JP3597995B2 - 印刷装置及びその製造方法 - Google Patents

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細なノズル孔からインクを液滴として噴射して印字、画像等を形成する印刷用の各種プリンターや記録計、ファクシミリ、あるいは捺染分野や窯業分野で文様形成等に適用されるインク噴射装置等に用いられる高精度かつ軽量小型のインクジェットヘッドを有する印刷装置及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、マルチメディアの浸透に伴い、印版が不要で少量多品種の用途に適した小型軽量の各種情報の印刷用インターフェイスとして、従来のインパクト方式の印字装置に代わって、インク噴射装置や熱転写装置等を利用したノンインパクト方式の各種印刷装置が開発され、これらの利用範囲が各種産業分野に拡大している。
【0003】
かかるノンインパクト方式の印刷装置のなかでも、前記インク噴射装置は、多階調化やカラー化が容易で、ランニングコストが低いことから将来性が注目されている。
【0004】
前記インク噴射装置には、複数のノズル孔を有するノズル板と、インクの液滴を噴射させるための圧力を発生させるインク加圧室を主要な構成部品とするインクジェットヘッドが用いられており、該インクジェットヘッドは、一般的には、前記ノズル板と、該ノズル板のノズル孔からインクの液滴を色毎に個別に噴射させるために基板に隔壁を設けて溝を形成したインク加圧室と、該インク加圧室を密閉する蓋の役割を成す上部基板等から構成されている。
【0005】
又、前記インクジェットヘッドにおいて、インク加圧室に圧力を発生させてインクの液滴を噴射する方式としては、必要なインクの液滴だけを噴射するドロップ・オン・デマンド型が主流になっており、例えば、カイザー型やサーマルジェット型が代表的な方式として採用されている。
【0006】
前記カイザー型は、隔壁で複数の平行な溝を形成したインク加圧室を密閉する上部基板の少なくとも一部に薄壁を設け、該薄壁を圧電素子等で変形させてインク加圧室の溝の容積を変化させ、インク加圧室に内圧を発生させてインクを液滴として噴射させるものである。
【0007】
又、前記サーマルジェット型は、前記インク加圧室内の一部に発熱体を設け、該インク加圧室内のインクを沸騰させた際の体積膨張を利用して内圧を発生させ、該インクを液滴として噴射させるものである。
【0008】
しかしながら、前記カイザー型は、上部基板の表面に更に圧電素子等を設ける必要があることから、インクジェットヘッドとしては小型化が困難であり、又、前記サーマルジェット型は、インクに高熱を加えるためインク自体に耐熱性が要求され、インクの選択領域を狭めたり、インクを熱膨張させるために時間を要することから、応答性が劣る等の問題があった。
【0009】
そこで、前記問題を解決するために、図6に示すような圧電材料から成る基板30上に、平行に多数配置した溝31を形成するための隔壁32と、隔壁32の側面に形成された電極33と、隔壁32の頂部に接合され、溝31を密閉する上部基板34とから成るインク加圧室35と、インク加圧室35の溝31の開放端側に、溝31と対応したノズル孔36を有するノズル板37を接合した構造を成すインクジェットヘッド38から成る剪断モード型のインク噴射装置が提案されている。
【0010】
この提案では、電極33に駆動電圧を印加し、圧電材料の剪断モード変形を利用してインク加圧室35の溝31を形成する隔壁32を歪み変形させて溝31の容積を変化させることにより、溝31中のインクを加圧し、溝31に連通したノズル孔36から、インクの液滴を噴射するものである(特開平7−276648号公報参照)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
前記提案の剪断モード型のインク噴射装置を構成するインクジェットヘッドは、従来のカイザー型やサーマルジェット型のように、上部基板表面に圧電素子等を設置させる必要がなく、又、インクに耐熱性が要求されることもないことから、小型化が可能となり、しかも応答性に優れ、高速の印刷が可能となる等、注目に値するものであった。
【0012】
しかしながら、前記剪断モード型のインク噴射装置では、インクジェットヘッド38のインク加圧室35の溝31を形成するのに、所要枚数重ねた薄い円盤状のダイヤモンドブレード等の切削具を回転しながら圧電材料から成る基板30を切削して溝31を刻設しているため、得られた溝31の端部39は、前記円盤状の切削具の曲率を転写した形状を成している。
【0013】
従って、所望の噴射性能を得るためには、隔壁を歪み変形させてインク加圧室に十分な内圧を発生させることが必要となり、十分な隔壁駆動領域を確保しなければならないことから、前記未切削分を考慮して溝を長く設ける必要があり、インクジェットヘッド自体が大きくなると共に、材料コストが増加するという課題があった。
【0014】
又、前記基板に溝を形成するに際しては、前述のような薄い円盤状のダイヤモンドブレード等の切削具を用いた加工方法では、切削条件が非常に難しく、送り速度、切り込み量、回転数等が適合しないと、ダイヤモンドブレード等の切削具自体がチッピングを起こしたりする等の課題もあった。
【0015】
更に、得られた基板の溝は、切削具の断面形状が矩形状であることから該形状に相似した矩形状を呈し、隔壁頂部の上部基板との接合面積には限度を生じる結果、上部基板を接合する際に、接着剤が多いと該接着剤が溝にはみ出し易く、インク流路の容積がばらつき、インクの噴射特性が安定しなくなり、逆に接着剤が少ないと、接着不良を起こし、各インク加圧室を完全に密閉することができないという課題があり、接着歩留りの良い、量産に適した加工法であるとは言い難いものであった。
【0016】
【発明の目的】
本発明は前記課題を解決するために成されたもので、その目的は、基板の溝幅が切削具の厚さに依存したり、溝の深さが切削具の切り込み量に依存したりせず、従来の切削具で生じる未切削部分を解消でき、しかも、隔壁の破損等の欠陥を低減でき、製造歩留りが向上すると共に、隔壁駆動領域が必要最小限の溝の長さで高精度に確保でき、その上、上部基板との接合歩留りが向上して安定したインクの噴射特性と、インクジェットヘッドの小型化及び材料コストの低減が可能となり、要求されている印字や画像、文様等のより高精細化が可能で、かつ量産に適したインクジェットヘッドから成るインク噴射装置を具備した印刷装置及びその製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題に鑑み鋭意検討した結果、剪断モード型のインク噴射装置において、上部基板を接合する隔壁の頂部の厚さが一定の範囲を確保できれば接着剤の塗布工程が容易かつ確実に行えて、十分な接着強度と高い接合信頼性が得られ、しかも、前記隔壁の成形方法を切削具を用いない、化学的処理あるいは熱処理により溶解あるいは分解して除去可能な隔壁成形型を用いた鋳込み成形法や転写法、印刷積層法等の成形方法を採用することにより、従来の加工法で残存していた曲率を有する未切削部分が不要となり隔壁駆動領域を拡大することができることから、前記溝の長さを必要最小限とすることができ、インクジェットヘッドの小型化及び高画質化が実現できることを見いだし、本発明に至った。
【0018】
即ち、本発明の印刷装置は、基板の上に複数の隔壁を一体的に設けて平行な複数の溝を形成してなるインク加圧室構成部材と、前記溝の開放端側に接合してなり、ノズル孔を有するノズル板と、前記隔壁の頂部に接合された上部基板とを具備し、前記インク加圧室構成部材と、前記ノズル板と、前記上部基板でインク加圧室を形成し、前記隔壁が圧電性を有する材料から成り、該圧電性を有する材料の剪断モードにより前記隔壁を歪み変形させて溝の容積を変化させ、該溝に供給されたインクを該溝の一端に設けた前記ノズル孔から液滴として噴射するインクジェットヘッドをインク噴射装置として具備した印刷装置であって、前記隔壁の断面形状は、少なくとも隔壁の頂部側の側面が曲線状を成し、前記隔壁の頂部の厚さが該隔壁の最小の厚さより15〜60%大であるとともに、前記隔壁の頂部と基部の各端部を結ぶ直線が該頂部の端部からの垂線と1〜3度の角度を成すことを特徴とするものである。
【0019】
とりわけ、前記隔壁の側面が全て曲線状を成すもの、曲線状とテーパー状を組み合わせたもの、又は複数の変曲点を有するものであることがより好ましく、更に、前記側面を階段状に変化させてなることが好ましい。
【0020】
又、本発明の印刷装置の製造方法は、基板の上に複数の隔壁を一体的に設けて平行な複数の溝を形成してなるインク加圧室構成部材と、前記溝の開放端側に接合してなり、ノズル孔を有するノズル板と、前記隔壁の頂部に接合された上部基板とを具備するインクジェットヘッドをインク噴射装置として具備した印刷装置の製造方法であって、焼成後に少なくとも隔壁の頂部側の側面が曲線状を成し、該隔壁の頂部の厚さが該隔壁の最小の厚さより15〜60%大となるとともに、前記隔壁の頂部と基部の各端部を結ぶ直線が該頂部の端部からの垂線と1〜3度の角度を成す凹部を形成した隔壁成形型に、圧電性を有する材料から成る隔壁形成用組成物を充填して固化させた後、化学的処理により前記隔壁成形型を除去してから脱バインダー及び焼成して隔壁と基板を一体化するか、あるいは脱バインダー又は焼成の熱処理により前記隔壁成形型を分解除去すると同時に隔壁と基板を焼成一体化してインク加圧室構成部材を作成した後、隔壁の側面に電極を形成し、次いで隔壁の頂部に上部基板を接合すると共に、溝の開放端側にノズル孔を穿設したノズル板を接合してインク噴射装置を構成するインクジェットヘッドを形成することを特徴とするものである。
【0021】
あるいは、本発明の印刷装置の他の製造方法として、基板の上に複数の隔壁を一体的に設けて平行な複数の溝を形成してなるインク加圧室構成部材と、前記溝の開放端側に接合してなり、ノズル孔を有するノズル板と、前記隔壁の頂部に接合された上部基板とを具備するインクジェットヘッドをインク噴射装置として具備した印刷装置の製造方法であって、焼成後に少なくとも隔壁の頂部側の側面が曲線状を成し、該隔壁の頂部の厚さが該隔壁の最小の厚さより15〜60%大となるとともに、前記隔壁の頂部と基部の各端部を結ぶ直線が該頂部の端部からの垂線と1〜3度の角度を成す凹部を形成した隔壁成形型に、圧電性を有する材料から成る隔壁形成用組成物を充填した後、基板を密着させて充填物を固化させ、次いで化学的処理により前記隔壁成形型を除去してから脱バインダー及び焼成して隔壁と基板を一体化するか、あるいは脱バインダー又は焼成の熱処理により前記隔壁成形型を分解除去すると同時に隔壁と基板を焼成一体化してインク加圧室構成部材を作成した後、隔壁の側面に電極を形成し、次いで隔壁の頂部に上部基板を接合すると共に、溝の開放端側にノズル孔を穿設したノズル板を接合してインク噴射装置を構成するインクジェットヘッドを形成する特徴とするものである。
【0022】
特に、前記各印刷装置の製造方法で用いる隔壁成形型は、化学的処理あるいは熱処理により溶解あるいは分解除去可能な有機樹脂から成ることがより好適であり、更に、隔壁成形型として、基板上に感光性有機フィルムを接着して所定形状のマスクパターンを合わせて露光及び現像を行った後、マスクパターンを変更して前記工程を繰り返し、所定高さに積層して所定断面形状を有する溝部に該当する凸部を形成したものや、基板上に成形する隔壁の高さに相当する感光性レジスト層を形成し、所定のマスクパターンを合わせた後、露光及び現像を行って溝部に該当する凸部を形成したものが最も望ましいものである。
【0023】
又、本発明の印刷装置の他の製造方法としては、基板の上に複数の隔壁を一体的に設けて平行な複数の溝を形成してなるインク加圧室構成部材と、前記溝の開放端側に接合してなり、ノズル孔を有するノズル板と、前記隔壁の頂部に接合された上部基板とを具備するインクジェットヘッドをインク噴射装置として具備した印刷装置の製造方法であって、基板上に所定形状の印刷製版を合わせてスクリーン印刷法にて圧電性を有する材料から成る隔壁形成用組成物を印刷して固化させた後、印刷製版を変更して前記印刷、固化工程を繰り返して隔壁形成用組成物を積層し、所定高さで焼成後に少なくとも隔壁の頂部側の側面が曲線状を成し、該隔壁の頂部の厚さが該隔壁の最小の厚さより15〜60%大となるとともに、前記隔壁の頂部と基部の各端部を結ぶ直線が該頂部の端部からの垂線と1〜3度の角度を成す断面形状を有する隔壁成形体を成形した後、脱バインダー及び焼成して隔壁と基板を一体化し、次いで隔壁の側面に電極を形成した後、隔壁の頂部に上部基板を接合すると共に、溝の開放端側にノズル孔を穿設したノズル板を接合してインク噴射装置を構成するインクジェットヘッドを形成することを特徴とするものである。
【0024】
【作用】
本発明の印刷装置及びその製造方法によれば、隔壁の断面形状が、少なくとも隔壁の頂部側の側面が曲線状を成し、隔壁の頂部の厚さが該隔壁の最小の厚さより15〜60%大であるとともに、前記隔壁の頂部と基部の各端部を結ぶ直線が該頂部の端部からの垂線と1〜3度の角度を成す隔壁でインク加圧室を構成する複数の溝を形成することから、上部基板との接合面積が十分に確保され、接着剤の塗布工程が容易となって該接着剤のインク流路へのはみ出しや塗布不足が解消する上、十分な接着強度が得られる。
【0025】
又、ダイヤモンドブレード等の切削具を用いることなく、化学的処理あるいは熱処理により溶解あるいは分解して除去可能な隔壁成形型を用いて鋳込み成形法や転写法、印刷積層法等の成形方法で、前記特徴を有する隔壁を成形することから、従来の切削にて基板の溝を形成した場合に見られた切削具の曲率を転写した形状を有する未研削部分を生ずることがないため、剪断モ―ドによる隔壁駆動領域が拡大され、同一のインク噴射特性を得るには溝の長さを従来よりも短くでき、インクジェットヘッド自体が小型軽量化され、材料コストも低減できると共に、かかるインクジェットヘッドから成るインク噴射装置の組み込み時の専有面積も大幅に低減され、引いては印刷装置自体の小型化にも寄与する。
【0026】
更に、インクジェットヘッドが小型軽量化されることにより、インクジェットヘッドの移動速度の高速化、位置決め精度の向上にも寄与することになる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の印刷装置及びその製造方法について、図面に基づき詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の印刷装置を構成するインク噴射装置に用いられるインクジェットヘッドの一例である溝の長手方向に対して直角方向に切断した要部を示す断面図である。
【0029】
図において、1はインク加圧室2を構成する基板3と、平行な複数の溝4を形成する隔壁5と、溝4の開放端側に接合したノズル孔6を穿設したノズル板7とを主要部とするインクジェットヘッドであり、隔壁5の頂部13にはインク室(不図示)に連結する上部基板8が接合され、隔壁5の側面9には、駆動電界印加用の電極10が形成されており、ノズル孔6はノズル板7に溝4と対応して列状に穿設されている。
【0030】
本発明においては、隔壁5の頂部の厚さ11が隔壁5の最小の厚さ12より15〜60%大であることが必要なものであり、前記限定理由として隔壁5の頂部の厚さ11が隔壁5の最小の厚さ12より15%未満となると、上部基板8との接合面積が小さくなり、正確に所定範囲で接着剤を塗布することが困難となり、60%を越えると隔壁5の側面9に電極10を形成することが困難となるためである。
【0031】
従って、本発明では、隔壁5が前記条件を満足し、圧電性を有する材料の剪断モードにより隔壁5を歪み変形させて効率良く、かつ正確に再現性良く溝4の容積を変化できれるものであれば、その断面形状はいかなるものでも良い。
【0032】
とりわけ、隔壁5の成形のし易さを考慮すると、少なくとも隔壁5の頂部13側の側面9が曲線状を成す形状がより望ましい。
【0033】
更に、隔壁5と上部基板8との接合歩留りが向上してより安定したインクの噴射特性が得られるという点では、隔壁5の頂部13と基部14の各端部を結ぶ直線15が頂部13の端部からの垂線と成す角度16が、1〜3度であれば十分な接着面積が得られて接着歩留りが向上し、隔壁5の基部14に応力が集中して隔壁5が成形時に破損する等の恐れもなく最適なものとなる。
【0034】
従って、本発明の印刷装置を構成するインク噴射装置に用いられるインクジェットヘッドの隔壁の断面形状は、該インクジェットヘッドの他の例である溝の長手方向に対して直角方向に切断した要部を示す断面図である図2乃至図3に図示するように、隔壁5の側面9が全て全て曲線状を成すもの、あるいはテーパー状と曲面状を組み合わせたもの、複数の変曲点を有するもの等が適用可能であり、勿論、隔壁の厚さを階段状に変化させて構成しても、前記曲線状と階段状を組み合わせて隔壁の断面形状を形成しても良いことは言うまでもない。
【0035】
尚、隔壁5のノズル孔6を穿設したノズル板7に接する側の厚さは、隔壁5の厚さの最大値となる形状が望ましく、その時の隔壁5の厚さは、ノズル孔6の大きさにより適宜選択できるが、概ねノズルピッチからノズル孔6の径の1.5倍の長さを差し引いた値を隔壁の最大値とすることができる。
【0036】
次に、本発明の印刷装置の製造方法を、該印刷装置の要部を成すインク噴射装置を構成するインクジェットヘッドの製造工程を示す図4に基づき、その一例を説明する。
【0037】
図4において、1は基板3と一体化した複数の平行な溝4を形成する隔壁5の頂部に接合した上部基板8と、溝4の開放端側に接合したノズル孔6を穿設したノズル板7とから成るインクジェットヘッドである。
【0038】
本発明の印刷装置の製造方法として、先ず、隔壁形成用組成物を隔壁成形型の凹部に充填して隔壁を成形する方法では、基板3上に隔壁成形型17を載置し、隔壁成形型17と基板3で形成される凹部18に隔壁形成用組成物19を充填する工程から成る方法と、凹部18を形成した隔壁成形型17に隔壁形成用組成物19を充填し、該充填物と接着するように基板3を押し付ける工程から成る方法がある。
【0039】
本発明の基板3は、基板材料として隔壁と同一の圧電性を有する材料は勿論、隔壁と焼結後に一体化できるものであれば特に限定するものではなく、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスやジルコニア等を挙げることができる。
【0040】
次に、前記隔壁成形型17は、前記詳述したように焼成後の前記隔壁の断面形状は、少なくとも隔壁の頂部側の側面が曲線状を成し、前記隔壁の頂部の厚さが該隔壁の最小の厚さより15〜60%大となる形状を成すとともに、前記隔壁の頂部と基部の各端部を結ぶ直線が該頂部の端部からの垂線と1〜3度の角度を成し、焼成収縮を考慮した凹部を設けたもので、その材質は、アルカリ液等の化学的処理により溶解できるもの、あるいは脱バインダー又は焼成の熱処理により分解揮散するものであれば特に限定するものではないが、前記いずれかの処理により除去可能なワックスや感光性有機レジストに代表される有機樹脂等が好適である。
【0041】
とりわけ、前記隔壁成形型17の隔壁形状を成す凹部18を任意の形状に作製するという観点からは、基板上に感光性有機フィルムを接着して所定形状のマスクパターンを合わせて露光及び現像を行う工程を、マスクパターンを変更しながら繰り返し、所定高さで所定断面形状を有する溝部に該当する凸部を形成する方法、又は、基板上に成形する隔壁の高さに相当する感光性レジスト層を形成し、所定のマスクパターンを合わせた後、露光及び現像を行って溝部に該当する凸部を形成する方法が最適である。
【0042】
具体的には、前記感光性レジスト層を形成させる手段は特に限定するものではないが、感光性レジスト層を液状のもので形成させる場合には、例えば、ロ―ルコーター法やドクターブレード法、スピンコーター法等により均一に塗布することができるが、均一膜厚を得易いという点からは感光性有機フィルムのように非液状のものを前記基板3に貼付して使用することが好ましく、その際、用いるマスクは、熱膨張の観点からはガラスマスクが好適である。
【0043】
一方、前記露光の手段は、パターニングができれば特に限定するものではないが、電子線、紫外線、遠赤外線等を用いて露光することができ、コストや解像度の観点からは紫外線を用いた露光が好ましい。
【0044】
次に、本発明で用いることができる圧電性を有する材料を含有した隔壁形成用組成物19としては、特に限定するものではなく、圧電すべり効果や圧電縦効果、圧電横効果等の各種圧電モードを利用できるものであればいずれでも良いが、なかでもチタン酸ジルコン酸鉛系のセラミック材料が最適である。
【0045】
又、前記隔壁形成用組成物19は、圧電性を有する材料以外に各種樹脂、溶剤等から成るバインダ―溶液を混合したものであり、それ以外に分散剤、増粘剤等の各種添加剤を添加することもできる。
【0046】
尚、前記隔壁成形型17の凹部18に隔壁形成用組成物19を充填する手段としては、公知のドクターブレード法やロールコーター法、印刷法等を適用して充填することができるが、その際、充填後に脱気処理しても良く、又、脱気処理した泥漿を充填しても良い。
【0047】
次に、隔壁成形型17の凹部18に充填した隔壁形成用組成物19を固化させるが、固化させる手段は、選択した隔壁形成用組成物19に用いた樹脂によって異なり、乾燥させたり、あるいは加熱硬化、常温硬化させても良く、最終的に隔壁形状を保形できるものであれば、固化させる手段は特に限定するものではない。
【0048】
前記固化した隔壁形成用組成物19を凹部18に保持した隔壁成形型17は、化学的処理あるいは脱バインダー又は焼成の熱処理により溶解あるいは分解揮散させて除去するが、その方法は特に限定されるものではなく、例えば、アルカリ液で溶解させたり、レーザ―等で焼成分解させたり、後述の脱バインダー又は焼成の熱処理により分解させ、別途あるいは前記熱処理と同時に焼成して基板と隔壁を一体化することにより、隔壁の断面形状は、少なくとも隔壁の頂部側の側面が曲線状を成し、隔壁の頂部の厚さが隔壁の最小の厚さより15〜60%大である断面形状を成すとともに、前記隔壁の頂部と基部の各端部を結ぶ直線が該頂部の端部からの垂線と1〜3度の角度を成し、該隔壁により複数の溝4を有するインク加圧室構成部材を作製することができる。
【0049】
尚、必要に応じて引き出し電極用のわずかな空間を溝4の端部に機械加工にて形成することも可能である。
【0050】
一方、本発明の印刷装置の他の製造方法は、図5に示すように、基板3上に前記圧電性を有する材料及びバインダー、各種有機添加物から成るペースト状の隔壁形成用組成物19を印刷製版20を用いて印刷法により印刷塗布し、次いで乾燥して隔壁形成用組成物19を固化させる。
【0051】
その際、隔壁の断面形状は、少なくとも隔壁の頂部側の側面が曲線状を成し、隔壁の頂部の厚さが隔壁の最小の厚さより15〜60%大である断面形状を成すとともに、前記隔壁の頂部と基部の各端部を結ぶ直線が該頂部の端部からの垂線と1〜3度の角度を成すように任意の形状で印刷製版を種々用意し、一層印刷、乾燥する度に印刷製版を調節しながら前記印刷、乾燥を繰り返して積層することにより、既述したような図1乃至図3に図示した断面形状を含む種々の形状の隔壁成形体21を自由に基板3上に成形することができ、特に、前記印刷法としては、印刷製版の作り易さやコストの面からは、スクリーン印刷法が最適である。
【0052】
かくして得られた隔壁を形成した基板を、公知の脱バインダー処理を施してから焼成することにより、基板と一体化した複数の平行な溝を有するインク加圧室構成部材が得られる。
【0053】
その後、前記いずれの製造方法においても、隔壁の頂部から基部方向に分極処理を行い、基板と一体化した複数の平行な溝を有するインク加圧室構成部材を作製した後、隔壁側面の少なくとも一部及び溝の端部に設けたわずかな空間に、駆動電界印加用の電極10と引き出し電極(不図示)を、例えば、スパッタリング法やめっき法、蒸着法、イオンプレーティング法、又はCVD法等により形成する。
【0054】
かかる電極に適用できる材料としては、特に限定するものではないが、銅、銀、金、白金、タングステン、ニッケル等の金属材料や、ペロブスカイト系の導電性セラミックス材料等が好適に使用することができる。
【0055】
他方、前記ノズル板7は、レーザー等で所定寸法に穿孔してノズル孔6を形成したもので、その材料としては、各種プラスチックや金属、セラミックス等のいかなる材料をも使用することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネイト、酢酸セルロース等のプラスチック、あるいはステンレス鋼やクロムモリブデン鋼、アルミニウム等の金属、もしくはアルミナやジルコニア、チタン酸ジルコン酸鉛等のセラミックスが挙げられるが、特に、加工のし易さの観点からは、ポリエチレンテレフタレートやポリイミドから成るプラスチック板が好適である。
【0056】
かくして得られた部材をそれぞれエポキシ系接着剤等で接着して組み立てることにより、本発明の印刷装置を構成するインク噴射装置の剪断モード型のインクジェットヘッドが得られる。
【0057】
尚、本発明の印刷装置では、噴射させるインクとしては顔料又は/及び染料と、水やアルコール等の水系の溶剤、あるいはヘキサンやトルエン等の非水系の溶剤を主成分としたもののいずれにも適用可能である。
【0058】
【実施例】
次に、本発明の印刷装置及びその製造方法について、以下のようにして評価した。
【0059】
(実施例1)厚さ約300μmのチタン酸ジルコン酸鉛系セラミック基板上に、チタン酸ジルコン酸鉛系セラミック粉末と有機バインダー、可塑剤、溶剤、分散剤とから成るペースト状の隔壁形成用組成物を調製し、該隔壁形成用組成物を用いて隔壁の厚さに相当する幅80μmに設定したスクリーン製版により隔壁パターンを印刷した後、乾燥した。
【0060】
次いで、3回の印刷、乾燥を繰り返した後、幅75、80、85μmにそれぞれ設定したスクリ―ン製版を順次用いて、各々4回、印刷、乾燥を繰り返して積層印刷を行い、最後に隔壁の幅が90μmに相当するスクリーン製版で3回積層印刷すると共に、最上層は引き出し電極用の僅かな空間を有する様な製版パターンで印刷し、高さ約500μmの隔壁成形体を有する基板を作製した。
【0061】
その後、450℃の温度で脱バインダー処理を行い、続いて1200℃の温度で焼成して一体化し、インク加圧室構成部材を作製した後、引き出し電極用のわずかな空間を溝の端部にスライシング加工にて形成した。
【0062】
その後、隔壁の分極処理を施し、更に隔壁の側面の上部半分と溝の引き出し電極相当部にスパッタリング法により金電極を形成した。
【0063】
一方、厚さ約300μmの他のチタン酸ジルコン酸鉛系セラミック基板に機械加工によりインク室連結用の穴を形成して上部基板を作製した。
【0064】
又、ポリイミド製のプラスチック板にレーザーでノズル孔を穿孔してノズル板を作製した。
【0065】
かくして得られた各部材を、エポキシ系接着剤で接着して組み上げ、評価用の剪断モード型のインクジェットヘッドを作製した。
【0066】
評価に際し、先ず、隔壁の断面形状を確認すべく同一仕様で作製したインク加圧室構成部材を溝の長手方向に対して直角方向に切断し、その断面を走査型電子顕微鏡で観察し、隔壁の頂部の厚さとして隔壁の頂点から隔壁基部に向かって15μmの位置の厚さを測定すると共に、隔壁の厚さの内、最小の厚さを有する位置で寸法を測定して隔壁の最小の厚さとし、前記最小の厚さに対する隔壁の頂部の厚さの増大割合を100分率で計算し、その割合を求めた。
【0067】
又、隔壁の頂部と基部の各端部を結ぶ直線が該頂部の端部からの垂線と成す角度を測定した。
【0068】
次に、同一仕様の評価用の剪断モード型のインクジェットヘッドの一部を用いて、該インクジェットヘッドを治具に固定し、上部基板のみを毎秒0.5mmの引っ張り速度で引っ張り試験を行い、剥離した時の荷重で密着性、即ち各インク加圧室の密閉性を評価した。
【0069】
更に、作製した評価用の剪断モード型のインクジェットヘッドを用いてインク液滴の噴射実験を実施し、インク流路の容積のバラツキの有無をインクの噴射特性の内、各インク加圧室の液滴の噴射速度で評価した。
【0070】
その結果、インク加圧室の隔壁は、頂部の厚さが87μm、最小の厚さは74μmの隔壁の中央部付近の厚さとなり、隔壁の基部の厚さが81μmで、最小の厚さに対する頂部の厚さの増大割合は18%となり、隔壁の高さが400μmで、印刷ダレによるやや鼓形状を呈する断面形状であった。
【0071】
更に、溝の端部で長さ2mmの引き出し電極相当部と溝部の長さが10mmで、溝のピッチは150μmを示し、各インク加圧室の密閉性の評価としての接着強度は1.8kgであった。
【0072】
又、インク液滴の噴射実験で、隔壁駆動領域が十分に確保できてインク液滴も十分に噴射でき、しかも、該液滴の噴射速度も毎秒14±0.8mと極めて安定しており、高精細度化が可能な小型のインクジェットヘッドが得られていることが確認できた。
【0073】
又、インク流路の容積のバラツキは0.15%程度と極めて小さくインク液滴量も安定しており、噴射特性の安定性が確認できた。
【0074】
(実施例2)実施例1において、隔壁の幅が80μmに相当するスクリーン製版で15回印刷積層し、その後、隔壁の幅が90μmに相当する製版で3回積層印刷する以外は、実施例1と同様にして剪断モード型のインクジェットヘッドを作製し、同様に評価した。
【0075】
その結果、インク加圧室の隔壁は、頂部の厚さが87μm、最小の厚さは75μmの隔壁の基部の厚さとなり、最小の厚さに対する頂部の厚さの増大割合は16%であり、隔壁の高さが400μmで、印刷ダレにより隔壁の頂部付近で曲線状のR部を呈する断面形状であった。
【0076】
更に、インク加圧室の溝の端部は溝底部からほぼ垂直に形成されており、溝の端部で長さ2mmの引き出し電極相当部と溝部の長さが10mmで、溝のピッチが150μmを示し、隔壁と上部基板との密着性、即ち各インク加圧室の密閉性の評価としての接着強度は1.8kgであった。
【0077】
又、インク液滴の噴射実験で、隔壁駆動領域が十分に確保できてインク液滴も十分に噴射でき、しかも、該液滴の噴射速度も毎秒14±0.7mと極めて安定しており、高精細度化が可能な小型のインクジェットヘッドが得られていることが確認できた。
【0078】
又、インク流路の容積のバラツキは0.15%程度と極めて小さくインク液滴量も安定しており、噴射特性の安定性が確認できた。
【0079】
(比較例)先ず、外形寸法で厚さ1mm、奥行き12mm、幅12mmのチタン酸ジルコン酸鉛から成る基板に、ブレードの厚さが70μmのダイヤモンドブレードを用いてダイシング法により溝を切削加工してインク加圧室部材を作製し、隔壁に分極処理を施した後、隔壁側面の上部半分と溝の引き出し電極相当部にスパッタリング法により金電極を形成した。
【0080】
一方、厚さ約300μmのチタン酸ジルコン酸鉛基板にインク室連結用の穴を研削により穿孔して上部基板を作製した。
【0081】
他方、ポリイミド製のプラスチック板にレ―ザーでノズル穴を穿孔してノズル板を作製した。
【0082】
次いで、エポキシ系接着剤で前記各部材を接着して組み上げ、剪断モード型のインクジェットヘッドを作製し、実施例1と同様にして評価した。
【0083】
その結果、得られたインクジェットヘッドは、外形寸法が厚さ1mm、奥行き12mm、幅12mmから成り、インク加圧室の溝は、溝の幅が71μm、溝の深さが300μmの矩形断面を有すると共に、溝の端部は、ダイヤモンドブレードの曲率を転写した円弧形状を成しており、又、該溝を形成する隔壁の頂部及び基部の厚さは共に約69μmであり、溝の端部で長さ2mmの引き出し電極相当部を有し、溝部の長さは10mm、溝の底部の長さは7mm、未切削部分長さは3mmもあり、溝のピッチは140μmであった。また、接着強度は1.0kgと低いものであった。
【0084】
従って、インク液滴の噴射実験では、隔壁駆動領域が十分に確保できず、得られた印字は極めて粗いピッチであり、その上、スライシング加工の振動、ぶれ等により隔壁の一部欠損が2ヵ所、隔壁の基部からの破損が1ヵ所認められ、欠陥のないインクジェットヘッドが得られていなかった。
【0085】
以上の結果からも明らかなように、比較例では、上部基板と接する側の溝部の長さが長いため、接着剤の垂れ込みの影響を受け易く、インク加圧室の容積のバラツキは±0.25%程度と極めて大である。
【0086】
又、スライシング加工時のダイヤモンドブレード等のツール形状に依存する未切削部分が生じるために十分な隔壁駆動領域を確保できないことから、インク液滴を十分に噴出できず、又、上部基板との接着強度は低い値を示し、信頼性の低いものであり、スライシング加工に起因する隔壁の欠損や破損を有するものであった。
【0087】
それに対して、本発明では、いずれも隔壁と上部基板とが密閉性良く接合されており、インク流路の容積のバラツキも極めて軽微で、各インク加圧室のインク噴射特性も安定しており、その上、いずれも溝の全長が隔壁駆動領域として確保できてインク液滴を十分な圧力で噴射でき、噴出特性が優れた小型のインクジェットヘッドを形成できるだけでなく、例えば、ラインプリンターヘッドの如き長いヘッドを容易に作製できる。
【0088】
尚、本発明は前記詳述した実施例に何等限定されるものではない。
【0089】
【発明の効果】
叙上の如く、本発明の印刷装置及びその製造方法によれば、印刷装置に具備されたインク噴射装置を構成するインクジェットヘッドのインク加圧室の隔壁が、頂部の厚さが隔壁の最小の厚さより15〜60%大であることから、上部基板と隔壁の頂部との接合面積を大とすることができ、接着剤の量の多少を問わず十分な接着強度が得られると共に、インク流路の密閉性を確実なものとして、かつその容積のバラツキを解消し、接着剤の塗布工程が容易になる等により、上部基板との接合歩留りが向上して安定したインクの噴射特性が得られる。
【0090】
その上、ダイヤモンドブレード等の切削具を用いない成形方法により隔壁を成形する製造方法であることから、従来のように基板の溝幅が切削具の厚さに依存したり、溝の深さが切削具の切り込み量に依存したりせず、更に、切削にて基板の溝を形成した場合に見られた切削具の曲率を転写した形状を有する未研削部分を生ずることがないため、剪断モードによる隔壁駆動領域が拡大でき、同一のインク噴射特性を得るには隔壁駆動領域が必要最小限の溝の長さで従来よりも短く高精度に確保でき、インクジェットヘッドが小型軽量化され、材料コストも低減できると共に、かかるインクジェットヘッドから成るインク噴射装置の組み込み時の専有面積も大幅に低減され、引いては印刷装置自体の小型化にも寄与することができる。
【0091】
従って、インクジェットヘッドが小型軽量化されることにより、インクジェットヘッドの移動速度の高速化、位置決め精度の向上が実現でき、基板サイズを長尺化することにより、インクジェットヘッドを移動させる必要のないラインプリンターヘッドも簡単に製造することができ、高速、高解像度の印刷が可能となり、要求されている印字や画像、文様等のより高精細化が可能で、かつ量産に適したインクジェットヘッドから成るインク噴射装置を具備した印刷装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の印刷装置を構成するインク噴射装置に用いられるインクジェットヘッドの一例である溝の長手方向に対して直角方向に切断した要部を示す断面図である。
【図2】本発明の印刷装置を構成するインク噴射装置に用いられるインクジェットヘッドの他の例である溝の長手方向に対して直角方向に切断した要部を示す断面図である。
【図3】本発明の印刷装置を構成するインク噴射装置に用いられるインクジェットヘッドの他の例である溝の長手方向に対して直角方向に切断した要部を示す断面図である。
【図4】本発明の印刷装置の製造方法を説明するための、印刷装置の要部を成すインク噴射装置を構成するインクジェットヘッドの製造工程の一例を示す図である。
【図5】本発明の印刷装置の製造方法を説明するための、印刷装置の要部を成すインク噴射装置を構成するインクジェットヘッドの製造工程の他の例を示す図である。
【図6】従来の印刷装置を構成するインク噴射装置に用いられる一部破断したインクジェットヘッドの構造を示す斜視図である。
【図7】従来の印刷装置を構成するインク噴射装置に用いられる一部破断したインクジェットヘッドの構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド
2 インク加圧室
3 基板
4 溝
5 隔壁
6 ノズル孔
7 ノズル板
8 上部基板
9 側面
10 電極
11 頂部の厚さ
12 最小の厚さ
13 頂部
14 基部
15 直線
16 角度
17 隔壁成形型
18 凹部
19 隔壁形成用組成物
20 印刷製版
21 隔壁成形体

Claims (9)

  1. 基板の上に複数の隔壁を一体的に設けて平行な複数の溝を形成してなるインク加圧室構成部材と、前記溝の開放端側に接合してなり、ノズル孔を有するノズル板と、前記隔壁の頂部に接合された上部基板とを具備し、前記インク加圧室構成部材と、前記ノズル板と、前記上部基板でインク加圧室を形成し、前記隔壁が圧電性を有する材料から成り、該圧電性を有する材料の剪断モードにより前記隔壁を歪み変形させて溝の容積を変化させ、該溝に供給されたインクを該溝の一端に設けた前記ノズル孔から液滴として噴射するインクジェットヘッドをインク噴射装置として具備した印刷装置であって、前記隔壁の断面形状は、少なくとも隔壁の頂部側の側面が曲線状を成し、前記隔壁の頂部の厚さが該隔壁の最小の厚さより15〜60%大であるとともに、前記隔壁の頂部と基部の各端部を結ぶ直線が該頂部の端部からの垂線と1〜3度の角度を成すことを特徴とする印刷装置。
  2. 前記隔壁の側面が全て曲線状を成すもの、曲線状とテーパー状を組み合わせたもの、又は複数の変曲点を有するものであることを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
  3. 前記側面を階段状に変化させてなることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の印刷装置。
  4. 基板の上に複数の隔壁を一体的に設けて平行な複数の溝を形成してなるインク加圧室構成部材と、前記溝の開放端側に接合してなり、ノズル孔を有するノズル板と、前記隔壁の頂部に接合された上部基板とを具備するインクジェットヘッドをインク噴射装置として具備した印刷装置の製造方法であって、焼成後に少なくとも隔壁の頂部側の側面が曲線状を成し、該隔壁の頂部の厚さが該隔壁の最小の厚さより15〜60%大となるとともに、前記隔壁の頂部と基部の各端部を結ぶ直線が該頂部の端部からの垂線と1〜3度の角度を成す凹部を形成した隔壁成形型に、圧電性を有する材料から成る隔壁形成用組成物を充填して固化させた後、化学的処理により前記隔壁成形型を除去してから脱バインダー及び焼成して隔壁と基板を一体化するか、あるいは脱バインダー又は焼成の熱処理により前記隔壁成形型を分解除去すると同時に隔壁と基板を焼成一体化してインク加圧室構成部材を作成した後、隔壁の側面に電極を形成し、次いで隔壁の頂部に上部基板を接合すると共に、溝の開放端側にノズル孔を穿設したノズル板を接合してインク噴射装置を構成するインクジェットヘッドを形成することを特徴とする印刷装置の製造方法。
  5. 基板の上に複数の隔壁を一体的に設けて平行な複数の溝を形成してなるインク加圧室構成部材と、前記溝の開放端側に接合してなり、ノズル孔を有するノズル板と、前記隔壁の頂部に接合された上部基板とを具備するインクジェットヘッドをインク噴射装置として具備した印刷装置の製造方法であって、焼成後に少なくとも隔壁の頂部側の側面が曲線状を成し、該隔壁の頂部の厚さが該隔壁の最小の厚さより15〜60%大となるとともに、前記隔壁の頂部と基部の各端部を結ぶ直線が該頂部の端部からの垂線と1〜3度の角度を成す凹部を形成した隔壁成形型に、圧電性を有する材料から成る隔壁形成用組成物を充填した後、基板を密着させて充填物を固化させ、次いで化学的処理により前記隔壁成形型を除去してから脱バインダー及び焼成して隔壁と基板を一体化するか、あるいは脱バインダー又は焼成の熱処理により前記隔壁成形型を分解除去すると同時に隔壁と基板を焼成一体化してインク加圧室構成部材を作成した後、隔壁の側面に電極を形成し、次いで隔壁の頂部に上部基板を接合すると共に、溝の開放端側にノズル孔を穿設したノズル板を接合してインク噴射装置を構成するインクジェットヘッドを形成することを特徴とする印刷装置の製造方法。
  6. 前記隔壁成形型が、化学的処理あるいは熱処理により溶解あるいは分解除去可能な有機樹脂から成ることを特徴とする請求項4又は請求項5のいずれかに記載の印刷装置の製造方法。
  7. 前記隔壁成形型は、基板上に感光性有機フィルムを接着し、所定形状のマスクパターンを合わせて露光及び現像を行う工程を、マスクパターンを変更しながら繰り返し、所定高さで所定断面形状を有する溝部に該当する凸部を形成したものであることを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の印刷装置の製造方法。
  8. 前記隔壁成形型は、基板上に成形する隔壁の高さに相当する感光性レジスト層を形成し、所定のマスクパターンを合わせた後、露光及び現像を行って溝部に該当する凸部を形成したものであることを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の印刷装置の製造方法。
  9. 基板の上に複数の隔壁を一体的に設けて平行な複数の溝を形成してなるインク加圧室構成部材と、前記溝の開放端側に接合してなり、ノズル孔を有するノズル板と、前記隔壁の頂部に接合された上部基板とを具備するインクジェットヘッドをインク噴射装置として具備した印刷装置の製造方法であって、基板上に所定形状の印刷製版を合わせてスクリーン印刷法にて圧電性を有する材料から成る隔壁形成用組成物を印刷して固化させた後、印刷製版を変更して前記印刷、固化工程を繰り返して隔壁形成用組成物を積層し、所定高さで焼成後に少なくとも隔壁の頂部側の側面が曲線状を成し、該隔壁の頂部の厚さが該隔壁の最小の厚さより15〜60%大となるとともに、前記隔壁の頂部と基部の各端部を結ぶ直線が該頂部の端部からの垂線と1〜3度の角度を成す断面形状を有する隔壁成形体を成形した後、脱バインダー及び焼成して隔壁と基板を一体化し、次いで隔壁の側面に電極を形成した後、隔壁の頂部に上部基板を接合すると共に、溝の開放端側にノズル孔を穿設したノズル板を接合してインク噴射装置を構成するインクジェットヘッドを形成することを特徴とする印刷装置の製造方法。
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