JP3596745B2 - シート状搬送物の切断機構および写真処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ユニットの搬送経路に搬送される長尺なシート状搬送物を幅方向に切断するためのシート状搬送物の切断機構およびこれを用いた写真処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、写真処理装置、印刷装置等、長尺なシート状搬送物を取り扱う装置は、それぞれ処理内容の異なる複数の処理ユニットと、それぞれのユニットを連絡するように配置された搬送ユニットとを備えており、シート状搬送物を搬送ユニットによって搬送させる間、それぞれの処理ユニットにてシート状搬送物に所定の処理を施し、しかる後、搬送ユニットの最下流側からシート状搬送物を結果物として取り出す構成が採用されている。
【0003】
この場合、写真処理装置を例にとって概略を述べると、マガジンから長尺なシート状搬送物であるロール状の感光材料を引き出し、所定長さに切断してから露光処理ユニットで露光処理を施し、現像処理ユニットで現像処理を施した後、乾燥ユニットで乾燥処理して写真を得るものであり、感光材料の搬送を担う搬送ユニットは、マガジンから露光処理ユニット、現像処理ユニット、乾燥処理ユニットを連絡するように配置されている。
【0004】
ところで、これら、露光処理ユニット、現像処理ユニット、乾燥処理ユニット、搬送ユニット等の各ユニットは、組立・分解の容易化の観点から、それぞれが機構的に独立した構成にされている。特に、搬送ユニットにあっては、装置本体内の至る領域に配置されるものであるため、複数のユニットに分割されている。そして、一部のユニットは、メンテナンス性向上の観点から、装置本体から引き出し可能となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の構成によれば、搬送中の不具合によりシート状搬送物が搬送経路上で詰まって停止した場合、まず、ハサミやカッターナイフ等を用いて手を装置本体内に突っ込んで各ユニット間に所在する停止したシート状搬送物を切断した後、移動規制が解除されたユニットを引き出し、このユニット内に残るシート状搬送物の片を取り除くという極めて煩雑な作業を行なっていた。かかる作業は、装置本体内の限られた狭い空間での作業となり、作業性が悪く、時間がかかると共に、刃物等を扱うために危険性を伴うものであった。
【0006】
そこで、本発明は、上記従来技術に係る問題を解決するためになされたものであって、搬送されるシート状搬送物が搬送経路上で詰まって停止した場合であっても、迅速且つ容易に対処することができるシート状搬送物の切断機構および写真処理装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、上記課題を解決するための本発明に係るシート状搬送物の切断機構は、長尺なシート状搬送物Pを長手方向に搬送させるための搬送経路が設けられたユニット30に、搬送経路の幅方向に往復動可能な可動体37が設けられ、しかも、該可動体37には、該可動体37の移動に伴ってシート状搬送物Pを幅方向に切断するための刃51が備えられてなることを特徴とする。
【0008】
上記構成からなるシート状搬送物の切断機構によれば、可動体37をユニット30に対して相対移動させることで、可動体37に取付けられた刃51は、搬送経路を横切るように移動することとなる。従って、シート状搬送物が搬送経路上に所在し且つ停止している状態においては、可動体37の移動によってシート状搬送物が幅方向に切断されることとなる。
【0009】
また、本発明に係るシート状搬送物の切断機構は、可動体37が、搬送経路の搬送面を挟み込むように対向配置される二枚の板体42,42を有し、前記刃51が、二枚の板体42,42間に配置されている。かかる構成からなるシート状搬送物の切断機構によれば、対向配置された二枚の板体42,42の間をシート状搬送物が通過するものであり、搬送経路上でシート状搬送物が詰まって停止した際、可動体37を移動させれば、二枚の板体42,42間に配置された刃51が搬送経路を横切り、詰まったシート状搬送物の切断を行なう。
【0010】
さらに、本発明に係るシート状搬送物の切断機構は、請求項2記載の如く、二つの板体42,42のうち、搬送経路の上流側端42aが、互いに離間してテーパ状に拡開されてなる構成を採用するのがより好ましい。かかる構成からなるシート状搬送物の切断機構によれば、搬送されるシート状搬送物の先端がわずかにカールしている場合であっても、上流側から搬送されてくるシート状搬送物は、板体42,42のテーパ面に当接して自然と二枚の板体42,42間に誘導されることとなるので、シート状搬送物の搬送性が阻害されることはない。
【0011】
また、本発明に係るシート状搬送物の切断機構は、請求項3記載の如く、可動体37を所定位置に維持すべく、前記ユニット30に対する可動体37の往復動を規制する固定手段46が設けられてなる構成を採用するのが好ましい。かかる構成からなるシート状搬送物の切断機構によれば、可動体37が不用意に移動することはなくなり、シート状搬送物の搬送性は阻害されない。
【0012】
さらに、本発明に係る写真処理装置は、請求項4記載の如く、長尺なシート状搬送物である感光材料Pを長手方向に搬送させるための搬送経路を備えた、少なくとも二以上のユニット21,21,30が、互いの搬送経路を連続させて装置本体1内に配置されると共に、前記ユニット21,21,30の少なくとも一つが、装置本体1から搬送経路の幅方向に引き出し可能に構成された写真処理装置において、前記引き出し可能なユニット30に、搬送経路の幅方向に往復動可能な可動体37が設けられ、しかも、該可動体37は、搬送経路の搬送面を挟み込むように対向配置される二枚の板体42,42を有し、さらに、該二枚の板体42,42間には、該可動体37の移動に伴ってシート状搬送物Pを幅方向に切断するための刃51が配置されてなることを特徴とするものである。
【0013】
上記構成からなる請求項4記載の写真処理装置によれば、感光材料Pの詰まりが生じた際、可動体37を感光材料Pの幅方向に移動させることによって、ハサミ等を用いて装置本体1内に手を突っ込むようなことをしなくとも、感光材料Pを簡単に切断することができる。従って、二つのユニット間に跨がった状態で停止し、該二つのユニットの相対移動を阻止する詰まった感光材料Pが切断されることで、各ユニットを装置本体1から引き出すことができ、引き出したユニットからは、切断した感光材料Pを迅速且つ容易に除去することができる。
【0014】
また、本発明に係る写真処理装置は、請求項5記載の如く、長尺なシート状搬送物である感光材料Pをロール状にして収容した、少なくとも二以上のマガジン21,…と、各マガジン21の供給口23に連絡して下流側で一本に合流される搬送経路に、少なくとも二以上の感光材料P,…の何れかを選択的に搬送させる搬送ユニット30とが、装置本体1内に配置されると共に、前記マガジン21,…と前記搬送ユニット30とが、装置本体1から搬送経路の幅方向に引き出し可能に構成された写真処理装置において、前記搬送ユニット30であって、各マガジン21の供給口23と対向する部位に、搬送経路の幅方向に往復動可能な可動体37がそれぞれ設けられ、しかも、各可動体37は、搬送経路の搬送面を挟み込むように対向配置され且つ各マガジン21の供給口23と対向配置される二枚の板体42,42を有し、さらに、各二枚の板体42,42間には、該可動体37の移動に伴って感光材料Pを幅方向に切断するための刃51が配置されてなることを特徴とする。
【0015】
上記構成からなる請求項5記載の写真処理装置によれば、マガジン21から搬送ユニット30に感光材料Pが移行する際に紙詰まりが生じた時は、まず、ユニット30の可動体37を手前に引き出す。そして、ユニット30とマガジン21とに跨がる感光材料Pが切断されたならば、装置本体1からユニット30を引き出す。そして、装置本体1から引き出された状態のユニット30から、ユニット30内に残る切断された感光材料Pのシートを取り除くのである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を参酌しつつ説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る写真処理装置の概略斜視図を示したものである。本実施形態に係る写真処理装置の装置本体1は、ロール状に巻回された感光材料(シート状搬送物)を所定の大きさに切断し、フィルム上の画像を拡大投影して感光材料を露光処理する露光処理部2と、露光処理された感光材料を現像処理する現像処理部8と、現像処理された感光材料を乾燥処理する乾燥処理ユニット9と、乾燥処理された感光材料をオーダー毎に仕分け処理する仕分け処理ユニット11等とを用いて構成されている。
【0018】
露光処理部2は、露光ステージに位置決めされた感光材料の露光処理を行う露光処理ユニット、およびマガジンから感光材料を適宜引き出して露光ステージに搬送する搬送ユニット等をカバー2a内に備えている。そして、露光ステージに位置決めされた感光材料に対して直交する方向には、レンズユニットが配されており、光源部3から発せられた光がミラートンネル4内で反射され、フィルムマスク5にセットされたフィルム上の画像を通り、レンズユニットに投射されるように構成されている。また、露光処理部2の上部には、スキャナーユニットにより撮像されたフィルムの画像を表示させるためのモニタ6が搭載されている。
【0019】
現像処理部8は、露光処理された感光材料を現像、漂白、定着、および安定化処理するものであり、外部からの迷光による感光を防止するため、その内部は暗室になっている。また、現像処理部8内には、現像処理ユニットとして、現像処理タンク、定着処理タンク、および安定化処理タンクが感光材料の搬送方向に従って順に配列されており、各処理タンク内を順に感光材料を所定速度で搬送するために、搬送ローラや搬送ベルト等からなる搬送ユニットが設けられている。
【0020】
乾燥処理ユニット9は、現像処理された感光材料の乾燥を行なうものであり、その内部には、搬送される感光材料に対して温風を吹き付けるためのブロアが配されている。乾燥ユニット9の上部は、装置から上方に突出した態様となっていて、乾燥された感光材料は、その装置上部の排出口10を介して外部に排出されるように構成されている。
【0021】
仕分け処理ユニット11は、排出口10を介して外部に排出された感光材料を、装置内での感光材料の搬送方向に対して略直交するX方向に搬送する第一搬送ユニット12と、該第一搬送ユニット12の下流側端部12aの近傍に配され、第一搬送ユニット12により搬出された感光材料を、装置内での感光材料の搬送方向に対して略平行するY方向に搬送する第二搬送ユニット16と、該第二搬送ユニット16を挟んで第一搬送ユニット12と対向する当板19等とを用いて構成されている。当板19は、装置本体1に固着された板体であって、第一搬送ユニット12の下流側端12aから飛び出した感光材料を当接係止してその手前の第二搬送ユニット16上に落とすためのものである。
【0022】
図2は、図1で示した写真処理装置における露光処理部2内部の概略断面図を示したものであり、図3は、図1で示した写真処理装置における露光処理部2内部の概略斜視図を示したものであり、それぞれ具体的には、カバー2aを開放した状態における各構成要素の配置および断面図を示したものである。本実施形態に係る露光処理部2には、感光材料Pを供給する感光材料供給手段と、供給された感光材料Pを露光ステージ(図示せず)に搬送する第二搬送ユニット(搬送ユニット)40等とが設けられている。
【0023】
前記感光材料供給手段は、感光材料Pがロール状に巻回されたマガジン21(第一のマガジン21A,第二のマガジン21B)と、適宜各マガジン21から感光材料Pを長手方向に引き出して、下流側である第二搬送ユニット40に搬送させる第一搬送ユニット(搬送ユニット)30とを用いて構成されている。
【0024】
前記マガジン21内には、上述したようにロール状に巻回された感光材料Pと、ロールから巻き戻された感光材料Pを挟持して搬送させる一対のマガジン内ローラ22,22とが配設され、さらに、箱型に形成されたマガジン21の一角部には、感光材料Pを外部に排出するための供給口23(マガジン内ローラ22の後流側の開口部)が設けられている。
【0025】
前記第一搬送ユニット30は、装置本体1から感光材料Pの搬送経路の幅方向に引き出し可能に収容されている。すなわち、装置本体1内に、複数の固定レール27が設けられており、第一搬送ユニット30には、固定レール27の形状および設置位置に対応するように、複数の第一のスライドレール28および第二のスライドレール29が設けられている(図3においては、固定レール27、第一のスライドレール28、および第二のスライドレール29を一組だけ記載している)。そして、第一のスライドレール28は第一搬送ユニット30の側面等に固着して取付けられており、該第一のスライドレール28の内面を沿うように第二のスライドレール29が嵌装されている。そして、固定レール27に沿って、第一のスライドレール28および第二のスライドレール29をスライドさせることによって、第一搬送ユニット30が装置本体1の内外にスライドし得るように構成されている。
【0026】
また、第一搬送ユニット30内には、アドバンスローラ31および圧着ローラ32を有する搬送ローラ部と、感光材料Pを幅方向で切断するカッタ33と、アドバンスローラ31からカッタ33に供給される感光材料Pを案内するガイドローラ34と、アドバンスローラ31からガイドローラ34に対して感光材料Pを案内するガイド部としてのガイド板35等とが設けられている。
【0027】
搬送ローラ部を具体的に説明すると、マガジン21A,21B内の感光材料Pを所定長さ引き出すべく構成されたアドバンスローラ31(第一のアドバンスローラ31A,第二のアドバンスローラ31B)と、このアドバンスローラ31A,31Bとの間で感光材料Pを挟持して搬送すべく構成された圧着ローラ32(第一の圧着ローラ32A,第二の圧着ローラ32B)とが設けられている。
【0028】
また、この第一搬送ユニット30においては、露光処理部2のカバー2a内のスペースを有効に利用するために、二つの搬送ローラ部が近接して設けられている。そして、各マガジン21に対応するそれぞれの搬送ローラ部が、マガジン21の供給口23に相対すべく設けられている。
【0029】
すなわち、本実施形態においては、搬送ローラ部の搬送方向等にマガジン21からの感光材料Pの供給方向を対応させて、第一搬送ユニット30の周辺に複数のマガジン21が設けられている。本実施形態によれば、第一のマガジン21Aからは、略水平方向に感光材料Pが供給され、第二のマガジン21Bからは、略垂直方向に感光材料Pが供給されている。
【0030】
また、図2において、マガジン21A,21B内および第二搬送ユニット40内に記載された矢印は、感光材料Pの搬送方向を示している。第一搬送ユニット30には、各マガジン21の供給口23に連絡して下流側(点O)にて一本に合流し、写真処理のための感光材料Pの搬送経路の一部を構成する搬送経路Qが設けられており、各感光材料Pは、アドバンスローラ31と圧着ローラ32との間、ガイド板35、およびガイドローラ34等を介して、第二搬送ユニット40に搬送され、上述したように、第二搬送ユニット40から露光ステージへ搬送される。
【0031】
図4は、図2における第一搬送ユニット30の拡大図を示したものである。各アドバンスローラ31A,31Bに装着された圧着ローラ32A,32Bは、それぞれ、第一搬送ユニット30の何れかの位置に設けられたロック機構たるパチン錠36(第一のパチン錠36A、第二のパチン錠36B)を用いて、アドバンスローラ31A,31Bとの間の固定状態が維持されるべく構成されている。本実施形態によれば、アドバンスローラ31と圧着ローラ32とが、パチン錠36でロックされた状態において、アドバンスローラ31と圧着ローラ32との間を感光材料Pが適当に搬送され得るように構成されている。ここで、パチン錠36は、例えば、第一搬送ユニット30の最前側(カバー2a側)であって、アドバンスローラ31等の駆動部の邪魔にならない位置に設けられている。
【0032】
第一のマガジン21A側から供給される感光材料Pは、第一の入口ガイド部37Aから、アドバンスローラ31Aと圧着ローラ32Aとの間隙部を経て、第一のアドバンスローラ側ガイド部38Aとガイド板35の第一ガイド部35aおよびガイドローラ34との間隙部に至る第一の副搬送経路Q1 を介し、しかる後、カッタ前ガイド部39内を通る搬送経路Qを介して、カッタ33以降の搬送経路を搬送される。
【0033】
この第一のマガジン21Aから供給された感光材料Pは、第一のアドバンスローラ31Aの回転数(パルス信号)に基づいて、その供給量(供給長さ)が把握される。そして、その供給量に関する信号に基づいて、カッタ33が作動し、感光材料Pが適当な長さに切断される。
【0034】
第二のマガジン21B側から供給される感光材料Pは、第二の入口ガイド部37Bから、アドバンスローラ31Bと圧着ローラ32Bとの間隙部、第二のアドバンスローラ側ガイド部38Bとガイド板35の第二ガイド部35bとの間隙部を経て、第一のアドバンスローラ側ガイド部38Aとガイドローラ34との間隙部に至る第二の副搬送経路Q2 を介し、しかる後、前記第一の副搬送経路Q1 と合流した搬送経路Qを介して、カッタ33以降の搬送経路を搬送される。
【0035】
この第二のマガジン21Bから供給された感光材料Pは、第二のアドバンスローラ31Bの回転数(パルス信号)に基づいてその供給量(供給長さ)が把握される。そして、第一のマガジン21Aから供給される感光材料Pと同様に、その供給量に関する信号(第二のアドバンスローラ31Bからの信号)に基づいてカッタ33が作動し、第二のマガジン21Bから供給された感光材料Pが適当な長さに切断される。
【0036】
また、図5は、図3における入口ガイド部37の平面図、断面図、およびその一部の側面図を示したものである。入口ガイド部37は、搬送経路Qを挟み込むように対向配置される二枚の長方形状の板体42,42で構成されており、二枚の板体42,42が所定間隔を有して平行且つ横長に配置されると共に、マガジン21の供給口23側の端縁部42a、すなわち、搬送経路Qの上流側端42aが、互いに離間してテーパ状に拡開されている。
【0037】
そして、二枚の板体42,42は、上流側端42aの幅方向寸法が感光材料Pの幅寸法Lよりも長くなるように設定されており、二枚の板体42,42間であって、各入口ガイド部37A,37Bの長手方向奥側(カバー2aから装置内部方向)には、平板状の刃51が二枚の板体42,42に跨がって取付けられている。この刃は、例えば、カッター用の刃等が採用され、そのエッジ51aは、搬送経路Qの幅方向に対して斜めに形成されたものがより好ましい。
【0038】
また、第一搬送ユニット30には、固定レール44が設けられており、入口ガイド部37には、固定レール44の形状および設置位置に対応するように、スライドレール45が設けられている。そして、スライドレール45は一方の板体42の側面に固着して取付けられており、該スライドレール45の内面を沿うように固定レール44が嵌装されている。そして、固定レール44に沿って、スライドレール45をスライドさせることによって、入口ガイド部37が第一搬送ユニット30に対してスライドし得るように構成されている。この入口ガイド部37は、感光材料Pの幅方向、すなわち、搬送経路Qの幅方向に往復動が可能な可動体として用いられる。尚、一方の板体42の手前側端は、略直角(略L字状)に屈曲されて、把持部42bとなっている。
【0039】
そして、入口ガイド部37を所定位置(各入口ガイド部37A,37B内に感光材料Pが搬送させる通常運転時位置、すなわち、入口ガイド部37A,37Bを装置本体1の奥側に押し込んだ位置)に維持すべく、第一搬送ユニット30に対する入口ガイド部37の往復動を規制する固定手段46が設けられている。
【0040】
この固定手段46は、いわゆるローラーキャッチャーと呼ばれるもので、可動な入口ガイド部37の奥側端部には、膨大した頭部を持つ係入突起47が固着される一方、第一搬送ユニット30には、所定間隔を有して平行に配置された円柱状のピン48,48に可撓性のある平面視略U字状の連結部材49が固着された係止体50が固着されている。そこで、入口ガイド部37を装置本体1の奥側に押し入れると、係入突起47の頭部が、二つのピン48,48間に挿入し、二つのピン48,48を拡開させながら該二つのピン48,48間を通過した後、係入突起47の頭部が完全に挿入されると、二つのピン48,48間に係合突起47の首部が位置し、該二つのピン48,48間は再び狭められた状態となる。従って、係合突起47の頭部の基端側が、二つのピン48,48に係止された状態となり、入口ガイド部37の往復動が規制される。
【0041】
前記刃51A,51Bは、入口ガイド部37A,37Bの往復動が規制された状態(通常運転状態)において、感光材料Pと接することのない位置に設けられている。従って、通常は、搬送される感光材料Pが刃51A,51Bと干渉することはなく、しかも、入口ガイド部37A,37Bをスライドさせることによって、刃51A,51Bによる感光材料Pの切断を行うことができる。
【0042】
また、本実施形態に係る第一搬送ユニット30においては、各圧着ローラ32A,32Bは、それぞれローラホルダ52(第一のローラホルダ52A,第二のローラホルダ52B)を用いて保持され、各圧着ローラ32A,32Bと、それぞれに対応するローラホルダ52A,52Bとは、一体的に構成されている。
【0043】
さらに、ガイド板35は、その第一のガイド部35aが第一のアドバンスローラ31Aおよび第一のアドバンスローラ側ガイド部38Aとの間で感光材料Pを適当に挟持し、その第二のガイド部35bが第二のアドバンスローラ側ガイド部38Bとの間で感光材料Pを適当に挟持するように、第一のローラホルダ52Aに固着されている。
【0044】
また、このローラホルダ52A,52Bは、第一搬送ユニット30の所定箇所にピン状の支持部53(第一の支持部53A,第二の支持部53B)を用いて支持され、さらに、ローラホルダ52A,52Bは、支持部53A,53Bを中心として回動可能であるように構成されている。したがって、本実施形態においては、第一のローラホルダ52Aで保持された第一の圧着ローラ32Aとガイド板35とが、第一のローラホルダ52Aと共に第一の支持部53Aを中心として回動し、第二のローラホルダ52Bで保持された第二の圧着ローラ32Bが、第二のローラホルダ52Bと共に第二の支持部53Bを中心として回動すべく構成されている。
【0045】
図6は、図4に示した第一搬送ユニット30において、圧着ローラ32をアドバンスローラ31から離脱させた状態の概略図を示したものである。ここで、「離脱させた状態」とは、第一搬送ユニット30から圧着ローラ32を完全に取り外すことなく(支持部53で支持された状態で)、アドバンスローラ31近傍のメンテナンス処理等を適切に行うことができるように、圧着ローラ32をアドバンスローラ31から離間させた状態をいう。
【0046】
図6においては、上述した機構に基づいて、第一のローラホルダ52Aを第一の支持部53Aを中心に矢印Aの方向に回転させることによって、第一のアドバンスローラ31Aと第一の圧着ローラ32Aとの装着状態を解除し、第一の圧着ローラ32Aおよびガイド板35を離脱させることができる。また、第二のローラホルダ52Bを第二の支持部53Bを中心に矢印Bの方向に回転させることによって、第二のアドバンスローラ31Bと第二の圧着ローラ32Bとの装着状態を解除し、第二の圧着ローラ32Bを離脱させることができる。
【0047】
すなわち、図1〜図6に示した本実施形態に係る写真処理装置においては、通常(装置稼働時等)は、アドバンスローラ31A,31Bに対して、支持部53A,53Bを中心に回動して装着された圧着ローラ32A,32Bおよびガイド板35は、ローラホルダ52A,52Bをパチン錠36A,36Bで固定することによって、それぞれ装置内で適切に固定される。そして、このような状態において、感光材料Pが適当に供給されて、露光処理および現像処理等の写真処理が行われる。
【0048】
また、図7(イ)に示す如く、紙詰まりが発生して感光材料Pが搬送経路上で停止した場合には、把持部42bを持って入口ガイド部37を手前に引き出す。さすれば、入口ガイド部37の移動に伴って刃51が感光材料Pを切断しながら搬送経路の幅方向に移動し(図7(ロ))、しかる後、刃51が感光材料Pを完全に切断してから搬送経路を横切る(図7(ハ))。従って、入口ガイド部37を手前に引くだけで感光材料Pを切断することができるのである。
【0049】
そして、感光材料Pが切断されれば、第一搬送ユニット30は装置本体1から引き出しが可能となる。そこで、引き出した第一搬送ユニット30に対して、ローラホルダ52等を固定しているパチン錠36の固定状態を解除し、ローラホルダ52を回転させて、アドバンスローラ31から圧着ローラ32およびガイド板35を離脱させる。そして、アドバンスローラ31を手動で回して第一搬送ユニット30内に残存する感光材料Pの紙片を外部に排出させるのである。
【0050】
本実施形態に係る写真処理装置は以上の如くであるので、以下のような効果を得ることができる。
まず、上記実施形態によれば、マガジン21から搬送ユニット30に感光材料Pが移行する際に紙詰まりが生じた時、第一搬送ユニット30の可動体37を手前に引き出すのみで、装置本体1内で滞留している感光材料Pを極めて簡単に切断することができる。従って、ハサミやカッターナイフ等を用いて装置本体1内に手を突っ込み、滞留している感光材料を切断するような従来の煩雑な作業が無くなり、感光材料Pを迅速且つ容易に取り除くことができる。
【0051】
また、紙詰まりの時にアドバンスローラ31周辺のメンテナンスを行う場合であっても、圧着ローラ32を完全に取り外すことなく、アドバンスローラ31から離脱可能であるので、従来のように、取り外した部品の置き場所等を考慮することなく、ペーパ詰まり等の処理を行うことができる。
【0052】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて変更可能である。
すなわち、上記実施形態においては、シート状搬送物を感光材料とし、シート状搬送物の切断機構を写真処理装置に搭載したものについて説明したが、本発明は写真処理装置のみに限定されず、例えば、印刷装置のように、長尺なシート状搬送物を取り扱う装置の全てを対象とするものである。そして、対象装置が変わることで対象となるシート状搬送物の種類も変わるため、かかる場合、刃の材質、硬度、種類も変える必要がある。
【0053】
また、本発明に係るシート状搬送物の切断機構は、写真処理装置に搭載する場合であっても、上記実施形態の如く、マガジンと該マガジンに連続する搬送ユニットとの関係にのみ適用されるものではなく、その他のユニットについても適用可能である。例えば、露光処理を終えて現像処理を受けるまでに搬送される搬送経路の距離は比較的長く、写真処理装置によっては、かかる間の搬送経路を機構的に分離された複数の搬送ユニットで担う構成を採用しているものがある。これらは、それぞれが装置本体から引き出し可能な構成となっているので、該箇所にも本発明に係るシート状搬送物の切断機構を採用することができる。
【0054】
さらに、本発明に係るシート状搬送物の切断機構は、例えば、露光処理ユニットおよび搬送ユニット、現像処理ユニットおよび搬送ユニットについても適用することができる。
【0055】
また、上記実施形態においては、対向する二枚の平板と該二枚の平板間に配置された刃とから構成される切断機構を採用し、かかる切断機構を感光材料が搬送経路から離脱するのを防止するためのペーパガイド(ガイド手段)としても機能させているが、本発明に係る切断機構は、このようなものである必然性はなく、搬送経路の幅方向に移動可能な可動体をユニットに設け、この可動体に感光材料を切断する刃を取付けた構成であれば、本発明の意図するところである。
【0056】
さらに、上記請求項1記載の発明に係る『ユニット(30)』とは、写真処理装置の装置本体をも含めた概念であるところ、上記実施形態の如く、可動体は、必ずしも引き出し可能なユニットに設ける必要はなく、従って、可動体(入口ガイド部等)を搬送ユニットから分離して写真処理装置の装置本体に直接設けた構成であってもよい。もちろん、かかる場合でも、可動体は、搬送経路の幅方向に往復動可能にする必要がある。
【0057】
また、『搬送経路の幅方向』とは、上記実施形態の如く、搬送経路の長手方向に対して直交するものに限定されず、搬送経路の長手方向に対して傾斜するものであってもよい。要は、長尺なシート状搬送物が二分されれば、本発明の意図するところである。
【0058】
さらに、上記実施形態においては、可動体と刃とを別体の構成にしているが、本発明は、両者が一体なものをも含むものである。
【0059】
【発明の効果】
本発明に係るシート状搬送物の切断機構は、長尺なシート状搬送物を長手方向に搬送させるための搬送経路が設けられたユニットに、搬送経路の幅方向に往復動可能な可動体が設けられ、しかも、該可動体には、該可動体の移動に伴ってシート状搬送物を幅方向に切断するための刃が備えられてなるため、可動体をユニットに対して相対移動させるだけでシート状搬送物の切断を行なうことができ、搬送経路上でのシート状搬送物の詰まりの問題に対して迅速且つ容易に対処することができる。
【0060】
また、本発明に係る写真処理装置は、感光材料を搬送させるための搬送経路を備えた、少なくとも二以上のユニットが、互いの搬送経路を連続させて装置本体内に配置されると共に、前記ユニットの少なくとも一つが、装置本体から搬送経路の幅方向に引き出し可能に構成され、該引き出し可能なユニットに、搬送経路の幅方向に往復動可能な可動体が設けられると共に、該可動体には、該可動体の移動に伴って感光材料を幅方向に切断するための刃が備えられてなるため、ハサミやカッターナイフを用いて装置本体内に手を突っ込んで残存した感光材料を切断するようなことをせずとも、該感光材料を簡単に切断することができ、後は、ユニットを引き出してユニット内に残る感光材料の紙片を取り除けばよいだけなので、搬送経路上での感光材料の詰まりに対して迅速且つ容易に対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る写真処理装置の概略斜視図。
【図2】図1に示した写真処理装置の露光処理部の概略断面図。
【図3】本実施形態に係る第一搬送ユニットを引き出した状態を示す概略斜視図。
【図4】図2に示したペーパ処理部の拡大図。
【図5】本実施形態に係る入口ガイド部であって、(イ)は平面図、(ロ)は(イ)のA−A線断面図、(ハ)は(イ)のB矢視図。
【図6】図4に示したペーパ処理部において圧着ローラをアドバンスローラから離脱させた状態を示す概略図。
【図7】入口ガイド部の概略斜視図であって、(イ)は感光材料の搬送位置状態、(ロ)は感光材料の一部切断状態、(ハ)は感光材料の全切断状態。
【符号の説明】
1…装置本体、21…マガジン、23…供給口、30…第一搬送ユニット、37…入口ガイド部(可動体)、42…板体、42a…上流側端、46…固定手段、47…係入突起、50…係止体、51…刃、P…感光材料、Q…搬送経路
Claims (6)
- 長尺なシート状搬送物(P)を長手方向に搬送させるための搬送経路が設けられたユニット(30)に、搬送経路の幅方向に往復動可能な可動体(37)が設けられ、しかも、該可動体(37)は、搬送経路の搬送面を挟み込むように対向配置される二枚の板体(42,42)を有し、さらに、該二枚の板体(42,42)間には、該可動体(37)の移動に伴ってシート状搬送物(P)を幅方向に切断するための刃(51)が配置されてなることを特徴とするシート状搬送物の切断機構。
- 前記二つの板体(42,42)のうち、搬送経路の上流側端(42a)が、互いに離間してテーパ状に拡開されてなる請求項1記載のシート状搬送物の切断機構。
- 前記可動体(37)を所定位置に維持すべく、前記ユニット(30)に対する可動体(37)の往復動を規制する固定手段(46)が設けられてなる請求項1又は2に記載のシート状搬送物の切断機構。
- 長尺なシート状搬送物である感光材料(P)を長手方向に搬送させるための搬送経路を備えた、少なくとも二以上のユニット(21,21,30)が、互いの搬送経路を連続させて装置本体(1)内に配置されると共に、前記ユニット(21,21,30)の少なくとも一つが、装置本体(1)から搬送経路の幅方向に引き出し可能に構成された写真処理装置において、前記引き出し可能なユニット(30)に、搬送経路の幅方向に往復動可能な可動体(37)が設けられ、しかも、該可動体(37)は、搬送経路の搬送面を挟み込むように対向配置される二枚の板体(42,42)を有し、さらに、該二枚の板体(42,42)間には、該可動体(37)の移動に伴ってシート状搬送物(P)を幅方向に切断するための刃(51)が配置されてなることを特徴とする写真処理装置。
- 長尺なシート状搬送物である感光材料(P)をロール状にして収容した、少なくとも二以上のマガジン(21,…)と、各マガジン(21)の供給口(23)に連絡して下流側で一本に合流される搬送経路に、少なくとも二以上の感光材料(P,…)の何れかを選択的に搬送させる搬送ユニット(30)とが、装置本体(1)内に配置されると共に、前記マガジン(21,…)と前記搬送ユニット(30)とが、装置本体(1)から搬送経路の幅方向に引き出し可能に構成された写真処理装置において、前記搬送ユニット(30)であって、各マガジン(21)の供給口(23)と対向する部位に、搬送経路の幅方向に往復動可能な可動体(37)が設けられ、しかも、各可動体(37)は、搬送経路の搬送面を挟み込むように対向配置され且つ各マガジン(21)の供給口(23)と対向配置される二枚の板体(42,42)を有し、さらに、各二枚の板体(42,42)間には、該可動体(37)の移動に伴って感光材料(P)を幅方向に切断するための刃(51)が配置されてなることを特徴とする写真処理装置。
- 前記二つの板体(42,42)のうち、マガジン(21)の供給口(23)側の端縁部(42a)が、互いに離間してテーパ状に拡開されてなる請求項5記載の写真処理装置。
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