JP3598631B2 - 導電性ペースト、その製造法及び導電性ペーストを用いた電気回路装置、その製造法 - Google Patents

導電性ペースト、その製造法及び導電性ペーストを用いた電気回路装置、その製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性ペースト、その製造法及び導電性ペーストを用いた電気回路装置、その製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、配線板、電子部品を搭載するための絶縁基材等に配線導体を形成する方法として、金、銀、パラジウム、銅、アルミニウム等の導電性金属粉に、樹脂、ガラスフリット等の結合剤及び溶剤を加えてペースト状にした導電性ペーストを塗布又は印刷して形成する方法が一般的に知られており、スルホール導通用、電極形成用、ジャンパ線用、EMIシールド用等に応用されている。
【0003】
一方、抵抗素子、チップ抵抗、チップコンデンサ等の電子部品を配線導体上に搭載する表面実装法として、はんだ粒子と結合剤からなるはんだペーストを塗布又は印刷し、はんだの融点以上の温度に加熱処理して電子回路装置を得る方法がある。
各種導電性金属粉のうち、金は極めて高価であるため、高い導電性が要求される分野では銀が、それ以外の分野では銅が導電性金属粉として用いられることが多い。
【0004】
しかしながら、銀は金やパラジウムについで高価であり、また水分の存在下で直流電圧が印加されると、電極や配線導体にマイグレーションと称する銀の電析が生じ、電極間又は配線間が短絡するという重大な問題点が生じる。
銀のマイグレーションを防止するため、銀とパラジウムとの合金を導電性金属粉とする導電性材料が市販されているが、やはり極めて高価であるという問題点がある。
【0005】
一方、銅は安価であり、マイグレーションが比較的生じにくいが、導電性ペーストを加熱する際、空気及び結合剤中の酸素により銅粒子表面に酸化膜を形成して導電性を悪化させるという問題点がある。このため、導体の表面に防湿塗料を塗布したり、導電性材料に腐食、酸化防止剤を添加するなどの方策が検討されているが、十分な効果が得られるものではなかった。
【0006】
銅の耐酸化性と銀の耐マイグレーション性を改善するため、銀めっき銅粉を使用する方法が特開昭56−8892号公報に示されるが、この方法では銀粉に比較して導電性が悪く、銀粉の一部を銅粉に置き換えただけにすぎない。また特開平3−247702号公報、特開平4−268381号公報等に提案されているように、銅の表面に銀の粒子をアトマイズ法で作製する方法があるが、この方法では工程が複雑であるためコスト高となり、また得られた粉体は略球形粒子であるため偏平状や樹枝状の粉体に比べて粉体同士の接触面積が小さく、高抵抗になるという問題点がある。
またはんだペーストに関しては、加熱処理温度の低温化と鉛レスという緊急かつ重大な要求があるにもかかわらず、融点や作業性の点で十分な鉛レスはんだはまだ得られてはいない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
請求項1記載の発明は、高導電性で、導電性と耐マイグレーション性に優れる導電性ペーストを提供するものである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明に加えて、特に耐マイグレーション性に優れた導電性ペーストを提供するものである。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明に加えて、特に導電性と耐マイグレーション性に優れた導電性ペーストを提供するものである。
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明に加えて、特に導電性に優れた導電性ペーストを提供するものである。
請求項5及び6記載の発明は、安価で、かつ高導電性で、耐マイグレーション性に優れる導電性ペーストの製造法を提供するものである。
請求項7記載の発明は、鉛レス、はんだ代替材として電子部品を接着(接続)できる電気回路装置を提供するものである。請求項8記載の発明は、鉛レス、はんだ代替材として電子部品を接着(接続)できる電気回路装置の製造法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、偏平状非貴金属粉の表面の一部を露出させて全表面積の50%以上が、該偏平状非貴金属粉に対して2〜30重量%の貴金属で被覆され、かつ表面貴金属層と非貴金属層との間に貴金属と非貴金属とが混在する層を介在した導電性金属複合粉及び結合剤を含有してなる導電性ペーストであって、貴金属と非貴金属とが混在する層が、表面貴金属層の厚さの1/2〜1/50である導電性ペーストに関する。
また、本発明は、この導電性ペーストにおいて、導電性金属複合粉における貴金属と非貴金属とが混在する層が、貴金属が80〜20原子数%に対し非貴金属が20〜80原子数%である導電性ペーストに関する。
また、本発明は、この導電性ペーストにおいて、導電性金属複合粉におけ表面貴金属層の厚さが、0.01〜0.2μmである導電性ペーストに関する。
また、本発明は、この導電性ペーストの導電性金属複合粉における長径/厚さが、2〜30である導電性ペーストに関する。
また、本発明は、非貴金属粉の表面の一部を露出させて全表面積の50%以上に、該非貴金属粉に対して2〜30重量%の貴金属を被覆した後、機械的エネルギーを加えて、偏平状への変形及び表面貴金属層と非貴金属層との間に、貴金属と非貴金属とが混在する層の形成を同時に行った後、結合剤を加えて均一に混合することを特徴とする導電性ペーストの製造法に関する。
また、本発明は、非貴金属粉及び貴金属粉の混合粉体に機械的エネルギーを加えて、該混合粉体を偏平状に変形しながら該非貴金属粉の表面の一部を露出させて全表面積の50%以上に、該非貴金属粉に対して2〜30重量%の貴金属を被覆し、かつ表面貴金属層と非貴金属層との間に、貴金属と非貴金属とが混在する層の形成を行った後、結合剤を加えて均一に混合することを特徴とする導電性ペーストの製造法に関する。
また、本発明は、絶縁基材上に上記の導電性ペーストにより配線導体が形成され、その上面に電子部品が搭載された電気回路装置に関する。
さらに、本発明は、絶縁基材上に上記の導電性ペーストを塗布、印刷又はポッティングして配線導体を形成し、次いで配線導体の上面に、電子部品を搭載することを特徴とする電気回路装置の製造法に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明における偏平状とは、球状、塊状等の立体形状のものを一方向に押し潰した形状のものであり、例えば一般的にフレーク状と称するものもこれに含まれる。
【0010】
本発明において用いられる非貴金属粉としては、低価格という観点から、導電性を有する非貴金属で、例えば銅、銅合金、ニッケル等が用いられる。また非貴金属粉の表面に被覆される貴金属は、耐酸化性と高導電性という観点から、金、銀、白金等の貴金属を用いることが好ましい。
【0011】
非貴金属粉への表面に貴金属を被覆する方法については特に制限はなく、めっき法、蒸着法、機械的エネルギーで被覆するメカノフュージョン法等の方法で行うことが好ましい。また、微細、例えば2μm以下の貴金属粉と比較的粒径の大きな、例えば5μm以上の非貴金属粉の混合粉をボールミル、メカニカルアロイング装置等で混合することによっても非貴金属粉への表面に貴金属を被覆することができる。偏平状非貴金属粉が貴金属により被覆される面積(以下、単に被覆面積という)は偏平状非貴金属粉の全表面積に対して50%以上であり、また、この被覆に使用される貴金属の量(以下、単に被覆量という)は、偏平状非貴金属粉に対して2〜30重量%であることが必要である。被覆面積が50%未満又は被覆量が2重量%未満であると、導電性ペーストにして基板などに塗布して加熱処理したとき下地の偏平状非貴金属粉が酸化して導電性が悪くなる。また被覆量が30重量%を超えると耐マイグレーション性が悪くなる。
被覆面積は、次のようにして決定される。すなわち、無作為に導電性金属複合粉の粒子を5個以上取り出し、オージェ分光分析装置で貴金属及び非貴金属を定量分析し、貴金属の占める割合を算出し、その平均値を求め、この平均値を被覆面積とする。
また、非貴金属と貴金属との割合は、例えば導電性金属複合粉を1g取り出し、これを硝酸で溶解し、この溶解液を化学定量分析、原子吸光分析装置等を用いて測定する。
上記の被覆面積は50%以上とされるが、非貴金属粉の粒子に局部電池が形成され貴金属の溶出が抑制できる点で非貴金属粉の表面の一部が露出することが必要とされる。特に貴金属が銀である場合、銅、ニッケル等の非貴金属粉を組み合わせて用いることにより、銀のマイグレーション性が改善され優れた効果を示すので好ましい。また被覆量は7〜25重量%が好ましく、15〜20重量%であればさらに好ましい。
【0012】
本発明でいう貴金属と非貴金属とが混在する層とは、被覆層を形成するのに使用される貴金属と基材層の非貴金属成分の両者が混合された状態にあり、本発明では貴金属と非貴金属が混在する層の厚さが、表面貴金属層の厚さに対して1/2〜1/50の場合に優れた導電性と耐マイグレーション性を示す。貴金属と非貴金属が混在する層の厚さが表面貴金属層の厚さの1/2を超えるか又は1/50未満の場合は導電性が著しく悪化する傾向がある。貴金属と非貴金属が混在する層の厚さは、表面貴金属層の厚さに対して1/2〜1/40であることがより好ましく、1/2〜1/30であることがさらに好ましい。
表面貴金属層の厚さ及び貴金属と非貴金属とが混在する層の厚さは、それぞれ無作為に導電性金属複合粉の粒子を5個以上取り出し、イオンスパッタリングで表面を削っていくと同時に元素定量分析するオージェ分光分析装置などを用いて1個の粒子について3点以上測定し、それぞれの厚さについての平均値を求め、この平均値をそれぞれの厚さと決定する。
【0013】
本発明で用いられる導電性金属複合粉の貴金属と非貴金属とが混在する層は、貴金属80〜20原子数%に対し非貴金属20〜80原子数%を含むものであることが、優れた導電性と耐マイグレーション性を示す点で好ましい。
また、本発明で用いられる導電性金属複合粉は、ペースト化し、さらにスクリーン印刷して使用する場合、表面貴金属層の厚さが、0.01〜0.2μmであることが、導電性と耐マイグレーション性に優れるので好ましい。厚さが0.01μm未満であると導電性が悪くなる傾向があり、厚さが0.2μmを超えると耐マイグレーション性が悪くなる傾向がある。
【0014】
本発明で用いられる導電性金属複合粉において、偏平状非貴金属粉の長径/厚さが、2〜30であることが、優れた導電性と耐酸化性を示す点で好ましく、5〜20であることがより好ましく、7〜15であることがさらに好ましい。偏平状非貴金属粉の長径/厚さが2未満であると粉同士の接触がほとんど点接触となるため高抵抗となる傾向があり、30を超えると貴金属を30重量%被覆しても全表面積の50%以上が被覆されたものを作製することが困難となり、導電性ペーストを基板などに塗布して加熱処理したとき、下地の非貴金属粉が酸化し導電性が悪化する傾向がある。
なお、長径については絶対値で100μm以下が好ましく、50μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることがさらに好ましい。導電性金属複合粉の長径/厚さは、走査型電子顕微鏡を用いて導電性金属複合粉のSEM写真をとり、この中から無作為に導電性金属複合粉の粒子を30個以上選び、それの長径/厚さを測定し、その平均値を求め、この平均値を導電性金属複合粉の長径/厚さとする。
【0015】
導電性金属複合粉の製造法について、基材となる非貴金属粉の平均粒径や形状については特に制限はない。また貴金属の被覆方法についても既述したように特に制限はないが、コストと特性のバランスの点から、レーザー法、沈降法等の一般的な粒度分布測定法で求めた平均粒径が1〜30μm以下の銅粉に銀をめっき又は蒸着する方法が好ましい。
【0016】
導電性金属複合粉は、非貴金属粉の表面に貴金属を被覆した後、メカニカルアロイング装置、乾式ボールミリング装置、ロール等による圧縮装置又は高速で固い物質に粉体を吹き付ける装置等を用いて機械的エネルギーを加えるか、非貴金属粉及び貴金属粉の混合粉体に上記に示すような機械的エネルギーを加えることにより製造することができる。
貴金属で表面が被覆された非貴金属粉に機械的エネルギーを加えるか、非貴金属粉及び貴金属粉の混合粉体に上記に示すような機械的エネルギーを加えることにより、貴金属中又は表面貴金属層と非貴金属層との間に存在したボイド(空隙)がなくなり、これによって被覆される貴金属層が緻密化され、その導電性が高められる。また、このとき、表面貴金属層と非貴金属層との間に貴金属と非貴金属とが混在する薄い領域が形成され、これにより表面貴金属層と非貴金属層間の接触抵抗を小さくすることができる。
【0017】
本発明になる導電性ペーストは、導電性金属複合粉に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂等の有機結合剤又はガラスフリットなどの無機結合剤を加え、さらに必要に応じて、イミダゾール、アミン類等の硬化促進剤及びブチルセロソルブ、テルピネオール、エチレンカルビトール、カルビトールアセテート等の溶剤を加えて、らいかい機、ロール、ニーダ等で均一に混合して得られる。結合剤の含有量は、導電性ペーストに対して5〜30重量%が好ましく、8〜16重量%であればさらに好ましい。硬化促進剤及び溶剤は必要に応じて添加されるが、もし添加する場合その含有量は、それぞれ硬化促進剤は導電性ペーストに対して0.01〜1重量%が好ましく、0.02〜0.05重量%であることがさらに好ましい。また溶剤は導電性ペーストに対して3〜50重量%が好ましく、10〜30重量%であることがさらに好ましい。
【0018】
本発明で用いられる絶縁基材としては、各種基板、各種フィルム等が用いられ、このうち各種基板としては、紙フェノール基板、ガラスエポキシ基板、ホウロウ基板、セラミック基板等が挙げられ、また各種フィルムとしては、ポリエチレン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリイミド等フレキシブルな樹脂製のフィルムが挙げられる。また配線導体の上面に搭載される電子部品としては、抵抗素子、チップ抵抗、チップコンデンサ等が挙げられる。
なお本発明においては、上記の絶縁基材の表面やスルホールに、予め、めつき、印刷、蒸着、エッチング等の方法で導体や抵抗の一部を形成したものを用いても差し支えない。
【0019】
本発明になる導電性ペーストは、配線導体の他にスルーホール導通用、電極形成用、ジャンパ線用、EMIシールド用等の形成に用いることができ、また上記の電子部品と絶縁基材を接続する導電性接着剤、鉛レスはんだ代替材としても使用できる。
【0020】
【実施例】
以下本発明の実施例を説明する。
実施例1
平均粒径が5μmの球形銅粉(日本アトマイズ加工(株)製、商品名SF−Cu)を酸性クリーナ(日本マクダーミッド(株)製、商品名L−5B)で脱指、水洗し、水1リットルあたりAgCNを20g及びNaCNを10g含むめっき浴で球形銅粉に対して銀の量が20重量%になるように置換めっきを行い、水洗、乾燥して銀めっき銅粉を得た。
【0021】
次に、この銀めっき銅粉をMA(メカニカルアロイング)装置に投入して以下の条件で変形処理した。本装置はスクリューの回転でボールを運動させる方式であり、ボール及び被処理粉体を投入する容器の有効容積は1.1リットルである。本装置に4kgのジルコニアボール(直径10mm)と200gの銀めっき銅粉を投入し、スクリューの回転数90rpm及び容器内圧力2×10−5torrの条件で2時間回転して導電性金属複合粉(偏平状銀めっき銅粉)を得た。
【0022】
次いで走査型電子顕微鏡を用いて上記で得た導電性金属複合粉のSEM写真をとり、該導電性金属複合粉の粒子を30個選び、長径/厚さを測定したところ2〜15の範囲で平均が6であった。なお長径は、2〜30μmの範囲で平均が15μmであった。
また無作為に導電性金属複合粉の粒子を5個取り出し、走査型オージェ電子分光分析装置で貴金属及び非貴金属を定量分析して銀被覆面積について調べたところ、全表面積に対して45〜85%の範囲で平均が70%であった。
さらに無作為に導電性金属複合粉の粒子を5個取り出し、イオンスパッタリングで表面を削っていくと同時に元素定量分析する走査型オージェ電子分光分析装置で1個の粒子につき3点測定したところ、銀層の厚さは0.02〜0.15μmの範囲で平均が0.045μm及び貴金属(銀)の割合が80〜20原子数%である貴金属と非貴金属(銅)とが混在する層の厚さは0.001〜0.05μmの範囲で平均が0.01μmであり、表面貴金属層の厚さの1/20〜1/2の範囲で平均が1/4.5であった。
以下の実施例及び比較例においても上記と同様の方法で測定した。
【0023】
次に上記の導電性金属複合粉100重量部に対し、ノボラツク型フェノール樹脂(群栄化学工業(株)製、商品名PS−2607)15重量部及び溶剤としてブチルセロソルブ15重量部を加えて均一に混合して導電性ペーストを得た。
【0024】
次いで導電性ペーストを厚さが1.6mmの紙フェノール銅張積層板(日立化成工業(株)製、商品名MCL−437F)の銅箔を除去した積層板の上面に200メッシュのスクリーンを通して幅0.4mm及び長さ100mmのテストパターンを印刷し、大気中で150℃で30分の条件で加熱処理して配線導体を得た。得られた配線導体における導電性ペースト硬化物の比抵抗は平均75μΩCmであり、後述する銀ペーストと比べて遜色のない導電性を示した。
【0025】
一方上記とは別に導電性ペーストをガラス板上に幅2mmの電極を互いに2mm間隔となるように上記と同様の方法で印刷し、大気中で150℃で30分の条件で加熱処理して硬化させて電極を得た。次いで電極間に幅2mmに切断したろ紙を配置し、イオン交換水0.5ccをろ紙上に滴下して電極間に20Vの直流電圧を印加し、経過時間と電極間漏洩電流を測定することによって耐マイグレーション性を評価した。その結果、200μAの漏洩電流が流れるまでに要した時間は平均80分であり、耐マイグレーション性に優れていた。
上記における比抵抗の測定及び耐マイグレーション性の評価については5個の試料の平均値を求めた。以下の実施例及び比較例についても同じである。
【0026】
比較例1
実施例1で得た球形銀めっき銅粉を用い、偏平状への変形を省略した以外は実施例1と同様の工程を経て導電性ペーストを得た。球形銀めっき銅粉の長径/厚さは1、銀被覆面積は全表面積に対して全て95%以上、銀層の厚さは0.1〜0.15μmの範囲で平均が0.12μm及び貴金属(銀)の割合が80〜20原子数%である貴金属と非貴金属(銅)とが混在する層は明確に検知出来なかった。以下実施例1と同様の方法で特性を評価した。その結果、導電性ペースト硬化物の比抵抗は平均1200μΩCmと極めて高く、200μAの漏洩電流が流れるまでに要した時間は平均10分と短く、耐マイグレーション性に劣っていた。
【0027】
比較例2
平均粒径が5μmの球形銅粉(日本アトマイズ加工(株)製、商品名SF−Cu)をあらかじめ長径/厚さが6になるように実施例1と同様の方法で変形し、しかる後実施例1と同様のめっき法で20重量%の銀を被覆した。この銀めっき銅粉の銀被覆面積は全表面積に対して全て85%以上、銀層の厚さは0.03〜0.2μmの範囲で平均が0.08μm、貴金属(銀)の割合が80〜20原子数%である貴金属と非貴金属(銅)とが混在する層は明確に検知出来なかった。以下実施例1と同様の工程を経て導電性ペーストを作製して特性を評価した。その結果、導電性ペースト硬化物の比抵抗は800μΩCmと高く、200μAの漏洩電流が流れるまでに要した時間は10分と短く、耐マイグレーション性に劣っていた。
【0028】
比較例3
実施例1で用いた導電性金属複合粉に代えて長径/厚さが平均30の銀粉(徳力化学研究所製、商品名TCG−1)を用いた以外は実施例1と同様の工程を経て導電性ペーストを作製して特性を評価した。その結果、導電性ペースト硬化物の比抵抗は平均80μΩCmであったが、200μAの漏洩電流が流れるまでに要した時間は平均30秒と極めて短く、耐マイグレーション性に劣っていた。
【0029】
比較例4
市販のEMIシールド用銅ペーストを用いて実施例1と同様の特性を評価した。その結果、導電性ペースト硬化物の比抵抗は平均500μΩCmと高く、200μAの漏洩電流が流れるまでに要した時間は平均45分であった。
【0030】
実施例2
平均粒径が6μmの球形銅粉(日本アトマイズ加工(株)製、商品名SF−Cu)に実施例1と同様のめっき法で30重量%の銀を被覆して銀めっき銅粉を得、その後のMA装置での処理時間を1時間とした以外は実施例1と同様の工程を経て導電性金属複合粉を得た。得られた導電性金属複合粉の粒子の長径は3〜15μmの範囲で平均が7μmであり、また長径/厚さは2〜9の範囲で平均が2.5、銀被覆面積は全表面積に対して75〜100%の範囲で平均が95%、銀層の厚さは0.05〜0.2μmの範囲で平均が0.1μm及び貴金属(銀)の割合が80〜20原子数%である貴金属と非貴金属(銅)とが混在する層の厚さは0.001〜0.01μmの範囲で平均が0.006μmであり、表面貴金属層の厚さの1/50〜1/8の範囲で平均が1/16.7であった。以下実施例1と同様の工程を経て導電性ペーストを作製して特性を評価した。その結果、導電性ペースト硬化物の比抵抗は平均80μΩCm及び200μAの漏洩電流が流れるまでに要した時間は平均40分であった。
【0031】
実施例3
平均粒径が6μmの球形銅粉(日本アトマイズ加工(株)製、商品名SF−Cu)に実施例1と同様のめっき法で10重量%の銀を被覆した以外は実施例1と同様の工程を経て導電性金属複合粉を得た。得られた導電性金属複合粉の粒子の長径は2〜30μmの範囲で平均が15μmであり、また長径/厚さは2〜15の範囲で平均が6、銀被覆面積は全表面積に対して30〜70%の範囲で平均が51%、銀層の厚さは0.01〜0.03μmの範囲で平均が0.02μm及び貴金属(銀)の割合が80〜20原子数%である貴金属と非貴金属(銅)とが混在する層の厚さは0.001〜0.02μmの範囲で平均が0.01μmであり、表面貴金属層の厚さの1/10〜2/3の範囲で平均が1/2であった。以下実施例1と同様の工程を経て導電性ペーストを作製して特性を評価した。その結果、導電性ペースト硬化物の比抵抗は平均135μΩCm及び200μAの漏洩電流が流れるまでに要した時間は平均60分であった。
【0032】
実施例4
平均粒径が6μmの球形銅粉(日本アトマイズ加工(株)製、商品名SF−Cu)に実施例1と同様のめっき法で2重量%の銀を被覆して銀めっき銅粉を得、その後のMA装置での処理時間を1時間とした以外は実施例1と同様の工程を経て導電性金属複合粉を得た。得られた導電性金属複合粉の粒子の長径は2〜20μmの範囲で平均が9μmであり、また長径/厚さは2〜13の範囲で平均が4、銀被覆面積は全表面積に対して15〜70%の範囲で平均が55%、銀層の厚さは0.0001〜0.02μmの範囲で平均が0.01μm及び貴金属(銀)の割合が80〜20原子数%である貴金属と非貴金属(銅)とが混在する層の厚さは0.0001〜0.003μmの範囲で平均が0.002μmであり、表面貴金属層の厚さの1/15〜1の範囲で平均が1/5であった。以下実施例1と同様の工程を経て導電性ペーストを作製して特性を評価した。その結果、導電性ペースト硬化物の比抵抗は平均110μΩCm及び200μAの漏洩電流が流れるまでに要した時間は平均100分であった。
【0033】
比較例5
平均粒径が6μmの球形銅粉(日本アトマイズ加工(株)製、商品名SF−Cu)に実施例1と同様のめっき法で1.5重量%の銀を被覆した以外は実施例1と同様の工程を経て導電性金属複合粉を得た。得られた導電性金属複合粉の粒子の長径は2〜30μmの範囲で平均が15μmであり、また長径/厚さは4〜18の範囲で平均が6、銀被覆面積は全表面積に対して5〜35%の範囲で平均が20%、銀層の厚さは0.00005〜0.005μmの範囲で平均が0.003μm及び貴金属(銀)の割合が80〜20原子数%である貴金属と非貴金属(銅)とが混在する層の厚さは0.00005〜0.005μmの範囲で平均が0.003μmであり、表面貴金属層の厚さの1/2〜1の範囲で平均が4/5であった。以下実施例1と同様の工程を経て導電性ペーストを作製して特性を評価した。その結果、導電性ペースト硬化物の比抵抗は平均450μΩCmと高く、200μAの漏洩電流が流れるまでに要した時間は平均90分であった。
【0034】
比較例6
平均粒径が6μmの球形銅粉(日本アトマイズ加工(株)製、商品名SF−Cu)に実施例1と同様のめっき法で35重量%の銀を被覆した以外は実施例1と同様の工程を経て導電性金属複合粉を得た。得られた導電性金属複合粉の粒子の長径は2〜25μmの範囲で平均が10μmであり、また長径/厚さは3〜20の範囲で平均が5、銀被覆面積は全表面積に対して65〜95%の範囲で平均が80%、銀層の厚さは0.03〜0.2μmの範囲で平均が0.06μm及び貴金属(銀)の割合が80〜20原子数%である貴金属と非貴金属(銅)とが混在する層の厚さは0.0001〜0.003μmの範囲で平均が0.001μmであり、表面貴金属層の厚さの1/500〜1/50の範囲で平均が1/60であった。以下実施例1と同様の工程を経て導電性ペーストを作製して特性を評価した。その結果、導電性ペースト硬化物の比抵抗は平均130μΩCm及び200μAの漏洩電流が流れるまでに要した時間は平均10分と短く耐マイグレーション性に劣っていた。
【0035】
実施例5
実施例2で得た銀めっき銅粉(銀被覆量30重量%)を2本のロール間で圧縮して粒子の長径が5〜55μmの範囲で平均が30μmであり、また長径/厚さは15〜50の範囲で平均が27の導電性金属複合粉を得た。得られた導電性金属複合粉の銀被覆面積は全表面積に対して35〜80%の範囲で平均が50%、銀層の厚さは0.002〜0.02μmの範囲で平均が0.0125μm及び貴金属(銀)の割合が80〜20原子数%である貴金属と非貴金属(銅)とが混在する層の厚さは0.0001〜0.0005μmの範囲で平均が0.00025μmであり、表面貴金属層の厚さの1/20〜1/100の範囲で平均が1/50であった。以下実施例1と同様の工程を経て導電性ペーストを作製して特性を評価した。その結果、導電性ペースト硬化物の比抵抗は平均115μΩCm及び200μAの漏洩電流が流れるまでに要した時間は平均50分であった。
【0036】
実施例6
平均粒径が5μmの球形銅粉(日本アトマイズ加工(株)製、商品名SF−Cu)を蒸着装置内の皿状容器に保持し、皿状容器を回転させながら銀の量が20重量%になるように銀の蒸着を行い銀蒸着銅粉を得た。
次にこの銀蒸着銅粉を実施例1と同様の工程を経て導電性金属複合粉を得た。得られた導電性金属複合粉の粒子の長径は3〜15μmの範囲で平均が7μmであり、また長径/厚さは2〜15の範囲で平均が6、銀被覆面積は全表面積に対して75〜100%の範囲で平均が90%、銀層の厚さは0.02〜0.18μmの範囲で平均が0.04μm及び貴金属(銀)の割合が80〜20原子数%である貴金属と非貴金属(銅)とが混在する層の厚さは0.001〜0.05μmの範囲で平均が0.015μmであり、表面貴金属層の厚さの1/20〜4/5の範囲で平均が1/2.7であった。以下実施例1と同様の工程を経て導電性ペーストを作製して特性を評価した。その結果、導電性ペースト硬化物の比抵抗は平均55μΩCm及び200μAの漏洩電流が流れるまでに要した時間は平均90分であった。
【0037】
実施例7
ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(油化シェル(株)製、商品名エピコート828)100重量部及びノボラック型フェノールホルムアルデヒド樹脂(日立化成工業(株)製、商品名HP−607N)55.8重量部を110℃で加熱混合して無溶剤の混合樹脂を得た。
次に実施例1で得た導電性金属複合粉100重量部に対し、上記で得た無溶剤の混合樹脂8重量部及び硬化促進剤としてベンジルジメチルアミン0.04重量部を加えて均一に混合して導電性ペーストを得た。以下実施例1と同様の方法で特性を評価した。その結果、導電性ペースト硬化物の比抵抗は平均85μΩCm及び200μAの漏洩電流が流れるまでに要した時間は平均80分であった。
【0038】
実施例8
平均粒径が6μmの球形銅粉(日本アトマイズ加工(株)製、商品名SF−Cu)80重量部(160g)及び平均粒径が1μmの微細球形銀粉(日本アトマイズ加工(株)製、微粉)20重量部(40g)をMA装置に投入し、以下実施例1と同様の工程を経て銀被覆量が20重量%の導電性金属複合粉を得た。得られた導電性金属複合粉の粒子の長径は2〜30μmの範囲で平均が15μmであり、また長径/厚さは2〜15の範囲で平均が6、銀被覆面積は全表面積に対して40〜65%の範囲で平均が55%、銀層の厚さは0.005〜0.1μmの範囲で平均が0.03μm及び貴金属(銀)の割合が80〜20原子数%である貴金属と非貴金属(銅)とが混在する層の厚さは0.003〜0.05μmの範囲で平均が0.01μmであり、表面貴金属層の厚さの1/10〜1/2の範囲で平均が1/5であった。以下実施例1と同様の工程を経て導電性ペーストを作製して特性を評価した。その結果、導電性ペースト硬化物の比抵抗は平均140μΩCm及び200μAの漏洩電流が流れるまでに要した時間は平均40分であった。
【0039】
実施例9
平均粒径が2.0μmの微細球形銅粉(日本アトマイズ加工(株)製、試作品)80重量部(160g)及び実施例8で用いた微細球形銀粉20重量部(40g)を配合し、以下直径が5mmのジルコニアボールを用いた以外は実施例1と同様の工程を経て銀被覆量が20重量%の導電性金属複合粉を得た。得られた導電性金属複合粉の粒子の長径は5〜20μmの範囲で平均が10μmであり、また長径/厚さは2〜20の範囲で平均が5、銀被覆面積は全表面積に対して40〜60%の範囲で平均が52%、銀層の厚さは0.005〜0.07μmの範囲で平均が0.03μm及び貴金属(銀)の割合が80〜20原子数%である貴金属と非貴金属(銅)とが混在する層の厚さは0.01〜0.05μmの範囲で平均が0.015μmであり、表面貴金属層の厚さの1/7〜2/3の範囲で平均が1/2であった。以下実施例1と同様の工程を経て導電性ペーストを作製して特性を評価した。その結果、導電性ペースト硬化物の比抵抗は平均130μΩCm及び200μAの漏洩電流が流れるまでに要した時間は平均30分であった。
【0040】
実施例10
実施例8で得た導電性金属複合粉50重量%及び比較例3で用いた銀粉50重量%をV型混合機で均一に混合した混合粉体100重量部に対し、ノボラック型フェノール樹脂(群栄化学工業(株)製、商品名PS−2607)12重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、商品名エピコート828)2重量部及び溶剤としてブチルセロソルブ15重量部を加えて均一に混合して導電性ペーストを作製して特性を評価した。その結果、導電性ペースト硬化物の比抵抗は平均70μΩCm及び200μAの漏洩電流が流れるまでに要した時間は平均15分であった。
【0041】
実施例11
平均粒径が25μmの球形銅粉(日本アトマイズ加工(株)製、商品名SF−Cuから分級して得た)50重量部(100g)及び実施例8で用いた微細球形銀粉50重量部(100g)を配合した以外は、実施例1と同様の工程を経て銀被覆量が30重量%の導電性金属複合粉を得た。得られた導電性金属複合粉の粒子の長径は2〜30μmの範囲で平均が15μmであり、また長径/厚さは2〜15の範囲で平均が6、銀被覆面積は全表面積に対して45〜75%の範囲で平均が65%、銀層の厚さは0.01〜0.2μmの範囲で平均が0.05μm及び貴金属(銀)の割合が80〜20原子数%である貴金属と非貴金属(銅)とが混在する層の厚さは0.01〜0.06μmの範囲で平均が0.02μmであり、表面貴金属層の厚さの1/5〜1/2の範囲で平均が1/3であった。以下実施例1と同様の工程を経て導電性ペーストを作製して特性を評価した。その結果、導電性ペースト硬化物の比抵抗は平均60μΩCm及び200μAの漏洩電流が流れるまでに要した時間は平均10分であった。
【0042】
実施例12
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、商品名エピナール834)60重量部及びビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、商品名エピナール828)40重量部を予め加温溶解させ、次いで室温(20℃)に冷却した後、2エチル4メチルイミダゾール5重量部、エチルカルビトール20重量部及びブチルセロソルブ20重量部を加えて均一に混合して樹脂組成物とした。
【0043】
平均粒径が7.2μmの球形銅粉(日本アトマイズ加工(株)製、商品名SF−Cu)を希塩酸中に浸漬し、純水で洗浄した後、AgCN80g/水1kgの混合液中で25±5℃で20分間撹拌しながら銀を置換めっきし、水洗、乾燥して銀めっき銅粉を得た。
【0044】
次いで2リットルボールミル容器内に上記で得た銀めっき銅粉400gと直径が5mmのジルコニアボール3kgを投入し、毎分60回転の条件で30分間回転させて該銀めっき銅粉を変形処理して導電性金属複合粉を得た。得られた導電性金属複合粉の粒子の長径は2〜24μmの範囲で平均が11.5μmであり、また長径/厚さは3〜14の範囲で平均が9、銀被覆面積は全表面積に対して60〜85%の範囲で平均が75%であった。
この後上記で得た樹脂組成物145gに上記で得た導電性金属複合粉215gを加えてらいかい機及び三本ロールで均一に混合分散して導電性ペーストを得た。なお導電性金属複合粉の含有量は、導電性ペーストの固形分に対して60重量%であった。
【0045】
次に上記で得た導電性ペーストで、厚さが1.6mmで直径が0.8mmのスルーホールを形成した紙フェノール銅張積層板(日立化成工業(株)製、商品名MCL−437F)に図1に示すテストパターンを印刷すると共に、これをスルーホール1に充填したものを大気中で60℃、30分間さらに160℃、30分間の条件で加熱処理して配線導体3を得た。なお図1において2は紙フェノール銅張積層板である。
【0046】
得られた配線導体の抵抗を測定した結果、銅箔の抵抗を除いたスルーホール1の抵抗は54穴の平均で22mΩ/穴であり、平面に印刷して測定した比抵抗は95μΩcmであった。また、隣り合うスルーホール1間の絶縁抵抗は10Ω以上であった。該配線導体の冷熱衝撃試験を実施した結果、スルーホール1の抵抗は平均で26.2mΩ/穴であった。また該配線導体の湿中負荷試験を実施した結果、スルーホール1間の絶縁抵抗は10Ω以上であった。なお、冷熱衝撃試験は125℃、30分〜−65℃、30分を100サイクル行い、湿中負荷試験は40℃、90%RH中、隣り合うライン間に50Vの電圧を印加して2000時間保持した。さらに耐はんだ試験(260℃、10秒、5回)を行ったが、抵抗変化率は30%以内であった。
【0047】
実施例13
実施例12で得た銀めっき銅粉250gと直径が5mmのジルコニアボール5kgを円筒状の2リットル容器内に投入し、振動ミルで10分間振動させ、該銀めっき銅粉を変形処理して導電性金属複合粉を得た。得られた導電性金属複合粉の粒子の長径は3〜25μmの範囲で平均が11.5μmであり、また長径/厚さは2〜12の範囲で平均が7、銀被覆面積は全表面積に対して60〜85%の範囲で平均が70%であった。
この後実施例12で得た樹脂組成物145gに上記で得た導電性金属複合粉240gを加え、以下実施例12と同様の工程を経て導電性ペーストを得た。なお導電性金属複合粉の含有量は、導電性ペーストの固形分に対して63重量%であった。
【0048】
以下実施例12と同様の工程を経て配線導体を作製して特性を評価した。その結果、スルーホールの抵抗は54穴の平均で21.5mΩ/穴であり、平面に印刷して測定した比抵抗は102μΩcmであった。また、隣り合うスルーホール間の絶縁抵抗は10Ω以上であった。該配線導体の冷熱衝撃試験を実施した結果、スルーホールの抵抗は平均で24.5mΩ/穴であり、湿中負荷試験の結果では、スルーホール間の絶縁抵抗は10Ω以上であった。さらに実施例12と同様の耐はんだ試験を行ったが、抵抗変化率は30%以内であった。
【0049】
比較例7
実施例12で得た樹脂組成物145gに実施例12で得た銀めっき銅粉195gを加え、以下実施例12と同様の工程を経て導電性ペーストを得た。なお銀被覆面積は全表面積に対して93〜99%の範囲で平均が97%であった。また導電性金属複合粉の含有量は、導電性ペーストの固形分に対して57重量%であった。
【0050】
以下実施例12と同様の工程を経て配線導体を作製して特性を評価した。その結果、スルーホールの抵抗は54穴の平均で228mΩ/穴であり、平面に印刷して測定した比抵抗は350μΩcmであり、隣り合うスルーホール間の絶縁抵抗は10Ω以上であった。また該配線導体の冷熱衝撃試験を実施した結果、スルーホールの抵抗は平均で251mΩ/穴であり、湿中負荷試験の結果では、スルーホール間の絶縁抵抗は10Ω以上であった。さらに実施例12と同様の耐はんだ試験を行ったところ、抵抗変化率は200%であった。
【0051】
実施例14
実施例12で得た樹脂組成物145gに実施例12で得た導電性金属複合粉195gを加えてらいかい機及び三本ロールで均一に混合分散して導電性ペーストを得た。なお導電性金属複合粉の含有量は、導電性ペーストの固形分に対して66.1重量%であった。
次に上記で得た導電性ペーストで、厚さが1.6mmの紙フェノール銅張積層板(日立化成工業(株)製、商品名MCL−437F)に図2に示すテストパターンを印刷し、これを大気中で60℃、30分間さらに160℃、30分間の条件で加熱処理して配線導体3を形成した電磁波シールド材を得た。得られた電磁波シールド材の抵抗を測定した。その結果、比抵抗は35μΩCmであり、シート抵抗は13mΩ/□であった。また、冷熱試験を125℃、30分〜−65℃、30分を100サイクルの条件で行うと共に耐はんだ試験(260℃、10秒、5回)を行ったが、ともに抵抗変化率は10%以内であった。また、60℃、95%相対湿度で1000時間保持した場合の抵抗変化率も10%以内であった。
【0052】
実施例15
実施例1で得た導電性金属複合粉100重量部に対し、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(油化シェル(株)製、商品名エピコート828)10重量部、硬化剤としてイミダゾール0.3重量部及び溶剤としてブチルセロソルブ5重量部を加えて均一に混合して導電性ペーストを得た。以下実施例1と同様の方法で特性を評価した。その結果、導電性ペースト硬化物の比抵抗は平均90μΩCm及び200μAの漏洩電流が流れるまでに要した時間は平均80分であった。
一方上記とは別に導電性ペーストを厚さが1.6mmの紙フェノール銅張積層板(日立化成工業(株)製、商品名MCL−437F)の銅箔を除去した積層板の上面に4×4mmの寸法で、かつ160μmの厚さのテストパターンを印刷し、次いでその上面に寸法が5×5mmのチップコンデンサ(電子部品)を搭載して処理した。圧着後の導電性ペースト硬化物の比抵抗は平均30μΩCmであった。またチップコンデンサの接着強度は、電子部品の接着強度として十分な1.5kg/1チップであった。
【0053】
【発明の効果】
請求項1記載の導電性ペーストは、高導電性で、導電性とマイグレーション性に優れる。
請求項2記載の導電性ペーストは、請求項1記載の導電性ペーストの効果を奏し、特に耐マイグレーション性に優れる。
請求項3記載の導電性ペーストは、請求項1記載の導電性ペーストの効果を奏し、特に導電性と耐マイグレーション性に優れる。
請求項4記載の導電性ペーストは、請求項1記載の導電性ペーストの効果を奏し、特に導電性に優れる。
請求項5記載の方法により、導電性ペーストを安価に製造することができ、得られる導電性ペーストは、高導電性で、耐マイグレーション性に優れる。
請求項6記載の方法により導電性ペーストを安価に製造することができ、得られる導電性ペーストは、高導電性で、耐マイグレーション性に優れる。
請求項7記載の電気回路装置は、鉛レス、はんだ代替材として電子部品との接着性に優れる。
請求項8記載の方法により得られる電気回路装置は、鉛レス、はんだ代替材として電子部品を接着することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】紙フェノール銅張積層板に導電性ペーストを印刷すると共にスルーホールに充填した状態を示す平面図である。
【図2】紙フェノール銅張積層板に導電性ペーストを印刷した電磁波シールド材の平面図である。
【符号の説明】
1 スルーホール
2 紙フェノール銅張積層板
3 配線導体

Claims (8)

  1. 偏平状非貴金属粉の表面の一部を露出させて全表面積の50%以上が、該偏平状非貴金属粉に対して2〜30重量%の貴金属で被覆され、かつ表面貴金属層と非貴金属層との間に貴金属と非貴金属とが混在する層を介在した導電性金属複合粉及び結合剤を含有してなる導電性ペーストであって、貴金属と非貴金属とが混在する層が、表面貴金属層の厚さの1/2〜1/50である導電性ペースト。
  2. 貴金属と非貴金属とが混在する層が、貴金属が80〜20原子数%に対し非貴金属が20〜80原子数%である請求項1記載の導電性ペースト。
  3. 表面貴金属層の厚さが、0.01〜0.2μmである請求項1又は2記載の導電性ペースト。
  4. 導電性金属複合粉の長径/厚さが、2〜30である請求項1、2、又は3記載の導電性ペースト。
  5. 非貴金属粉の表面の一部を露出させて全表面積の50%以上に、該非貴金属粉に対して2〜30重量%の貴金属を被覆した後、機械的エネルギーを加えて、偏平状の変形及び表面貴金属層と非貴金属層との間に、貴金属と非貴金属とが混在する層の形成を行った後、結合剤を加えて均一に混合することを特徴とする導電性ペーストの製造法。
  6. 非貴金属粉及び貴金属粉の混合粉体に機械的エネルギーを加えて、該混合粉体を偏平状に変形しながら該非貴金属粉の表面の一部を露出させて全表面積の50%以上に、該非貴金属粉に対して2〜30重量%の貴金属を被覆し、かつ表面貴金属層と非貴金属層との間に、貴金属と非貴金属とが混在する層の形成を行った後、結合剤を加えて均一に混合することを特徴とする導電性ペーストの製造法。
  7. 絶縁基材上に請求項1、2、3、又は4記載の導電性ペーストにより配線導体が形成され、その上面に電子部品が搭載された電気回路装置。
  8. 絶縁基材上に請求項1、2、3、又は4記載の導電性ペーストを塗布、印刷又はポッティングして配線導体を形成し、次いで配線導体の上面に、電子部品を搭載することを特徴とする電気回路装置の製造法。
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