JP3609607B2 - 模様付きパネルの製造装置、該製造装置に用いる加飾型、及び模様付きパネルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、主に建築物の壁パネル等に用いられる模様付きパネルの製造装置及び製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、模様付きパネルの製造装置として、図11に示すようなものが知られている。このような模様付きパネルの製造装置1は、その上部を平面とする基盤2の上に枠状の型枠3が設置され、この型枠3の内側に、反応性無機質粉体等からなる液状基材を硬化させて得られる壁パネル等の表面に凹凸模様を形成するためのゴム製の加飾型4が敷設されて構成されている。
【0003】
この製造装置1を用いて模様付きパネルを製造するには、まず、基盤2の上に型枠3を固定し、その内周側の基盤2上に略平面状に凹凸模様を形成する加飾型4を位置決めして配設する。
【0004】
そして、型枠3と加飾型4とによって囲まれる空間5に硬化性の液状基材を充填し、この基材が硬化した後、模様付きパネルとなる基材の硬化体6を脱型させる(図12、図13)。
【0005】
このときに充填する基材として、優れた転写性を有する特公平4−45471号公報記載の、SiO2−Al2O3系無機質粉体100重量部と、アルカリ金属珪酸塩0.2〜450重量部と、水35〜1500重量部とからなる熱硬化性組成物等が検討されている。
【0006】
このような組成物を用いると、エッジ部の面取りや曲面Rの一切無い模様、さらには離型方向に対し通常アンダーカットと呼ばれる抜きテーパーとは逆向きの角度を持つテーパーを有する凹凸形状、例えば、天然石を割ったそのままの凹凸模様を、ゴム材質からなる加飾型4を用いて硬化体6に付与することが可能となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のものでは、硬化体6が加飾型4の凹凸表面に密着しているため、硬化体6を加飾型4から離反するにはかなりの抵抗がある。
【0008】
よって、図12に示すように、型枠3を取り除き、硬化体6の一部にアイボルト7a,7aを装着して、このアイボルト7a,7aにワイヤ7等の両端を係止させて両側を同時に引き上げる脱型方法を採ると、硬化体6の加飾された凸状部分6bが破壊される虞がある。
【0009】
このため、図13に示すように、型枠3、基盤2を取り外し、硬化体6に対してゴム質の加飾型4の一端を引っ張り徐々に剥離する方法が考えられる。
【0010】
ところが、このような脱型方法を採用すると、図13の拡大図である図14に示すように、加飾型4を引き剥がす際、ゴム製の加飾型4は、紙面鉛直方向に延びる剥離線9位置で、折曲する。
【0011】
この剥離線9近傍にあっては、加飾型4の表面に形成された凸状部分4aは、引き抜き力F1の作用により、硬化体6に形成された凹凸面に対して垂直方向と所定角度θ1を有する方向へ傾きながら抜けようとする。
【0012】
しかしながら、この凸状部分4a先端は、対向する硬化体6の凹状部分6a内側面に摺接し、前記引き抜き力F1よりも強い引き抜き力F2で引き抜こうとすると、前記所定角度θ1よりも、急角度θ2で摺接することにより、さらに抵抗を増大させてしまう。
【0013】
したがって、凸状部分4aは、その根元部4cが伸長してちぎれ凹状部分6aに残留したり、比較的肉厚が薄く形成される凹状部分4bから加飾型4自体が引きちぎられたりする虞があった。
【0014】
また、加飾型4は、両面テープ等によって基盤2の上に直接仮止めされており、上記脱型作業の度に基盤2から取り外される。
【0015】
このため、模様付きパネルを製造するごとに加飾型4を両面テープ等によって貼り直す必要があるが、基盤2の上における位置決めが難しいばかりでなく、―旦貼着して仮止めしても完全には固定されていないため、製造工程途中において位置ずれを生じることがある。特に、基材の脱泡を目的として加振操作を行う場合には、その振動により加飾型4が基盤2上の所定位置からずれ易いので、前記硬化体6、すなわち、製品としてのパネルの所望する箇所に繰り返して模様を付すことができないといった問題もあった。
【0016】
そこで、この発明は、円滑な脱型を可能にすると共に耐久性の高い加飾型を有し、かつ、所望する模様をパネルに忠実に付すことができる模様付きパネルの製造装置、該製造装置に用いる加飾型、及び模様付きパネルの製造方法を提供することを課題としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため本願発明の請求項1に記載されたものでは、硬化性のパネル基材が充填される型体を有し、該型体は、前記パネルに凹凸模様を形成する加飾型と、該加飾型の周縁部に設けられ、前記基材によって得られる硬化体の周端縁を形成する型枠とを有する模様付きパネルの製造装置であって、前記加飾型は、弾性変形可能な加飾部と、該加飾部に設けられた金属板部とを有し、前記金属板部に前記型枠が位置決めされて装着可能とすると共に、該金属板部と前記加飾部とが一体に湾曲するものであり、該金属板部と前記加飾部とが一体に湾曲して硬化したパネル基材から剥離するように、該型枠を離脱可能とする着脱部を設けた模様付きパネルの製造装置を特徴としている。
【0018】
このように構成された請求項1記載のものでは、基材硬化後、前記着脱部によって前記加飾型が前記型枠から分離される。
【0019】
そして、該加飾型をその一端から引き剥がして前記硬化体から離反させると、該加飾型は前記加飾部に前記金属板部が設けられて構成されているので、該加飾型の凹凸模様を形成する加飾部は、前記金属板部と共に、折曲せずに弓なりに湾曲して、前記硬化体に形成された凹凸面に対して略垂直方向へ徐々に外れていく。
【0020】
このため、前記加飾型の凸状部分が前記硬化体の凹状部分と従来のように引っ掛かりそのために極度の伸長が前記加飾部に生じる、という虞は小さく、円滑な脱型が可能である。
【0021】
したがって、従来のように応力集中による前記加飾部の凸状部分或いは前記加飾型自体の破損若しくは破壊の虞もなくなり、該加飾型の耐久性が向上してその転用回数も増大する。
【0022】
また、前記金属板部を前記加飾部に固着して設けることができるので、前記着脱部を介して該金属板部に装着される前記型枠と前記加飾部との相対位置関係が確定される。
【0023】
このため、模様付きパネルを製造するごとに前記加飾型の着脱が繰り返されても、前記硬化体に付される凹凸模様と該硬化体の周端縁との相対的な位置関係が容易かつ良好に再現されるので、製品としてのパネルの所望する箇所に繰り返して模様を付すことができる。
【0024】
さらに、このように前記型枠に対して前記加飾部が固定できるので、例えば、振動が与えられる等の製造工程があったとしても該加飾部が所定位置からずれることはなく、この点においても、前記硬化体に所望する模様を忠実に付すことができる。
【0025】
したがって、円滑な脱型を可能にすると共に耐久性の高い加飾型を有し、かつ、所望する模様をパネルに忠実に付すことができる。
【0026】
また、請求項2に記載されたものでは、前記着脱部は、前記金属板部の周縁近傍の一部に形成される位置決め孔を有すると共に、該位置決め孔には、前記金属板部に、前記基材から離反させる方向への力を付与して、該金属板部を湾曲させながら、硬化した基材から前記加飾部と共に離脱させる請求項1記載の模様付きパネルの製造装置を特徴としている。
【0027】
このように構成された請求項2記載のものでは、前記着脱部に設けられ、前記金属板部の周縁近傍の一部に形成される位置決め孔が、前記基材から離反させる方向への力を作用させる孔を兼ねているので、別途、離反させる方向への力を前記金属板部に作用させるための被係止孔等を形成する必要がない。
【0028】
このため、構成が簡略化されて部品点数を増大させることがない。
【0029】
しかも、前記型枠を離脱させてから直ちに該位置決め孔を用いて前記基材から離反させる方向への力を作用させることができるので、施工工程数の増大も抑制されて、さらに製造コストを低減させることができる。
【0030】
また、前記位置決め孔一点を用いて引き剥がしても、直接、弾性変形可能な加飾部に離反させる力を加えずに、前記金属板部から面状に分散させることができるので、さらに、加飾型の耐久性を良好なものとすることができる。
【0031】
そして、請求項3に記載されたものでは、前記加飾部の裏面には、前記金属板部が固着されて構成されている請求項1又は請求項2記載の模様付きパネルの製造装置に用いる加飾型を特徴としている。
【0032】
このように構成された請求項3記載のものでは、前記加飾型が、前記金属板部を前記加飾部に裏打ちするのみで構成できるので、高い耐久性を有する該加飾型に良好な生産性を持たせて製造できる。
【0033】
また、請求項4に記載されたものでは、略平面状に凹凸模様を形成する加飾部に沿って、湾曲可能な金属板部を設けた加飾型の周縁部に、着脱部を介して着脱可能とする型枠を位置決め配設した型体内へ、流動性基材を充填すると共に、該基材硬化後、前記型体の加飾型から前記型枠を離脱させてから、前記基材から前記加飾型を離反させる際、前記加飾型に設けられた加飾部を該金属板部と一体に湾曲させると共に剥離して、該基材に凹凸模様を形成する請求項1又は請求項2記載の模様付きパネルの製造装置を用いた製造方法を特徴としている。
【0034】
このように構成された請求項4記載のものでは、前記着脱部によって前記加飾型の周縁部に型枠を装着した状態で、例えば硬化性の液状基材を充填すると、該基材は、その前記加飾部接触面に凹凸模様が形成されながら硬化する。
【0035】
この際、該加飾部に沿って湾曲可能な金属板部が設けられて、加飾型の周囲の型枠へ装着されているので、加飾部は、型枠に対して位置決め配設される。
【0036】
このため、製品としてのパネルの所望する箇所に繰り返して模様を付すことができる。
【0037】
該基材硬化後、脱型が行われる。脱型では、まず、前記型体の加飾型から前記型枠を離脱させる。そして、前記加飾型に設けられた加飾部を該金属板部の湾曲と共に徐々に剥離させて、前記基材から前記加飾型を離反させる。
【0038】
該加飾型の凹凸模様を形成する加飾部は、前記金属板部と共に、折曲せずに弓なりに湾曲して、前記硬化体に形成された凹凸面に対して略垂直方向へ徐々に外れていく。
【0039】
このため、前記加飾型の凸状部分が前記硬化体の凹状部分と従来のように引っ掛かりそのために極度の伸長が前記加飾部に生じる、という虞は小さく、円滑な脱型が可能である。
【0040】
したがって、従来のように応力集中による前記加飾部の凸状部分或いは前記加飾型自体の破損若しくは破壊の虞もなくなり、該加飾型の耐久性が向上してその転用回数も増大する。
【0041】
このように、円滑に脱型を行えて、しかも、加飾型に高い耐久性を持たせることができる。
【0042】
【発明の実施の形態1】
以下、本発明の具体的な実施の形態1について、図面を参照しつつ説明する。
【0043】
図1〜図10は、この発明の実施の形態1を示すものである。なお、前記従来例と同一乃至均等な部分については、同一符号を付すこととする。
【0044】
まず、この実施の形態1の構成について説明する。
【0045】
模様付きパネルの製造装置1は、図1〜図3に示すように、基盤2の上部をなす方形状を呈した平板部2aの上に、硬化性のパネル基材が充填される型体10を有している。
【0046】
この型体10は、パネル表面に凹凸模様を形成する加飾型4と、加飾型4の加飾部11を囲って、前記パネル基材によって得られる硬化体6の周端縁を形成するフレーム状の型枠3とからなる。
【0047】
加飾型4は、弾性材料からなる加飾部11と、この加飾部11の裏面に固着等して設けられた金属板部12とから構成されている。加飾部11及び金属板部12は共に略方形板状であるが、加飾部11の裏面の面積よりも金属板部12の面積の方が大きく、金属板部12の周縁部12aのみが加飾型4の周縁をなしていて、加飾部11はこの周縁を構成していない。
【0048】
加飾部11の表面には、任意の凹凸模様が形成されており、また、加飾部11の金属板部12への施置方法は、使用する弾性材料により選択され、特に限定されるものではない。
【0049】
この実施の形態1の着脱部は、各位置決め孔2b,3b,12b、ボルト14、ナット15、及び座金16によって構成されている。すなわち、金属板部12の周縁部12a、型枠3、基盤2の平板部2aには、図4に示すように位置決め孔12b,3b,2bが各々設けられている。各位置決め孔2b,12b,3bは、加飾型4が平板部2a上の所定位置に載置され、型枠3が周縁部12a上の所定位置に配設されたときに、重なり合って位置するよう形成されていると共に、位置決め孔12bは、後に詳述する脱型時に使用されるワイヤー8を係止するために、アイボルト13が装着できるように構成されている。
【0050】
各位置決め孔2b,12b,3bには、この順にボルト14が挿通され、この挿通したボルト14がナット15に羅合されることによって、金属板部12と型枠3とが基盤2の上の所定位置に固定されるように構成されている。なお、平板部2aとボルト14の頭部14aとの間には、座金16が介在されていて、加振によるボルト14の脱落が防止されている。
【0051】
また、この実施の形態1における製造装置1は、流動性のパネル基材の硬化時に使用され、図7に示すように型体10の上に設置されて空間5を閉塞する上蓋17を備えている。
【0052】
一方、この実施の形態1において、型体10に充填するパネル基材としては
(A)SiO2―Al2O3系無機質粉体100重量部
(B)アルカリ金属珪酸塩0.2〜450重量部
(C)水35〜1500重量部
からなる熱硬化性配合物が主に用いられるが、各組成物の特徴等については後述することとする。
【0053】
次に、この実施の形態1の作用について図5〜図10を用いて説明する。
【0054】
模様付きパネルの製造装置1を用いて、前記熱硬化性配合物の硬化体6を模様を付して製造するには、まず、平板部2aの所定位置に図5に示すように加飾型4を載置する。
【0055】
この加飾型4は、金属板部12で加飾部11を裏打ちするのみで構成できるので、高い耐久性を有する該加飾型に良好な生産性を持たせて製造できる。
【0056】
また、型枠3についても、金属板部12の周縁部12aを介して基盤2上の所定位置に配設される。
【0057】
加飾型4及び型枠3が所定位置に設置されると、各位置決め孔2b,12b,3bが重なり合って1つの孔を構成するので、座金16とこの孔とにボルト14を図中下方から挿通して、ボルト14をナット15に羅合させることによって、図6に示すように型枠3と金属板部12とが基盤2上の所定位置に固定される。
【0058】
このように、型枠3が金属板部12に対して固定されると、金属板部12は加飾部11に固着して設けられているので、型枠3は加飾部11に対して位置決めされる。
【0059】
このため、模様付きパネルを製造するごとに加飾型4を型枠3から着脱しても、硬化体6に付される凹凸模様とこの硬化体6の周端縁との相対的な位置関係が容易かつ良好に再現されるので、同一模様の付されたパネルを効率よく生産することができる。
【0060】
さらに、型枠3に対して加飾型4が固定されるから、例えば後の工程に基材の脱泡を目的とした加振操作が存在し、製造装置1に振動が加えられることがあったとしても、加飾型4は所定位置からずれることがない。このため、この点においても硬化体6に所望する模様を忠実に付すことができる。
【0061】
基盤2の上に加飾型4と型枠3が設置された後、加飾型4と型枠3とが構成する型体10には、パネル基材である前記熱硬化性配合物が充填される。この際にはまず、アルカリ金属珪酸塩(B)を加圧、加熱下で少なくとも一部の水(C)に溶解し、上記反応性無機質粉末(A)及び必要に応じて残部の水(C)、発泡助剤、補強繊維、無機質充填材等を混合してペースト状とする。そして、これを型枠3と加飾型4とにより囲まれた空間5に必要量充填した後、型体10上部の所定位置に上蓋17を配置して空間5を閉塞し、パネル基材を硬化させる(図7)。このときの硬化温度は常温でもよいが、50〜110℃で30分間〜8時間硬化させることにより、硬化反応を促進でき、機械的物性を向上させることができる。
【0062】
基材が硬化した後、上蓋17、型枠3、及び基盤2を取り外し、硬化体6を加飾型4と密着したまま天地を逆にする(図8)。
【0063】
そして、金属板部12の位置決め孔12bにアイボルト13を装着し、アイボルト13にワイヤ8の一端8aを係止して、このワイヤ8に力を作用させることにより、加飾型4は引き剥がされて硬化体6から離反する(図9)。
【0064】
加飾型4をその一端から引き剥がしていくこのような脱型方法においては、加飾部11に金属板部12が裏打ちされて加飾型4が構成されているので、加飾部11は金属板部12と共に折曲せずに弓なりに湾曲して、硬化体6に形成された凹凸面に対して略垂直方向へ徐々に外れていく。
【0065】
このため、加飾型4の凸状部分4aが硬化体6の凹状部分6aに対して従来のように引っ掛かり、極度の伸長が加飾部11に生じることによって、凸状部分4aの根元部4cがちぎれ凹状部分6aに残留したり、凹状部分4bから加飾型4自体が引きちぎられたりする虞は少なく、円滑な脱型が可能である(図10)。
【0066】
さらに、このような応力集中による凸状部分4aの破損或いは加飾型4自体の破壊の虞の減少に伴い、加飾型4の耐久性が向上してその転用回数も増大する。
【0067】
また、金属板部12の位置決め孔12bが上記のように、前記基材から離反させる方向への力を作用させる孔を兼ねているので、別途、離反させる方向への力を金属板部12に作用させるための被係止孔等を形成する必要がない。
【0068】
このため、構成が簡略化されて部品点数を増大させることがない。
【0069】
しかも、型枠3を離脱させてから直ちにこの位置決め孔12bを用いて前記基材から離反させる方向への力を作用させることができるので、施工工程数の増大も抑制されて、さらに製造コストを低減させることができる。
【0070】
なお、この実施の形態1に使用される反応性無機質粉体(A)としては、SiO2 5〜85重量%とAl2O3 90〜10重量%のものが好適に使用される。このような粉体としては、フライアッシュ、メタカオリン、カオリン、ムライト、コランダム、アルミナ系研磨材を製造する際のダスト、粉砕焼成ボーキサイト等が使用できるが、組成と粒度が適当であればこれらに限定されるものではない。また、これらの粉体をそのまま用いてもよいが、活性化させるために溶射処理、粉砕分級、機械的エネルギーを作用させてもよい。
【0071】
溶射処理する方法としては、セラミックコーティングに適用される溶射技術が応用される。その溶射技術は、好ましくは材料粉末が2000〜16000℃の温度で溶融され、30〜800m/秒の速度で噴霧されるものであり、プラズマ溶射法、高エネルギーガス溶射法、アーク溶射法等が可能である。得られた粉体の比表面積は、0.1〜100m2/g が好ましい。
【0072】
分級、粉砕する方法としては、従来公知の任意の方法が採用され、篩、比重、風力、湿式沈降等による分級、ジェットミル、ロールミル、ボールミルによる粉砕等が挙げられる。これらの手段は併用されてもよい。
【0073】
機械的エネルギーを作用させる方法としては、ボール媒体ミル、媒体撹拌型ミル、ローラミル等が使用され、作用させる機械的エネルギーとしては0.5kwh/kg〜30kwh/kgが好ましい。この機械的エネルギーは、小さいと粉体を活性化しにくく、大きいと装置への負荷が大きい。
【0074】
また、反応性無機質粉体(A)としてフライアッシュを用いる際、フライアッシュは必要に応じて焼成されたものでもよい。この焼成温度は、低いとフライアッシュの黒色が残って着色困難となり、高いとアルカリ金属珪酸塩(B)との反応性が低くなるので、400℃〜1000℃であることが好ましい。
【0075】
本実施の形態1に使用されるアルカリ金属珪酸塩(B)とは、M2O・nSiO2(M=K,Na,Liから選ばれる1種以上の金属)で表される塩であって、nの値は、小さくなると緻密な発泡体が得られず、大きくなると水溶液の粘度が上昇し混合が困難になるので、0.05〜8が好ましく、さらに好ましくは0.5〜2.5である。
【0076】
アルカリ金属珪酸塩(B)は水溶液で添加されるのが好ましく、水溶液濃度は特に限定されないが、薄くなるとフライアッシュ粉末との反応性が低下し、濃くなると固形分が生じやすくなるので、10〜60重量%が好ましい。
【0077】
上記アルカリ金属珪酸塩水溶液は、アルカリ金属珪酸塩(B)をそのまま加圧、加熱下で水に溶解してもよいが、アルカリ金属水酸化物水溶液に珪砂、珪石粉等のSiO2成分をnが所定の量となるように加圧、加熱下で溶解してもよい。
また、アルカリ金属珪酸塩(B)の量は、少なくなると硬化が十分になされず、多くなると得られる発泡体の耐水性が低下するので、上記反応性無機質粉体(A)100重量部に対して0.2〜450重量部に限定され、好ましくは10〜350重量部、さらに好ましくは20〜250重量部である。
【0078】
本実施の形態1で使用される水(C)は、上記アルカリ金属珪酸塩水溶液として添加されてもよいし、独立して添加されてもよい。水(C)の量は少なくなると十分に硬化せず、また混合が困難となり、多くなると硬化体の強度が低下しやすくなるので、上記反応性無機質粉体(A)100重量部に対して35〜1500重量部に限定され、好ましくは45〜1000重量部、さらに好ましくは50〜500重量部である。
【0079】
実施の形態1において、必要に応じて発泡剤が添加されてもよい。発泡剤としては、過酸化物(過酸化水素、過酸化ソーダ、過酸化カリ、過ほう酸ソーダ等)、金属粉末(Mg,Ca、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Sn、Si、フェロシリコン)等が用いられ、多すぎると発泡ガスが過剰となり破泡し、少なすぎると発泡倍率が小さすぎて発泡体の意味を失うので、0.01〜10重量部であることが好ましい。過酸化水素を発泡剤として用いるときは、安全性、安定した発泡を考慮すると水溶液として用いるのが好ましい。金属粉末を用いる場合は、安定した発泡を得るために、直径200μm以下であることが好ましい。
【0080】
本実施の形態1において、必要に応じて発泡助剤が添加されてもよい。発泡助剤は、発泡を均一に生じさせるものならば特に限定されず、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩、シリカゲル、ゼオライト、活性炭、アルミナ粉末等の多孔質粉体等が挙げられる。これらは単独で使用されてもよいし、2種類以上併用されてもよい。
【0081】
発泡助剤の量は、多くなると組成物の粘度が上昇し破泡が発生しやすくなるので、上記反応性無機質粉体(A)100重量部に対して10重量部以下が好ましい。
【0082】
本実施の形態1において、必要に応じて無機質充填材が添加されてもよい。無機質充填材は、水に溶解せず、発泡性無機質組成物の硬化反応を阻害せず、アルカリ金属珪酸塩と反応しないものであれば特に限定されず、例えば珪砂、川砂、ジルコンサンド、結晶質アルミナ、岩石粉末、火山灰、シリカフラワー、シリカヒューム、ベントナイト、高炉スラグ等の混合セメント用混合材、セピオライト、ワラストナイト、マイカ等の天然鉱物、炭酸カルシウム、珪藻土等が挙げられる。これらは単独で添加されてもよいし、2種類以上併用されてもよい。
【0083】
上記無機質充填材は、平均粒径が小さくなると組成物の粘度が上昇し、高倍率の発泡体が得られず、大きくなると発泡が不安定になるので、平均粒径は0.01〜1000μmが好ましい。無機質充填材の量が多くなると、得られる発泡体の強度が低下するので、上記反応性無機質粉体(A)100重量部に対して700重量部以下が好ましい。
【0084】
本実施の形態1において、必要に応じて補強繊維が添加されてもよい。補強繊維は、成形体に付与したい性能に応じ任意のものが使用でき、例えばビニロン繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、カーボン繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、チタン酸カリウム繊維、鋼繊維等が使用できる。
【0085】
上記補強繊維の繊維径は、細くなると混合時に再凝集し、交絡によりファイバーボールが形成され易くなり、最終的に得られる発泡体の強度はそれ以上改善されない。また、この補強繊維が太くなるか若しくは短くなると、引張強度向上などの補強効果が小さくなり、長くなると繊維の分散性及び配向性が低下するので、繊維径1〜500μm、繊維長1〜15mmが好ましい。上記補強繊維の添加量は、多くなると繊維の分散性が低下するので、上記反応性無機質粉体(A)100重量部に対して10重量部以下が好ましい。
【0086】
さらに、硬化体の軽量化を図る目的でシリカバルーン、パーライト、フライアッシュバルーン、シラスバルーン、ガラスバルーン、発泡焼成粘土等の無機質発泡体、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレン等の合成樹脂の発泡体、塩化ビニリデンバルーン等が添加されてもよい。これらは単独で添加されてもよいし、2種類以上併用されてもよい。
【0087】
また、必要に応じて、アルミナセメント、γ−アルミナ、溶射されたアルミナ、アルミン酸アルカリ金属塩及水酸化アルミニウムを加えてもよい。
【0088】
【実施例1】
実施例1では、実施の形態1で述べた加飾型4や熱硬化性配合物に関する諸条件を変化させることによって、本願発明の有効性について検討した結果を示す。
【0089】
この実施例1においては、前記硬化体6としての無機緻密体及び無機発泡体を製造した。
【0090】
無機緻密体とは、所定量のnSiO2/M2O(n=1.5、M=Na,K;モル比1:1)をオートクレーブ中において130℃、0.7MPaで所定量の水に溶解し、ワラストナイト、ビニロン繊維、珪石粉、8号珪砂、SiO2―Al2O3系無機質粉体(A)、水酸化アルミニウム(粒径100μm以下)をオムニミキサー(千代田技研工業株式会社製150リッター)で混合して均一なペーストとし、これを型体10に流し込んで85℃で6時間硬化させて製造したものである。
【0091】
一方、無機発泡体は、前記無機緻密体の製造過程においてアルミニウム粉末を添加して得ることができる。すなわち、無機発砲体とは、所定量のnSiO2/M2O(n=1.5、M=Na,K;モル比1:1)をオートクレーブ中において130℃、0.7MPaで所定量の水に溶解し、ワラストナイト、ビニロン繊維、珪石粉、8号珪砂、SiO2―Al2O3系無機質粉体(A)、水酸化アルミニウム(粒径100μm以下)、ステアリン酸亜鉛をオムニミキサー(千代田技研工業株式会社製)で混合して均一なペーストとし、これに粒径が70μm以下の粉末を100重量%含有するアルミニウム粉末(ミナルコ社製、商品名;350F)を添加して40秒間攪拌し、型枠内に注入して3分間発泡させた後、型枠ごと85℃のオーブン中で6時間加熱して製造したものである。
【0092】
製造した無機緻密体及び無機発泡体の寸法は、2880×920×31(mm)で共通である。
【0093】
なお、上記の粒径はレーザー回折式分布計(セイシン社製、型式;PRO700S)によって測定した。
【0094】
また、無機緻密体、無機発泡体を組成する反応性無機質粉体(A)としては、以下の無機質粉体A1,A2…A8を使用した。
【0095】
無機質粉体A1は、フライアッシュ(関電化工社製、平均粒径20μm;JIS A 6201に準ずる)を分級機(日清エンジニアリング社製、型式;TC−15)により分級し、粒径が10μm以下の粉末を100重量%含有するものである。
【0096】
無機質粉体A2は、カオリン(組成:SiO2 45.7%、Al2O3 38.3 % 平均粒径:8μm BET比表面積5.8m2/g) の原料粉を燃焼温度2500℃、噴射粒子速度50m/秒で溶射して得た、活性無機質粉体(組成:SiO2 49.7%、Al2O3 47.0 % 平均粒径:49μm BET比表面積64.3m2/g)である。
【0097】
無機質粉体A3は、フライアッシュを3000℃で溶融後、80m/sの速度で大気中に紛霧して回収した無機質紛体である。無機質紛体A3の平均粒径は5μm、比表面積は9.5m2/g であった。
【0098】
無機質粉体A4は、前記無機質粉体A1を600℃の温度にて焼成して得た、粒径10μm以下の粉体100重量%を含有する焼成フライアッシュである。
【0099】
無機質粉体A5は、フライアッシュ(関電化工社製、平均粒径20μm、比表面積1.8m2/g、JIS A 6201相当品)100重量部及びトリエタノールアミン25重量%とエタノール75重量%の混合溶液0.5重量部をウルトラファインミルAT−20(三菱重工業社製、ジルコニアボール直径10mm使用、ボール充填率85体積%)に供給し、25kwh/kgの機械的エネルギーを作用させて得たものである。なお、作用させた機械的エネルギーは、ボールミルに供給した電力を処理粉体単位重量あたりで表した。
【0100】
無機質粉体A6は、カオリン(組成:SiO2 45.7%、Al2O3 38.3% 平均粒径:8μm BET比表面積5.8m2/g)95重量部とクオーツ(住友セメント社製 商品名:ソフトシリカ)5重量部、及びトリエタノールアミン25重量部%とエタノール75重量%の混合溶液0.5重量部をウルトラファインミルAT−20(三菱重工業社製、ジルコニアボール直径10mm使用、ボール充填率85体積%)に供給し、25kwh/kgの機械的エネルギーを作用させて得たものである。なお、作用させた機械的エネルギーは、ボールミルに供給した電力を処理粉体単位重量あたりで表した。
【0101】
無機質粉体A7は、前記無機質粉体6を300℃で3時間加熱することにより得たものである。
【0102】
無機質粉体A8は、メタカオリン(エンゲルハード社製のSATINTONESP 33、平均粒径3.3μm、比表面積13.9m2/g)100重量部及びトリエタノールアミン25重量部%とエタノール75重量%の混合溶液0.5重量部をウルトラファインミルAT−20(三菱重工業社製、ジルコニアボール直径10mm使用、ボール充填率85体積%)に供給し、25kwh/kgの機械的エネルギーを作用させて得たものである。なお、作用させた機械的エネルギーは、ボールミルに供給した電力を処理粉体単位重量あたりで表した。
【0103】
上記の無機質粉体A1,A2…A8によって得られる無機緻密体及び無機発泡体を、各々無機緻密体1,2…8及び無機発泡体1,2…8とすると、これらの組成配合比は表1に示すようになる。
【0104】
【表1】
また、各無機緻密体1,2…8及び無機発泡体1,2…8は、各々加飾型1,2…12を用いることによって製造された。すなわち、同一組成物による硬化体を、加飾型を換えて12枚ずつ生産することにより本願発明の効果につき検討を加える。
【0105】
各加飾型1,2…12の加飾部の材質、金属板部の材質、及び裏打ち方法については、表2に示すとおりである。
【0106】
【表2】
実施の形態1による脱型操作を、上記製造されたすべての硬化体について行ったところ、無機緻密体、無機発泡体の組成の如何に関わらず、また、加飾型の材質や裏打ち方法に関わらず、目的とする加飾の凹凸模様が、所定位置からずれることなく全面にわたって形成された硬化体を得ることができた。
【0107】
さらに、実施の形態1による加飾型の耐久性を調べたところ、一の加飾型を繰り返し使用しても、この加飾型が引きちぎられることはなく、繰り返し屈曲により加飾部表面にひび割れを生じて、その使用ができなくなるのは、500回以上用いた後であった。
【0108】
ここで、この実施例1の比較例として、従来の製造装置及びその装置を用いた製造方法によって模様付きパネルを製造した結果を示す。
【0109】
本比較例においては図9に示すように、本願加飾型の代わりに、前記加飾部と同一構造で前記金属板部を有しない加飾型を使用し、これを直接基盤上に装着した製造装置を用いて、実施例1と同様な操作を行った。すなわち、各無機緻密体1,2…8及び各無機発泡体1,2…8は各々、前記表2に示す加飾型13,14を用いることによって製造された。ただし、硬化体の加飾型からの離脱は、基盤に装着した加飾型に対し、直接硬化体を引き離す方法(図10)、及び基盤を分離すると共に硬化体を固定して、加飾型を引き剥がす方法(図11)の2つの場合について行った。
【0110】
その結果、直接硬化体を引き離す方法によると、加飾型と硬化体とが密着しているためワイヤによる剥離方向への力は硬化体全面に分散し、上記密着を解くに十分な力をワイヤに加えると、無機緻密体、無機発泡体共にその組成の如何に関わらず破損若しくは破壊して、満足な形状の硬化物を得ることができなかった。
【0111】
一方、基盤を分離すると共に硬化体を固定して、加飾型を引き剥がす方法によると、硬化体が破損、破壊することなく脱型することはできたが、製造工程で生じた加飾型の位置ずれにより、硬化体の全寸に対して加飾の凹凸の位置が各々微妙にずれていた。
【0112】
また、この方法においては、繰り返し利用回数が50回にて加飾型が引きちぎられ、その耐久性は実施例1で示した本願加飾型の耐久性に及ぶものではなかった。
【0113】
以上、この発明の実施の形態1を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態1に限らず、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。
【0114】
例えば、加飾部には弾性材料が用いられることとしたが、具体的には、ウレタンゴム(U)、ケイ素ゴム(シリコーンゴム(Q))、アクリルゴム(ACM、ANM)、ブチルゴム(IIR)、フッ化物系ゴム(フッ素ゴム(FKM))、多硫化物系ゴム(多硫化ゴム(T))、グラフトゴム、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ポリブタジエン(1,2−BR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリイソブチレンゴム、ポリブテンゴム、イソブテン−イソプレンゴム、アクリレートーブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(ニトリルゴム(NBR))、ピリジン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、アクリロニトリル−クロロプレンゴム、スチレン−クロロプレンゴム等の合成ゴム、あるいはスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−水素添加ポリオレフィン−スチレン共重合体等のスチレン系熱可塑エラストマーやブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ゴム中間ブロック−スチレン共重合体等のブロック共重合体、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン共重合体(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、天然ゴム(NR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、エピクロルヒドリンゴム(CO、ECO)等のエラストマーを挙げることができる。特に加硫によって得られるゴム組成物としては、耐薬品性、とりわけ耐アルカリ性に優れるエチレン−プロピレン系ゴム(EPR、EPM、EPDM)を使用することが最適であり、続いて、耐アルカリ性はエチレン−プロピレン系ゴム(EPR、EPM、EPDM)に劣るものの耐摩耗や機械的な強度に優れるアクリロニトリル−ブタジエンゴム(ニトリルゴム(NBR))、耐アルカリ性を多少犠牲にしてコスト性を重視した場合に選択される汎用ゴム、中でもスチレン−ブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム(NR)を使用することが望ましい。加硫ゴム以外のものではシリコーンゴム(Q)を用いることが望ましいが、コスト的な観点からはウレタンゴム(U)が選択される。上記材料は、1種、又は2種以上混合したものであってもよく、炭酸カルシウム、アルミナ等の無機充填材や澱粉等の有機充填材を添加したものであってもよい。
【0115】
また、加飾部に裏打ちされている金属板部の材質としては、鉄、鉄鋼、ステンレススチール、銅、アルミニウム、真鍮等の金属又は合金等が挙げられる。そして、その厚さに関しては、特に限定はされないが、5mm以下、さらに0.5mm以上3mm以下が好ましい。
【0116】
加飾型と型枠との位置決め方法についても、特に限定はされない。実施の形態1においては、金属板部の周縁部と型枠とに各々位置決め孔を設け、これらの位置決め孔にボルトを挿通することによって、型枠を加飾型の所定位置に精度よく、かつ容易に位置決め装着することが可能であった。しかし、更に精度を要求する場合には、ノックピン用の穴を設け、ノックピンを用いて行う方法を採用することが望ましい。
【0117】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明の請求項1記載のものによれば、基材硬化後、前記着脱部によって前記加飾型が前記型枠から分離される。
【0118】
そして、該加飾型をその一端から引き剥がして前記硬化体から離反させると、該加飾型は前記加飾部に前記金属板部が設けられて構成されているので、該加飾型の凹凸模様を形成する加飾部は、前記金属板部と共に、折曲せずに弓なりに湾曲して、前記硬化体に形成された凹凸面に対して略垂直方向へ徐々に外れていく。
【0119】
このため、前記加飾型の凸状部分が前記硬化体の凹状部分と従来のように引っ掛かりそのために極度の伸長が前記加飾部に生じる、という虞は小さく、円滑な脱型が可能である。
【0120】
したがって、従来のように応力集中による前記加飾部の凸状部分或いは前記加飾型自体の破損若しくは破壊の虞もなくなり、該加飾型の耐久性が向上してその転用回数も増大する。
【0121】
また、前記金属板部を前記加飾部に固着して設けることができるので、前記着脱部を介して該金属板部に装着される前記型枠と前記加飾部との相対位置関係が確定される。
【0122】
このため、模様付きパネルを製造するごとに前記加飾型の着脱が繰り返されても、前記硬化体に付される凹凸模様と該硬化体の周端縁との相対的な位置関係が容易かつ良好に再現されるので、製品としてのパネルの所望する箇所に繰り返して模様を付すことができる。
【0123】
さらに、このように前記型枠に対して前記加飾部が固定できるので、例えば、振動が与えられる等の製造工程があったとしても該加飾部が所定位置からずれることはなく、この点においても、前記硬化体に所望する模様を忠実に付すことができる。
【0124】
したがって、円滑な脱型を可能にすると共に耐久性の高い加飾型を有し、かつ、所望する模様をパネルに忠実に付すことができる。
【0125】
また、請求項2に記載されたものでは、前記着脱部に設けられ、前記金属板部の周縁近傍の一部に形成される位置決め孔が、前記基材から離反させる方向への力を作用させる孔を兼ねているので、別途、離反させる方向への力を前記金属板部に作用させるための被係止孔等を形成する必要がない。
【0126】
このため、構成が簡略化されて部品点数を増大させることがない。
【0127】
しかも、前記型枠を離脱させてから直ちに該位置決め孔を用いて前記基材から離反させる方向への力を作用させることができるので、施工工程数の増大も抑制されて、さらに製造コストを低減させることができる。
【0128】
また、前記位置決め孔一点を用いて引き剥がしても、直接、前記ゴム製の加飾部に離反させる力を加えずに、前記金属板部から面状に分散させることができるので、さらに、加飾型の耐久性を良好なものとすることができる。
【0129】
そして、請求項3に記載されたものでは、前記加飾型が、前記金属板部を前記加飾部に裏打ちするのみで構成できるので、高い耐久性を有する該加飾型に良好な生産性を持たせて製造できる。
【0130】
また、請求項4に記載されたものでは、前記着脱部によって前記加飾型の周縁部に型枠を装着した状態で、例えば硬化性の液状基材を充填すると、該基材は、その前記加飾部接触面に凹凸模様が形成されながら硬化する。
【0131】
この際、該加飾部に沿って湾曲可能な金属板部が設けられて、加飾型の周囲の型枠へ装着されているので、加飾部は、型枠に対して位置決め配設される。
【0132】
このため、製品としてのパネルの所望する箇所に繰り返して模様を付すことができる。
【0133】
該基材硬化後、脱型が行われる。脱型では、まず、前記型体の加飾型から前記型枠を離脱させる。そして、前記加飾型に設けられた加飾部を該金属板部と一体に湾曲させると共に徐々に剥離させて、前記基材から前記加飾型を離反させる。
【0134】
該加飾型の凹凸模様を形成する加飾部は、前記金属板部と共に、折曲せずに弓なりに湾曲して、前記硬化体に形成された凹凸面に対して略垂直方向へ徐々に外れていく。
【0135】
このため、前記加飾型の凸状部分が前記硬化体の凹状部分と従来のように引っ掛かりそのために極度の伸長が前記加飾部に生じる、という虞は小さく、円滑な脱型が可能である。
【0136】
したがって、従来のように応力集中による前記加飾部の凸状部分或いは前記加飾型自体の破損若しくは破壊の虞もなくなり、該加飾型の耐久性が向上してその転用回数も増大する。
【0137】
このように、円滑に脱型を行えて、しかも、加飾型に高い耐久性を持たせることができる、という実用上有益な効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の模様付きパネルの製造装置を示す上面図である。
【図2】本発明の実施の形態1の模様付きパネルの製造装置で、図1のA−A線に沿った位置での断面側面図である。
【図3】本発明の実施の形態1の模様付きパネルの製造装置で、図1のB−B線に沿った位置での断面正面図である。
【図4】本発明の実施の形態1の模様付きパネルの製造装置で、図3における着脱部近傍を拡大した断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1の模様付きパネルの製造方法を示し、基盤に加飾型と型枠とを設置する様子を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態1の模様付きパネルの製造方法を示し、基盤に加飾型と型枠とが設置された様子を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態1の模様付きパネルの製造方法を示し、型体に基材を充填して上蓋を設置した様子を示す説明図である。
【図8】本発明の実施の形態1の模様付きパネルの製造方法を示し、硬化体と加飾型とが分離される前の様子を示す説明図である。
【図9】本発明の実施の形態1の模様付きパネルの製造方法を示し、硬化体から加飾型が剥離される様子を示す説明図である。
【図10】本発明の実施の形態1の模様付きパネルの製造方法を示し、図9の説明図における剥離箇所近傍した拡大断面図である。
【図11】一従来例の模様付きパネルの製造装置を示し、図3に相当する箇所の断面図である。
【図12】一従来例の模様付きパネルの製造方法を示し、加飾型から硬化体が離脱される様子を示す説明図である。
【図13】他の従来例の模様付きパネルの製造方法を示し、硬化体から加飾型が剥離される様子を示す説明図である。
【図14】他の従来例の模様付きパネルの製造方法を示し、図13における剥離箇所近傍を拡大した断面図である。
【符号の説明】
1 模様付きパネルの製造装置
3 型枠
着脱部
3b 位置決め孔
12b 位置決め孔
14 ボルト
15 ナット
16 座金
4 加飾型
6 硬化体
10 型体
11 加飾部
12 金属板部
12a 周縁部(加飾型の周縁部)
Claims (4)
- 硬化性のパネル基材が充填される型体を有し、該型体は、前記パネルに凹凸模様を形成する加飾型と、該加飾型の周縁部に設けられ、前記基材によって得られる硬化体の周端縁を形成する型枠とを有する模様付きパネルの製造装置であって、前記加飾型は、弾性変形可能な加飾部と、該加飾部に設けられた金属板部とを有し、前記金属板部に前記型枠が位置決めされて装着可能とすると共に、該金属板部と前記加飾部とが一体に湾曲するものであり、該金属板部と前記加飾部とが一体に湾曲して硬化したパネル基材から剥離するように、該型枠を離脱可能とする着脱部を設けたことを特徴とする模様付きパネルの製造装置。
- 前記着脱部は、前記金属板部の周縁近傍の一部に形成される位置決め孔を有すると共に、該位置決め孔が、前記基材から離反させる方向への力を付与して、該金属板部を湾曲させながら、硬化した基材から前記加飾部と共に離脱させる手段に利用可能であることを特徴とする請求項1記載の模様付きパネルの製造装置。
- 前記加飾部の裏面には、前記金属板部が固着されて構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の模様付きパネルの製造装置に用いる加飾型。
- 略平面状に凹凸模様を形成する加飾部に沿って、湾曲可能な金属板部を設けた加飾型の周縁部に、着脱部を介して着脱可能とする型枠を位置決め配設した型体内へ、流動性基材を充填すると共に、該基材硬化後、前記型体の加飾型から前記型枠を離脱させてから、前記基材から前記加飾型を離反させる際、前記加飾型に設けられた加飾部を該金属板部と一体に湾曲させると共に剥離して、該基材に凹凸模様を形成することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の模様付きパネルの製造装置を用いた製造方法。
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