JP3604829B2 - パック電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント基板を内蔵するパック電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
リチウムイオン二次電池を内蔵するパック電池は、電池を保護するための電子回路を装着するプリント基板を内蔵している。電池の過充電や過放電を防止して、電池をより理想的な状態で使用するためである。リチウムイオン二次電池に限らず、ニッケル−カドミウム電池やニッケル−水素電池等を内蔵するパック電池も、保護回路等を内蔵して、電池を保護できる。
【0003】
さらに、パック電池は、電気機器に接続するための電極端子を、ケースの外部に表出させる必要がある。電極端子は、ケースの正確な位置に配設する必要がある。位置がずれると、電気機器に装着したときに、接触不良の原因となるからである。電極端子は、ケースに内蔵される端子ホルダーやプリント基板に固定される。端子ホルダーに電極端子を固定するパック電池は、端子ホルダーで電極端子を定位置に配設できるが、電極端子を支持するために、専用のパーツを必要とする。このため、使用パーツが多くなる欠点がある。プリント基板に電極端子を固定するパック電池は、プリント基板を正確に定位置に配設するのが難しい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
プリント基板をケース内の定位置に配設するために、プリント基板をリード線を介して電池に連結し、あるいは、ケースを特別な形状に成形して、プリント基板を定位置に保持するものが開発されている。電池にプリント基板を固定する構造は、電池がケース内で移動すると、プリント基板を定位置に配設できなくなる。また、ケースを特別な形状に成形する構造は、ケースを成形する金型の構造と型抜きが複雑になって、ケースのコストが高くなる欠点がある。
【0005】
さらに、パック電池は、電気機器に装着したときに、機器の端子に電極端子が押圧される。電気機器の端子を、パック電池の電極端子に電気接続するためである。電気機器の端子に押圧されたときに、パック電池の電極端子の位置がずれると、接触不良の原因となる。このため、定位置に配設された電極端子が、電気機器の端子に押圧されても位置ずれしないことも極めて大切である。とくに、充電できる電池を内蔵しているパック電池は、充電するために、頻繁に電気機器に脱着されることがある。脱着するとき、電極端子は電気機器の端子を摺動し、また、弾性的に押圧される力が作用するので、この状態にあっても、電極端子が位置ずれしないように、これを正確に定位置に配設することは極めて大切である。
【0006】
プリント基板に電極端子を固定するパック電池は、プリント基板を正確に定位置に配設することに加えて、電極端子が機器の端子に押圧されても、位置ずれしないように定位置に配設することが大切である。電極端子を位置ずれなく、定位置に配設するには、プリント基板に強靱なものを使用する必要がある。また、プリント基板を小さくして、変形を少なくする等の必要がある。
【0007】
本発明は、簡単な構造でプリント基板を定位置に保持し、このプリント基板に固定される電極端子を正確な位置に移動しないように配設し、さらに、プリント基板を定位置に保持するための構造を利用して、プリント基板の電子部品を配設する電子パーツ空隙を設け、さらに、電池とプリント基板の両方を正確な位置に配設できるパック電池を提供することを目的に開発されたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のパック電池は、ケース1に、電池4とプリント基板2を内蔵している。電池4とプリント基板2との間に、プラスチック製のスペーサー3を配設している。スペーサー3は、電池4との対向面に電池4を嵌入する凹部11を成形している。プリント基板2との対向面には、プリント基板2を定位置に配設する位置決凸起9を一体成形している。この位置決凸起9を介してプリント基板2がスペーサー3に連結されて、スペーサー3とプリント基板2との間に、電子パーツ空隙13が設けられている。プリント基板2に装着される電子部品16は、電子パーツ空隙13に配設されている。
さらに、プリント基板2には、ケース1の電極窓8から外部に表出される電極端子7を設けている。電極端子7の背面に位置して、プリント基板2を支持する支持凸部14をスペーサー3に一体成形している。
【0009】
さらに、本発明の請求項2のパック電池は、プリント基板2と電池4をリード部材で連結し、プリント基板2と電池4に挟着されて、スペーサー3を定位置に配設している。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのパック電池を例示するものであって、本発明はパック電池を下記のものに特定しない。
【0011】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0012】
図1の分解斜視図と、図2の断面図に示すパック電池は、ケース1に、2本の二次電池4とプリント基板2とスペーサー3を内蔵している。ケース1は、プラスチック製で、上ケース1Aと下ケース1Bとを連結して、閉鎖構造の箱形としている。図において、上ケース1Aは下方を開口する箱形に、下ケース1Bは上方を開口する箱形に成形している。上ケース1Aと下ケース1Bは、周壁を連結して閉鎖構造の箱形に連結されている。
【0013】
電池4は、2本を平行に並べてケース1に内蔵される。2本の電池4は、その間に、絶縁体5を挟着している。絶縁体5は、両面に円筒電池4を嵌入できる凹部を形成している。電池4はリチウムイオン二次電池である。ただ、電池4には、リチウムイオン二次電池に代わって、ニッケル−カドミウム電池やニッケル−水素電池等の二次電池も使用できる。
【0014】
プリント基板2は、リード板6等のリード部材を介して電池4に連結されており、プリント基板2と電池4との間にスペーサー3を挟着している。プリント基板2は、電池4の過充電や過放電を保護する保護回路、あるいは、電池4の温度が異常に高くなると充電や放電を強制的に阻止する保護回路等の電子部品16を装着している。プリント基板2は、幅を、電池4の太さにほぼ等しくして、長さを電池4の長さにほぼ等しくしている。
【0015】
プリント基板2は、4つの電極端子7を表面に並べて設けている。保護回路等を構成する電子部品16は、スペーサー3と対向する背面に配設される。電極端子7は、ケース1に設けられた電極窓8に位置するように、プリント基板2に固定されている。プリント基板2がケース1の定位置に固定されると、電極端子7は電極窓8からケース1外に表出される。
【0016】
図1に示すプリント基板2は、スペーサー3の定位置に連結できるように、スペーサー3に設けられた位置決凸起9の先端を嵌入する切欠10を設けている。切欠10は、プリント基板2の両側に設けられている。図において、プリント基板2の上縁には両端部に、下縁は中央と右端部に設けている。
【0017】
スペーサー3はプラスチック製で、プリント基板2の外形とほぼ同じ形状に成形されている。スペーサー3は、電池4を定位置に保持するために、電池4との対向面に、電池4を嵌入する凹部11を成形している。凹部11は、円筒電池の表面に密着する形状に成形されている。さらに、スペーサー3は、プリント基板2との対向面に、プリント基板2を定位置に配設する位置決凸起9を一体成形している。図のスペーサー3は、上縁に4個、下縁に3個の位置決凸起9を一体成形している。
【0018】
位置決凸起9は、プリント基板2の背面に当接する支持ロッド9Aと、プリント基板2の切欠10に嵌入される凸部12を有する嵌入凸起9Bとを備える。嵌入凸起9Bは、プリント基板2の背面を支持する面から凸部12を突出させている。図のスペーサー3は、上縁の両端に嵌入凸起9Bを、その中間に二つの支持ロッド9Aを一体成形している。さらに、スペーサー3の下縁には、中央と右端に嵌入凸起9Bを、その中間に支持ロッド9Aを一体成形している。支持ロッド9Aと、嵌入凸起9Bがプリント基板2を支持する部分の高さは、プリント基板2とスペーサー3との間に、電子パーツ空隙13を設ける高さに設計される。
【0019】
さらに、図のスペーサー3は、装着されるプリント基板2の電極端子7の背面に位置して、プリント基板2を支持する支持凸部14を一体成形している。支持凸部14は、先端面を、プリント基板2の電極端子7部分の背面に当接して、押圧される電極端子7の位置ずれを阻止する。このため、支持凸部14の高さは、支持ロッド9Aと、嵌入凸起9Bがプリント基板2を支持する高さに等しく設計される。支持凸部14は、複数の電極端子7を確実に支持できるように、電極端子7の縦方向に延長するリブ形状に成形され、さらに、このリブに直交する方向にも、補強リブ14Aを一体成形している。
【0020】
図1に示すパック電池は、下記の工程で組み立てられる。
▲1▼ プリント基板2に、保護回路を構成する電子部品16を装着する。
▲2▼ プリント基板2と電池4との間にスペーサー3を挟着して、プリント基板2をリード板6で電池4に連結する。この状態で、プリント基板2とスペーサー3と電池4とが一体に連結される。図に示すパック電池は、プリント基板2の右端をリード板6で電池4に連結し、左端をポリスイッチ15で電池4に連結している。
▲3▼ 電池4とスペーサー3とプリント基板2とを下ケース1Bの定位置に入れて、下ケース1Bと上ケース1Aとを連結する。この状態で、電極端子7はケース1の電極窓8から外部に表出される。
【0021】
【発明の効果】
本発明のパック電池は、電池とプリント基板との間に挟着されるスペーサーで、プリント基板とスペーサーとの間に電子パーツ空隙を設けてプリント基板と電池を定位置に保持する共に、プリント基板に固定される電極端子を、電気機器の端子で押圧されても位置ずれしないように支持できる特長がある。それは、本発明のパック電池が、スペーサーの電池との対向面に、電池を嵌入する凹部を設け、プリント基板との対向面には、プリント基板を定位置に配設する位置決凸起を一体成形し、この位置決凸起を介してプリント基板をスペーサーに連結して、スペーサーとプリント基板との間に、電子パーツ空隙を設け、さらに、このスペーサーには、プリント基板の電極端子の背面に位置して、プリント基板を支持する支持凸部を一体成形しているからである。
【0022】
さらに、本発明のパック電池は、スペーサーの凹部に電池を、位置決凸起にプリント基板を連結して、電池とプリント基板の両方を、相対的に位置がずれないように連結できる。互いに位置ずれしないように連結された電池とプリント基板とスペーサーは、ケース内に収納された定位置に配設される。この構造で、電池とプリント基板とスペーサーとを定位置に収納する本発明のパック電池は、ケースを特別に複雑な構造に成形する必要がなく、簡単かつ安価に多量生産できるケースを使用して、内蔵パーツを正確な位置に収納できる特長も実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のパック電池を示す分解斜視図
【図2】図1に示すパック電池の縦断面図
【符号の説明】
1…ケース 1A…上ケース 1B…下ケース
2…プリント基板
3…スペーサー
4…電池
5…絶縁体
6…リード板
7…電極端子
8…電極窓
9…位置決凸起 9A…支持ロッド 9B…嵌入凸起
10…切欠
11…凹部
12…凸部
13…電子パーツ空隙
14…支持凸部 14A…補強リブ
15…ポリスイッチ
16…電子部品
Claims (2)
- ケース(1)に、電池(4)とプリント基板(2)とが内蔵されてなるパック電池において、
電池(4)とプリント基板(2)との間にプラスチック製のスペーサー(3)が配設されており、このスペーサー(3)は、電池(4)との対向面に電池(4)を嵌入する凹部(11)が成形されており、プリント基板(2)との対向面には、プリント基板(2)を定位置に配設する位置決凸起(9)が一体成形されており、位置決凸起(9)を介してプリント基板(2)がスペーサー(3)に連結されて、スペーサー(3)とプリント基板(2)との間に、電子パーツ空隙(13)が設けられており、プリント基板(2)に装着される電子部品(16)が、電子パーツ空隙(13)に配設されており、
さらに、プリント基板(2)には、ケース(1)の電極窓(8)から外部に表出される電極端子(7)が設けられており、この電極端子(7)の背面に位置して、プリント基板(2)を支持する支持凸部(14)がスペーサー(3)に一体成形されてなることを特徴とするパック電池。 - プリント基板(2)と電池(4)とがリード部材を介して連結されており、プリント基板(2)と電池(4)に挟着されて、スペーサー(3)が定位置に配設されてなる請求項1に記載されるパック電池。
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