JP3610434B2 - 非イオン界面活性剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、分岐を有する脂肪族アルコールに、アルキレンオキシドを付加して得られる化合物からなる非イオン界面活性剤に関する。この種の非イオン界面活性剤は、洗浄剤のみならず、浸透剤、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、分散剤、または消泡剤に使用可能なものである。
【0002】
【従来の技術】
炭素数8〜20の天然及び合成由来の、直鎖及び/又は分岐の、飽和及び/又は不飽和の、第1級及び/第2級の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド等を付加重合して得られる非イオン界面活性剤は、優れた性能を有する非常に有用な界面活性剤である。
【0003】
とりわけ、分岐を有する炭素数8〜15の合成系飽和アルコールを出発原料とした製品は、特に性能に優れたものに属し、浸透性及び表面張力低下能に優れ、泡切れ性が良好であるとともに、鉱物油汚れ、植物油汚れ及びその他の種々の汚れに対して良好な洗浄力を示す。また、各種油類に対する乳化力が良好であるなどの性能を有する。そのため、家庭用のみならず業務用、工業用として広範囲に使用可能である。
【0004】
ところが、この種の非イオン界面活性剤は、製品中に含まれる未反応アルコールに起因する臭気を有しており、この臭気が原因で、用途が限定される場合や商品価値を低下させる場合があった。特に、上記の、分岐を有する炭素数8〜15の合成系アルコールは、特異な不快臭気を有している。
【0005】
このような臭気の問題を解決するために、(1)トッピング処理(未反応アルコールの除去)、(2)プロピレンオキサイドの導入、(3)狭いアルキレンオキサイド分布を与える触媒の利用(すなわち、未反応アルコール含量の低減)などが試みられている。
【0006】
ところが、これらの従来技術による臭気の改善効果は、実用上充分満足しうるものでなく、製造設備の制約、コスト高、性能悪化などの問題を解消するに至っていない。しかしながら、これらのうちでは、商業生産上、得られる臭気改善効果と、コスト面および製造設備面からプロピレンオキサイド(PO)の導入による方法が最も適していると考えられる。
【0007】
プロピレンオキサイド(PO)の付加の方法について、下記に示すように種々の提案がなされている。▲1▼エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのランダム付加体、▲2▼プロピレンオキサイド、エチレンオキサイドのブロック付加体(米国特許第4299994号)、▲3▼エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイドの順に導入したブロック付加体(米国特許第3752857号、4134854号)、▲4▼エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのランダム付加体に、更にエチレンオキサイドを導入したアルキレンオキサイド付加体(特開平7−26690)、▲5▼エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのランダム付加体に、更にプロピレンオキサイドを導入したアルキレンオキサイド付加体(特願平8−221100)、▲6▼プロピレンオキサイドに次いでエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドをランダム付加させたアルキレンオキサイド付加体(特開昭57−108198)等である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、臭気の問題を改善すべくプロピレンオキサイドを付加した場合に、泡特性やゲル化挙動、低温流動性、ハンドリング性といった特定の性能を改善し得るものの、界面活性剤の基本的な性質である浸透性、表面張力低下能を大きく低下させる他、洗浄力や乳化力、分散力、可溶化力といった実用上重要な性能を低下させてしまうこととなっていた。一方では、これらの性能を維持しようした場合には、臭気の改善がはななだ不十分であった。
【0009】
本発明者は、上記問題点に鑑み種々検討を行った結果、特定の形式及び特定の範囲のモル比にてプロピレンオキサイドまたは炭素数4のアルキレンオキサイドを付加することにより、これを外れる条件では全く得られない優れた性能のアルキレンオキサイド付加・分岐脂肪族アルコール型の非イオン界面活性剤が得られることを見出すに至った。すなわち、通常の条件とは異なる特定の形式及び特定の範囲の条件を選択したときに、初めて、界面活性剤としての性能を低下させずに臭気を大幅に改善し得るということを見出すに至った。
【0010】
本発明は、分岐を有する脂肪族アルコールにアルキレンオキシドを付加して得られる化合物からなる非イオン界面活性剤において、臭気を改善するとともに、浸透性、表面張力低下能、洗浄力や乳化力、分散力、可溶化力といった性能を充分に高く保つことができる非イオン界面活性剤を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の非イオン界面活性剤は、下記一般式(I)で示される化合物からなる。
【0012】
R−O−(C2H4O)p−[(C2H4O)q/(AO)r]−H ・・・ (I)
但し、
R: 炭素数8〜20の分岐脂肪族炭化水素基、
p, q, r: 平均付加モル数(p=2〜10、q=1〜15、r=1〜4.5)、
[(C2H4O)q/(AO)r]: オキシエチレン基と、炭素数3または4のオキシアルキレン基との、モル比q/rのランダム重合鎖。
【0013】
本発明の構成により、臭気を改善するとともに、浸透性、表面張力低下能、洗浄力や乳化力、分散力、可溶化力といった性能を充分に高く保つことができる。
【0014】
上記の一般式(I)における分岐脂肪族炭化水素基Rは、好ましくは、炭素数8〜15の分岐型の合成系飽和一級炭化水素基、更に好ましくは炭素数8〜11の分岐型の合成系飽和一級炭化水素基である。すなわち、炭素数8〜11の分岐型の合成系飽和一級アルコールから誘導されるものである。
【0015】
このような構成であると、浸透性、表面張力低下能、泡切れ性、油汚れに対する洗浄力、及び、各種油類に対する乳化力や可溶化力において特に優れる。
【0016】
好ましくは、上記一般式(I)で示される化合物の曇点と、下記一般式(II)の化合物の曇点との差が2℃以内である場合に、上記一般式(I)で示される化合物の分子量(M)が、下記式(1)及び(2)を満足する。
【0017】
R−O−(C2H4O)a−H ・・・ (II)
340≦M≦1200 ・・・ (1)
1.05≦ M/M* ≦2.00 ・・・ (2)
但し、上記一般式(II)の化合物は、前記一般式(I)の化合物と同一の分岐脂肪族炭化水素基Rと、付加モル数a(但しp≦a≦p+q+r)のオキシエチレン単独重合鎖とからなるものであり、上記式(2)におけるM*は上記一般式(II)の化合物の分子量である。
【0018】
このような構成であると、臭気改善効果において特に優れるとともに、浸透性、表面張力低下能、泡切れ性、油汚れに対する洗浄力、及び、各種油類に対する乳化力や可溶化力においてさらに優れたものとなる。
【0019】
更に、特には、炭素数8〜11の分岐型の合成系飽和一級アルコールから誘導されたものである場合、泡切れが良く、かつ、水希釈時のゲル化領域が狭いものとなる。すなわち、泡立ちによる泡トラブル、並びに、水希釈時における広い濃度範囲でのゲル化挙動のために生産性を大きく低下させるといった従来の問題点を解決することができる。ゲル化範囲が狭いことを利用して、濃縮型液体洗浄剤組成物の配合成分として好適に使用できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の非イオン界面活性剤は、上記のように、高級アルコールにエチレンオキサイドを付加させ、次いでエチレンオキサイドと炭素数3または4のアルキレンオキシドをランダム付加した化合物からなり、この付加重合の際に特定のモル比等の条件を選択したものである。
【0021】
本発明に使用できる高級アルコールは、炭素数8〜20の分岐脂肪族アルコールである。好ましい高級アルコールは、炭素数8〜15の分岐型の合成系飽和一級アルコールである。更に好ましい高級アルコールは、炭素数8〜11の分岐型の合成系飽和一級アルコールである。このような高級アルコールであると、浸透性、表面張力低下能、泡切れ性、油汚れに対する洗浄力、及び、各種油類に対する乳化力や可溶化力において特に優れたものが得られる。
【0022】
この炭素数8〜15の分岐型の合成系飽和一級アルコールは、炭素数が単一であっても、異なる炭素数の高級アルコールの混合物であってもよい。また、本発明に使用できる高級アルコールの化学構造は単一組成であっても、複数の異性体からなる混合物であってもよい。
【0023】
好ましい高級アルコールの例としては、プロピレン、ブテン、又はこれらの混合物から誘導される高級オレフィンを経てオキソ法によって製造される、分岐型の飽和一級アルコールが挙げられる。該製法によって得られるイソノナノール、イソデカノール、イソトリデカノール等が市販されており、本発明の非イオン界面活性剤の製造に好適に使用できる。また、該製法によって得られる炭素数8〜15の分岐型飽和一級アルコールの混合物、例えばEXXALシリーズ(エクソン・モービル社(商標))も好適に使用できる分岐型高級アルコールの一例である。また、2−プロピル−1−ヘプタノール、2−ブチル−1−オクタノール、2−ブチル−1−デカノール、2−ヘキシル−1−オクタノールなど、炭素数8〜15の2−アルキル−1−アルカノール型の化学構造をもつゲルベアルコール(Guerbet Alchol)の単一組成或いは混合物も好適に使用できる分岐型高級アルコールの一例である。その他、2−エチル−1−ヘキサノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノールも本発明に使用できる分岐型高級アルコールの一例である。更に、上記各種アルコールを2種以上配合して使用することも可能である。
【0024】
本発明の非イオン界面活性剤の製造は、エチレンオキサイドの付加工程(第一工程)と、次いで導入されるエチレンオキサイドと炭素数3或いは4のアルキレンオキサイドのランダム付加工程(第二工程)とからなる。
【0025】
上記一般式(I)で示される本発明の非イオン界面活性剤は、前述の第一工程を経る代わりに、相当する非イオン界面活性剤(下記一般式(III))を別に調達して出発原料として使用し、引き続き、特定の比率で所定量のエチレンオキサイドと炭素数3或いは4のアルキレンオキサイドをランダム付加する第二工程を経て目的物を得ることも許容される。なお、一般式(III)におけるRおよびpは一般式(I)におけるR、pと同一である。
【0026】
R−O−(C2H4O)p−H ・・・ (III)
即ち、前述のような、炭素数8〜20の分岐脂肪族アルコールのエチレンオキサイド付加物、好ましくは炭素数8〜15の分岐型飽和一級アルコールのエチレンオキサイド付加物をも、出発原料として好適に用いることができる。
【0027】
本発明の非イオン界面活性剤の製造に用いる、炭素数3または4のアルキレンオキシドにおいて、炭素数3のものは、いうまでもなくプロピレンオキシドである。炭素数4のアルキレンオキシドは、イソブチレンオキシドやテトラヒドフランも含むが、好ましくは、1,2−ブチレンオキサイドまたは2,3−ブチレンオキサイドである。
【0028】
本発明の非イオン界面活性剤をなす化合物は、下記一般式(I)により示される。
【0029】
R−O−(C2H4O)p−[(C2H4O)q/(AO)r]−H ・・・ (I)
但し、
R: 炭素数8〜20の分岐脂肪族炭化水素基、
p, q, r: 平均付加モル数(p=2〜10、q=1〜15、r=1〜4.5)、
[(C2H4O)q/(AO)r]: オキシエチレン基と、炭素数3または4のオキシアルキレン基との、モル比q/rのランダム重合鎖。
【0030】
ここで、炭素数が8未満であると、界面活性剤として実用上充分な性能を示さない。一方、分岐脂肪族炭化水素基の炭素数が大きすぎると、浸透性、表面張力低下能、洗浄力などの性能が低下する。分岐脂肪族炭化水素基が、炭素数8〜15の飽和一級炭化水素基である場合、洗浄力、浸透性、表面張力低下能、及び洗浄力において特に優れたものとなる。また、これらの性能の付与に加えて、水への溶解性を高め、水溶液のゲル化問題を解決するためには、分岐脂肪族炭化水素基が炭素数8〜11の飽和一級炭化水素基である必要がある。
【0031】
上記一般式(I)の化合物におけるオキシエチレン単独重合鎖の平均付加モル数p、これにさらに付加されるランダム重合鎖中のオキシエチレン基平均付加モル数q、及び、該ランダム重合鎖中の炭素数3または4のオキシアルキレン基の平均付加モル数rのいずれが上記範囲から外れても、臭気改善効果が大きく低下するか、または、浸透性及び表面張力低下能が大きく低下するとともに、洗浄力、乳化力、可溶化力が低下してしまうこととなる。
【0032】
本発明の界面活性剤化合物は、好ましくは、下記の条件を満足する。
【0033】
上記一般式(I)で示される化合物の曇点と、下記一般式(II)の化合物の曇点との差が2℃以内である場合に、一般式(I)で示される化合物の分子量(M)が、下記式(1)及び(2)を満たす。
【0034】
R−O−(C2H4O)a−H ・・・ (II)
340≦M≦1200 ・・・ (1)
1.05≦ M/M* ≦2.00 ・・・ (2)
但し、上記一般式(II)の化合物は、前記一般式(I)の化合物と同一の分岐脂肪族炭化水素基Rと、付加モル数a(但しp≦a≦p+q+r)のオキシエチレン単独重合鎖とからなるものであり、上記式(2)におけるM*は上記一般式(II)の化合物の分子量である。
【0035】
すなわち、下記一般式(II)の化合物は、原料アルコールを同一とし、一般式(I)で示される化合物を製造するのと同様の反応条件の下で、曇点が一般式(I)の化合物と実質上同一となるように平均付加モル数を調整することにより、製造したものである。すなわち、測定された曇点の差が2℃以内となるようにエチレンオキサイドの付加モル数を調整した、いわば曇点相当品である。
【0036】
一般式(II)の化合物における平均付加モル数aは、上記一般式(I)におけるpを下回ることがなく、かつ、上記一般式(I)の化合物における合計付加モル数p+q+rを越えることがない。
【0037】
また、一般式(II)で示される曇点相当品に対する分子量の比率M/M*は、本件発明者が、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、この種の非イオン界面活性剤の性能を測る指標として独自に見出したものである。すなわち、分岐を有する合成系脂肪族アルコールにアルキレンオキサイドを付加した非イオン界面活性剤化合物において、浸透力、表面張力低下能、洗浄力、乳化力、分散力、可溶化力といった界面活性剤としての実用上重要な性能を低下させずに臭気を大幅に改善するという目的で、種々の検討を行った結果、上記分子量の比率M/M*が決定的な意味を持つことを見出すに至った。曇点相当品に対する分子量の比率M/M*は、曇点を実質上同一としつつエチレンオキサイド以外のアルキレンオキサイドを共重合させた場合の分子量の増加の度合いを示すものであり、いわば分子量増加指数と呼ぶべきものである。
【0038】
本件発明者は、さらに鋭意検討を行った結果、一般式(I)の化合物の分子量が特定の範囲内にあり(上記式(1))、かつ、分子量増加指数M/M*が特定の範囲内(上記式(2))にある場合に、上記課題を達成する上で際だって優れた結果が得られることを見出した。
【0039】
さらに好ましくは、前記一般式(I)で示される化合物の分子量(M)が、下記式(3)及び(4)を満たす。
【0040】
340≦M≦1000 ・・・ (3)
1.05≦ M/M* ≦1.80 ・・・ (4)
このような条件を満足する場合、臭気改善効果が特に優れるとともに、浸透性、表面張力低下能、洗浄力、乳化力、可溶化力等においても優れたものとなる。
【0041】
本発明の非イオン界面活性剤はアルキレンオキサイドの付加反応が二段階であり、製造工程上、炭素数3或いは4のアルキレンオキサイドをブロック付加させる工程がないため、従来技術に比較して製造工程数、製造工程時間の観点で優位性がある。
【0042】
アルキレンオキサイドの付加反応に用いられる触媒は塩基触媒及び酸触媒の公知のものが利用でき、更には、狭いアルキレンオキサイド分布をもつアルキレンオキサイド付加体を与えることを特徴とする公知の触媒を利用することもできる。しかし、これら種々触媒のうち、コスト、反応速度、副生物量の面から塩基触媒を用いることが好ましく、更に好ましくは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムが好適である。塩基触媒の使用量は反応粗製物(全仕込量)当たり0.005〜0.5%(固形分換算)、より好ましくは0.01〜0.4%(固形分換算)の範囲である。
【0043】
アルキレンオキサイドの付加触媒として、水酸化カリウム或いは水酸化ナトリウムを使用する場合の製造条件を以下に示すが、本発明の非イオン界面活性剤の製造条件はこれに限定されるものではない。
【0044】
加熱、冷却操作、減圧、加圧操作が可能で、原料仕込口、製品取り出し口、アルキレンオキサイドおよび窒素の導入管、攪拌装置、温度計、圧力計を備えた反応器(オートクレーブ)に、炭素数8〜20の分岐脂肪族アルコール、より好ましくは炭素数8〜15の分岐型飽和一級アルコールの所定量を仕込み、次いで、固形状の水酸化カリウム或いは水酸化ナトリウム、もしくはそれらの水溶液を仕込んだ後、窒素置換し、常温から120℃の温度範囲で減圧脱水する。次いで、100〜180℃で所定量のエチレンオキサイドを導入、付加させた後、100〜150℃で、特定比率で所定量のエチレンオキサイドとプロピレンオキサイド或いはエチレンオキサイドとブチレンオキサイドを混合状態で、もしくは二種類のアルキレンオキサイドを定量的に別々に反応器に導入して付加させる。この際、これらアルキレンオキサイドの付加反応操作において、所定量のアルキレンオキサイドを導入後、圧力が低下して一定になるまで反応を継続する操作(熟成操作)を行うことがより好ましい。更に、得られた反応粗製物に対して公知の酸の適当量を添加して触媒を中和し、目的の本発明の非イオン界面活性剤を得ることができる。なお、中和操作において、アルカリ吸着剤などを使用して、触媒を除去することも可能である。
【0045】
本発明の非イオン界面活性剤は、家庭用製品、業務用製品および工業用製品、更に各種産業分野の工程薬剤として好適に使用できる。具体的な使用例として、本発明の非イオン界面活性剤は、臭気が大幅に改善されており、浸透力が良好で、表面張力低下能に優れる特徴を活かして、洗浄剤、浸透剤、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、分散剤、消泡剤として好適に使用できる。また、本発明の非イオン界面活性剤は、泡立ちが低く、更に泡切れ性が良好である特徴から、泡立ちによるトラブルが懸念される用途、例えば、工業用製品、各種産業分野の工程薬剤として好適に使用できる。なお、この際、従来技術と同様に界面活性剤成分として、必要に応じて他の界面活性剤、例えば、他種の非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤の1種以上を適量配合して使用することができる。更に、その他の各種配合成分も従来技術と同様に使用することができる。
【0046】
本発明の非イオン界面活性剤を好適に使用できる好例としては家庭用、業務用および工業用の各種洗浄剤、更に各種産業分野の工程薬剤、例えば、繊維精練剤、金属表面処理剤、金属脱脂剤、金属部品、電子部品用洗浄剤、脱ピッチ剤、脱墨剤、等がある。本発明の非イオン界面活性剤は鉱物油汚れ、植物油汚れの他、無機物、ワックス類、樹脂類が付着した汚れ等、種々の汚れに対して良好な洗浄力を示す。特に鉱物油汚れに対しては著しい効果を発揮する。また、本発明の非イオン界面活性剤は単独で使用することも、他種の薬剤と配合、併用して使用することができる。洗浄剤として使用する場合の配合成分としては、従来技術と同様に、各種非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤の他、各種アルカリ成分、無機ビルダー類、増泡剤、増粘剤、キレート剤類、ハイドロトロープ剤、酵素類、除菌剤、香料、色素、等が挙げられる。
【0047】
また、従来は界面活性剤のゲル化挙動により、界面活性剤を水に溶解させる各種製造工程において、多大な労力(攪拌、加温に関わる時間、エネルギー)を要してしたが、本発明の非イオン界面活性剤は水に対して易溶解性であり、低温で且つ短時間で容易に水希釈が可能であることは、商業生産上、非常に有益である。更に、炭素数8〜11の分岐型飽和一級アルコールから誘導された本発明の非イオン界面活性剤は、従来品に比較してゲル化領域が狭く、界面活性剤の高濃度配合が可能であり、コスト面、商品設計上の多様性の点において優位性がある。これを利用して濃縮型液体洗浄剤の配合成分とすることは、本発明により得られる非イオン界面活性剤の好適な使用例である。
【0048】
本発明の非イオン界面活性剤は、鉱油類、シリコーン油および変性シリコーン類、植物油類、ワックス類、樹脂類、各種溶剤類の乳化剤としても好適に使用できる。また、香料や精油類の可溶化剤として好適に使用できる。特に香料を可溶化させた付香液体は良好な安定性を示し、その香り立ちは、香料可溶化のための従来の可溶化剤と同等である。
【0049】
その他、各種塗料の製造に関わる種々の工程で、乳化剤、分散剤、相溶化剤、顔料および塗面に対する濡れ性向上剤として好適に使用できる。
【0050】
以下に、本発明の具体的な実施例、及び比較例について説明する。
【0051】
<界面活性剤化合物の製造>
<実施例1>
5Lのオートクレーブに、イソデカノール[分岐型飽和一級アルコール、分子量158]1000g(6.3モル)と、水酸化カリウム3.70gとを仕込んだ後、オートクレーブ内を窒素置換してから、攪拌しつつ70℃で減圧脱水を行った。この際、反応器内の内圧が2.7KPaに到達した後、引き続き30分間減圧脱水を継続した。
【0052】
次いで、130℃まで昇温した後、135±5℃、反応圧0.25MPaでエチレンオキサイド1114g(25.3モル)を導入した。所定量のエチレンオキサイドの導入が完了した後、反応温度を維持しつつ、内圧が低下して一定になるまで熟成させた。次に、125±5℃、反応圧0.20MPaにて、エチレンオキサイド418g(9.5モル)とプロピレンオキサイド551g(9.5モル)を混合したアルキレンオキサイド混合物を導入した。この後、さらに、反応温度を維持しつつ、内圧が低下して一定になるまで熟成させた。
【0053】
その後、反応液を70℃まで冷却した後、85%乳酸7.68gで中和した。得られた化合物は、一般式(I)において、p=4.0、q=1.5、AO=PO、r=1.5であった。すなわち、エチレンオキサイド単独重合鎖の付加モル数pが4.0、ランダム重合鎖中のエチレンオキサイドの付加モル数qが1.5、ランダム重合鎖の共重合アルキレンオキサイド種がプロピレンオキサイドであり、ランダム重合鎖におけるプロピレンオキサイドの付加モル数がrが1.5であった。
【0054】
<実施例2〜8> 一般式(I)におけるR(原料アルコール)、p、q、AO、及びrを下記表1の界面活性剤の組成に従って変化させ、実施例1の方法に従って製造を行った。
【0055】
<実施例9> 5Lのオートクレーブにイソノナノール[分岐型飽和一級アルコール、分子量144]の1000g(6.9モル)と水酸化カリウムの6.86gを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換した後、攪拌しながら50℃で減圧して、反応器内の内圧が2.7KPa到達後、引き続き30分間減圧脱水を継続した。次いで、130℃まで昇温した後、135±5℃、反応圧0.25MPa でエチレンオキサイド1222g(27.8モル)を導入した。所定量のエチレンオキサイドを導入した後、反応温度を維持して内圧が低下して一定になるまで熟成させた。次に、125±5℃、反応圧0.20MPaでエチレンオキサイド468g(10.4モル)とブチレンオキサイド750g(10.4モル)を混合したアルキレンオキサイド混合物を導入した後、反応温度を維持して内圧が低下して一定になるまで熟成させた。その後、反応液を70℃まで冷却した後、85%乳酸14.24gで中和した。得られた化合物は、一般式(I)において、p=4.0、q=1.5、AO=BO、r=1.5であった。
【0056】
<実施例10> 一般式(I)におけるR(原料アルコール)、p、q、AO、及びrを下記表1の界面活性剤の組成に従って変化させ、実施例9の方法に従って製造を行った。
【0057】
<実施例11> 5Lのオートクレーブに、イソトリデカノール[分岐型飽和一級アルコール、分子量200]1000g(5.0モル)と、水酸化カリウム48%水溶液8.35とgを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換した後、攪拌しながら105℃で減圧脱水を行った。この際、反応器内の内圧が1.3KPa到達した後、引き続き30分間減圧脱水を継続した。
【0058】
次いで、130℃まで昇温した後、135±5℃、0.25MPaでエチレンオキサイド1100g(25.0モル)を導入した。所定量のエチレンオキサイドの導入が完了した後、反応温度を維持しつつ、内圧が低下して一定になるまで熟成させた。次に、125±5℃、反応圧0.20MPaにて、エチレンオキサイド660g(15.0モル)とプロピレンオキサイド580g(10.0モル)を混合したアルキレンオキサイド混合物を導入した後、反応温度を維持しつつ、内圧が低下して一定になるまで熟成させた。
【0059】
その後、反応液を70℃まで冷却した後、85%乳酸7.68gで中和した。得られた化合物は、一般式(I)において、p=5.0、q=3.0、AO=PO、r=2.0であった。
【0060】
<実施例12〜13> 一般式(I)におけるR(原料アルコール)、p、q、AO、及びrを下記表1の界面活性剤の組成に従って変化させ、実施例11の方法に従って製造を行った。
【0061】
【表1】
実施例の界面活性剤の組成
<比較例1〜3、5〜8> 一般式(I)におけるR(原料アルコール)、p、q、AO、及びrを下記表2の界面活性剤の組成に従って変化させ、実施例1の方法に準じて製造を行った。
【0062】
<比較例4> 5Lのオートクレーブにイソデカノール[分岐型飽和一級アルコール、分子量158]の1000g(6.3モル)と水酸化カリウムの3.70gを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換した後、攪拌しながら70℃で減圧して、反応器内の内圧が2.7KPa到達後、引き続き30分間減圧脱水を継続した。次いで、120℃まで昇温した後、125±5℃、反応圧0.20MPaでプロピレンオキサイド551g(9.5モル)を導入した。所定量のプロピレンオキサイドを導入した後、反応温度を維持して内圧が低下して一定になるまで熟成させた。次に、135±5℃、反応圧0.25MPaでエチレンオキサイド1532g(34.8モル)を導入した後、反応温度を維持しつつ、内圧が低下して一定になるまで熟成させた。その後、反応液を70℃まで冷却した後、85%乳酸7.68gで中和した。
【0063】
<比較例9〜10> 一般式(I)におけるR(原料アルコール)、p、q、AO、及びrを下記表2の界面活性剤の組成に従って変化させ、実施例11の方法に準じて製造を行った。
【0064】
<比較例11> 一般式(I)におけるR(原料アルコール)、p、q、AO、及びrを下記表1の界面活性剤の組成に従って変化させ、実施例11の方法に従って製造を行った。
【0065】
<比較例12> 日本触媒(株)製ソフタノール(商標)70をそのまま供試した。
【0066】
【表2】
比較例の界面活性剤の組成
<水溶液の基礎物性および性状>
上記のように得られた界面活性剤の水溶液について、下記の評価を行った。
【0067】
<表面張力>:ウィルヘルミー(Whihelmy)法に準拠して、ウィルヘルミー型表面張力計を用い、25℃で非イオン界面活性剤0.5%水溶液の表面張力を測定した。
【0068】
<浸透力>:キャンバスディスク法(ISO−8022−1990)に準拠して、25℃で非イオン界面活性剤0.1%水溶液の浸透力(キャンバスディスクを界面活性剤水溶液に浸漬後、沈降し始めるまでの秒数)を測定した。
【0069】
<起泡力>:ロス・マイルス(Ross & Miles)法(JIS K 3362−1990)に準拠して、25℃で非イオン界面活性剤0.1%水溶液の起泡力(泡高さ(mm))を測定した。
【0070】
<泡安定性>:上記起泡力(泡高さ(mm))の測定後、5分後の泡高さを測定し、泡高さの保持率を求めた。すなわち、次式の値を求めた。
【0071】
{5分後の泡高さ(mm)/直後の泡高さ(mm)}×100
<臭気改善性>:40℃で24時間静置後、官能試験にて非イオン界面活性剤の臭気を以下の評価基準に基づいて評価した。
【0072】
○; 臭気なし、または特異臭は認められない。
【0073】
△; わずかに特異臭が認められる。
【0074】
×; 特異臭が認められる。
【0075】
<耐ゲル化安定性>:非イオン界面活性剤化合物の40%、50%、70%水溶液を調製し、試験管に移して、20℃で48時間静置後の性状を観察した結果について、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0076】
○; 低粘度透明溶液。
【0077】
△; 高粘度(または不均一)であるが流動性がある。
【0078】
×; ゲル化している。
【0079】
<基礎物性及び性状の評価結果>
実施例1〜13の基礎物性及び性状の評価結果について表3にまとめて示す。また、比較例1〜12の基礎物性及び性状の評価結果について表4にまとめて示す。
【0080】
表3及び4から知られるように、実施例の界面活性剤では、表面張力、浸透力、起泡力、泡安定性、及び臭気改善性の各評価項目において良好な結果が得られたのに対して、比較例の界面活性剤では、いずれかの評価項目で非常に劣る結果となった。比較例の界面活性剤では、例えば臭気改善効果と、耐ゲル化安定性との両方を改善しようとした場合(比較例5)に、浸透力が著しく低下するなど他の実用上重要な性能を損なう結果となった。
【0081】
また、本発明の非イオン界面活性剤において、炭素数が8〜11の分岐型飽和一級アルコールから誘導された場合(実施例1〜10)に耐ゲル化安定性が大幅に向上する結果となった。
【0082】
【表3】
実施例の界面活性剤の基礎物性及び性状
【表4】
比較例の界面活性剤の基礎物性及び性状
<鉱油汚れの洗浄性能>
鉱油汚れに対する洗浄力、及び洗浄時の臭気を評価した。
【0083】
洗浄力は、試験片に付着した鉱油汚れに対して、その洗浄前後の重量変化から油除去率(%)を算出し、油除去率を洗浄力(%)と定義して評価を行った。
【0084】
<洗浄試験>:重量既知の試験片(100メッシュSUS製金網、試験片サイズ100mm×50mm)を精製鉱油(出光興産社、ダフニースーパーエースバック)中に浸漬した後、105℃で30分間静置し、試験片の重量を測定した。次に500mlビーカーに本発明の非イオン界面活性剤を用いた上記洗浄剤組成物500gを調製し、液温が30℃となるよう調整した。次いで、試験片をクリップで固定して水溶液中に浸漬した後、翼径50mmのプロペラ型攪拌翼にて200rpmで2分間撹拌して試験片を処理(洗浄)した。続いて、別の500mlビーカーに30℃の蒸留水500mlを取り、洗浄操作と同様にして1分間すすぎを行った。すすぎ後、試験片を水中から取り出し、60℃の恒温槽中に一晩静置して乾燥させた。
【0085】
<洗浄力の算出及び評価>:下記の計算式により、洗浄力を計算した。
【0086】
洗浄力(%)=(A−B)/(A−C)×100
但し、A:油浸漬後であって洗浄前の試験片重量(g)、B:洗浄後の試験片の乾燥重量(g)、C:油浸漬前の試験片乾燥重量(g)である。
【0087】
また、このように得られた洗浄力の評価値に基づき、下記のように評価を行った。
【0088】
◎ ・・・ 95.0 〜 100%
○ ・・・ 85.0 〜 94.9%
△ ・・・ 70.0 〜 84.9%
× ・・・ 0 〜 69.9%
<洗浄時の臭気の評価>:官能試験により洗浄操作中に評価を行い、下記のように判定した。
【0089】
○ ・・・ 臭気なし
△ ・・・ わずかに特異臭が認められる
× ・・・ 特異臭が認められる
下記表5に、実施例及び比較例の界面活性剤化合物について、鉱油汚れに対する洗浄性能を評価した結果をまとめて示す。
【0090】
表5上段に示すに、実施例の界面活性剤化合物であると、洗浄力及び臭気改善のいずれにおいても充分に満足すべきものとなった。これに対し、表5下段に示すように、比較例の界面活性剤化合物であると、洗浄力、及び、臭気の少なくともいずれかにおいて、不十分な結果となった。
【0091】
なお、表5の下端には、参考例1として、ノニルフェノールに平均8.5モルのエチレンオキサイドを付加した界面活性剤化合物(1%水溶液の曇点が38℃)についての評価結果を示している。参考例1の、一般に洗浄力が良好であると認知される界面活性剤化合物は、上記の各評価項目の評価結果において優れているが、後述する表6の結果により示すように、泡切れ性に劣る。また、参考例1の界面活性剤化合物は、本発明の界面活性剤である高級アルコール系非イオン界面活性剤に比較して、環境中での生分解性が劣ることが知られており、市場及び用途が制限されつつある。
【0092】
【表5】
鉱油汚れに対する洗浄性能
<人工汚染布(モデル汚垢汚染布)の洗浄性能>
モデル汚垢により汚染させた人工汚染布に対する洗浄力、及び泡切れ性を評価した。
【0093】
洗浄力は、洗浄後の試験布の洗浄(汚垢の除去)度合いを目視にて、○、△、×の3段階で評価した。泡切れ性についても、目視にて、○、△、×の3段階で評価した。
【0094】
<モデル汚垢の調製>:40℃にて下記組成物をホモディスパーを用いて3000rpmにて3分間攪拌を行った。
【0095】
<試験布の調製>:市販のポリエステル65%、綿35%からなる織布を上記組成のモデル汚垢に浸漬後、40℃の恒温槽内でクリップに固定した状態で12時間放置して得た汚染布を5cm×5cmサイズに切り分け、本試験に供試する試験布を調製した。
【0096】
<洗浄操作>:非イオン界面活性剤の2%水溶液1Lを30℃に調整した後、上記試験布3枚を入れ、ターゴトメーター(Terg−O−Tometer)にて30℃を維持しながら100rpmで15分間洗浄した。その後、同様にして3分間のすすぎを3回行った。なお、本試験に使用した水は洗浄時、すすぎ時ともに水道水を使用した。すすぎ後、試験布を水中から取り出し、脱水後、40℃の温風乾燥機中で一晩乾燥させ、洗浄力の評価を行った。合わせて、モデル汚垢に浸漬せずに水のみで同一の処理を行い、洗浄評価のブランクとする試験布を得た。
【0097】
<洗浄力の評価>:洗浄後の試験布の状態について、下記のように官能試験による評価を行った。
【0098】
○ ・・・ 洗浄力良好、ブランクと同等の白色度で色ムラがない
△ ・・・ ブランクに対して白色度が劣る
× ・・・ ブランクに対して白色度が劣り、色ムラが認められる
<泡切れ性の評価>:すすぎ時の泡立ちの状態について、下記のように目視観察による評価を行った。
【0099】
○ ・・・ 一回目のすすぎ工程後、1分間静置で泡が残存しない
△ ・・・ 二回目のすすぎ工程後、1分間静置で泡が残存しない
× ・・・ 二回目のすすぎ工程後、1分間静置で泡が残存する
<洗浄力及び泡切れ性の評価結果>
上記方法により汚垢に対する洗浄力、及び泡消れ性について評価した結果を表6にまとめて示す。表6の結果から知られるように、実施例の界面活性剤化合物であると、30℃及び70℃のいずれの試験条件でも、優れた洗浄力及び泡切れ性が得られた。これに対して、比較例の界面活性剤化合物であると、各温度条件で洗浄力及び泡切れ性の両方の要求を満足するものが得られなかった。
【0100】
なお、表6の下端に示す参考例1〜2のうち、参考例1は、上記表5のものと同一である。また、参考例2は、ノニルフェノールに平均10モルのエチレンオキサイドを付加した界面活性剤化合物(1%水溶液の曇点が65℃)である。これら参考例1〜2では、いずれも30℃の条件における泡切れ性に劣る他、洗浄力の温度依存性等において問題のあるものであった。
【0101】
【表6】
モデル汚垢汚染布に対する洗浄性能
<香料可溶化試験>
香料の可溶化性能、及び、可溶化した状態での香りについて評価した。
【0102】
<評価方法>:オレンジ油0.6g、乳化剤0.6gを目盛り付試験管にとり、試験管用タッチミキサーで30秒間撹拌し、次いで、蒸留水28.8gを加えて更にタッチミキサーで2分間撹拌した後、1時間静置後の付香液体の状態を観察した。また、併せて、1時間静置後の付香液体の香りについて以下の評価基準に従って官能評価を行った。また、オレンジ油をバラ油の代えて同様の可溶化試験、及び、付香液体の香りの評価を行った。
【0103】
なお、可溶化力の評価付けは、付香液体の状態の目視観察に基づき、以下のように行った。
【0104】
○ ・・・ 外観が透明、香料の分離が認められない
△ ・・・ 外観に濁り、或いは上層に不均一層が認められる
× ・・・ 香料の分離が認められる
また、付香液体の香りの評価は、ノニルフェノールの8.5モルEO付加体(上記表5及び6の参考例1)を標準品として以下の評価基準に従って評価を行った。
【0105】
○ ・・・ 標準品と同様の香りを有し、同等の香りの強度を示す
△ ・・・ 標準品と同様の香りを有するが、香りの強度が異なる
× ・・・ 標準品と香りが異なり、香りの強度も異なる
<香料可溶化力及び香りの評価結果>
以上のように評価した結果について表7にまとめて示す。表7の結果から知られるように、実施例の界面活性剤化合物であると、香料可溶化力及び付香液体の香りのいずれにおいても標準品と同等の性能が得られた。これに対して、比較例の界面活性剤化合物であると、いずれも付香液体の香りが劣る他、多くの場合に香料可溶化力も劣るという結果となった。
【0106】
なお、表5及び6の参考例1(表7の標準品)の界面活性剤化合物は、前述の通り、環境中での生分解性に劣ることが知られており、市場及び用途が制限されつつある。
【0107】
【表7】
香料可溶化力及び付香液体の香り
以上に説明したように、実施例の界面活性剤化合物であると、優れた臭気改善効果が得られるとともに、表面張力低下能、浸透力、鉱油汚れ及びモデル汚垢に対する洗浄力、泡切れ性、水溶液の耐ゲル化安定性、香料可溶化力及び付香液体の香り立ちのいずれにおいても良好な結果が得られた。
【0108】
【発明の効果】
脂肪族アルコールにアルキレンオキシドを付加して得られる化合物からなる非イオン界面活性剤において、臭気を改善するとともに、浸透性、表面張力低下能、洗浄力や乳化力、分散力、可溶化力といった性能を充分に高く保つことができる。
Claims (8)
- 下記一般式(I)で示される化合物からなり、該一般式(I)で示される化合物の曇点と、下記一般式( II )の化合物の曇点との差が2℃以内である場合に、
前記一般式(I)で示される化合物の分子量( M )が、下記式 ( 1 ) 及び ( 2 ) を満足する非イオン界面活性剤。
R−O−(C2H4O)p−[(C2H4O)q/(AO)r]−H ・・・ (I)
R−O−(C2H4O)a−H ・・・ (II)
340≦M≦1200 ・・・ (1)
1.05≦ M/M* ≦2.00 ・・・ (2)
但し、
R: 炭素数8〜20の分岐型飽和一級炭化水素基、
p, q, r: 平均付加モル数(p=2〜10、q=1〜15、r=1〜4.5)、
[(C2H4O)q/(AO)r]: オキシエチレン基と、炭素数3または4のオキシアルキレン基との、モル比q/rのランダム重合鎖。
また、上記一般式(II)の化合物は、前記一般式(I)の化合物と同一の分岐型飽和一級炭化水素基Rと、付加モル数a(但しp≦a≦p+q+r)のオキシエチレン単独重合鎖とからなるものであり、上記式(2)におけるM*は上記一般式(II)の化合物の分子量である。 - 前記分岐脂肪族炭化水素基(R)が、炭素数8〜15の飽和一級炭化水素基であることを特徴とする請求項1記載の非イオン界面活性剤。
- 前記分岐脂肪族炭化水素基(R)が、炭素数8〜11の飽和一級炭化水素基であることを特徴とする請求項1または2記載の非イオン界面活性剤。
- 請求項3記載の非イオン界面活性剤を主成分として含み、水分含有量が60重量%以下である濃縮型液体洗浄剤組成物。
- 上記請求項1〜3のいずれかに記載の非イオン界面活性剤からなる洗浄剤。
- 上記請求項1〜3のいずれかに記載の非イオン界面活性剤からなる浸透剤。
- 上記請求項1〜3のいずれかに記載の非イオン界面活性剤からなる湿潤剤。
- 上記請求項1〜3のいずれかに記載の非イオン界面活性剤からなる可溶化剤。
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