JP3605885B2 - 車両の自動操舵装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、道路形状等の情報から設定される操舵角目標値に応じて車両を自動操舵する自動操舵装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動操舵装置は、サーボモータの回転軸とステアリングシャフトとを歯車を介して接続し、操舵目標角に応じてサーボモータの回転角を制御することにより、自動的にステアリングシャフトを所定量だけ回転させて、車両を操舵するものである。このような自動操舵装置において、特開平4−38266号公報には、自動操舵制御機構に異常が生じた場合に自動操舵を解除する安全機構を備えた技術が開示されている。
【0003】
すなわち、この装置は、ステアリングホイールと歯車との間のステアリングシャフトにかかるトルクが所定値以上となると、自動操舵中に異常を感じた運転者が自動操舵に抗してステアリングホイールを回転させたためにトルクが生じたと判断して、自動操舵が解除される構造になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、自動操舵時には、運転者がステアリングホイールを支持しないため、ステアリングホイールの慣性によってステアリングホイールと歯車との間のステアリングシャフトにねじりトルクが発生するが、このトルクはステアリングホイールの回転角加速度が大きいほど大きくなる。
【0005】
そして、このような状態は、自動操舵により障害物を回避する場合に起こりやすいが、前記特開平4−38266号公報に記載の装置では、この場合に、運転者がステアリングホイールを回転させたと判断して自動操舵が解除されることがあり、必要な自動操舵がなされない可能性がある。
また、近年、エアバックを搭載した車両が増加しているが、このような車両のステアリングホイールは慣性モーメントが比較的高く設定される傾向があるため、従来の装置ではこのような誤った判断が起こり易くなっている。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点に着目してなされたものであり、自動操舵を誤って解除することが防止された自動操舵装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、ステアリングホイールと操舵輪とを連結する操舵系に、操舵角目標値に応じた自動操舵力を入力する自動操舵手段を備えた車両の自動操舵装置において、前記操舵系の自動操舵力の入力位置とステアリングホイールとの間に発生するトルクを検出するトルク検出手段と、当該操舵系の操舵角加速度を検出する操舵角加速度検出手段と、前記トルク検出手段からのトルク検出値が所定値以上であり且つ前記操舵角加速度検出手段からの操舵角加速度検出値が所定値以下であるときに、前記自動操舵手段の作動を解除する解除手段とを有することを特徴とする車両の自動操舵装置を提供するものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1の自動操舵装置において、前記操舵角加速度検出手段は、ステアリングシャフトの回転角加速度を検出する回転角度検出手段であることを特徴とするものである。
【0009】
【作用】
本発明の自動操舵装置は、操舵系の自動操舵入力点とステアリングホイールとの間に発生するトルクは、運転者による自動操舵に抗する操舵に伴って発生する場合と、ステアリングホイールの慣性力により生じる場合とがあること、および前記トルクは後者の場合には操舵角加速度に応じた大きさになることに着目したものであり、前記トルクが所定値以上となっても、前記操舵角加速度検出手段からの操舵角加速度検出値(請求項2では、ステアリングシャフトの回転角加速度検出値)が所定値より大きいときには、運転者によるステアリングホイールの回転ではなく、ステアリングホイールの慣性力によりトルクが生じたものと判断して、自動操舵を解除しない。
【0010】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、この実施例における車両操舵系の概略構成図であり、これに基づいて先ず構成を説明する。
この操舵系において、ステアリングホイール1と一体に回転するステアリングシャフト2は、自在継手3により連結されたアッパシャフト2aとロアシャフト2bとで構成され、アッパシャフト2aの上端にステアリングホイール1が回転方向に一体に取り付けられているとともに、ロアシャフト2bの下端に設けたピニオンが、既知のラックアンドピニオン式ステアリングギヤボックス4内で車両左右方向に延びるサイドロッド5に螺合されている。
【0011】
前記アッパシャフト2aの自在継手3側の端部には歯車6が外嵌してあり、これに自動操舵用のモータ7の出力軸が内嵌された歯車8が螺合してある。前記モータ7は、内部に図示されないロータリーエンコーダ、タコジェネレータを格納し、電磁式等のクラッチも内蔵している。そして、このモータ7は、マイクロコンピュータと駆動回路とにより構成されるコントローラ9に接続され、このコントローラ9からの出力信号SM に基づいてクラッチのON・OFFとモータ7の回転量が制御されるようになっている。
【0012】
また、アッパシャフト2aのステアリングホイール1側の端部には、ステアリングホイール1と歯車6との間のアッパシャフト2aにかかるトルクを検出するトルクセンサ10と、アッパシャフト2aの回転角度を検出する角度センサ11とが配設されており、トルクセンサ10によるトルク検出値Tおよび角度センサ11による角度検出値θが前記コントローラ9に入力されるようになっている。また、このコントローラ9には道路形状情報等を検出する情報センサ12が接続してあり、この情報センサ12から入力された検出値Dに基づいて、当該コントローラ9で操舵角の目標値が算出されるようになっている。
【0013】
一方、この操舵系は、既知の油圧式パワーステアリング機構を備えており、前記サイドロッド5は、油圧シリンダ14のピストンロッドとしても機能している。そして、例えば、ロアシャフト2bに生じるねじりトルクに応じて、油圧シリンダ14の左右のシリンダ室に供給する油圧を制御することより、アシスト力が付与されるようになっている。また、このパワーステアリング機構は、自動操舵時および手動操舵時のいずれの場合にも作動するようになっており、これによって、手動操舵時には運転者の操舵に対する負担が低減されるとともに、自動操舵用のモータ7を小型化することができる。
【0014】
また、この実施例では、前記コントローラ9内で図2に示す演算処理が実行されることにより、自動操舵モード選択中における自動操舵解除制御がなされるようになっている。
すなわち、操舵系の自動操舵入力点(歯車6)とステアリングホイール1との間に発生するトルク(トルクセンサ10で検出される値)は、運転者による自動操舵に抗する操舵に伴って発生する場合と、ステアリングホイールの慣性力により生じる場合とがあり、前者の場合には自動操舵を素早く解除して早急に手動モードに切り換えることが有効であるが、後者の場合には自動操舵を解除すべきではない。そこで、この実施例では、図2に示す演算処理により、前者の場合にのみ自動操舵を解除して、後者の場合には自動操舵を解除しないようにする。
【0015】
ここで、操舵系の歯車6とステアリングホイール1との間を図3に示すようにモデル化すると、自動操舵時にモータ7によってアッパーシャフト2aが歯車6側から角度θ0 だけ回転され、これに伴って、運転者により支持されていないステアリングホイール1が慣性力により角度θh だけ振れ回った場合に、アッパーシャフト2aのねじり剛性をKh 、ステアリングホイール1の慣性モーメントをIh とすれば、運動方程式から下記の(1)式が成立する。なお、θh ”はθh の二階微分値を示す。
【0016】
Ih ・θh ”+Kh (θh −θ0 )=0 ……(1)
また、この場合にアッパーシャフト2aにかかるねじりトルクTa は、下記の(2)式で表されるため、
Ta =Kh (θ0 −θh ) ……(2)
これら式から下記の(3)式が導出される。
【0017】
Ta =Ih ・θh ” ……(3)
したがって、自動操舵時にステアリングホイール1の慣性力によりアッパーシャフト2aにかかるねじりトルクTa は、ステアリングホイール1の回転角加速度θh ”を検出することによって推定できる。
これに基づいて、図2に示す演算処理は、ステップS1で読込まれたトルク検出値Tが予め設定された基準値T0 以上であっても、ステップS3で算出された角度検出値θの二階微分値θ”(ステアリングホイール1の回転角加速度)が予め設定された基準値A以下より大きい場合には、モータ7の停止指令を出力するステップS5に移行しないものとしてある。
【0018】
ここで、図4に、ステアリングホイール1の回転角度θh 、回転角速度θh ’、回転角加速度θh ”、および前記トルクTa の関係をグラフで示すが、回転角加速度の基準値Aは、ステアリングホイール1の慣性モーメントIh と前記トルクの基準値T0 とに応じて、若干のマージンを見込み、Ih ・A<T0 となる値に設定することが好ましい。
【0019】
次に、この操舵系における自動操舵機構の作用について説明する。
自動操舵時には、情報センサ12からの検出値Dに応じたコントローラ9からの出力信号SM によって、モータ7の回転軸が所定量だけ回転し、この回転力が歯車8、歯車6を介してアッパーシャフト2aに伝達され、さらに、自在継手3、ロアシャフト2b、ステアリングギヤボックス4内のピニオンに伝達され、この回転力がサイドロッド5の並進運動に変化されて、図示されないタイロッド等を介して操舵輪が所定量だけ転舵される。また、その際に、ロアシャフト2bにかかる操舵トルクに応じたアシスト力が油圧シリンダ14により付与される。
【0020】
このような自動操舵時に、運転者が自動操舵に異常があると感じてステアリングホイール1を自動操舵に抗する方向に回転させると、アッパーシャフト2aの歯車6とステアリングホイール1との間にねじりトルクが発生する。
このトルクはトルクセンサ10で検出されているため、その検出値Tが所定値T0 以上であれば、図2の演算処理でステップS2からステップS3に移行し、ステアリングホイール1の回転角度検出値θから回転角加速度θ”が算出されるが、運転者がステアリングホイール1を支持しているため、ステップS4で回転角加速度θ”は所定値A以下であると判定されてステップS5に至り、自動操舵を解除するためのモータ停止指令が出力される。
【0021】
これに伴って、コントローラ9からの出力信号SM はクラッチをOFFにする信号として出力され、これによってモータ7内部のクラッチはOFFとなり、自動操舵が解除される。
一方、自動操舵により障害物回避等のために急な操舵が行われた時には、ステアリングホイール1の回転角加速度が大きいため、ステアリングホイール1に加わる慣性力が大きくなって、アッパーシャフト2aの歯車6とステアリングホイール1との間にねじりトルクが発生し、そのトルクは過渡的に前記所定値T0 以上となることがある。
【0022】
その場合には、トルクセンサ10からのトルク検出値Tが所定値T0 以上となって、図2の演算処理でステップS2からステップS3に移行し、ステアリングホイール1の回転角度検出値θから回転角加速度θ”が算出され、ステップS4で回転角加速度θ”は所定値Aより大きいと判定されてメインプログラムに復帰し、ステップS5には至らない。
【0023】
これに伴って、コントローラ9からの出力信号SM はクラッチをONとする信号として出力され、これによってモータ7内部のクラッチはONのままとなり、自動操舵が続行される。
したがって、従来の自動操舵解除機構を有する自動操舵装置では、トルク検出値がT0 以上となる図4の時刻t1 〜t2 の間は、運転者の意思に反して自動操舵が解除されるのに対して、この実施例ではこの間も自動操舵が行われる。すなわち、この実施例の自動操舵装置では、運転者の意思に応じた自動操舵およびその解除がなされる。
【0024】
なお、この実施例において、歯車6,8、モータ7、およびコントローラ9が本発明の自動操舵手段に相当し、図2の演算処理全体が解除手段に相当し、角度センサ11および図2の演算処理のステップS3が操舵角加速度検出手段に相当する。
また、前記実施例では、ステアリングホイール1側のステアリングシャフトであるアッパーシャフト2aの回転角を角度センサ11で検出し、この検出値から操舵角加速度を検出しているが、本発明の操舵角加速度検出手段はこれに限定されず、モータ7の出力軸の回転角加速度をコントローラ9内で算出することにより検出してもよく、この場合には専用のセンサが不要となる。また、サイドロッド5の進退加速度を操舵角加速度として検出してもよいが、前記実施例のようにステアリングシャフト2の回転角加速度を検出する方が検出精度の高いものとなる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の自動操舵装置によれば、操舵系の自動操舵入力点とステアリングホイールとの間にかかるトルクがステアリングホイールの慣性力により生じたものである場合には自動操舵を解除しない構成としたため、運転者の意思に反した自動操舵の解除が回避され、必要な自動操舵がなされる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の自動操舵装置が適用された車両操舵系を示す概略構成図である。
【図2】この実施例のコントローラで行われる自動操舵解除のための演算処理を示すフローチャートである。
【図3】実施例における操舵系の自動操舵入力点(歯車)とステアリングホイールとの間をモデル化した模式図である。
【図4】ステアリングホイールの回転角度、回転角速度、回転角加速度、および前記トルクTa の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト(操舵系)
4 ステアリングギヤボックス(操舵系)
5 ラック軸(操舵系)
6 歯車(自動操舵手段)
7 モータ(自動操舵手段)
8 歯車(自動操舵手段)
9 コントローラ(自動操舵手段、解除手段)
10 トルクセンサ
11 角度センサ(回転角加速度検出手段)
【産業上の利用分野】
本発明は、道路形状等の情報から設定される操舵角目標値に応じて車両を自動操舵する自動操舵装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動操舵装置は、サーボモータの回転軸とステアリングシャフトとを歯車を介して接続し、操舵目標角に応じてサーボモータの回転角を制御することにより、自動的にステアリングシャフトを所定量だけ回転させて、車両を操舵するものである。このような自動操舵装置において、特開平4−38266号公報には、自動操舵制御機構に異常が生じた場合に自動操舵を解除する安全機構を備えた技術が開示されている。
【0003】
すなわち、この装置は、ステアリングホイールと歯車との間のステアリングシャフトにかかるトルクが所定値以上となると、自動操舵中に異常を感じた運転者が自動操舵に抗してステアリングホイールを回転させたためにトルクが生じたと判断して、自動操舵が解除される構造になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、自動操舵時には、運転者がステアリングホイールを支持しないため、ステアリングホイールの慣性によってステアリングホイールと歯車との間のステアリングシャフトにねじりトルクが発生するが、このトルクはステアリングホイールの回転角加速度が大きいほど大きくなる。
【0005】
そして、このような状態は、自動操舵により障害物を回避する場合に起こりやすいが、前記特開平4−38266号公報に記載の装置では、この場合に、運転者がステアリングホイールを回転させたと判断して自動操舵が解除されることがあり、必要な自動操舵がなされない可能性がある。
また、近年、エアバックを搭載した車両が増加しているが、このような車両のステアリングホイールは慣性モーメントが比較的高く設定される傾向があるため、従来の装置ではこのような誤った判断が起こり易くなっている。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点に着目してなされたものであり、自動操舵を誤って解除することが防止された自動操舵装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、ステアリングホイールと操舵輪とを連結する操舵系に、操舵角目標値に応じた自動操舵力を入力する自動操舵手段を備えた車両の自動操舵装置において、前記操舵系の自動操舵力の入力位置とステアリングホイールとの間に発生するトルクを検出するトルク検出手段と、当該操舵系の操舵角加速度を検出する操舵角加速度検出手段と、前記トルク検出手段からのトルク検出値が所定値以上であり且つ前記操舵角加速度検出手段からの操舵角加速度検出値が所定値以下であるときに、前記自動操舵手段の作動を解除する解除手段とを有することを特徴とする車両の自動操舵装置を提供するものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1の自動操舵装置において、前記操舵角加速度検出手段は、ステアリングシャフトの回転角加速度を検出する回転角度検出手段であることを特徴とするものである。
【0009】
【作用】
本発明の自動操舵装置は、操舵系の自動操舵入力点とステアリングホイールとの間に発生するトルクは、運転者による自動操舵に抗する操舵に伴って発生する場合と、ステアリングホイールの慣性力により生じる場合とがあること、および前記トルクは後者の場合には操舵角加速度に応じた大きさになることに着目したものであり、前記トルクが所定値以上となっても、前記操舵角加速度検出手段からの操舵角加速度検出値(請求項2では、ステアリングシャフトの回転角加速度検出値)が所定値より大きいときには、運転者によるステアリングホイールの回転ではなく、ステアリングホイールの慣性力によりトルクが生じたものと判断して、自動操舵を解除しない。
【0010】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、この実施例における車両操舵系の概略構成図であり、これに基づいて先ず構成を説明する。
この操舵系において、ステアリングホイール1と一体に回転するステアリングシャフト2は、自在継手3により連結されたアッパシャフト2aとロアシャフト2bとで構成され、アッパシャフト2aの上端にステアリングホイール1が回転方向に一体に取り付けられているとともに、ロアシャフト2bの下端に設けたピニオンが、既知のラックアンドピニオン式ステアリングギヤボックス4内で車両左右方向に延びるサイドロッド5に螺合されている。
【0011】
前記アッパシャフト2aの自在継手3側の端部には歯車6が外嵌してあり、これに自動操舵用のモータ7の出力軸が内嵌された歯車8が螺合してある。前記モータ7は、内部に図示されないロータリーエンコーダ、タコジェネレータを格納し、電磁式等のクラッチも内蔵している。そして、このモータ7は、マイクロコンピュータと駆動回路とにより構成されるコントローラ9に接続され、このコントローラ9からの出力信号SM に基づいてクラッチのON・OFFとモータ7の回転量が制御されるようになっている。
【0012】
また、アッパシャフト2aのステアリングホイール1側の端部には、ステアリングホイール1と歯車6との間のアッパシャフト2aにかかるトルクを検出するトルクセンサ10と、アッパシャフト2aの回転角度を検出する角度センサ11とが配設されており、トルクセンサ10によるトルク検出値Tおよび角度センサ11による角度検出値θが前記コントローラ9に入力されるようになっている。また、このコントローラ9には道路形状情報等を検出する情報センサ12が接続してあり、この情報センサ12から入力された検出値Dに基づいて、当該コントローラ9で操舵角の目標値が算出されるようになっている。
【0013】
一方、この操舵系は、既知の油圧式パワーステアリング機構を備えており、前記サイドロッド5は、油圧シリンダ14のピストンロッドとしても機能している。そして、例えば、ロアシャフト2bに生じるねじりトルクに応じて、油圧シリンダ14の左右のシリンダ室に供給する油圧を制御することより、アシスト力が付与されるようになっている。また、このパワーステアリング機構は、自動操舵時および手動操舵時のいずれの場合にも作動するようになっており、これによって、手動操舵時には運転者の操舵に対する負担が低減されるとともに、自動操舵用のモータ7を小型化することができる。
【0014】
また、この実施例では、前記コントローラ9内で図2に示す演算処理が実行されることにより、自動操舵モード選択中における自動操舵解除制御がなされるようになっている。
すなわち、操舵系の自動操舵入力点(歯車6)とステアリングホイール1との間に発生するトルク(トルクセンサ10で検出される値)は、運転者による自動操舵に抗する操舵に伴って発生する場合と、ステアリングホイールの慣性力により生じる場合とがあり、前者の場合には自動操舵を素早く解除して早急に手動モードに切り換えることが有効であるが、後者の場合には自動操舵を解除すべきではない。そこで、この実施例では、図2に示す演算処理により、前者の場合にのみ自動操舵を解除して、後者の場合には自動操舵を解除しないようにする。
【0015】
ここで、操舵系の歯車6とステアリングホイール1との間を図3に示すようにモデル化すると、自動操舵時にモータ7によってアッパーシャフト2aが歯車6側から角度θ0 だけ回転され、これに伴って、運転者により支持されていないステアリングホイール1が慣性力により角度θh だけ振れ回った場合に、アッパーシャフト2aのねじり剛性をKh 、ステアリングホイール1の慣性モーメントをIh とすれば、運動方程式から下記の(1)式が成立する。なお、θh ”はθh の二階微分値を示す。
【0016】
Ih ・θh ”+Kh (θh −θ0 )=0 ……(1)
また、この場合にアッパーシャフト2aにかかるねじりトルクTa は、下記の(2)式で表されるため、
Ta =Kh (θ0 −θh ) ……(2)
これら式から下記の(3)式が導出される。
【0017】
Ta =Ih ・θh ” ……(3)
したがって、自動操舵時にステアリングホイール1の慣性力によりアッパーシャフト2aにかかるねじりトルクTa は、ステアリングホイール1の回転角加速度θh ”を検出することによって推定できる。
これに基づいて、図2に示す演算処理は、ステップS1で読込まれたトルク検出値Tが予め設定された基準値T0 以上であっても、ステップS3で算出された角度検出値θの二階微分値θ”(ステアリングホイール1の回転角加速度)が予め設定された基準値A以下より大きい場合には、モータ7の停止指令を出力するステップS5に移行しないものとしてある。
【0018】
ここで、図4に、ステアリングホイール1の回転角度θh 、回転角速度θh ’、回転角加速度θh ”、および前記トルクTa の関係をグラフで示すが、回転角加速度の基準値Aは、ステアリングホイール1の慣性モーメントIh と前記トルクの基準値T0 とに応じて、若干のマージンを見込み、Ih ・A<T0 となる値に設定することが好ましい。
【0019】
次に、この操舵系における自動操舵機構の作用について説明する。
自動操舵時には、情報センサ12からの検出値Dに応じたコントローラ9からの出力信号SM によって、モータ7の回転軸が所定量だけ回転し、この回転力が歯車8、歯車6を介してアッパーシャフト2aに伝達され、さらに、自在継手3、ロアシャフト2b、ステアリングギヤボックス4内のピニオンに伝達され、この回転力がサイドロッド5の並進運動に変化されて、図示されないタイロッド等を介して操舵輪が所定量だけ転舵される。また、その際に、ロアシャフト2bにかかる操舵トルクに応じたアシスト力が油圧シリンダ14により付与される。
【0020】
このような自動操舵時に、運転者が自動操舵に異常があると感じてステアリングホイール1を自動操舵に抗する方向に回転させると、アッパーシャフト2aの歯車6とステアリングホイール1との間にねじりトルクが発生する。
このトルクはトルクセンサ10で検出されているため、その検出値Tが所定値T0 以上であれば、図2の演算処理でステップS2からステップS3に移行し、ステアリングホイール1の回転角度検出値θから回転角加速度θ”が算出されるが、運転者がステアリングホイール1を支持しているため、ステップS4で回転角加速度θ”は所定値A以下であると判定されてステップS5に至り、自動操舵を解除するためのモータ停止指令が出力される。
【0021】
これに伴って、コントローラ9からの出力信号SM はクラッチをOFFにする信号として出力され、これによってモータ7内部のクラッチはOFFとなり、自動操舵が解除される。
一方、自動操舵により障害物回避等のために急な操舵が行われた時には、ステアリングホイール1の回転角加速度が大きいため、ステアリングホイール1に加わる慣性力が大きくなって、アッパーシャフト2aの歯車6とステアリングホイール1との間にねじりトルクが発生し、そのトルクは過渡的に前記所定値T0 以上となることがある。
【0022】
その場合には、トルクセンサ10からのトルク検出値Tが所定値T0 以上となって、図2の演算処理でステップS2からステップS3に移行し、ステアリングホイール1の回転角度検出値θから回転角加速度θ”が算出され、ステップS4で回転角加速度θ”は所定値Aより大きいと判定されてメインプログラムに復帰し、ステップS5には至らない。
【0023】
これに伴って、コントローラ9からの出力信号SM はクラッチをONとする信号として出力され、これによってモータ7内部のクラッチはONのままとなり、自動操舵が続行される。
したがって、従来の自動操舵解除機構を有する自動操舵装置では、トルク検出値がT0 以上となる図4の時刻t1 〜t2 の間は、運転者の意思に反して自動操舵が解除されるのに対して、この実施例ではこの間も自動操舵が行われる。すなわち、この実施例の自動操舵装置では、運転者の意思に応じた自動操舵およびその解除がなされる。
【0024】
なお、この実施例において、歯車6,8、モータ7、およびコントローラ9が本発明の自動操舵手段に相当し、図2の演算処理全体が解除手段に相当し、角度センサ11および図2の演算処理のステップS3が操舵角加速度検出手段に相当する。
また、前記実施例では、ステアリングホイール1側のステアリングシャフトであるアッパーシャフト2aの回転角を角度センサ11で検出し、この検出値から操舵角加速度を検出しているが、本発明の操舵角加速度検出手段はこれに限定されず、モータ7の出力軸の回転角加速度をコントローラ9内で算出することにより検出してもよく、この場合には専用のセンサが不要となる。また、サイドロッド5の進退加速度を操舵角加速度として検出してもよいが、前記実施例のようにステアリングシャフト2の回転角加速度を検出する方が検出精度の高いものとなる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の自動操舵装置によれば、操舵系の自動操舵入力点とステアリングホイールとの間にかかるトルクがステアリングホイールの慣性力により生じたものである場合には自動操舵を解除しない構成としたため、運転者の意思に反した自動操舵の解除が回避され、必要な自動操舵がなされる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の自動操舵装置が適用された車両操舵系を示す概略構成図である。
【図2】この実施例のコントローラで行われる自動操舵解除のための演算処理を示すフローチャートである。
【図3】実施例における操舵系の自動操舵入力点(歯車)とステアリングホイールとの間をモデル化した模式図である。
【図4】ステアリングホイールの回転角度、回転角速度、回転角加速度、および前記トルクTa の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト(操舵系)
4 ステアリングギヤボックス(操舵系)
5 ラック軸(操舵系)
6 歯車(自動操舵手段)
7 モータ(自動操舵手段)
8 歯車(自動操舵手段)
9 コントローラ(自動操舵手段、解除手段)
10 トルクセンサ
11 角度センサ(回転角加速度検出手段)
Claims (2)
- ステアリングホイールと操舵輪とを連結する操舵系に、操舵角目標値に応じた自動操舵力を入力する自動操舵手段を備えた車両の自動操舵装置において、
前記操舵系の自動操舵力の入力位置とステアリングホイールとの間に発生するトルクを検出するトルク検出手段と、当該操舵系の操舵角加速度を検出する操舵角加速度検出手段と、前記トルク検出手段からのトルク検出値が所定値以上であり且つ前記操舵角加速度検出手段からの操舵角加速度検出値が所定値以下であるときに、前記自動操舵手段の作動を解除する解除手段とを有することを特徴とする車両の自動操舵装置。 - 前記操舵角加速度検出手段は、ステアリングシャフトの回転角加速度を検出する回転角加速度検出手段であることを特徴とする請求項1記載の車両の自動操舵装置。
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