JP3597384B2 - 電気掃除機 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被清掃面からのゴミの分離を促進するためにノズル部に回転ブラシ体を備えた電気掃除機に関する。
【０００２】
【従来の技術】
空気と共にゴミを吸い込むノズル部に回転ブラシ体を備え、回転ブラシ体で被清掃面を摺擦することにより、被清掃面からのゴミの分離を促進するようにした電気掃除機が従来より知られている。また、吸い込み気流を発生させるための電動送風機の後流を被清掃面に吹き付けることにより、被清掃面からのゴミの分離を促進する電気掃除機が、特開平７−１３６０８２号公報に提案されている。この公報に示されている電気掃除機の構成を図１１〜１３に示す。
【０００３】
図１１は側方から見た電気掃除機全体の断面図であり、図１２は上方から見たノズル部の断面図である。この電気掃除機はノズル部７１を掃除機本体７２の下部に設けたアップライト型に構成されている。これらの図において、７３は電動送風機であり、その後部に集塵袋７４が取り付けられている。電動送風機７３と集塵袋７４は掃除機本体７２の本体カバー７５内に収められており、本体カバー７５には集塵袋７４を出し入れするための蓋７６が設けられている。掃除機本体７２には移動用の把手７７が備えられており、本体カバー７５には電動送風機７３の後流を掃除機本体７２の外部へ排出するための排気口８４が形成されている。
【０００４】
ノズル部７１の下面にはゴミを吸い込むための吸込口７８が設けられており、この吸込口７８と集塵袋７４は吸込流路７９で接続されている。また、ノズル部７１内部の走行方向前方には被清掃面９０に向けて吹出口８０が設けられており、吹出口８０と掃除機本体７２は還流路８１で接続されている。
【０００５】
電動送風機７３を動作させると吸込流８２と後流が同時に発生し、後流の一部８３は排気口８４を通って掃除機機本体７２の外部に排出される。後流の他の一部８５は、還流路８１を通って吹出口８０より被清掃面に吹き付けられる。これにより被清掃面９０のゴミは吹き上げられ、さらに吸込流によって吸込口７８から吸い込まれ、吸込流路７９を通って集塵袋７４へと導かれてここに溜まる。空気はノズル部７１内に設けた吸込口７８から、集塵袋７４、還流路８１の端部に設けられた吹出口８０、被清掃面９０へと順次通って、再び吸込口７８に至ることになり、吸込気流を常に循環させるための循環路が形成されている。
【０００６】
図１３は、別の構成のノズル部８６を側方から見た断面図を示したものである。ノズル部８６には、上記吹出口８０と同じ吹出口８７が設けられており、その後方の吸込口８８には回転ブラシ体８９が備えられている。回転ブラシ体８９はベルトを介してモーターから供給される駆動力で回転し、被清掃面９０を摺擦する。被清掃面９０が絨毯等のゴミが絡みつき易いものである場合、吹出口８７から吹き出される空気ではゴミを分離できないことがあるが、回転ブラシ体８９によってかき上げて分離することができる。
【０００７】
しかしながら、上記公報の構成では、還流路端部に設けた吹出口と吸込口とが壁で仕切られて別個になっており、吸込口内に設けた回転ブラシ体に直接還流しないため、糸屑や毛髪等のゴミが回転ブラシ体に絡まってしまうという問題があった。また、吹出口からの空気がノズル部と被清掃面との隙間からノズル部外に出易いため、被清掃面から吹き上げられたゴミがノズル部の周囲に広がったり、吸い込み能力が低下したりすることがあった。
【０００８】
そこで本出願人は、これらの問題を解決し得る電気掃除機を特願平１０−１３６６７号公報にて提案した。この電気掃除機の要部を図１４に示す。この電気掃除機は、ノズル部３の回転ブラシ体５の直下に吸込口を設け、回転ブラシ体５を内部から外周面に達する貫通孔５１１を有する円筒状に形成し、さらに、電動送風機１３の後流を回転ブラシ体５の内部に導く還流路３５を設けて、電動送風機１３の後流を貫通孔５１１より吸込口を介して被清掃面に吹き付けるようにしたものである。
【０００９】
回転ブラシ体５の断面を図１５に示す。回転ブラシ体５は、中空円筒状の回転体５１と、これに植毛されたブラシ５１２と、貫通孔５１１より成り、貫通孔５１１はブラシ５１２に近接する位置に形成されている。貫通孔５１１より吹き出す空気によってブラシ５１２への糸屑等のゴミの付着が防止され、また、被清掃面に吹き付けられた空気は直ちに再び吸い込まれて、ノズル部３の周辺にゴミを吹き広げることがなくなる。
【００１０】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の構成では、回転ブラシ体の製作が複雑で手間がかかるため、製造コストの上昇を招くことになる。また、回転体が中空でしかも内部から外周面に達する貫通孔を有するため強度が低下して破損し易くなり、これを防止するために回転体を大径に形成する必要が生じて、ノズル部も大型化して操作性が損なわれるという問題が生じる。
【００１１】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、回転ブラシ体の構成が簡素でありながら、回転ブラシ体にゴミが絡まり難く、しかも高い吸い込み能力を安定して維持し得る電気掃除機を提供することを目的とする。
【００１２】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、電動送風機と集塵室を有する掃除機本体と、下面に開口を有するノズル部と、ノズル部の内部と集塵室を接続する吸込路と、ノズル部の内部に設けられ、外周面にブラシを有し水平な軸を中心に回転する回転ブラシ体とを備え、電動送風機が発生する気流により吸込路を介してノズル部の開口から空気と共にゴミを吸い込み、吸い込んだゴミを集塵室に収容した集塵袋に捕捉するとともに、回転ブラシ体のブラシで開口に対面する被清掃面を摺擦することによって被清掃面からのゴミの分離を促進する電気掃除機において、電動送風機の後流を回転ブラシ体の端部近傍に導く還流路を設けるとともに、導かれた電動送風機の後流を回転軸に沿って回転ブラシ体の外周面に導く通気路となる開口を回転ブラシ体の回転軸方向の延長上に設けるようにする。
【００１３】
この電気掃除機では、ノズル部内の空気は吸込路を通って集塵室に至り、集塵袋でゴミを除去された後、還流路を通ってノズル部内に戻り、回転ブラシ体の端部に向けて吹き出す。そして、通気路によって回転ブラシ体の軸に沿う方向に案内されて回転ブラシ体の外周面に導かれ、同時に被清掃面に吹き付ける。通気路によって回転ブラシ体の外周面に導かれる空気は回転ブラシ体の外周面に設けられたブラシへのゴミの付着を妨げ、また、付着したゴミをブラシから吹き飛ばす。ノズル部の内部には電動送風機による吸引力が生じており、被清掃面に吹き付けた空気は再び吸込路に吸い込まれる。したがって、循環する空気がノズル部外に出ることがなく、ゴミがノズル部の周囲に広がらず、また、吸い込み力も低下し難い。
【００１４】
本発明ではまた、電動送風機と集塵室を有する掃除機本体と、下面に開口を有するノズル部と、ノズル部の内部と集塵室を接続する吸込路と、ノズル部の内部に設けられ、外周面にブラシを有し水平な軸を中心に回転する回転ブラシ体とを備え、電動送風機が発生する気流により吸込路を介してノズル部の開口から空気と共にゴミを吸い込み、吸い込んだゴミを集塵室に収容した集塵袋に捕捉するとともに、回転ブラシ体のブラシで開口に対面する被清掃面を摺擦することによって被清掃面からのゴミの分離を促進する電気掃除機において、電動送風機の後流を回転ブラシ体の端部近傍に導く還流路を設けるとともに、導かれた電動送風機の後流を回転軸に沿って回転ブラシ体の外周面に導く通気路を回転ブラシ体の端部に設け、さらに、回転ブラシ体の端部に回転力を受けるためのプーリーを備え、このプーリーに前記通気路となる貫通孔を設けるとともに、回転によって空気を回転ブラシ体の外周面に送るための送風ファンをその貫通孔の内部に備えるようにする。プーリーの回転に伴って送風ファンが回転し、還流路からの空気を効率よく回転ブラシ体の外周面に導くことができる。
【００１５】
また、回転ブラシ体の通気路と反対側の端部に回転によって空気を回転ブラシ体の外周面に送るための動翼ファンを設け、ノズル部の動翼ファンに対向する部位に外気取入口を設ける。回転ブラシ体の通気路と反対側の端部側には通気路からの空気が到達し難くなるが、その部位の外周面にも動翼ファンで空気を導くことができる。しかも、外気を取り入れることで、空気の還流を安定して持続させることが可能になり、掃除機本体の温度上昇も防止される。
【００１７】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。第１の実施形態の電気掃除機の外観を図１および図２に示す。図１は電気掃除機を斜め前方から見た斜視図、図２は背面図であり、内部を一部透視して表している。この電気掃除機は掃除機本体１とその下部に設けられたノズル部３より成り、アップライト型として構成されている。掃除機本体１の上部には移動用のハンドル体２が設けられている。
【００１８】
掃除機本体１の最下部には送風機室１２があり、送風機室１２内には気流を発生するための電動送風機１３が備えられている。送風機室１２の上方には集塵室１４が設けられており、集塵室１４には集塵袋１５が収容されている。掃除機本体１の前部は本体カバー１１ｂで覆われており、本体カバー１１ｂは集塵袋１５の着脱のために開閉可能になっている。集塵室１４は本体カバー１１ｂを閉じることにより密閉される。送風機室１２の前流（吸込流）側は集塵室１４と連通している。
【００１９】
掃除機本体１の左前部には電動送風機１３の後流（排気流）の一部を外部に排出するためのスリット状の排気穴１１ｃが形成されており、背面には持ち運び用のさげ手１１ｄが設けられている。１６は電源スイッチ、１７は電源コードである。掃除機本体１の下端後部には走行用の後車輪１８が備えられている。
【００２０】
ノズル部３は内部に回転ブラシ体５を備えており、ノズルケース３１および底カバー３２によって覆われている。底カバー３２はノズルケース３１にネジ止めされている。ノズル部３と掃除機本体１は吸込側ホース６と排気側ホース７とで接続されている。吸込側ホース６はノズル部３の内部を集塵室１４に接続しており、排気側ホース７は送風機室１２の後流側をノズル部３の内部に接続している。
【００２１】
図３に側方から見た本実施形態の電気掃除機の断面を示し、図４に底カバー３２を外した状態で下方から見たノズル部３を示す。掃除機本体１の左右にはボス１１ａが形成されている。ノズル部３はこれらのボス１１ａに取り付けられており、ボス１１ａを支点に前後自在に回動する。
【００２２】
回転ブラシ体５はノズル部３の内部前方の左右中央部に水平に配設されている。回転ブラシ体５の一端にはプーリー５２が取り付けられており、電動送風機１３の軸１３ａとプーリー５２はベルト３３で連結されている。電動送風機１３の回転はベルト３３によってプーリー５２に伝えられ、これにより回転ブラシ体５が回転する。底カバー３２のうち回転ブラシ体５に対面する部位には左右に長い吸込口３２ａが形成されており、回転ブラシ体５はこの吸込口３２ａを介して外部に面している。
【００２３】
回転ブラシ体５の後方には仕切壁３１ａが設けられており、右側面側に吸込口部３１ｂが形成されている。吸込口部３１ｂの後方には吸込側接続管３４が配設されており、吸込側接続管３４の前端は吸込口部３１ｂに、後端は前述の吸込側ホース６に接続されている。
【００２４】
ノズル部３の左側面側には排気側接続管３５が配設されており、その後端には前述の排気側ホース７の端部７ａが挿嵌される。排気側ホース７は可撓性を有し、その端部７ａは排気側接続管３５に着脱自在である。端部７ａには、集塵袋１５から漏出した微細な塵を捕捉するために、着脱可能なフィルター７ｂが装着されている。
【００２５】
図５は、回転ブラシ体５およびこれを支持する軸受ホルダ４１、４２の要部断面図である。回転ブラシ体５は、外周面に２本の螺旋状のリブを有する回転体５１と、そのリブの上面に植毛されたブラシ５１２より成る。回転体５１は樹脂成形によって形成され、その中心の中空部にブラシ軸５３が挿入される。
【００２６】
後流側に配置される回転体５１の端部には、ブラシ軸５３に挿通されたプーリー５２が接着等で固着されている。プーリー５２の外周部はベルト３３を掛けるようになっており、内部には中心に挿通用の孔を有するボス部５２３が形成され、ボス部５２３とプーリー５２の内周部とを結合するための複数本のリブ５２１が放射状に設けられている。これらのリブ５２１の間には開口が存在し、プーリー５２の内部は後流をブラシ軸５３に沿う方向に通過させる通気路５２２となっている。一方、回転体５１の吸込口部３１ｂ側に配置される端部は、凹部を有する円筒状の壁５１３をもった形状で、吸い込み空気の通過とゴミの飛散を防ぐ。
【００２７】
なお、電動送風機１３の後流を多く還流させるために、通気路５２２の径および面積はできるだけ大きく設定することが望ましい。ただし、プーリー５２の径の大きさによって制限を受ける。通気路５２２を通る空気の量は、掃除機本体１の排気穴１１ｃの面積にも関係するが、回転体５１の回転数によっても任意に調節することが可能である。
【００２８】
ブラシ軸５３の両端はベアリング４３を介して軸受ホルダ４１、４２によって支持され、ブラシ軸５３の両端にナット５４を螺入することにより、軸受ホルダ４１、４２から外れないようにされている。プーリー５２に隣接する側の軸受ホルダ４２には、電動送風機１３の後流を通気路５２２に導くための開口４２ｂが設けられている。壁５１３側の軸受ホルダ４１は、開口をもたない形状としている。軸受ホルダ４１、４２はノズルケース３１に設けられた取付リブ３１ｃ、３１ｄに装着され、底カバー３２をノズルケース３１に取り付けることにより固定される。これにより回転ブラシ体５が回転自在に支持され、また、軸受ホルダ４２が排気側接続管３５の前端に密着する。
【００２９】
上記構成の電気掃除機における空気の流れについて説明する。電源スイッチ１６を操作して電力を供給すると、電動送風機１３が回転し、同時に回転ブラシ体５も回転する。電動送風機１３の回転により吸引力が生じ、ノズル部３の周辺の空気が吸込口３２ａからノズル部３内に入り、吸込口部３１ｂ、吸込側接続管３４、吸込側ホース６を順に通って集塵室１４に入り、さらに集塵袋１５を透過して送風機室１２の吸込側に達する。電動送風機１３のこの前流とともにノズル部３の下方および周辺の被清掃面のゴミが吸い込まれる。吸い込まれたゴミは、集塵袋１５に捕捉されてその内部に溜まる。
【００３０】
送風機室１２の吸込側に入った空気は排気側に送られて後流となる。この後流の一部は排気穴１１ｃから掃除機本体１の外に排気され、残りは、排気側ホース７、排気側接続管３５、軸受ホルダ４２の開口４２ｂ、プーリー５２内の通気路５２２を順に通って回転ブラシ体５の外周部に出てノズル部３の内部に吹き出し、回転ブラシ体５の回転により外周部のひねりに沿って流れる。ブラシ５１２の隙間から吹き出した空気は被清掃面に当たって被清掃面からゴミを分離する。そして再び吸込口部３１ｂに集められ、上述の経路を通って循環する。
【００３１】
回転ブラシ体５の外周部へ吹き出した空気（後流）はブラシ５１２へのゴミの付着を防ぎ、また、付着したゴミをブラシ５１２から吹き飛ばすように作用する。また、この空気はノズル部３外に出ることがなく、したがって、ノズル部３の周辺のゴミを吹き上がらせない。さらに、被清掃面が厚い絨毯等のように柔軟性があってノズル部３の底の吸込口３２ａを塞いだ場合でも、循環する空気がノズル部３内に供給されるから、吸い込み力は低下し難くなる。
【００３２】
なお、着脱自在な排気側ホース７を排気側接続管３５に接続しないときは、電動送風機１３の後流は端部７ａから集中排気されることになり、これをゴミを吹き飛ばすためのブロワーとして利用することもできる。
【００３３】
第２の実施形態について説明する。本実施形態の電気掃除機はノズル部の一部構成が第１の実施形態の電気掃除機と異なる。同一部分については同じ符号を付して、重複する説明は省略する。図６はノズル部３の底カバー３２を外した状態の下面図、図７はノズル部３に備えられた回転ブラシ体５および軸受ホルダ４１、４２の要部断面図である。
【００３４】
回転ブラシ体５は、外周面に２本の螺旋状のリブを有する回転体５１と、そのリブの上面に植毛されたブラシ５１２より成る。回転体５１は樹脂成形によって形成され、その中心の中空部にブラシ軸５３が挿入される。
【００３５】
後流側に配置される回転体５１の端部には、ブラシ軸５３に挿通されたプーリー５２が接着等で固着されている。プーリー５２の外周部はベルト３３を掛けるようになっており、内部には中央に挿通用の孔を有するボス部５２３が形成され、ボス部５２３とプーリー５２の内周部とを結合するとともに回転によりノズル部３の内部側に向けて空気を流すための複数枚の送風ファン５２４が放射状に設けられている。これらの送風ファン５２４の間には通気路となる開口が存在する。一方、回転体５１の吸込口部３１ｂ側に配置される端部は、凹部を有する円筒状の壁５１３をもった形状で、吸い込み空気の通過とゴミの飛散を防ぐ。
【００３６】
軸受ホルダ４１、４２による回転ブラシ体５の支持方法は第１の実施形態と同様である。なお、プーリー５２内に設けた送風ファン５２４の性能は径、形状および回転数によって調節できる。
【００３７】
上記構成の電気掃除機における空気の流れについて説明する。送風機室１２の吸込側に入った空気は排気側に送られて後流となる。この後流の一部は排気穴１１ｃから掃除機本体１の外に排気され、残りは、排気側ホース７、排気側接続管３５、軸受ホルダ４２の開口４２ｂ、プーリー５２内の送風ファン５２４を順に通って回転ブラシ体５の外周部に出てノズル部３の内部に吹き出し、回転ブラシ体５の回転により外周部のひねりに沿って流れる。ブラシ５１２の隙間から吹き出した空気は被清掃面に当たって被清掃面からゴミを分離する。そして再び吸込口部３１ｂに集められ、上述の経路を通って循環する。本実施形態の構成では、送風ファン５２４の働きにより、後流を強制的に回転ブラシ体５の外周部に導くことができる。
【００３８】
回転ブラシ体５の外周部へ導かれた空気（後流）はブラシ５１２へのゴミの付着を防ぎ、また、付着したゴミをブラシ５１２から吹き飛ばすように作用する。また、この空気はノズル部３外に出ることがなく、したがって、ノズル部３の周辺のゴミを吹き上がらせない。さらに、被清掃面が厚い絨毯等のように柔軟性があってノズル部３の底の吸込口３２ａを塞いだ場合でも、循環する空気が送風ファン５２４によって強制的にノズル部３内に供給されるから、吸い込み力はさらに長く保たれて一層低下し難くなり、効率のよい清掃ができる。
【００３９】
第３の実施形態について説明する。本実施形態の電気掃除機はノズル部の一部構成が第２の実施形態の電気掃除機と異なる。同一部分については同じ符号を付して、重複する説明は省略する。図８はノズル部３の底カバー３２を外した状態の下面図、図９はノズルケース３１の斜視図である。
【００４０】
図９に示すように、ノズルケース３１の吸込口部３１ｂ側の前方側面部には外気取入口３１ｅが設けられている。この外気取入口３１ｅは図８に示す吸込ファン５５の回転により外気を回転ブラシ体５の外周部に導き入れる。そのため、回転ブラシ体５の回転軸の延長上近傍に設けるのがよい。
【００４１】
図１０に回転ブラシ体５および軸受ホルダ４１、４２の要部断面を示す。回転ブラシ体５は、外周面に２本の螺旋状のリブを有する回転体５１と、そのリブの上面に植毛されたブラシ５１２より成る。回転体５１は樹脂成形によって形成され、その中心の中空部にブラシ軸５３が挿入される。
【００４２】
後流側に配置される回転体５１の端部には、第２の実施形態と同様に、内部に送風ファン５２４を設けたプーリー５２が接着等で固着されている。一方、回転体５１の吸込口部３１ｂ側に配置される端部には吸込ファン（動翼ファン）５５が取り付けられている。吸込ファン５５は、中央のボス部５５ｂ、外周部５５ｃ、および回転によりノズル部３の内部側に向けて空気を流すための放射状の複数枚のファン５５ａより成り、一体に形成されている。そして、ブラシ軸５３に挿通した後、ボス部５５ｂの端面を回転体５１に接着等にて固着している。これにより、回転体５１、吸込ファン５５、プーリー５２およびブラシ軸５３は一体化している。
【００４３】
なお、吸込ファン５５のファン５５ａとプーリー５２の送風ファン５２４のブラシ軸５３に対する傾きは逆向きに設定されており、回転体５１が回転することにより吸込ファン５５とプーリー５２は互いに逆方向（回転ブラシ体５の中央部方向）に空気を送る。
【００４４】
ブラシ軸５３の両端はベアリング４３を介して軸受ホルダ４１、４２によって支持され、ブラシ軸５３の両端にナット５４を螺入することにより、軸受ホルダ４１、４２から外れないようにされている。プーリー５２に隣接する側の軸受ホルダ４２には、電動送風機１３の後流をプーリー５２に導くための開口４２ｂが設けられている。吸込ファン５５に隣接する側の軸受ホルダ４１にも外気を吸込ファン５５に導くための開口４１ｂが設けられている。
【００４５】
軸受ホルダ４１、４２はノズルケース３１に設けられた取付リブ３１ｃ、３１ｄに装着され、底カバー３２をノズルケース３１に取り付けることにより固定される。これにより回転ブラシ体５が回転自在に支持され、軸受ホルダ４２が排気側接続管３５の前端に密着し、また、軸受ホルダ４１の開口４１ｂがノズル部３の前方側面部に設けた外気取入口３１ｅに対向する。
【００４６】
上記構成の電気掃除機における空気の流れについて説明する。送風機室１２の吸込側に入った空気は排気側に送られて後流となる。この後流の一部は排気穴１１ｃから掃除機本体１の外に排気され、残りは、排気側ホース７、排気側接続管３５、軸受ホルダ４２の開口４２ｂ、プーリー５２内の送風ファン５２４を順に通って回転ブラシ体５の外周部に出てノズル部３の内部に吹き出す。
【００４７】
一方、ノズル部３の吸込口３２ａが塞がれたり、集塵袋５に溜まるゴミの量が多くなったりすると後流の風量が低下してくる。後流の風量が低下してくると、回転ブラシ体５と共に回転する吸込ファン５５によって、ノズル部３の外の空気がノズルケース３１の外気取入口３１ｅ、軸受ホルダ４１の開口４１ｂ、吸込ファン５５の内部を順に通って回転ブラシ体５の外周部へと抵抗なく導き入れられる。この空気はプーリー５２から吹き出した後流と混合して吸込口部３１ｂに吸い込まれ、上述の経路を通って循環する。
【００４８】
吸込ファン５５および外気取入口３１ｅを設けて外気を取り入れるようにしたことで、吸い込み力の低下が大きく軽減されて効率よく掃除をすることができ、また、電動送風機１３の後流を導くプーリー５２から遠い部位のブラシ５１２へのゴミの付着が防止される。さらに、循環する空気の温度上昇も緩和されて、電動送風機１３の寿命が長くなる。
【００４９】
なお、ここではプーリー５２の内部に送風ファン５２４を備える構成としているが、第１の実施形態のように単なる通気路５２２との組み合わせにすることもできる。
【００５０】
上記の各実施形態ではアップライト型の電気掃除機の例を示したが、本発明は、ノズル部が掃除機本体から分離し両者が別個に動く別体型にも適用することができる。また、回転ブラシ体を構成する回転体の外周面を螺旋状のリブを有する形状としたが、回転体の外周面はリブのない円柱面であっても構わない。ただし、螺旋状のリブを設けた構成では、後流がリブの側面によって被清掃面に向けられ易くなるため、被清掃面からのゴミの分離が容易になる。
【００５１】
【発明の効果】
請求項１の電気掃除機によるときは、電動送風機の後流を回転ブラシ体の外周面に導くようにしたので、ブラシへのゴミの付着が防止される上、吸い込み力の低下も少なくなって吸込効率が改善される。しかも、回転ブラシ体を特殊な構造とする必要がなく、その製作が容易である。
【００５２】
請求項２の電気掃除機では、プーリーの内部を後流の通気路としてここに送風ファンを設けたので、後流をより多量かつ迅速に回転ブラシ体の外周面に導くことができ、ブラシへのゴミの付着防止や吸込効率の改善の効果が一層高くなる。
【００５３】
請求項３の電気掃除機では、ノズル部の内部に外部の空気を抵抗なく取り入れ得るため、吸い込み力の低下がほとんど生じず、効率よい掃除を長時間持続することができる。しかも、空気の温度上昇が緩和されて電動送風機が長寿命化する。また、後流を導き入れる側とは反対側から外部の空気を取り入れて回転ブラシ体の外周面に導くようにしているため、後流が届き難くなる部位のブラシへのゴミの付着も防止される。
【図面の簡単な説明】
【図１】第１の実施形態の電気掃除機の斜視図。
【図２】第１の実施形態の電気掃除機の背面図。
【図３】第１の実施形態の電気掃除機の側断面図。
【図４】第１の実施形態の電気掃除機のノズル部の底カバーを外した状態の下面図。
【図５】第１の実施形態のノズル部に備えられた回転ブラシ体および軸受ホルダの要部断面図。
【図６】第２の実施形態の電気掃除機のノズル部の底カバーを外した状態の下面図。
【図７】第２の実施形態のノズル部に備えられた回転ブラシ体および軸受ホルダの要部断面図。
【図８】第３の実施形態の電気掃除機のノズル部の底カバーを外した状態の下面図。
【図９】第３の実施形態の電気掃除機のノズルケースの斜視図。
【図１０】第３の実施形態のノズル部に備えられた回転ブラシ体および軸受ホルダの要部断面図。
【図１１】従来の電気掃除機の側断面図。
【図１２】上記従来の電気掃除機のノズル部の平断面図。
【図１３】従来の電気掃除機の別の構成のノズル部の側断面図。
【図１４】さらに別の従来の電気掃除機のノズル部の底カバーを外した状態の下面図。
【図１５】図１４のＡ−Ａでの断面図。
【符号の説明】
１ 掃除機本体
２ ハンドル体
３ ノズル部
５ 回転ブラシ体
６ 吸込側ホース
７ 排気側ホース
１１ｂ 本体カバー
１１ｃ 排気穴
１２ 送風機室
１３ 電動送風機
１４ 集塵室
１５ 集塵袋
３１ ノズルケース
３１ａ 仕切壁
３１ｂ 吸込口部
３１ｃ、３１ｄ 取付リブ
３１ｅ 外気取入口
３２ 底カバー
３２ａ 吸込口
３３ ベルト
３４ 吸込側接続管
３５ 排気側接続管
４１ 軸受ホルダ
４１ｂ 開口
４２ 軸受ホルダ
４２ｂ 開口
４３ ベアリング
５１ 回転体
５２ プーリー
５３ ブラシ軸
５５ 吸込ファン
５５ａ ファン
５１２ ブラシ
５１３ 壁
５２１ リブ
５２２ 開口
５２４ 送風ファン
【発明の属する技術分野】
本発明は、被清掃面からのゴミの分離を促進するためにノズル部に回転ブラシ体を備えた電気掃除機に関する。
【０００２】
【従来の技術】
空気と共にゴミを吸い込むノズル部に回転ブラシ体を備え、回転ブラシ体で被清掃面を摺擦することにより、被清掃面からのゴミの分離を促進するようにした電気掃除機が従来より知られている。また、吸い込み気流を発生させるための電動送風機の後流を被清掃面に吹き付けることにより、被清掃面からのゴミの分離を促進する電気掃除機が、特開平７−１３６０８２号公報に提案されている。この公報に示されている電気掃除機の構成を図１１〜１３に示す。
【０００３】
図１１は側方から見た電気掃除機全体の断面図であり、図１２は上方から見たノズル部の断面図である。この電気掃除機はノズル部７１を掃除機本体７２の下部に設けたアップライト型に構成されている。これらの図において、７３は電動送風機であり、その後部に集塵袋７４が取り付けられている。電動送風機７３と集塵袋７４は掃除機本体７２の本体カバー７５内に収められており、本体カバー７５には集塵袋７４を出し入れするための蓋７６が設けられている。掃除機本体７２には移動用の把手７７が備えられており、本体カバー７５には電動送風機７３の後流を掃除機本体７２の外部へ排出するための排気口８４が形成されている。
【０００４】
ノズル部７１の下面にはゴミを吸い込むための吸込口７８が設けられており、この吸込口７８と集塵袋７４は吸込流路７９で接続されている。また、ノズル部７１内部の走行方向前方には被清掃面９０に向けて吹出口８０が設けられており、吹出口８０と掃除機本体７２は還流路８１で接続されている。
【０００５】
電動送風機７３を動作させると吸込流８２と後流が同時に発生し、後流の一部８３は排気口８４を通って掃除機機本体７２の外部に排出される。後流の他の一部８５は、還流路８１を通って吹出口８０より被清掃面に吹き付けられる。これにより被清掃面９０のゴミは吹き上げられ、さらに吸込流によって吸込口７８から吸い込まれ、吸込流路７９を通って集塵袋７４へと導かれてここに溜まる。空気はノズル部７１内に設けた吸込口７８から、集塵袋７４、還流路８１の端部に設けられた吹出口８０、被清掃面９０へと順次通って、再び吸込口７８に至ることになり、吸込気流を常に循環させるための循環路が形成されている。
【０００６】
図１３は、別の構成のノズル部８６を側方から見た断面図を示したものである。ノズル部８６には、上記吹出口８０と同じ吹出口８７が設けられており、その後方の吸込口８８には回転ブラシ体８９が備えられている。回転ブラシ体８９はベルトを介してモーターから供給される駆動力で回転し、被清掃面９０を摺擦する。被清掃面９０が絨毯等のゴミが絡みつき易いものである場合、吹出口８７から吹き出される空気ではゴミを分離できないことがあるが、回転ブラシ体８９によってかき上げて分離することができる。
【０００７】
しかしながら、上記公報の構成では、還流路端部に設けた吹出口と吸込口とが壁で仕切られて別個になっており、吸込口内に設けた回転ブラシ体に直接還流しないため、糸屑や毛髪等のゴミが回転ブラシ体に絡まってしまうという問題があった。また、吹出口からの空気がノズル部と被清掃面との隙間からノズル部外に出易いため、被清掃面から吹き上げられたゴミがノズル部の周囲に広がったり、吸い込み能力が低下したりすることがあった。
【０００８】
そこで本出願人は、これらの問題を解決し得る電気掃除機を特願平１０−１３６６７号公報にて提案した。この電気掃除機の要部を図１４に示す。この電気掃除機は、ノズル部３の回転ブラシ体５の直下に吸込口を設け、回転ブラシ体５を内部から外周面に達する貫通孔５１１を有する円筒状に形成し、さらに、電動送風機１３の後流を回転ブラシ体５の内部に導く還流路３５を設けて、電動送風機１３の後流を貫通孔５１１より吸込口を介して被清掃面に吹き付けるようにしたものである。
【０００９】
回転ブラシ体５の断面を図１５に示す。回転ブラシ体５は、中空円筒状の回転体５１と、これに植毛されたブラシ５１２と、貫通孔５１１より成り、貫通孔５１１はブラシ５１２に近接する位置に形成されている。貫通孔５１１より吹き出す空気によってブラシ５１２への糸屑等のゴミの付着が防止され、また、被清掃面に吹き付けられた空気は直ちに再び吸い込まれて、ノズル部３の周辺にゴミを吹き広げることがなくなる。
【００１０】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の構成では、回転ブラシ体の製作が複雑で手間がかかるため、製造コストの上昇を招くことになる。また、回転体が中空でしかも内部から外周面に達する貫通孔を有するため強度が低下して破損し易くなり、これを防止するために回転体を大径に形成する必要が生じて、ノズル部も大型化して操作性が損なわれるという問題が生じる。
【００１１】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、回転ブラシ体の構成が簡素でありながら、回転ブラシ体にゴミが絡まり難く、しかも高い吸い込み能力を安定して維持し得る電気掃除機を提供することを目的とする。
【００１２】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、電動送風機と集塵室を有する掃除機本体と、下面に開口を有するノズル部と、ノズル部の内部と集塵室を接続する吸込路と、ノズル部の内部に設けられ、外周面にブラシを有し水平な軸を中心に回転する回転ブラシ体とを備え、電動送風機が発生する気流により吸込路を介してノズル部の開口から空気と共にゴミを吸い込み、吸い込んだゴミを集塵室に収容した集塵袋に捕捉するとともに、回転ブラシ体のブラシで開口に対面する被清掃面を摺擦することによって被清掃面からのゴミの分離を促進する電気掃除機において、電動送風機の後流を回転ブラシ体の端部近傍に導く還流路を設けるとともに、導かれた電動送風機の後流を回転軸に沿って回転ブラシ体の外周面に導く通気路となる開口を回転ブラシ体の回転軸方向の延長上に設けるようにする。
【００１３】
この電気掃除機では、ノズル部内の空気は吸込路を通って集塵室に至り、集塵袋でゴミを除去された後、還流路を通ってノズル部内に戻り、回転ブラシ体の端部に向けて吹き出す。そして、通気路によって回転ブラシ体の軸に沿う方向に案内されて回転ブラシ体の外周面に導かれ、同時に被清掃面に吹き付ける。通気路によって回転ブラシ体の外周面に導かれる空気は回転ブラシ体の外周面に設けられたブラシへのゴミの付着を妨げ、また、付着したゴミをブラシから吹き飛ばす。ノズル部の内部には電動送風機による吸引力が生じており、被清掃面に吹き付けた空気は再び吸込路に吸い込まれる。したがって、循環する空気がノズル部外に出ることがなく、ゴミがノズル部の周囲に広がらず、また、吸い込み力も低下し難い。
【００１４】
本発明ではまた、電動送風機と集塵室を有する掃除機本体と、下面に開口を有するノズル部と、ノズル部の内部と集塵室を接続する吸込路と、ノズル部の内部に設けられ、外周面にブラシを有し水平な軸を中心に回転する回転ブラシ体とを備え、電動送風機が発生する気流により吸込路を介してノズル部の開口から空気と共にゴミを吸い込み、吸い込んだゴミを集塵室に収容した集塵袋に捕捉するとともに、回転ブラシ体のブラシで開口に対面する被清掃面を摺擦することによって被清掃面からのゴミの分離を促進する電気掃除機において、電動送風機の後流を回転ブラシ体の端部近傍に導く還流路を設けるとともに、導かれた電動送風機の後流を回転軸に沿って回転ブラシ体の外周面に導く通気路を回転ブラシ体の端部に設け、さらに、回転ブラシ体の端部に回転力を受けるためのプーリーを備え、このプーリーに前記通気路となる貫通孔を設けるとともに、回転によって空気を回転ブラシ体の外周面に送るための送風ファンをその貫通孔の内部に備えるようにする。プーリーの回転に伴って送風ファンが回転し、還流路からの空気を効率よく回転ブラシ体の外周面に導くことができる。
【００１５】
また、回転ブラシ体の通気路と反対側の端部に回転によって空気を回転ブラシ体の外周面に送るための動翼ファンを設け、ノズル部の動翼ファンに対向する部位に外気取入口を設ける。回転ブラシ体の通気路と反対側の端部側には通気路からの空気が到達し難くなるが、その部位の外周面にも動翼ファンで空気を導くことができる。しかも、外気を取り入れることで、空気の還流を安定して持続させることが可能になり、掃除機本体の温度上昇も防止される。
【００１７】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。第１の実施形態の電気掃除機の外観を図１および図２に示す。図１は電気掃除機を斜め前方から見た斜視図、図２は背面図であり、内部を一部透視して表している。この電気掃除機は掃除機本体１とその下部に設けられたノズル部３より成り、アップライト型として構成されている。掃除機本体１の上部には移動用のハンドル体２が設けられている。
【００１８】
掃除機本体１の最下部には送風機室１２があり、送風機室１２内には気流を発生するための電動送風機１３が備えられている。送風機室１２の上方には集塵室１４が設けられており、集塵室１４には集塵袋１５が収容されている。掃除機本体１の前部は本体カバー１１ｂで覆われており、本体カバー１１ｂは集塵袋１５の着脱のために開閉可能になっている。集塵室１４は本体カバー１１ｂを閉じることにより密閉される。送風機室１２の前流（吸込流）側は集塵室１４と連通している。
【００１９】
掃除機本体１の左前部には電動送風機１３の後流（排気流）の一部を外部に排出するためのスリット状の排気穴１１ｃが形成されており、背面には持ち運び用のさげ手１１ｄが設けられている。１６は電源スイッチ、１７は電源コードである。掃除機本体１の下端後部には走行用の後車輪１８が備えられている。
【００２０】
ノズル部３は内部に回転ブラシ体５を備えており、ノズルケース３１および底カバー３２によって覆われている。底カバー３２はノズルケース３１にネジ止めされている。ノズル部３と掃除機本体１は吸込側ホース６と排気側ホース７とで接続されている。吸込側ホース６はノズル部３の内部を集塵室１４に接続しており、排気側ホース７は送風機室１２の後流側をノズル部３の内部に接続している。
【００２１】
図３に側方から見た本実施形態の電気掃除機の断面を示し、図４に底カバー３２を外した状態で下方から見たノズル部３を示す。掃除機本体１の左右にはボス１１ａが形成されている。ノズル部３はこれらのボス１１ａに取り付けられており、ボス１１ａを支点に前後自在に回動する。
【００２２】
回転ブラシ体５はノズル部３の内部前方の左右中央部に水平に配設されている。回転ブラシ体５の一端にはプーリー５２が取り付けられており、電動送風機１３の軸１３ａとプーリー５２はベルト３３で連結されている。電動送風機１３の回転はベルト３３によってプーリー５２に伝えられ、これにより回転ブラシ体５が回転する。底カバー３２のうち回転ブラシ体５に対面する部位には左右に長い吸込口３２ａが形成されており、回転ブラシ体５はこの吸込口３２ａを介して外部に面している。
【００２３】
回転ブラシ体５の後方には仕切壁３１ａが設けられており、右側面側に吸込口部３１ｂが形成されている。吸込口部３１ｂの後方には吸込側接続管３４が配設されており、吸込側接続管３４の前端は吸込口部３１ｂに、後端は前述の吸込側ホース６に接続されている。
【００２４】
ノズル部３の左側面側には排気側接続管３５が配設されており、その後端には前述の排気側ホース７の端部７ａが挿嵌される。排気側ホース７は可撓性を有し、その端部７ａは排気側接続管３５に着脱自在である。端部７ａには、集塵袋１５から漏出した微細な塵を捕捉するために、着脱可能なフィルター７ｂが装着されている。
【００２５】
図５は、回転ブラシ体５およびこれを支持する軸受ホルダ４１、４２の要部断面図である。回転ブラシ体５は、外周面に２本の螺旋状のリブを有する回転体５１と、そのリブの上面に植毛されたブラシ５１２より成る。回転体５１は樹脂成形によって形成され、その中心の中空部にブラシ軸５３が挿入される。
【００２６】
後流側に配置される回転体５１の端部には、ブラシ軸５３に挿通されたプーリー５２が接着等で固着されている。プーリー５２の外周部はベルト３３を掛けるようになっており、内部には中心に挿通用の孔を有するボス部５２３が形成され、ボス部５２３とプーリー５２の内周部とを結合するための複数本のリブ５２１が放射状に設けられている。これらのリブ５２１の間には開口が存在し、プーリー５２の内部は後流をブラシ軸５３に沿う方向に通過させる通気路５２２となっている。一方、回転体５１の吸込口部３１ｂ側に配置される端部は、凹部を有する円筒状の壁５１３をもった形状で、吸い込み空気の通過とゴミの飛散を防ぐ。
【００２７】
なお、電動送風機１３の後流を多く還流させるために、通気路５２２の径および面積はできるだけ大きく設定することが望ましい。ただし、プーリー５２の径の大きさによって制限を受ける。通気路５２２を通る空気の量は、掃除機本体１の排気穴１１ｃの面積にも関係するが、回転体５１の回転数によっても任意に調節することが可能である。
【００２８】
ブラシ軸５３の両端はベアリング４３を介して軸受ホルダ４１、４２によって支持され、ブラシ軸５３の両端にナット５４を螺入することにより、軸受ホルダ４１、４２から外れないようにされている。プーリー５２に隣接する側の軸受ホルダ４２には、電動送風機１３の後流を通気路５２２に導くための開口４２ｂが設けられている。壁５１３側の軸受ホルダ４１は、開口をもたない形状としている。軸受ホルダ４１、４２はノズルケース３１に設けられた取付リブ３１ｃ、３１ｄに装着され、底カバー３２をノズルケース３１に取り付けることにより固定される。これにより回転ブラシ体５が回転自在に支持され、また、軸受ホルダ４２が排気側接続管３５の前端に密着する。
【００２９】
上記構成の電気掃除機における空気の流れについて説明する。電源スイッチ１６を操作して電力を供給すると、電動送風機１３が回転し、同時に回転ブラシ体５も回転する。電動送風機１３の回転により吸引力が生じ、ノズル部３の周辺の空気が吸込口３２ａからノズル部３内に入り、吸込口部３１ｂ、吸込側接続管３４、吸込側ホース６を順に通って集塵室１４に入り、さらに集塵袋１５を透過して送風機室１２の吸込側に達する。電動送風機１３のこの前流とともにノズル部３の下方および周辺の被清掃面のゴミが吸い込まれる。吸い込まれたゴミは、集塵袋１５に捕捉されてその内部に溜まる。
【００３０】
送風機室１２の吸込側に入った空気は排気側に送られて後流となる。この後流の一部は排気穴１１ｃから掃除機本体１の外に排気され、残りは、排気側ホース７、排気側接続管３５、軸受ホルダ４２の開口４２ｂ、プーリー５２内の通気路５２２を順に通って回転ブラシ体５の外周部に出てノズル部３の内部に吹き出し、回転ブラシ体５の回転により外周部のひねりに沿って流れる。ブラシ５１２の隙間から吹き出した空気は被清掃面に当たって被清掃面からゴミを分離する。そして再び吸込口部３１ｂに集められ、上述の経路を通って循環する。
【００３１】
回転ブラシ体５の外周部へ吹き出した空気（後流）はブラシ５１２へのゴミの付着を防ぎ、また、付着したゴミをブラシ５１２から吹き飛ばすように作用する。また、この空気はノズル部３外に出ることがなく、したがって、ノズル部３の周辺のゴミを吹き上がらせない。さらに、被清掃面が厚い絨毯等のように柔軟性があってノズル部３の底の吸込口３２ａを塞いだ場合でも、循環する空気がノズル部３内に供給されるから、吸い込み力は低下し難くなる。
【００３２】
なお、着脱自在な排気側ホース７を排気側接続管３５に接続しないときは、電動送風機１３の後流は端部７ａから集中排気されることになり、これをゴミを吹き飛ばすためのブロワーとして利用することもできる。
【００３３】
第２の実施形態について説明する。本実施形態の電気掃除機はノズル部の一部構成が第１の実施形態の電気掃除機と異なる。同一部分については同じ符号を付して、重複する説明は省略する。図６はノズル部３の底カバー３２を外した状態の下面図、図７はノズル部３に備えられた回転ブラシ体５および軸受ホルダ４１、４２の要部断面図である。
【００３４】
回転ブラシ体５は、外周面に２本の螺旋状のリブを有する回転体５１と、そのリブの上面に植毛されたブラシ５１２より成る。回転体５１は樹脂成形によって形成され、その中心の中空部にブラシ軸５３が挿入される。
【００３５】
後流側に配置される回転体５１の端部には、ブラシ軸５３に挿通されたプーリー５２が接着等で固着されている。プーリー５２の外周部はベルト３３を掛けるようになっており、内部には中央に挿通用の孔を有するボス部５２３が形成され、ボス部５２３とプーリー５２の内周部とを結合するとともに回転によりノズル部３の内部側に向けて空気を流すための複数枚の送風ファン５２４が放射状に設けられている。これらの送風ファン５２４の間には通気路となる開口が存在する。一方、回転体５１の吸込口部３１ｂ側に配置される端部は、凹部を有する円筒状の壁５１３をもった形状で、吸い込み空気の通過とゴミの飛散を防ぐ。
【００３６】
軸受ホルダ４１、４２による回転ブラシ体５の支持方法は第１の実施形態と同様である。なお、プーリー５２内に設けた送風ファン５２４の性能は径、形状および回転数によって調節できる。
【００３７】
上記構成の電気掃除機における空気の流れについて説明する。送風機室１２の吸込側に入った空気は排気側に送られて後流となる。この後流の一部は排気穴１１ｃから掃除機本体１の外に排気され、残りは、排気側ホース７、排気側接続管３５、軸受ホルダ４２の開口４２ｂ、プーリー５２内の送風ファン５２４を順に通って回転ブラシ体５の外周部に出てノズル部３の内部に吹き出し、回転ブラシ体５の回転により外周部のひねりに沿って流れる。ブラシ５１２の隙間から吹き出した空気は被清掃面に当たって被清掃面からゴミを分離する。そして再び吸込口部３１ｂに集められ、上述の経路を通って循環する。本実施形態の構成では、送風ファン５２４の働きにより、後流を強制的に回転ブラシ体５の外周部に導くことができる。
【００３８】
回転ブラシ体５の外周部へ導かれた空気（後流）はブラシ５１２へのゴミの付着を防ぎ、また、付着したゴミをブラシ５１２から吹き飛ばすように作用する。また、この空気はノズル部３外に出ることがなく、したがって、ノズル部３の周辺のゴミを吹き上がらせない。さらに、被清掃面が厚い絨毯等のように柔軟性があってノズル部３の底の吸込口３２ａを塞いだ場合でも、循環する空気が送風ファン５２４によって強制的にノズル部３内に供給されるから、吸い込み力はさらに長く保たれて一層低下し難くなり、効率のよい清掃ができる。
【００３９】
第３の実施形態について説明する。本実施形態の電気掃除機はノズル部の一部構成が第２の実施形態の電気掃除機と異なる。同一部分については同じ符号を付して、重複する説明は省略する。図８はノズル部３の底カバー３２を外した状態の下面図、図９はノズルケース３１の斜視図である。
【００４０】
図９に示すように、ノズルケース３１の吸込口部３１ｂ側の前方側面部には外気取入口３１ｅが設けられている。この外気取入口３１ｅは図８に示す吸込ファン５５の回転により外気を回転ブラシ体５の外周部に導き入れる。そのため、回転ブラシ体５の回転軸の延長上近傍に設けるのがよい。
【００４１】
図１０に回転ブラシ体５および軸受ホルダ４１、４２の要部断面を示す。回転ブラシ体５は、外周面に２本の螺旋状のリブを有する回転体５１と、そのリブの上面に植毛されたブラシ５１２より成る。回転体５１は樹脂成形によって形成され、その中心の中空部にブラシ軸５３が挿入される。
【００４２】
後流側に配置される回転体５１の端部には、第２の実施形態と同様に、内部に送風ファン５２４を設けたプーリー５２が接着等で固着されている。一方、回転体５１の吸込口部３１ｂ側に配置される端部には吸込ファン（動翼ファン）５５が取り付けられている。吸込ファン５５は、中央のボス部５５ｂ、外周部５５ｃ、および回転によりノズル部３の内部側に向けて空気を流すための放射状の複数枚のファン５５ａより成り、一体に形成されている。そして、ブラシ軸５３に挿通した後、ボス部５５ｂの端面を回転体５１に接着等にて固着している。これにより、回転体５１、吸込ファン５５、プーリー５２およびブラシ軸５３は一体化している。
【００４３】
なお、吸込ファン５５のファン５５ａとプーリー５２の送風ファン５２４のブラシ軸５３に対する傾きは逆向きに設定されており、回転体５１が回転することにより吸込ファン５５とプーリー５２は互いに逆方向（回転ブラシ体５の中央部方向）に空気を送る。
【００４４】
ブラシ軸５３の両端はベアリング４３を介して軸受ホルダ４１、４２によって支持され、ブラシ軸５３の両端にナット５４を螺入することにより、軸受ホルダ４１、４２から外れないようにされている。プーリー５２に隣接する側の軸受ホルダ４２には、電動送風機１３の後流をプーリー５２に導くための開口４２ｂが設けられている。吸込ファン５５に隣接する側の軸受ホルダ４１にも外気を吸込ファン５５に導くための開口４１ｂが設けられている。
【００４５】
軸受ホルダ４１、４２はノズルケース３１に設けられた取付リブ３１ｃ、３１ｄに装着され、底カバー３２をノズルケース３１に取り付けることにより固定される。これにより回転ブラシ体５が回転自在に支持され、軸受ホルダ４２が排気側接続管３５の前端に密着し、また、軸受ホルダ４１の開口４１ｂがノズル部３の前方側面部に設けた外気取入口３１ｅに対向する。
【００４６】
上記構成の電気掃除機における空気の流れについて説明する。送風機室１２の吸込側に入った空気は排気側に送られて後流となる。この後流の一部は排気穴１１ｃから掃除機本体１の外に排気され、残りは、排気側ホース７、排気側接続管３５、軸受ホルダ４２の開口４２ｂ、プーリー５２内の送風ファン５２４を順に通って回転ブラシ体５の外周部に出てノズル部３の内部に吹き出す。
【００４７】
一方、ノズル部３の吸込口３２ａが塞がれたり、集塵袋５に溜まるゴミの量が多くなったりすると後流の風量が低下してくる。後流の風量が低下してくると、回転ブラシ体５と共に回転する吸込ファン５５によって、ノズル部３の外の空気がノズルケース３１の外気取入口３１ｅ、軸受ホルダ４１の開口４１ｂ、吸込ファン５５の内部を順に通って回転ブラシ体５の外周部へと抵抗なく導き入れられる。この空気はプーリー５２から吹き出した後流と混合して吸込口部３１ｂに吸い込まれ、上述の経路を通って循環する。
【００４８】
吸込ファン５５および外気取入口３１ｅを設けて外気を取り入れるようにしたことで、吸い込み力の低下が大きく軽減されて効率よく掃除をすることができ、また、電動送風機１３の後流を導くプーリー５２から遠い部位のブラシ５１２へのゴミの付着が防止される。さらに、循環する空気の温度上昇も緩和されて、電動送風機１３の寿命が長くなる。
【００４９】
なお、ここではプーリー５２の内部に送風ファン５２４を備える構成としているが、第１の実施形態のように単なる通気路５２２との組み合わせにすることもできる。
【００５０】
上記の各実施形態ではアップライト型の電気掃除機の例を示したが、本発明は、ノズル部が掃除機本体から分離し両者が別個に動く別体型にも適用することができる。また、回転ブラシ体を構成する回転体の外周面を螺旋状のリブを有する形状としたが、回転体の外周面はリブのない円柱面であっても構わない。ただし、螺旋状のリブを設けた構成では、後流がリブの側面によって被清掃面に向けられ易くなるため、被清掃面からのゴミの分離が容易になる。
【００５１】
【発明の効果】
請求項１の電気掃除機によるときは、電動送風機の後流を回転ブラシ体の外周面に導くようにしたので、ブラシへのゴミの付着が防止される上、吸い込み力の低下も少なくなって吸込効率が改善される。しかも、回転ブラシ体を特殊な構造とする必要がなく、その製作が容易である。
【００５２】
請求項２の電気掃除機では、プーリーの内部を後流の通気路としてここに送風ファンを設けたので、後流をより多量かつ迅速に回転ブラシ体の外周面に導くことができ、ブラシへのゴミの付着防止や吸込効率の改善の効果が一層高くなる。
【００５３】
請求項３の電気掃除機では、ノズル部の内部に外部の空気を抵抗なく取り入れ得るため、吸い込み力の低下がほとんど生じず、効率よい掃除を長時間持続することができる。しかも、空気の温度上昇が緩和されて電動送風機が長寿命化する。また、後流を導き入れる側とは反対側から外部の空気を取り入れて回転ブラシ体の外周面に導くようにしているため、後流が届き難くなる部位のブラシへのゴミの付着も防止される。
【図面の簡単な説明】
【図１】第１の実施形態の電気掃除機の斜視図。
【図２】第１の実施形態の電気掃除機の背面図。
【図３】第１の実施形態の電気掃除機の側断面図。
【図４】第１の実施形態の電気掃除機のノズル部の底カバーを外した状態の下面図。
【図５】第１の実施形態のノズル部に備えられた回転ブラシ体および軸受ホルダの要部断面図。
【図６】第２の実施形態の電気掃除機のノズル部の底カバーを外した状態の下面図。
【図７】第２の実施形態のノズル部に備えられた回転ブラシ体および軸受ホルダの要部断面図。
【図８】第３の実施形態の電気掃除機のノズル部の底カバーを外した状態の下面図。
【図９】第３の実施形態の電気掃除機のノズルケースの斜視図。
【図１０】第３の実施形態のノズル部に備えられた回転ブラシ体および軸受ホルダの要部断面図。
【図１１】従来の電気掃除機の側断面図。
【図１２】上記従来の電気掃除機のノズル部の平断面図。
【図１３】従来の電気掃除機の別の構成のノズル部の側断面図。
【図１４】さらに別の従来の電気掃除機のノズル部の底カバーを外した状態の下面図。
【図１５】図１４のＡ−Ａでの断面図。
【符号の説明】
１ 掃除機本体
２ ハンドル体
３ ノズル部
５ 回転ブラシ体
６ 吸込側ホース
７ 排気側ホース
１１ｂ 本体カバー
１１ｃ 排気穴
１２ 送風機室
１３ 電動送風機
１４ 集塵室
１５ 集塵袋
３１ ノズルケース
３１ａ 仕切壁
３１ｂ 吸込口部
３１ｃ、３１ｄ 取付リブ
３１ｅ 外気取入口
３２ 底カバー
３２ａ 吸込口
３３ ベルト
３４ 吸込側接続管
３５ 排気側接続管
４１ 軸受ホルダ
４１ｂ 開口
４２ 軸受ホルダ
４２ｂ 開口
４３ ベアリング
５１ 回転体
５２ プーリー
５３ ブラシ軸
５５ 吸込ファン
５５ａ ファン
５１２ ブラシ
５１３ 壁
５２１ リブ
５２２ 開口
５２４ 送風ファン
Claims (3)
- 電動送風機と集塵室を有する掃除機本体と、下面に開口を有するノズル部と、前記ノズル部の内部と前記集塵室を接続する吸込路と、前記ノズル部の内部に設けられ、外周面にブラシを有し水平な軸を中心に回転する回転ブラシ体とを備え、前記電動送風機が発生する気流により前記吸込路を介して前記ノズル部の開口から空気と共にゴミを吸い込み、吸い込んだゴミを前記集塵室に収容した集塵袋に捕捉するとともに、前記回転ブラシ体のブラシで前記開口に対面する被清掃面を摺擦することによって被清掃面からのゴミの分離を促進する電気掃除機において、
前記電動送風機の後流を前記回転ブラシ体の端部近傍に導く還流路を設けるとともに、導かれた前記電動送風機の後流を前記軸に沿って前記回転ブラシ体の外周面に導く通気路となる開口を前記回転ブラシ体の前記軸方向の延長上に設けたことを特徴とする電気掃除機。 - 電動送風機と集塵室を有する掃除機本体と、下面に開口を有するノズル部と、前記ノズル部の内部と前記集塵室を接続する吸込路と、前記ノズル部の内部に設けられ、外周面にブラシを有し水平な軸を中心に回転する回転ブラシ体とを備え、前記電動送風機が発生する気流により前記吸込路を介して前記ノズル部の開口から空気と共にゴミを吸い込み、吸い込んだゴミを前記集塵室に収容した集塵袋に捕捉するとともに、前記回転ブラシ体のブラシで前記開口に対面する被清掃面を摺擦することによって被清掃面からのゴミの分離を促進する電気掃除機において、
前記電動送風機の後流を前記回転ブラシ体の端部近傍に導く還流路を設けるとともに、導かれた前記電動送風機の後流を前記軸に沿って前記回転ブラシ体の外周面に導く通気路を前記回転ブラシ体の端部に設け、
さらに、前記回転ブラシ体の端部に回転力を受けるためのプーリーを備え、該プーリーに前記通気路となる貫通孔を設けるとともに、回転によって空気を前記回転ブラシ体の外周面に送るための送風ファンを前記貫通孔の内部に備えることを特徴とする電気掃除機。 - 前記回転ブラシ体の前記通気路と反対側の端部に回転によって空気を前記回転ブラシ体の外周面に送るための動翼ファンを設け、前記ノズル部の前記動翼ファンに対向する部位に外気取入口を設けたことを特徴とする請求項２に記載の電気掃除機。
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