JP3604347B2 - 還元鋳造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は溶湯の表面に形成された酸化皮膜を還元しつつ鋳造する還元鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋳造方法には、重力鋳造法(GDC)、低圧鋳造法(LPDC)、ダイキャスト(DC)、スクイズ(SC)、チクソモールドなど様々な方法がある。これらはいずれも成形型のキャビティ内に溶湯を注入して所定形状に成形するものである。これらの鋳造方法のうち、溶湯の表面に酸化皮膜が形成されやすいもの、たとえばアルミニウム鋳造などでは、溶湯の表面に形成された酸化皮膜によって表面張力が大きくなり、溶湯の流動性、湯周り性、溶着性が低下し、溶湯の未充填、湯じわ等の鋳造欠陥が生じることが問題となっている。
【0003】
これらの問題を解決する方法として、本出願人は溶湯の表面に形成される酸化皮膜を還元して鋳造する還元鋳造方法を開発した。この還元鋳造方法を適用した例であるアルミニウムの鋳造では、窒素ガスとマグネシウムガスとを用いて強い還元性を有するマグネシウム窒素化合物(Mg)を生成し、このマグネシウム窒素化合物をアルミニウムの溶湯に作用させ、溶湯の表面に形成される酸化皮膜を還元して鋳造する。マグネシウム窒素化合物を成形型のキャビティの表面に析出させた状態で溶湯を注入することによって、溶湯がキャビティの表面に接触する際に溶湯の表面の酸化皮膜が還元され溶湯の表面張力が低減し、溶湯の流動性と濡れ性が向上して、溶湯の未充填等の鋳造欠陥は湯じわのないすぐれた外観の鋳造製品を製造することが可能になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の還元鋳造方法では、マグネシウム窒素化合物といった還元性化合物を溶湯に作用させることによって溶湯の表面に形成される酸化皮膜を還元することが特徴である。この還元性化合物は還元性が強いことから非酸素雰囲気下で生成する必要があるが、同時に成形型のキャビティ内に存在する水分と反応しやすく、これによって還元性を喪失するという問題がある。マグネシウム窒素化合物は水分と反応して酸化マグネシウムになりやすく、酸化マグネシウムとなった場合は還元性化合物本来の還元性を失ってしまう。
【0005】
このように、成形型のキャビティ内に導入された還元性化合物あるいはキャビティ内で生成された還元性化合物が還元性を失ってしまうと、溶湯の表面の酸化皮膜を還元して鋳造する機能が作用しなくなり、所要の還元鋳造ができなくなる。たとえば、湿度が高い季節に、作業環境の湿度制御等を行っていない場合には、成形型のキャビティ内も湿度が高くなるためにキャビティ内に析出した還元性化合物の還元作用が作用しなくなり、所要の還元鋳造がなされなくなるといった場合がある。このように、還元性化合物による還元作用が発揮されない場合には、通常の重量鋳造法等による鋳造方法と何ら変わらなくなるため、溶湯の湯周り性が向上するといった還元鋳造方法の利点が得られなくなる問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明はこれらの問題を解消すべくなされたものであり、その目的とするところは、還元鋳造において還元作用を利用する目的で使用する還元性化合物の還元性が損なわれることを防止し、溶湯の表面の酸化皮膜を確実に還元することができ、これによって効果的な還元鋳造を可能にする還元鋳造方法を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
すなわち、金属の溶湯を成形型のキャビティに注湯し、成形型のキャビティ内で溶湯と還元性化合物とを接触させて溶湯の表面に形成された酸化皮膜を還元しつつ鋳造する還元鋳造方法において、少なくとも前記キャビティ内の湿度を70%以下とした後、前記キャビティ内に還元性化合物を導入し、次いで、前記溶湯をキャビティ内に注湯して鋳造することを特徴とする。
また、前記キャビティ内に、還元性化合物と反応しない乾燥気体を導入してキャビティ内を除湿した後、キャビティ内に還元性化合物を導入することを特徴とする。
また、前記金属の溶湯としてアルミニウムまたはその合金の溶湯を使用し、成形型内に還元性化合物としてマグネシウム窒素ガスを導入して鋳造することを特徴とする。
【0008】
また、金属の溶湯を成形型のキャビティに注湯し、成形型のキャビティ内で溶湯と還元性化合物とを接触させて溶湯の表面に形成された酸化皮膜を還元しつつ鋳造する還元鋳造方法において、少なくとも前記キャビティ内の湿度を70%以下とした後、前記キャビティ内に金属ガスと反応性ガスとを導入してキャビティ内で前記還元性化合物を生成し、次いで、前記溶湯をキャビティ内に注湯して鋳造することを特徴とする。
また、前記キャビティ内に、還元性化合物と反応しない乾燥気体を導入してキャビティ内を除湿した後、キャビティ内に金属ガスと反応性ガスとを導入してキャビティ内で還元性化合物を生成することを特徴とする。
また、前記乾燥気体として、反応性ガスを使用することを特徴とする。
また、前記金属の溶湯としてアルミニウムまたはその合金の溶湯を使用し、成形型内に金属ガスとしてマグネシウムガス、反応性ガスとして窒素ガスを導入してキャビティ内で還元性化合物を生成して鋳造することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面とともに詳細に説明する。
図1は本発明に係る還元鋳造方法をアルミニウムの鋳造に適用した鋳造装置10の全体構成を示す説明図である。
12はアルミニウムまたはアルミニウム合金を注湯して鋳造品を得る成形型である。成形型12には湯口12a、キャビティ12b、金属ガス導入口12c、押湯部16、排気孔25が設けられている。
【0010】
成形型12は配管22によって窒素ガスボンベ20と接続され、配管22のバルブ24を開放することにより、窒素ガス導入口12dからキャビティ12b内に窒素ガスが注入され、キャビティ12b内を窒素ガス雰囲気として実質的に非酸素雰囲気とすることができる。この場合、窒素ガスとして乾燥ガスを使用することによって、キャビティ12b内を除湿することができる。また、成形型12の窒素ガス導入口12dに配管22を介してエアボンベ18を接続し、キャビティ12bの除湿用に乾燥空気をキャビティ12bに導入するように構成することも可能である。
【0011】
アルゴンガスボンベ19は、配管26によって金属ガスを発生する発生器としての加熱炉28に接続されており、配管26に設けられたバルブ30を開くことによって加熱炉28内にアルゴンガスが注入される。この加熱炉28内は、ヒータ32によって加熱可能に形成されており、炉内温度は、金属ガスとしてのマグネシウムガスを発生させるため、マグネシウム粉末が昇華する800℃以上にされている。バルブ30を調節して加熱炉28に注入されるアルゴンガス量を調整することができる。
【0012】
アルゴンガスボンベ19は、バルブ33が介装された配管34によって、マグネシウム粉末が収容されているタンク36に接続され、タンク36は配管38によって、バルブ30よりも下流側の配管26に接続されている。配管38には加熱炉28へのマグネシウム粉末の供給量を制御するバルブ40が介装されている。加熱炉28は、配管42を介して成形型12の金属ガス導入口12cに接続されており、加熱炉28でガス化されたマグネシウムガスは金属ガス導入口12cを介してキャビティ12b内に導入される。配管42に介装したバルブ45は、成形型12のキャビティ12bに注入する金属ガスの供給量を調節するためのものである。
【0013】
本実施形態の鋳造装置10を用いたアルミニウムの鋳造は次のようにして行われる。
まず、バルブ24を開放し、窒素ガスボンベ20から配管22を経て成形型12のキャビティ12b内に窒素ガスを注入し、キャビティ12b内の空気を窒素ガスによって排出する。キャビティ12b内の空気は成形型12の排気孔25から排出され、キャビティ12b内が窒素ガス雰囲気となって実質的に非酸素雰囲気となる。
この窒素ガスによってキャビティ12b内の空気を排出する目的は、キャビティ12bを非酸素雰囲気とすることと、キャビティ12b内を除湿することである。このため、窒素ガスとして乾燥ガスを使用し、除湿しながらキャビティ12b内を非酸素雰囲気とする。
【0014】
キャビティ12b内を除湿する方法としては、窒素ガスの乾燥ガスを使用するかわりに、エアボンベ18から窒素ガス導入口12dを経由してキャビティ12b内に乾燥空気を注入し、キャビティ12b内を除湿した後、窒素ガスボンベ20からキャビティ12b内に窒素ガスを注入するようにしてもよい。乾燥空気によってキャビティ12b内の空気を排出し、キャビティ12b内を十分に除湿することにより、窒素ガスとしてとくに乾燥ガスを使用することなくキャビティ12b内を所定の湿度以下に制御することができる。
また、窒素ガス以外の還元性化合物と反応しない気体、たとえばアルゴンガス等の乾燥気体をキャビティ12b内に注入し、キャビティ12b内を非酸素雰囲気とするとともに除湿するように構成することももちろん可能である。
また、この鋳造装置10が設置されている環境を除湿された環境とし、少なくともキャビティ12b内の湿度が70%以下となるように周辺環境を保つことが有効である。
【0015】
一方、成形型12のキャビティ12b内の空気を排出している間に、バルブ30を開放して加熱炉28内に、アルゴンガスボンベ19からアルゴンガスを注入し、加熱炉28内を無酸素状態とする。
次いで、バルブ30を閉じ、バルブ40を開放し、アルゴンガス圧によりタンク36内のマグネシウム粉末をアルゴンガスと共に加熱炉28内に送り込む。加熱炉28は、マグネシウム粉末が昇華する800℃以上の炉内温度に加熱されているから、加熱炉28に送り込まれたマグネシウム粉末は昇華してマグネシウムガスとなる。
【0016】
次に、バルブ40を閉じ、バルブ30およびバルブ45を開放し、アルゴンガスの圧力、流量を調節しつつ成形型12の金属ガス導入口12cからマグネシウムガスをキャビティ12b内に注入する。
キャビティ12b内にマグネシウムガスを注入した後、バルブ45を閉じ、バルブ24を開放して窒素ガス導入口12dからキャビティ12b内に窒素ガスを注入する。成形型12内に窒素ガスを注入することによって、マグネシウムガスと窒素ガスとがキャビティ12b内で反応しマグネシウム窒素化合物(Mg)が生成される。マグネシウム窒素化合物はキャビティ12bの内壁面に粉体として析出する。
【0017】
窒素ガスをキャビティ12b内に注入する際には、窒素ガスの圧力および流量を適宜調節して行う。窒素ガスとマグネシウムガスとが反応し易いように窒素ガスを予熱して成形型12の温度が低下しないようにして注入することもよい。反応時間は5秒〜90秒程度(好ましくは15秒〜60秒程度)でよい。反応時間を90秒よりも長くしても、成形型12の型温が低下し反応性が低下する傾向にある。
【0018】
成形型12のキャビティ12bの内壁面に析出したマグネシウム窒素化合物(Mg)はきわめて還元性の高い化合物である。本実施形態の鋳造装置10では、キャビティ12b内をあらかじめ除湿した環境としているから、キャビティ12b内で生成されたマグネシウム窒素化合物がキャビティ12b内の水分と化合することが防止でき、マグネシウム窒素化合物の還元性を保持することが可能となる。
【0019】
図3は、マグネシウム窒素化合物と水分との反応性が湿度によってどのように変化するかを示したグラフである。マグネシウム窒素化合物は湿度が高くなるとともに反応性が高くなり、湿度が低くなるとともに反応性が低くなる。還元鋳造方法において好適な還元鋳造を可能にする湿度としては70%以下、とくに好適には65%以下となる。したがって、キャビティ12b内を除湿する際には、キャビティ12b内の湿度が70%以下、とくに好適には65%以下とするのがよい。
【0020】
キャビティ12b内でマグネシウム窒素化合物を生成した後、バルブ24を閉じ、成形型12の湯口12aからアルミニウムの溶湯を注湯する。溶湯は湯口12aから押湯部16を経由してキャビティ12bに注入される。溶湯の注入は、キャビティ12b、押湯部16および湯口12aが溶湯で充填されるまで続行する。
溶湯を注入した際に、アルミニウムの溶湯はキャビティ12bの内壁面に析出しているマグネシウム窒素化合物と接触し、マグネシウム窒素化合物が溶湯の表面の酸化皮膜から酸素を奪うことによって、溶湯の表面が純粋なアルミニウムに還元される。
さらに、キャビティ12b内に残存する酸素は、マグネシウム窒素化合物と反応し酸化マグネシウムまたは水酸化マグネシウムとなって溶湯中に取り込まれる。このようにして生成される酸化マグネシウム等は少量であり、かつ安定な化合物であるため、アルミニウム鋳造品の品質に悪影響は与えることはない。
【0021】
還元鋳造方法は、溶湯の表面の酸化皮膜から酸素を奪いとって純粋な金属の表面を形成させながらキャビティ12bに溶湯を充填させて鋳造する方法であり、本実施形態の場合にはマグネシウム窒素化合物がアルミニウムの溶湯の表面の酸化皮膜から酸素を奪いとり、溶湯の表面を純粋なアルミニウムとして鋳造する。したがって、キャビティ12b内をあらかじめ除湿してキャビティ内の水分によって還元性化合物の還元性を損なわないようにすることは効果的な還元鋳造を行う上できわめて重要である。
溶湯の表面に酸化皮膜を形成させることなく鋳造できることから、鋳造工程中に溶湯の表面張力が酸化皮膜によって増大することが防止でき、溶湯の濡れ性、流動性、湯周り性を良好にすることができる。その結果、キャビティ12bの内壁面との転写性(平滑性)に優れ、湯ジワ等が生じない良好な鋳造品を得ることが可能となる。
【0022】
また、溶湯の湯周り性がきわめて良好となることから、従来の重力鋳造法で成形型に設けている大容積の押湯部を設ける必要がない。溶湯の湯周り性、流動性が良いため、押湯部による押湯作用を使用することなくキャビティ12bの内部全体に素早く溶湯を充填することができるからである。本実施形態の場合も、押湯部16の容積は限定した容積に設定している。押湯部16の容積を小さくすることによって、鋳造後の不要部分の分量を小さくすることができ、省エネルギーを図ることができるとともに、鋳造品から不要部を除去する作業が容易になるという利点がある。
【0023】
図2は本発明に係る還元鋳造方法をアルミニウムの鋳造に適用した鋳造装置10の他の実施形態の構成を示す説明図である。
本実施形態において、成形型12は注湯槽15に接続され、ほぞ16が引き上げられることにより、注湯槽15から所要量のアルミニウムの溶湯50がキャビティ12b内に注湯されるようになっている。
20は窒素ガスボンベであり、成形型12に配管22を介して接続され、バルブ24を開放することにより、成形型12内に窒素ガスを導入し、成形型12内の空気を排出できるようになっている。
【0024】
本実施形態では、窒素ガスボンベ20は、キャビティ12b内の空気を排出してキャビティ12b内を非酸素雰囲気とし、キャビティ12b内を除湿する作用と、成形型12の外部で生成した還元性化合物であるマグネシウム窒素化合物をキャビティ12bに輸送する作用を有する。
キャビティ12b内を除湿するには、窒素ガスの乾燥ガスを使用してキャビティ12b内の空気を排出することによって除湿することができる。窒素ガスの乾燥ガスを使用するかわりに、エアボンベ18から窒素ガス導入口12dを経由してキャビティ12b内に乾燥空気を導入し、キャビティ12b内を除湿した後、窒素ガスボンベ20からキャビティ12b内に窒素ガスを注入するようにしてもよい。また、窒素ガスの乾燥ガスを使用するかわりに、還元性化合物と反応しない乾燥気体をキャビティ12bに注入してキャビティ12b内を非酸素雰囲気とし除湿することも可能である。
【0025】
窒素ガスボンベ20はまた配管26を通じて加熱炉28に接続されており、バルブ30を開放することにより加熱炉28内に窒素ガスを導入できるようになっている。なお、加熱炉28の炉内温度はマグネシウム粉末が昇華する800℃以上に設定されている。
窒素ガスボンベ20はまた配管34を介して、マグネシウム粉末が収容されているタンク36に接続され、タンク36は配管38により、バルブ30よりも下流側の配管26に接続されている。配管38にはバルブ40が介装されている。加熱炉28は配管42と、ほぞ15を貫通して成形型12のキャビティ12bに通じるパイプ44とを介して成形型12に接続する。
【0026】
本実施形態の鋳造装置10を用いたアルミニウムの鋳造は次のようにして行われる。
まず、バルブ24を開放し、窒素ガスボンベ20から配管22を経て成形型12のキャビティ12b内に窒素ガスを注入し、キャビティ12b内の空気を窒素ガスによって排出する。これによってキャビティ12b内が実質的に非酸素雰囲気となる。窒素ガスとして乾燥ガスを使用することによってキャビティ12b内を湿度70%以下に除湿する。なお、窒素ガスの乾燥ガスを使用するかわりに、還元性化合物と反応しない乾燥気体、たとえばアルゴンガスをキャビティ12b内に注入してキャビティ12b内を非酸素雰囲気とするとともに、キャビティ12b内を除湿することができる。本実施形態の場合も鋳造装置10が設置されている環境を除湿された環境とし、少なくともキャビティ12b内の湿度が70%以下となるように周辺環境を保つことが有効である。
【0027】
次に、バルブ30を開放して、加熱炉28内に窒素ガスを導入する。
次いで、バルブ24およびバルブ30を閉じ、バルブ40を開放して、窒素ガスボンベ20の窒素ガス圧により、タンク36に収容されているマグネシウム粉末を窒素ガスと共に加熱炉28内に送り込む。加熱炉28はマグネシウム粉末が昇華する800℃以上の炉内温度に加熱されているから、マグネシウム粉末は昇華すると共に窒素ガスと反応し、加熱炉28内で気体状のマグネシウム窒素化合物(Mg)が生成される。
【0028】
バルブ40を閉じ、バルブ30を開放して、加熱炉28内で生成された気体状のマグネシウム窒素化合物を窒素ガスボンベ20の窒素ガス圧により、配管42、パイプ44を経て成形型12のキャビティ12bに注入する。キャビティ12bに注入されたマグネシウム窒素化合物(Mg)はキャビティ12bの内面上に粉体として析出する。
【0029】
キャビティ12bの内面上にマグネシウム窒素化合物が析出した状態で、ほぞ15を引き上げることにより、注湯槽14中のアルミニウムの溶湯50が成形型12のキャビティ12bに注入される。
キャビティ12b内ではアルミニウムの溶湯とマグネシウム窒素化合物がキャビティ12bの表面上で反応し、マグネシウム窒素化合物がアルミニウムの溶湯の表面の酸化皮膜から酸素を奪い、純粋なアルミニウムに還元する。キャビティ12b内に残存する酸素、アルミニウムの溶湯内に混入している酸素は酸化マグネシウムあるいは水酸化マグネシウムとなり、溶湯中に取り込まれる。これらの酸化マグネシウム等は少量であり、また安定な化合物であるので、アルミニウム鋳造品の品質に悪影響は与えない。
【0030】
このように、図2に示す鋳造装置10による場合も、キャビティ12b内を除湿して、還元性化合物であるマグネシウム窒素化合物を導入することで、マグネシウム窒素化合物の還元性を損なうことがなく、アルミニウムの溶湯の表面に形成される酸化皮膜を確実に還元して、溶湯の表面を純粋なアルミニウムとして好適に鋳造することが可能となる。これによって、キャビティ12b内におけるアルミニウムの溶湯の濡れ性、流動性、湯周り性を良好にし、キャビティ12bの内壁面との転写性に優れ、湯ジワ等のない高品質の鋳造品を得ることが可能になる。なお、窒素ガス等の乾燥ガスをキャビティ内に送入するのではなく、鋳造装置が設置されている環境自体を除湿環境とし、これによってキャビティ内の湿度が70%以下となるようにしてもよい。
【0031】
【発明の効果】
本発明に係る還元鋳造方法によれば、上述したように、成形型のキャビティ内があらかじめ除湿された状態で、還元性化合物をキャビティ内に導入し、あるいは、キャビティ内で還元性化合物を生成することによって、還元性化合物がキャビティ内の水分と反応することを抑えることができ、還元性化合物の還元性を確実に保持することができて、好適な還元鋳造を行うことができる。
また、金属ガスとしてマグネシウムガス、反応性ガスとして窒素ガスを使用することでアルミニウムの鋳造に好適に利用することができる等の著効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る還元鋳造方法を適用して鋳造する鋳造装置の構成例を示す説明図である。
【図2】本発明に係る還元鋳造方法を適用して鋳造する鋳造装置の他の構成例を示す説明図である。
【図3】還元性化合物の反応性が湿度によって変化する様子を示すグラフである。
【符号の説明】
10 鋳造装置
12 成形型
12a 湯口
12b キャビティ
12c 金属ガス導入口
12d 窒素ガス導入口
15 注湯槽
16 押湯部
18 エアボンベ
19 アルゴンガスボンベ
20 窒素ガスボンベ
25 排気孔
28 加熱炉
36 タンク
50 溶湯

Claims (7)

  1. 金属の溶湯を成形型のキャビティに注湯し、成形型のキャビティ内で溶湯と還元性化合物とを接触させて溶湯の表面に形成された酸化皮膜を還元しつつ鋳造する還元鋳造方法において、
    少なくとも前記キャビティ内の湿度を70%以下とした後、
    前記キャビティ内に還元性化合物を導入し、
    次いで、前記溶湯をキャビティ内に注湯して鋳造することを特徴とする還元鋳造方法。
  2. キャビティ内に、還元性化合物と反応しない乾燥気体を導入してキャビティ内を除湿した後、キャビティ内に還元性化合物を導入することを特徴とする請求項1記載の還元鋳造方法。
  3. 金属の溶湯としてアルミニウムまたはその合金の溶湯を使用し、成形型内に還元性化合物としてマグネシウム窒素ガスを導入して鋳造することを特徴とする請求項1または2記載の還元鋳造方法。
  4. 金属の溶湯を成形型のキャビティに注湯し、成形型のキャビティ内で溶湯と還元性化合物とを接触させて溶湯の表面に形成された酸化皮膜を還元しつつ鋳造する還元鋳造方法において、
    少なくとも前記キャビティ内の湿度を70%以下とした後、
    前記キャビティ内に金属ガスと反応性ガスとを導入してキャビティ内で前記還元性化合物を生成し、
    次いで、前記溶湯をキャビティ内に注湯して鋳造することを特徴とする還元鋳造方法。
  5. キャビティ内に、還元性化合物と反応しない乾燥気体を導入してキャビティ内を除湿した後、キャビティ内に金属ガスと反応性ガスとを導入してキャビティ内で還元性化合物を生成することを特徴とする請求項4記載の還元鋳造方法。
  6. 乾燥気体として、反応性ガスを使用することを特徴とする請求項5記載の還元鋳造方法。
  7. 金属の溶湯としてアルミニウムまたはその合金の溶湯を使用し、成形型内に金属ガスとしてマグネシウムガス、反応性ガスとして窒素ガスを導入してキャビティ内で還元性化合物を生成して鋳造することを特徴とする請求項4、5または6記載の還元鋳造方法。
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