JP3594436B2 - 水素吸蔵式冷却装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素吸蔵合金の水素の吸蔵と放出とを繰り返して行わせ、水素の放出時に生じる吸熱作用を利用して冷熱を得る水素吸蔵式冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
水素吸蔵合金を用いた従来の水素吸蔵式冷却装置を、図11を用いて説明する。水素吸蔵合金を用いたヒートポンプサイクルJ1 は、水素吸蔵合金J2 の加熱、放熱および冷熱出力を得るためにシェル&チューブタイプの熱交換器を用いていた。
この従来技術で示すヒートポンプサイクルJ1 は、4つのシェル&チューブタイプの熱交換器J3 〜J6 を用いたもので、各熱交換器J3 〜J6 は水素吸蔵合金J2 と熱媒体とが熱交換可能に設けられている。第1、第2熱交換器J3 、J4 の水素吸蔵合金J2 は水素通路を介して連通し、第3、第4熱交換器J5 、J6 の水素吸蔵合金J2 も水素通路を介して連通して設けられている。
【0003】
作動は、第1熱交換器J3 に加熱用の熱媒体を供給するとともに、第2熱交換器J4 に放熱用の熱媒体を供給する。すると、第1熱交換器J3 の水素が放出されて第2熱交換器J4 に吸蔵される。つまり、水素駆動が行われる。
次に、第1熱交換器J3 に供給していた加熱用の熱媒体を、放熱用の熱媒体に切り換えて供給するとともに、第2熱交換器J4 に供給していた放熱用の熱媒体を、冷熱出力用の熱媒体に切り換えて供給する。すると、第1熱交換器J3 が水素を吸蔵し、第2熱交換器J4 が水素を放出する。この第2熱交換器J4 が水素を放出する時、冷熱出力用の熱媒体が冷却される。つまり、冷熱出力が得られる。
そして、上記のサイクルを繰り返す。
【0004】
一方、第2熱交換器J4 から冷熱出力を得ている時は、第3熱交換器J5 に加熱用の熱媒体を供給するとともに、第4熱交換器J6 に放熱用の熱媒体を供給する。すると、第3熱交換器J5 の水素が放出されて第4熱交換器J6 に吸蔵される。つまり、第1、第2熱交換器J3 、J4 で冷熱出力を得ている時は、第3、第4熱交換器J5 、J6 で水素駆動が行われる。
次に、第3熱交換器J5 に供給していた加熱用の熱媒体を、放熱用の熱媒体に切り換えて供給するとともに、第4熱交換器J6 に供給していた放熱用の熱媒体を、冷熱出力用の熱媒体に切り換えて供給する。すると、第3熱交換器J5 が水素を吸蔵し、第4熱交換器J6 が水素を放出する。この第4熱交換器J6 が水素を放出する時、冷熱出力用の熱媒体が冷却される。つまり、第1、第2熱交換器J3 、J4 で水素駆動が行われている時は、第3、第4熱交換器J5 、J6 で冷熱出力が得られる。
そして、上記のサイクルを繰り返す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
各熱交換器J3 〜J6 に、加熱用の熱媒体と放熱用の熱媒体、あるいは放熱用の熱媒体と冷熱出力用の熱媒体を切り換えて供給するため、従来のヒートポンプサイクルJ1 では多数の切替バルブJ7 〜J14が必要になる。このように、多数の切替バルブJ7 〜J14を用いると、故障確率が上昇し、耐久性の向上の妨げとなる。また、各切替バルブJ7 〜J14は比較的高頻度で切り替わるため、作動音が目立つ不具合もあった。
【0006】
水素吸蔵合金J2 と熱媒体との熱交換を行う熱交換器J3 〜J6 は、水素吸蔵合金J2 に水素を付与するために、一旦真空引きされた後、水素が高圧下で供給されるため、低圧と高圧の両方に耐えられるように、シェル&チューブタイプが用いられている。しかし、シェル&チューブタイプの熱交換器J3 〜J6 は、体格が大きいため、水素吸蔵合金の熱交換に関与しない部分の熱授受によるヒートロスが大きく、また水素移動時の圧力損失が大きく、結果的に冷却効率が低くなってしまう不具合があった。
【0007】
シェル&チューブタイプの熱交換器は、体格が大きく、上記の従来技術で示したように、連続的に冷熱出力を得るためには、ヒートポンプサイクルJ1 は最低4個の熱交換器J3 〜J6 を必要とするため、ヒートポンプサイクルJ1 が大型化し、結果的に水素吸蔵式冷却装置が大型化する不具合があった。
【0008】
また、熱媒体の種類を切り換えて一方の熱交換器から他方の熱交換器へ水素の移動を行う際、両方の熱交換器に同時に異なった熱媒体を供給すると、水素移動時に生じる圧力損失によって、圧力変化にずれが生じて水素の移動が遅れ、冷却効率が低下する不具合があった。そこで、従来の水素吸蔵式冷却装置は、熱媒体の種類を切り換えて水素の移動を行う際、両方の圧力差が一定になった時点で一方の熱交換器と他方の熱交換器とを結ぶ水素通路を開いて水素の移動を促進するようにしている。
しかし、水素通路に開閉バルブを設けると、故障確率がさらに増え、耐久性が妨げられる。特に従来の装置では、熱交換器にシェル&チューブタイプを用いていたため、上述のように水素移動時の圧力損失が大きく、圧力差が一定になるまでに時間を要し、結果的に冷却効率の改善割合が少なかった。
【0009】
【発明の目的】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、第1の目的は、水素吸蔵合金と熱交換を行う熱媒体の切り替えを行う切替バルブや、水素通路の開閉を行う開閉バルブが不要な長期の信頼性の高い水素吸蔵式冷却装置の提供にあり、第2の目的は、水素移動時の圧力損失を抑えるとともに、ヒートロスの小さい熱授受効率の優れた水素吸蔵式冷却装置の提供にあり、第3の目的は小型化が可能な水素吸蔵式冷却装置の提供にあり、第4の目的は、水素移動時に水素の移動を促進させて冷却効率を向上できる水素吸蔵式冷却装置の提供にある。
【0011】
課題を解決するための手段
本発明の水素吸蔵式冷却装置は、上記の目的を達成するために、次の技術的手段を採用した。
(請求項の手段)
水素吸蔵式冷却装置は、水素吸蔵合金の水素の放出時の吸熱を利用したものであって、 水素吸蔵合金が封入された第1室、この第1室内と水素通路を介して連通し、水素吸蔵合金が封入された第2室を備えた複数のセルと、
前記第1室と接触可能に設けられた加熱用の熱媒体が配された加熱域を備えるとともに、前記第2室と接触可能に設けられた放熱用の熱媒体が配された第1放熱域を備える水素駆動部と、
前記第1室と接触可能に設けられた放熱用の熱媒体が配された第2放熱域を備えるとともに、前記第2室と接触可能に設けられた冷熱出力用の熱媒体が配された冷熱出力域を備える冷熱出力部と、
前記複数のセルを前記水素駆動部および前記冷熱出力部に繰り返し移動させるセル移動手段と、を備え、
前記水素駆動部において前記第1室が加熱用の熱媒体に触れ、前記第2室が放熱用の熱媒体に触れる際、前記第1室が加熱用の熱媒体に触れる接触開始時期よりも、前記第2室が放熱用の熱媒体に触れる接触開始時期が遅く設けられ、
前記冷熱出力部において前記第1室が放熱用の熱媒体に触れ、前記第2室が冷熱出力用の熱媒体に触れる際、前記第1室が放熱用の熱媒体に触れる接触開始時期よりも、前記第2室が冷熱出力用の熱媒体に触れる接触開始時期が遅く設けられるものであり、
前記第1室および前記第2室がそれぞれ放射状を呈するように前記複数のセルを配置し、
前記セル移動手段が前記複数のセルを放射状に回転駆動し、
前記加熱域と前記第2放熱域は、前記第1室の群を覆う第1容器内で区画され、
前記第1放熱域と前記冷熱出力域は、前記第2室の群を覆う第2容器内で区画され、
前記第1室に触れる熱媒体の接触開始時期と、前記第2室に触れる熱媒体の接触開始時期とのずれは、前記第1放熱域と前記冷熱出力域とを区画する前記第2容器の区画壁の位置または厚さによって設けられることを特徴とする。
【0012】
(請求項の手段)
請求項の水素吸蔵式冷却装置において、
前記第2室が水素通路を介して複数に分割し、分割された一方の第2室に放熱用の熱媒体を触れさせ、分割された他方の第2室に冷熱出力用の熱媒体を触れさせ、前記他方の第2室から前記一方の第2室へ水素を移動させて冷熱出力を得るように設けるとともに、
前記一方の第2室が放熱用の熱媒体に触れ、前記他方の第2室が冷熱出力用の熱媒体に触れる際、前記一方の第2室が放熱用の熱媒体に触れる接触開始時期よりも、前記他方の第2室が冷熱出力用の熱媒体触れる接触開始時期が遅く設けられたことを特徴とする。
【0013】
(請求項の手段)
請求項1または請求項2の水素吸蔵式冷却装置において、
前記第1室および前記第2室は、それぞれ偏平状を呈し、一方の面が凸状に湾曲するとともに、一方の面に対向する他方の面が凹状に湾曲して設けられたことを特徴とする。
【0016】
発明の作用
(請求項の作用)
セル移動手段が、複数のセルを、水素駆動部および冷熱出力部に繰り返し移動させる。
セルが水素駆動部に移動すると、先ず、第1室が加熱域において加熱用の熱媒体に接触する。すると、第1室が加熱を受けて水素吸蔵合金から水素が放出され、内圧が上昇する。
第1室が加熱を受けて内圧が上昇した後に、第2室が第1放熱域において放熱用の熱媒体に接触する。すると、第2室内の水素吸蔵合金が水素を吸蔵する。この時、既に第1室の内圧が上昇し、第1室内の水素吸蔵合金が水素を放出しているため、水素吸蔵合金の圧力損失による水素移動の遅れがない。
【0017】
セルが冷熱出力部に移動すると、先ず、第1室が第2放熱域において放熱用の熱媒体に接触する。すると、第1室が放熱による温度低下を受けて水素吸蔵合金が水素を吸蔵し、内圧が下降する。
第1室が放熱されて内圧が下降した後に、第2室が冷熱出力域において冷熱出力用の熱媒体に接触する。すると、第2室内の水素吸蔵合金が水素を放出する。この時、既に第1室の内圧が下降し、第1室内の水素吸蔵合金が水素吸蔵状態となっているため、水素吸蔵合金の圧力損失による水素移動の遅れがない。
なお、この第2室の水素吸蔵合金が水素を放出する時、冷熱出力用の熱媒体が冷却され、冷熱出力が得られる。
【0018】
【発明の効果】
本発明の水素吸蔵式冷却装置は、第1室と第2室とにそれぞれ接触する熱媒体の接触開始時期をずらすことによって、水素通路を開閉することなく、水素移動時に水素の移動を促進させることによって、水素の移動が遅れて冷却効率が低下する不具合が抑えられる。この結果、水素吸蔵式冷却装置の冷却効率が向上する。
また、第1室と第2室とを水素通路で連通したセルを複数用いているため、シェル&チューブタイプの熱交換器に比較して、水素移動時の圧力損失を小さく抑えることができ、圧力差が一定になるまでに時間が短くて済み、結果的に従来に比較して冷却効率が改善できる。
【0019】
本発明の水素吸蔵式冷却装置は、水素吸蔵合金に接触する熱媒体の種類を切り換えて水素吸蔵合金と熱交換を行うのではなく、セル移動手段がセルを移動することで水素吸蔵合金自体が移動して熱媒体の種類を変更しているので、従来技術のように、熱媒体の種類の切り替えを行う切替バルブが不要となる。また、水素通路を開閉する開閉弁も不要である。
このように、本発明の水素吸蔵式冷却装置は、ヒートポンプサイクルにおいて切替バルブや開閉弁が不要であるため、従来に比較して故障確率が減少し、結果的に長期の信頼性を高めることができる。
【0020】
また、本発明の水素吸蔵式冷却装置は、水素吸蔵合金を内蔵する第1室と第2室とを水素通路で連通したセルを複数用いているため、シェル&チューブタイプの熱交換器に比較して、熱交換に関与しない部分の熱授受が減ることでヒートロスが小さくなり、また水素移動時の圧力損失も小さくなるので、冷却効率が向上する。
【0021】
さらに、本発明の水素吸蔵式冷却装置は、水素吸蔵合金を内蔵する複数のセルを、水素駆動部および冷熱出力部に移動することで冷熱出力を得るため、シェル&チューブタイプの熱交換器に比較してヒートポンプサイクルの体格を小型化することができ、結果的に水素吸蔵合金を用いた水素吸蔵式冷却装置を小型化することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を、実施例および変形例に基づき説明する。
〔第1実施例の構成〕
第1実施例は、本発明の水素吸蔵式冷却装置を室内空調用の冷房装置に適用したもので、この第1実施例を図1ないし図9を用いて説明する。
【0023】
(冷房装置1の概略説明)
本実施例の冷房装置1の概略構成を、図3を用いて説明する。この実施例では、水素吸蔵合金を用いたヒートポンプサイクル2の一例として2段式サイクルを用いた。なお、2段式サイクルとは、本発明の第2室を分割し、第1室から分割された一方の第2室に水素の移動を行い、一方の第2室から他方の第2室へ水素を移動させて1段目の冷熱出力を得、他方の第2室から第1室へ水素を移動させて2段目の冷熱出力を得るもので、詳細は後述する。
【0024】
本実施例の適用される冷房装置1は、大別して、水素吸蔵合金を用いたヒートポンプサイクル2と、水素吸蔵合金を加熱する加熱水(加熱用の熱媒体に相当する、本実施例では水)を作り出す燃焼装置3と、水素吸蔵合金を放熱によって冷却させる放熱水(放熱用の熱媒体に相当する、本実施例では水)を冷却する放熱水冷却手段4と、水素吸蔵合金の水素放出作用によって生じた吸熱によって冷却された冷熱出力水(冷熱出力用の熱媒体に相当する、本実施例では水)で室内を空調する室内空調機5と、搭載された各電気機能部品を制御する制御装置6とから構成される。
【0025】
なお、ヒートポンプサイクル2、燃焼装置3、放熱水冷却手段4および制御装置6は、室外機7として室外に設置されるもので、室内には室内空調機5が配置される。また、本実施例に示す冷房装置1は、1つの室外機7に対して、複数の室内空調機5が接続可能な所謂マルチエアコンである。
【0026】
(ヒートポンプサイクル2の説明)
本実施例のヒートポンプサイクル2は、上述のように2段式サイクルを用いたもので、図1に示すように、水素吸蔵合金が封入された上段室S1 (第1室に相当する)、この上段室S1 内に水素通路S4 を介して連通し、水素吸蔵合金が封入された中段室S2 (第2室に相当する)、上段室S1 内および中段室S2 内に水素通路S4 を介して連通し、水素吸蔵合金が封入された下段室S3 (第2室に相当する)を備えたセルSを複数用いる。なお、この実施例では、12〜18個のセルSを用いた。
【0027】
水素吸蔵合金は、水素平衡圧力が異なる3種を用いたもので、上段室S1 内には同一平衡水素圧で水素平衡温度が最も高い高温度水素吸蔵合金(以下、高温合金HM)の粉末を封入し、中段室S2 内には中温度水素吸蔵合金(以下、中温合金MM)の粉末を封入し、下段室S3 内には同一平衡水素圧で水素平衡温度が最も低い低温度水素吸蔵合金(以下、低温合金LM)の粉末を封入したものである。
このことを図7のPT冷凍サイクルを用いて説明すると、水素吸蔵合金の特性が、相対的に高温側(図示左側)にあるのが高温合金HM、低温側にあるのが低温合金LM、両者の中間にあるのが中温合金MMである。
【0028】
1つのセルSは、ステンレスあるいは銅など、水素透過の無い金属を用いて、水素吸蔵合金を包む最中状に絞り成形したもので、真空ろう付けや溶接等の接合方法によりセル容器(上、中、下段室S1 、S2 、S3 および水素通路S4 を形成する容器)を成形し、内部に粉末状の水素吸蔵合金を充填し、真空引きを行ったのち、活性化処理を施し、水素を高圧充填して溶接により密封したものである。
【0029】
1つのセルSの外形は、図4に示されるもので、上、中、下段室S1 、S2 、S3 はそれぞれ偏平状容器である板状を呈し、各室の一辺が、内部に水素通路S4 が形成された棒状の連結部S5 によって連結された形状を呈する。また、上、中、下段室S1 、S2 、S3 のそれぞれは、一方の面が凸状に湾曲して設けられるとともに、対向する他方の面が凹状に湾曲して設けられている。このように、各室は、凹凸状の面を対向して設けたことにより、真空引き時の低圧下、および水素充填時の高圧下において、対向する面に引っ張り応力と圧縮応力がかかり、各室の変形が小さく抑えられ、結果的に耐圧性に優れる。
なお、凹凸の方向として、図4では側面から見て各室が湾曲するように設けたが、軸方向から見て湾曲するように設けても良いし、ドーム型など側方と軸方向の両方から見て湾曲するように設けても良い。
【0030】
複数のセルSは、図5に示すように、上、中、下段室S1 、S2 、S3 が、それぞれ放射状を呈するように配置されるもので、この実施例では回転軸8の周囲に複数のセルSの各連結部S5 が束ねて固定され、複数の上段室S1 の群(第1室の群に相当する)、複数の中段室S2 の群(第2室の群に相当する)、複数の下段室S3 の群(第2室の群に相当する)が、それぞれ放射状に配置されたものである。なお、回転軸8の周囲に固定された複数のセルSは、図示しないセル移動手段によって回転駆動されるもので、このセル移動手段は、ゆっくりと連続的に複数のセルSを回転させるものである(例えば、1時間に20周ほど)。
【0031】
一方、2段式サイクルのヒートポンプサイクル2は、図1および図2に示すように、上段室S1 内の水素を強制的に下段室S3 内に移動させる水素駆動部αと、下段室S3 内に移動した水素を中段室S2 に移動させる第1冷熱出力部βと、中段室S2 内に移動した水素を上段室S1 に移動させる第2冷熱出力部γとを備える。
水素駆動部αは、上段室S1 と接触する加熱水(例えば80℃ほど)が供給される加熱域α1 、中段室S2 と接触する昇圧水(例えば56℃ほど)が供給される中段昇圧域α2 、下段室S3 と接触する放熱水(例えば28℃ほど)が供給される下段放熱域α3 (第1放熱域に相当する)を備える。
【0032】
第1冷熱出力部βは、上段室S1 と接触する昇圧水(例えば58℃ほど)が供給される上段昇圧域β1 、中段室S2 と接触する放熱水(例えば28℃ほど)が供給される中段放熱域β2 、下段室S3 と接触した冷熱出力水(例えば13℃ほど)が出力される下段冷熱出力域β3 を備える。
第2冷熱出力部γは、上段室S1 と接触する放熱水(例えば28℃ほど)が供給される上段放熱域γ1 (第2放熱域に相当する)、中段室S2 と接触する冷熱出力水(例えば13℃ほど)が出力される中段冷熱出力域γ2 (冷熱出力域に相当する)を備える。なお、第2冷熱出力部γにおいて下段室S3 と接触する熱媒体の温度は不問であり、その部分を不問域γ3 とする。
【0033】
つまり、図示しないセル移動手段により、上段室S1 の群は加熱域α1 →上段昇圧域β1 →上段放熱域γ1 を循環するものであり、中段室S2 の群は中段昇圧域α2 →中段放熱域β2 →中段冷熱出力域γ2 を循環するものであり、下段室S3 の群は下段放熱域α3 →下段冷熱出力域β3 →不問域γ3 を循環するものである。
【0034】
上段室S1 の群は、上段容器K1 (1容器に相当する)に覆われ、内部が加熱域α1 、上段昇圧域β1 、上段放熱域γ1 に区画されている。また、中段室S2 の群は、中段容器K2 に覆われ、内部が中段昇圧域α2 、中段放熱域β2 、中段冷熱出力域γ2 に区画されている。さらに、下段室S3 の群は、下段容器K3 に覆われ、内部が下段放熱域α3 、下段冷熱出力域β3 、不問域γ3 に区画されている。なお、中段容器K2 および下段容器K3 が第2容器に相当する。
上段容器K1 、中段容器K2 、下段容器K3 は、連続的に繋がって設けられた容器K(例えば、樹脂製の容器)で、この容器Kは、図6に示すように、軸方向に分割可能に設けられている。
【0035】
この実施例のヒートポンプサイクル2は、1つのセルSにおいて、上段室S1 、中段室S2 、下段室S3 が熱媒体(加熱水、放熱水、昇圧水、冷熱出力水)に触れる際、ある一室に触れる熱媒体の接触開始時期と、他の一室に触れる熱媒体の接触開始時期とがずらして設けられている。
この実施例における熱媒体の接触開始時期を、図8および図9を用いて説明する。なお、図8および図9中において、実線は上段室S1 内の温度および圧力変化を示し、2点鎖線は中段室S2 内の温度および圧力変化を示し、破線は下段室S3 内の温度および圧力変化を示す。
【0036】
1つのセルSが水素駆動部αへ進む際、上段室S1 が加熱水に触れる接触開始時期(図中αa)よりも、下段室S3 が放熱水に触れる接触開始時期(図中αc)が遅く設けられている。なお、この実施例では、中段室S2 が昇圧水に触れる接触開始時期(図中αb)は、上段室S1 が加熱水に触れる接触開始時期(図中αa)と同時に設定されている。
【0037】
1つのセルSが第1冷熱出力部βへ進む際、中段室S2 が放熱水に触れる接触開始時期(図中βb)よりも、下段室S3 が冷熱出力水に触れる接触開始時期(図中βc)が遅く設けられている。なお、この実施例では、上段室S1 が昇圧水に触れる接触開始時期(図中βa)は、中段室S2 が放熱水に触れる接触開始時期(図中βb)と同時に設定されている。
1つのセルSが第2冷熱出力部γへ進む際、上段室S1 が放熱水に触れる接触開始時期(図中γa)よりも、中段室S2 が冷熱出力水に触れる接触開始時期(図中γb)が遅く設けられている。
【0038】
上記のように、熱媒体の接触開始時期をずらす手段として、各熱媒体が供給される容器K内の区画壁の位置を調節したり、厚さを調節することにより実施している。
具体的には、図2に示すように、上段容器K1 は、加熱域α1 、上段昇圧域β1 、上段放熱域γ1 を区画する区画壁K1a、K1b、K1cを備え、中段容器K2 は、中段昇圧域α2 、中段放熱域β2 、中段冷熱出力域γ2 を区画する区画壁K2a、K2b、K2cを備え、下段容器K3 は、下段放熱域α3 、下段冷熱出力域β3 、不問域γ3 を区画する区画壁K3a、K3b、K3cを備えている。
【0039】
そして、水素駆動部αの進入時に下段室S3 が、上段室S1 、中段室S2 よりも遅れて進入するように、区画壁K1a、K2aよりも、区画壁K3aがセルSの移動方向に沿ってずれた位置に設けられている(あるいは、区画壁K3aがセルSの移動方向に厚く設けられている)。
また、第1冷熱出力部βの進入時に下段室S3 が、上段室S1 、中段室S2 よりも遅れて進入するように、区画壁K1b、K2bよりも、区画壁K3bがセルSの移動方向に沿ってずれた位置に設けられている(あるいは、区画壁K3bがセルSの移動方向に厚く設けられている)。
さらに、第2冷熱出力部γの進入時に中段室S2 が、上段室S1 、下段室S3 よりも遅れて進入するように、区画壁K1c、K3cよりも、区画壁K2cがセルSの移動方向に沿ってずれた位置に設けられている(あるいは、区画壁K2cがセルSの移動方向に厚く設けられている)。
【0040】
(ヒートポンプサイクル2における上記以外の構成部品の説明)
図3に示す符号9は、上段昇圧域β1 と中段昇圧域α2 とに昇圧水を循環させる昇圧水循環路で、途中に設けられた昇圧水循環ポンプP1 ’によって昇圧水が循環する。なお、昇圧水は、加熱域α1 で温度上昇した上段室S1 、上段容器K1 からの伝熱により温度上昇した水を用いたもので、ヒートポンプサイクル2の作動中、上段昇圧域β1 の昇圧水の温度は例えば58℃程で、中段昇圧域α2 の昇圧水の温度は例えば56℃程になる。
【0041】
(燃焼装置3の説明)
本実施例の燃焼装置3は、燃料であるガスを燃焼して熱を発生させ、発生した熱によって加熱水を加熱するガス燃焼装置を用いたもので、ガスの燃焼を行うガスバーナ10、このガスバーナ10へガスの供給を行うガス量調節弁21およびガス開閉弁22を備えたガス供給回路11、ガスバーナ10へ燃焼用の空気を供給する燃焼ファン12、ガスの燃焼熱と加熱水とを熱交換する熱交換器13等から構成される。
そして、ガスバーナ10のガス燃焼で得られた熱で、加熱水を例えば80℃程に加熱し、加熱された加熱水を加熱水循環ポンプP1 を備えた加熱水循環路14を介して加熱域α1 に供給するものである。
なお、本実施例の加熱水循環ポンプP1 は、昇圧水循環ポンプP1 ’を駆動する兼用のモータによって駆動されるタンデムポンプである。このため、燃焼装置3から加熱水がヒートポンプサイクル2に供給される際は、昇圧水も循環作動するように設けられている。
【0042】
(室内空調機5の説明)
室内空調機5は、上述のように室内に配置されるもので、内部に室内熱交換器15、この室内熱交換器15に供給される冷熱出力水と室内空気とを強制的に熱交換し、熱交換後の空気を室内に吹き出させるための室内ファン16を備える。室内熱交換器15には、下段冷熱出力域β3 および中段冷熱出力域γ2 から供給される冷熱出力水を循環させる冷熱出力水循環路17が接続され、この冷熱出力水循環路17の途中(室外機7内)には、冷熱出力水を循環させる冷熱出力水ポンプP2 が設けられている。
【0043】
(放熱水冷却手段4の説明)
放熱水冷却手段4は、蒸発型の冷却塔であり、この放熱水冷却手段4によって冷却された放熱水は、放熱水循環ポンプP3 を備えた放熱水循環路18によって下段放熱域α3 、中段放熱域β2 、上段放熱域γ1 に供給される。
放熱水冷却手段4は、下段放熱域α3 、中段放熱域β2 、上段放熱域γ1 を通過した放熱水を、上方から下方へ流し、流れている間に外気と熱交換して放熱するとともに、流れている間に一部蒸発させて、蒸発時に流れている放熱水から気化熱を奪い、流れている放熱水を冷却するものである。また、この放熱水冷却手段4は、図示しない放熱ファンを備え、この放熱ファンの生じる空気流によって放熱水の蒸発および冷却を促進するように設けられている。
なお、この実施例では、放熱水冷却手段4として蒸発型の冷却塔を示したが、放熱水(放熱用の熱媒体)が空気に触れずに熱交換する密閉型の冷却手段を用いても良い。
【0044】
ここで、上記に示す加熱水循環路14、冷熱出力水循環路17および放熱水循環路18は、それぞれシスターンT1 、T2 、T3 を備えており、シスターンT1 、T2 、T3 内の水位が所定水位以下に低下すると、それぞれに設けられた給水バルブT4 、T5 、T6 が開き、給水管19から供給される水道水をシスターンT1 、T2 、T3 内に補充するように設けられている。
また、ヒートポンプサイクル2の下部にはドレンパンPが配置され、ヒートポンプサイクル2に発生したドレン水を排水管20から排水するように設けられている。なお、放熱水冷却手段4で溢れた水も排水管20から排水するように設けられている。
【0045】
(制御装置6の説明)
制御装置6は、室内空調機5に設けられたコントローラ(図示しない)からの操作指示や、複数設けられた各センサの入力信号に応じて、上述の加熱水循環ポンプP1 (昇圧水循環ポンプP1 ’)、冷熱出力水ポンプP2 、放熱水循環ポンプP3 、給水バルブT4 、T5 、T6 、放熱水冷却手段4の放熱ファンなどの電気機能部品、および燃焼装置3の電気機能部品(燃焼ファン12、ガス量調節弁21、ガス開閉弁22、図示しない点火装置等)を制御するとともに、室内空調機5に室内ファン16の作動指示を与えるものである。
【0046】
(冷房運転の作動説明)
上記の冷房装置1による冷房運転の作動を、図7のPT冷凍サイクル線図、図8の温度変化を示すグラフ、図9の圧力変化を示すグラフを参照して説明する。冷房運転が室内空調機5のコントローラによって指示されると、制御装置6によって、燃焼装置3、セル移動手段、放熱ファンおよび加熱水循環ポンプP1 (昇圧水循環ポンプP1 ’)、冷熱出力水ポンプP2 、放熱水循環ポンプP3 が作動するとともに、冷房が指示された室内空調機5の室内ファン16をONする。
【0047】
セル移動手段によって、複数のセルSがゆっくりと連続的に回転移動する。これによって、複数のセルSが、水素駆動部α→第1冷熱出力部β→第2冷熱出力部γの順で移動する。
つまり、各上段室S1 が加熱域α1 →上段昇圧域β1 →上段放熱域γ1 の順で移動し、各中段室S2 が中段昇圧域α2 →中段放熱域β2 →中段冷熱出力域γ2 の順で移動し、各下段室S3 が下段放熱域α3 →下段冷熱出力域β3 →不問域γ3 の順で移動する。
【0048】
水素駆動部αへ進入するセルSは、先ず、上段室S1 および中段室S2 が加熱水および昇圧水に触れる(図8のαa、αb)。上段室S1 が加熱水(80℃)に触れることにより、高温合金HMは水素を放出し、内圧が上昇する(図9のαa)。また、中段室S2 が昇圧水に触れることにより、中温合金MMが水素を吸蔵しない圧力に上昇する(図9のαb)。
上段室S1 および中段室S2 の内圧が上昇した後に、下段室S3 が放熱水(28℃)に接触することにより(図8のαc)、低温合金LMが水素の吸蔵を開始する(図9のαc)。この時、既に上段室S1 の内圧が上昇し、高温合金HMは水素を放出しているため、高温合金HMの圧力損失による水素移動の遅れによる影響を受けることなく、低温合金LMは水素を吸蔵する。
【0049】
このように、上段室S1 が加熱域α1 で加熱水に触れ、中段室S2 が中段昇圧域α2 で昇圧水に触れ、下段室S3 が下段放熱域α3 の放熱水に触れることにより、上段室S1 内が80℃:1.0MPa、中段室S2 内が56℃:1.0MPa、下段室S3 内が28℃:0.9MPaとなり、上段室S1 の高温合金HMが水素を放出し(図7の▲1▼)、下段室S3 の低温合金LMが水素を吸蔵する(図7の▲2▼)。なお、中段室S2 は昇圧水によって加熱されて内圧が高く、中温合金MMは水素の吸蔵は行わない。
そして、水素駆動部αを通過したセルSは、その後第1冷熱出力部βへ移動する。
【0050】
第1冷熱出力部βへ進入するセルSは、先ず、上段室S1 および中段室S2 が昇圧水および放熱水に触れる(図8のβa、βb)。上段室S1 が昇圧水(58℃)に触れることにより、高温合金HMが水素を吸蔵しない圧力に上昇する(図9のβa)。中段室S2 が放熱水(28℃)に触れることにより、中温合金MMの水素吸蔵作用によって、内圧が下降する(図9のβb)。
中段室S2 の内圧が下降した後に、下段室S3 が冷熱出力水に接触することにより(図8のβc)、低温合金LMの水素の放出が促進される(図9のβc)。つまり、下段室S3 が冷熱出力水に接触した時は、既に中段室S2 の内圧が降下しているため、中温合金MMの圧力損失による水素移動の遅れの影響を受けることなく、低温合金LMは水素を放出する。
【0051】
このように、上段室S1 が上段昇圧域β1 で昇圧水に触れ、中段室S2 が中段昇圧域β2 で放熱水に触れ、下段室S3 が下段冷熱出力域β3 の冷熱出力水に触れることにより、上段室S1 内が58℃:0.5MPa、中段室S2 内が28℃:0.4MPa、下段室S3 内が13℃:0.5MPaとなり、下段室S3 の低温合金LMが水素を放出し(図7の▲3▼)、中段室S2 の中温合金MMが水素を吸蔵する(図7の▲4▼)。下段室S3 の低温合金LMが水素を放出する際、吸熱作用が発生し、下段室S3 に触れる冷熱出力水から熱を奪う。この結果、下段冷熱出力域β3 内の冷熱出力水の温度が低下する(例えば、13℃)。なお、上段室S1 は昇圧水によって加熱されて内圧が高く、高温合金HMは水素の吸蔵は行わない。
そして、第1冷熱出力部βを通過したセルSは、その後第2冷熱出力部γへ移動する。
【0052】
第2冷熱出力部γへ進入するセルSは、先ず、上段室S1 が放熱水に触れる(図8のγa)。上段室S1 が放熱水(28℃)に触れることにより、高温合金HMの水素吸蔵作用によって、内圧が下降する(図9のγa)。
上段室S1 の内圧が下降した後に、中段室S2 が冷熱出力水に接触することにより(図8のγb)、中温合金MMの水素の放出が促進される(図9のγb)。つまり、中段室S2 が冷熱出力水に接触した時は、既に上段室S1 の内圧が降下しているため、高温合金HMの圧力損失による水素移動の遅れによる影響を受けることなく、中温合金MMは水素を放出する。
【0053】
このように、上段室S1 が上段放熱域γ1 で放熱水に触れることにより、上段室S1 内が28℃:0.1MPa、中段室S2 内が13℃:0.2MPa、下段室S3 内は不問状態となり、中段室S2 の中温合金MMが水素を放出し(図7の▲5▼)、上段室S1 の高温合金HMが水素を吸蔵する(図7の▲6▼)。中段室S2 の中温合金MMが水素を放出する際、吸熱作用が発生し、中段室S2 に触れる冷熱出力水から熱を奪う。この結果、中段冷熱出力域γ2 内の冷熱出力水の温度が低下する(例えば、13℃)。なお、下段室S3 の温度は無関係で、下段室S3 の低温合金LMは水素の吸蔵は行わない。
そして、第2冷熱出力部γを通過したセルSは、その後水素駆動部αへ移動する。
【0054】
なお、ヒートポンプサイクル2の下段冷熱出力域β3 および中段冷熱出力域γ2 で熱を奪われた低温の冷熱出力水は、冷熱出力水循環路17を介して室内空調機5の室内熱交換器15に供給されて、室内に吹き出される空気と熱交換されて室内を冷房する。
【0055】
〔実施例の効果〕
上記の作動で示したように、本実施例の冷房装置1は、1つのセルSにおいて、上段室S1 、中段室S2 、下段室S3 が熱媒体(加熱水、放熱水、昇圧水、冷熱出力水)に触れる際、ある一室に触れる熱媒体の接触開始時期と、他の一室に触れる熱媒体の接触開始時期とをずらしたことによって、水素通路S4 を開閉することなく、水素移動時に水素の移動を促進させることによって、水素の移動が遅れて冷却効率が低下する不具合が抑えられ、冷房装置1の冷却効率を向上できる。
また、上段室S1 、中段室S2 、下段室S3 を水素通路S4 で連通したセルSを複数用いているため、シェル&チューブタイプの熱交換器に比較して、水素移動時の圧力損失を小さく抑えることができ、圧力差が一定になるまでに時間(つまり、ずらす時間)が短くて済み、冷却効率が改善できる。
【0056】
本実施例の冷房装置1は、従来技術のように水素吸蔵合金に接触する熱媒体の種類を切り換えて水素吸蔵合金と熱交換を行うのではなく、セル移動手段が複数のセルSを移動することで水素吸蔵合金自体が移動して熱媒体の種類(加熱水、放熱水、昇圧水、冷熱出力水)を変更しているので、ヒートポンプサイクル2において熱媒体の種類を切り替える切替バルブが不要となる。また、上段室S1 、中段室S2 、下段室S3 はいずれも水素通路S4 によって連通しているのみであるため、水素通路S4 の開閉バルブも必要ない。
このように、本実施例の冷房装置1は、ヒートポンプサイクル2において熱媒体を頻繁に切り替える切替バルブが不要であるため、従来に比較して故障確率が減少し、結果的に長期の信頼性が向上する。
【0057】
本発明を適用した冷房装置1は、水素吸蔵合金を内蔵する上段室S1 、中段室S2 、下段室S3 を水素通路S4 で連通したセルSを複数用いているため、シェル&チューブタイプの熱交換器に比較して、熱交換に関与しない部分の熱授受が減ってヒートロスを小さくできるとともに、水素移動時の圧力損失が小さく抑えられ、結果的にヒートポンプサイクル2の冷却効率が向上し、冷房効率が向上する。
【0058】
本発明を適用した冷房装置1のヒートポンプサイクル2は、従来のようなシェル&チューブタイプの熱交換器を複数用いるのではなく、複数のセルSを集合し、1つの容器K内に収容したものである。このため、シェル&チューブタイプの熱交換器を複数用いた従来のヒートポンプサイクルに比較して、本実施例のヒートポンプサイクル2の体格を大変小型化することができ、結果的に冷房装置1の室外機7を小型化できる。
【0059】
〔第2実施例〕
次に、本発明の水素吸蔵式冷却装置を冷暖房装置に適用した第2実施例を示す。なお、図10は本発明を適用した冷暖房装置の概略構成図である。
本実施例の冷暖房装置30は、上記の実施例で示した冷房運転の実施に加え、暖房運転時に、燃焼装置3で加熱された加熱水を室内空調機5の室内熱交換器15に導いて室内暖房を行うもので、第1実施例で示した加熱水循環路14と冷熱出力水循環路17とを接続し、その接続部分に流路切替用の3つの切替バルブV1 、V2 、V3 (冷房と暖房の切替バルブ)を設けたものである。
なお、室内空調機5の他に、床暖房マット、浴室乾燥機などに接続し、加熱水の供給によって床暖房、浴室暖房などを行うように設けても良い。
【0060】
〔変形例〕
上記の実施例では、セルSの各室が次の熱媒体域に進入する毎に、熱媒体の接触開始時期をずらした例を示したが、一部のみずらしても良い。つまり、例えば、水素駆動部αのみをずらしたり、第1冷熱出力部βのみをずらしたり、第2冷熱出力部γのみをずらすなどしても良い。
【0061】
上記の第1、第2実施例では、説明を容易化するために、図面の上下に応じて上段室S1 、中段室S2 、下段室S3 とした例を示したが、セルSの回転方向を横に向けたり、反転させるなど、他の向きに配置しても良い。また、上段室S1 、中段室S2 、下段室S3 の配置を入れ換えても良い。さらに、セルSの移動方向を逆にしても良い。このような場合は、勿論、各室に接触する各熱媒体の配置位置もヒートポンプサイクルが成り立つように入れ換える。
【0062】
上記の実施例では、昇圧用の熱媒体として、加熱域α1 で温度上昇した上段室S1 を冷却して温度上昇した熱媒体(実施例中では昇圧水)を用いた例を示したが、加熱手段(例えば、燃焼装置による昇温、電気ヒータによる昇温、排熱を利用した昇温など)によって昇温した熱媒体を用いても良い。
上記の実施例では、ヒートポンプサイクル2の一例として、2段式サイクルを用いた例を示したが、1段式サイクルに用いても良いし、第2室を3つ以上分割して3段式以上のサイクルとして用いても良い。
【0063】
上記の実施例では、1つの室外機7に複数の室内空調機5が接続可能なマルチエアコンを示したが、1つの室外機7に1つの室内空調機5が接続されるエアコンに本発明を適用しても良い。
上記の実施例では、ヒートポンプサイクル2によって得られた冷熱出力用の熱媒体(実施例中では冷熱水)で室内を冷房する例を示したが、冷熱出力用の熱媒体で冷蔵運転や冷凍運転に用いるなど、本発明を他の冷却装置として用いても良い。
【0064】
上記の実施例では、1つのヒートポンプユニット(1つの容器K内に複数のセルSを収納したユニット)を用いた例を示したが、複数のヒートポンプユニットを搭載して冷却能力を増大させ、ビル用空調システムなど大きな冷却能力が要求される冷却装置に用いても良い。
【0065】
上記の実施例では、加熱用の熱媒体(実施例中では加熱水)を加熱する加熱手段として、ガスを燃焼するガス燃焼装置を用いたが、石油を燃焼する石油燃焼装置など、他の燃焼装置を用いても良いし、内燃機関の排熱によって加熱用の熱媒体を加熱する加熱手段、ボイラーによる蒸気、電気ヒータを用いた加熱手段など、他の加熱手段を用いても良い。なお、内燃機関の排熱を利用する際は、車両用に用いることもできる。
【0066】
上記の実施例では、各熱媒体の一例として、水道水を用いたが、不凍液やオイルなど他の液体の熱媒体を用いても良し、空気など気体の熱媒体を用いても良い。
上記の実施例では、複数のセルSをセル移動手段によって連続的に回転させた例を示したが、セルSを間欠的に回転移動させても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒートポンプサイクルの作動説明図である(第1実施例)。
【図2】セルの集合体を収納する容器各部の断面図である(第1実施例)。
【図3】冷房装置の概略構成図である(第1実施例)。
【図4】セルの斜視図である(第1実施例)。
【図5】複数のセルの配置状態を示す斜視図である(第1実施例)。
【図6】容器の斜視図である(第1実施例)。
【図7】PT冷凍サイクル線図である(第1実施例)。
【図8】各室内の温度変化を示すグラフである(第1実施例)。
【図9】各室内の圧力変化を示すグラフである(第1実施例)。
【図10】冷暖房装置の概略構成図である(第2実施例)。
【図11】冷房装置の概略構成図である(従来例)。
【符号の説明】
HM 高温合金(水素吸蔵合金)
MM 中温合金(水素吸蔵合金)
LM 低温合金(水素吸蔵合金)
S セル
S1 上段室(第1室)
S2 中段室(第2室)
S3 下段室(第2室)
S4 水素通路
α 水素駆動部
α1 加熱域
α3 下段放熱域(第1放熱域)
γ 第2冷熱出力部(冷熱出力部)
γ1 上段放熱域(第2放熱域)
γ2 中段冷熱出力域(冷熱出力域)
K1 上段容器(第1容器)
K2 中段容器(第2容器)
K3 下段容器(第2容器)

Claims (3)

  1. 水素吸蔵合金の水素の放出時の吸熱を利用した水素吸蔵式冷却装置において、
    水素吸蔵合金が封入された第1室、この第1室内と水素通路を介して連通し、水素吸蔵合金が封入された第2室を備えた複数のセルと、
    前記第1室と接触可能に設けられた加熱用の熱媒体が配された加熱域を備えるとともに、前記第2室と接触可能に設けられた放熱用の熱媒体が配された第1放熱域を備える水素駆動部と、
    前記第1室と接触可能に設けられた放熱用の熱媒体が配された第2放熱域を備えるとともに、前記第2室と接触可能に設けられた冷熱出力用の熱媒体が配された冷熱出力域を備える冷熱出力部と、
    前記複数のセルを前記水素駆動部および前記冷熱出力部に繰り返し移動させるセル移動手段と、を備え、
    前記水素駆動部において前記第1室が加熱用の熱媒体に触れ、前記第2室が放熱用の熱媒体に触れる際、前記第1室が加熱用の熱媒体に触れる接触開始時期よりも、前記第2室が放熱用の熱媒体に触れる接触開始時期が遅く設けられ、
    前記冷熱出力部において前記第1室が放熱用の熱媒体に触れ、前記第2室が冷熱出力用の熱媒体に触れる際、前記第1室が放熱用の熱媒体に触れる接触開始時期よりも、前記第2室が冷熱出力用の熱媒体に触れる接触開始時期が遅く設けられるものであり、
    前記第1室および前記第2室がそれぞれ放射状を呈するように前記複数のセルを配置し、
    前記セル移動手段が前記複数のセルを放射状に回転駆動し、
    前記加熱域と前記第2放熱域は、前記第1室の群を覆う第1容器内で区画され、
    前記第1放熱域と前記冷熱出力域は、前記第2室の群を覆う第2容器内で区画され、
    前記第1室に触れる熱媒体の接触開始時期と、前記第2室に触れる熱媒体の接触開始時期とのずれは、前記第1放熱域と前記冷熱出力域とを区画する前記第2容器の区画壁の位置または厚さによって設けられる
    ことを特徴とする水素吸蔵式冷却装置。
  2. 請求項の水素吸蔵式冷却装置において、
    前記第2室が水素通路を介して複数に分割し、分割された一方の第2室に放熱用の熱媒体を触れさせ、分割された他方の第2室に冷熱出力用の熱媒体を触れさせ、前記他方の第2室から前記一方の第2室へ水素を移動させて冷熱出力を得るように設けるとともに、
    前記一方の第2室が放熱用の熱媒体に触れ、前記他方の第2室が冷熱出力用の熱媒体に触れる際、前記一方の第2室が放熱用の熱媒体に触れる接触開始時期よりも、前記他方の第2室が冷熱出力用の熱媒体触れる接触開始時期が遅く設けられた
    ことを特徴とする水素吸蔵式冷却装置。
  3. 請求項1または請求項2の水素吸蔵式冷却装置において、
    前記第1室および前記第2室は、それぞれ偏平状を呈し、一方の面が凸状に湾曲するとともに、一方の面に対向する他方の面が凹状に湾曲して設けられた
    ことを特徴とする水素吸蔵式冷却装置。
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