JP3598785B2 - 鉄筋結束機におけるワイヤリールのブレーキ機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は鉄筋結束機において所定の長さの結束用ワイヤを送り出した後にワイヤリールの回転を停止させるブレーキ機構に関する。
【0002】
【従来技術】
一般に鉄筋結束機は、交差された鉄筋の周囲に所定の長さの結束用ワイヤを巻き回した後にこのワイヤを捩り用フックで捩って結束するものである。ワイヤは結束機本体の後部に装着されたワイヤリールに巻回され、ワイヤ送り時にはワイヤ送り手段によってワイヤが前方に送り出され、このときワイヤリールが回転してワイヤが巻き出される。ワイヤの送り量は正確に制御され、所定の長さのワイヤが送られると、ワイヤの送りは急停止する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記ワイヤ送り機構によれば、所定の長さの送りがなされるとワイヤの送りは急停止するが、ワイヤリールは慣性によって余分に回り続けるから、図5のようにワイヤリール20上のワイヤ21の径は膨らんでしまい、ワイヤ21が絡みあって円滑な巻き出しができなくなり、次段のワイヤ送りに支障をきたすことがある。
【0004】
これに対応するものとして、ワイヤリールに板バネ等で常時ブレーキをかけてワイヤリールの惰性回転を防止することも考えられるが、この場合は送りの負荷が増大するので、消費電流が増加し、モータが発熱し、スピードが低下する等の問題が生じる。
【0005】
本発明は上記問題点を解消し、所定のワイヤ送りが終了するとほぼ同時にワイヤリールの回転にブレーキをかけることができる鉄筋結束機におけるワイヤリールのブレーキ機構を提供することをその課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明に係る鉄筋結束機におけるワイヤリールのブレーキ機構は、結束機本体の後部に回転自在に設けたワイヤリールから結束用ワイヤを結束機本体の前方に送り出して交差した鉄筋の周囲に巻き付けた後、捩り用フックで捩って結束する鉄筋結束機におけるワイヤリールのブレーキ機構において、捩り用フックを駆動する捩り用モータに噛合連結したはすば歯車の回転軸の延長上にワイヤリールの周縁部に係合可能なブレーキ手段を配置し、ブレーキ手段をワイヤリールから離反する方向にバネ付勢するとともに、捩り用モータが正回転したときに生じたスラスト荷重によりはすば歯車が上記回転軸の軸方向に移動してブレーキ手段を押してワイヤリールの周縁部に係合させてブレーキをかけ、上記捩り用モータが逆回転したときにはすば歯車が逆方向に移動してブレーキ手段をワイヤリールから離反させてブレーキを解除させることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1、図2はそれぞれ鉄筋結束機における結束機構の概要を示す側面図及び平面図で、同図において符号1は結束機本体、2は結束機本体1の後部に回転自在に設けたワイヤリールを示す。結束機本体1にはワイヤ3の通路(図示せず)が形成され、通路にはワイヤ3を前方に送り出す送り手段5が配置され、また結束機本体1の前部にはワイヤ3をループ状に曲がるように案内するガイド6が設けられている。また、結束機本体1には鉄筋7の周囲に巻き付けられたワイヤ3に係合して捩る捩り用フック8が形成され、この捩り用フック8はモータ9によって駆動されるように構成されている。なお、上記送り手段5も図示しない別のモータによって駆動される。
【0008】
上記鉄筋結束機は送り手段5によってワイヤリール2から所定の長さのワイヤ3を送り出して交差された鉄筋7の周囲に巻き回した後、送り手段5からの信号に基づいて捩り用モータ9が作動し、捩り用フック8を駆動してワイヤ3を捩って結束するものである。
【0009】
なお、捩り用フック8は初めは正回転してワイヤループまで進出して捩り、捩り終った後に逆回転して元の位置に後退するように構成されている。
【0010】
次に、上記ワイヤリール2はドラム2aとフランジ2bとから構成され、結束機本体1の後部一側に形成された収納部10に着脱自在に収納配置されている。その近傍にはブレーキ機構が配置されている。すなわち、図3(a) に示されるようにワイヤリール2のフランジ2bの周縁部には一定の間隔に係合部11が切欠き形成され、この係合部11に対向する位置にブレーキ手段12が配置されている。ブレーキ手段12は引っ張りバネ13のバネ力と作動軸14の軸方向移動によってワイヤリール2の係合部11に係脱するように構成されている。作動軸14にはブレーキ用はすば歯車15が固定されている。図4(a) に示されるように、ブレーキ用はすば歯車15には、捩り用フック8に連係するフック駆動用はすば歯車16が噛合し、フック駆動用はすば歯車16は捩り用モータ9の出力軸に設けられたはすば歯車17に噛合している。
【0011】
なお、18a、18bはスラストベアリングである。フック駆動用はすば歯車16が回転してブレーキ用はすば歯車15が回転するとスラスト荷重が生じ、これによりブレーキ用はすば歯車15が上記作動軸14とともにその軸方向に移動する。そして、ワイヤリール2に近い側のスラストベアリング18bは、作動軸14がワイヤリール2に接近する方向に移動してブレーキ手段12を押してその先端がワイヤリール2の周縁部に係合する状態となるときにブレーキ用はすば歯車15の一方の側面に当たる位置に配置する。ワイヤリール2に遠い側のスラストベアリング18bは、上記作動軸14がワイヤリール2から離反する方向に移動して上記ブレーキ手段12がワイヤリール2から離れた状態となるときに上記ブレーキ用はすば歯車15の他方の側面の当たる位置に配置する。また、引っ張りバネ13のバネ力はスラスト荷重よりも小さくなるように設定する。
【0012】
上記構成のブレーキ機構において、ワイヤリール2が回転してワイヤ3が所定の長さだけ送られた後に捩り用モータ9が正回転すると、図3(a) 、図4(a) に示すようにフック駆動用はすば歯車16が回転して捩り用フック8が回転し、同時にブレーキ用はすば歯車15が正回転するが、このときに生じたスラスト荷重により上記はすば歯車15と作動軸14はその軸方向に沿ってワイヤリール2側に移動し、引っ張りバネ13のバネ力に抗してブレーキ手段12を押してその先端がワイヤリール2の周縁部に係合するので、ワイヤリール2の回転は急停止する。
【0013】
捩り用フックが回転しワイヤ3を掴んでねじった後、捩り用フック8をワイヤ3から外すために捩り用モータ9が逆転するが、同時にブレーキ用はすば歯車15も逆回転するからスラスト荷重も逆方向に作用し、図3(b) 、図4(b) に示すように、ブレーキ用はすば歯車15と作動軸14はワイヤ3から離反する方向に移動することになり、ブレーキ手段12を引っ張りバネ13によりワイヤリール2から離反させてブレーキを解除する。以上の動作の繰り返しにより、ワイヤリール2に対し回転後に急ブレーキを掛けることができる。
【0014】
上述のように、所定の長さのワイヤ3の送り終了とほぼ同時に、捩り用のモータ9が作動し、その正回転時にブレーキ手段12が作動してワイヤリール2にブレーキがかけられてその回転が急停止するので、ワイヤリール2が回転し過ぎてワイヤ3の径が膨らむことがなく、常にワイヤ3を円滑に送ることができ、消費電流の増加、モータの発熱、スピード低下等の不都合を良好に防止することができる。
【0015】
また、捩り用モータ9は捩り用フック8を駆動するために正逆回転するもので、これを利用してブレーキとその解除とを行なわせるので、特別の駆動制御機構を必要としない。
【0016】
なお、上述の各例においてブレーキは、ブレーキ手段12をワイヤリール2の係合部11に係合させるものに限定されない。例えば、上述のものと同じように構成されたブレーキ手段の一部をワイヤリールの周縁部に強く押圧させることによってブレーキをかける構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】鉄筋結束機の概要を示す側面の縦断面図
【図2】上記鉄筋結束機の概要を示す平面の横断面図
【図3】(a) (b) はワイヤリールのブレーキ機構の要部の側面図
【図4】(a) (b) は上記ブレーキ機構のブレーキ解除作動時の作動態様説明図
【図5】従来のブレーキ時のワイヤリールの状態を示す説明図
【符号の説明】
2 ワイヤリール
3 ワイヤ
9 捩り用モータ
12 ブレーキ手段
14 作動軸
15、16、17 はすば歯車
Claims (1)
- 結束機本体の後部に回転自在に設けたワイヤリールから結束用ワイヤを結束機本体の前方に送り出して交差した鉄筋の周囲に巻き付けた後、捩り用フックで捩って結束する鉄筋結束機におけるワイヤリールのブレーキ機構において、
捩り用フックを駆動する捩り用モータに噛合連結したはすば歯車の回転軸の延長上にワイヤリールの周縁部に係合可能なブレーキ手段を配置し、ブレーキ手段をワイヤリールから離反する方向にバネ付勢するとともに、
捩り用モータが正回転したときに生じたスラスト荷重により上記はすば歯車が上記回転軸の軸方向に移動してブレーキ手段を押してワイヤリールの周縁部に係合させてブレーキをかけ、
上記捩り用モータが逆回転したときにはすば歯車が逆方向に移動してブレーキ手段をワイヤリールから離反させてブレーキを解除させる
ことを特徴とする鉄筋結束機におけるワイヤリールのブレーキ機構。
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