記車両速度変化率が、予め実験・計算により求め設定した車両速度変化率しきい値L1を超える様な急激な上昇を示した時にスリップ発生の決定をすれば、ある程度の確度でのスリップの検出は可能となる。
【0131】
しかし、前記車両速度変化率しきい値L1のみで判別する手段では、スリップの正確な検出が出来ない場合があった。
即ち、リーチ式フォークリフトを、スリップの発生しにくい高μ路面において、フォークF上に荷を積載しない最も車両重量の軽い状態でアクセルレバー12の操作量Sを最大にして、スリップ未発生で発進する場合の車両速度変化率は、スリップの発生しにくい低μ路面で、アクセルレバー12の操作量Sを僅かにし、スリップ発生し発進する場合の車両速度変化率よりも大きくなる。つまり、この様な状況においては、スリップ未発生の車両速度変化率は、スリップ発生の車両速度変化率よりも大きくなる為、前記車両速度変化率しきい値L1のみでの判別は出来ない事になる。
【0132】
そこで、本実施例においては、この様な状況においても正確なスリップ発生の判別が可能となる様に前記全電流しきい値L2を用いている。
一般に、駆動輪がスリップした場合、駆動輪を駆動するモータに流れる電流は、駆動輪がスリップしていない場合に較べて低下する。これは、モータに流れる電流が、モータの駆動力と比例するからである。よって、前記電流が、予め設けた一定のしきい値より低下した事を検知すれば、スリップ発生の判別が可能となる。
【0133】
但し、この内容が成立するには、アクセルレバー12の操作量Sが同じ場合に限られ、操作量Sが異なる場合には必ずしも成立するとは限らない。即ち、前述した、アクセルレバー12の操作量Sが微操作におけるスリップの発生を検出する為、駆動輪に流れる電流のしきい値を固定し設定してしまうと、該しきい値が、操作量Sが大きい場合のスリップ未発生の時の駆動輪に流れる電流よりも低くなってしまう事がある。
【0134】
そこで、アクセルレバー12の操作量Sに左右されず、正確にスリップ発生を検出する為、図13に示したマップに基づき、操作量Sに応じて可変する全電流しきい値L2を設け、全電流It(前述した様に、標準モードにおいては、全電流Itは後輪用モータ9に流れる電流を意味する)と比較している。この様に可変にした全電流しきい値L2によれば、各操作量Sに応じ、その都度正確な判別が出来る。
【0135】
以上に述べた通り、車両速度変化率しきい値L1と全電流しきい値L2の両方を併用する事で、正確且つ確実な、スリップ発生の判別が可能となる。勿論、スリップ発生を判別する制御方法は、前述した内容には限定されず、例えば以下の様な制御方法であっても良い。
【0136】
即ち、前記車輌速度変化率しきい値L1を、前記全電流しきい値L2と同様に、操作量Sに連動させて可変にしても良い。或いは、連動させる要因を、操作量Sでは無く、図14に示したマップ中のデューティ比の経時増加パターンの選択内容に応じて連動させて可変にしても良い。
【0137】
CPU50は、発進時にスリップ発生と判断した場合、直ちに標準Aモードからスリップ発進モードへ切り替えて制御を行う。即ち、左右前輪用コンタクタ41,40はコイル駆動回路69e,69fを介してオンされ、左右前輪4L,4Rが駆動可能になる。
【0138】
又、CPU50は、前記コイル駆動回路69e,69fに左右前輪用コンタクタ41,40をオンする為の信号を出力すると同時に、それまでアンド回路70を介してメイントランジスタ28に出力していたチョッパ信号を停止する。このチョッパ信号とは、図7に示したマップに基づく操作量Sに対応する目標デューティ比M2まで、図14に示したマップ中の選択された経時増加パターンに従って増加していくチョッパ信号の事である。つまり、チョッパ信号を停止する制御は、図7及び図14に示したマップによる前記制御に係わらず、優先して実行される事になる。
【0139】
前記チョッパ信号の停止は、記憶部51に記憶された一定時間を経過するまで維持される。前記一定時間は、前述した通り、予め実験・計算されたもので、制御に適した値であれば特に限定はされないが、以下の理由から、CPU50からコイル制御回路69e,69fを介して左右前輪用コンタクタ41,40にオンの信号が出力されてから、該コンタクタ41,40が実際にオンするまでの所謂ディレイ時間に一致させる事が望ましい。
【0140】
即ち、前記一定時間を前記ディレイ時間未満にすると、前記コンタクタ41,40がオンする前に電源供給が開始されるので、該コンタクタ41,40がオンした瞬間に左右前輪用モータ5L,5Rに急激な駆動力が発生し、逆に、前記一定時間を前記ディレイ時間より大きくすると、駆動制御のレスポンスが低下してしまうからである。
【0141】
ところで、前記チョッパ信号の停止の間、後輪用モータ9は駆動力を発生しないので、後輪7には機械損失であるギア摩擦制動と、タイヤと路面間の摩擦によるタイヤ摩擦制動が作用する。即ち、前記両摩擦制動は、後輪7の発進時のスリップを抑制する方向に働き、所謂トラクションコントロールとして機能するという優れた作用が得られる。
【0142】
その後、前記一定時間が経過すると、CPU50は図8に示したスリップ発進モードにおけるマップを選択し、該マップに基づいてその時のアクセルレバー12の操作量Sに対応するチョッパ信号の目標デューティ比M1を算出する。
【0143】
更に、CPU50は、図15に示したマップのデューティ比の経時増加パターンに従い、チョッパ信号のデューティ比を、算出した前記目標デューティ比M1まで増加させながら、そのデューティ比のチョッパ信号をアンド回路70を介してメイントランジスタ28に再び出力する。
【0144】
メイントランジスタ28は、このチョッパ信号に基づいてオン・オフされ、バッテリ24から後輪用モータ9、及び左右前輪用モータ5L,5Rに駆動電源が供給される。そして、後輪用モータ9、及び左右前輪用モータ5L,5Rは回転駆動を開始する。つまり、左右前輪4L,4R、後輪7の三輪駆動となるので、標準モードでの後輪7のみの一輪駆動に較べて極めて安定した駆動伝達が成される。
【0145】
尚、前述した様に、図8に示したスリップ発進モードのマップでは、操作量Sで調節可能な目標デューティ比M1の最大値が、図7に示した標準Aモードのマップでの同様の目標デューティ比M2に較べて低く設定されているが、これにより、運転者のアクセル操作技術に頼る事無く、各モータ5L,5R,9への急激な電源供給を防止し、スリップ発進モードにおいても標準Aモードと同様な、スムーズな発進が可能となる。
【0146】
又、同一の一定時間経過後において、図15に示したスリップ発進モードのマップに従った目標デューティ比M1に対する割合は、図14に示したマップに従った最も低い目標デューティ比M2に対する割合以下になる様に設定されているが、これにより、運転者のアクセル操作技術に頼る事無く、各モータ5L,5R,9への急激な電源供給を防止し、スリップ発進モードにおいても標準Aモードと同様な、スムーズな発進が可能になる。
【0147】
後輪用モータ9、左右前輪用モータ5L,5Rが回転すると、コントローラ23には前輪電流If、及び全電流Itが入力される。そして、前輪電流Ifが前輪OCL値L5W(この場合、左右前輪用モータ5L,5Rが共に駆動している)よりも大きくなっている時には比較器64から第一の制限信号S1が、全電流Itが前後輪OCL値L3より大きくなっている時には比較器65から第二の制限信号S2が各々出力される。その結果、アンド回路70により、チョッパ信号のメイントランジスタ28への出力は遮断され、左右前輪用モータ5L,5R、或いはメイントランジスタ28の保護が成される。
【0148】
同様に、全電流Itが、図10に示すマップに基づいて決定される全電流しきい値L6Aより大きくなっている時には、比較器74から第三の制限信号S3が出力される。その結果、アンド回路70により、チョッパ信号のメイントランジスタ28への出力は遮断され、アクセルレバー12の操作量Sに応じた最適な駆動力が確保される。
【0149】
そして、チョッパ信号が遮断され、全電流It、或いは前輪電流Ifが低下し、各制限信号S1,S2,S3の出力が全て消失すると、再びチョッパ信号がメイントランジスタ28に出力される。
【0150】
ところで、スリップ発進モードにおいて、ハンドルHを操作し、車両1が右旋回して操舵角θが左に33°以上になると、CPU50は右前輪モータ用コンタクタ40をオフする。従って、右前輪用モータ5Rは電源の供給が遮断されフリー状態となり、右前輪4Rが従動輪となる。その結果、右旋回によって、旋回速度が小さくなる事に基づき右前輪用モータ5Rの電機子電流の許容電流以上に増大するのを未然に防止する。又、右前輪用モータ5Rの電機子電流の増大に基づいて旋回速度の大きい左前輪用モータ5Lの電機子電流の減少による駆動力の低下を未然に防止する事ができる。従って、車両1のスムーズな右旋回発進が行える。
【0151】
同様に、車両1が左旋回して操舵角θが右に40°以上となると、CPU50は左前輪モータ用コンタクタ41をオフする。従って、左前輪用モータ5Lは電源の供給が遮断されフリー状態となり、左前輪4Lが従動輪となる。その結果、左旋回によって、旋回速度が小さくなる事に基づき左前輪用モータ5Lの電機子電流の許容電流以上に増大するのを未然に防止する。又、左前輪用モータ5Lの電機子電流の増大に基づいて旋回速度の大きい右前輪用モータ5Rの電機子電流の減少による駆動力の低下を未然に防止する事ができる。従って、車両1のスムーズな左旋回発進が行える。
【0152】
やがて、車両速度が上昇し、予め定めた発進終了車速L7に到達すると、CPU50はスリップ発進モードから標準Aモードに切り替える。即ち、CPU50は、コイル駆動回路69c〜69fを介して、前輪前進用及び前輪後進用コンタクタ42,43と、左右前輪モータ用コンタクタ41,40をオフする。従って、前輪駆動回路部22にはバッテリ24からの電源の供給が遮断され、左右前輪用モータ5L,5Rの回転はフリー状態となる。その結果、後輪用モータ9にのみバッテリ24からの電源供給が行われる。
【0153】
又、CPU50は、再び図7に示した標準Aモードにおけるマップを選択し、該マップに基づいてその時のアクセルレバー12の操作量Sに対応するチョッパ信号の目標デューティ比M2を算出する。
【0154】
前述した様に、図7のマップに基づいて調節可能な目標デューティ比M2の上限値は図8のそれ(M1の上限値)より大きく、更に、図14のマップに基づく前述の制御も成されない(この制御は、後述するスリップ未発生の発進時にのみなされる)ので、前記目標デューティ比M2に応じた目的の車両速度に速やかに到達させる事が出来る。
【0155】
一方、車両1の発進時にスリップが発生しなかった場合には、前述した、CPU50による左右前輪様コンタクタ41,40をオンにする制御は成されず、チョッパ信号を一定時間停止する制御も勿論行われない。そして、CPU50は、図7に示した標準Aモードのマップに基づいてその時のアクセルレバー12の操作量Sに対応するチョッパ信号の目標デューティ比M2を算出し、チョッパ信号のデューティ比を図14に示したマップのデューティ比の経時増加パターンに従って該目標デューティ比M2にまで増加させる前述した制御を引き続き行う。
【0156】
やがて、車両速度が上昇し、予め定めた前記発進終了車速L7に到達すると、CPU50は発進時では無いと判断し、図14に示したマップに従う前記制御は行われなくなる。即ち、チョッパ信号のデューティ比制御は、図7に示したマップに基づいてのみ成される。
【0157】
又、標準Aモードにおいて、後輪用モータ9が回転すると、コントローラ23には全電流If(標準Aモードにおいては、後輪用モータ9に流れる電流を意味する)が入力される。そして、全電流Itが前後輪OCL値L3より大きくなっている時には比較器65から第二の制限信号S2が出力される。その結果、アンド回路70により、チョッパ信号のメイントランジスタ28への出力は遮断され、メイントランジスタ28の保護が成される。
【0158】
同様に、全電流Itが、図9に示すマップに基づいて決定される全電流しきい値L4Aより大きくなっている時には、比較器74からの第三の制限信号S3が出力される。その結果、アンド回路70により、チョッパ信号のメイントランジスタ28への出力は遮断され、アクセルレバー12の操作量Sに応じた最適な駆動力が確保される。
【0159】
そして、チョッパ信号が遮断され、全電流Itが低下し、両制限信号S2,S3の出力の全てが消失すると、再びチョッパ信号がメイントランジスタ28に出力される。
【0160】
尚、前述した様に、図9と図10に各々示した両マップにおいて、標準Aモードにおける後輪用モータ9に印加される電圧と、スリップ発進モードにおける該後輪用モータ9、及び左右前輪用モータ5L,5Rに印加される電圧とが同一時に、両該電圧が一定電圧(2V)以下では、スリップ発進モードにおけるマップに従う全電流しきい値L6Aの値は、同じく標準Aモードのマップに従う全電流しきい値L4Aの値よりも高い。一方、前記一定電圧以上では、その逆になる。この様な設定にしているのは、以下の理由による。
【0161】
即ち、標準Aモードにおいては、後輪用モータ9のみ回転駆動する為、全電流Itは全て後輪用モータ9に流れるのに対し、スリップ発進モードにおいては、左右前輪用モータ5L,5R、及び後輪用モータ9の全てが回転駆動する為、全電流Itは、各モータに分流される。従って、前記一定電圧以下における両全電流しきい値L4A,L6Aを同じ値にすると、標準Aモードの時に較べ、スリップ発進モードの時の各モータ5L,5R,9の駆動力が低下し、発進に必要な駆動力が確保できなくなるからである。
【0162】
一方、前記一定電圧以上においては、駆動力過多によるスリップの発生を防止し、スムーズな発進を達成する為、スリップ発進モードでの駆動力を標準Aモードでの駆動力より低く抑える必要があるからである。
【0163】
標準Aモードにおいて、アクセルレバー12を前進方向から中立位置を介して後進方向に操作すると、CPU50は後輪前進用及び後輪後進用コンタクタ26,27を後進駆動の向きに切り替えると同時に、その時の車両速度が回生制動可能な速度にあるか否かを判別する。その結果、回生制動可能な速度にあると判断した場合に、CPU50は回生用コンタクタ25をオフする。
【0164】
回生用コンタクタ25がオフされると、CPU50はメイントランジスタ28及び回生用トランジスタ32を制御して、公知の予備励磁を行い、後輪用モータ9に起電力を増大させ、回生電流を発生させる。回生電流は、バッテリ24の−端子、回生用ダイオード34、全電流センサ31、電機子9a、後輪後進用コンタクタ27(後進から前進へのスイッチバック操作の場合には、後輪前進用コンタクタ26になる)、界磁巻線9b、及びフライホイールダイオード29(後進から前進へのスイッチバック操作の場合には、フライホイールダイオード30になる)を介してバッテリ24の+端子に流れ、後輪用モータ9の発電エネルギーはバッテリ24に回生される。
【0165】
前述した様に、この回生電流は全電流センサ31にて検出され、その回生電流値はCPU50に出力される。そして、回生電流が予め定めた許容電流値以上になった時、CPU50はメイントランジスタ28をチョッパ制御して回生電流を抑える。
【0166】
やがて、車両速度が回生制動のできない速度になると、CPU50はプラギング制動に移る。CPU50は、後輪用モータ9が後進駆動する様に後輪前進用及び後輪後進用コンタクタ26,27を切り替えると共に、前輪前進用及び前輪後進用コンタクタ42,43を切り替える。又、CPU50は、回生用コンタクタ25をオンする。そして、CPU50は、その時のアクセルレバー12のスイッチバック操作における操作量Sに対するデューティ比でメイントランジスタ28をチョッパ制御する。従って、後輪用モータ9が逆転し後進駆動して、プラギング制動が開始される。
【0167】
尚、スリップ発進モードにおいて、同様なスイッチバック操作が成された場合には、前述した様に、CPU50が右前輪及び左前輪モータ用コンタクタ40,41をオフにする制御が行われた後に、標準Aモードと同様の制御が動作する。
【0168】
次に、前記切換装置15がマニュアルに選択されている場合の作用について説明する。
車両1が停止した状態では、CPU50は標準Mモードでの制御を行う。即ち、左右前輪用コンタクタ41,40はコイル駆動回路69e,69fを介してオフされ、左右前輪4L,4Rは駆動不能な従動輪に維持され、後輪9のみが駆動可能となっている。
【0169】
そして、例えば前進走行を行う為アクセルレバー12を中立位置から前進方向に操作すると、CPU50はコイル駆動回路69a,69bを介して後輪用モータ9が前進駆動する様に後輪前進用及び後輪後進用コンタクタ26,27を切り換える。同じくCPU50は、コイル駆動回路69e,69fを介して左右前輪用モータ5L,5Rが前進駆動する様に前輪前進用及び前輪後進用コンタクタ42,43を切り換える。更に、CPU50はコイル駆動回路69gを介して回生用コンタクタ25をオンする。
【0170】
又、車両1は停止した状態、即ち車両速度ゼロからの走行であるので、CPU50は発進時と判断する。そしてCPU50はその判断に基づき、直ちに標準Mモードから発進モードへ切り換えて制御を行う。即ち、左右前輪用コンタクタ41,40はコイル駆動回路69e,69fを介してオンされ、左右前輪4L,4Rが駆動可能になる。同時に、CPU50は図7に示した発進モードのにおけるマップを選択し、該マップに基づいてその時のアクセルレバー12の操作量Sに対応するチョッパ信号の目標デューティ比M2を算出する。
【0171】
更に、CPU50は図14に示したマップに設定された二種類以上ののデューティ比の経時増加パターン中の、予め選択された経時増加パターンに従って、チョッパ信号のデューティ比を、算出した前記目標デューティ比M2まで増加させながら、そのデューティ比のチョッパ信号をアンド回路70を介してメイントランジスタ28に出力する。
【0172】
メイントランジスタ28は、このチョッパ信号に基づいてオン・オフされ、バッテリ24から後輪用モータ9、及び左右前輪用モータ5L,5Rに駆動電源が供給される。そして、後輪用モータ9、及び左右前輪用モータ5L,5Rは回転駆動を開始する。つまり、左右前輪4L,4R、後輪7の三輪駆動となるので、標準Mモードでの後輪7のみの一輪駆動に較べて極めて安定した駆動伝達が成される。
【0173】
ところで、前述した様に、スリップ発進モードにおいては、アクセルレバー12の操作量Sで調節可能な目標デューティ比の上限値が低く設定された図8のマップに従う制御が成され、駆動力過多によるスリップ発生を防止していた。この制御はスリップの発生し易い低μ路面においては効果的であるが、路面状態がスリップの発生しにくい高μ路面においては、かえって発進時の加速が鈍くなったり、駆動力が不足するといった問題点があった。
【0174】
勿論、前記切換装置15がオートに選択されたスリップ発進モードにおいては、スリップ発生を検出してからの制御であるので問題は無いが、該切換装置15がマニュアルに選択された発進モードにおいてはスリップ発生を検出する事無く発進時に三輪駆動となるので、その際、必ずしもスリップの発生し易い路面状態とは限らず、もしスリップの発生しにくい路面ならば前記問題点を考慮する必要がある。そこで発進モードにおいても、前述した様に図7に示す標準Mモードと同一のマップを選択し制御する事で、スリップの発生しにくい高μ路面等においても必要且つ十分な加速や駆動力が得られ、レスポンスの優れたスムーズな発進を達成する事が可能になる。
【0175】
但し、荷の積載や路面状態によっては、運転者の過大なアクセルワークによりスリップ発生に至る事も考えられるので、前述した様に発進モードにおいては、図14に示したマップに設定されたデューティ比の経時増加パターンに従って、チョッパ信号のデューティ比を、算出した前記目標デューティ比M2まで増加させている。即ち、デューティ比の経時増加を緩慢にする事で、運転者の不用意なアクセルワークによる発進時のスリップ発生を防止する。勿論、熟達した運転者等にとってはこの制御は不要な場合もあるので、必要に応じて作用しない様にする事も可能である。
【0176】
後輪用モータ9、左右前輪用モータ5L,5Rが回転すると、コントローラ23には前輪電流If、及び全電流Itが入力される。そして、前輪電流Ifが前輪OCL値L5W(この場合、左右前輪用モータ5L,5Rが共に駆動している)より大きくなっている時には比較器64から第一の制限信号S1が、全電流Itが前後輪OCL値L3より大きくなっている時には比較器65から第二の制限信号S2が各々出力される。その結果、アンド回路70により、チョッパ信号のメイントランジスタ28への出力は遮断され、左右前輪用モータ5L,5R、或いはメイントランジスタ28の保護が成される。
【0177】
同様に、全電流Itが、図12に示すマップに基づいて決定される全電流しきい値L6Mより大きくなっている時には、比較器74から第三の制限信号S3が出力される。その結果、アンド回路70により、チョッパ信号のメイントランジスタ28への出力は遮断され、アクセルレバー12の操作量Sに応じた最適な駆動力が確保される。
【0178】
そして、チョッパ信号が遮断され、全電流It、或いは前輪電流Ifが低下し、各制限信号S1,S2,S3の出力が全て消失すると、再びチョッパ信号がメイントランジスタ28に出力される。
【0179】
とこで、発進モードにおいて、ハンドルHを操作し、車両1が右旋回して操作角θが左に33°以上になると、CPU50は右前輪モータ用コンタクタ40をオフする。従って、右前輪用モータ5Rは電源の供給が遮断されフリー状態となり、右前輪4Rが従動輪となる。その結果、右旋回によって、旋回速度が小さくなる事に基づき右前輪用モータ5Rの電機子電流の許容電流以上に増大するのを未然に防止する。又、右前輪用モータ5Rの電機子電流の増大に基づいて旋回速度の大きい左前輪用モータ5Lの電機子電流の減少による駆動力の低下を未然に防止する事ができる。従って、車両1のスムーズな右旋回発進が行える。
【0180】
同様に、車両1が左旋回して操舵角θが右に40°以上となると、CPU50は左前輪モータ用コンタクタ41をオフする。従って、左前輪用モータ5Lは電源の供給が遮断されフリー状態となり、左前輪4Lが従動輪となる。その結果、左旋回によって、旋回速度が小さくなる事に基づき左前輪用モータ5Lの電機子電流の許容電流以上に増大するのを未然に防止する。
【0181】
又、左前輪用モータ5Lの電機子電流の増大に基づいて旋回速度の大きい右前輪用モータ5Rの電機子電流の減少による駆動力の低下を未然に防止する事ができる。従って、車両1のスムーズな左旋回発進が行える。
【0182】
やがて、車両速度が上昇し、予め定めた発進終了車速L7に到達すると、CPU50は発進モードから標準Mモードに切り換える。即ち、CPU50は、コイル駆動回路69c〜69fを介して、前輪前進用及び前輪後進用コンタクタ42,43と、左右前輪モータ用コンタクタ41,40をオフする。従って、前輪駆動回路部22にはバッテリ24からの電源の供給が遮断され、左右前輪用モータ5L,5Rの回転はフリー状態となる。その結果、後輪用モータ9にのみバッテリ24からの電源供給が行われる。
【0183】
又、CPU50は、引き続き図7に示した標準Mモードにおけるマップを選択し、該マップに基づいてその時のアクセルレバー12の操作量Sに対応するチョッパ信号の目標デューティ比M2を算出する。
【0184】
前述した様に、発進モードと標準Mモード共に図7のマップによる制御を行う事により、スリップの発生しにくい高μ路面等においても必要且つ十分な加速や駆動力が得られ、レスポンスの優れたスムーズな発進を達成する事が可能になる。
【0185】
同時に、図14に示したマップに従う前記制御は行われなくなる。即ち、チョッパ信号のデューティ比制御は、図7に示したマップに基づいてのみ成される。その後、標準Mモードにおいて、後輪用モータ9が回転すると、コントローラ23には全電流It(標準Mモードにおいては、後輪用モータ9に流れる電流を意味する)が入力される。そして、全電流Itが前後輪OCL値L3より大きくなっている時には比較器65から第二の制限信号S2が出力される。その結果、アンド回路70により、チョッパ信号のメイントランジスタ28への出力は遮断され、メイントランジスタ28の保護が成される。
【0186】
同様に、全電流Itが、図11に示すマップによって決定される全電流しきい値L4Mより大きくなっている時には、比較器74から第三の制限信号S3が出力される。その結果、アンド回路70により、チョッパ信号のメイントランジスタ28への出力は遮断され、アクセルレバー12の操作量Sに応じた最適な駆動力が確保される。
【0187】
そして、チョッパ信号が遮断され、全電流Itが低下し、両制限信号S2,S3の出力が全て消失すると、再びチョッパ信号がメイントランジスタ28に出力される。
【0188】
尚、図11と図12に各々示した両マップにおいて、標準Mモードにおける後輪用モータ9に印加される電圧と、発進モードにおける後輪用モータ9、及び左右前輪用モータ5L,5Rに印加される電圧とが同一時に、発進モードにおけるマップに従う全電流しきい値L6Mは、標準Mモードに従う全電流しきい値L4Mよりも高い。この様な設定にしているのは、以下の理由による。
【0189】
即ち、前述した様に、前記切換装置15がマニュアルに設定されている場合の発進時(つまり三輪駆動時)では、低μ路面での駆動力過多によるスリップの発生を防止する為に駆動力を抑制する制御を行うと、使用する路面がスリップの発生しにくい高μ路面の時に、発進時の加速が鈍くなったり、駆動力が不足するといった問題が生じる。
【0190】
又、標準Mモードにおいては、後輪用モータ9のみが回転駆動する為、全電流Itは全て後輪用モータ9に流れるのに対し、発進モードにおいては、左右前輪用モータ5L,5R、及び後輪用モータ9の全てが回転駆動する為、全電流Itは、各モータに分流される。従って、標準Mモードの時に較べ、発進モードの時の各モータ5L,5R,9の駆動力が低下し、発進に必要な駆動力が確保できなくなる。
【0191】
そこで、これらの問題点を解決する為に、前述した図11と図12に各々示した両マップを設定しているのである。
標準Mモードにおいて、アクセルレバー12を前進方向から中立位置を介して後進方向に操作すると、CPU50は後輪前進用及び後輪後進用コンタクタ26,27を後進駆動の向きに切り換えると同時に、その時の車両速度が回生制動可能な速度にあるか否かを判別する。その結果、回生制動可能な速度にあると判断した場合に、CPU50は回生用コンタクタ25をオフする。
【0192】
回生用コンタクタ25がオフされると、CPU50はメイントランジスタ28及び回生用トランジスタ32を制御して、公知の予備励磁を行い、後輪用モータ9に起電力を増大させ、回生電流を発生させる。回生電流は、バッテリ24の−端子、回生用ダイオード34、全電流センサ31、電機子9a、後輪後進用コンタクタ27(後進から前進へのスイッチバック操作の場合には、後輪前進用コンタクタ26になる)、界磁巻線9b、及びフライホイールダイオード29(後進から前進へのスイッチバック操作の場合には、フライホイールダイオード30になる)を介してバッテリ24の+端子に流れ、後輪用モータ9の発電エネルギーはバッテリ24に回生される。
【0193】
前述した様に、この回生電流は全電流センサ31にて検出され、その回生電流値はCPU50に出力される。そして、回生電流が予め定めた許容電流値以上になった時、CPU50はメイントランジスタ28をチョッパ制御して回生電流を抑える。
【0194】
やがて、車両速度が回生制動のできない速度になると、CPU50はプラギング制動に移る。CPU50は、後輪用モータ9が後進駆動する様に後輪前進用及び後輪後進用コンタクタ26,27を切り替えると共に、前輪前進用及び前輪後進用コンタクタ42,43を切り替える。又、CPU50は、回生用コンタクタ25をオンする。そして、CPU50は、その時のアクセルレバー12のスイッチバック操作における操作量Sに対するデューティ比でメイントランジスタ28をチョッパ制御する。従って、後輪用モータ9が逆転し後進駆動して、プラギング制動が開始される。
【0195】
尚、発進モードにおいて、同様なスイッチバック操作が成された場合には、前述した様に、CPU50が右前輪及び左前輪モータ用コンタクタ40,41をオフにする制御が行われた後に、標準Mモードと同様の制御が動作する。
【0196】
本実施例では、前述した様に、前記切換装置15がマニュアルに設定されている場合に、発進モードと標準Mモードの両モードの何れにおいても、図7に示したマップに従い、アクセルレバー12の操作両Sに対応した目標デューティ比M2を決定する様にしたので、路面状態がスリップの発生しにくい高μ路面においても、必要且つ十分な加速や駆動力が得られ、レスポンスの優れたスムーズな発進を可能にする。
【0197】
更に、前記切換装置15がマニュアルに設定されている場合に、図11、図12に各々示したマップに従い、標準Mモードにおける後輪用モータ9に印加される電圧と、発進モードにおける後輪用モータ9、及び左右前輪用モータ5L,5Rに印加される電圧とが同一時に、発進モードにおける全電流しきい値L6Mを標準Mモードにおける全電流しきい値L4Mより高く設定したので、路面状態がスリップの発生しにくい高μ路面においても、前記同様、必要且つ十分な加速や駆動力が得られ、レスポンスの優れたスムーズな発進を可能にする。
【0198】
更に、前記切換装置15を設け、オートとマニュアルの駆動制御を切り換え可能にしたので、作業者の熟達度、路面状態、或いは荷の積載状態等に合わせ、適宜最良な駆動制御方法を選択でき、安定した確実な駆動制御が容易に達成可能になる。
【0199】
【発明の効果】
以上に述べた様に、本発明は、種々の路面状態や荷の積載状態に応じた最適な制御を可能にし、常時リーチ式フォークリフトの確実且つスムーズな発進を容易にした、低コストで高性能なリーチ式フォークリフトの駆動制御装置を提供する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るリーチ式フォークリフトの側面図である。
【図2】本発明に係るリーチ式フォークリフトの概略上面図である。
【図3】本発明に係るリーチ式フォークリフトの概略上面図である。
【図4】本発明に係るリーチ式フォークリフトの後輪部分の一部正面図である。
【図5】本発明に係るリーチ式フォークリフトの駆動制御装置の回路図である。
【図6】本発明に係るリーチ式フォークリフトの駆動制御装置が有するコントローラのブロック図である。
【図7】コントローラが有する記憶部に記憶された、標準Aモード、標準Mモード、及び発進モードにおける、チョッパ信号の目標デューティ比を決定するマップである。
【図8】コントローラが有する記憶部に記憶された、スリップ発進モードにおける、チョッパ信号の目標デューティ比を決定するマップである。
【図9】コントローラが有する記憶部に記憶された、標準Aモードにおける、全電流しきい値を決定するマップである。
【図10】コントローラが有する記憶部に記憶された、スリップ発進モードにおける、全電流しきい値を決定するマップである。
【図11】コントローラが有する記憶部に記憶された、標準Mモードにおける、全電流しきい値を決定するマップである。
【図12】コントローラが有する記憶部に記憶された、発進モードにおける、全電流しきい値を決定するマップである。
【図13】コントローラが有する記憶部に記憶された、全電流しきい値を決定するマップである。
【図14】コントローラが有する記憶部に記憶された、標準Aモードの発進時、及び発進モードにおける、目標デューティ比に対する割合を決定するマップである。
【図15】コントローラが有する記憶部に記憶された、スリップ発進モードにおける、目標デューティ比に対する割合を決定するマップである。
【符号の説明】
1…車両、2R…右レグ、2L…左レグ、4R…右前輪、4L…左前輪、5R…右前輪用モータ、5L…左前輪用モータ、6…後輪回転速度センサ、7…後輪、9…後輪用モータ、12…アクセルレバー、15…切換装置、23…コントローラ、40…右前輪モータ用コンタクタ、41…左前輪モータ用コンタクタ、50…CPU、74…比較器、R…回転速度、S…操作量、It…全電流、M2…目標デューティ比、L4M,L6M…全電流しきい値、L7…発進終了車速
Claims (4)
- 車両前方の左右両側に設けられたレグと、該レグに設けられた前輪と、該前輪を駆動する前輪用モータと、該車両の下部に設けられた駆動輪である後輪と、該後輪を駆動する後輪用モータと、該後輪を操舵する操舵装置とから成るリーチ式フォークリフトの駆動制御装置において、該前輪用モータを作動させる電流供給経路を開閉する手段と、車両速度を検出する手段と、車両速度を検出する該手段により検出した速度が、予め設けた車両速度のしきい値を越えたか否かを判別する手段と、しきい値を越えたか否かを判別する該手段により車両速度が停止状態から一度も該しきい値を越えていないと判断した時に、前輪用モータを作動させる電流供給経路を開閉する該手段により電流供給経路を開き前輪を駆動可能とする一方、車両速度が停止状態から一度でも該しきい値を越えたと判断した時には、前輪用モータを作動させる電流供給経路を開閉する該手段により電流供給経路を閉じ、前輪を駆動不能な従動輪とする第一の処理手段と、該前輪用モータと該後輪用モータに印加する電圧を調節する手段と、電圧を調節する該手段により調節可能な電圧の上限値を電流供給経路を開閉する該手段による電流供給経路の開閉に係わらず同一値にする手段とを有している事を特徴とする、リーチ式フォークリフトの駆動制御装置。
- 車両前方の左右両側に設けられたレグと、該レグに設けられた前輪と、該前輪を駆動する前輪用モータと、該車両の下部に設けられた後輪と、該後輪を駆動する後輪用モータと、該後輪を操舵する操舵装置とから成るリーチ式フォークリフトの駆動制御装置において、
該前輪用モータを作動させる電流供給経路を開閉する手段と、車両速度を検出する手段と、車両速度を検出する該手段により検出した速度が、予め設けた車両速度のしきい値を越えたか否かを判別する手段と、しきい値を越えたか否かを判別する該手段により車両速度が停止状態から一度も該しきい値を越えていないと判断した時に、前輪用モータを作動させる電流供給経路を開閉する該手段により電流供給経路を開き前輪を駆動可能とする一方、車両速度が停止状態から一度でも該しきい値を越えたと判断した時には、前輪用モータを作動させる電流供給経路を開閉する該手段により電流供給経路を閉じ、前輪を駆動不能な従動輪とする第一の処理手段と、該前輪用モータと該後輪用モータに印加する電圧を調節する手段と、前輪用モータを作動させる電流供給経路を開閉する該手段により電流供給経路を閉じ前輪が駆動不能な従動輪となっている時に、該後輪用モータに流れる電流を検出する手段と、電流供給経路を開閉する該手段により電流供給経路を開き、前輪が駆動可能となっている時に、該前輪用モータと該後輪用モータの両方に流れる電流を検出する手段と、後輪用モータに流れる電流を検出する該手段により検出した電流が予め設けられた第一のしきい値を越えたか否かを判別する手段と、電流が予め設けられた第一のしきい値を越えたか否かを判別する該手段により越えたと判断した時には、該第一のしきい値を下回るまで電流を停止する手段と、前輪用モータと後輪用モータの両方に流れる電流を検出する該手段により検出した電流が、予め設けられた第二のしきい値を越えたか否かを判別する手段と、電流が予め設けられた該第二のしきい値を越えたと判断した時には、該第二のしきい値を下回るまで電流を停止する手段と、該第一のしきい値を該第二のしきい値より低くする手段とを有している事を特徴とする、リーチ式フォークリフトの駆動制御装置。 - 車両前方の左右両側に設けられたレグと、該レグに設けられた前輪と、該前輪を駆動する前輪用モータと、該車両の下部に設けられた後輪と、該後輪を駆動する後輪用モータと、該後輪を操舵する操舵装置とから成るリーチ式フォークリフトの駆動制御装置において、
該前輪用モータを作動させる電流供給経路を開閉する手段と、車両速度を検出する手段と、車両速度を検出する該手段により検出した速度が、予め設けた車両速度のしきい値を越えたか否かを判別する手段と、しきい値を越えたか否かを判別する該手段により車両速度が停止状態から一度も該しきい値を越えていないと判断した時に、前輪用モータを作動させる電流供給経路を開閉する該手段により電流供給経路を開き前輪を駆動可能とする一方、車両速度が停止状態から一度でも該しきい値を越えたと判断した時には、前輪用モータを作動させる電流供給経路を開閉する該手段により電流供給経路を閉じ、前輪を駆動不能な従動輪とする第一の処理手段と、該前輪用モータと該後輪用モータに印加する電圧を調節する手段と、電流供給経路を開閉する該手段による電流供給経路の開閉に係わらず、電圧を調節する該手段により調節される電圧に到達するまでの電圧の増加率を調節する手段とを有している事を特徴とする、リーチ式フォークリフトの駆動制御装置。 - スリップを検出する手段と、車両速度がしきい値を越えたか否かを判別する前記手段により車両速度が停止状態から一度も該しきい値を越えていないと判断した時、且つスリップを検出する該手段によりスリップ発生と判断した時にのみ、前輪用モータを作動させる電流供給経路を開閉する前記手段により電流供給経路を開き前輪を駆動可能とする一方、それ以外の時には、前輪用モータを作動させる電流供給経路を開閉する該手段により電流供給経路を閉じ、前輪を駆動不能な従動輪とする第二の処理手段と、車両速度がしきい値を越えたか否かを判別する該手段により車両速度が停止状態から一度も該しきい値を越えていないと判断した時に、前輪用モータを作動させる電流供給経路を開閉する該手段により電流供給経路を開き前輪を駆動可能とする一方、車両速度が停止状態から一度でも該しきい値を越えたと判断した時には、前輪用モータを作動させる電流供給経路を開閉する該手段により電流供給経路を閉じ、前輪を駆動不能な従動輪とする前記第一の処理手段と該第二の処理手段の両処理手段の内の何れか一方を選択する手段と、選択する該手段により選択された処理手段のみを作動させると同時に、他方の処理手段を作動不能にする手段とを有している事を特徴とする、請求項1、請求項2、或いは請求項3記載のリーチ式フォークリフトの駆動制御装置。
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