JP3601265B2 - 集合電池およびその充電方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解質としてリチウムイオン伝導性固体電解質を用いた、全固体リチウム二次電池が複数個、電気的に接続されて構成された集合電池、ならびにこれらの充電方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータ・携帯電話等のポータブル機器の開発にともない、その電源として電池の需要は非常に大きなものとなっている。特に、リチウム電池は、リチウムが原子量が小さく、かつイオン化エネルギーが大きな物質であることから、高エネルギー密度を得ることができる電池として盛んに研究が行われ、現在ではポータブル機器の電源をはじめとして広範囲に用いられるに至っている。
【0003】
また一方、リチウム電池の汎用化につれて、含有活物質量の増加による内部エネルギーの増加と、さらに電解質に用いられる可燃性物質である有機溶媒の含有量の増加により、電池の安全性に対する関心が近年クローズアップされてきた。リチウム電池の安全性を確保するための方法としては、有機溶媒電解質に代えて不燃性の物質である固体電解質を用いることが極めて有効であり、高い安全性を備えた全固体リチウム電池の開発が望まれている。
【0004】
さらに、電池を高電圧化するためには、リチウム電池の正極活物質として、例えばリチウムコバルト酸化物(Li1−xCoO2)などが用いられる。この物質は、高温安定相であるLiCoO2からリチウムイオンを脱離することで得られる準安定相である。LiCoO2は、酸素、リチウム、コバルトの各々の三角格子がO−Li−O−Co−O−Li−Oの順で積み重なった構造を有しており、リチウムイオンはCoO2の層間に存在する。この層間にリチウムイオンが可逆的に挿入脱離することにより、リチウム電池の電極材料として作用する。
【0005】
LiCoO2中でのリチウムイオンは、CoO2層中のアニオン性を帯びた酸素原子との静電引力によりCoO2層間をお互いに引きつける役割を担っている。LiCoO2からリチウムイオンを脱離すると、O−Li−O構造中のLiが存在しなくなることにより、CoO2層内の酸素原子間の静電的反発力が増大し、層間に伸びが生じる。その結果、リチウム電池の充放電時には、リチウムイオンの挿入脱離反応により、結晶格子の伸び縮みが生じることになる。
【0006】
電解質として固体電解質を用いた全固体電池における電極活物質と電解質の界面は、固体/固体界面であり、従来の液体電解質における固体/液体界面に比べて電極活物質と電解質の接触面積、すなわち電気化学反応界面を大きくすることが困難な傾向にある。さらに、先に述べたリチウムコバルト酸化物など充放電により体積変化が生じる物質を電極活物質として用いた場合には、固体電解質とこのような電極活物質間の接合状態を一定に保つことは困難である。その結果、電池の作動中にはその接合状態は常に変化するものとなり、その接合状態の変化により電極反応の過電圧も変化する。
【0007】
電池の充電法としては、定電流充電法あるいは定電圧充電法などがあるが、定電流充電法の場合には、電池の端子電圧がある一定値に達したときに充電を終了するため、いずれの充電法を用いた場合にも電池の充電電圧を設定する必要がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記で説明を行ったように、全固体電池の電極中では、反応の過電圧が常に変化しているため、充電時の電池の端子電圧を一定に保った場合にも充電終了時の電極の電位は一定していない。すなわち、一定電圧で充電しているにも関わらず例えば反応過電圧が減少した場合には、電池は深く充電されることになる。
【0009】
LiCoO2は、リチウムイオンを脱離し、Li1−xCoO2の組成となることで、リチウム電極基準で4V以上の高い平衡電位を示すが、同時に先に述べた酸素原子間の反発力により結晶構造に不安定性が生じる。そのため、この物質を電極活物質として用いた電池を安定に作動させるためには、リチウムイオンの挿入脱離量を可逆的な範囲にとどめる必要がある。それに反して、リチウムイオンの脱離量があまりにも大きなものとなると結晶構造が変化し、リチウムイオンの可逆的な挿入脱離反応が生じなくなる。そのため、この物質を正極活物質として用いた全固体リチウム二次電池の充放電サイクルにおいて、先に述べたような過電圧に変化が生じ、電池が深く充電された際には、リチウムイオンの可逆的な挿入脱離量を超えるリチウムイオンの脱離反応が生じ、結晶層間へのリチウムイオンの挿入脱離反応が円滑に進まなくなる。その結果、電池の充放電サイクルにともない電池容量の低下などが生じ、電池の充放電サイクル寿命が短いものとなる課題を有していた。
【0010】
また、上記の電池が深く充電される現象は、充電器の充電制御のばらつきあるいは充電電圧の時間的な変動などによっても生じる。したがって、電池のサイクル寿命を長いものとするためには、精密な充電制御を行う必要があり、安価な充電器を用いた充電は困難であり、充電器が高価なものとなる課題を有していた。
【0011】
以上、正極活物質としてLixCoO2を用いた場合について説明を行ったが、4Vを超える平衡電位を示すリチウム電池用の正極活物質としては、Li1−XNiO2、Li1−XMn2O4などが挙げられるが、これらの材料も同様に準安定な構造をとることにより4Vを超える平衡電位を示すことから、これらを正極活物質として用いた全固体リチウム二次電池においても、Li1−XCoO2を正極活物質として用いた場合と同様の課題が生じる。
【0012】
また、上記課題以外にも、充放電に伴う電極活物質の体積変化は、全固体電池のサイクル特性に大きな影響を与える。全固体電池は固体粒子により構成されているが、これら固体粒子は粒子を凝縮する方向に力が働いていない場合、膨張・収縮などの変位に対して塑性的となる。そのため、加圧状態にない全固体電池では、充放電に伴う電極活物質の膨張・収縮により電極活物質とその周囲の固体粒子間に空隙が生じてしまう。その結果、充放電を繰り返すことで電気化学反応面積が減少したり、電極活物質の集電性が低下するなどの原因により、電池性能が低下するおそれがあった。
【0013】
本発明は、上記の課題を解決し、充放電サイクル特性に優れた全固体リチウム二次電池と集合電池、およびその充電方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、リチウムイオン伝導性固体電解質を主体とする電解質層と、結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの可逆的な電気化学的挿入脱離反応を生じるリチウム遷移金属酸化物を含む正極と、結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの挿入脱離反応にともなう電位の不連続な変化を示す物質を含む負極を有する全固体リチウム二次電池が複数個、電気的に接続されて構成された集合電池であって、その一部に上記全固体リチウム二次電池が複数個、直列に接続された構造を有しており、前記直列に接続された複数個の電池のうち、最小の容量を有する電池を含む1個以上、全数未満の電池が、前記リチウム遷移金属酸化物の可逆的なリチウムイオンの挿入脱離を起こすリチウムイオンの最大脱離量に対して、前記リチウムイオンの挿入脱離反応にともなう電位の不連続な変化を示す物質の電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量が、等しいか又は小である構成とする。
【0015】
さらに、結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの挿入脱離反応にともなう電位の不連続な変化を示す物質として、インジウム、アルミニウム、鉛、ビスマス、アンチモン、ガリウム、スズ、銀、ケイ素、亜鉛、カドミウム、砒素、チタンの群より選ばれる少なくとも一種類の金属、あるいはこれらの群より選ばれる金属の合金、あるいはこれらの群より選ばれる少なくとも一種類の金属とリチウムの合金を用いる。
【0016】
さらに、結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの挿入脱離反応にともなう電位の不連続な変化を示す物質としてインジウムを用い、かつリチウムイオンの挿入脱離反応にともなう電位の不連続な変化を示す物質の電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量が、
【0017】
【化3】
【0018】
の反応式に対応する量として全固体リチウム二次電池を構成する。
また、結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの挿入脱離反応にともなう電位の不連続な変化を示す物質としてアルミニウムを用い、かつリチウムイオンの挿入脱離反応にともなう電位の不連続な変化を示す物質の電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量が、
【0019】
【化4】
【0020】
の反応式に対応する量として全固体リチウム二次電池を構成する。
【0021】
また、さらにリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの挿入脱離反応にともなう電位の不連続な変化を示す物質として、遷移金属酸化物、リチウム遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、リチウム遷移金属硫化物の群より選ばれるものを用いる。
【0022】
さらに、前記遷移金属酸化物あるいはリチウム遷移金属酸化物の遷移金属元素として、チタン、マンガン、タングステン、バナジウムの群より選ばれる少なくとも一種の元素を用いる。
【0023】
また、前記遷移金属硫化物あるいはリチウム遷移金属硫化物の遷移金属元素として、チタン、モリブデン、ニオブ、タングステン、バナジウムの群より選ばれる少なくとも一種の元素を用いる。
【0024】
また、正極に用いられるリチウム遷移金属酸化物の遷移金属元素として、コバルト、ニッケル、マンガン、鉄の群より選ばれる少なくとも一種類の元素を用いる。
【0025】
また、リチウムイオン伝導性固体電解質として、無機化合物であるものを用いる。
【0026】
さらに、前記無機化合物が、硫化物を主体とする非晶質のものを用いる。
さらに、前記無機化合物として、硫化リチウム、硫化ケイ素を主体とする物質より合成されるものを用いる。
【0028】
さらに、複数の素電池を、気密性を有する同一の電池容器内に収納することで集合電池を構成する。
【0029】
また本発明は、充電電気量に対して、電圧V1から電圧V2への不連続な電圧変化を生じるこれらの電池を、電圧V2以下で充電する。
【0030】
また、電解質として硫化物を主体とする非晶質リチウムイオン伝導性固体電解質を用い、電極活物質としてLi4/3Ti5/3O4を用いる。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、正極活物質としてリチウムコバルト酸化物、負極としてインジウム−リチウム合金を用いた全固体リチウム二次電池を例に採り説明を行う。
【0032】
リチウムイオン伝導性の固体電解質と、正極活物質としてリチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、負極としてインジウムを用い全固体リチウム二次電池を構成すると、その充電時において、正極では(化5)で表される反応、負極では(化6)で表される反応が生じる。すなわち、正極ではリチウムコバルト酸化物からのリチウムイオンの脱離反応が生じ、一方負極では正極から脱離したリチウムイオンによりインジウム−リチウム合金が形成される。
【0033】
【化5】
【0034】
【化6】
【0035】
ここで、リチウムコバルト酸化物への可逆的な挿入脱離反応が生じる範囲は、x≦0.5の範囲であり、インジウム−リチウム合金の電位は、x=1.0付近で約0.6Vから約0.4Vへ不連続に変化する。
【0036】
図1(a)は、負極活物質であるインジウムに対してモル比で2.1倍のリチウムコバルト酸化物を正極活物質として用いて構成した全固体リチウム二次電池の、充電における正極、負極の単極電位の変化を示した図である。また、電池の起電力の変化を図1(b)に示した。リチウムコバルト酸化物の可逆的なリチウムイオンの挿入脱離を起こすリチウムイオンの最大脱離量は、Li0.5CoO2の組成となる量であり、一方インジウムの電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量はIn−Liの組成となる量である。したがって、この全固体リチウム二次電池においては、リチウムコバルト酸化物の可逆的なリチウムイオンの挿入脱離を起こすリチウムイオンの最大脱離量に対して、インジウムの電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量がほぼ等しく若干小である構成となっている。
【0037】
これに対して、負極であるインジウムに対してモル比で1.4倍のリチウムコバルト酸化物を正極活物質として用いて構成した全固体リチウム二次電池の、充電における正極、負極の単極電位の変化を図2(a)に、電池の起電力の変化を図2(b)に示した。この全固体リチウム二次電池においては、リチウムコバルト酸化物の可逆的なリチウムイオンの挿入脱離を起こすリチウムイオンの最大脱離量に対して、インジウムの電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量が大となる構成となっている。
【0038】
これらの構成の全固体リチウム二次電池において、リチウムコバルト酸化物がLi0.5CoO2の組成となるまでが最大の電池容量であるため、電池を図1あるいは図2におけるA点まで完全充電するためには、電池の完全充電時の正極電位(Epos)と負極電位(Eneg)の差(Epos−Eneg)に対応する電圧(Vcell)の電圧で充電すればよいことになる。しかしながら実際には、充電時の電池には、内部抵抗に起因する直流分極成分や電極反応などに起因する過電圧(η)が生じているため、Vcellの電圧で充電した際には最大の電池容量までは充電されない。そのため、電池を充分に充電するためには、Vcellよりも高い電圧(Vend)で充電する必要がある。
【0039】
しかしながら、ηの値は一定ではなく、つぎのように電池の充電にともない減少する傾向にある。
【0040】
例えば定電圧で充電した場合、充電末期には充電電流の減衰にともないηは小さくなる。
【0041】
また特に、電解質としてリチウムイオン伝導性固体電解質を用いた場合には、つぎのような機構によっても電池の充電にともないηが減少する。充電時の正極においては、先に述べたようにリチウムコバルト酸化物の層間距離が伸び、正極の体積は膨張する。それに対して、負極においても金属インジウムがインジウム−リチウム合金となることにより、体積膨張が生じる。その結果、電池素子には圧力が加わった状態となり、電池を構成する固体粒子間の接合状態が向上するとともに、電池素子内に存在した空隙の体積が減少する。その結果、電池の内部抵抗が低下し、ηも減少する。
【0042】
ここでは、ηが極端に小さなものとなった場合、すなわちη→0となった場合について説明を続ける。
【0043】
充電電圧をVendとした充電末期にη→0となると、正極電位と負極電位の差、すなわちEpos−Enegの値がVendに近づく。その結果、図2においては本来A点まで充電するべきものが、B点まで電池が深く充電されることになる。この例の場合リチウムコバルト酸化物からリチウムイオンが、最大でLi0.4CoO2の組成まで脱離する。その結果、リチウムコバルト酸化物でのリチウムイオンの挿入脱離反応の可逆性が損なわれ、充放電サイクル特性の低下が生じる。
【0044】
これに対して、本発明による図1の構成とした場合、Vend−Vcellの値がインジウムの電位の不連続な変化量(ΔV)よりも小さければ、η→0となった場合も電池は図中のB点までしか充電されず、Vendの電圧で充電した際にもリチウムコバルト酸化物からのリチウムイオンの脱離量は、可逆的な挿入脱離を生じる範囲に留まる。
【0045】
また、このような電池構成とした場合、充電器の精度が低く、充電電圧に変動が生じた際にも、その変動がΔV以下である場合には、同様にリチウムコバルト酸化物からのリチウムイオンの脱離量は、可逆的な挿入脱離を生じる範囲に留まり、電池特性の低下は生じない。
【0046】
以上の作用により、リチウムイオン伝導性固体電解質を主体とする電解質層と、結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの可逆的な電気化学的挿入脱離反応を生じるリチウム遷移金属酸化物を含む正極と、結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの挿入脱離反応にともない電位の不連続な変化を示す物質を含む負極を有する全固体リチウム二次電池において、前記リチウム遷移金属酸化物の可逆的なリチウムイオンの挿入脱離を起こすリチウムイオンの最大脱離量に対して、前記リチウムイオンの挿入脱離反応にともない電位の不連続な変化を示す物質の電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量が、等しいか又は小とすることで、充放電サイクル特性に優れた全固体リチウム二次電池を得ることができる。
【0047】
また、上記の構成とした電池は、図1(b)で示したように充電電気量に対して電池電圧がV1からV2への不連続な変化を示す。したがって、この電池においては充電電圧をV2以下とすることが望ましい。
【0048】
また、上記の深い充電により充放電サイクル特性が損なわれる現象は、電解質として有機電解質を用いたリチウム二次電池においても生じるが、下記の理由により、電解質として固体電解質を用いた全固体リチウム二次電池において顕著に現れる。
【0049】
深い充電により充放電サイクル特性が損なわれる機構は、すでに述べたようにLiCoO2からリチウムイオンを脱離すると、O−Li−O構造中のLiが存在しなくなることにより、CoO2層内の酸素原子間の静電的反発力が増大し、結晶構造に不安定性が増加することによる。しかしながら有機溶媒を用いた電解質中においては、CoO2層間に有機溶媒分子も同時に挿入した状態となっているため、CoO2層間よりリチウムイオンが脱離した際も、有機溶媒分子が層間に存在している。この有機溶媒分子とCoO2層内の酸素原子との間にも静電的な相互作用が生じ、有機溶媒分子に四重極モーメントが生じる。その結果、酸素原子間の静電的反発力は減少し、結晶構造の不安定性が減じられる。それに対して、全固体リチウム二次電池中においては、このような相互作用が生じないため、結晶の不安定性は有機電解質を用いた場合に比べ大きく、そのため、深い充電により充放電サイクル特性が損なわれやすい。
【0050】
以上の理由により、本発明の効果は、電解質としてリチウムイオン伝導性固体電解質を用いた全固体リチウム二次電池において顕著なものとなる。
【0051】
また、リチウムイオン伝導性固体電解質は、無機化合物よりなるものと有機高分子化合物を主体とするものに大別される。有機高分子化合物を主体とするものは、可塑剤として有機溶媒を含有しており、この有機溶媒分子が上記の結晶の不安定性を減じることに寄与する。したがって、リチウムイオン伝導性固体電解質としては、無機化合物のものを用いた全固体リチウム二次電池において、本発明の効果は特に顕著なものとなる。
【0052】
さらに、無機化合物よりなるリチウムイオン伝導性固体電解質としては、高いイオン伝導性を持つものを用いることで、全固体リチウム二次電池の作動電流特性を優れたものにすることができる。そのため、無機化合物よりなるリチウムイオン伝導性固体電解質としては、高いイオン伝導性を示すものとして硫化物を主体とする非晶質のものが特に好ましく用いられる。これらは、ガラス形成能を持つ硫化物と可動イオンであるリチウムイオンをガラス構造中に生成するための硫化リチウムの混合物を、高温で溶融させ急冷することで得られるが、中でも硫化リチウム、硫化ケイ素を主体とする物質より合成されるものは、合成時における各成分の蒸気圧が低いものであり、成分の蒸散を抑えるために出発物質を密封する必要がなく、大量合成に適することから特に好ましい。
【0053】
上記では、結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの挿入脱離反応にともない電位の不連続な変化を示す物質として、インジウムあるいはインジウム−リチウム合金を例に採り説明を行ったが、その他このような作用を示す物質としては、以下の物質が挙げられる。
【0054】
まず、金属元素について説明する。
元素記号Meで表される金属中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの挿入反応を一般的に(化7)で表すと、Meがアルミニウムの場合、x=1.0付近で電位は0.35Vから0V付近への不連続な変化を生じる。このことより、上記で説明を行ったインジウムに代えて、アルミニウムを用いた場合も同様の効果を得ることができる。
【0055】
【化7】
【0056】
その他のMeとしては、鉛の場合にはx=2.0において、ビスマスの場合にもx=2.0、アンチモンの場合にはx=2.5、ガリウムの場合にはx=1.0、スズの場合にもx=1.0で、不連続な電位の変化を生じる。また、銀、ケイ素、亜鉛、カドミウム、砒素、チタンなどもリチウムイオンの挿入反応により不連続な電位の変化を生じることから、これらの物質を用いた場合も同様の効果を得ることができる。
【0057】
また、リチウムイオンの挿入脱離反応にともない、複数の電位の不連続な変化を示す物質の場合には、請求項1に記載の電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量として、いずれの電位の不連続な変化を生じる挿入量を用いてもよい。
【0058】
例えば、(化7)においてMeがスズの場合には、x=1.0の他に、x=2.3、2.5、2.6、3.5、4.4などでも不連続な電位の変化を生じる。したがって、正極活物質にLiCoO2、負極活物質にスズを用いた全固体リチウム二次電池の構成としては、正極で(化8)で表される反応が生じるのに対応するリチウムの脱離量に対して、負極で(化9)においてx=1.0とした場合の反応が生じるのに対応するリチウムの挿入量が、等しい又は小なる構成とすることで、同様の効果が得られるのみならず、負極で(化8)においてX=2.3、2.5、2.6、3.5、4.4とした場合の反応が生じるのに対応するリチウムの挿入量が、等しい又は小なる構成とすることでも同様の効果を得ることができる。
【0059】
【化8】
【0060】
【化9】
【0061】
また、インジウム、アルミニウム、鉛、ビスマス、アンチモン、ガリウム、スズ、銀、ケイ素、亜鉛、カドミウム、砒素、チタンより選ばれる複数種の金属元素よりなる合金の場合にも、一般的にリチウムイオンの挿入脱離反応にともない、複数の電位の不連続な変化を示す。このような物質を負極活物質として用いた場合にも、同様に請求項1に記載の電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量として、いずれの電位の不連続な変化を生じる挿入量を用いてもよい。
【0062】
また、上記の純金属、あるいは合金に代えて、これらの金属あるいは合金とリチウムとの合金を用いてもよい。
【0063】
但し、例えば先に述べた、正極活物質としてLiCoO2、負極活物質としてインジウムを用いた全固体リチウム二次電池の金属インジウムに代えてIn−Li0.1で表されるインジウム−リチウム合金を用いた場合を例に採ると、(化6)に代わって(化10)で表されるyに対応する量、即ちy=0.9に対応する量が電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量となる。
【0064】
【化10】
【0065】
以上のような結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの挿入脱離反応にともない電位の不連続な変化を示す金属あるいは金属とリチウムの合金の中でも、金属元素としてインジウムを用いた場合、物質中でのリチウムイオンの拡散速度が大きなものとなり、大電流で作動可能な全固体リチウム二次電池を構成することができる。そのため、結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの挿入脱離反応にともない電位の不連続な変化を示す金属あるいは金属とリチウムの合金としては、インジウムあるいはインジウム−リチウム合金が好ましく用いられる。
【0066】
また、結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの挿入脱離反応にともない電位の不連続な変化を示す金属あるいは金属とリチウムの合金の中でも、金属元素としてアルミニウムを用いた場合、アルミニウムが軽い元素であることからエネルギー密度の高い全固体リチウム二次電池を構成することができる。そのため、結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの挿入脱離反応にともない電位の不連続な変化を示す金属あるいは金属とリチウムの合金としては、アルミニウムあるいはアルミニウム−リチウム合金が好ましく用いられる。
【0067】
つぎに、結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの挿入脱離反応にともない電位の不連続な変化を示す物質として、遷移金属酸化物、リチウム遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、リチウム遷移金属硫化物について説明を行う。
【0068】
これらの物質中で、例えばスピネル型構造を有するリチウムチタン酸化物(Li4/3Ti5/3O4)は、リチウムイオン伝導性の電解質中で(化11)で表される電気化学的なリチウムイオンの挿入反応を生じ、その電位はx=1.0で不連続な変化を生じる。そのため、上記のインジウムなどに代えてLi4/3Ti5/3O4を用いた場合も同様の効果を得ることができる。また、同じくリチウムチタン酸化物として、LiTi2O4も(化12)において、x=1.0で電位の不連続な変化を生じる。
【0069】
【化11】
【0070】
【化12】
【0071】
このようなリチウムイオンの挿入反応にともなう不連続な電位変化を生じる遷移金属酸化物あるいはリチウム遷移金属酸化物としては、TiO2、MnO2、WO3、WO2、V2O5あるいはLixTiO2、LixMnO2、LixWO3、LixWO2、LixV2O5なども挙げることができ、これらを用いた場合も同様の効果を得ることができる。
【0072】
また、遷移金属硫化物あるいはリチウム遷移金属硫化物としては、TiS2、MoS2、NbS2、WS2、FeMo6S8、V2S5あるいはLixTiS2、LixMoS2、LixNbS2、LixWS2、LixMo6S8、LixV2S5なども、リチウムイオンの挿入反応にともなう不連続な電位変化を示し、同様に用いることができる。
【0073】
また、以上で述べたリチウム遷移金属化合物のリチウムイオンの脱離にともなう構造不安定性が原因となる電池のサイクル特性に関する問題は、電池を直列に積層した集合電池において、特に大きな問題となる。それに対して、集合電池の直列に接続された複数個の素電池のうち少なくとも最小の容量を有する素電池として、以上に記載の全固体リチウム二次電池を用いることで、充電末期には集合電池の電圧が不連続に変化するため、素電池を優れたサイクル性能を示す充電深度に保つことが容易となる。そのため、本発明は集合電池においてその効果を発揮する。
【0074】
さらに、上記の全固体リチウム二次電池は共通電解質効果がないため、複数の素電池を、同一の気密性の電池容器内に収納することが可能であり、この構成とすることで電池ケースを簡単な構造とすることができ、安価な集合電池を構成することができる。
【0075】
また、前述のような集合電池においても、充電電気量に対して、端子電圧は不連続な変化を示し、電圧V1から電圧V2への不連続な電圧変化を生じる集合電池においては、電圧V2以下で充電することが好ましい。
【0076】
なお、本明細書中において、電位とは、平衡電位のみを意味するものではなく、2相混合状態における混成電位などでもよい。
【0077】
また、電位の不連続な変化とは、例えば(化6)においてxの変化に対して急激な電位変化を生じることを示している。例えば、(化6)におけるIn−Lixの電位をEとすると、xの変化に対するEの変化率(dE/dx)がピークを示すことを意味しており、厳密な数学的意味での不連続性、すなわちdE/dxが発散する場合のみを示すものではない。
【0078】
また、上記の急激な電位変化としては、下記に示すような変化が好ましい。
全固体リチウム二次電池中で、正極活物質として用いられる結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの可逆的な電気化学的挿入脱離反応を生じるリチウム遷移金属酸化物と、負極に用いられるリチウムイオンの挿入脱離反応にともなう電位の不連続な変化を示す物質が(化13)で表される電気化学反応を生じる場合、正極電位(EP(x))の変化率dEP(x)/dxと負極電位(dEn(x))の変化率dEn(x)/dxの間に、不連続な電位変化を示す組成x=x0において、少なくともdEn(x0)/dx>dEP(x0)/dxなる関係が成立することであり、さらに好ましくはdEn(x0)/dx>5Vの範囲である。
【0079】
【化13】
【0080】
これに対してdEn(x)/dxがこれらの関係を満たす値よりも小さな場合には、過電圧の変化、あるいは充電電圧の変動により電池が深く充電された状態となりやすく、充放電特性に優れた全固体リチウム二次電池を得ることが困難となる。
【0081】
なお、(化13)におけるOxは、In−LiX,Al−LiX合金などの場合には、In,Alなどの母相の金属、遷移金属酸化物あるいは遷移金属硫化物などの場合には、(化13)に記載の形式電価が変化する遷移金属原子を1個含む組成式である。すなわち、具体的にはTi4+S2,Li[Li1/3Ti2/3]Ti4+O4などの組成式であり、これら組成式には形式電価の変化する遷移金属元素のみに価数を書き表してある。
【0082】
また、電極活物質の体積変化が、固体電池のサイクル特性に大きな影響を与えることを指摘した。例えば、AlとLi+との電気化学反応によりアルミニウム−リチウム合金が形成される反応(化 )において、Al,Al−Liともに結晶構造は立方晶であり、その格子定数はそれぞれ4.049A、6.373Aである。その結果、AlがLiを吸蔵し、Al−Li合金となることで、電極活物質の体積は約3.9倍にも膨張する。
【0083】
【化14】
【0084】
このような大きな体積変化を生じる電極活物質がある一方、Li+との電気化学反応にともなう体積変化が極めて小さい活物質として、スピネル構造を有するLi4/3Ti5/3O4が報告されている。Li4/3Ti5/3O4を電極活物質に用いて固体電池を構成した場合、先に指摘したような体積変化による影響がほとんど生じないことから、さらに優れたサイクル特性を有する固体電池が構成できることが期待される。
【0085】
このLi4/3Ti5/3O4を電極活物質に用いた固体電池として、固体電解質にLi0.33La0.56TiO3を用いたものが提案されている(T.Brousse,P.Eragnaud,R.Marchand and D.M.Schleich,Extended Abstracts of 8th International Meeting on Lithium Batteries,324 (1996) Nagoya,以降引例1と記す)。しかし、Li0.33La0.56TiO3は遷移金属原子を含有する固体電解質であるため、電気化学的に還元されやすいという課題を有する。例えば、充電時に固体電解質が還元されてしまい、引例1中のFig.1に示されたように、充電電気量に対して放電電気量が小さくなるなどの問題を有している。
【0086】
このように、Li4/3Ti5/3O4を電極活物質とし用いた場合でも、固体電解質の選択によっては充放電効率が悪く、電池特性も不安定になってしまう問題があった。
【0087】
これに対し、硫化物を主体とする非晶質リチウムイオン伝導性固体電解質は、Li4/3Ti5/3O4の還元電位付近においても電気化学的に安定であるため、 この固体電解質と組み合わせることにより初めてLi4/3Ti5/3O4が高い充放電効率を示し、その結果優れたサイクル特性を有する固体電池を構成することが可能となる。
【0088】
【実施例】
以下、本発明について実施例を用いて詳細に説明するが、以下の操作はすべて乾燥アルゴン雰囲気下で行った。
【0089】
(実施例1)
正極活物質として用いられる、結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの可逆的な電気化学的挿入脱離反応を生じるリチウム遷移金属酸化物としてLiCoO2で表されるリチウムコバルト酸化物を、結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの挿入脱離反応にともなう電位の不連続な変化を示す物質としてインジウムを、リチウムイオン伝導性固体電解質として0.01Li3PO4−0.63Li2S−0.36SiS2で表される非晶質固体電解質を用いて、全固体リチウム二次電池を構成し、その特性を評価した。以下にその詳細を示す。
【0090】
まず、下記の方法でリチウムイオン伝導性固体電解質を合成した。
硫化リチウムと硫化ケイ素、リン酸リチウムをモル比で63:36:1の割合で秤量混合した。この混合物をグラッシーカーボン製坩堝に充填し、アルゴンガス気流中で1000℃で2時間溶融した。その後、溶融物を双ローラーで急冷することにより、リチウムイオン伝導性固体電解質を得た。
【0091】
つぎに、LiCoO2は、酸化コバルト(Co3O4)と炭酸リチウム(Li2CO3)を、Co/Li=1の比となるよう秤量、混合し、大気中900℃で焼成することにより合成した。
【0092】
このようにして得たリチウムイオン伝導性固体電解質、正極活物質、さらには金属インジウムの箔を用いて、下記の方法で全固体リチウム二次電池を構成した。
【0093】
本実施例における全固体リチウム二次電池Aの断面図を図3に示す。図3において、1は正極であり、上記で得たLiCoO2と粉砕した固体電解質を重量比で6:4の比で混合した正極材料を300mg秤量したものを用いた。2はリチウムイオン伝導性の固体電解質層であり、負極である重量95mgの金属インジウム箔3と一体に加圧成型した。この一体に成型したペレットをステンレス製の電池容器4に入れ、絶縁性ガスケット5を介しステンレス製の蓋6により密封した。
【0094】
この全固体リチウム二次電池Aにおいて、リチウムコバルト酸化物への可逆的なリチウムイオンの挿入脱離反応が起こる最大脱離量は、(化8)の反応に対応する24.6mAhであり、それに対して、インジウムへのリチウムイオンの挿入脱離反応に対してインジウムの電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量は、(化3)の反応に対応する22.2mAhである。したがって、この電池は、リチウム遷移金属酸化物の可逆的なリチウムイオンの挿入脱離を起こすリチウムイオンの最大脱離量に対して、リチウムイオンの挿入脱離反応にともない電位の不連続な変化を示す物質の電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量が、小である構成となっている。
【0095】
つづいて比較のために、インジウム箔の重量を190mgとした以外は、上記と同様の方法で全固体リチウム二次電池Bを構成した。この電池においては、インジウムの電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量が44.4mAhであり、リチウム遷移金属酸化物の可逆的なリチウムイオンの挿入脱離を起こすリチウムイオンの最大脱離量に対して、リチウムイオンの挿入脱離反応にともない電位の不連続な変化を示す物質の電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量が、大である構成となっている。
【0096】
このようにして構成した全固体リチウム二次電池を、500μAの電流値で充電した。図4は、これら電池の第1回目の充電曲線である。但し、全固体リチウム二次電池Aについては、充電曲線が不連続な変化を生じた3.85Vを充電の終止電圧とした。それに対して、全固体リチウム二次電池Bについては、24.6mAhを充電した際の端子電圧を充電の終止電圧とした。
【0097】
このようにして充電の終止電圧を決定し、さらに放電の終止電圧を2.0Vとし、充放電電流500μAの充放電サイクル試験を行った。その結果得られた、各サイクルにおける放電電気量を図5に示す。
【0098】
本発明における全固体リチウム二次電池Aでは、充放電サイクルにともなう放電電気量の変化がほとんど観測されなかったのに対し、比較のために構成した全固体リチウム二次電池Bでは、充放電サイクルにともなう放電容量の低下が観測された。
【0099】
つぎに、以下の方法で、充電電圧に時間的な変動が生じた際の充放電サイクル挙動を調べた。
【0100】
まず、充電器としては、3.75Vの直流電圧に、振幅0.1V、周波数1mHzの交流電圧を重畳した電圧を発生する電源を用いた。各々の全固体リチウム二次電池を、この充電器で50時間充電し、その後、500μAの定電流で2.0Vまで放電する充放電サイクル試験を行い、各サイクルにおける放電容量を記録した。その結果を図6に示す。
【0101】
全固体リチウム二次電池Aでは、充放電サイクルにともなう放電容量の低下はほとんど観測されなかったのに対して、全固体リチウム二次電池Bでは、初期より放電容量が低く、さらに充放電サイクルにともなう放電容量の低下が観測された。
【0102】
以上のように本発明によると、充放電サイクル特性に優れた全固体リチウム二次電池が得られることがわかった。
【0103】
(実施例2)
結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの挿入脱離反応にともなう電位の不連続な変化を示す物質として実施例1で用いたインジウムに代えて、アルミニウムを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、全固体リチウム二次電池を構成し、その特性を評価した。以下にその詳細を示す。
【0104】
リチウムイオン伝導性固体電解質、リチウムコバルト酸化物は、実施例1と同様の方法で合成、混合、秤量し、全固体リチウム二次電池の正極とした。
【0105】
負極材料としては、固体電解質粉末と、金属アルミニウム粉末を重量比で1:5の比率で混合したものを用いた。この負極材料を25mg秤量し、全固体リチウム二次電池の負極とした。
【0106】
このようにして得た正極、負極を用い、実施例1と同様の方法で全固体リチウム二次電池Cを構成した。この全固体リチウム二次電池において、リチウムコバルト酸化物への可逆的なリチウムイオンの挿入脱離反応が起こる最大脱離量は、実施例1と同様に24.6mAhであり、それに対して、アルミニウムへのリチウムイオンの挿入脱離反応においてアルミニウムの電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量は、(化4)の反応に対応する20.7mAhである。したがって、この電池は、リチウム遷移金属酸化物の可逆的なリチウムイオンの挿入脱離を起こすリチウムイオンの最大脱離量に対して、リチウムイオンの挿入脱離反応にともなう電位の不連続な変化を示す物質の電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量が、小である構成となっている。
【0107】
つづいて比較のために、負極の重量を50mgとした以外は、上記と同様の方法で全固体リチウム二次電池Dを構成した。この電池においては、アルミニウムの電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量が41.4mAhであり、リチウム遷移金属酸化物の可逆的なリチウムイオンの挿入脱離を起こすリチウムイオンの最大脱離量に対して、リチウムイオンの挿入脱離反応にともない電位の不連続な変化を示す物質の電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量が、大である構成となっている。
【0108】
このようにして構成した全固体リチウム二次電池を用いて、実施例1と同様の充放電試験を行った。但し、本発明による全固体リチウム二次電池Cについては、充電曲線が不連続な変化を生じた電圧を充電の終止電圧とし、それに対して、比較のための全固体リチウム二次電池Dについては、24.6mAhを充電した際の端子電圧を充電の終止電圧とした。
【0109】
その結果、本発明における全固体リチウム二次電池Cでは、充放電サイクルにともなう放電電気量の変化がほとんど観測されなかったのに対し、比較のために構成した全固体リチウム二次電池Dでは、充放電サイクルにともなう放電容量の低下が観測された。
【0110】
つぎに、充電器の直流電圧値を4.05Vとした以外は、実施例1と同様の方法で、充電電圧に時間的な変動が生じた際の充放電サイクル挙動を調べた。
【0111】
その結果、全固体リチウム二次電池Cでは、充放電サイクルにともなう放電容量の低下はほとんど観測されなかったのに対して、全固体リチウム二次電池Dでは、初期より放電容量が低く、さらに充放電サイクルにともなう放電容量の低下が観測された。
【0112】
以上のように本発明によると、充放電サイクル特性に優れた全固体リチウム二次電池が得られることがわかった。
【0113】
(実施例3〜実施例13)
結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの挿入脱離反応にともなう電位の不連続な変化を示す物質として実施例2で用いたアルミニウムに代えて、(表1)に示す物質を用いた以外は実施例2と同様の方法で、全固体リチウム二次電池を構成し、実施例2と同様に定電流法による充放電サイクル挙動ならびに充電電圧に時間的な変動が生じた際の充放電サイクル挙動を調べた。なお、負極はこれら金属あるいは合金と固体電解質粉末を重量比で5:1に混合したものを用い、(表1)に記載の重量に秤量して用いた。なお、(表1)中には各電池においてリチウムコバルト酸化物への可逆的なリチウムイオンの挿入脱離反応が起こる最大脱離量Q1、各負極へのリチウムイオンの挿入脱離反応に対して負極の電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量Q2を示した。これらの電池はQ2がQ1より、小である構成となっている。
【0114】
その結果、充放電サイクルにともなう放電容量の低下はなく、本発明によると充放電サイクル特性に優れた全固体リチウム二次電池が得られることがわかった。
【0115】
【表1】
【0116】
(実施例14)
結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの挿入脱離反応にともなう電位の不連続な変化を示す物質として実施例1で用いたインジウムに代えて、鉛−インジウム合金を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、全固体リチウム二次電池を構成し、その特性を評価した。以下にその詳細を示す。
【0117】
鉛−インジウム合金は、金属鉛と金属インジウムをモル比で1:1に混合したものをアルゴン気流中、800℃で溶融させることによりPb−Inの組成のものを得た。
【0118】
リチウムイオン伝導性固体電解質、リチウムコバルト酸化物は、実施例1と同様の方法で合成、混合、秤量し、全固体リチウム二次電池の正極とした。
【0119】
負極材料としては、固体電解質粉末と、鉛−インジウム合金粉末を重量比で1:5の比率で混合したものを用いた。この負極材料を100mg秤量し、全固体リチウム二次電池の負極とした。
【0120】
この負極へのリチウムイオンの挿入反応において、負極の電位が不連続に変化するリチウムイオンの挿入量は、
【0121】
【化15】
【0122】
の反応に対応する6.94mAh、ならびに
【0123】
【化16】
【0124】
の反応に対応する20.18mAhである。
正極材料としては、実施例1で得たLiCoO2と粉砕した固体電解質を重量比で6:4の比で混合したものを用いた。この正極材料を91mg秤量し、実施例1と同様の方法で全固体リチウム二次電池Eを構成した。また、正極材料を304mg秤量し、同様に全固体リチウム二次電池Fを構成した。
【0125】
これらの全固体リチウム二次電池において、リチウムコバルト酸化物への可逆的なリチウムイオンの挿入脱離反応が起こるリチウムイオンの最大脱離量は、(化8)の反応に対応する全固体リチウム二次電池Eでは7.5mAh、全固体リチウム二次電池Fでは25mAhであり、各々負極の電位が不連続に変化する(化15)あるいは(化16)の反応に対応するリチウムイオンの挿入量に比べて大なる構成となっている。
【0126】
このようにして構成した全固体リチウム二次電池を用いて、実施例1と同様に定電流法による充放電サイクル挙動ならびに充電電圧に時間的な変動が生じた際の充放電サイクル挙動を調べた。
【0127】
その結果、充放電サイクルにともなう放電容量の低下はなく、本発明によると充放電サイクル特性に優れた全固体リチウム二次電池が得られることがわかった。
【0128】
(実施例15)
結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの挿入脱離反応にともない電位の不連続な変化を示す物質として実施例1で用いたインジウムに代えて、リチウムチタン酸化物を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、全固体リチウム二次電池を構成し、その特性を評価した。以下にその詳細を示す。
【0129】
最初に、リチウムチタン酸化物を下記の方法で合成した。
出発材料としては、水酸化リチウム(LiOH)と酸化チタン(TiO2)を用いた。まず、水酸化リチウムと酸化チタンが、Li:Ti=4:5となるよう秤量混合した。この混合物をペレット状に加圧成形し、空気中900℃で20時間加熱することで、Li4/3Ti5/3O4で表されるリチウムチタン酸化物を得た。
【0130】
リチウムイオン伝導性固体電解質、リチウムコバルト酸化物は、実施例1と同様の方法で合成、混合、秤量し、全固体リチウム二次電池の正極とした。
【0131】
負極材料としては、固体電解質粉末と、上記で得たリチウムチタン酸化物を重量比で2:3の比率で混合したものを用いた。この負極材料を209mg秤量し、全固体リチウム二次電池の負極とした。
【0132】
このようにして得た正極、負極を用い、実施例1と同様の方法で全固体リチウム二次電池Gを構成した。この全固体リチウム二次電池Gにおいて、リチウムコバルト酸化物への可逆的なリチウムイオンの挿入脱離反応が起こる最大脱離量は、実施例1と同様に24.6mAhであり、それに対して、リチウムチタン酸化物へのリチウムイオンの挿入脱離反応においてリチウムチタン酸化物の電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量は、
【0133】
【化17】
【0134】
の反応に対応する 22mAhである。したがって、この電池は、リチウム遷移金属酸化物の可逆的なリチウムイオンの挿入脱離を起こすリチウムイオンの最大脱離量に対して、リチウムイオンの挿入脱離反応にともなう電位の不連続な変化を示す物質の電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量が、小である構成となっている。
【0135】
つづいて比較のために、負極の重量を518mgとした以外は、上記と同様の方法で全固体リチウム二次電池Hを構成した。この電池においては、リチウムチタン酸化物の電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量が44mAhであり、リチウム遷移金属酸化物の可逆的なリチウムイオンの挿入脱離を起こすリチウムイオンの最大脱離量に対して、リチウムイオンの挿入脱離反応にともなう電位の不連続な変化を示す物質の電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量が、大である構成となっている。
【0136】
このようにして構成した全固体リチウム二次電池を用いて、実施例1と同様の充放電試験を行った。但し、充電の終止電圧値は、本発明による全固体リチウム二次電池Gについては、充電曲線が不連続な変化を生じた電圧を充電の終止電圧とした。それに対して、比較のための全固体リチウム二次電池Hについては、24.6mAhを充電した際の端子電圧を充電の終止電圧とした。
【0137】
その結果、本発明における全固体リチウム二次電池Gでは、充放電サイクルにともなう放電電気量の変化がほとんど観測されなかったのに対し、比較のために構成した全固体リチウム二次電池Hでは、充放電サイクルにともなう放電容量の低下が観測された。
【0138】
つぎに、充電器の直流電圧値を3.25Vとした以外は、実施例1と同様の方法で、充電電圧に時間的な変動が生じた際の充放電サイクル挙動を調べた。
【0139】
その結果、全固体リチウム二次電池Gでは、充放電サイクルにともなう放電容量の低下はほとんど観測されなかったのに対して、全固体リチウム二次電池Hでは、初期より放電容量が低く、さらに充放電サイクルにともなう放電容量の低下が観測された。
【0140】
以上のように本発明によると、充放電サイクル特性に優れた全固体リチウム二次電池が得られることがわかった。
【0141】
(実施例16)
結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの挿入脱離反応にともなう電位の不連続な変化を示す物質として実施例1で用いたインジウムに代えて、二硫化チタンを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、全固体リチウム二次電池を構成し、その特性を評価した。以下にその詳細を示す。
【0142】
二硫化チタン(TiS2)は、硫黄と金属チタンを出発材料としCVD法により合成した。
【0143】
リチウムイオン伝導性固体電解質、リチウムコバルト酸化物は、実施例1と同様の方法で合成、混合、秤量し、全固体リチウム二次電池の正極とした。
【0144】
負極材料としては、固体電解質粉末と、上記で得た二硫化チタン酸化物を重量比で2:3の比率で混合したものを用いた。この負極材料を153mg秤量し、全固体リチウム二次電池の負極とした。
【0145】
このようにして得た正極、負極を用い、実施例1と同様の方法で全固体リチウム二次電池Iを構成した。この全固体リチウム二次電池Iにおいて、リチウムコバルト酸化物への可逆的なリチウムイオンの挿入脱離反応が起こる最大脱離量は、実施例1と同様に24.6mAhであり、それに対して、二硫化チタンへのリチウムイオンの挿入脱離反応において二硫化チタンの電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量は、
【0146】
【化18】
【0147】
の反応に対応する22mAhである。したがって、この電池は、リチウム遷移金属酸化物の可逆的なリチウムイオンの挿入脱離を起こすリチウムイオンの最大脱離量に対して、リチウムイオンの挿入脱離反応にともなう電位の不連続な変化を示す物質の電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量が、小である構成となっている。
【0148】
つづいて比較のために、負極の重量を306mgとした以外は、上記と同様の方法で全固体リチウム二次電池Jを構成した。この電池においては、リチウムチタン酸化物の電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量が44mAhであり、リチウム遷移金属酸化物の可逆的なリチウムイオンの挿入脱離を起こすリチウムイオンの最大脱離量に対して、リチウムイオンの挿入脱離反応にともなう電位の不連続な変化を示す物質の電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量が、大である構成となっている。
【0149】
このようにして構成した全固体リチウム二次電池を用いて、実施例1と同様の充放電試験を行った。但し、充電の終止電圧値は、本発明による全固体リチウム二次電池Iについては、充電曲線が不連続な変化を生じた電圧を充電の終止電圧とした。それに対して、比較のための全固体リチウム二次電池Jについては、24.6mAhを充電した際の端子電圧を充電の終止電圧とした。
【0150】
その結果、本発明における全固体リチウム二次電池Iでは、充放電サイクルにともなう放電電気量の変化がほとんど観測されなかったのに対し、比較のために構成した全固体リチウム二次電池Jでは、充放電サイクルにともなう放電容量の低下が観測された。
【0151】
つぎに、充電器の直流電圧値を2.5Vとした以外は、実施例1と同様の方法で、充電電圧に時間的な変動が生じた際の充放電サイクル挙動を調べた。
【0152】
その結果、全固体リチウム二次電池Iでは、充放電サイクルにともなう放電容量の低下はほとんど観測されなかったのに対して、全固体リチウム二次電池Jでは、初期より放電容量が低く、さらに充放電サイクルにともなう放電容量の低下が観測された。
【0153】
以上のように本発明によると、充放電サイクル特性に優れた全固体リチウム二次電池が得られることがわかった。
【0154】
(実施例17)
正極活物質として、実施例1で用いたLiCoO2で表されるリチウムコバルト酸化物に代えて、LiNiO2で表されるリチウムニッケル酸化物を用い、全固体リチウム二次電池を構成した。以下にその詳細を示す。
【0155】
まず、LiNiO2を、酸化ニッケル(NiO)と水酸化リチウムを混合し、大気中800℃で加熱することにより合成した。
【0156】
このようにして得たLiNiO2を粉砕し、実施例1で得た固体電解質と重量比で3:2の比で混合し、正極材料とした。このようにして得た正極材料を300mg秤量したものを正極とした以外は、実施例1と同様の方法で全固体リチウム二次電池Kを構成した。
【0157】
この全固体リチウム二次電池において、リチウムコバルト酸化物への可逆的なリチウムイオンの挿入脱離反応が起こる最大脱離量は、
【0158】
【化19】
【0159】
の反応に対応する24.7mAhであり、それに対して、インジウムへのリチウムイオンの挿入脱離反応に対してインジウムの電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量は、実施例1と同様に(化3)の反応に対応する22.2mAhである。したがって、この電池は、リチウム遷移金属酸化物の可逆的なリチウムイオンの挿入脱離を起こすリチウムイオンの最大脱離量に対して、リチウムイオンの挿入脱離反応にともない電位の不連続な変化を示す物質の電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量が、小である構成となっている。
【0160】
つづいて比較のために、インジウム箔の重量を190mgとした以外は、上記と同様の方法で全固体リチウム二次電池Lを構成した。この電池においては、インジウムの電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量が44.4mAhであり、リチウム遷移金属酸化物の可逆的なリチウムイオンの挿入脱離を起こすリチウムイオンの最大脱離量に対して、リチウムイオンの挿入脱離反応にともない電位の不連続な変化を示す物質の電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量が、大である構成となっている。
【0161】
このようにして構成した全固体リチウム二次電池を用いて、実施例1と同様の充放電試験を行った。但し、充電の終止電圧値は、本発明による全固体リチウム二次電池Kについては、充電曲線が不連続な変化を生じた電圧を充電の終止電圧とした。それに対して、比較のための全固体リチウム二次電池Lについては、24.6mAhを充電した際の端子電圧を充電の終止電圧とした。
【0162】
その結果、本発明における全固体リチウム二次電池Kでは、充放電サイクルにともなう放電電気量の変化がほとんど観測されなかったのに対し、比較のために構成した全固体リチウム二次電池Lでは、充放電サイクルにともなう放電容量の低下が観測された。
【0163】
つぎに、充電器の直流電圧値を3.5Vとした以外は、実施例1と同様の方法で、充電電圧に時間的な変動が生じた際の充放電サイクル挙動を調べた。
【0164】
その結果、全固体リチウム二次電池Kでは、充放電サイクルにともなう放電容量の低下はほとんど観測されなかったのに対して、全固体リチウム二次電池Lでは、初期より放電容量が低く、さらに充放電サイクルにともなう放電容量の低下が観測された。
【0165】
以上のように本発明によると、充放電サイクル特性に優れた全固体リチウム二次電池が得られることがわかった。
【0166】
(実施例18)
正極活物質として、実施例1で用いたLiCoO2で表されるリチウムコバルト酸化物に代えて、LiMn2O4で表されるリチウムマンガン酸化物を用い、全固体リチウム二次電池を構成した。以下にその詳細を示す。
【0167】
LiMn2O4は、炭酸リチウム(Li2CO3)と酢酸マンガン(Mn(CH3COO)2)を混合し、大気中750℃で加熱することにより合成した。
【0168】
このようにして得たLiMn2O4を粉砕し、実施例1で得た固体電解質、さらに電子導電材としてアセチレンブラックを重量比で3:1.9:0.1の比で混合し、正極材料とした。このようにして得た正極材料を432mg秤量したものを正極とした以外は、実施例1と同様の方法で全固体リチウム二次電池Mを構成した。
【0169】
この全固体リチウム二次電池Mにおいて、リチウムマンガン酸化物への可逆的なリチウムイオンの挿入脱離反応が起こる最大脱離量は、
【0170】
【化20】
【0171】
の反応に対応する25.0mAhであり、それに対して、インジウムへのリチウムイオンの挿入脱離反応に対してインジウムの電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量は、実施例1と同様に(化3)の反応に対応する22.2mAhである。したがって、この電池は、リチウム遷移金属酸化物の可逆的なリチウムイオンの挿入脱離を起こすリチウムイオンの最大脱離量に対して、リチウムイオンの挿入脱離反応にともなう電位の不連続な変化を示す物質の電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量が、小である構成となっている。
【0172】
つづいて比較のために、インジウム箔の重量を190mgとした以外は、上記と同様の方法で全固体リチウム二次電池Nを構成した。この電池においては、インジウムの電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量が44.4mAhであり、リチウム遷移金属酸化物の可逆的なリチウムイオンの挿入脱離を起こすリチウムイオンの最大脱離量に対して、リチウムイオンの挿入脱離反応にともない電位の不連続な変化を示す物質の電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量が、大である構成となっている。
【0173】
このようにして構成した全固体リチウム二次電池を用いて、実施例1と同様の充放電試験を行った。但し、充電の終止電圧値は、本発明による全固体リチウム二次電池Mについては、充電曲線が不連続な変化を生じた電圧を充電の終止電圧とした。それに対して、比較のための全固体リチウム二次電池Nについては、24.6mAhを充電した際の端子電圧を充電の終止電圧とした。
【0174】
その結果、本発明における全固体リチウム二次電池Mでは、充放電サイクルにともなう放電電気量の変化がほとんど観測されなかったのに対し、比較のために構成した全固体リチウム二次電池Nでは、充放電サイクルにともなう放電容量の低下が観測された。
【0175】
つぎに、充電器の直流電圧値を3.65Vとした以外は、実施例1と同様の方法で、充電電圧に時間的な変動が生じた際の充放電サイクル挙動を調べた。
【0176】
その結果、全固体リチウム二次電池Mでは、充放電サイクルにともなう放電容量の低下はほとんど観測されなかったのに対して、全固体リチウム二次電池Nでは、初期より放電容量が低く、さらに充放電サイクルにともなう放電容量の低下が観測された。
【0177】
以上のように本発明によると、充放電サイクル特性に優れた全固体リチウム二次電池が得られることがわかった。
【0178】
(実施例19)
リチウムイオン伝導性無機固体電解質として、実施例1で得た0.01Li3PO4−0.63Li2S−0.36SiS2に代えて0.05Li2O−0.57Li2S−0.38SiS2で表される非晶質固体電解質を用いた以外は、実施例1と同様に、全固体リチウム電池を構成しその特性を評価した。以下に、その詳細を示す。
【0179】
硫化リチウムと硫化ケイ素、ならびに酸化リチウムををモル比で57:38:5の割合で秤量混合した。この混合物をグラッシーカーボン製坩堝に充填し、窒素ガス気流中で1000℃で2時間溶融した。該溶融物を実施例1と同様に双ローラーで超急冷することにより、リチウムイオン伝導性固体電解質を得た。
【0180】
このようにして得たリチウムイオン伝導性固体電解質を用い、実施例1と同様のインジウム箔量をそれぞれ用いた本発明による全固体リチウム二次電池ならびに比較のための全固体リチウム二次電池を構成し、実施例1と同様の充放電試験を行った。
【0181】
その結果、本発明における全固体リチウム二次電池では、充放電サイクルにともなう放電電気量の変化がほとんど観測されなかったのに対し、比較のために構成した全固体リチウム二次電池では、充放電サイクルにともなう放電容量の低下が観測された。
【0182】
つぎに、実施例1と同様の方法で、充電電圧に時間的な変動が生じた際の充放電サイクル挙動を調べた。
【0183】
その結果、本発明における全固体リチウム二次電池では、充放電サイクルにともなう放電容量の低下はほとんど観測されなかったのに対して、比較のための全固体リチウム二次電池では、初期より放電容量が低く、さらに充放電サイクルにともなう放電容量の低下が観測された。
【0184】
以上のように本発明によると、充放電サイクル特性に優れた全固体リチウム二次電池が得られることがわかった。
【0185】
(実施例20)
本実施例においては、実施例1と同様に正極活物質として用いられる、結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの可逆的な電気化学的挿入脱離反応を生じるリチウム遷移金属酸化物としてLiCoO2で表されるリチウムコバルト酸化物を、結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの挿入脱離反応にともない電位の不連続な変化を示す物質としてインジウムを、リチウムイオン伝導性固体電解質として0.01Li3PO4−0.63Li2S−0.36SiS2で表される非晶質固体電解質を用いて、集合電池を構成し、その特性を評価した。以下にその詳細を示す。
【0186】
まず、本実施例における集合電池の断面図を図7に、集合電池を構成する素電池の構成を(表2)に示す。
【0187】
【表2】
【0188】
図7中、7、8は(表2)に構成を示した素電池(i)ならびに素電池(ii)である。この2つの素電池をコネクター9により直列に接続し、ステンレス製の電池容器10に入れ、絶縁性ガスケット11を介しステンレス製の蓋12により密封し、集合電池S1〜S4を構成した。
【0189】
なお、(表2)中には、正極ならびに負極の重量、各素電池においてリチウムコバルト酸化物への可逆的なリチウムイオンの挿入脱離反応が起こる最大脱離量Q1、すなわち(化8)の反応に対応する電気量、インジウムへのリチウムイオンの挿入脱離反応に対してインジウムの電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量Q2、すなわち(化3)の反応に対応する電気量を併せて示した。
【0190】
集合電池S1においては、素電池(i)、(ii)ともにリチウム遷移金属酸化物の可逆的なリチウムイオンの挿入脱離を起こすリチウムイオンの最大脱離量Q1に対して、リチウムイオンの挿入脱離反応にともない電位の不連続な変化を示す物質の電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量Q2が、小である構成の集合電池となっている。また、集合電池S2においては、2つの素電池のうち容量の小さな素電池(i)がQ1>Q2の構成となっており、本発明の条件を満たす集合電池となっている。
【0191】
これらの集合電池に対して、集合電池S3では、容量の小さな素電池(ii)がQ1<Q2の構成となっており、また集合電池S4では、いずれの素電池もQ1<Q2の構成となっており、いずれも本発明の条件を満たさない。
【0192】
これらの集合電池を用い、下記の充放電サイクル試験を行った。
これらの電池を250μAの定電流で充電した。なお、電池の充電終了電圧は、
(1)いずれかの素電池の正極中のリチウムコバルト酸化物が、Li0.5CoO2の組成となる反応に対応する電気量が流れた場合、
(2)充電時の充電曲線に不連続な変化が生じた場合、
の条件のうち、いずれか一方が生じた電圧とした。
【0193】
また、放電電流も250μAとし、放電終了電圧は4.5Vとした。
上記の充放電条件でこれらの集合電池の充放電サイクル試験を行ったところ、集合電池S1、S2では、充放電サイクルにともなう充放電挙動の変化は観測されなかったのに対して、集合電池S3、S4では、充放電サイクルにともなう充放電容量の顕著な低下が観測された。
【0194】
つぎに、以下の方法で、充電電圧に時間的な変動が生じた際の充放電サイクル挙動を調べた。
【0195】
まず、充電器としては、上記定電流による充放電サイクル試験において決定された充電終了電圧に相当する電圧に、振幅0.1V、周波数1mHzの交流電圧を重畳した電圧を発生する電源を用いた。各々の集合電池を、この充電器で50時間充電し、その後、250μAの定電流で4.5Vまで放電する充放電サイクル試験を行った。
【0196】
その結果、集合電池S1、S2では、充放電サイクルにともなう放電容量の低下はほとんど観測されなかったのに対して、集合電池S3、S4では、初期より放電容量が低く、さらに充放電サイクルにともなう放電容量の低下が観測された。
【0197】
以上のように本発明によると、充放電サイクル特性に優れた集合電池が得られることがわかった。
【0198】
(実施例21)
本実施例では、電極活物質の体積変化が充放電サイクル特性に及ぼす影響について調べた。他の実施例では、一体成形した全固体リチウム二次電池ペレットをコイン電池ケース内に封口することで全固体リチウム二次電池を構成していたが、ここではラミネート材の中に全固体リチウム二次電池ペレットを封入した電池の特性を調べた。
【0199】
負極活物質としてLi4/3Ti5/3O4、正極活物質としてLiCoO2を用い、実施例15の全固体リチウム二次電池Gと同様の全固体リチウム二次電池ペレットを成形した。成形した全固体リチウム二次電池ペレットの正負極それぞれに集電体として、ステンレス鋼製リードをスポット溶接したステンレス鋼製メッシュを圧着させ電極端子とした。これを、ステンレス箔にポリエチレンシートをラミネートしたフィルムに封入し、全固体リチウム二次電池Oとした。
【0200】
つづいて比較のため、負極活物質としてAl、正極活物質としてLiCoO2を用い、実施例2の全固体リチウム二次電池Cと同様の全固体リチウム二次電池ペレットを成形し、全固体リチウム二次電池Oと同様にして全固体リチウム二次電池Pを構成した。
【0201】
このように構成した全固体リチウム二次電池を用いて、それぞれ実施例15の全固体リチウム二次電池G、実施例2の全固体リチウム二次電池Cと同様の充放電試験を行った。
【0202】
その結果、本発明における全固体リチウム二次電池Oは充放電サイクルにともなう放電電気量の変化がほとんど観測されなかったのに対し、比較のため構成した全固体リチウム二次電池Pでは、初期の充電容量に対して放電容量が小さく、また充放電サイクルにともなう放電容量の低下が観測された。
【0203】
全固体リチウム二次電池Pで良好な電池特性が得られなかった原因としては、全固体リチウム二次電池のケースをラミネートフィルムに変更したため、電池ケース内に収納した場合に電池ペレットに加わっていたケースからの圧力が小さなものとなり、活物質の体積変化にともなう電池構成材料間の接合が失われやすくなったためと思われる。
【0204】
以上のように本発明によると、充放電サイクル特性に優れた全固体リチウム二次電池が得られることがわかった。
【0205】
なお、本発明の実施例においては、結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの挿入脱離反応にともなう電位の不連続な変化を示す物質として、インジウム、アルミニウム、鉛−インジウム合金、リチウムチタン酸化物、二硫化チタンなどを用いた全固体リチウム二次電池についてのみ説明を行ったが、その他の金属あるいは合金、MnO2、WO3、WO2、V2O5などの遷移金属酸化物、MoS2、NbS2、V2S4などの遷移金属硫化物、あるいは複合酸化物などを用いた場合も同様の効果が得られることはいうまでもなく、本発明は、結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの挿入脱離反応にともなう電位の不連続な変化を示す物質としてこれら実施例で説明を行ったものに限定されるものではない。
【0206】
また、本発明の実施例においては、正極に用いられる結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの可逆的な電気化学的挿入脱離反応を生じるリチウム遷移金属酸化物として、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物を用いたものについてのみ説明を行ったが、その他リチウム鉄酸化物、リチウムニッケルコバルト酸化物、リチウムニッケルバナジウム酸化物、リチウムマンガンクロム酸化物などの、本発明の実施例では説明を行わなかったリチウム遷移金属酸化物を用いた場合も同様の効果が得られることはいうまでもなく、本発明は、正極に用いられる結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの可逆的な電気化学的挿入脱離反応を生じるリチウム遷移金属酸化物としてこれら実施例で説明を行ったものに限定されるものではない。
【0207】
また、本発明の実施例においては、リチウムイオン伝導性無機固体電解質として、0.01Li3PO4−0.63Li2S−0.36SiS2、0.05Li2O−0.57Li2S−0.38SiS2のリチウムイオン伝導性非晶質固体電解質について説明を行ったが、これらの固体電解質の各成分比の異なったもの、Li2S−GeS2、Li2S−P2S5、Li2S−B2S3など実施例では説明を行わなかった他の硫化物を含むもの、LiCl−Li2S−SiS2、LiBr−Li2S−P2S5など他のハロゲン化リチウムを含むもの、またLiI−Li2S−SiS2−P2S5、LiI−Li3PO4−Li2S−SiS2などの擬4元系のもの、あるいは酸化物を主体としたものなど、あるいはLi3N, Li1.3Sc0.3Ti1.7(PO4)3, Li0.2La0.6TiO3などの実施例では説明を行わなかった結晶質のリチウムイオン伝導性無機固体電解質を用いても同様の効果が得られることはいうまでもなく、本発明はリチウムイオン伝導性無機固体電解質として、これら実施例で説明を行ったものに限定されるものではない。
【0208】
また、本発明の実施例においては、全固体リチウム二次電池である2つの素電池を同一の電池容器内に直列接続に構成したものについてのみ説明を行ったが、その他、さらに多数の素電池を接続したもの、並列接続の構成を有するもの、複数容器内に構成された全固体リチウム二次電池を直列あるいは並列に接続したもの、あるいは有機溶媒電解質を用いたリチウム二次電池と接続したもの、またニッケル−カドミウム電池などの他の二次電池と接続したものにおいても同様の効果が得られることはいうまでもない。
【0209】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、リチウムイオン伝導性固体電解質を主体とする電解質層と、結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの可逆的な電気化学的挿入脱離反応を生じるリチウム遷移金属酸化物を含む正極と、結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの挿入脱離反応にともなう電位の不連続な変化を示す物質を含む負極を有する全固体リチウム二次電池が複数個、電気的に接続されて構成された集合電池であって、その一部に上記全固体リチウム二次電池が複数個、直列に接続された構造を有しており、前記直列に接続された複数個の電池のうち、最小の容量を有する電池を含む1個以上、全数未満の電池が、前記リチウム遷移金属酸化物の可逆的なリチウムイオンの挿入脱離を起こすリチウムイオンの最大脱離量に対して、前記リチウムイオンの挿入脱離反応にともなう電位の不連続な変化を示す物質の電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量が、等しいか又は小である構成とすることにより、充放電サイクル特性に優れた集合電池を得ることができた。
【0211】
また本発明によれば、充電電気量に対して、電圧V1から電圧V2への不連続な電圧変化を生じるこれらの電池を、電圧V2以下で充電することにより、全固体リチウム二次電池の充放電サイクル特性を優れたものとすることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明における全固体リチウム二次電池の作動原理を説明した正極および負極の単極電位の変化を示した図
(b)本発明における全固体リチウム二次電池の作動原理を説明した電池の起電力の変化を示した図
【図2】(a)比較例の全固体リチウム二次電池の作動原理を説明した正極および負極の単極電位の変化を示した図
(b)比較例の全固体リチウム二次電池の作動原理を説明した電池の起電力の変化を示した図
【図3】本発明の一実施例における全固体リチウム二次電池の断面図
【図4】本発明の一実施例ならびに比較例における全固体リチウム二次電池の充電曲線を示した図
【図5】本発明の一実施例ならびに比較例における全固体リチウム二次電池の充放電サイクル特性を示した図
【図6】本発明の一実施例ならびに比較例における全固体リチウム二次電池の充放電サイクル特性を示した図
【図7】本発明の一実施例における集合電池の断面図
【符号の説明】
1 正極
2 固体電解質層
3 負極
4 電池容器
5 ガスケット
6 蓋
7 素電池(i)
8 素電池(ii)
9 コネクター
10 電池容器
11 ガスケット
12 蓋
Claims (14)
- リチウムイオン伝導性固体電解質を主体とする電解質層と、結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの可逆的な電気化学的挿入脱離反応を生じるリチウム遷移金属酸化物を含む正極と、結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの挿入脱離反応にともなう電位の不連続な変化を示す物質を含む負極を有する全固体リチウム二次電池が複数個、電気的に接続されて構成された集合電池であって、その一部に上記全固体リチウム二次電池が複数個、直列に接続された構造を有しており、前記直列に接続された複数個の電池のうち、最小の容量を有する電池を含む1個以上、全数未満の電池が、前記リチウム遷移金属酸化物の可逆的なリチウムイオンの挿入脱離を起こすリチウムイオンの最大脱離量に対して、前記リチウムイオンの挿入脱離反応にともなう電位の不連続な変化を示す物質の電位が不連続に変化するまでのリチウムイオンの挿入量が、等しいか又は小である電池である集合電池。
- 結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの挿入脱離反応にともなう電位の不連続な変化を示す物質が、インジウム、アルミニウム、鉛、ビスマス、アンチモン、ガリウム、スズ、銀、ケイ素、亜鉛、カドミウム、砒素、チタンの群より選ばれる少なくとも一種類の金属、あるいはこれらの群より選ばれる金属の合金、あるいはこれらの群より選ばれる少なくとも一種類の金属とリチウムの合金であることを特徴とする請求項1記載の集合電池。
- 結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの挿入脱離反応にともなう電位の不連続な変化を示す物質が、遷移金属酸化物、リチウム遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、リチウム遷移金属硫化物の群より選ばれることを特徴とする請求項1記載の集合電池。
- 遷移金属酸化物あるいはリチウム遷移金属酸化物の遷移金属元素が、チタン、マンガン、タングステン、バナジウムの群より選ばれる少なくとも一種の元素であることを特徴とする請求項5記載の集合電池。
- 遷移金属硫化物あるいはリチウム遷移金属硫化物の遷移金属元素が、チタン、モリブデン、ニオブ、タングステン、バナジウムの群より選ばれる少なくとも一種の元素であることを特徴とする請求項5記載の集合電池。
- リチウム遷移金属酸化物の遷移金属元素が、コバルト、ニッケル、マンガン、鉄の群より選ばれる少なくとも一種類の元素であることを特徴とする請求項1記載の集合電池。
- リチウムイオン伝導性固体電解質が、無機化合物であることを特徴とする請求項1記載の集合電池。
- 無機化合物が、硫化物を主体とする非晶質であることを特徴とする請求項9記載の集合電池。
- 無機化合物が、硫化リチウムおよび硫化ケイ素を主体とする物質より合成されるものであることを特徴とする請求項9記載の集合電池。
- 複数個の電池が、気密性を有する同一の電池容器内に収納されたことを特徴とする請求項1記載の集合電池。
- リチウムイオン伝導性固体電解質が硫化物を主体とする非晶質リチウムイオン伝導性固体電解質であり、結晶構造中のリチウムイオンサイトへのリチウムイオンの挿入脱離反応にともなう電位の不連続な変化を示す物質がLi 4/3 Ti 5/3 O 4 である請求項1記載の集合電池。
- 充電電気量に対して、電圧V 1 から電圧V 2 への不連続な電圧変化を生じる請求項1〜請求項13のいずれかに記載の集合電池を、電圧V 2 以下で充電することを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれかに記載の集合電池の充電方法。
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