JP3598057B2 - 積層型圧電素子および噴射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層型圧電素子および噴射装置に関し、例えば、自動車用燃料噴射装置、光学装置等の精密位置決め装置や振動防止用の駆動素子等に用いられる積層型圧電素子および噴射装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来より、積層型圧電素子としては、圧電体と内部電極を交互に積層した積層型圧電アクチュエータが知られている。積層型圧電アクチュエータには、同時焼成タイプと、圧電磁器と内部電極板を交互に積層したスタックタイプの2種類に分類されており、低電圧化、製造コスト低減の面から考慮すると、同時焼成タイプの積層型圧電アクチュエータが薄層化に対して有利であるために、その優位性を示しつつある。
【0003】
図6は、従来の積層型圧電アクチュエータを示すもので、このアクチュエータでは、圧電体51と内部電極52が交互に積層されて柱状積層体53が形成され、その積層方向における最外層は不活性層55とされている。内部電極52は、その一方の端部が左右交互に絶縁体61で被覆され、その上から帯状外部電極70が内部電極52と左右各々一層おきに導通するように形成されている。帯状外部電極70上には、さらにリード線76が半田77により固定されている。
【0004】
ところで、近年においては、小型の圧電アクチュエータで大きな圧力下において大きな変位量を確保するため、より高い電界を印加し、長期間連続駆動させることが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した圧電アクチュエータでは、高電界、高圧力下で長期間連続駆動させた場合、圧電体間に形成された内部電極と正極、負極用の外部電極との間で剥離が発生し、一部の圧電体に電圧供給されなくなり、駆動中に変位特性が変化するという問題があった。
【0006】
例えば、特開平4−237172号公報には、アクチュエータ本体の側面に露出した内部電極の端部が、一層おきにガラスからなる絶縁層で被覆され、内部電極とその上下の圧電体が強固に接合されており、この絶縁層が外部電極の凹部内に収容されて、外部電極と内部電極との絶縁性が確保された積層型圧電アクチュエータが開示されているが、このような圧電アクチュエータでは、高電界、高圧力下で長期間連続駆動させた場合、ガラスからなる絶縁層に割れが生じ、この割れを介して内部電極と外部電極との間でショートが発生し、一部の圧電体に電圧が供給されなくなり、駆動中に変位特性が変化するという問題があった。
【0007】
即ち、アクチュエータ本体は、圧電体と内部電極との積層方向に伸縮するため、内部電極の端部およびその近傍の圧電体に設けられた高ヤング率のガラスからなる絶縁層が、長期間連続駆動による伸縮動作に耐えきれずに破壊され、この破壊部分を介して内部電極と外部電極間でショートが発生し易いという問題があった。
【0008】
本発明は、高電界、高圧力下で長期間連続駆動させた場合でも、外部電極と内部電極とが断線することがなく、耐久性に優れた積層型圧電素子および噴射装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層型圧電素子は、複数の圧電体と複数の内部電極とを交互に積層して形成された柱状積層体と、該柱状積層体の側面に設けられ、前記内部電極が一層おきに交互に接続された一対の外部電極とを具備してなる積層型圧電素子であって、前記外部電極がコイル状弾性部材からなるものである。
【0010】
本発明の積層型圧電素子では、外部電極をコイル状弾性部材で形成しているため、高電界、高圧力下で長期間連続駆動させた場合でも、コイル状弾性部材からなる外部電極がアクチュエータの伸縮に追従し、外部電極と内部電極とが断線するといった問題が生じるのを防ぐことができ、耐久性を大幅に向上できる。
【0011】
ここで、コイル状弾性部材からなる外部電極の積層方向の繰り返し周期が、圧電体厚みと内部電極厚みの和の2倍とほぼ等しいことが望ましい。この場合には、コイル状弾性部材からなる外部電極と、一層おきに同一の極となる内部電極との接点が確実に形成され、外部電極と内部電極とを電気的に確実に接続することができる。
【0012】
また、本発明では、外部電極が複数個のコイル状弾性部材からなることが望ましい。この場合には、コイル状弾性部材からなる外部電極と内部電極との接点数を増やすことができ、アクチュエータに大電流を投入し、高速で駆動させる場合においても、該外部電極と内部電極の間の接点不良を防ぐことができ、高信頼性のアクチュエータを提供することができる。
【0013】
さらに、本発明では、柱状積層体が多角柱状であり、コイル状弾性部材からなる外部電極の内部電極が接続される部分に平坦部を有することが望ましい。この場合には、コイル状弾性部材の平坦部と、柱状積層体の側面に露出した内部電極との接続面積が増加し、アクチュエータを連続で高速駆動する場合にも、該外部電極と内部電極とを確実に接続できる。
【0014】
さらに本発明では、コイル状弾性部材からなる外部電極が、積層方向に対して傾斜した状態で柱状積層体に設けられていることが望ましい。この場合には、外部電極の積層方向に垂直な断面積を小さくすることができ、外部電極の体積を小さくすることができ、小型の積層型圧電素子を得ることができる。
【0015】
本発明の噴射装置は、噴射孔を有する収納容器と、該収納容器内に収容された上記積層型圧電素子と、該積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔から液体を噴出させるバルブとを具備するものである。
【0016】
このような噴射装置では、上記したように、積層型圧電素子自体において外部電極と内部電極との断線を防止でき、耐久性を大幅に向上できるため、噴射装置の耐久性をも向上できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の積層型圧電アクチュエータからなる積層型圧電素子の一実施例を示すもので、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A線に沿った縦断面図である。
【0018】
積層型圧電アクチュエータは、図1に示すように、複数の圧電体1と複数の内部電極2とを交互に積層してなる四角柱状の柱状積層体1aの側面において、内部電極2の端部を一層おきに絶縁体3で被覆し、絶縁体3で被覆していない内部電極2の端部をコイル状弾性部材からなる外部電極4の各々に接続し、各外部電極4にリード線6を接続固定して構成されている。
【0019】
圧電体1は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)O3(以下PZTと略す)、或いはチタン酸バリウムBaTiO3を主成分とする圧電セラミック材料等で形成されている。この圧電セラミックスは、その圧電特性を示す圧電歪み定数d33が高いものが望ましい。
【0020】
また、圧電体1の厚み、つまり内部電極2間の距離は50〜250μmが望ましい。これは、積層型圧電アクチュエータは電圧を印加してより大きな変位量を得るために、積層数を増加させる方法がとられるが、積層数を増加させた場合に圧電体1の厚みが厚すぎるとアクチュエータの小型化、低背化ができなくなり、一方、圧電体1の厚みが薄すぎると絶縁破壊しやすいからである。
【0021】
圧電体1の間には内部電極2が配されているが、この内部電極2は銀−パラジウム等の金属材料で形成されており、各圧電体1に所定の電圧を印加し、圧電体1に逆圧電効果による変位を起こさせる作用をなす。
【0022】
複数の圧電体1と複数の内部電極2とを交互に積層して成る柱状積層体1aは、先ず、PZT等の圧電セラミックスの仮焼粉末と、アクリル系、ブチラール系等の有機高分子から成るバインダーと、DBP(フタル酸ジオチル)、DOP(フタル酸ジブチル)等の可塑剤とを混合してスラリーを作製し、該スラリーを周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等のテープ成型法により圧電体1となるセラミックグリーンシートを作製する。
【0023】
次に、銀−パラジウム粉末にバインダー、可塑剤等を添加混合して導電性ペーストを作製し、これを前記各グリーンシートの上面にスクリーン印刷等によって1〜40μmの厚みに印刷する。
【0024】
そして、最後に上面に導電性ペーストが印刷されたグリーンシートを積層し、この積層体について所定の温度で脱バインダーを行った後、900〜1200℃で焼成することによって作製される。
【0025】
さらに、焼成後には柱状積層体1aのすべての側面に内部電極2が露出しているが、少なくとも一つの側面において、内部電極2の端部を含む圧電体1の端面に一層おきに深さ50〜500μm、積層方向の幅30〜200μmの溝が形成されており、該溝内にガラス、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーンゴム等が充填されて絶縁体3が形成されている。
【0026】
この絶縁体3により、柱状積層体1aの対向する側面において、内部電極2の端部が互い違いに一層おきに絶縁され、内部電極2の絶縁されていない他方の端部は、後述の正極及び負極を成すコイル状弾性部材からなる一対の外部電極4に接続されている。
【0027】
なお、絶縁体3は、柱状積層体1aとの接合を強固とするために、柱状積層体1aの変位に対して追従する弾性率が低い材料、具体的にはシリコーンゴム等からなることが好適である。
【0028】
柱状積層体1aの対向する側面にはそれぞれコイル状弾性部材からなる外部電極4が接続固定されており、該外部電極4には、積層されている内部電極2が一層おきに電気的に接続されている。このコイル状弾性部材からなる外部電極4は、接続されている各内部電極2に圧電体1を逆圧電効果により変位させるに必要な電圧を共通に供給する作用をなす。コイル状弾性部材からなる外部電極4の隙間に、外部電極を埋設するように、弾性率が低い材料、例えばシリコーンゴム等を充填することが望ましい。
【0029】
このように外部電極4がコイル状弾性部材にて形成されているため、アクチュエータを高電界、高圧力下で長期間連続駆動させた場合でも、コイル状弾性部材からなる外部電極4がアクチュエータの伸縮に追従し、該外部電極4と内部電極2とが断線するといった問題が生じるのを防ぐことができ、耐久性に優れたのアクチュエータを提供することができる。
【0030】
外部電極4は、Ag、Ni、Cu、Al、W、Mo、ステンレス、Fe−Ni−Co合金等の導電性を備え、弾性を備えた金属材料からなり、このうち、耐酸化性が良好で、導電性が良いという点から、Ag、Ni、ステンレスが望ましく、また、外部電極4を形成する線材の線径は低抵抗であり、且つ、全体として伸縮性に富むという点から、50〜500μm程度であることが望ましい。
【0031】
外部電極4は、外部からの挟持力により柱状積層体1a側面に押し当てられた状態で内部電極2と接続しても、また、導電性接着剤や導電性ペースト、半田等によって内部電極2と接続固定しても構わない。
【0032】
また、外部電極4を接続する内部電極2の露出した柱状積層体1aの側面に、蒸着、スパッタリング、メッキ等で、薄膜の低抵抗部を予め形成しておいても良い。
【0033】
さらに、外部電極4にはリード線6が半田により接続固定されている。このリード線6は外部電極4を外部の電圧供給部に接続する作用をなす。
【0034】
また、本発明では、コイル状弾性部材からなる外部電極4の積層方向の繰り返し周期が、圧電体1の厚みと内部電極2の厚みの和の2倍とほぼ等しくしている。言い換えれば、外部電極4の繰り返し周期を、一層おきに露出している同一極の内部電極2間の距離にほぼ等しくしている。
【0035】
これは、外部電極4の積層方向の繰り返し周期を、圧電体1の厚みと内部電極2の厚みの和の約2倍と等しくしておくことにより、柱状積層体1a側面に一層おきに露出する同一極の内部電極2端部の繰り返し周期と等しくなり、外部電極4と内部電極2との接続を確実なものとすることができる。
【0036】
そして、リード線6を介して一対の外部電極4に0.1〜3kV/mmの直流電圧を印加し、柱状積層体1aを分極処理することによって、製品としての積層型圧電アクチュエータが完成し、リード線6を外部の電圧供給部に接続し、リード線6及び外部電極4を介して内部電極2に電圧を印加させれば、各圧電体1は逆圧電効果によって大きく変位し、これによって例えばエンジンに燃料を噴射供給する自動車用燃料噴射弁として機能する。
【0037】
以上のように構成された積層型圧電アクチュエータでは、外部電極4がコイル状弾性部材により形成されているため、該外部電極4がアクチュエータの伸縮に十分追従することができ、外部電極4と内部電極2との間に応力が生じ、外部電極4と内部電極2との間でスパークが生じるといった問題を防ぐことができ、高信頼性のアクチュエータを提供することができる。
【0038】
さらに、本発明では、図2に示すように、正極、負極とも2個のコイル状弾性部材によって外部電極4を形成しても良い。この場合には、コイル状弾性部材からなる外部電極4と内部電極2との接点数を増やすことができ、アクチュエータを高速で駆動させる場合においても外部電極4と内部電極2との接点不良や断線といった問題が生じるのを防ぐことができる。
【0039】
また、本発明では、図3に示すように、コイル状弾性部材からなる外部電極4の内部電極が接続される部分に平坦部4aを有することが望ましい。即ち、積層方向に垂直な断面が略四角形若しくは楕円形のコイル状弾性部材で外部電極4を形成し、その長辺部分で柱状積層体1aに露出した内部電極2と接続しても良い。この場合には、外部電極4と内部電極2との接続面積を増やすことができ、アクチュエータを高速で駆動させる場合においても、外部電極4と内部電極2との接続を確実に行うことができる。
【0040】
さらに、本発明では、図4に示すように、コイル状弾性部材からなる外部電極4が積層方向に対して傾いた状態で柱状積層体1aと接続しても良い。即ち、図1(b)の外部電極4では、コイル状弾性部材の巻回方向が積層方向に対してほぼ直角であるが、図4の外部電極は、図1(b)の外部電極4を柱状積層体1a側に押圧して巻回方向を傾斜させている。この場合には、該外部電極4の積層方向に垂直な断面積を小さくすることができ、外部電極4の体積を小さくでき、積層型圧電アクチュエータを小型化できる。尚、図4の外部電極4をさらに柱状積層体1a側に押圧して、巻回するコイル状弾性部材を柱状積層体1aに沿って形成しても良い。この場合には、さらに積層型圧電アクチュエータを小型化できる。
【0041】
本発明の積層型圧電素子はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。
【0042】
図5は、本発明の噴射装置を示すもので、図5において符号31は収納容器を示している。この収納容器31の一端には噴射孔33が設けられ、また収納容器31内には、噴射孔33を開閉することができるニードルバルブ35が収容されている。
【0043】
噴射孔33には燃料通路37が連通可能に設けられ、この燃料通路37は外部の燃料供給源に連結され、燃料通路37に常時一定の高圧で燃料が供給されている。従って、ニードルバルブ35が噴射孔33を開放すると、燃料通路37に供給されていた燃料が一定の高圧で内燃機関の図示しない燃料室内に噴出されるように形成されている。
【0044】
また、ニードルバルブ35の上端部は直径が大きくなっており、収納容器31に形成されたシリンダ39と摺動可能なピストン41となっている。そして、収納容器31内には、上記した圧電アクチュエータ43が収納されている。
【0045】
このような噴射装置では、圧電アクチュエータ43が電圧を印加されて伸長すると、ピストン41が押圧され、ニードルバルブ35が噴射孔33を閉塞し、燃料の供給が停止される。また、電圧の印加が停止されると圧電アクチュエータ43が収縮し、皿バネ45がピストン41を押し返し、噴射孔33が燃料通路37と連通して燃料の噴射が行われるようになっている。
【0046】
【実施例】
(実施例1)
まず、線径が100μmで繰り返し周期が300μm、中心径が2mmのステンレスからなるコイル状弾性部材を用いて外部電極を形成し、図1に示すような積層型圧電アクチュエータを作製した。柱状積層体の積層方向に垂直な断面は1辺長さ7mmの正方形である。
【0047】
また、圧電体は厚み147μmのPZTで形成し、内部電極は厚み3μmの銀−パラジウム合金によって形成し、圧電体及び内部電極の各々の積層数は300とした。また、柱状積層体の対向する側面の外部電極形成面において、内部電極の露出する端部には一層おきに左右交互に溝を形成し、該溝に絶縁体としてシリコーンゴムを充填した。
【0048】
フッ素樹脂からなるチューブ内に外部電極を含めた柱状積層体を挿入することにより、該チューブの狭持力により、コイル状外部電極からなる外部電極を、内部電極に当接した状態で柱状積層体の対向する側面に押圧固定した。
【0049】
その後、正極及び負極の外部電極にリード線を介して3kV/mmの直流電界を15分間印加して分極処理を行い、積層型圧電アクチュエータを得た。
【0050】
得られた積層型圧電アクチュエータに150Vの直流電圧を印加した結果、積層方向に40μmの変位量が得られた。さらに、このアクチュエータに室温で0〜+150Vの交流電圧を60Hzの周波数にて印加し駆動試験を行った結果、1×109サイクルまで駆動したところ40μmの変位量が得られ、外部電極の異常は見られなかった。表1のサンプルNo.1に記載する。
【0051】
(実施例2)
次に、外部電極の構成を表1に示すように変化させた以外は、実施例1と同様の構成の積層型圧電アクチュエータを作製した。サンプルNo.2は、中心径が1mmである以外は実施例1と同様のコイル状弾性部材を、図2に示すように正極、負極ともに2個ずつ用いて外部電極を形成したものである。サンプルNo.3は、積層方向に垂直な断面形状が略四角形である以外は実施例1と同様のコイル状弾性部材を用いて、図3に示すような外部電極を形成したものである。また、比較例のサンプルNo.4は、銀粉末をガラスに分散させたペーストにて図6に示すような外部電極を形成したものである。
【0052】
得られた積層型圧電アクチュエータに室温で200Vの交流電圧を60Hzの周波数にて印加し、駆動試験を行った。初期に得られた変位量はすべてのサンプル(No.1〜4)において50μmであった。得られた結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
サンプルNo.4の場合、外部電極がヤング率の高い銀分散のガラスペーストで形成されているために、1×104サイクルで、アクチュエータの伸縮に外部電極が追従できずに外部電極とアクチュエータの間に引っ張り応力が生じ、外部電極と内部電極との接続部においてクラックが発生し、スパークが生じてしまった。
【0055】
一方、本発明のコイル状弾性部材を用いて外部電極を形成したサンプルNo.1〜3は、外部電極がアクチュエータの伸縮に十分追従でき、高速で1×109サイクル連続駆動した場合においても変位量はほとんど減少しなかった。
【0056】
さらに、コイル状弾性部材を2個用いて外部電極を形成したサンプルNo.2及び積層方向に垂直な断面形状を略四角形にしたサンプルNo.3においては、外部電極と内部電極との接点面積が多いために、高い印加電圧で高速で1×1010サイクル連続駆動させた場合にも、外部電極と内部電極との間に接点不良が生じることなく、高信頼性を備えていることが判る。
【0057】
【発明の効果】
本発明の積層型圧電素子によれば、外部電極をコイル状弾性部材によって形成したので、外部電極が積層型圧電素子の伸縮に十分追従することができ、外部電極と内部電極の間の接点不良や、外部電極がスパークするといった問題を防ぐことができ、高信頼性を備えた積層型圧電素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型圧電アクチュエータを示すもので、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A線縦断面図である。
【図2】2つのコイル状弾性部材からなる外部電極を用いて形成した本発明の他の積層型圧電アクチュエータの斜視図である。
【図3】平坦部を有する外部電極を用いて形成した本発明のさらに他の積層型圧電アクチュエータの横断面図である。
【図4】外部電極を傾斜させた本発明のさらに他の積層型圧電アクチュエータの縦断面図である。
【図5】本発明の噴射装置を示す説明図である。
【図6】従来の積層型圧電アクチュエータの縦断面図である。
【符号の説明】
1・・・圧電体
1a・・・柱状積層体
2・・・内部電極
4・・・外部電極
4a・・・平坦部
31・・・収納容器
33・・・噴射孔
35・・・バルブ
43・・・圧電アクチュエータ
Claims (5)
- 複数の圧電体と複数の内部電極とを交互に積層して形成された柱状積層体と、該柱状積層体の側面に設けられ、前記内部電極が一層おきに交互に接続された一対の外部電極とを具備してなる積層型圧電素子であって、前記外部電極がコイル状弾性部材からなることを特徴とする積層型圧電素子。
- 外部電極が複数個のコイル状弾性部材からなることを特徴とする請求項1記載の積層型圧電素子。
- 柱状積層体が多角柱状であり、コイル状弾性部材からなる外部電極の内部電極が接続される部分に平坦部を有することを特徴とする請求項1または2記載の積層型圧電素子。
- コイル状弾性部材からなる外部電極が、積層方向に対して傾斜した状態で柱状積層体に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載の積層型圧電素子。
- 噴射孔を有する収納容器と、該収納容器内に収容された請求項1乃至4のうちいずれかに記載の積層型圧電素子と、該積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔から液体を噴出させるバルブとを具備してなることを特徴とする噴射装置。
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