JP3608197B2 - スペクトラム直接拡散信号の同期捕捉装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スペクトラム直接拡散信号の同期捕捉装置に係り、更に詳しくは、スペクトラム直接拡散通信における受信側の同期捕捉装置において、符号同期の誤りを検出するための改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
直接拡散(DS:Direct Sequence)方式によるスペクトラム拡散通信では、狭帯域の1次変調信号が送信側において拡散変調(2次変調)され、広帯域な信号として送信される。この拡散変調は、1次変調信号にPN系列(Pseudorandom Noise)からなる拡散符号を乗算することにより行われる。受信側では、受信信号を送信側と同じ拡散符号を用いて逆拡散して元の1次変調信号に戻し、その後、復調部によってベースバンド波形が再生される。ここで、送信側及び受信側で用いられる拡散符号は、固有の全く同じものである。
【0003】
受信信号を逆拡散して正しい受信データを得るためには、受信側での拡散符号発生タイミングと送信側の拡散符号発生タイミングを一致させなければならない。ここでは、送られてきた信号の拡散符号のタイミングと受信機における拡散符号のタイミングとが一致している状態を符号同期と呼び、この状態に至らしめることを同期捕捉と呼ぶ。
【0004】
図5は、スペクトラム直接拡散方式において同期捕捉を行うための同期捕捉装置の従来の構成を示したブロック図である。図中の1はマッチドフィルタ、2は受信拡散符号生成部、3は加算回路、4はピーク検出部、5は受信タイミング生成部である。
【0005】
受信拡散符号生成部2は、送信側において拡散変調に用いられている拡散符号が予め与えられ、この拡散符号と同一の拡散符号を生成している。マッチドフィルタ1は、受信拡散符号生成部2で生成された受信用拡散符号と、スペクトラム直接拡散信号である受信信号との相関を求める相関回路であり、デジタル・マッチド・フィルタ回路として構成される。マッチドフィルタ1には、受信したスペクトラム拡散信号をダウンコンバートして得られたIF(中間周波数)信号が入力されるとともに、受信拡散符号生成部2からの拡散符号が入力され、これらの乗算演算によって相関値が求められる。
【0006】
加算回路3は、マッチドフィルタ1から出力される相関値を巡回加算する演算回路である。マッチドフィルタ1で求められた相関値は、加算回路3において拡散符号の各位相ごとに予め定められた回数だけ加算され平均値が求められる。すなわち、相関値が、拡散符号のn周期(nは任意の整数)の期間にわたって位相毎に加算される。ピーク検出部4は、加算回路3から出力される位相毎の相関値について、そのピーク(最大値)を検出している。
【0007】
マッチドフィルタ1から出力される相関値は、拡散符号のタイミング(位相)が一致する場合には大きくなり、拡散符号のタイミングが一致しない場合には小さくなる。このため、拡散信号の周期毎に相関値のピークが現れ、このピークを検出することにより、受信信号の拡散符号と受信拡散符号生成部2で生成される拡散符号とのタイミングのずれを検出することができる。受信タイミング生成部5は、ピーク検出部4での検出結果に基づいて、符号同期をとるための受信タイミングを求める。この様にして同期捕捉装置は受信スペクトラム拡散信号への同期をとっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
スペクトラム直接拡散通信においては、ある程度のノイズレベルがあることを前提としており、ノイズがある状況においては、他の符号にて拡散された受信信号の逆拡散を行なっても相関値にピークが発生しない。しかし、回線状態がよくノイズレベルが低い状況においては、他の符号にて拡散された信号に対して相関値のピークが発生する場合があり、誤った相関ピークに同期してしまうことがある。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、誤った符号同期を検出することができるスペクトラム直接拡散信号の符号同期装置を提供することを目的とする。特に、ノイズレベルが低い状況下における誤同期を検出することができるスペクトラム直接拡散信号の符号同期装置を提供することを目的とする。また、回線状態にかかわらず符号同期を確立することができるスペクトラム直接拡散信号の符号同期装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明によるスペクトラム直接拡散信号の同期捕捉装置は、受信用拡散符号を生成する受信拡散符号生成手段と、この受信用拡散符号を用いて受信信号との相関値を求める相関手段と、求められた相関値のピークを検出するピーク検出手段と、このピーク検出結果に基づいて符号同期のタイミングを生成する受信タイミング生成手段と、相関ピーク値に基づいて誤同期を判別するピーク値判定手段と、相関ピーク値の平均値を求めるピーク平均化手段とを備え、上記ピーク値判定部が、検出された相関ピークを相関ピークの平均値と比較し、この比較結果に基づいて誤同期の判定を行うように構成される。
【0011】
ピーク検出手段による相関値のピーク検出結果に基づいて、受信タイミング生成手段が符号同期のタイミングを生成している場合に、ピーク値判定手段が、相関ピーク値に基づいて符号同期の誤りを判別することにより、誤同期を検出することができる。しかも、検出されたピーク値を過去のピーク平均値と比較することにより、検出精度をより向上させることができる。
【0012】
請求項2に記載の本発明によるスペクトラム直接拡散信号の同期捕捉装置は、ピーク値判定手段の判定結果に基づいて相関手段に供給する受信用拡散符号を変更する拡散符号変更手段を備え、ピーク値判定手段が、拡散符号変更後のピーク検出手段によるピーク検出結果に基づいて誤同期を判別するように構成される。
【0013】
ピーク値判定手段が、相関ピーク値に基づいて誤同期について1次判定を行い、この1次判定結果に基づいて、拡散符号変更手段が、相関手段に供給する受信用拡散符号を変更する。相関手段は、変更後の受信用拡散符号を用いて新たに相関値を求め、ピーク検出部によるピーク検出結果に基づいて、ピーク値判定手段が、誤同期について2次判定を行う。1次判定及び2次判定によって誤同期であると判断できれば、誤同期の検出精度を向上させることができる。特に、高C/N下での誤同期を精度よく検出することができる。
【0014】
請求項3に記載の本発明によるスペクトラム直接拡散信号の同期捕捉装置は、拡散符号変更手段が、受信拡散符号生成手段により生成される符号系列を変更し、拡散符号変更後にピークが検出された場合に誤同期と判定するように構成される。拡散符号変更手段により、受信拡散符号生成手段により生成される符号系列が変更された後も、ピークが検出される場合、高C/N下の誤同期であると判断することができる。
【0015】
請求項4に記載の本発明によるスペクトラム直接拡散信号の同期捕捉装置は、タイミングオフセット多重方式の同期捕捉装置であって、拡散符号変更手段が、受信拡散符号生成手段から相関手段に至る受信用拡散符号の遅延時間を変更し、ピーク値判定部が、拡散符号変更後にピークが検出されなかった場合に誤同期と判定するように構成される。
【0016】
タイミングオフセット多重通信の場合、同じ拡散符号を遅延させて異なるチャンネルに使用しているため、受信用拡散符号を予め与えられた所定時間だけ遅延させれば、他チャンネルの信号へ同期することができる。このため、受信用拡散符号の遅延時間変更後にピークが検出されない場合、高C/N下の誤同期であると判断することができる。
【0017】
請求項5に記載の本発明によるスペクトラム直接拡散信号の同期捕捉装置は、受信用拡散符号を生成する受信拡散符号生成手段と、この受信用拡散符号を用いて受信信号との相関値を求める相関手段と、求められた相関値のピークを検出するピーク検出手段と、このピーク検出結果に基づいて符号同期のタイミングを生成する受信タイミング生成手段と、相関ピーク値に基づいて誤同期を判別するピーク値判定手段と、上記ピーク値判定手段の判定結果に基づいて、受信拡散符号生成手段により生成される符号系列を変更する拡散符号変更手段とを備え、符号系列変更後にピークが検出された場合に誤同期と判定するように構成される。
【0018】
請求項6に記載の本発明によるスペクトラム直接拡散信号の同期捕捉装置は、タイミングオフセット多重方式の同期捕捉装置であって、受信用拡散符号を生成する受信拡散符号生成手段と、この受信用拡散符号を用いて受信信号との相関値を求める相関手段と、求められた相関値のピークを検出するピーク検出手段と、このピーク検出結果に基づいて符号同期のタイミングを生成する受信タイミング生成手段と、相関ピーク値に基づいて誤同期を判別するピーク値判定手段と、受信拡散符号生成手段から相関手段に至る受信用拡散符号の遅延時間を変更する拡散符号変更手段とを備え、拡散符号変更後にピークが検出されなかった場合に誤同期と判定するように構成される。
【0019】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による同期捕捉装置の一構成例を示したブロック図である。図中の1はマッチドフィルタ(MF)、2は受信拡散符号生成部、3は加算回路、4はピーク検出部、5は受信タイミング生成部、6はピーク値平均化部、7はピーク値判定部である。なお、従来の同期捕捉装置の構成部分に相当するブロックには同一符号を付し、同一の構成、動作についての詳細な説明は省略する。
【0020】
マッチドフィルタ1は、受信したスペクトラム拡散信号に受信拡散符号を乗算して、相関値を求める相関回路である。受信拡散符号生成部2は、予め指定された受信用の拡散符号を生成してマッチドフィルタ1へ出力する受信拡散符号の発生回路である。加算回路3は、マッチドフィルタ1から出力される相関値を巡回加算する巡回加算回路であり、ピーク検出部4は加算回路3の出力に基づいて相関値のピークを検出する。受信タイミング生成部5はこの相関ピークに基づいて受信タイミング信号、すなわち拡散符号の同期タイミング信号を生成する。
【0021】
また、ピーク検出部4は、検出されたピークの相関値を、ピーク値(相関ピーク値)としてピーク値平均化部6及びピーク値判定部7に出力する。ピーク値平均化部6は、検出された相関ピーク値を記憶し、これまでの相関ピーク値の平均を求めている。ピーク値判定部7は、ピーク検出部4からの相関ピーク値と、ピーク値平均化部6からの相関ピーク値の平均値とを比較し、この比較結果に基づいて新たに検出されたピークが、正常受信であるのか、高C/N下での誤同期であるのかを判定する。このため、高C/N時に観測される本来のピークとは異なるピークがピーク検出部4において検出されたことを判別することができる。
【0022】
この判定結果は、誤同期判定信号として受信タイミング生成部5へ出力される。受信タイミング生成部5は、誤同期判定信号に基づいて、受信タイミング信号を生成する。つまり、ピーク値判定部7が誤同期であると判定した場合には、ピーク検出部4からピーク検出結果が出力されていても、受信タイミング信号を出力しない。このため、誤ったピーク検出結果に基づいて、誤同期が発生するのを防止し、あるいは抑制することができる。
【0023】
本実施の形態では、正常受信時に検出された相関ピーク値について平均値を求めるピーク値平均化部と、ピーク検出部で新たに検出された相関ピーク値をこの平均値と比較するピーク値判定部とを備え、この比較結果に基づいて、新たに検出されたピークによる同期が、誤同期であるか否かを判別することができる。特に、高C/N下での誤ったピークの検出を判別することができる。このため、同期捕捉装置において誤同期が発生するのを防止し、あるいは抑制することができる。また、高C/N下においても正常な符号同期を実現することができる。
【0024】
実施の形態2.
図2は、本発明の実施の形態2による同期捕捉装置の一構成例を示したブロック図である。図中の1はマッチドフィルタ、2は受信拡散符号生成部、3は加算回路、4はピーク検出部、5は受信タイミング生成部、8はピーク値判定部、9は拡散符号変更部である。図1と比較すれば、ピーク値平均化部6を備えず、ピーク値判定部8及び拡散符号変更部9を備える点で異なる。
【0025】
ピーク検出部4において検出された相関ピーク値は、ピーク値判定部8に入力される。ピーク値判定部8は、この相関ピーク値を予め定められた閾値と比較し、検出された相関ピーク値が閾値よりも小さい場合には誤同期であると判定する。つまり、所定の閾値との比較結果に基づいて、新たに検出された相関ピークが正常受信であるのか、高C/N下での誤同期であるのかを判定する(一次判定)。これにより、高C/N時に観測された本来のピークとは異なるピークがピーク検出部4において検出された可能性が高いことを判別できる。
【0026】
この判別結果は、拡散符号変更信号として拡散符号変更部9へ出力される。拡散符号変更部9は、拡散符号変更信号に基づいて、受信拡散符号生成部2において生成される拡散符号を本来受信に使用されるコード(符号系列)から他のコード(符号系列)へ変更する。
【0027】
拡散符号の変更後は、受信拡散符号生成部2が新たな拡散符号を生成し、マッチドフィルタ1がこの新たな拡散符号を用いて相関値を求め、ピーク検出部3が相関ピークの検出を行う。この結果、相関ピークが検出された場合には、ピーク値判定部8が高C/N下の誤同期であると判定する(二次判定)。つまり、1次判定の判定結果を確認することができる。この様にして、本来のピークとは異なる高C/N時に観測されるピークがピーク検出部4において検出されたことを判別することができる。
【0028】
この判定結果は、誤同期判定信号として受信タイミング生成部5へ出力される。受信タイミング生成部5は、誤同期判定信号に基づいて、受信タイミング信号を生成する。このため、誤ったピーク検出結果に基づいて、誤同期が発生するのを防止し、あるいは抑制することができる。
【0029】
本実施の形態では、誤同期の一次判定及び二次判定を行うピーク値判定部と、受信拡散符号を変更する拡散符号変更部とを備え、新たに検出されたピーク値を所定の閾値と比較して一次判定を行い、一次判定の結果に基づいて、受信拡散符号生成部で生成される拡散符号を変更し、拡散符号変更後にピークが検出されるか否かに基づいて二次判定を行っている。このため、検出されたピークによる同期が、誤同期であるか否かを精度よく判別することができる。特に、高C/N下での誤ったピーク検出を判別することができる。このため、同期捕捉装置において誤同期が発生するのを防止し、あるいは抑制することができる。また、高C/N下においても正常な符号同期を実現することができる。
【0030】
実施の形態3.
実施の形態2では、一次判定において所定の閾値と比較する場合の例について説明したが、本実施の形態では、実施の形態2の一次判定において相関ピーク値の平均値と比較する実施の形態1の判定方法を用いる場合について説明する。
【0031】
図3は、本発明の実施の形態3による同期捕捉装置の一構成例を示したブロック図である。図中の1はマッチドフィルタ、2は受信拡散符号生成部、3は加算回路、4はピーク検出部、5は受信タイミング生成部、6はピーク値平均化部、7’はピーク値判定部、9は拡散符号変更部である。図1と比較すれば、ピーク値判定部7’及び拡散符号変更部9が異なり、図2と比較すれば、ピーク値平均化部6を備える点で異なる。
【0032】
ピーク平均化部6が、ピーク検出部4で検出された前回までの相関ピーク値の平均値を求め、ピーク値判定部7’が新たに検出された相関ピーク値を平均値と比較する動作は、実施の形態1(図1)の場合と同様である。ピーク値判定部7’は、この比較結果に基づいて正常受信であるのか、高C/N下での誤同期であるのかを判定する(一次判定)。これにより、高C/N下での誤同期である可能性が高いと判別されると拡散符号変更信号を出力する。
【0033】
その後の動作は、実施の形態2の場合と同様である。すなわち、拡散符号変更信号に基づいて、受信拡散符号生成部2において生成される拡散符号が本来使用されるコードから他のコードに変更され、拡散符号の変更後に、相関ピークが検出された場合には、ピーク値判定部7’が高C/N下の誤同期であると判定する(二次判定)。
【0034】
本実施の形態では、相関ピーク値により行われる一次判定を、正常受信時の平均値との比較結果に基づいて行うことにより、高C/N下における誤同期と、低C/N下における正常同期との判別を、実施の形態2の場合に比べ、より確実に行うことができる。また、高C/N下においてより確実に符号同期を行うことができる。
【0035】
実施の形態4.
実施の形態2では、二次判定において拡散符号のコードを変更する場合の例について説明したが、本実施の形態では、タイミングオフセット多重方式において、拡散符号を所定の時間だけ遅延させて二次判定を行う場合について説明する。なお、タイミングオフセット多重方式とは、スペクトラム直接拡散方式による多重通信を行う際、異なるチャンネルについて同一の拡散符号をタイミングを異ならせて、つまり遅延させて使用することにより、2以上のチャンネルを多重化する方式である。この場合、拡散符号として符号長が十分に長いものが用いられ、符号長よりも短いタイミングオフセットがチャンネル毎に割り当てられる。
【0036】
図4は、本発明の実施の形態4による同期捕捉装置の一構成例を示したブロック図である。図中の1はマッチドフィルタ、2は受信拡散符号生成部、3は加算回路、4はピーク検出部、5は受信タイミング生成部、8’はピーク値判定部、9は拡散符号変更部、10は拡散符号遅延部、11は拡散符号選択部である。図2と比較すれば、拡散符号遅延部10及び拡散符号選択部11を備える点で異なる。
【0037】
受信拡散符号生成部2において生成された受信用の拡散符号は、拡散符号選択部11及び拡散符号遅延部10へ入力される。拡散符号遅延部10は、他のチャンネルを使用する際に送信側で拡散符号を遅延させる遅延時間だけ拡散符号を遅延させて、拡散符号選択部11へ出力している。そして、拡散符号選択部11は、マッチドフィルタ1に対し、受信拡散符号生成部2からの拡散符号及び拡散符号遅延部10からの遅延させた拡散符号のいずれかを選択して出力する。
【0038】
ピーク値判定部8’が新たに検出された相関ピーク値を所定の閾値と比較して正常受信であるのか、高C/N下での誤同期であるのかを判定し、この判別結果に基づいて拡散符号変更信号が拡散符号変更部9へ出力されるのは実施の形態2の場合と同様である。
【0039】
拡散符号変更部9は、拡散符号変更信号に基づいて、拡散符号選択部11を制御して、マッチドフィルタ1へ入力される拡散符号を変更する。この拡散符号の変更は、拡散符号のコードの変更ではなくタイミングオフセットの変更であり、受信拡散符号生成部2の出力から拡散符号遅延部10の出力へ切り替えられる。
【0040】
拡散符号の変更後におけるピーク検出部4のピーク検出結果に基づいて、誤同期であるか否かをピーク値判定部8’が判定する。タイミングオフセット多重方式では、同じ拡散符号で拡散された信号が、所定のオフセット分だけ遅延された間隔で送信されてくるため、多重化されている場合には、遅延させた拡散符号を用いても相関ピークを検出することができる。このため、拡散符号の変更後もピークが検出された場合には、拡散符号変更前に検出されたピークは正常受信であると判定することができ、ピークが検出されなかった場合には、高C/N下での誤同期であるのかを判定することができる。この判定結果に基づいて、ピーク値判定部8’は、受信タイミング発生部5へ誤同期判定信号を出力する。
【0041】
本実施の形態では、タイミングオフセット多重方式による同期捕捉装置において、一次判定において誤同期と判定された場合に、多重チャンネル間の拡散符号の遅延時間だけ拡散符号を遅延させて相関ピークを検出して二次判定を行っている。このため、タイミングオフセット多重方式において高C/N下における誤同期と、低C/N下における正常同期との判別を、より確実に行うことができる。また、高C/N下においてより確実に符号同期を行うことができる。
【0042】
【発明の効果】
本発明によるスペクトラム直接拡散信号の同期捕捉装置は、相関手段が受信用拡散符号を用いて受信信号との相関値を求め、ピーク検出手段が相関値のピークを検出し、ピーク値判定手段が相関ピーク値に基づいて誤同期を判別する、このため、同期捕捉装置において誤同期を検出することができる。特に、高C/N下での誤同期を検出することができる。また、回線状態にかかわらず符号同期を確立することができる。
【0043】
また、本発明によるスペクトラム直接拡散信号の同期捕捉装置は、拡散符号変更手段がピーク値判定手段の判定結果に基づいて受信用拡散符号を変更し、ピーク値判定手段が、拡散符号変更後のピーク検出手段によるピーク検出結果に基づいて誤同期を判別する。このため、誤同期の検出をより確実に行うことができる。特に、高C/N下での誤同期を精度よく検出することができる。また、回線状態にかかわらず符号同期を確立することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による同期捕捉装置の一構成例を示したブロック図であり、検出した相関ピーク値と過去の受信時の相関ピーク値とを比較して、高C/N下での誤同期を検出する構成が示されている。
【図2】本発明の実施の形態2による同期捕捉装置の一構成例を示したブロック図であり、検出した相関ピーク値が閾値よりも低い場合に、拡散符号を変更して確認することにより、高C/N下での誤同期を検出する構成が示されている。
【図3】本発明の実施の形態3による同期捕捉装置の一構成例を示したブロック図であり、過去の受信時の相関ピーク値を用いて、拡散符号を変更する構成が示されている。
【図4】本発明の実施の形態4による同期捕捉装置の一構成例を示したブロック図であり、タイミングオフセット多重方式において、拡散符号の遅延量を変更して確認することにより、高C/N下での誤同期を検出する構成が示されている。
【図5】スペクトラム直接拡散方式において同期捕捉を行うための同期捕捉装置の従来の構成を示したブロック図である。
【符号の説明】
1 マッチドフィルタ、2 受信拡散符号生成部、3 加算回路、
4 ピーク検出部、5 受信タイミング生成部、6 ピーク値平均化部、
7,7’,8,8’ ピーク値判定部、9 拡散符号変更部、
10 拡散符号遅延部、11 拡散符号選択部。

Claims (6)

  1. 受信用拡散符号を生成する受信拡散符号生成手段と、この受信用拡散符号を用いて受信信号との相関値を求める相関手段と、求められた相関値のピークを検出するピーク検出手段と、このピーク検出結果に基づいて符号同期のタイミングを生成する受信タイミング生成手段と、相関ピーク値に基づいて誤同期を判別するピーク値判定手段と、相関ピーク値の平均値を求めるピーク平均化手段とを備え、上記ピーク値判定手段が、検出された相関ピークを相関ピークの平均値と比較し、この比較結果に基づいて誤同期の判定を行うことを特徴とするスペクトラム直接拡散信号の同期捕捉装置。
  2. 上記ピーク値判定手段の判定結果に基づいて相関手段に供給する受信用拡散符号を変更する拡散符号変更手段を備え、ピーク値判定手段が、拡散符号変更後のピーク検出手段によるピーク検出結果に基づいて誤同期を判別することを特徴とする請求項1に記載のスペクトラム直接拡散信号の同期捕捉装置。
  3. 上記拡散符号変更手段が、受信拡散符号生成手段により生成される符号系列を変更し、拡散符号変更後にピークが検出された場合に誤同期と判定することを特徴とする請求項2に記載のスペクトラム直接拡散信号の同期捕捉装置。
  4. タイミングオフセット多重方式の同期捕捉装置であって、上記拡散符号変更手段が、受信拡散符号生成手段から相関手段に至る受信用拡散符号の遅延時間を変更し、ピーク値判定部が、拡散符号変更後にピークが検出されなかった場合に誤同期と判定することを特徴とする請求項2に記載のスペクトラム直接拡散信号の同期捕捉装置。
  5. 受信用拡散符号を生成する受信拡散符号生成手段と、この受信用拡散符号を用いて受信信号との相関値を求める相関手段と、求められた相関値のピークを検出するピーク検出手段と、このピーク検出結果に基づいて符号同期のタイミングを生成する受信タイミング生成手段と、相関ピーク値に基づいて誤同期を判別するピーク値判定手段と、上記ピーク値判定手段の判定結果に基づいて、受信拡散符号生成手段により生成される符号系列を変更する拡散符号変更手段とを備え、符号系列変更後にピークが検出された場合に誤同期と判定することを特徴とするスペクトラム直接拡散信号の同期捕捉装置。
  6. タイミングオフセット多重方式の同期捕捉装置であって、受信用拡散符号を生成する受信拡散符号生成手段と、この受信用拡散符号を用いて受信信号との相関値を求める相関手段と、求められた相関値のピークを検出するピーク検出手段と、このピーク検出結果に基づいて符号同期のタイミングを生成する受信タイミング生成手段と、相関ピーク値に基づいて誤同期を判別するピーク値判定手段と、受信拡散符号生成手段から相関手段に至る受信用拡散符号の遅延時間を変更する拡散符号変更手段とを備え、拡散符号変更後にピークが検出されなかった場合に誤同期と判定することを特徴とするスペクトラム直接拡散信号の同期捕捉装置。
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