JP3596669B2 - 2’−o−アルキルグアノシンの製造法 - Google Patents
2’−o−アルキルグアノシンの製造法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3596669B2 JP3596669B2 JP2000239447A JP2000239447A JP3596669B2 JP 3596669 B2 JP3596669 B2 JP 3596669B2 JP 2000239447 A JP2000239447 A JP 2000239447A JP 2000239447 A JP2000239447 A JP 2000239447A JP 3596669 B2 JP3596669 B2 JP 3596669B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- diaminopurine riboside
- phosphoric acid
- aqueous solvent
- producing
- alkylguanosine
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07H—SUGARS; DERIVATIVES THEREOF; NUCLEOSIDES; NUCLEOTIDES; NUCLEIC ACIDS
- C07H19/00—Compounds containing a hetero ring sharing one ring hetero atom with a saccharide radical; Nucleosides; Mononucleotides; Anhydro-derivatives thereof
- C07H19/02—Compounds containing a hetero ring sharing one ring hetero atom with a saccharide radical; Nucleosides; Mononucleotides; Anhydro-derivatives thereof sharing nitrogen
- C07H19/04—Heterocyclic radicals containing only nitrogen atoms as ring hetero atom
- C07H19/16—Purine radicals
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12P—FERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
- C12P19/00—Preparation of compounds containing saccharide radicals
- C12P19/26—Preparation of nitrogen-containing carbohydrates
- C12P19/28—N-glycosides
- C12P19/38—Nucleosides
- C12P19/40—Nucleosides having a condensed ring system containing a six-membered ring having two nitrogen atoms in the same ring, e.g. purine nucleosides
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Genetics & Genomics (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Biotechnology (AREA)
- Wood Science & Technology (AREA)
- Zoology (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Microbiology (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Saccharide Compounds (AREA)
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、安全で、操作性、実用性に優れた2,6−ジアミノプリンリボシドからの2’−O−アルキルグアノシンの製造法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
2’−O−メチルグアノシンに代表される2’−O−アルキルグアノシンの製造法としては、グアノシンを原料とすると2’位水酸基のアルキル化反応が収率よく進行しない等の理由で、2,6−ジアミノプリンリボシドを原料とする方法が一般的である。
【0003】
従来、2,6−ジアミノプリンリボシドから2’−O−メチルグアノシンを得る方法としては、塩化第一スズ触媒下、ジアゾメタンを用いて2,6−ジアミノプリンリボシドの2’位水酸基をメチル化後、アデノシンデアミナーゼにより脱アミノ化して2’−O−メチルグアノシンを得る方法(Can. J. Chem, 59: 3360(1981))が知られていた。
【0004】
しかし、この方法は、爆発性で毒性の強いジアゾメタンを使用することから工業的に使用し得る方法とはなりえなかった。このため、ジアゾメタンを使用しない方法が種々検討され、上記方法の改良法として、塩基存在下、ハロゲン化アルキルを用いて2,6−ジアミノプリンリボシドの2’位水酸基をメチル化後、アデノシンデアミナーゼにより脱アミノ化して2’−O−メチルグアノシンを得る方法(日本特許第3015464号)が報告された。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記改良法であっても、メチル化反応時に共存させる塩基である水素化ナトリウムは発火性を有し、メチル化剤として使用するヨウ化メチルは、ジアゾメタンよりは毒性は低いものの、相変わらず毒性を有するため、上記改良法を実施する際にはこれらの化学物質を厳密に管理しなければならない等の問題を有していた。
【0006】
また、上記従来法は、いずれも、ジアゾメタンやヨウ化メチルを用いたメチル化反応を水を含まない有機溶媒などの非水系で行い、アデノシンデアミナーゼを用いた脱アミノ化反応を水などの水系で行うという不連続な工程から構成されており、このような不連続な工程を一連の工程として行う場合には、各工程の取扱いを厳密に区別し、それを実行するための設備を整えなければならない等、誰でも行える簡便方法とは言えなかった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来法の問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、2,6−ジアミノプリンリボシドから2’−O−メチルグアノシンを製造する際、塩基性条件下、メチル化剤としてトリメチルリン酸を用いることにより、メチル化反応を水系の溶媒中で行うことができ、しかも2,6−ジアミノプリンリボシドの2’位水酸基が選択的にメチル化され、2’−O−メチルグアノシンを効率よく得ることができることを見いだした。
【0008】
従来、トリメチルリン酸を用いたヌクレオシドのメチル化は、ヌクレオシドの核酸塩基のメチル化に主眼がおかれ、糖部水酸基のメチル化を主題とする報告はなされていない。ただし、塩基のメチル化の比較実験として、イノシンとアデノシンにおいてトリメチルリン酸により糖部水酸基のメチル化も若干進行し、たとえば、トリメチルリン酸を用いてイノシンをメチル化した場合、65%のN1−メチルイノシンと33%のN1,O2 ’ (3 ’ )−ジメチルイノシンが生成し、トリメチルリン酸を用いてアデノシンをメチル化した場合には38%のO2 ’ (3 ’ )−メチルアデノシンと24%のN6,O2 ’ (3 ’ )−ジメチルアデノシンが生成することが報告されていた(Bull. Chem. Soc. Jpn., 54, 1569−1570(1981))。このような報告からして、トリメチルリン酸を用いて2,6−ジアミノプリンリボシドをメチル化したとしても2’位水酸基が選択的にメチル化されるとは到底考えられていなかったことから、本発明者らの上記知見はまったく驚くべきことであった。
【0009】
本発明者らは、上記知見を基に更に検討を重ね、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、2,6−ジアミノプリンリボシドから2’−O−アルキルグアノシンを製造する方法であって、溶媒として水系の溶媒を使用し、pHが11以上、13以下の塩基性条件下、2,6−ジアミノプリンリボシドをアルキル化リン酸で処理して2’−O−アルキル−2,6−ジアミノプリンリボシドを選択的に生成させ、これを水系溶媒中で脱アミノ化して2’−O−アルキルグアノシンを得ることを特徴とする2’−O−アルキルグアノシンの製造法に関するものである。
【0010】
また、本発明は、2,6−ジアミノプリンリボシドから2’−O−メチルグアノシンを製造する方法であって、溶媒として水系の溶媒を使用し、pHが11以上、13以下の塩基性条件下、2,6−ジアミノプリンリボシドをメチル化リン酸で処理して2’−O−メチル−2,6−ジアミノプリンリボシドを選択的に生成させ、これを水系溶媒中で脱アミノ化して2’−O−メチルグアノシンを得ることを特徴とする2’−O−メチルグアノシンの製造法に関するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
原料化合物である2,6−ジアミノプリンリボシドは公知化合物(下記式参照)である。このような化合物は化学的、酵素的に合成することが可能であり、あるいは市販品を使用してもかまわない。特に、酵素的に2,6−ジアミノプリンリボシドを合成した場合には、これを単離する必要はなく、酵素反応液そのもの、あるいは酵素反応液から粗精製品を原料として使用しても差し支えない。
【0012】
【式1】
【0013】
本発明方法は、上述したように、最初に、水系の溶媒中、塩基性条件下、2,6−ジアミノプリンリボシドをアルキル化リン酸で処理して2’−O−アルキル−2,6−ジアミノプリンリボシド(下記式参照)を生成させる。
【0014】
【式2】
(式中、Rは炭素数5以下の低級アルキルを意味する)
【0015】
アルキル化剤としては、アルキル化リン酸を使用することができ、具体的には、トリメチルリン酸、トリエチルリン酸、トリプロピルリン酸、エチルジメチルリン酸などのトリアルキルリン酸、ジメチルリン酸、ジエチルリン酸などのジアルキルリン酸を挙げることができる。特に、メチル化の場合には、トリメチルリン酸が好適である。
【0016】
アルキル化反応は、水、緩衝液などの水系の溶媒中、塩基性条件下、2,6−ジアミノプリンリボシド1モルに対し、アルキル化リン酸を1〜100モル、好ましくは10〜30モル使用し、10〜90℃、好ましくは30〜70℃で1〜20時間程度反応させることにより実施することができる。
【0017】
このアルキル化反応は、塩基性条件下で行うのが肝要であり、塩基性条件の具体例としてはpH11以上、好ましくはpH12〜13を例示される。pHが11未満の条件ではアルキル化反応が遅く、pH13を越える条件ではメチル化反応の2’位水酸基への選択性が低下することから好ましくない。なお、上記塩基性条件は、反応の開始から終了まで維持または調整されるのが望ましいが、少なくとも反応当初のpHを上記塩基性条件に調整しておくことが大切である。
【0018】
このようにして生成された2’−O−アルキル−2,6−ジアミノプリンリボシドは、必要により公知の精製法(例:溶媒抽出法、イオン交換樹脂、活性炭等のカラムクロマトグラフィー法)で精製し、次ぎの脱アミノ化反応に供する。
【0019】
脱アミノ化反応は、アデノシンデアミナーゼを用いた公知の方法で実施することができる。すなわち、アデノシンデアミナーゼとしては、2’−O−アルキル−2,6−ジアミノプリンリボシドのN6位のアミノ基を脱アミノできる酵素であれば動物、微生物などいずれの由来のものも使用することができる。特に、大腸菌由来の酵素は、反応効率や価格の点で有利である。
【0020】
脱アミノ化反応は、使用する酵素によって変動するものの、水または緩衝液中、pH6〜8の条件下、過剰量のアデノシンデアミナーゼを使用し、20〜50℃で1〜100時間程度反応させることにより実施することができる。
反応後、得られた2’−O−アルキルグアノシン(下記式参照)は、公知の方法(例:結晶化法、溶媒抽出法、吸着樹脂などによるクロマトグラフィー法など)により単離精製することができる。
【0021】
【式3】
(式中、Rは炭素数5以下の低級アルキルを意味する)
【0022】
【発明の効果】
本発明方法は、発火性や毒性のある薬品を使用することなく、水系の溶媒を用いて2,6−ジアミノプリンリボシドから2’−O−アルキルグアノシンを効率よく製造することができる極めて有用性の高い方法であり、特別な設備や作業管理も不要であることから、2’−O−アルキルグアノシンの大量合成法として極めて実用的な方法である。
【0023】
【実施例】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明がこれに限定されないことは明らかである。
【0024】
実施例1:2’−O−メチルグアノシンの合成(その1)
2,6−ジアミノプリンリボシド(5.65g、20mmol)をトリメチルリン酸(40ml)と脱イオン水(40ml)との混合液に懸濁し、50℃に加温しながら、反応液のpHが12.0〜12.5になるように水酸化ナトリウム水溶液で調整しながら攪拌反応させた。
反応開始7時間後、HPLCで反応液を分析した結果、2’−O−メチル−2,6−ジアミノプリンリボシド及び3’−O−メチル−2,6−ジアミノプリンリボシドがそれぞれ41%と8.5%(HPLC:UV260nmで分析)生成した。
【0025】
反応液を脱イオン水で400mlに希釈し、塩酸でpHを7.6に調整し、大腸菌由来アデノシンデアミナーゼ(1500単位)を添加して、37℃で攪拌反応させた。反応途中、塩酸水溶液でpHを7.6に調整しながら、88時間脱アミノ化反応を行った後、反応液を10分間煮沸し、反応を停止した。
反応液をろ過し、ろ液を吸着樹脂カラムに吸着後、脱イオン水で溶出し、2’−O−メチルグアノシンの溶出画分を50mlまで減圧濃縮し、一晩冷却した。生じた沈殿をろ取後乾燥を行い、2’−O−メチルグアノシンの結晶を1.72g得た。
【0026】
実施例2:2’−O−メチルグアノシンの合成(その2)
ウリジン(14.6g,60mmol)と2,6−ジアミノプリン(6g,40mmol)を25mMリン酸緩衝液(pH7.0、1000ml)に懸濁し、ピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼ(2100単位)とプリンヌクレオシドホスホリラーゼ(5400単位)を添加し、50℃で100分間攪拌反応させた。反応液を10分間煮沸して反応を停止させた。
反応終了後、HPLCで分析したところ、対2,6−ジアミノプリン当たりの2,6−ジアミノプリンリボシドへの転換率は95.7%であった。
【0027】
反応液を200mlまで濃縮し、トリメチルリン酸(150ml)を加え、水酸化ナトリウム水溶液でpH12〜12.5の範囲に調節しながら50℃で7時間反応させた。
得られた反応液をHPLCで分析したところ、2,6−ジアミノプリンリボシドから47%の転換率で2’−O−メチル−2,6−ジアミノプリンリボシドが得られた。
このようにして得られた反応液を実施例1と同様に脱アミノ化処理して2’−O−メチルグアノシンを得た。
【発明が属する技術分野】
本発明は、安全で、操作性、実用性に優れた2,6−ジアミノプリンリボシドからの2’−O−アルキルグアノシンの製造法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
2’−O−メチルグアノシンに代表される2’−O−アルキルグアノシンの製造法としては、グアノシンを原料とすると2’位水酸基のアルキル化反応が収率よく進行しない等の理由で、2,6−ジアミノプリンリボシドを原料とする方法が一般的である。
【0003】
従来、2,6−ジアミノプリンリボシドから2’−O−メチルグアノシンを得る方法としては、塩化第一スズ触媒下、ジアゾメタンを用いて2,6−ジアミノプリンリボシドの2’位水酸基をメチル化後、アデノシンデアミナーゼにより脱アミノ化して2’−O−メチルグアノシンを得る方法(Can. J. Chem, 59: 3360(1981))が知られていた。
【0004】
しかし、この方法は、爆発性で毒性の強いジアゾメタンを使用することから工業的に使用し得る方法とはなりえなかった。このため、ジアゾメタンを使用しない方法が種々検討され、上記方法の改良法として、塩基存在下、ハロゲン化アルキルを用いて2,6−ジアミノプリンリボシドの2’位水酸基をメチル化後、アデノシンデアミナーゼにより脱アミノ化して2’−O−メチルグアノシンを得る方法(日本特許第3015464号)が報告された。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記改良法であっても、メチル化反応時に共存させる塩基である水素化ナトリウムは発火性を有し、メチル化剤として使用するヨウ化メチルは、ジアゾメタンよりは毒性は低いものの、相変わらず毒性を有するため、上記改良法を実施する際にはこれらの化学物質を厳密に管理しなければならない等の問題を有していた。
【0006】
また、上記従来法は、いずれも、ジアゾメタンやヨウ化メチルを用いたメチル化反応を水を含まない有機溶媒などの非水系で行い、アデノシンデアミナーゼを用いた脱アミノ化反応を水などの水系で行うという不連続な工程から構成されており、このような不連続な工程を一連の工程として行う場合には、各工程の取扱いを厳密に区別し、それを実行するための設備を整えなければならない等、誰でも行える簡便方法とは言えなかった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来法の問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、2,6−ジアミノプリンリボシドから2’−O−メチルグアノシンを製造する際、塩基性条件下、メチル化剤としてトリメチルリン酸を用いることにより、メチル化反応を水系の溶媒中で行うことができ、しかも2,6−ジアミノプリンリボシドの2’位水酸基が選択的にメチル化され、2’−O−メチルグアノシンを効率よく得ることができることを見いだした。
【0008】
従来、トリメチルリン酸を用いたヌクレオシドのメチル化は、ヌクレオシドの核酸塩基のメチル化に主眼がおかれ、糖部水酸基のメチル化を主題とする報告はなされていない。ただし、塩基のメチル化の比較実験として、イノシンとアデノシンにおいてトリメチルリン酸により糖部水酸基のメチル化も若干進行し、たとえば、トリメチルリン酸を用いてイノシンをメチル化した場合、65%のN1−メチルイノシンと33%のN1,O2 ’ (3 ’ )−ジメチルイノシンが生成し、トリメチルリン酸を用いてアデノシンをメチル化した場合には38%のO2 ’ (3 ’ )−メチルアデノシンと24%のN6,O2 ’ (3 ’ )−ジメチルアデノシンが生成することが報告されていた(Bull. Chem. Soc. Jpn., 54, 1569−1570(1981))。このような報告からして、トリメチルリン酸を用いて2,6−ジアミノプリンリボシドをメチル化したとしても2’位水酸基が選択的にメチル化されるとは到底考えられていなかったことから、本発明者らの上記知見はまったく驚くべきことであった。
【0009】
本発明者らは、上記知見を基に更に検討を重ね、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、2,6−ジアミノプリンリボシドから2’−O−アルキルグアノシンを製造する方法であって、溶媒として水系の溶媒を使用し、pHが11以上、13以下の塩基性条件下、2,6−ジアミノプリンリボシドをアルキル化リン酸で処理して2’−O−アルキル−2,6−ジアミノプリンリボシドを選択的に生成させ、これを水系溶媒中で脱アミノ化して2’−O−アルキルグアノシンを得ることを特徴とする2’−O−アルキルグアノシンの製造法に関するものである。
【0010】
また、本発明は、2,6−ジアミノプリンリボシドから2’−O−メチルグアノシンを製造する方法であって、溶媒として水系の溶媒を使用し、pHが11以上、13以下の塩基性条件下、2,6−ジアミノプリンリボシドをメチル化リン酸で処理して2’−O−メチル−2,6−ジアミノプリンリボシドを選択的に生成させ、これを水系溶媒中で脱アミノ化して2’−O−メチルグアノシンを得ることを特徴とする2’−O−メチルグアノシンの製造法に関するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
原料化合物である2,6−ジアミノプリンリボシドは公知化合物(下記式参照)である。このような化合物は化学的、酵素的に合成することが可能であり、あるいは市販品を使用してもかまわない。特に、酵素的に2,6−ジアミノプリンリボシドを合成した場合には、これを単離する必要はなく、酵素反応液そのもの、あるいは酵素反応液から粗精製品を原料として使用しても差し支えない。
【0012】
【式1】
【0013】
本発明方法は、上述したように、最初に、水系の溶媒中、塩基性条件下、2,6−ジアミノプリンリボシドをアルキル化リン酸で処理して2’−O−アルキル−2,6−ジアミノプリンリボシド(下記式参照)を生成させる。
【0014】
【式2】
(式中、Rは炭素数5以下の低級アルキルを意味する)
【0015】
アルキル化剤としては、アルキル化リン酸を使用することができ、具体的には、トリメチルリン酸、トリエチルリン酸、トリプロピルリン酸、エチルジメチルリン酸などのトリアルキルリン酸、ジメチルリン酸、ジエチルリン酸などのジアルキルリン酸を挙げることができる。特に、メチル化の場合には、トリメチルリン酸が好適である。
【0016】
アルキル化反応は、水、緩衝液などの水系の溶媒中、塩基性条件下、2,6−ジアミノプリンリボシド1モルに対し、アルキル化リン酸を1〜100モル、好ましくは10〜30モル使用し、10〜90℃、好ましくは30〜70℃で1〜20時間程度反応させることにより実施することができる。
【0017】
このアルキル化反応は、塩基性条件下で行うのが肝要であり、塩基性条件の具体例としてはpH11以上、好ましくはpH12〜13を例示される。pHが11未満の条件ではアルキル化反応が遅く、pH13を越える条件ではメチル化反応の2’位水酸基への選択性が低下することから好ましくない。なお、上記塩基性条件は、反応の開始から終了まで維持または調整されるのが望ましいが、少なくとも反応当初のpHを上記塩基性条件に調整しておくことが大切である。
【0018】
このようにして生成された2’−O−アルキル−2,6−ジアミノプリンリボシドは、必要により公知の精製法(例:溶媒抽出法、イオン交換樹脂、活性炭等のカラムクロマトグラフィー法)で精製し、次ぎの脱アミノ化反応に供する。
【0019】
脱アミノ化反応は、アデノシンデアミナーゼを用いた公知の方法で実施することができる。すなわち、アデノシンデアミナーゼとしては、2’−O−アルキル−2,6−ジアミノプリンリボシドのN6位のアミノ基を脱アミノできる酵素であれば動物、微生物などいずれの由来のものも使用することができる。特に、大腸菌由来の酵素は、反応効率や価格の点で有利である。
【0020】
脱アミノ化反応は、使用する酵素によって変動するものの、水または緩衝液中、pH6〜8の条件下、過剰量のアデノシンデアミナーゼを使用し、20〜50℃で1〜100時間程度反応させることにより実施することができる。
反応後、得られた2’−O−アルキルグアノシン(下記式参照)は、公知の方法(例:結晶化法、溶媒抽出法、吸着樹脂などによるクロマトグラフィー法など)により単離精製することができる。
【0021】
【式3】
(式中、Rは炭素数5以下の低級アルキルを意味する)
【0022】
【発明の効果】
本発明方法は、発火性や毒性のある薬品を使用することなく、水系の溶媒を用いて2,6−ジアミノプリンリボシドから2’−O−アルキルグアノシンを効率よく製造することができる極めて有用性の高い方法であり、特別な設備や作業管理も不要であることから、2’−O−アルキルグアノシンの大量合成法として極めて実用的な方法である。
【0023】
【実施例】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明がこれに限定されないことは明らかである。
【0024】
実施例1:2’−O−メチルグアノシンの合成(その1)
2,6−ジアミノプリンリボシド(5.65g、20mmol)をトリメチルリン酸(40ml)と脱イオン水(40ml)との混合液に懸濁し、50℃に加温しながら、反応液のpHが12.0〜12.5になるように水酸化ナトリウム水溶液で調整しながら攪拌反応させた。
反応開始7時間後、HPLCで反応液を分析した結果、2’−O−メチル−2,6−ジアミノプリンリボシド及び3’−O−メチル−2,6−ジアミノプリンリボシドがそれぞれ41%と8.5%(HPLC:UV260nmで分析)生成した。
【0025】
反応液を脱イオン水で400mlに希釈し、塩酸でpHを7.6に調整し、大腸菌由来アデノシンデアミナーゼ(1500単位)を添加して、37℃で攪拌反応させた。反応途中、塩酸水溶液でpHを7.6に調整しながら、88時間脱アミノ化反応を行った後、反応液を10分間煮沸し、反応を停止した。
反応液をろ過し、ろ液を吸着樹脂カラムに吸着後、脱イオン水で溶出し、2’−O−メチルグアノシンの溶出画分を50mlまで減圧濃縮し、一晩冷却した。生じた沈殿をろ取後乾燥を行い、2’−O−メチルグアノシンの結晶を1.72g得た。
【0026】
実施例2:2’−O−メチルグアノシンの合成(その2)
ウリジン(14.6g,60mmol)と2,6−ジアミノプリン(6g,40mmol)を25mMリン酸緩衝液(pH7.0、1000ml)に懸濁し、ピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼ(2100単位)とプリンヌクレオシドホスホリラーゼ(5400単位)を添加し、50℃で100分間攪拌反応させた。反応液を10分間煮沸して反応を停止させた。
反応終了後、HPLCで分析したところ、対2,6−ジアミノプリン当たりの2,6−ジアミノプリンリボシドへの転換率は95.7%であった。
【0027】
反応液を200mlまで濃縮し、トリメチルリン酸(150ml)を加え、水酸化ナトリウム水溶液でpH12〜12.5の範囲に調節しながら50℃で7時間反応させた。
得られた反応液をHPLCで分析したところ、2,6−ジアミノプリンリボシドから47%の転換率で2’−O−メチル−2,6−ジアミノプリンリボシドが得られた。
このようにして得られた反応液を実施例1と同様に脱アミノ化処理して2’−O−メチルグアノシンを得た。
Claims (11)
- 2,6−ジアミノプリンリボシドから2’−O−アルキルグアノシンを製造する方法であって、溶媒として水系の溶媒を使用し、pHが11以上、13以下の塩基性条件下、2,6−ジアミノプリンリボシドをアルキル化リン酸で処理して2’−O−アルキル−2,6−ジアミノプリンリボシドを選択的に生成させ、これを水系溶媒中で脱アミノ化して2’−O−アルキルグアノシンを得ることを特徴とする2’−O−アルキルグアノシンの製造法。
- 2’−O−アルキルグアノシンにおけるアルキルが、炭素数5以下の低級アルキルである、請求項1記載の方法。
- 水系の溶媒が、水または緩衝液である、請求項1記載の方法。
- 塩基性条件が、pH12〜13の条件である、請求項1記載の方法。
- アルキル化リン酸が、トリアルキルリン酸またはジアルキルリン酸である、請求項1記載の方法。
- 脱アミノ化がアデノシンデアミナーゼを用いた酵素的な脱アミノ化である、請求項1記載の方法。
- 2,6−ジアミノプリンリボシドから2’−O−メチルグアノシンを製造する方法であって、溶媒として水系の溶媒を使用し、pHが11以上、13以下の塩基性条件下、2,6−ジアミノプリンリボシドをメチル化リン酸で処理して2’−O−メチル−2,6−ジアミノプリンリボシドを選択的に生成させ、これを水系溶媒中で脱アミノ化して2’−O−メチルグアノシンを得ることを特徴とする2’−O−メチルグアノシンの製造法。
- 水系の溶媒が、水または緩衝液である、請求項7記載の方法。
- 塩基性条件が、pH12〜13の条件である、請求項7記載の方法。
- メチル化リン酸が、トリメチルリン酸またはジメチルリン酸である、請求項7記載の方法。
- 脱アミノ化がアデノシンデアミナーゼを用いた酵素的な脱アミノ化である、請求項7記載の方法。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000239447A JP3596669B2 (ja) | 2000-08-08 | 2000-08-08 | 2’−o−アルキルグアノシンの製造法 |
AU2001276736A AU2001276736A1 (en) | 2000-08-08 | 2001-08-06 | Process for producing 2'-o-alkylguanosine |
PCT/JP2001/006737 WO2002012264A1 (fr) | 2000-08-08 | 2001-08-06 | Procede de production de 2'-o-alkylguanosine |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000239447A JP3596669B2 (ja) | 2000-08-08 | 2000-08-08 | 2’−o−アルキルグアノシンの製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002053591A JP2002053591A (ja) | 2002-02-19 |
JP3596669B2 true JP3596669B2 (ja) | 2004-12-02 |
Family
ID=18730982
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000239447A Expired - Fee Related JP3596669B2 (ja) | 2000-08-08 | 2000-08-08 | 2’−o−アルキルグアノシンの製造法 |
Country Status (3)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3596669B2 (ja) |
AU (1) | AU2001276736A1 (ja) |
WO (1) | WO2002012264A1 (ja) |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE69333344T2 (de) * | 1992-07-23 | 2004-10-07 | Isis Pharmaceutical Inc | Neue 2'-0-Alkyl-Nukleoside und Phosphoramidite, Verfahren zu deren Herstellung und deren Verwendung |
-
2000
- 2000-08-08 JP JP2000239447A patent/JP3596669B2/ja not_active Expired - Fee Related
-
2001
- 2001-08-06 WO PCT/JP2001/006737 patent/WO2002012264A1/ja active Application Filing
- 2001-08-06 AU AU2001276736A patent/AU2001276736A1/en not_active Abandoned
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002053591A (ja) | 2002-02-19 |
AU2001276736A1 (en) | 2002-02-18 |
WO2002012264A1 (fr) | 2002-02-14 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP1712556B1 (en) | Azithromycin monohydrate | |
Jicsinszky et al. | Catalytic transfer hydrogenation of sugar derivatives | |
HU219021B (hu) | Eljárás 1-(2'-dezoxi-2',2'-difluor-D-ribofuranozil)-4-amino-pirimidin-2-on) hidroklorid előállítására | |
JP2008531680A (ja) | βアノマーが富化された21−デオキシ−21,21−ジフルオロ−D−リボフラノシルヌクレオシドの調製のための中間体と方法 | |
KR20210005071A (ko) | (티오)니코틴아미드 리보푸라노사이드 염 및 이의 조성물, 제조 방법, 및 용도 | |
Shuman et al. | Synthesis of adenine 5'-O-sulfamoyl nucleosides related to nucleocidin | |
US5942617A (en) | Process for producing purine derivatives | |
EP1043329B1 (en) | Crystal of diuridine tetraphosphate or salt thereof and method for preparing the same, and method for producing said compound | |
JP3596669B2 (ja) | 2’−o−アルキルグアノシンの製造法 | |
JPH0797391A (ja) | ヌクレオシド誘導体とその製造方法 | |
JP2744454B2 (ja) | ベータ―2’,2’―ジフルオロヌクレオシド類の製造方法 | |
GB2218417A (en) | Preparation of diacyl derivatives of 2'-deoxy-5 fluorourdine via novel intermediate compound | |
CN114369129A (zh) | 一种氯化烟酰胺核糖的合成方法 | |
Kim et al. | Synthesis and adduction of fully deprotected oligodeoxynucleotides containing 6-chloropurine | |
US20060240529A1 (en) | Process for the preparation of fludarabine phosphate from 2-fluoroadenine and fludarabine phosphate salts with amines or ammonia | |
WO2007114482A1 (ja) | 糖鎖化合物の製造方法 | |
US4992368A (en) | Novel process for producing oxetanocin G | |
JP2001055397A (ja) | 2’−デオキシウリジンの製造法 | |
US6541626B2 (en) | Process for selective N-acylation of purine nucleosides | |
MORISAWA et al. | A New Method for the Synthesis of 2'-Amino-2'-deoxyguanosine and-adenosine and Their Derivatives | |
NZ241274A (en) | Preparation of 2',3'-dideoxy-3'-fluoropyrimidine nucleosides | |
JP2783598B2 (ja) | 糖リン酸化合物のナトリウム塩又はカリウム塩の製造法 | |
JPS5813394A (ja) | 1−β−D−リボフラノシル−4,5−置換イミダゾ−ルの製造法 | |
US5164500A (en) | Oxetanocin G | |
JPS633877B2 (ja) |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040729 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040806 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20040901 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20040901 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |