JP3605810B2 - 燃料噴射装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、燃料噴射装置に関するもので、例えばディーゼルエンジンに用いられる燃料噴射装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特開平6−147050号公報に開示される燃料噴射装置は、燃料噴射弁の燃料通路に生ずる圧力脈動を良好に減衰させることで、パイロット噴射の直後に安定したメイン噴射を実現させている。
図7に示すように、このような従来の燃料噴射装置の例として、三方電磁弁101と燃料噴射弁130とから構成されている燃料噴射装置がある。この燃料噴射装置の三方電磁弁101では、図7で上側に弁押圧杆138を付勢する図示しない燃料溜室に導入される高圧燃料によるニードル弁付勢力と、図7で下側に弁押圧杆138を付勢する制御室134内に導入される高圧燃料によるニードル弁付勢力との大小関係をアウタバルブ112およびインナバルブ114からなる切り換え弁によって切換えている。
【0003】
そして、パイロット噴射終了時、高圧燃料を第2燃料通路148から環状溝133および3本の供給通路109を経由して制御室134に流入させている。このとき、1本の第2燃料通路148に対して3本の燃料供給通路109が環状溝133を介して連通していることから、第2燃料通路148から制御室134に至るまでの高圧燃料通路が3種類生じ、しかもその長さはそれぞれ異なる。そのため、長さの異なる高圧燃料通路ごとに圧力脈動の周波数が異なることなり、脈動に対して生ずる相殺効果により圧力脈動の減衰を速め、パイロット噴射直後のメイン噴射を安定させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の燃料噴射装置によると、アウタバルブ112に形成された嵌装孔115内を摺動するインナバルブ114の外周壁と嵌装孔115の内周壁との間にはわずかな隙間115aがあり、また弁本体102に形成された摺動孔103の内周壁とアウタバルブ112の外周壁との間にもわずかな隙間103aがあることから、アウタバルブ112の往復動に伴いこれらの隙間115a、103aを介してアーマチャ室131a内に燃料が流入することになる。そのため、このアーマチャ室131a内に流入したリーク燃料は分岐通路111を経由して低圧側に排出されている。このように分岐通路111は、アーマチャ室131a内に流入したリーク燃料を低圧側に排出する機能を持っており、またアウタバルブ112の開弁したとき、制御室134内に導入される高圧燃料が急激に低圧側に排出されるために生ずる圧力脈動をアーマチャ室131a内に伝播させる機能をも持合わせている。
【0005】
ところが、排ガス規制に対応するため、燃料噴射圧の高圧化が進められることにより前述した従来の燃料噴射装置によると次の問題を生ずるおそれがある。
▲1▼アウタバルブ112とインナバルブ114との隙間115aおよび弁本体102とアウタバルブ112との隙間103aを介してアーマチャ室131a内に流入するリーク燃料量が増加し、アーマチャ室131a内から分岐通路111を介して低圧側に排出される燃料量が増加する。そのため、アウタバルブ112が開弁したときに生ずる圧力脈動の伝播が分岐通路111内を流れるリーク燃料の流れによって妨げられ伝播時間が長くなることから、アウタバルブ112の下方に位置するリセス107内の圧力変化とアーマチャ室131a内の圧力変化との間に時間差を生ずることになる。したがって、アウタバルブ112を下方から押上ようとするリセス107内の燃料による油圧力とアウタバルブ112を上方から押下げようとするアーマチャ室131a内の燃料による油圧力とのバランスが大きく崩れる。▲2▼また、燃料噴射圧の高圧化により圧力脈動の振幅が増大することから、アウタバルブ112の両端に加わる油圧力のバランスがさらに大きく崩れる。▲3▼これにより、アウタバルブ112が正常に着座した後、大きくバウンズする領域が発生し、この領域において燃料噴射が不安定になることから、エンジンの振動が増大するなどの問題を生ずるおそれがある。
【0006】
本発明は、安定した燃料噴射を行う燃料噴射装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するための本発明による請求項1記載の燃料噴射装置は、高圧燃料を導入可能な燃料溜室と、この燃料溜室に連通し軸方向に形成される摺動孔と、この摺動孔の燃料下流側端部に位置する噴孔と、この噴孔より燃料上流側に位置しかつ前記燃料溜室より燃料下流側に位置する弁座とを有する弁ボディと、
前記摺動孔に往復摺動可能に収容され、前記燃料溜室と前記噴孔との連通を前記弁座に着座時に遮断し離座時に導通させるノズルニードルと、
前記弁座に前記ノズルニードルが着座する方向に前記ノズルニードルを付勢する付勢手段と、
前記燃料溜室内の燃料圧に抗して前記ノズルニードルを着座方向に付勢する燃料が蓄えられる制御圧力室と、
前記制御圧力室に高圧燃料を導入可能な高圧燃料通路と、
前記制御圧力室に対して反ノズルニードル側に位置し、通電することにより電磁吸引力を発生するコイル部と、
前記制御圧力室と前記コイル部との間に位置し、前記コイル部の通電時、前記コイル部に吸引されるアーマチャが収容されるアーマチャ室と、
前記アーマチャ室と低圧側とを連通させる複数の通路と、
前記アーマチャ室と前記制御圧力室との間に位置し前記アーマチャの往復移動により制御可能な弁手段であって、前記制御圧力室と前記複数の通路との連通を導通させ前記高圧燃料通路と前記制御圧力室との連通を遮断させる第1の状態と、前記制御圧力室と前記複数の通路との連通を遮断させ前記高圧燃料通路と前記制御圧力室との連通を導通させる第2の状態とを有する弁手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明による請求項記載の燃料噴射装置は、前記複数の通路は、それぞれの通路長が互いに異なることを特徴とする。
さらに、本発明による請求項記載の燃料噴射装置は、請求項記載の燃料噴射装置において、前記アーマチャ室は、前記複数の通路方向に拡張されることで前記複数の通路の通路長を短縮する空間部を有することを特徴とする。
【0009】
【作用および発明の効果】
本発明の請求項1記載の燃料噴射装置によると、往復移動により弁手段を制御可能なアーマチャが収容されるアーマチャ室と、弁手段の第1の状態時に制御圧力室と導通する低圧側とを複数の通路によって連通させることから、この弁手段の制御状態が第2の状態から第1の状態に切換わるときに制御圧力室内の高圧燃料が低圧側に排出されることで生ずる圧力脈動を前記複数の通路によってアーマチャ室に伝播させることができる。これにより、アーマチャ室と制御圧力室との間に位置する弁手段に作用する油圧力の不均衡を抑制する。したがって、制御状態切換後の弁手段の制御状態を安定させることができ、制御状態の不安定による二次噴射等を防止し安定した燃料噴射ができる効果がある。またアーマチャ室と低圧側とを連通する通路の本数が複数であることから、例えばこの通路が1本の場合と較べ通路断面積をほぼ通路の本数倍に増加させることができる。これにより、燃料噴射圧を増加させ高圧化した場合、弁手段の制御状態が第2の状態から第1の状態に切換わるときに制御圧力室内の高圧燃料が低圧側に排出されることで生ずる圧力脈動の振幅を低減させ、燃料噴射圧の高圧化に伴う圧力脈動の振幅の増大を抑制する効果がある。
【0010】
また、本発明の請求項記載の燃料噴射装置によると、複数の通路はそれぞれの通路長が互いに異なることから、通路長によって決定される圧力脈動の周波数をそれぞれの通路に応じて設定することができる。これにより、周波数の異なる圧力脈動同士が互いに打消すように周波数を選択し各通路長を設定することで、圧力脈動を速やかに減衰させる効果がある。
【0011】
さらに、本発明の請求項記載の燃料噴射装置によると、アーマチャ室は、複数の通路方向に拡張されることで複数の通路の通路長を短縮する空間部を有することから、弁手段の制御状態が第2の状態から第1の状態に切換わるときに制御圧力室内の高圧燃料が低圧側に排出されることで生ずる圧力脈動がアーマチャ室に伝播する時間を短縮する効果がある。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
(第1実施例)
本発明の第1実施例による燃料噴射装置を図1および図2に示す。
図1は燃料噴射装置の上部に形成される三方電磁弁20の縦断面図を示したものであり、この三方電磁弁20の下方にはボディロア11、ピストン12等からなる図示しない燃料噴射弁が位置している。
【0013】
この燃料噴射弁は、図示しないインレット、弁ボディ、ノズルニードルおよび付勢手段としての圧縮コイルスプリングから構成されている。
図示しない弁ボディ内には、インレットから高圧燃料が導入可能な燃料溜室と、この燃料溜室に連通し軸方向に形成される摺動孔と、この摺動孔の燃料下流側に位置する噴孔と、この噴孔より燃料上流側に位置しかつ燃料溜室より燃料下流側に位置する弁座とが形成されている。そして、この摺動孔には図示しないノズルニードルが往復摺動可能に収容されており、ノズルニードルが弁座に当接することで閉弁し離間することで開弁している。これにより、燃料溜室に導入された高圧燃料の噴孔からの噴射を制御している。またこの弁ボディ内には、ノズルニードルを閉方向に付勢する圧縮コイルスプリングが収容されている。
【0014】
図1に示すように、三方電磁弁20は、燃料噴射弁の上方に設けられケース17内に収容されており、弁手段とこの弁手段に取付けられたアーマチャと、このアーマチャを吸引するコイル部とから構成されている。
弁手段は、アウタバルブ31、インナバルブ41およびバルブボディ51から構成されている。
【0015】
ボディロア11の図1で上側には、リテーニングリング13によりねじ締結されているバルブボディ51が位置しており、このバルブボディ51に形成されているシリンダ52内にアウタバルブ31が摺動自在に嵌合され、そのアウタバルブ31に軸方向に延びるように形成される内部孔33にはインナバルブ41が摺動自在に嵌合されている。アウタシート53はシリンダ52に形成されており、このアウタシート53にアウタバルブ31が離接する。またインナシート35はアウタバルブ31に形成されており、このインナシート35にインナバルブ41が離接する。アウタバルブ31には、径方向に貫通する貫通孔36が例えば90°間隔で4個形成されている。
【0016】
コイル部は、ソレノイドハウジング24内に収容されるボビン25、ステータ26、コイル27、シャフト23および圧縮コイルスプリング28並びにソレノイドハウジング24の上部に取付けられる2本のターミナル22から構成されている。アーマチャ29を吸引する固定鉄心としてのステータ26の周囲にはボビン25が位置しておりこのボビン25の外周壁にはコイル27が巻回されている。そして、このコイル27の一端と他端は2本のターミナル22にそれぞれ電気的に接続されている。またボビン25の軸中心には連通孔25aが形成されており、この電通孔25a内には中央にスプリング座部が形成されたシャフト23が固定されている。
【0017】
アウタバルブ31の上部にはアーマチャ29が固定されており、このアーマチャ29はソレノイドハウジング24とバルブボディ51との間に形成されるアーマチャ室30内に収容されている。このアーマチャ室30の軸方向長さはソレノイドハウジング24とバルブボディ51との間に位置する環状のスペーサ18の軸方向の長さによって決められいる。またアウタバルブ31の上部にはアウタバルブ31を図1で下方に付勢する圧縮コイルスプリング28が前述したシャフト23のスプリング座部とアウタバルブ31の上部との間に位置している。これにより、コイル27が非通電状態のとき、アーマチャ29がステータ26に吸引されないことから圧縮コイルスプリング28によって反吸引方向、すなわち図1で下方に付勢されることになる。ターミナル22に電圧が印加されコイル27が通電状態になると、アーマチャ29がステータ26側に吸引され、圧縮コイルスプリング28の付勢力に抗してステータ側、すなわち図1で上方にアーマチャ29が吸引されることなる。したがって、アウタバルブ31はコイル27に非通電時、反ステータ26側に位置し、コイル27に通電時、ステータ26側に移動することになる。
【0018】
前述したアウタバルブ31およびインナバルブ41から弁手段を構成する弁ボディ51には複数の通路が形成されている。すなわち、バルブボディ51のステータ26側端部にはボディロア11側に向かって環状溝54が深く形成されており、この環状溝54に連通する通路56、58がさらにボディロア11方向に形成されている。そして、一端が環状溝54に連通する通路56の他端は、ボディロア11に形成されている燃料通路11aに空間部61を介して連通している。また、一端が環状溝に連通する通路58の他端は、後述するリセス55に通路59を介して連通しており、この通路59は空間部61に連通している。これにより、通路56と通路58とは空間部61を介して互いに連通している。バルブボディ51には通路56、58の他にアウタバルブ31の4つの貫通孔36に連通する環状の通路57が形成されており、ボディロア11に形成されている燃料通路11bと一端が連通する通路60の他端がこの通路57に連通している。
【0019】
また、バルブボディ51に形成されるアウタート53の上方にシリンダ52の下端でもある環状のリセス55が形成されており、このリセス55には一端が空間部61と連通する通路59の他端が連通している。そしてこの通路59の途中には前述した通路58の他端が連通している。アウタシート53のボディロア11側にはシリンダ52とボディロアに形成されている制御圧力室15と連通する通路が形成されている。
【0020】
さらに、空間部61はバルブボディ51のボディロア11側に形成されている切欠部51aとボディロア11のバルブボディ51側上端部とリテーニングリング13の内周壁とから区画形成される環状の空間部である。
このような複数の通路をバルブボディ51に形成し、かつバルブボディ51とボディロア11との間に環状の空間部61を形成することにより、図2に示すようなモデル図による燃料排出経路(a) が形成される。この燃料排出経路によると、環状溝54とリセス55とを通路59を介して連通する通路58が、アウタバルブ31を開弁したときに生ずる圧力脈動をアーマチャ室30に伝播させる通路に相当する。一方、環状溝54と燃料通路11aとを連通させる通路56がアーマチャ室30内に流入したリーク燃料を低圧側に排出するための通路である。このように、圧力脈動を伝播させるための通路58とリーク燃料を排出させるための通路56とに分けることにより、アーマチャ室30から排出される燃料が圧力脈動の伝播を妨げるのを抑制するため圧力脈動の伝播を速めることができる。さらに、アーマチャ室30の下方に位置する環状溝54のボディロア11側に深さを深くかつ幅広くなるように形成することで、環状溝54を見かけ上アーマチャ室30の一部とみることができることから、アーマチャ室30に連通する通路長を見かけ上、短くすることができる。これにより、さらに圧力脈動の伝播時間を短縮することができ、リセス55に生ずる圧力脈動とアーマチャ室30に生ずる圧力脈動との間の時間差を短縮することができる。
【0021】
また、環状の空間部61を設けることによりリセス55からアーマチャ室30への脈動伝播経路が通路58および環状溝54を経由する経路と、通路59、空間部61、通路56および環状溝54を経由する経路との2経路存在することになる。これにより、図2に示す従来例の燃料排出経路(b) を第1実施例の燃料排出経路(a) と比較すると、従来例によるものではリセス107からアーマチャ室131aへの脈動伝播経路が通路111を経由する位置経路に限定されている。したがって、通路断面積を比較すると第1実施例の燃料排出経路(a) の通路断面積の方が2経路ある分、比較例の燃料排出経路(b) の通路断面積よりほぼ2倍に増加していることになる。これにより、圧力脈動の振幅を低減させることができ、噴射圧の高圧化に伴う圧力脈動の振幅の増大を抑制することができる。
【0022】
さらに、リセス55からアーマチャ室30への圧力脈動を伝達する2つの経路は経路長が互いに異なるため一方の経路の長さと他方の経路の長さの組合せにより生ずる相殺効果によってリセス55とアーマチャ室30との圧力脈動を速やかに減衰させることができる。つまり、一方の経路である通路59、空間部61および通路56を経由する経路の長さにより決定される圧力脈動の周波数fと、他方の経路である通路59の一部および通路58を経由する経路の長さにより決定される圧力脈動の周波数fとの組合せを選択することにより相殺効果を生じさせることで、リセス55とアーマチャ室30との圧力脈動を速やかに減衰させることができる
次に、燃料噴射装置の作動を図1、図3および図7に基づいて説明する。ここで、図3は、コイル27の非通電時、通電時に伴う電磁吸引力、ノズルニードルのリフト量、アウタバルブのリフト量、アーマチャ室30内の燃料圧およびリセス55内の燃料圧の各状態変化をコンピュータシュミレーションにより表した特性図である。
【0023】
図示しないインレットから高圧燃料が供給されると、燃料通路11bを介して図示しない燃料溜室に供給されるとともに三方電磁弁20も供給される
図1に示すように、コイル27の非通電時、アウタバルブ31は圧縮コイルスプリング28の付勢力によりアウタシート53に着座しており、インナバルブ41がインナバルブシート35から離座している。すると、燃料通路11bから流入した高圧燃料が通路60、57、貫通孔36および内部孔34を経由してワンウェイオリフィス14の制御圧力室15に流入する。この高圧燃料の流入に伴いピストン12が押下げられ、図示しないノズルニードルが閉弁状態を保持する。
【0024】
コイル27の通電時、ステータ26に発生する電磁吸引力によってアーマチャ29がステータ26に吸引されるため、アウタバルブ31が図1で上方へ吸引される。このアウタバルブ31の移動にともないアウタバルブ31がアウタシート53から離座し、インナバルブ41がインナバルブシート35に着座する。すると、貫通孔36と内部孔34との連通が遮断され、ワンウェイオリフィス14の制御圧力室15とリセス55との連通が動通することから、制御圧力室15内の高圧燃料が通路59を介して低圧側に流れようとする。
【0025】
このとき、図3(a) 、(b) に示す時期▲1▼の直後では、ステータ26に発生する電磁吸引力によりアウタバルブ31がステータ26方向に急激にリフトする。そして、図3(a) に示す第1実施例によるものでは、このアウタバルブ31のリフトによってアーマチャ室30内の燃料圧に脈動を生じ、またリセス55内の燃料圧もアーマチャ室30の燃料圧の脈動のカーブと近似したカーブを描きながら圧力脈動を生ずる。このようなアーマチャ室30内の燃料圧とリセス55内の燃料圧とが近似したカーブを描きながら脈動しているのは、通路56、58および空間部61が形成されているため圧力脈動の伝播時間が短いことによるためである。
【0026】
一方、図3(b) に示す従来例によるものでは、アーマチャ室131a内の燃料圧の脈動とリセス107内の燃料圧の脈動とが異なったカーブを描いているのが読取れる。特に、アーマチャ室131a内の燃料圧の脈動がリセス107内の燃料圧の脈動より遅れ、時間差が生じていることが判る。これは、リセス107からアーマチャ室131aへの圧力脈動の伝播経路が通路111による経路に限定されることから、前述したようにアーマチャ室131aから排出されるリーク燃料の流れがリセス107から伝播する圧力脈動を妨げ圧力脈動の伝播時間を長くしているためである。
【0027】
なお、図3(a) 、(b) に示すように、アウタバルブ31、112がリフトしているにもかかわらずノズルニードルがリフトしていないのは、ワンウェイオリフィス14を経由して高圧燃料が徐々に低圧側に排出されているためである。そのため、ノズルニードルは遅れてリフトし始めることになり、またアウタバルブ31、112が着座した後も制御圧力室15に徐々に高圧燃料が流入することからノズルニードルは遅れて下方に押下げられることになる。
【0028】
アウタバルブ31が所定時間リフトすると、コイル27への電圧の印加が断たれる。コイル27の非通電時、圧縮コイルスプリング28の付勢力によりアウタバルブ31がアウタシート53に着座する。このアウタバルブ31の着座時期は、図3(a) の時期▲3▼に対応している。
図3(a) に示すように、この時期▲3▼の前後では、前述したアウタバルブ31のリフトによりアーマチャ室30内およびリセス55内での圧力脈動が続いている。ところが、図3(b) に示す従来例によるものでは、前述したようにアーマチャ室131a内およびリセス107内の圧力脈動に時間差があることから、時期▲2▼、▲4▼においてアーマチャ室131a内の燃料圧とリセス107内の燃料圧とに圧力差が生ずる。これにより、アウタバルブ112を下方から押上ようとするリセス107内の燃料圧による油圧力とアウタバルブ112を上方から押下げようとするアーマチャ室131a内の燃料圧による油圧力とのバランスが大きく崩れ、アウタバルブ112が正常に着座した後の図3(b) に示す一点鎖線Bの円内でアウタバルブ112が大きくバウンズしているのが判る。
【0029】
これに対し、図3(a) に示す第1実施例によるものでは、アーマチャ室30内およびリセス55内の圧力脈動に時間差が殆どないことから、時期▲2▼、▲4▼においてアーマチャ室30内の燃料圧とリセス55内の燃料圧との圧力差が抑えられている。これにより、アウタバルブ31の両端に作用する燃料圧による油圧力のバランスが大きく崩れることがない。したがって、図3(a) に示す一点鎖線Aの円内のように、アウタバルブ31が正常に着座した後のバウンズを抑えることができる。
【0030】
アウタバルブ31が正常に着座すると、制御圧力室15から通路59への燃料の流れが停止されるとともに、通路60、57、環状溝および内部孔34を経由してワンウェイオリフィス14の制御圧力室15に流入する。この高圧燃料の流入に伴いピストン12が押下げることでノズルニードルを着座させ、噴孔からの燃料噴射を終了させる。
【0031】
第1実施例によると、アウタバルブ31の上端に位置するアーマチャ室30とアウタバルブ31の下端に位置するリセス55とが、通路59の一部、通路58および環状溝54を経由する経路と、通路59、空間部61、通路56および環状溝54を経由する経路との2本の経路によって連通していることから、この2本の経路をアウタバルブ31の開弁により生ずる圧力脈動をリセス55からアーマチャ室30に伝播させる経路と、アーマチャ室30に流入したリーク燃料を低圧側に排出させる経路とにそれぞれ分けることができる。これにより、アーマチャ室30から排出される燃料が圧力脈動の伝播を妨げるのを抑制するため圧力脈動の伝播を速めることができ、アウタバルブ31の両端に作用する油圧力の不均衡を抑制する。したがって、アウタバルブ31の着座時のバウンズを低減することから、着座後のアウタバルブ31のバウンズによる二次噴射を防止し、安定した燃料噴射ができる効果がある。
【0032】
また、第1実施例によると、アーマチャ室30の下方に設けられた環状溝54がボディロア11側に向かって深くかつ幅広く形成されていることから、環状溝54を見かけ上アーマチャ室30の一部とみることができる。これにより、アーマチャ室30に連通する通路長を見かけ上、短くすることができるため、圧力脈動の伝播時間を短縮することができる。したがって、リセス55に生ずる圧力脈動とアーマチャ室30に生ずる圧力脈動との間の時間差を短縮し、圧力脈動の伝播を速める効果がある。
【0033】
さらに、第1実施例によると、アーマチャ室30とリセス55とを連通させる経路が2本あることから、従来の経路が1本のものと較べ、通路断面積がほぼ2倍に増加している。これにより、圧力脈動の振幅を低減させることができ、例えば排ガス規制に対応するための燃料噴射圧の高圧化に伴う圧力脈動の振幅の増大を抑制できる。
【0034】
さらにまた、第1実施例によると、通路59、空間部61および通路56を経由する経路の長さにより決定される圧力脈動の周波数fと、他方の経路である通路59の一部および通路58を経由する経路の長さにより決定される圧力脈動の周波数fとの組合せを選択し、それぞれの通路長を所定長さにすることにより相殺効果を生じさせ圧力脈動を速やかに減衰させることができる。これにより、アウタバルブ31の着座時のバウンズを低減することから、着座後のアウタバルブ31のバウンズによる二次噴射を防止し、安定した燃料噴射ができる効果がある。
【0035】
(第2実施例)
本発明の第1実施例による燃料噴射装置を図4に示す。第1実施例と実質的に同一の構成部分については、同一符号を付す。
図4に示す第2実施例は、第1実施例においてバルブボディ51のステータ26側端部に形成されていた環状溝54を取除いた例である。これにより、バルブボディ51に環状溝54を形成しないことから、バルブボディ51の加工工数を削減する効果がある。
【0036】
(第3実施例)
本発明の第1実施例による燃料噴射装置を図5に示す。第1実施例と実質的に同一の構成部分については、同一符号を付す。
図5に示す第3実施例は、複数の通路を介することなくリセス55とアーマチャ室30とを直接連通させるための通路71をバルブボディ51に設けた例である。
【0037】
リセス55とアーマチャ室30とを直接連通させるための通路71と、リセス55と空間部61とを直接連通させるための通路72とがリセス55の出口で枝分かれするようにバルブボディ51に形成されている。これにより、アウタバルブ31の開弁により生ずる圧力脈動をリセス55からアーマチャ室30に直接伝播させる通路71と、制御圧力室15内の燃料をリセス55から空間部61に直接排出させる通路72とにそれぞれ分けることができる。したがって、制御圧力室15内から排出される燃料の排出効率を向上させる効果がある。
【0038】
(第4実施例)
本発明の第1実施例による燃料噴射装置を図6に示す。第1実施例と実質的に同一の構成部分については、同一符号を付す。
図6に示す第4実施例は、通路56と通路58とを連通させかつ低圧側に連通する環状の空間部82の容積を第1実施例の空間部61の容積より大きくした例である。
【0039】
バルブボディ51のボディロア11側端部の外周壁には径方向および軸方向に深く形成された環状溝83が位置している。そして、この環状溝83の径方向外側には、バルブボディ51とボディロア11とをねじ締結するリテーニングリング13が位置しており、環状溝83の外周壁とリテーニングリング13の内周壁とボディロア11のバルブボディ51側端面とによって大容量の空間部82が区画形成されている。
【0040】
この空間部82は低圧側に連通するとともに、通路56、58、81が連通している。そして、通路56、58により空間部82とアーマチャ室30とが連通し、通路81により空間部82とリセス55とが連通している。
この通路56、58、81に連通する大容量の空間部82を設けたことから、制御圧力室15からリセス55を経由して低圧側に排出される燃料およびアーマチャ室30から通路56または通路58を経由して低圧側に排出される燃料を空間部82に一時的に蓄えることができる。これにより、低圧側への燃料の排出特性を良好にする効果がある。
【0041】
なお、以上説明した第1実施例から第4実施例では、アーマチャ室30と低圧側としてのリセス55とを連通する通路を2本設ける場合について説明したが、本発明ではこれに限られることはなく、アーマチャ室と低圧側とを接続する通路を3本以上設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による燃料噴射装置の要部を示す縦断面図である。
【図2】第1実施例の燃料排出経路(a) 、従来例の燃料排出経路(b) をそれぞれ示すモデル図である。
【図3】電磁吸引力、リフト量および燃料圧の各状態変化を示した特性図である。
【図4】本発明の第2実施例による燃料噴射装置の要部を示す縦断面図である。
【図5】本発明の第3実施例による燃料噴射装置の要部を示す縦断面図である。
【図6】本発明の第4実施例による燃料噴射装置の要部を示す縦断面図である。
【図7】従来例による燃料噴射装置の要部を示す縦断面図である。
【符号の説明】
11a 燃料通路 (高圧燃料通路)
11b、11c 燃料通路 (低圧側)
15 圧力室 (制御圧室)
20 三方弁
25 ボビン (コイル部)
26 ステータ (コイル部)
27 コイル (コイル部)
29 アーマチャ
30 アーマチャ室
31 アウタバルブ (弁手段)
35 インナーシート(弁手段)
41 インナーバルブ(弁手段)
51 バルブボディ (弁手段)
53 アウターシート(弁手段)
54 環状溝 (空間部)
55 リセス (複数の通路)
56、58、59、72、81 通路(複数の通路)
60 通路 (高圧燃料通路)
61、82 空間部 (複数の通路)

Claims (2)

  1. 高圧燃料を導入可能な燃料溜室と、この燃料溜室に連通し軸方向に形成される摺動孔と、この摺動孔の燃料下流側端部に位置する噴孔と、この噴孔より燃料上流側に位置しかつ前記燃料溜室より燃料下流側に位置する弁座とを有する弁ボディと、
    前記摺動孔に往復摺動可能に収容され、前記燃料溜室と前記噴孔との連通を前記弁座に着座時に遮断し離座時に導通させるノズルニードルと、
    前記弁座に前記ノズルニードルが着座する方向に前記ノズルニードルを付勢する付勢手段と、
    前記燃料溜室内の燃料圧に抗して前記ノズルニードルを着座方向に付勢する燃料が蓄えられる制御圧力室と、
    前記制御圧力室に高圧燃料を導入可能な高圧燃料通路と、
    前記制御圧力室に対して反ノズルニードル側に位置し、通電することにより電磁吸引力を発生するコイル部と、
    前記制御圧力室と前記コイル部との間に位置し、前記コイル部の通電時、前記コイル部に吸引されるアーマチャが収容されるアーマチャ室と、
    前記アーマチャ室と低圧側とを連通させる複数の通路と、
    前記アーマチャ室と前記制御圧力室との間に位置し前記アーマチャの往復移動により制御可能な弁手段であって、前記制御圧力室と前記複数の通路との連通を導通させ前記高圧燃料通路と前記制御圧力室との連通を遮断させる第1の状態と、前記制御圧力室と前記複数の通路との連通を遮断させ前記高圧燃料通路と前記制御圧力室との連通を導通させる第2の状態とを有する弁手段とを備え
    前記複数の通路は、それぞれの通路長が互いに異なることを特徴とする燃料噴射装置。
  2. 前記アーマチャ室は、前記複数の通路方向に拡張されることで前記複数の通路の通路長を短縮する空間部を有することを特徴とする請求項記載の燃料噴射装置。
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