JP3601303B2 - 有限要素生成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、CAD装置などで作成したワイヤーフレームデータから有限要素を生成する有限要素作成方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
有限要素解析を行う場合には、解析対象が予め有限要素に分割されている必要がある。近年は部品の形状データなどはCADで作成される場合が多いため、例えば、部材がワイヤーフレームで表現されている場合、このワイヤーフレームに基づき、部材の形状を有限要素に分割し、有限要素を生成しなければならない。
【0003】
一般にCAD装置などにおいては、各部材は、ワイヤーフレームモデルに代表されるように、その形状を所定の面や線で定義することにより設計される。そのため、部材の形状線(デザイン線)に基づいて、有限要素を生成することが一般に行われている。
【0004】
このような有限要素分割方法としては種々の方法が提案されている。一般に、車両等に用いられる部品においては、形・大きさが異なる多数の面や線で囲まれた閉領域で構成されている。そして、全て面で定義されている閉領域から形状を認識し、有限要素を一律に生成する方法は種々のものが提案されている。
【0005】
例えば、特開平7−282105号公報、特開平5−298409号公報に記載されている発明においては、2段階のステップから構成される有限要素分割方法が提案されている。また、特開平5−81385号公報には、生成した有限要素が適切な形状・大きさの有限要素であるか否かを検査する方法が示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、線のみで定義されたデータ、いわゆるワイヤーフレームデータに基づき有限要素を生成する方法においては、一般に人間が予め形状認識を行い、この形状認識を手入力でCAD装置等に与える必要が従来はあった。
【0007】
また、形状認識を手入力で与えて有限要素を生成しても、このようにして生成した有限要素は、メッシュサイズ(それぞれの有限要素は、しばしば「メッシュ」と呼ばれ、その大きさをしばしば「メッシュサイズ」と呼ぶ)が不均一になることが知られている。そのため、部分的に他の有限要素と比べて非常に小さな有限要素が作成されてしまう可能性があった。
【0008】
さらに、複数の部品から構成される構造体において、隣接する部品の間の分割形状が必ずしも整合しないため、精度の高い有限要素解析を行うためには、結合している部品の間で手作業でメッシュの整合を修正する必要もあった。
【0009】
本発明は、係る課題に鑑みなされたものであり、その目的は、ワイヤーフレームデータに基づき、正しく形状認識を行い、正確な有限要素を生成することができる有限要素生成方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、以下のような手段を講じたものである。
【0027】
本発明は、部材の形状を表すワイヤーフレームデータに基づいて、電子計算機によって有限要素を生成する有限要素生成方法であって、有限要素生成のための情報を読み込む情報読み込みステップと、前記ワイヤーフレームデータを、所定のカット断面によってカットするステップと、前記ワイヤーフレームデータと、所定のカット断面との交点を求める交点導出ステップと、前記交点導出ステップで求めた交点群をソートするソートステップと、前記交点群から有限要素の節点となるべき交点を選択し、この選択した交点群に対して、前記ソートステップでソートした順番で隣接している交点の間の距離があらかじめ設定された判定距離より短い場合には、その短い距離を形成する2つの交点のいずれか一方を有限要素の節点の候補から除外して節点となる交点を選択する節点選択ステップと、選択した前記節点の間に有限要素を生成する有限要素生成ステップと、前記有限要素の座標を前記電子計算機の出力装置に出力するステップと、を含み、前記情報読み込みステップは、前記ワイヤーフレームデータを読み込むワイヤーフレームデータ読み込みステップと、前記ワイヤーフレームデータが表す部材の開始位置を表す開始面を表すデータと、終了位置を表す終了面を表すデータと、を読み込む開始面終了面読み込みステップと、を含み、前記有限要素生成方法は、前記開始面と終了面との双方に平行な仮断面を、前記開始面と終了面との間に所定のピッチで作成する仮断面群作成ステップと、前記ワイヤーフレームデータと、前記仮断面群との交点である仮交点を求める仮交点導出ステップと、前記仮断面毎に前記仮交点の重心点を求める重心点算出ステップと、前記仮断面毎に求められた前記重心点を結ぶ曲線を、形状代表線として生成する形状代表線生成ステップと、前記形状代表線を横断する平面であって、前記形状代表線の方向ベクトルを、法線ベクトルとする平面を、前記カット断面として生成するカット断面作成ステップと、を含むことを特徴とする。
【0028】
部品の形状を正確に認識するためには、その部品の形状を表現する補助線を利用することが考えられる。本発明は、形状代表線と呼ばれる線を作成し、これに沿ってカット断面を作成した。カット断面は、そのカット断面によってカットされる部品の断面が最小面積となるような角度で部品をカットすることが有限要素の生成に好ましいことが知られている。このような角度で部品をカットするには、部品の基本的な形状をある程度認識する必要がある。そこで、本発明では、開始面と終了面との間に、上述した手法で形状代表線を作成し、これに沿ってカット断面を作成することにしたのである。
【0031】
また、本発明は、部材の形状を表すワイヤーフレームデータに基づいて、電子計算機によって有限要素を生成する有限要素生成方法であって、有限要素生成のための情報を読み込む情報読み込みステップと、前記ワイヤーフレームデータを、所定のカット断面によってカットするステップと、前記ワイヤーフレームデータと、所定のカット断面との交点を求める交点導出ステップと、前記交点導出ステップで求めた交点群をソートするソートステップと、前記交点群から有限要素の節点となるべき交点を選択し、この選択した交点群に対して、前記ソートステップでソートした順番で隣接している交点の間の距離があらかじめ設定された判定距離より短い場合には、その短い距離を形成する2つの交点のいずれか一方を有限要素の節点の候補から除外して節点となる交点を選択する節点選択ステップと、選択した前記節点の間に有限要素を生成する有限要素生成ステップと、前記有限要素の座標を前記電子計算機の出力装置に出力するステップと、を含み、前記情報読み込みステップは、前記ワイヤーフレームデータを読み込むワイヤーフレームデータ読み込みステップと、前記ワイヤーフレームデータが表す部材の開始位置を表す開始面を表すデータと、終了位置を表す終了面を表すデータと、を読み込む開始面終了面読み込みステップと、を含み、前記有限要素生成方法は、 前記開始面と終了面との交線を中心線とし、この中心線を通る平面を仮断面として、前記開始面と終了面との間に所定のピッチで作成する仮断面群作成ステップと、 前記ワイヤーフレームデータと、前記仮断面群との交点である仮交点を求める仮交点導出ステップと、 前記仮断面毎に前記仮交点の重心点を求める重心点算出ステップと、 前記仮断面毎に求められた前記重心点を結ぶ曲線を、形状代表線として生成する形状代表線生成ステップと、 前記形状代表線を横断する平面であって、前記形状代表線の方向ベクトルを、法線ベクトルとする平面を、前記カット断面として生成するカット断面作成ステップと、を含むことを特徴とする。
【0032】
開始面と終了面とが所定の中心線で交わっている場合においても、より正確に部品の形状を認識するために、仮断面を作成して形状代表線を作成することが好ましい。本発明は、このような形状代表線を、仮断面とワイヤーフレームデータとの交点群の重心点(中心点)を、自由曲線で結ぶことによって形状代表線を作成している。したがって、湾曲部品においてもカット断面による断面の面積を最小面積に近づけることができ、好ましい有限要素の生成ができる。
【0034】
また本発明に係る有限要素生成方法においては、 前記カット断面作成ステップは、 前記形状代表線上に、所定の長さのピッチ毎に、カット交点を設け、このカット交点を通るように、前記所定のカット断面を作成する線長ピッチカット断面作成ステップ、を含むものとすることが好適である。
【0035】
また、本発明に係る有限要素生成方法においては、前記ソートステップは、前記交点群をその座標値でソートする座標値ソートステップ、を含むものとすることが好適である。
【0036】
また、本発明にかかる有限要素生成方法においては、 前記ソートステップは、 前記座標値ソートステップでソートした前記交点群に対し、ソート結果である順番で辿り、N+1番目の交点からM番目までの交点中で、N番目の交点に最も近い交点がN+1番目の交点でない場合には、その最も近い交点の順番を、N+1に変更する距離ソートステップ、を含むものとすることが好適である。ここで、Nは、1からM−1までの整数であり、Mは、交点の個数である。
【0037】
また、本発明に係る有限要素生成方法においては、 前記ソートステップは、 前記距離ソートステップでソートした前記交点群に対し、S番目の交点とS+1番目の交点とを結ぶ直線と、S+1番目の交点とS+2番目の交点とを結ぶ直線と、のなす角度が、所定の基準角度より小さい場合には、S−1番目の交点からの距離がS番目の交点の次に短い交点を選択し、当該交点をS番目の交点とし、元のS番目の交点との順序を入れ替える隣接点修正ステップと、を含むものとすることが好適である。ここで、Sは、2からM−2までの整数である。
【0038】
また、本発明に係る有限要素生成方法においては、 前記節点選択ステップは、前記交点群を、ソートした順番に基づき、T番目の交点及びT+1番目の交点を結ぶ直線と、T+1番目の交点及びT+2番目の交点を結ぶ直線と、のなす角度が、所定の基準角度より小さい場合には、前記T+1番目の交点を、有限要素の節点として選択する確定節点選択ステップと、を含むものとすることが好適である。ここで、Tは、1からM−2までの整数であり、Mは、交点の個数である。
【0039】
また、本発明に係る有限要素生成方法においては、 前記有限要素生成ステップは、 ワイヤーフレーム線をまたぐ有限要素は生成せず、前記ワイヤーフレーム線は有限要素の辺縁部と一致するものとすることが好適である。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0043】
1. 実施の形態1
図1には、本実施の形態におけるCADシステムの全体構成図が示されている。この図に示されているように、本実施の形態は、いわゆるクライアントサーバシステム上において実施されるものである。このクライアントサーバシステムにおいては、複数のクライアント10と、1台以上のサーバ12とがネットワーク14により接続されている。
【0044】
図2には、本実施の形態におけるソフトウエアの構成図、すなわち、内部構成図が示されている。本システムにおいてはアプリケーションを動作させるための基本部であるプラットフォーム部16が備えられている。このプラットフォーム部はいわゆるOS(オペレーティングシステム)の役割を果たすものであり、ユーザとの間で所定のデータの入出力を行う対話部18と、表示を行う表示部20と、CADデータ等を格納するデータベース部22とを備えている。このプラットフォーム部16上において、アプリケーションコマンド部24が各種のアプリケーションを実行する。図2に示されているようにこのアプリケーションコマンド部24には、CAD部26や、CAE部28や、CAM部30等が含まれている。
【0045】
CAD部26は、いわゆるCADデータを作成するアプリケーションであり、線や面を作成する部分である。作成した線や面等のデータには適宜、所定の属性が付加されデータベース部22に格納される。
【0046】
CAE部28は、このデータベース部22に格納されたCADデータを適宜利用し各種のシミュレーションを行う部分である。また、このCAE部28は、有限要素解析における有限要素を生成する。この生成した有限要素はデータベース部22に格納される。
【0047】
また、CAM部30はCADデータ等を利用して適宜生産データとして利用する。
【0048】
更に、プラットフォーム部16は、データベース部22に格納されているデータ、その他のデータを適宜データ変換し、他のシステムとの間でデータの送受信を行う。
【0049】
本実施の形態において新規な事項は、CAE部28における有限要素の生成の手法である。具体的には、本実施の形態においては、本発明の有限要素生成方法はCAE部28内部のプログラムとして実現されている。
【0050】
以下、本実施の形態に係る有限要素の生成方法を適宜図面を参照しながら説明する。
【0051】
1.1 無限平面との交点を求める
本実施の形態に係る有限要素生成方法は、いわゆるワイヤーフレームデータに基づき有限要素を生成する方法である。ワイヤーフレームデータから有限要素を生成する従来の手法においては人間がワイヤーフレームデータの形状を認識し、そのデータをCAD装置等に与える必要があった。これに対して、本実施の形態における方法では、この形状認識を自動的に且つ正確に行うことにより、人手を介さずに有限要素を生成することが可能である。
【0052】
本実施の形態における有限要素生成方法においては、まずワイヤーフレームデータ(3次元のデータ)に対して、所定の無限平面を設定し、この無限平面とワイヤーフレームデータとの交点を求めることから処理が開始される。
【0053】
1.1.1 交点の算出
まず、与えられるワイヤーフレームデータは、L,W,Hの3座標軸空間で定義されているものとする。この様子が図3に示されている。本実施の形態においてはワイヤーフレームデータが表す部品の基準面はいわゆるWL平面にあり、この平面に対してH軸方向に凹凸があるような部品を想定している。このような部品に対して、いわゆるWH平面と平行な無限平面を複数個作成し、この無限平面との交点を適宜求めていく。この無限平面は、その法線ベクトルが(1.0,0.0,0.0)(L,W,Hの順)であるような無限平面であり、この無限平面は(Lm,0,0)の点を通る無限平面である。ここで、LmはL軸の座標であり、ワイヤーフレームデータが表す部品を全て包含するように選択される。例えば、このLmは0、1、2、3のように選ばれる。
【0054】
まず、L=0の点を通るWH平面と同一の無限平面が作成され、この無限平面とワイヤーフレームデータのグループ内の線との交点が求められる。次に、Lの値がインクリメントされ、L=1の点を通る無限平面が作成される。そして、WH無限平面に対してもワイヤーフレームデータの線との交点が求められるのである。今述べた例においては、インクリメント量が1の場合を説明したが、このL軸のインクリメントしていく量はそのワイヤーフレームデータが表す部品に対して行いたい有限要素解析の精度や計算機の処理時間に依存し、具体的には最終的に生成したい有限要素の大きさと同程度のピッチが選ばれる。
【0055】
また、Lmは上述したように、ワイヤーフレームデータが表す部品を全て包含するように選択されるため、必ずしも0から開始する必要はなく、ワイヤーフレームデータの座標値に依存する。
【0056】
このようにして、無限平面(以下、しばしばカット断面と呼ぶ)をL座標の値を順次変化させて作成し、各無限平面とワイヤーフレームデータとの交点が各無限平面毎に求められるのである。
【0057】
1.1.2 ソーティング
次に、このようにして得られた交点のデータを各無限平面(カット断面)毎にソーティングを行う。
【0058】
さて、ある一つの無限平面とワイヤーフレームデータとの交点は、L座標の値が全て同じであることは容易に理解される。従って、一つの無限平面とワイヤーフレームデータとの交点は、全てL座標の値が同じでありW、H座標の値のみが異なる。この交点は、第1にW軸の座標値、第2に交点間の距離、第3に交点間の角度を用いて適宜ワイヤーフレームデータによる形状を正確に認識しながらソーティングが行われる。このソーティングの作業は、本実施の形態において特徴的な処理であり、以下、この処理について説明する。
【0059】
(1)座標変換
まず、ある一つの無限平面との交点群は3次元の座標値であらわされているが、これを2次元データに変換する。この2次元データに変換するとは、実際にはL軸の座標値を無視し、W軸とH軸の座標値だけにする処理をいう。すなわち、L軸の座標値は一つの無限平面に対しては全て同じであるため、ここで削除したものである。
【0060】
(2)座標値によるソート
次に、各交点をW軸とH軸の座標値によりソートを行う。このソート処理は、まずW座標の値の小さい順に各交点を並べて、次に同じW座標の値が複数の交点に付されている場合には、H座標の値の小さい順に更にその中で並べ替えを行う。
【0061】
換言すれば、この座標値によるソートは、W座標軸の値を第1キーとし、H座標軸の値を第2キーとするソートである。そして、このソート結果に基づき座標の小さい順に各交点に対し番号が1から順番に付されるのである。
【0062】
(3)距離によるソート
座標値によるソートを行った後、正しく形状認識を行うために、本実施の形態においては距離によるソートを行っている。この様子が図4に示されている。図4(1)においては、上述した座標値によるソートを行った結果が示されている。この上述した座標値によるソートによって各交点(×印で示されている)には1〜8までの数字が付されている。
【0063】
距離によるソートは、まずこの各交点に付されている番号の順に交点を検査していくことにより行われる。まず交点1に対してこの1の次の交点すなわち交点2となるべき交点はこの交点1に最も距離的に近い交点が選択される。例えば、図4(1)に示されているように交点1と交点2の距離より交点1と交点3の距離が短い場合にはこの交点3がより正しい交点2であるとして交点2と3の番号が入れ替えられるのである。この交点2と3の番号を入れ替えた様子が図4(2)に示されている。この図4(1)と(2)とを比較すれば理解されるように、ワイヤーフレームデータによって定義された形状をより正しく認識されているものと考えられる。
【0064】
次に、交点2(これは以前の交点3が上で新たに交点2となったものである)に対しこの交点2に最も近い交点を探し、交点3とするのである。もちろんこの場合、既に検査した交点1は除いて残りの交点群から交点2に最も近い交点を探すのである。
【0065】
次に、今度は、今までに検査した交点1及び交点2を除き、交点3から最も近い点を交点4とするのである。
【0066】
以上のようにして距離によるソートを行うことにより、ワイヤーフレームデータによって定義される形状をより正しく認識することができるのである。
【0067】
(4)角度によるソート(ソートの修正)
上で述べた距離によるソートを行うことにより、本実施の形態においては正確な形状認識を行える可能性が高くなる。しかしながら、この距離によるソートだけでは正しく形状認識できない場合も考えられる。そこで、本実施の形態においては、上記距離によるソートを行った後に、角度によるソート(正確には角度によるソートの修正)を本実施の形態においては行っている。このソートの様子が図5に示されている。
【0068】
図5(1)には上で述べたように座標値によるソートを行い、且つ距離によるソートを行った後の交点の様子が示されている。各交点は×印で示されており、各交点にはソートによって1〜7までの数字が付されている。この場合、図5(1)で示されているように、交点3、4、5の並びは、それらを結ぶ線分が交差しているため、不適切である。それは、部品の輪郭が交差することはないからである。このような状況を修正するため、これから述べる、角度によるソートにおいては交点1から順番に各交点の検査を行っている。具体的には、ある交点に接続する線分がなす角度が所定の基準値より小さい場合にはその交点の番号付けが間違っていたと判断するのである。例えば図5(1)に示されている例においては線分3−4と、線分4−5のなす角度が数度程度となっている。実際のワイヤーフレームデータで表現される部品においてはこのような鋭角は発生しない場合が多く、この交点の選択が誤りであったと判断するのである。所定の基準角度は、その部品によって適宜利用者が指定することが好ましい。たとえば、この所定の基準角度としては20°等の値が利用される。線分3−4と線分4−5とのなす角度がこの所定の基準角度より小さい場合には着目している交点から2つ戻った交点に立ち返って、その交点から最も近い交点ではなく、2番目に近い交点を新たに選択していくのである。
【0069】
例えば、図5(1)に示されている例においては、交点4に接続する2つの線分のなす角度が極めて小さかったのであるから、この交点4から2つ戻り交点2に処理が移る。そして、この交点2から最も近い点ではなく2番目に近い交点を探し、その2番目に近い交点を新たに交点3としたものである。
【0070】
すなわち、交点4において誤りがみつかったのであるからその交点を中心とする交点3及び交点5の選択が間違っていたものと推察される。従って交点3の選択からやり直すべく、交点4から2つ戻り交点2に関する処理(すなわち、交点2に隣接する交点3の選択)を新たにやり直すのである。この交点2における処理は、上の(3)で述べたように基本的には距離の近い交点を探す作業になるが、最も近い交点ではなく2番目に近い交点を探しているのである。この結果、図5(1)において4が付されていた交点が新たに3が付され、3が付されていた交点が新たに4が付されることになる。
【0071】
このように、本実施の形態においては各線分のなす角度に着目し、その角度が所定の基準値より小さい場合にはその角度の中心となる交点から2つ戻り、2つ戻った交点から次に続く交点の選択のやり直しを行ったのである。この結果、ワイヤーフレームデータにより表現される物品の形状をより正確に認識することができる。
【0072】
1.1.3 節点となるべき交点の選択
次に、このようにしてソーティングを行って正確に形状認識された交点の中から有限要素の節点となるべき交点を選択する。本実施の形態においては、以下に説明するように、有限要素の大きさ等を考慮し、適切な節点となるように節点となるべき交点を選択している。その結果、本実施の形態によれば大きさの揃った有限要素を生成することが可能となっている。以下、具体的に節点となるべき交点の選択について説明する。
【0073】
本実施の形態にかかる節点の選択の説明図が図6に示されている。図6(1)には上で述べた手法により形状を正しく認識した場合の交点群(ソーティングされている)の様子が示されている。このような交点群に対して、最初は全ての交点を節点となるべき候補として取り扱っている。そして、まず、各交点に接続する線分のなす角度が所定の基準値以下の交点は最終的に節点となるべき点であると判断し、確定節点とする。この確定節点とは、有限要素の節点となることが確定した交点である。図6(2)には、この確定節点が○を付してあらわされている。図6(2)にはこの○が付されている節点が5個存在し、この点は節点となることが確定した点である。この5個の点はその点に接続する線分のなす角度が所定の基準値(例えば160°)より小さいため、形状を正しく表現するために節点とすることが必要であると判断される点だからである。このように、その交点に接続する線分の角度が小さい交点は、ワイヤーフレームデータの部品の折れている部分、角の部分を必ず表現できるようにするために、節点として確定したのである。
【0074】
次に、各確定節点の間の距離を検査し、所定の基準値以下である場合にはその交点は節点の候補から除外する。この除外した交点の様子が図6(3)に示されている。この図6(3)においては隣接する交点と極めて近い点が存在するため、全ての交点を有限要素の節点とした場合に、極めて小さい有限要素が発生してしまう可能性がある。従って、図6(3)に示されているような○の交点は有限要素の節点とはしないことにしたのである。以上のような処理の結果、この図6(3)においては○に斜線が引かれて表された交点は有限要素の節点の候補として残っており、最終的に確定節点となった点である。
【0075】
これによって、本実施の形態によれば部品の角の部分を必ず表現することができ、正確な形状を表現することができる。
【0076】
最後に、最初の点と最後の点を確定節点としている。この様子が図6(3)に示されている。本実施の形態においては、上で述べてきたように、一つの無限平面に対してワイヤーフレームデータとの交点を求めてソーティングを行っているため、このソーティングの結果、最初の点と最後の点が必ず存在する。したがって、本実施の形態においては、部品の形状の全体を正確に表現するために、最初の点と最後の点とを必ず有限要素の節点としているのである。
【0077】
以上のようにして、図6(3)における確定節点と、最初の点及び最後の点が最終的な有限要素の節点となる点である。
【0078】
1.1.4 無限平面毎の処理
以上のようなソーティング処理及び交点の中から有限要素の節点となるべき点の選択、を各無限平面毎に行っている。このようにして、無限平面毎に節点を求めている。
【0079】
1.2 LH平面と平行な無限平面による交点の算出
上の1.1においてはWH平面と平行な無限平面とワイヤーフレームデータとの交点を求め、その交点の中から有限要素の節点となるべき点を求めた。次に、LH平面に平行な無限平面とワイヤーフレームデータとの交点を求める処理についても同様の処理が行われる。
【0080】
1.2.1 交点の算出
上で述べた図3と同様にLH平面と平行な無限平面とワイヤーフレームデータとの交点を求める場合の説明図が図7に示されている。この図に示されているように法線ベクトルが(0.0,1.0,0.0)(順にL軸,W軸,H軸)であるような無限平面、すなわちLH平面と平行な平面を作成し、この無限平面とのワイヤーフレームデータとの交点を求めているのである。この無限平面についても、上で述べたWH平面と平行な無限平面の場合と同様に、W=0、W=1、W=2、のように適宜W軸座標の値を変化させて複数の無限平面を生成し、各無限平面とワイヤーフレームデータとの交点をそれぞれ求めている。このW軸座標の値のインクリメントする量(この量をピッチと呼ぶ)も、上で述べたL軸方向のピッチと同様に最終的に生成すべき有限要素の大きさと同程度に設定することが好ましい。
【0081】
1.2.2 ソーティング
このようにして、複数の無限平面毎に求めた交点は、各平面毎にW座標値、交点間の距離、そして交点間の角度を用いて形状認識しソーティングを行う。このソーティングは、上の1.1.2で述べたのと全く同様の処理である。
【0082】
1.2.3 節点の算出(1)
次に、ソーティングの結果に基づき、最初の交点と最後の交点を有限要素の節点とする(図8参照)。この節点は、部品の外周線上の節点となる。この処理動作は、上で述べた1.1.3の最後の処理と同様である。
【0083】
1.2.4 節点の算出(2)
次に、上の1.1.2節で求めたWH平面と平行な無限平面との交点で、ソーティング順に交点を端点とする線分と、本1.2節におけるLH平面と平行な無限平面との交点を求める。この求めた交点は全て有限要素節点として用いる。この様子が図9に示されている。この図に示されているように、上記1.1.2節で求めたソーティングした交点群を結んだ線分と、LH平面と平行な無限平面との交点は最終的に有限要素節点となるべき確定節点となるのである。このようにして、部品のワイヤーフレームデータと交わらない点においても確定節点を設けることにより最終的に生成される有限要素の大きさ・形状を揃えることができる。
【0084】
ただし、図9のようにして上のWH平面と平行な無限平面との交点をソーティング順に端点とする線分との交点であっても、既に確定節点として求められている交点より極めて近い場合にはその点は確定節点とはしない。この様子が図10に示されている。図10(1)には既に上記1.1.4節で確定節点とされている点が○で示されている。これに対して、図9で求めたWH平面と平行な無限平面との交点を結んだ線分と、LH平面と平行な無限平面との交点が、既に確定している確定節点に非常に近い場合には、その交点を確定節点とはしないのである(図10(2)参照)。これは、節点間の距離が小さくなってしまうことにより、小さい有限要素が生成されてしまうことを防止するためである。近いか否かは、既に定められている確定節点と、図9で新たに求めようとする確定節点との距離が所定の基準値より小さいか否かで判断する。この所定の基準値は、本文では判定距離と呼ぶ。
【0085】
1.2.5 LH平面と平行な無限平面での処理
このように、上記WH平面と平行な無限平面による処理に続いてLH平面と平行な無限平面による処理を行った。このLH平面と平行な無限平面に関する処理においても、上記WH平面と平行な無限平面に関する処理と同様に、所定のピッチでLH平面に平行な無限平面をシフトさせていき、各無限平面毎に節点となるべき交点をそれぞれ求めている。
【0086】
1.3 節点の調整
上記処理で求めた確定節点の間の距離がピッチに比べて著しく大きくなってしまう可能性がある。この状態を放置したのでは、例えばH方向に長い有限要素が発生してしまう可能性がある。そこで、上記確定節点間の距離がピッチの2倍以上ある場合にはその間を埋めるべく新たに確定節点を発生させている。この具体的な分割数はその交点間の距離/ピッチを基にした整数値で求めることができる。この様子が図11に示されている。この図11(1)にはWH平面と平行な無限平面内における確定節点をそれぞれ結び、これらの確定節点の間を結ぶ線分の長さがピッチの2倍以上である場合の例が示されている。このような場合には図11(2)に示されているようにこの線分の中間に新たに確定節点を発生させているのである。
【0087】
このように、確定節点間の距離がピッチの2倍以上ある場合とは、具体的にはH軸方向に部品の凹凸が大きい場合が想定される。軸方向の座標値が大きく変化する場合には、その節点間の距離はピッチの2倍以上生じる場合も考えられる。
【0088】
1.4 有限要素の生成
以上のようにして最終的に有限要素の節点となるべき点が確定する。これらの点(確定節点)の間に有限要素を生成していけば、最終的な有限要素が得られる。
【0089】
まず、WH平面に平行な無限平面内における確定節点群の間に板要素が生成される。換言すれば、隣接する無限平面の間に板要素を渡すのである。この様子が図12に示されている。この図において破線で示されているのはワイヤーフレームデータであり、実線で表されているのが有限要素(板要素)の辺部分である。図12に示されているように、WH平面に平行な無限平面とワイヤーフレームデータとの交点に基づき定められた節点(LH平面に平行な無限平面に基づき定められた節点も含む)と、隣接するWH平面に平行な無限平面とワイヤーフレームデータとの交点に基づき定められた節点(同様に、LH平面に平行な無限平面に基づき定められた節点も含む)と、の間に板要素が設けられるのである。
【0090】
ただし、ワイヤーフレームデータで結ばれた2つの確定節点の間には、そのワイヤーフレームデータの線を跨ぐような板要素は生成しない。このような処理の説明図が図13に示されている。図13(1)に示されているように、確定節点である30aと30bはCAD線すなわちワイヤーフレームデータにより結ばれている点である。図13(1)に示されている状態では、板要素はこのワイヤーフレームデータの線を跨いで1つの長方形の有限要素が生成されている。このような有限要素を生成すると、実際のワイヤーフレームデータが表現する部品の形状とは異なりへこんだ形を表す有限要素が生成されてしまう。従って、本実施の形態では図13(2)に示されているように、このようないわゆるCAD線(ワイヤーフレームデータの線)を跨ぐような板要素は生成せず、2つの有限要素に分割しているのである。
【0091】
これによって、本実施の形態によればワイヤーフレームデータが表現する部品の形状を正確に表現することができるように有限要素を生成することができる。
1.5 フローチャートによる説明
次に、本実施の形態1にかかる形状の自動認識の処理をフローチャートに基づき説明する。
【0092】
本実施の形態1における形状の認識のフローチャートが図14以降に示されている。まず、図14におけるステップS14−1においては、カット断面(無限平面)とCAD線との交点群が導出される。なお、CAD線とは上で述べたようにワイヤーフレームデータの線のデータをいう。
【0093】
ステップS14−2においては得られた交点の座標変換、すなわち3次元データから2次元データへの変換が行われる。ステップS14−3においてはW軸とH軸の座標値に基づきソート処理が行われる。
【0094】
ステップS14−4においては更に距離や角度によるソートが行われる。具体的にはステップS14−5において距離によるソートが行われる。次に、ステップS14−6においては上述したように角度によるソートが行われる。
【0095】
そして、ステップS14−7においては所定の交点が最終的な節点となるものとして確定される。これらステップS14−5やステップS14−6、ステップS14−7の詳細な動作については更に後でフローチャートに基づき説明する。なお、ステップS14−7の処理は、上記1.1.3節の処理である。
【0096】
ステップS14−8においてはカット断面(ここでは、WH平面と平行な無限平面)を所定ピッチだけL軸方向にスライドさせる。換言すれば、L軸上の座標の異なるカット断面(WH平面に平行な無限平面)を新たに生成するのである。この所定ピッチは、CAD装置の利用者等が指定する。
【0097】
ステップS14−9においては新たに生成したカット断面とCAD線との交点の存在が検査される。交点がある場合には再び上記ステップS14−1に処理が移行し、交点群の導出が行われる。一方、交点が存在しないと判断される場合には、ステップS14−10に処理が移行する。
【0098】
ステップS14−10においてはカット断面(ここでは、LH平面と平行な無限平面)とCAD線との交点が導出される。
【0099】
ステップS14−11においてはL軸及びH軸の座標値に基づきソートが行われる。
【0100】
ステップS14−12においてはソートされた交点を更に正しく形状認識を行うべく距離や角度によるソートが行われる。
【0101】
ステップS14−13においては具体的な距離によるソート処理が行われ、ステップS14−14においては角度によるソートが行われる。ステップS14−15においては最終的なソート結果に基づき有限要素の節点となるべき交点が確定される。なお、ステップS14−15は、上記1.2.3節と1.2.4節の処理である。
【0102】
ステップS14−16においてはWH平面と平行なカット断面で求めた節点群に対してステップS14−15で求めた確定節点を加える。
【0103】
ステップS14−17においてはカット断面(LH平面と平行)をW軸方向に所定ピッチ分だけスライドさせることになる。これは、W軸の座標を所定ピッチだけインクリメントさせていく動作に相当する。次に、処理は図15のステップS15−1に続く。
【0104】
このステップS15−1においては、カット断面(LH平面と平行)とCAD線との交点があるか否かの検査が行われる。交点がある場合には上記ステップS14−10に処理が移行し、ない場合にはステップS15−2に処理が移行する。
【0105】
ステップS15−2においてはWH平面に平行な方向の確定節点の間の距離がWH平面に平行なカット断面が設けられたピッチ(L軸方向のピッチ)の2倍以上あるか否かの検査が行われる。2倍以上ある場合には、ステップS15−3に処理が移行し、ない場合にはステップS15−4に処理が移行する。
【0106】
ステップS15−3においては距離が2倍以上ある場合にはその間に距離を埋めるための中間の節点を発生させる。この中間の節点を発生させるための分割数は、「交点間の距離/WH平面に平行なカット断面のピッチを基にした整数値」であらわされる。
【0107】
ステップS15−4においては所定のWH平面と平行なカット断面上の確定節点群と、そのカット断面に隣接するカット断面の節点群との間に、板要素が生成される。これは、隣接する2つのカット断面の間に有限要素(板要素)を渡す動作に相当する。
【0108】
以上のようにして、ワイヤーフレームデータで表現されるべき部品の形状を正確に認識し、有限要素を発生させることができる。
【0109】
上記図14におけるステップS14−5の距離によるソートの処理を詳細に表すフローチャートが図16に示されている。
【0110】
まず、ステップS16−1においては登録されている交点の数をnとしている。このnは、ある1つのカット断面(WH平面と平行)とワイヤーフレームデータの線との交点の数である。したがって、このnは、これから処理しようとするカット断面によって異なる値を取る。
【0111】
ステップS16−2においてはスタート点の検索が行われる。このスタート点とは、最も若い数字、例えば「1」が付されている交点を探すことである。
【0112】
ステップS16−3においてはループ変数であるiに「1」が代入される。
【0113】
ステップS16−4においては次に登録されている点、すなわち現在のiに対して、i+1が付されている交点がiが付されている交点からの最短点であるか否かの検査が行われる。この検査の結果、最短点である場合にはステップS16−7に処理が移行し、iのインクリメント、すなわちiに「1」が加算される。これに対して、i+1が付されている点が最短点ではなく、他に最短点がある場合にはステップS16−5に処理が移行し、その別の最短点の検索が行われる。
【0114】
ステップS16−6においては上記ステップS16−5において見いだされた最短点が、現在の最短点と入れ替えられる。この入れ替えは、上で既に説明したようにその交点に付されている順番を表す番号を交換することにより実行される。登録順を入れ替えた後は、ステップS16−7に処理が移行し、ループ変数であるiのインクリメントが行われる。
【0115】
ステップS16−8においてはこのループ変数のiがn−1より大きいか否かの検査が行われる。大きい場合には距離によるソートの処理は終了し、大きくない場合には再びステップS16−4に処理が移行し、次に登録されている点が最短点であるか否かの検査が続行される。
【0116】
上記図14のステップS14−6における角度によるソート処理を表すフローチャートが図17に示されている。
【0117】
このフローチャートにおいて、まずステップS17−1においては登録されている交点の数としてn(あるカット断面の交点数)が用意される。また、判定するための角度の基準としてαが準備される。ある交点に接続する線分のなす角度がこの角度αより小さい場合には不適切な順番が交点に付されていると判断するのである。
【0118】
ステップS17−2においてはスタート点の検索が行われる。これは、各交点に付されている番号を検査することにより、最も若い交点を見つけだすのである。
【0119】
ステップS17−3においてはループ変数であるiに2が代入される。
【0120】
ステップS17−4においては現在のiに対し、i、i+1、i+2番目の点のなす角θが導出される。例えばiが3の場合には3番目及び4番目そして5番目の交点のなす角度が導出されるのである。
【0121】
ステップS17−5においては、この導出した角度θが上記判定角度αより小さいか否かの検査が行われ、小さくない場合には次のステップS17−6に処理が移行し、ループ変数iのインクリメントが行われる。一方、角度θが判定角度αより小さい場合にはステップS17−8に処理が移行する。
【0122】
ステップS17−8においては、変数kに、i−1、変数lに2が代入される。
【0123】
ステップS17−9においては、現在のk、lに対して、k番目の交点からl番目に近い交点k1を検索する。
【0124】
ステップS17−10においては、上記ステップS17−9において検索したk1からの最短点k1+lを検索する。
【0125】
ステップS17−11においては、k、k1、k1+1番目の各交点のなす角度θ1が導出される。
【0126】
ステップS17−12においてはこの導出した角度θ1が判定角度αより小さいか否かが検査される。小さくない場合にはステップS17−13に処理が移行し登録順序が入れ替えられる。この入れ替えは、具体的には交点に付されている番号を交換することにより行われる。この登録順序の入れ替えが行われた後に、処理はステップS17−6に移行する。
【0127】
一方、上記ステップS17−12においてθ1が判定角度αより小さい場合にはステップS17−14に処理が移行する。このステップS17−14においてはlがインクリメント(+1)される。そして、ステップS17−15においてk+1がnより大きいか否かの検査が行われ、大きくない場合には再び上記ステップS17−9に処理が移行し、再度l番目に近い交点k1、k1からの最短点k1+1を検索して、なす角度θ1の導出が行われる。一方、k+lが登録交点数nより大きい場合には上記ステップS17−6に処理が移行する。
【0128】
ステップS17−6におけるループ変数iのインクリメントが終了した後に、ステップS17−7に処理が移行し、このiがn−2より大きいか否かの検査が行われ、大きい場合には全ての交点の検査が終わったものとして角度によるソート処理が終了する。一方、ループ変数iがn−2より大きくない場合には全ての交点についての検査が終わっていないものとし、ステップS17−4に処理が移行する。
【0129】
上記図14における節点となるべき交点を確定する処理を表すフローチャートが図18に示されている。
【0130】
まず、ステップS18−1においては登録されている交点の数がnに設定される。このnは、所定のカット断面に対してその上の交点の個数を表す。したがって、各カット断面毎にこのnの値は異なる。また、同ステップにおいては、判定距離n1の設定が行われる。この判定距離n1は、後述するように節点間の距離の判断基準として用いられる距離である。
【0131】
ステップS18−2においては、最初の交点が確定節点とされる。すなわち、最初の交点を有限要素の節点として用いることを確定するのである。
【0132】
ステップS18−3においてはループ変数であるiに1が代入される。
【0133】
ステップS18−4においてはi、i+1、i+2番目の交点のなす角度θが導出される。
【0134】
ステップS18−5においてはこの角度θが所定の角度αより小さいか否かが検査される。これは、上で述べたように小さい角度である場合にはそれは部品の角の近くである可能性が高いため、部品の形状を正確に表現するために、その交点を節点として確定しようとするものである。このような確定をするために、θがこの所定の角度αより小さい場合にはステップS18−6に処理が移行し、i+1番目の交点を有限要素の節点として確定する。
【0135】
ステップS18−7においてはループ変数iのインクリメント(+1)が行われる。
【0136】
ステップS18−8においてはこのiがn−2より大きいか否かが検査され、大きい場合には全ての交点について角度の検査が終了したものとして、ステップS18−9に処理が移行する。一方、iがn−2より大きくない場合にはまだ全ての交点に対する角度の検査が終了していないため、再びステップS18−4に処理が移行し、次の交点の角度θの導出が行われる。
【0137】
ステップS18−9においては、n番目の交点を確定節点にする。
【0138】
ステップS18−10においては以上のようにして求めた確定節点にされた交点数がmに代入される。すなわち、mは、確定節点の個数である。
【0139】
ステップS18−11においてはループ変数であるi1に1が代入される。
【0140】
ステップS18−12においては変数kに1が代入される。さて、所定の判定距離n1より短い距離の間に複数の交点が存在する場合には、それらの交点を確定節点から除外するために、その複数の交点の個数を計数する必要がある。上記変数kは、この計数に用いられる変数である。
【0141】
ステップS18−13においてはi1、i1+k番目の交点の間の距離が導出される。
【0142】
ステップS18−14においてはこの距離lがn1より小さいか否かの検査が行われる。小さい場合には小さい有限要素が発生してしまうのを防止するためにステップS18−15に処理が移行するが、小さくない場合にはステップS18−18に処理が移行する。
【0143】
ステップS18−15においては、i1+k番目の交点を節点となるべき候補から除外する。これによって小さい有限要素が発生してしまうのを防止できる。
【0144】
ステップS18−16においては、変数kのインクリメント(+1)が行われる。これによって、間隔の短い交点が集中して存在する場合、複数の交点をまとめて節点の候補から除外することができる。
【0145】
ステップS18−17においてはi1+kがmより小さいか否かの検査が行われる。小さい場合には再び上記ステップS18−13に処理が移行しi1とi1+k番目の交点の距離lが導かれる。一方、ステップS18−17においてi1+kがmより小さくない場合にはステップS18−18に処理が移行する。
【0146】
ステップS18−18においてはループ変数i1に変数kの値が加算される。これはk個の交点が節点候補から除外されたため、次に検査する交点の番号はkだけ増やす必要があるためである。
【0147】
ステップS18−19においてはループ変数i1がm−1より大きいか否かの検査が行われる。大きくない場合には再び上記ステップS18−12に処理が移行し、このステップS18−12においてkに1が代入され、ステップS18−13においてi1番目の交点とi1+k番目の交点の距離lが導かれる。一方、ステップS18−19においてi1がm−1より大きい場合には処理が終了する。
【0148】
このようにして、本実施の形態によれば、交点間の距離や交点間の線分によりなす角度の大きさによって有限要素の節点をそれぞれ定めた。したがって、ワイヤーフレームデータにより表現される部品の形状を正確に認識でき、正確な有限要素の分割を行うことができる。
【0149】
また、本実施の形態において、同じカット断面を用いて複数の部品を同時に(又は別々に)分割することも好ましい。ここで、複数の部品は、各部品毎にグループされたワイヤーフレームデータを意味する。このように複数の部品を同一のカット断面を用いて有限要素分割すれば、それら複数の部品間の分割ピッチや位置が整合し、結合作業における操作者による手作業が不要になる。具体的な複数部品の例は、図19等を用いて後で後述する。
【0150】
1.6 実際の部品の例
次に、本実施の形態1による有限要素の生成の様子を、実際の自動車の部品を例にして、説明する。
【0151】
1.6.1 具体例1
具体例1は、3個の部品、すなわち、部品A、部品B、部品Cが組み合わせられた場合の例である。このような様子のCAD線(ワイヤーフレームデータの線)が図19に示されている。この図に示されているように、3個の部品A、B、Cはそれぞれ互いに少しずつ重ね合わせられて組み合わせられている。
【0152】
図20には、図19で示した部品A、B、Cにより構成される1つのアセンブリを本実施の形態にかかる有限要素生成方法により有限要素に分割した結果を表す説明図が示されている。この図に示されているように、各有限要素の大きさが均一であり、かつ部品と部品との間の接続が滑らかな有限要素の生成が行われている。
【0153】
図21には、部品Aと部品Bとの結合部分のCAD線の拡大図が示されている。図22は、図21の拡大図の部分における有限要素の生成の結果を表す説明図である。このように、部品AとBとの境界においても有限要素の節点のピッチが各部品間で揃った滑らかな有限要素の生成が達成されている。
【0154】
1.6.2 具体例2
図23には別の自動車の部品を表すCAD線の様子の説明図が示されている。図24は、上記図23にかかる部品に対し有限要素分割(有限要素の生成)を行った後の有限要素の様子を表す説明図である。この図に示されているように、部品の角に必ず有限要素の節点が設けられているため、部品の形状を正確に表すことができる有限要素分割(有限要素の生成)が達成されている。
【0155】
図25には、図23におけるCAD線の部分拡大図が示されている。
【0156】
そして、図26には上記図25における部分拡大図の有限要素の分割の様子の説明図が示されている。
【0157】
図27には、上記図25と図26を重ねあわせた図が示されている。すなわちCAD線と有限要素分割を表す線とを重ねあわせて表示した図である。この図に示されているように、形状の折れ曲がった部分に必ず有限要素の節点が来ることにより、部品の形状を正確に表現することができ細かい角点を省略することにより均一なメッシュサイズの有限要素分割が実現されている。
2. 実施の形態2
上記実施の形態1においては基本的な形態が平板状であり、その平板に対し平板とは直角な方向に凹凸があるような部品に対する有限要素の生成について説明した。この方法においては、互いに平行な複数の無限平面を定義し、この無限平面とワイヤーフレームデータとの交点を求めていた。
【0158】
しかしながら、部品が平板状ではなく、例えば円環状の部品等においては、互いに平行な複数の無限平面とワイヤーフレームデータとの交点を求めたのでは、生成される有限要素の並びがその円環の円周方向とは一致しないことになる。一般に、円環等においては、その円環を切断した場合の断面積が最小となる方向に有限要素が並ぶように生成することが、有限要素解析の精度を向上させるためには好ましいことが知られている。そのため、部品の形状に応じてワイヤーフレームデータとの交点を求めるための平面の方向を適宜設定することが望ましい。
【0159】
本実施の形態2においては、かかる観点から、湾曲しているような部品に対しても正確な有限要素解析を行えるような有限要素を生成することができる方法について提案する。このような有限要素を生成するためには、例えば湾曲している部品等においては、その湾曲している方向を抽出し、その方向の断面積が最小となるような平面を作成し、この平面とワイヤーフレームデータとの交点を求めていくことが望ましい。以下、このような手法について説明する。
【0160】
2.1 前処理(ワイヤーフレームデータの線のトリム)
まず、有限要素を生成する部品の範囲の指定を行う。この指定によって、いわゆるトリム処理が行われる。トリム処理は一般的な技術であるため、説明は省略する。
【0161】
2.2 形状代表線とカット断面の作成
次に、形状代表線とカット断面の作成について説明する。本実施の形態2においては有限要素を作成しようとする部品の基本的な形状を表現する線として、形状代表線を作成している。そして、この形状代表線に基づきワイヤーフレームデータとの交点を求めるための無限平面を作成しているのである。また、本実施の形態2においてはこのワイヤーフレームデータとの交点を求めるための無限平面を、上記実施の形態1と同様にカット断面と呼ぶ。
【0162】
本実施の形態2においては、この形状代表線を作成するために、形状代表線を求める範囲の入力をまず行っている。この範囲は開始面と終了面とによって与えられる。開始面は部品の(存在する領域の)始まりを表す面であり、終了面は部品の(存在する領域の)終わりを表す面である。そして、形状代表線は、この部品の始まりから終わりに向かって部品の大まかな形状を表すように作成される。
【0163】
開始面と終了面とは、CAD装置の利用者が、CAD装置の画面上等において開始「線」と終了「線」とを指示することによって、表すことが好ましい。この場合、実際の開始面と終了面とは、この開始「線」と終了「線」とを上記ビュー直方向に延長させることにより得られる。したがって、以下の説明では、利用者がこの開始線と終了線とを指示した場合を想定して説明を行う。
【0164】
なお、CAD装置が所定の部品に対して自動的に開始面と終了面を算出することも好ましい。
【0165】
2.2.1 仮断面の作成
最終的なカット断面を作成する前に、形状代表線を求めるために仮の断面である仮断面を作成する。この仮断面は、開始線と終了線に基づき作成する。以下、開始線と終了線が平行である場合と平行でない場合にわけてそれぞれ説明する。
【0166】
2.2.1.1 開始線と終了線が平行である場合
開始線と終了線が平行である場合の説明図が図28に示されている。このような図28のような状況の下では、まず開始線を基線としてビュー直に無限平面を作成し、これを開始面とする。この開始面の作成も、システム内部的に単に数式として作成するだけであり、CAD装置上の画面上には特に開始面を作成した旨の表示は行われない。次に、この開始線の始点を基準点として、この開始面の法線ベクトル方向に、この開始面を所定のピッチ長だけ移動させた平面を作成する(図28参照)。この移動を、所定回数繰り返し終了線に至るまで、所定のピッチ長だけ離間した複数の無限平面を作成する。このようにして、開始面と終了面との間に作成した複数の無限平面が仮断面である。
【0167】
2.2.1.2 開始線と終了線が平行でない場合
開始線と終了線が平行でない場合には、以下のような手順で仮断面(無限平面)が作成される。
【0168】
(1)まず、開始線と終了線との交点を中心点として定義する。この中心点をビュー直方向に延長した直線は、明らかに開始面と終了面とが交わる直線(以下、中心線という)である。
【0169】
(2)次にこの中心点を中心として、CAD装置の画面上で部品をほぼ含むような距離を算出する。これは、中心点からの半径rとなり、部品の大部分が、中心点から半径rより近い位置に存在するように、この半径rは選ばれる。
【0170】
この半径rは、次のようにして求められる。まず、開始面とワイヤーフレームデータの線群との交点群の中点と、終了面とワイヤーフレームデータの線群との交点群の中点と、を比較し、上記中心点から遠い方の中点を選択する。そして、この選択した中点と上記中心点の画面上の距離を半径rとする。この画面上の距離とは、明らかに、この選択した中点と、上記開始面と終了面とが交わる直線との間の距離である。
【0171】
(3)そして、この中心線を中心として(中心線を通るように)終了線と開始線の間にビュー直方向に無限平面を作成していく。この場合に、ピッチは中心点からの半径rの距離にある円周上の長さでピッチを計測し、このピッチ毎に無限平面を作成していく。このように無限平面(仮断面)が作成されていく様子が図29に示されている。
【0172】
2.2.2 形状代表線を作成し、それに沿ってカット断面を作成する
次に、この仮断面に基づき形状代表線及びカット断面を作成していく。以下、この作成方法のそれぞれの作成基準に分けて具体的な手法を説明する。
【0173】
(1)まず、開始線と終了線が平行の場合には、複数個作成した仮断面とワイヤーフレームデータの線群との交点を各断面毎に求める。そして、各断面毎にその交点の中点(重心点)を求める。すると、図30に示されているように各仮断面毎に交点の中点(重心点)が求められる。
【0174】
(2)開始線と終了線が平行でない場合には、平行である場合と同様に各仮断面とワイヤーフレームデータの線群との交点を各仮断面毎に求める。そして、各仮断面毎にその交点群の中点(重心点)を求める。このように、開始線と終了線が平行でない場合の求められた中点54の様子が図31に示されている。
【0175】
(3)以上のようにして求められた中点(重心点)を結び自由曲線を作成する。この自由曲線が上で述べた形状代表線である。この様子が図30及び図31に示されている。
【0176】
(4)このようにして作成した形状代表線(自由曲線)に沿って、所定のピッチ長毎にカット断面を作成していく。この場合、このカット断面の法線ベクトルが形状代表線の接線ベクトルとなるようにそのカット断面の法線ベクトルの向きが調整される。
【0177】
例えば、図30においては各中点52a、52b、52cにおいて、その点における接線方向と垂直なカット断面がそれぞれの中点を通るように設定されるのである。これは、図31においても同様である。
【0178】
このように、本実施の形態2においては有限要素を作成しようとする部品の基本的な形態をあらわすような形状代表線を作成し、形状代表線と垂直に交わるようにカット断面を作成した。その結果、部品を切断する際の断面積が最小となるような平面をカット断面とすることができ、有限要素解析における計算精度の向上を図ることができる。
【0179】
以上のようにして、それぞれカット断面が作成される。各作成基準は、利用者が入力することも好ましいし、またシステムで部品に応じて所定の基準を選択するのも好ましい。
【0180】
2.3 作成したカット断面群とワイヤーフレームデータとの交点群の算出、及び、交点群に基づいた板要素の作成を行う
本実施の形態2において特徴的なことは、カット断面(ワイヤーフレームデータとの交点を求めるための基準となる面)の作成方法を、形状代表線に基づいて作成したことである。従って、カット断面を作成した後に、このカット断面とワイヤーフレームデータとの交点に基づき有限要素の生成を行うという処理動作に関しては、上記実施の形態1と同様である。
【0181】
(1)まず、上記実施の形態1と同様に、ワイヤーフレームデータと作成したカット断面との交点群を求める。
【0182】
(2)次に、これらの交点群に基づき、有限要素を作成する方法は、上で述べた実施の形態1と全く同様であるためその説明を省略する。
【0183】
2.4 フローチャートによる説明
本実施の形態2におけるカット断面の生成動作をフローチャートに基づき説明する。このカット断面は部品の最小断面群を作成することにほかならず、本実施の形態によるカット断面は部品の断面を最小の面積とするような断面群である。
【0184】
図32には、このカット断面を作成するアルゴリズムをあらわすフローチャートが示されている。
【0185】
まず、ステップS36−1においては開始線と終了線の指示が行われる。すなわち範囲指定が行われるのである。
【0186】
ステップS36−2においては指示された線を基にビュー直無限平面の作成が行われる。この無限平面は、上述したように開始面、終了面とそれぞれ呼ぶ。
【0187】
ステップS36−3においては開始線と終了線が平行であるか否かの検査が行われる。この検査の結果、平行である場合にはステップS36−4に処理が移行し、平行でない場合にはステップS36−12に処理が移行する。
【0188】
ステップS36−4においては開始線を基線として作成された無限平面すなわち開始面をその開始面の法線ベクトル方向に所定ピッチ分ずつ移動させて、複数の無限平面を作成する。これは、終了面に到達するまで続けられる。
【0189】
なお、ここで作られる複数の無限平面はカット断面を作るための無限平面であり、最終的なカット断面ではなく、上記仮断面である。そのため、計算量を少なくするために本来の所定ピッチの2倍ずつ移動させることも好ましい。
【0190】
一方、ステップS36−12においては開始線と終了線の交点が導出される。
【0191】
ステップS36−13においては上で述べたように交点を中心点とした場合の半径rの確定が行われる。
【0192】
ステップS36−14においては中心点を中心として半径に基づき円弧が作成される。
【0193】
ステップS36−15においてはこの作成した円弧に沿って所定のピッチにより等分割される。
【0194】
なお、ここで、上記ステップS36−4で述べたように本来のピッチの2倍で等分割することも好ましい。これは、ここで作成した分割点は最終的なカット断面の基準ではなく仮断面を作成する際の基準となるものである。そのため、必ずしも本来の所定のピッチ分だけで等分割をする必要はないためである。
【0195】
ステップS36−16においては、上記ステップS36−15で分割した点と中心点を通るように無限平面が作成される。
【0196】
このようにして上記ステップS36−4かステップS36−16でそれぞれ無限平面が作成された後ステップS36−6に処理が移行する。
【0197】
ステップS36−6においては各無限平面とワイヤーフレームデータとの交点から対象部品の形状代表線の導出が行われる。
【0198】
この動作は、具体的には各無限平面とワイヤーフレームデータとの交点を各無限平面毎に求め、各無限平面毎にその交点群の重心を求めることにより行われる。そして、各無限平面に対して求められた重心を結ぶように自由曲線を作成すれば、この自由曲線が上で述べた形状代表線となるのである。このような形状代表線を導出することにより、部品の基本的な形状を知ることができ、この形状代表線に沿ってカット断面を設けたのでより部品の形状に適合した有限要素の生成を行うことができる。
【0199】
ステップS36−8においては上で求めた形状代表線に沿って所定のピッチ長毎に形状代表線上に点が導出される。
【0200】
このようにしてステップS36−8で求めた点を通るように、かつ、形状代表線の方向ベクトル(接線ベクトル)が法線ベクトルとなるようにそれぞれ無限平面を各点において作成した。
【0201】
以上のようにして本実施の形態2によれば部品の基本的な形状に基づいたカット断面を作成することができ、これに基づきワイヤーフレームデータとの交点を算出して、有限要素を作成した。その結果、部品の形状に合致した有限要素の生成を行うことができ、精度の高い有限要素解析を行えるという効果を奏する。
【0202】
2.5 実際の部品による具体例
本実施の形態2によるカット断面の生成及び有限要素の作成について実際の部品に基づく具体例について説明する。
【0203】
まず、図33は自動車の部品のワイヤーフレームデータをあらわす説明図である。なおこの図においてはいわゆる陰線消去が行われている。
【0204】
図34にはカット断面が作成された様子の説明図が示されている。この図34に示されている説明図は、図33のワイヤーフレームデータにカット断面を重ねて表示したものである。なお、この図において各カット断面はそのカット断面と同一面上にある四角形であらわされている。この四角形は対角線が示されており、この対角線の中心点は上で述べた重心に相当する。従ってこの重心を全て結ぶような自由曲線を作成すれば、その自由曲線が上で述べた形状代表線と同一の線となる。
【0205】
図35には、本実施の形態2による手法を用いて生成した有限要素の様子をあらわす説明図が示されている。この図に示されているように、部品が湾曲している場合においても、その湾曲に沿って有限要素が生成されており、正確な有限要素解析を行うことが可能となる。なおこの図35は、いわゆる陰線消去が行われており、全ての有限要素が表示されているわけではない。
【0206】
以上述べたように、本実施の形態2によれば、ワイヤーフレームデータで表現された部品の形状を正確に認識することができるとともに、湾曲している部品に対してもその形状に適合した有限要素分割を行うことができるので、より正確に有限要素解析を行うことが可能となる。
【0207】
また、本実施の形態2においても、上記実施の形態1と同様に、複数部品に対して同じカット断面を適用することが好ましく、複数部品の間の分割ピッチや位置が整合し、結合作業における手作業を不要にすることができるという同様の効果を奏する。特に本実施の形態2の場合には、複数部品を用いて形状代表線を求めた方がより最小断面方向でも分割が可能となる形状代表線を求めることが可能となる。
【0208】
3. 実施の形態3
上記実施の形態1においては、有限要素を作成する対象である部品が基本的に平面状を成しており、その平面に対し凹凸が存在する場合について説明した。また、上記実施の形態2においてはその部品の基本的な形態が1本の形状代表線で表し得る場合、特にその部品が湾曲した部品である場合に好適な有限要素の作成方法について説明した。
【0209】
これに対して、本実施の形態3においては、部品の基本的な形態が、1本の形状代表線では表現しにくい場合、具体的には三叉路や四叉路のように枝分かれを有するような部品における有限要素の生成について説明する。
【0210】
3.1 無限平面群による交点の算出
図36(1)には三叉路の部品に対して有限要素を生成する場合の説明図が示されている。このように、本実施の形態3においては、この三叉路の3本の腕部分に対して、この三叉路の中心に向かって無限平面(カット断面)を平行移動させて、この無限平面と三叉路を表すワイヤーフレームデータとの交点を求めていく。この無限平面は、上記実施の形態1で述べたように、所定のピッチで平行な無限平面を複数作成することにより得られるものである。また、この無限平面とワイヤーフレームデータとの交点を求める手法も、上記実施の形態1と全く同様である。図36(1)には、三叉路のそれぞれの腕部分に対して面1と、面2と、面3の3種類の無限平面群が作成されている。この面1は、互いに平行な無限平面の集合であり、面2はその他の腕部分のワイヤーフレームデータとの交点を求めるための互いに平行な無限平面群である。また面3は、更にその他の腕部分に対してワイヤーフレームデータとの交点を求めるための無限平面群である。
【0211】
このようにして、各無限平面群に関してワイヤーフレームデータとの交点を求め、それぞれ隣接する無限平面の間で、それらの無限平面上で得られた交点の間に板要素が作成されていく。このような板要素の作成は、上記実施の形態1で説明した手法で作成される。
【0212】
本実施の形態3においては、この図36(1)に示されているように面1、面2、面3の3種類の無限平面群がこの三叉路の中心部分に向かってそれぞれ所定のピッチで設けられ、交点が求められていく。
【0213】
ただし、三叉路の中心部分に近づくにつれて、三叉路の腕部分の広がり度合いが急峻になっていく。そして、図36(2)に示されているように、この無限平面の法線ベクトルと、このワイヤーフレームデータの曲線部分の最も外側の線の接線ベクトルとが成す角度αが基準値θ未満の間は、無限平面が所定ピッチで作成されて行くが、この角度αが基準値θを超えた場合には、無限平面の作成が中止される。換言すれば、この角度αが基準値θを超えるまで、無限平面(カット断面)の作成が続行される。この様子が図36(2)に示されており、上記角度αが基準値θを超えた最後の無限平面の様子が図37に示されている。
【0214】
3.2 放射状に作成した無限平面群
このように、三叉路の三方向から無限平面(カット断面)を所定ピッチで三叉路の中心部分に平行移動させて各カット断面とワイヤーフレームデータとの交点を求めてきた。そして、図37に示されているように、湾曲部の外側のワイヤーフレームデータの線との成す角度αが基準値θを超えた場合には、その無限平面を最後のカット断面とした。この最後のカット断面は、上述したように三叉路の各腕に対応し、面1、面2、面3に対応して3個ある。したがって、3個の最後のカット断面の間に交線が生じる。
【0215】
そして、本実施の形態3においてはこの最後のカット断面の交線を軸としてその軸を通過するような無限平面群を面1及び面2の間に作成する。もちろん、面1と面3の間にも同様に交線を通るような無限平面群をこの交線を中心軸として放射状に作成する。この中心軸(交線)を中心とした分割は、上記実施の形態2に述べたのと同様の手法により行われる。すなわち、所定の角度で放射状にカット断面(無限平面)が作成されるのである。
【0216】
3.3 放射状分割範囲の確定
このように、図37に表されているように本実施の形態3においては三叉路の腕の部分は上記実施の形態1による有限要素の生成が行われ、三叉路の中央部分に近い湾曲部においては上記実施の形態2における有限要素の生成方法を基本的には採用している。
【0217】
しかしながら、図37に示されているように三叉路の中央部分は1本の形状代表線で表現することは困難であるため、三叉路の中央部分に対して全て上記実施の形態2による有限要素の生成方法を適用することはできない。
【0218】
そこで、本実施の形態3においては三叉路の中央付近の部分を除く、周辺部分の湾曲部分に対してのみ上記実施の形態2による有限要素の生成手法を適用している。
【0219】
そして、本実施の形態3においては中央付近の部分であるか否かを、その部品の外周部分からの仰角が所定の仰角を超えているか否かで判断する。本実施の形態においては、この仰角を利用することにより、三叉路の中央付近であると判断するのである。換言すれば、上記実施の形態2による有限要素の生成は、この仰角を超えた領域以外の部分に限り及ぶのである。
【0220】
図38には、仰角を超えたか否かの判定手法についての説明図が示されている。仰角を超えていないと判断された場合には上で述べた放射状の分割による有限要素の生成が行われ、仰角を超えたと判断された場合には、後述する手法による有限要素の生成が行われる。まず、図36においてR部分の最も外側の線の位置から所定距離の範囲は、強制的に仰角を超えていないと判断し、この部分は上で述べた放射状の有限要素の分割(有限要素の生成)が強制的に行われる。この所定距離は、ユーザが入力する値であり、図38においては「ユーザ入力の幅」とあらわされている。なお、図38に示されている説明図においてはこのR部分の最も外側の線の位置は面1と面2の間におけるR部分である。
【0221】
そして、本実施の形態3においては、この「ユーザ入力の幅」よりも奥の部分、すなわちR部分の最も外側の線の位置からこのユーザ入力の幅を超えて三叉路の中央部分に向かって進んだ部分において、仰角を超えたか否かの判断を行うのである。本実施の形態における仰角を超えたか否かの判断基準は図38に示す角度α1が基準値θ1を超えるか否かで判断している。
【0222】
例えば、図38においてはX1の位置においてR部分の最も外側の線の位置からこの部位X1まで伸ばした直線と、水平面と、の成す角度α1がθ1を超えるため、この部位X1から中央部分が始まると判断する。換言すれば、図38に示された太線の部分までは上で述べた放射状の有限要素分割が行われ、有限要素の生成が行われるのである。
【0223】
このように、本実施の形態3においては面1と面2の間の湾曲部分に対してこの湾曲部分の外側の線の位置からの仰角によってその部品の部位が仰角を超えた中央部分であるか否かの判断を行った。そして、この面1と面3の間でも図38に示されているように湾曲部分の外側の線の位置からの仰角によって仰角を超えた中央部分であるか否かの判断を行う。
【0224】
3.4 中央部分の有限要素の作成
以上のようにして、三叉路の腕部分と、三叉路の中央部分以外の湾曲部分の有限要素の生成が完了した様子が図39(1)に示されている。この図に示されているように、上で述べた方法によって三叉路の中央部分を除いて有限要素が生成されている。
【0225】
次に、湾曲部分の端点(図39(1)においては●で示されている)を利用して横方向(図39(1)に向かって横方向)に線分を渡して、有限要素の分割を面1の側から行っていく。このようにして横方向に渡される線分が図39(1)において破線で表されている。図39(1)において面1側から順次渡されるこの線分は、湾曲部分の端点における接線ベクトルと横方向に渡される線分をビュー直方向に進展して生成した無限平面の法線ベクトルとの成す角度βが所定の基準値xより小さい間は、この横方向へ線分を渡す作業を続行する。この線分の渡す動作を面1側から続けていくと、接線ベクトルと法線ベクトルの成す角度βは徐々に大きくなり、いずれ所定の基準値xより大きくなる。βがxより大きい部分については横方向に線分を渡すことはしない。例えば図39(1)においては面1側から2本線分を渡すことにより、角度βが所定の基準値xを超えたため、それ以上横方向に線分を渡すことはしていない。したがって、横方向に渡される線分は2本であり、ここまで、有限要素を作成している。なお、この基準値xはユーザが入力する基準値である。
【0226】
3.5 残存領域の分割
上で述べたように図39(3)に示されているように横方向に線分を渡して、有限要素を作成した後は、図39(3)に示されているように残された残存領域については外周点(図39(3)△印)を用いた縦方向分割が行われる。具体的には、外周点から面1に垂直な方向に線分が渡されて、残った領域に対して板要素(有限要素)が生成されるのである。具体的には、図39(2)に示されているように縦方向に渡された線分の隣り合う2線列の間で板要素が渡されることになる。
【0227】
以上述べたように、本実施の形態3によれば単一の形状代表線で表せないような形態の物品、例えば三叉路や四叉路についても上記実施の形態1と実施の形態2における手法を組み合わせることにより良好な有限要素の生成を行うことができる。
【0228】
3.6 フローチャートによる説明
次に、本実施の形態3における有限要素の生成動作をフローチャートに基づき詳細に説明する。
【0229】
図40には、三叉路を分割する場合の有限要素の生成の動作をあらわすフローチャートが示されている。
【0230】
まず、ステップS45−1においては三叉路の3方向に対して、無限平面(カット断面)の法線ベクトルと有限要素の分割の対象である部品の外形線(ワイヤーフレームデータ)の接線ベクトルとの成す角度αを導出する。
【0231】
ステップS45−2においては、この角度αが基準値θより大きいか否かが検査される。大きくない場合にはステップS45−9に処理が移動し、無限平面(カット断面)を三叉路の中心に向かって所定ピッチだけ移動し再び上記ステップS45−1に処理が移行する。
【0232】
一方、上記ステップS45−2において角度αが基準値θより大きい場合には、ステップS45−3に処理が移行する。
【0233】
ステップS45−3においては、三叉路の3方向における面、すなわち上記面1、面2、面3における交線の導出が行われる。上で述べた図39等の場合においては、この交線は2つ存在するが、三叉路の場合には一般に3本の交線が発生する可能性がある。
【0234】
次に、ステップS45−4においては、導出した交線を軸とし、放射状に無限平面(カット断面)の作成が行われる。この作成は、上記実施の形態2における無限平面の作成と同様の動作である。
【0235】
ステップS45−5においてはこの放射状に作成された無限平面に基づき、この無限平面とワイヤーフレームデータとの交点を求め、この交点に基づき放射状に有限要素の生成が行われる。この動作については、図41のフローチャートに基づき後に詳述する。
【0236】
ステップS45−6においては、放射状に分割して、有限要素を作成した部位の端点を利用して、面1の方向に対して無限平面を作成する。この無限平面は、上記図39(1)で示したように面1と平行な方向の無限平面である。
【0237】
ステップS45−7においては端点(図39(1)においては●で示されている)の接線ベクトルと、法線ベクトル(図39(1)に示された点線を基線としてビュー直方向に延長した無限平面の法線ベクトル)との成す角度βが所定の基準値xより小さいか否かが判断される。小さいと判断される場合には、ステップS45−10に処理が移行し、面1方向の分割が続けられる。具体的には、図39(1)において破線であらわされる横方向の線分の作成が続行される。
【0238】
一方、上記ステップS45−7において角度βが所定の判定値よりも小さくないと判断される場合には、ステップS45−8に処理が移行し、今度は面2方向における分割が行われる。これによって、図39(2)に示されているように上で述べた中央部分における有限要素の生成が完成する。
【0239】
次に上記ステップS45−5における放射状に分割して有限要素を生成する動作の詳細なフローチャートが図41に示されている。
【0240】
まず、ステップS46−1においては放射状の面とCAD線(ワイヤーフレームデータ)の交点が導出される。
【0241】
ステップS46−2においては、外形線(ワイヤーフレームデータのうち、CAD装置等の表示装置上における部品の最外周の線)と、交点の水平距離が所定の判定距離より大きいか否かが検査される。大きくない場合には再び上記ステップS46−1に処理が移行する。一方、水平距離の方が所定の判定距離より大きい場合にはステップS46−3に処理が移行する。
【0242】
ステップS46−3においては、上記外形線から上記交点に対する仰角α1を導出する。
【0243】
次に、ステップS46−4においてはこのα1に対して、α1>θ1であるか否かが検査される。この検査の結果、α1がθ1より大きい場合には、ステップS46−5に処理が移行するが、逆に小さい場合にはステップS46−6に処理が移行する。
【0244】
ステップS46−5においてはその交点が中央部の開始点であると判断して、開始点以前の範囲に対しては放射状に作成したカット断面による分割が行われる。
【0245】
一方、上記ステップS46−6においてはまだ中央部分には達していないと判断され、次の交点の導出が行われ、上記ステップS46−3に再び処理が移行する。
【0246】
このようにして、本実施の形態3によれば三叉路のように単一の形状代表線では表現が困難な形状の部品に対しても、有限要素を正確に生成することができる。なお、本実施の形態3においては三叉路に対して有限要素を生成する動作について説明したが、これは四叉路や、五叉路でも同様の原理に基づき有限要素の生成を行うことが可能である。
【0247】
3.7 具体例
次に、本実施の形態3を適用して有限要素を生成した具体的な例について説明する。
【0248】
3.7.1 具体例1
図42には、上で例として説明した三叉路のワイヤーフレームデータ(CAD線)をあらわす説明図が示されている。
【0249】
図43には、上記図42に対し、湾曲部のカット断面を重ねて表示した説明図が示されている。この湾曲部のカット断面は、上記実施の形態2で説明した原理に基づき作成される。
【0250】
図44には、最終的に分割が行われ、有限要素が生成された結果をあらわす説明図が示されている。このように、本実施の形態3によれば直線部分においてはその直線方向に沿った有限要素の分割が行われ、湾曲部分においてはその湾曲方向に沿った有限要素の生成が行われているため、有限要素解析の精度を向上させることが可能となる。
【0251】
3.7.2 具体例2
これまで、本実施の形態3においては三叉路を中心として説明を行ってきたが、例えばL字型の部品に対しても本実施の形態3の原理を適用することができる。例えば、図45にはL字型の形状をなしている部品のCAD線(ワイヤーフレームデータ)が示されている。
【0252】
そして、図46には上記図45に示された部品の湾曲部に対して設けられたカット断面を重ねて表示した説明図が示されている。この図46に示されているカット断面も、L字型の部品の湾曲部に沿って作成されたものである。
【0253】
図47は、上記図45に示されたL字型の部品に対して最終的に得られた有限要素の様子をあらわす説明図が示されている。このように、三叉路だけでなくL字型の部品に対しても湾曲部は湾曲部に沿った方向で有限要素を生成することができ、直線的な部分についてはその直線に沿った有限要素を生成することができ、有限要素解析を精度よく行うことが可能となる。
【0254】
3.7.3 具体例3
上で説明したように、本実施の形態3における原理は三叉路だけでなく四叉路(十字路)や五叉路についても適用することが可能である。例えば、図48には四叉路の部品をあらわすCAD線(ワイヤーフレームデータ)が示されている。このような四叉路に対しても、図49に示すように部品の基本的な形状に沿った有限要素の生成を行うことができ、精度の高い有限要素解析が可能となる。この図49には、図48に示された四叉路の部品に対する有限要素を生成した結果があらわされている。
【0255】
3.7.4 具体例4
今まで述べた具体例においては三叉路や四叉路またはL字型の部品等においても各腕部分は同一平面上に存在した。しかしながら、本実施の形態3における有限要素の生成原理は、各腕が同一平面上にない場合においても適用できることは言うまでもない。例えば、図50にはいわゆる「奥行三叉路」と呼ばれる形状の部品のCAD線(ワイヤーフレームデータ)があらわされている。ここで、奥行三叉路とは、3本の腕部分が連結した三叉路ではあるが、その3本の腕が同一平面上に存在しないものをいう。例えば車両の部品の形状が図50にあらわされている。この図50に示されているような部品に対して本実施の形態3による有限要素の生成原理を適用すると、図51に示されるような有限要素の生成が行われる。
【0256】
以上述べたように、本実施の形態3によれば三叉路の腕が同一平面上にない場合においても、部品の各部位に適用した有限要素の生成を行うことができ、有限要素解析の精度を向上させることが可能となる。
【0257】
また、本実施の形態3においても、上記実施の形態1や2と同様に、複数部品に対して同じカット断面を適用することが好ましく、複数部品の間の分割ピッチや位置が整合し、結合作業における手作業を不要にすることができるという同様の効果を奏する。
【0265】
【発明の効果】
本発明によれば、開始面と終了面との間に仮断面を作成し、この仮断面に基づき形状代表線を生成したため、カット断面の面積を最小面積に近づけることができ、好ましい有限要素の生成ができるという効果が得られる。
【0267】
また、本発明によれば、湾曲した部品に対して有限要素を生成するに当たって、仮断面を生成し、この仮断面に基づき形状代表線を生成したため、カット断面の面積を最小面積に近づけることができ、好ましい有限要素の生成ができるという効果が得られる。
【0268】
また、形状代表線上に、この代表線の長さに沿って所定ピッチの長さ毎にカット交点を設け、このカット交点を通過するようにカット断面を作成したため、有限要素の密度を均一に生成することが可能な有限要素生成方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態が適用されるクライアントサーバ装置の全体図である。
【図2】クライアントサーバシステムの内部構成をあらわす内部構成図である。
【図3】ワイヤーフレームデータとWH平面と平行な無限平面(カット断面)との交点を求める動作の説明図である。
【図4】座標値でソートした交点を距離に基づきソートし直す動作をあらわす説明図である。
【図5】座標値と距離でソートを行った交点に対し、角度に基づき交点のソート結果を修正する動作をあらわす説明図である。
【図6】各交点を中心とする角度に基づき、節点となるべき交点を選び出す動作をあらわす説明図である。
【図7】LH平面に平行な無限平面(カット断面)によってワイヤーフレームデータとの交点を求める動作をあらわす説明図である。
【図8】ワイヤーフレームデータの一番外側の交点を確定節点とする動作をあらわす説明図である。
【図9】LH平面に平行な無限平面と、WH平面と平行な無限平面との交点をソーティング順に端点とする線分との交点を確定節点とする動作をあらわす説明図である。
【図10】WH平面に平行な無限平面上の確定節点を結んだ線分上において、判定距離が短い場合には、その点は確定節点とはしない動作をあらわす説明図である。
【図11】確定節点を結んだ線分の長さが所定のピッチの2倍以上である場合にはその線分内に新たな確定節点を設ける動作をあらわす説明図である。
【図12】本実施の形態1によって最終的に隣接するWH平面に平行な無限平面の間に板要素が渡されて有限要素が生成される様子をあらわす説明図である。
【図13】本実施の形態においてワイヤーフレームデータを跨ぐように有限要素は発生しないことをあらわす説明図である。
【図14】本実施の形態1に係る有限要素生成方法の動作をあらわすフローチャートである。
【図15】本実施の形態1に係る有限要素生成方法の動作をあらわすフローチャートである。
【図16】本実施の形態1に係る有限要素生成方法の動作をあらわすフローチャートである。
【図17】本実施の形態1に係る有限要素生成方法の動作をあらわすフローチャートである。
【図18】本実施の形態1に係る有限要素生成方法の動作をあらわすフローチャートである。
【図19】本実施の形態1を適用した具体例1のCAD線をあらわす説明図である。
【図20】図19を有限要素に分割した場合の結果をあらわす説明図である。
【図21】図19における部品Aと部品Bとの結合部付近のCAD線の拡大図である。
【図22】図21における拡大図に対して有限要素に分割した場合の様子をあらわす説明図である。
【図23】本実施の形態1における具体例の2のCAD線をあらわす説明図である。
【図24】上記図23に示された部品を有限要素に分割した場合の様子をあらわす説明図である。
【図25】上記図23に示された部品のCAD線の拡大図である。
【図26】上記図25における拡大されたCAD線に対して有限要素が生成された場合の様子をあらわす説明図である。
【図27】上記図26における有限要素と、上記図25におけるCAD線とを重畳してあらわした説明図である。
【図28】開始線と終了線の関係をあらわす説明図である。
【図29】開始線と終了線が平行でなく、中心点を有する場合の説明図である。
【図30】開始線と終了線が平行の場合の、開始線と終了線の間に所定ピッチで無限平面が作成される様子をあらわす説明図である。
【図31】開始線と終了線が平行でない場合の開始線と終了線の間に無限平面が作成される様子をあらわす説明図である。
【図32】本実施の形態2における有限要素生成方法の動作をあらわすフローチャートである。
【図33】本実施の形態2の具体例1のワイヤーフレームデータをあらわす説明図である。
【図34】上記図33のワイヤーフレームデータであらわされた部品に対して、カット断面が生成された様子をあらわす説明図である。
【図35】上記図33に示された部品に対して最終的に有限要素が生成された様子をあらわす説明図である。
【図36】本実施の形態3における三叉路に対して有限要素を生成する場合の動作をあらわす説明図である。
【図37】上記実施の形態2に基づき三叉路の各腕に対して無限平面を求めて、この無限平面との交点を求めた後に、放射状にカット断面が作成される様子をあらわす説明図である。
【図38】中央部分であるか否かの判断手法をあらわす説明図である。
【図39】中央部分に対して有限要素を生成する動作をあらわす説明図である。
【図40】本実施の形態3における有限要素生成方法の動作をあらわすフローチャートである。
【図41】本実施の形態3における有限要素生成方法の動作をあらわすフローチャートである。
【図42】本実施の形態3の具体例1に係る三叉路のCAD線をあらわす説明図である。
【図43】上記図42における部品に対して湾曲部にカット断面が生成された様子をあらわす説明図である。
【図44】上記図42に示された部品に対して本実施の形態3の手法により生成された有限要素の様子をあらわす説明図である。
【図45】本実施の形態3における具体例2のL字型部品のCAD線(ワイヤーフレームデータ)をあらわす説明図である。
【図46】上記図45にあらわされたL字型部品の湾曲部に対してカット断面が生成された様子をあらわす説明図である。
【図47】上記図45に示されたL字型の部品に対して、本実施の形態3に係る有限要素生成方法を適用し、最終的に得られた有限要素の様子をあらわす説明図である。
【図48】本実施の形態3における具体例3である四叉路の部品のCAD線(ワイヤーフレームデータ)をあらわす説明図である。
【図49】上記図48に示された部品に対して有限要素を生成した結果をあらわす説明図である。
【図50】本実施の形態3の具体例4に係る奥行三叉路の部品のCAD線をあらわす説明図である。
【図51】上記図50にあらわされた部品に対して本実施の形態3に係る有限要素の生成方法を適用して得られた最終的な有限要素をあらわす説明図である。
【符号の説明】
10 クライアント、12 サーバ、16 プラットフォーム部、18 対話部、20 表示部、22 データベース部、24 アプリケーションコマンド部、26 CAD部、28 CAE部、30 CAM部。
Claims (8)
- 部材の形状を表すワイヤーフレームデータに基づいて、電子計算機によって有限要素を生成する有限要素生成方法であって、
有限要素生成のための情報を読み込む情報読み込みステップと、
前記ワイヤーフレームデータを、所定のカット断面によってカットするステップと、
前記ワイヤーフレームデータと、所定のカット断面との交点を求める交点導出ステップと、
前記交点導出ステップで求めた交点群をソートするソートステップと、
前記交点群から有限要素の節点となるべき交点を選択し、この選択した交点群に対して、前記ソートステップでソートした順番で隣接している交点の間の距離があらかじめ設定された判定距離より短い場合には、その短い距離を形成する2つの交点のいずれか一方を有限要素の節点の候補から除外して節点となる交点を選択する節点選択ステップと、
選択した前記節点の間に有限要素を生成する有限要素生成ステップと、
前記有限要素の座標を前記電子計算機の出力装置に出力するステップと、
を含み、
前記情報読み込みステップは、
前記ワイヤーフレームデータを読み込むワイヤーフレームデータ読み込みステップと、
前記ワイヤーフレームデータが表す部材の開始位置を表す開始面を表すデータと、終了位置を表す終了面を表すデータと、を読み込む開始面終了面読み込みステップと、
を含み、
前記有限要素生成方法は、
前記開始面と終了面との双方に平行な仮断面を、前記開始面と終了面との間に所定のピッチで作成する仮断面群作成ステップと、
前記ワイヤーフレームデータと、前記仮断面群との交点である仮交点を求める仮交点導出ステップと、
前記仮断面毎に前記仮交点の重心点を求める重心点算出ステップと、
前記仮断面毎に求められた前記重心点を結ぶ曲線を、形状代表線として生成する形状代表線生成ステップと、
前記形状代表線を横断する平面であって、前記形状代表線の方向ベクトルを、法線ベクトルとする平面を、前記カット断面として生成するカット断面作成ステップと、
を含むことを特徴とする有限要素生成方法。 - 部材の形状を表すワイヤーフレームデータに基づいて、電子計算機によって有限要素を生成する有限要素生成方法であって、
有限要素生成のための情報を読み込む情報読み込みステップと、
前記ワイヤーフレームデータを、所定のカット断面によってカットするステップと、
前記ワイヤーフレームデータと、所定のカット断面との交点を求める交点導出ステップと、
前記交点導出ステップで求めた交点群をソートするソートステップと、
前記交点群から有限要素の節点となるべき交点を選択し、この選択した交点群に対して、前記ソートステップでソートした順番で隣接している交点の間の距離があらかじめ設定された判定距離より短い場合には、その短い距離を形成する2つの交点のいずれか一方を有限要素の節点の候補から除外して節点となる交点を選択する節点選択ステップと、
選択した前記節点の間に有限要素を生成する有限要素生成ステップと、
前記有限要素の座標を前記電子計算機の出力装置に出力するステップと、
を含み、
前記情報読み込みステップは、
前記ワイヤーフレームデータを読み込むワイヤーフレームデータ読み込みステップと、
前記ワイヤーフレームデータが表す部材の開始位置を表す開始面を表すデータと、終了位置を表す終了面を表すデータと、を読み込む開始面終了面読み込みステップと、
を含み、
前記有限要素生成方法は、
前記開始面と終了面との交線を中心線とし、この中心線を通る平面を仮断面として、前記開始面と終了面との間に所定のピッチで作成する仮断面群作成ステップと、
前記ワイヤーフレームデータと、前記仮断面群との交点である仮交点を求める仮交点導出ステップと、
前記仮断面毎に前記仮交点の重心点を求める重心点算出ステップと、
前記仮断面毎に求められた前記重心点を結ぶ曲線を、形状代表線として生成する形状代表線生成ステップと、
前記形状代表線を横断する平面であって、前記形状代表線の方向ベクトルを、法線ベクトルとする平面を、前記カット断面として生成するカット断面作成ステップと、
を含むことを特徴とする有限要素生成方法。 - 請求項1または請求項2に記載の有限要素生成方法であって、
前記カット断面作成ステップは、
前記形状代表線上に、所定の長さのピッチ毎に、カット交点を設け、このカット交点を通るように、前記所定のカット断面を作成する線長ピッチカット断面作成ステップ、
を含むことを特徴とする有限要素作成方法。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の有限要素生成方法であって、
前記ソートステップは、
前記交点群をその座標値でソートする座標値ソートステップ、
を含むことを特徴とする有限要素生成方法。 - 請求項4に記載の有限要素生成方法であって、
前記ソートステップは、
前記座標値ソートステップでソートした前記交点群に対し、ソート結果である順番で辿り、N+1番目の交点からM番目までの交点中で、N番目の交点に最も近い交点がN+1番目の交点でない場合には、その最も近い交点の順番を、N+1に変更する距離ソートステップ、
を含むことを特徴とする有限要素生成方法。
ここで、Nは、1からM−1までの整数であり、Mは、交点の個数である。 - 請求項5に記載の有限要素生成方法であって、
前記ソートステップは、
前記距離ソートステップでソートした前記交点群に対し、S番目の交点とS+1番目の交点とを結ぶ直線と、S+1番目の交点とS+2番目の交点とを結ぶ直線と、のなす角度が、所定の基準角度より小さい場合には、S−1番目の交点からの距離がS番目の交点の次に短い交点を選択し、当該交点をS番目の交点とし、元のS番目の交点との順序を入れ替える隣接点修正ステップと、
を含むことを特徴とする有限要素生成方法。
ここで、Sは、2からM−2までの整数である。 - 請求項4に記載の有限要素生成方法であって、
前記節点選択ステップは、
前記交点群を、ソートした順番に基づき、T番目の交点及びT+1番目の交点を結ぶ直線と、T+1番目の交点及びT+2番目の交点を結ぶ直線と、のなす角度が、所定の基準角度より小さい場合には、前記T+1番目の交点を、有限要素の節点として選択する確定節点選択ステップと、
を含むことを特徴とする有限要素生成方法。
ここで、Tは、1からM−2までの整数であり、Mは、交点の個数である。 - 請求項4に記載の有限要素生成方法であって、
前記有限要素生成ステップは、
ワイヤーフレーム線をまたぐ有限要素は生成せず、前記ワイヤーフレーム線は有限要素の辺縁部と一致することを特徴とする有限要素生成方法。
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