JP3534559B2 - 水素吸蔵式冷却装置 - Google Patents

水素吸蔵式冷却装置

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JP3534559B2
JP3534559B2 JP02528497A JP2528497A JP3534559B2 JP 3534559 B2 JP3534559 B2 JP 3534559B2 JP 02528497 A JP02528497 A JP 02528497A JP 2528497 A JP2528497 A JP 2528497A JP 3534559 B2 JP3534559 B2 JP 3534559B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素吸蔵合金の水
素の吸蔵と放出とを繰り返して行わせ、水素の放出時に
生じる吸熱作用を利用して冷熱を得る水素吸蔵式冷却装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】水素吸蔵合金を用いた従来の水素吸蔵式
冷却装置を、図8を用いて説明する。水素吸蔵合金を用
いたヒートポンプサイクルJ1 は、水素吸蔵合金J2 の
加熱、放熱および冷熱出力を得るためにシェル&チュー
ブタイプの熱交換器を用いていた。この従来技術で示す
ヒートポンプサイクルJ1 は、4つのシェル&チューブ
タイプの熱交換器J3 〜J6 を用いたもので、各熱交換
器J3 〜J6 は水素吸蔵合金J2 と熱媒体とが熱交換可
能に設けられている。第1、第2熱交換器J3 、J4 の
水素吸蔵合金J2 は水素通路を介して連通し、第3、第
4熱交換器J5 、J6 の水素吸蔵合金J2 も水素通路を
介して連通して設けられている。
【0003】作動は、第1熱交換器J3 に加熱用の熱媒
体を供給するとともに、第2熱交換器J4 に放熱用の熱
媒体を供給する。すると、第1熱交換器J3 の水素が放
出されて第2熱交換器J4 に吸蔵される。つまり、水素
駆動が行われる。次に、第1熱交換器J3 に供給してい
た加熱用の熱媒体を、放熱用の熱媒体に切り換えて供給
するとともに、第2熱交換器J4 に供給していた放熱用
の熱媒体を、冷熱出力用の熱媒体に切り換えて供給す
る。すると、第1熱交換器J3 が水素を吸蔵し、第2熱
交換器J4 が水素を放出する。この第2熱交換器J4 が
水素を放出する時、冷熱出力用の熱媒体が冷却される。
つまり、冷熱出力が得られる。そして、上記のサイクル
を繰り返す。
【0004】一方、第2熱交換器J4 から冷熱出力を得
ている時は、第3熱交換器J5 に加熱用の熱媒体を供給
するとともに、第4熱交換器J6 に放熱用の熱媒体を供
給する。すると、第3熱交換器J5 の水素が放出されて
第4熱交換器J6 に吸蔵される。つまり、第1、第2熱
交換器J3 、J4 で冷熱出力を得ている時は、第3、第
4熱交換器J5 、J6 で水素駆動が行われる。次に、第
3熱交換器J5 に供給していた加熱用の熱媒体を、放熱
用の熱媒体に切り換えて供給するとともに、第4熱交換
器J6 に供給していた放熱用の熱媒体を、冷熱出力用の
熱媒体に切り換えて供給する。すると、第3熱交換器J
5 が水素を吸蔵し、第4熱交換器J6 が水素を放出す
る。この第4熱交換器J6 が水素を放出する時、冷熱出
力用の熱媒体が冷却される。つまり、第1、第2熱交換
器J3 、J4 で水素駆動が行われている時は、第3、第
4熱交換器J5 、J6 で冷熱出力が得られる。そして、
上記のサイクルを繰り返す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】各熱交換器J3 〜J6
に、加熱用の熱媒体と放熱用の熱媒体、あるいは放熱用
の熱媒体と冷熱出力用の熱媒体を切り換えて供給するた
め、従来のヒートポンプサイクルJ1 では多数の切替バ
ルブJ7 〜J14が必要になる。このように、多数の切替
バルブJ7 〜J14を用いると、故障確率が上昇し、耐久
性の向上の妨げとなる。また、各切替バルブJ7 〜J14
は比較的高頻度で切り替わるため、作動音が目立つ不具
合もあった。
【0006】また、水素吸蔵合金J2 と熱媒体との熱交
換を行う熱交換器J3 〜J6 は、水素吸蔵合金J2 に水
素を付与するために、一旦真空引きされた後、水素が高
圧下で供給されるため、低圧と高圧の両方に耐えられる
ように、シェル&チューブタイプが用いられている。し
かし、シェル&チューブタイプの熱交換器J3 〜J6
は、体格が大きいため、水素吸蔵合金の熱交換に関与し
ない部分の熱授受によるヒートロスが大きいとともに、
水素移動時の圧力損失が大きく、結果的に冷却効率が低
くなってしまう不具合があった。
【0007】さらに、シェル&チューブタイプの熱交換
器は、体格が大きく、上記の従来技術で示したように、
連続的に冷熱出力を得るためには、ヒートポンプサイク
ルJ1 は最低4個の熱交換器J3 〜J6 を必要とするた
め、ヒートポンプサイクルJ1 が大型化し、結果的に水
素吸蔵式冷却装置が大型化する不具合があった。
【0008】
【発明の目的】本発明は、上記の事情に鑑みてなされた
もので、第1の目的は、水素吸蔵合金と熱交換を行う熱
媒体の切り替えを行う切替バルブが不要な長期の信頼性
の高い水素吸蔵式冷却装置の提供にあり、第2の目的
は、水素移動時の圧力損失が小さく、またヒートロスが
小さい、熱授受の効率の優れた水素吸蔵式冷却装置の提
供にあり、第3の目的は小型化が可能な水素吸蔵式冷却
装置の提供にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の水素吸蔵式冷却
装置は、上記の目的を達成するために、次の技術的手段
を採用した。 (請求項1の手段)水素吸蔵式冷却装置は、水素吸蔵合
金の水素の放出時の吸熱を利用したものであって、水素
吸蔵合金が封入された第1室、この第1室内と水素通路
を介して連通し、水素吸蔵合金が封入された第2室を備
えた複数のセルと、前記第1室と接触可能に設けられた
加熱用の熱媒体が配された加熱域を備えるとともに、前
記第2室と接触可能に設けられた放熱用の熱媒体が配さ
れた第1放熱域を備える水素駆動部と、前記第1室と接
触可能に設けられた放熱用の熱媒体が配された第2放熱
域を備えるとともに、前記第2室と接触可能に設けられ
た冷熱出力用の熱媒体が配された冷熱出力域を備える冷
熱出力部と、前記複数のセルを前記水素駆動部および前
記冷熱出力部に繰り返し移動させるセル移動手段と、を
備え、前記加熱用の熱媒体、前記放熱用の熱媒体、前記
冷熱出力用の熱媒体の少なくとも1種以上の熱媒体は、
前記第1室あるいは前記第2室の少なくとも一方に、噴
射あるいは滴下されることを特徴とする。
【0010】(請求項2の手段)請求項1の水素吸蔵式
冷却装置において、前記第1室および前記第2室は、そ
れぞれ偏平状を呈し、一方の面が凸状に湾曲するととも
に、一方の面に対向する他方の面が凹状に湾曲して設け
られたことを特徴とする。
【0011】(請求項3の手段)請求項1または請求項
2の水素吸蔵式冷却装置において、前記第1室および前
記第2室がそれぞれ放射状を呈するように前記複数のセ
ルを配置し、前記セル移動手段が前記複数のセルを放射
状に回転駆動し、前記加熱域と前記第2放熱域は、前記
第1室の群を覆う第1容器内で区画され、前記第1放熱
域と前記冷熱出力域は、前記第2室の群を覆う第2容器
内で区画されたことを特徴とする。
【0012】(請求項4の手段)請求項1ないし請求項
3のいずれかの水素吸蔵式冷却装置において、前記複数
のセルは、前記第2室が2つに分割して設けられるとと
もに、前記第1室から分割された一方の第2室に水素の
移動を行い、この一方の第2室から他方の第2室へ水素
を移動させて1段目の冷熱出力を得るとともに、前記他
方の第2室から前記第1室へ水素を移動させて2段目の
冷熱出力を得るように設けられたことを特徴とする。
【0013】
【発明の作用】セル移動手段によって、複数のセルが水
素駆動部と冷熱出力部とに繰り返し移動される。セルが
水素駆動部に移動した際、第1室が加熱域において加熱
用の熱媒体に接触し、第2室が第1放熱域において放熱
用の熱媒体に接触すると、第1室内の水素吸蔵合金が加
熱されるとともに、第2室内の水素吸蔵合金が放熱され
る。すると、第1室内の水素吸蔵合金から水素が放出さ
れて、第2室内の水素吸蔵合金が水素を吸蔵する。つま
り、1つのセル内において水素駆動が行われる。
【0014】セルが冷熱出力部に移動した際、第1室が
第2放熱域において放熱用の熱媒体に接触し、第2室が
冷熱出力域において冷熱出力用の熱媒体に接触すると、
第1室内の水素吸蔵合金が放熱させられる。すると、第
1室内の圧力が下がって第1室内の水素吸蔵合金が水素
を吸蔵し、第2室内の水素吸蔵合金が水素を放出する。
この第2室の水素吸蔵合金が水素を放出する時、冷熱出
力用の熱媒体が冷却される。つまり、1つのセル内にお
いて冷熱出力が得られる。そして、複数のセルが上記の
サイクルを繰り返すことによって、冷熱出力域から冷却
された冷熱出力用の熱媒体を連続的に得ることができ
る。
【0015】なお、加熱用の熱媒体、放熱用の熱媒体、
冷熱出力用の熱媒体の少なくとも1種以上の熱媒体が、
第1室あるいは第2室の少なくとも一方に、噴射あるい
は滴下され、第1室あるいは第2室の少なくとも一方の
表面を伝って落下する(熱媒体が表面を伝わる第1室あ
るいは第2室の表面が親水性であれば、第1室あるいは
第2室の表面を膜状に伝わって落下する)ことで、加熱
用の熱媒体、放熱用の熱媒体、冷熱出力用の熱媒体の少
なくとも1種以上の熱媒体と、第1室あるいは第2室の
少なくとも一方との熱交換が行われる。
【0016】
【発明の効果】上記の作用で示したように、本発明の水
素吸蔵式冷却装置は、水素吸蔵合金を収納するチューブ
に接触する熱媒体の種類を切り換えて水素吸蔵合金と熱
交換を行うのではなく、セル移動手段がセルを移動する
ことで水素吸蔵合金を収納する第1室および第2室自体
が移動して熱媒体の種類を変更しているので、従来技術
のように、熱媒体の種類の切り替えを行う切替バルブが
不要となる。また、第1室と第2室とは水素通路によっ
て連通しているのみであり、水素通路の開閉バルブも不
要である。このように、本発明の水素吸蔵式冷却装置
は、ヒートポンプサイクルにおいて切替バルブが不要で
あるため、従来に比較して故障確率が小さく、結果的に
長期の信頼性を高めることができる。
【0017】本発明の水素吸蔵式冷却装置は、水素吸蔵
合金を内蔵する第1室と第2室とを水素通路で連通した
セルを複数用いているため、シェル&チューブタイプの
熱交換器に比較して水素移動時の圧力損失を小さく抑え
ることができるとともに、熱交換に関与しない部分の熱
授受が少なくヒートロスが低減するため、冷却効率を向
上できる。
【0018】本発明の水素吸蔵式冷却装置は、従来のよ
うなシェル&チューブタイプの熱交換器を用いず、水素
吸蔵合金を内蔵する複数のセルを用いているため、シェ
ル&チューブタイプの熱交換器を複数用いるものに比較
してヒートポンプサイクルの体格を小型化することがで
き、結果的に水素吸蔵式冷却装置を大変小型化できる。
【0019】本発明の水素吸蔵式冷却装置は、作用で示
したように、加熱用の熱媒体、放熱用の熱媒体、冷熱出
力用の熱媒体の少なくとも1種以上の熱媒体が、第1室
あるいは第2室の少なくとも一方に噴射あるいは滴下さ
れて熱交換が行われる。このように、熱媒体を噴射ある
いは滴下によって第1室あるいは第2室に与えることに
よって、その熱媒体との熱交換効率を向上させることが
でき、結果的に水素吸蔵式冷却装置の冷却効率を向上で
きる。
【0020】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を、実
施例および変形例に基づき説明する。 〔第1実施例の構成〕第1実施例は、本発明の水素吸蔵
式冷却装置を室内空調用の冷房装置に適用したもので、
この第1実施例を図1ないし図6を用いて説明する。
【0021】(冷房装置1の概略説明)本実施例の冷房
装置1の概略構成を、図2を用いて説明する。この実施
例では、水素吸蔵合金を用いたヒートポンプサイクル2
の一例として2段式サイクルを用いた。なお、2段式サ
イクルとは、本発明の第2室を分割し、第1室から分割
された一方の第2室に水素の移動を行い、一方の第2室
から他方の第2室へ水素を移動させて1段目の冷熱出力
を得、他方の第2室から第1室へ水素を移動させて2段
目の冷熱出力を得るもので、詳細は後述する。
【0022】本実施例の適用される冷房装置1は、大別
して、水素吸蔵合金を用いたヒートポンプサイクル2
と、水素吸蔵合金を加熱する加熱水(加熱用の熱媒体に
相当する、本実施例では水)を作り出す燃焼装置3と、
水素吸蔵合金を放熱させる放熱水(放熱用の熱媒体に相
当する、本実施例では水)を冷却する放熱水冷却手段4
と、水素吸蔵合金の水素放出作用によって生じた吸熱に
よって冷却された冷熱出力水(冷熱出力用の熱媒体に相
当する、本実施例では水)で室内を空調する室内空調機
5と、搭載された各電気機能部品を制御する制御装置6
とから構成される。
【0023】なお、ヒートポンプサイクル2、燃焼装置
3、放熱水冷却手段4および制御装置6は、室外機7と
して室外に設置されるもので、室内には室内空調機5が
配置される。また、本実施例に示す冷房装置1は、1つ
の室外機7に対して、複数の室内空調機5が接続可能な
所謂マルチエアコンである。
【0024】(ヒートポンプサイクル2の説明)本実施
例のヒートポンプサイクル2は、上述のように2段式サ
イクルを用いたもので、図1に示すように、水素吸蔵合
金が封入された上段室S1 (第1室に相当する)、この
上段室S1 内に水素通路S4 を介して連通し、水素吸蔵
合金が封入された中段室S2 (第2室に相当する)、上
段室S1 内および中段室S2 内に水素通路S4 を介して
連通し、水素吸蔵合金が封入された下段室S3 (第2室
に相当する)を備えたセルSを複数用いる。なお、この
実施例では、12〜18個のセルSを用いた。
【0025】水素吸蔵合金は、水素平衡圧力が異なる3
種を用いたもので、上段室S1 内には同一平衡水素圧で
水素平衡温度が最も高い高温度水素吸蔵合金(以下、高
温合金HM)の粉末を封入し、中段室S2 内には中温度
水素吸蔵合金(以下、中温合金MM)の粉末を封入し、
下段室S3 内には同一平衡水素圧で水素平衡温度が最も
低い低温度水素吸蔵合金(以下、低温合金LM)の粉末
を封入したものである。図6のPT冷凍サイクル線図を
用いて説明すると、相対的に高温側に合金特性を有する
水素吸蔵合金が高温合金HM、低温側に合金特性を有す
る水素吸蔵合金が低温合金LM、中間が中温合金MMで
ある。
【0026】1つのセルSは、ステンレスあるいは銅な
ど、水素透過の無い金属を用いて、水素吸蔵合金を包む
最中状に絞り成形したもので、真空ろう付けや溶接等の
接合方法によりセル容器(上、中、下段室S1 、S2 、
S3 および水素通路S4 を形成する容器)を成形し、内
部に粉末状の水素吸蔵合金を充填し、真空引きを行った
のち、活性化処理を施し、水素を高圧充填して溶接によ
り密封したものである。
【0027】1つのセルSの外形は、図3に示されるも
ので、上、中、下段室S1 、S2 、S3 はそれぞれ板状
(偏平な容器状の一例)を呈し、各室の一辺が、内部に
水素通路S4 が形成された棒状の連結部S5 によって連
結された形状を呈する。また、上、中、下段室S1 、S
2 、S3 のそれぞれは、一方の面が凸状に湾曲して設け
られるとともに、対向する他方の面が凹状に湾曲して設
けられている。このように、各室は、凹凸状の面を対向
して設けたことにより、真空引き時の低圧下、および水
素充填時の高圧下において、対向する面に引っ張り応力
と圧縮応力がかかり、各室の変形が小さく抑えられ、結
果的に耐圧性に優れる。なお、凹凸の方向の一例とし
て、図3では、側方から見て板状の室が湾曲するように
設けた例を示したが、軸方向から見て板状の室が湾曲す
るように設けたり、ドーム型など側方および軸方向の両
方から見て板状の室が湾曲するように設けても良い。
【0028】複数のセルSは、図4に示すように、上、
中、下段室S1 、S2 、S3 が、それぞれ放射状を呈す
るように配置されるもので、この実施例では回転軸8の
周囲に複数のセルSの各連結部S5 が束ねて固定され、
複数の上段室S1 の群(第1室の群に相当する)、複数
の中段室S2 の群(第2室の群に相当する)、複数の下
段室S3 の群(第2室の群に相当する)が、それぞれ放
射状に配置されたものである。なお、回転軸8の周囲に
固定された複数のセルSは、図示しないセル移動手段に
よって回転駆動されるもので、このセル移動手段は、ゆ
っくりと連続的に複数のセルSを回転させるものである
(例えば、1時間に20周ほど)。
【0029】一方、2段式サイクルのヒートポンプサイ
クル2は、図1に示すように、上段室S1 内の水素を強
制的に下段室S3 内に移動させる水素駆動部αと、下段
室S3 内に移動した水素を中段室S2 に移動させる第1
冷熱出力部βと、中段室S2内に移動した水素を上段室
S1 に移動させる第2冷熱出力部γとを備える。水素駆
動部αは、上段室S1 と接触する加熱水(例えば80℃
ほど)が供給される加熱域α1 、中段室S2 と接触する
昇圧水(例えば56℃ほど)が供給される中段昇圧域α
2 、下段室S3 と接触する放熱水(例えば28℃ほど)
が供給される下段放熱域α3 (第1放熱域に相当する)
を備える。
【0030】第1冷熱出力部βは、上段室S1 と接触す
る昇圧水(例えば58℃ほど)が供給される上段昇圧域
β1 、中段室S2 と接触する放熱水(例えば28℃ほ
ど)が供給される中段放熱域β2 、下段室S3 と接触し
た冷熱出力水(例えば13℃ほど)が出力される下段冷
熱出力域β3 を備える。第2冷熱出力部γは、上段室S
1 と接触する放熱水(例えば28℃ほど)が供給される
上段放熱域γ1 (第2放熱域に相当する)、中段室S2
と接触する冷熱出力水(例えば13℃ほど)が出力され
る中段冷熱出力域γ2 (冷熱出力域に相当する)を備え
る。なお、第2冷熱出力部γにおいて下段室S3 と接触
する熱媒体の温度は不問であり、その部分を不問域γ3
とする。
【0031】つまり、図示しないセル移動手段により、
上段室S1 の群は加熱域α1 →上段昇圧域β1 →上段放
熱域γ1 を循環するものであり、中段室S2 の群は中段
昇圧域α2 →中段放熱域β2 →中段冷熱出力域γ2 を循
環するものであり、下段室S3 の群は下段放熱域α3 →
下段冷熱出力域β3 →不問域γ3 を循環するものであ
る。
【0032】上段室S1 の群は、上段容器K1 (第1容
器に相当する)に覆われ、内部が加熱域α1 、上段昇圧
域β1 、上段放熱域γ1 に区画されている。また、中段
室S2 の群は、中段容器K2 に覆われ、内部が中段昇圧
域α2 、中段放熱域β2 、中段冷熱出力域γ2 に区画さ
れている。さらに、下段室S3 の群は、下段容器K3に
覆われ、内部が下段放熱域α3 、下段冷熱出力域β3 、
不問域γ3 に区画されている。なお、中段容器K2 およ
び下段容器K3 が第2容器に相当する。上段容器K1 、
中段容器K2 、下段容器K3 は、連続的に繋がって設け
られた容器K(例えば、樹脂製の容器)で、この容器K
は、図5に示すように、軸方向に分割可能に設けられて
いる。
【0033】(ヒートポンプサイクル2における上記以
外の構成部品の説明)図2に示す符号9は、上段昇圧域
β1 と中段昇圧域α2 とに昇圧水を循環させる昇圧水循
環路で、途中に設けられた昇圧水循環ポンプP1 ’によ
って昇圧水が循環する。なお、昇圧水は、加熱域α1 で
温度上昇した上段室S1 から流入した加熱水の一部、お
よび上段容器K1 からの伝熱により温度上昇した水を用
いたもので、ヒートポンプサイクル2の作動中、上段昇
圧域β1 の昇圧水の温度は例えば58℃程で、中段昇圧
域α2 の昇圧水の温度は例えば56℃程になる。
【0034】(燃焼装置3の説明)本実施例の燃焼装置
3は、燃料であるガスを燃焼して熱を発生させ、発生し
た熱によって加熱水を加熱するガス燃焼装置を用いたも
ので、ガスの燃焼を行うガスバーナ10、このガスバー
ナ10へガスの供給を行うガス量調節弁21およびガス
開閉弁22を備えたガス供給回路11、ガスバーナ10
へ燃焼用の空気を供給する燃焼ファン12、ガスの燃焼
熱と加熱水とを熱交換する熱交換器13等から構成され
る。そして、ガスバーナ10のガス燃焼で得られた熱
で、加熱水を例えば80℃程に加熱し、加熱された加熱
水を加熱水循環ポンプP1 を備えた加熱水循環路14を
介して加熱域α1 に供給するものである。なお、本実施
例の加熱水循環ポンプP1 は、昇圧水循環ポンプP1 ’
を駆動する兼用のモータによって駆動されるタンデムポ
ンプである。このため、燃焼装置3から加熱水がヒート
ポンプサイクル2に供給される際は、昇圧水も循環作動
するように設けられている。
【0035】(室内空調機5の説明)室内空調機5は、
上述のように室内に配置されるもので、内部に室内熱交
換器15、この室内熱交換器15に供給される冷熱出力
水と室内空気とを強制的に熱交換し、熱交換後の空気を
室内に吹き出させるための室内ファン16を備える。室
内熱交換器15には、下段冷熱出力域β3 および中段冷
熱出力域γ2 から供給される冷熱出力水を循環させる冷
熱出力水循環路17が接続され、この冷熱出力水循環路
17の途中(室外機7内)には、冷熱出力水を循環させ
る冷熱出力水ポンプP2 が設けられている。
【0036】(放熱水冷却手段4の説明)放熱水冷却手
段4は、蒸発型の冷却塔であり、この放熱水冷却手段4
によって冷却された放熱水は、放熱水循環ポンプP3 を
備えた放熱水循環路18によって下段放熱域α3 、中段
放熱域β2 、上段放熱域γ1 に供給される。放熱水冷却
手段4は、下段放熱域α3 、中段放熱域β2 、上段放熱
域γ1 を通過した放熱水を、上方から下方へ流し、流れ
ている間に外気と熱交換して放熱するとともに、流れて
いる間に一部蒸発させて、蒸発時に流れている放熱水か
ら気化熱を奪い、流れている放熱水を冷却するものであ
る。また、この放熱水冷却手段4は、図示しない放熱フ
ァンを備え、この放熱ファンの生じる空気流によって放
熱水の蒸発および冷却を促進するように設けられてい
る。なお、この実施例では、放熱水冷却手段4の一例と
して蒸発型の冷却塔を例に示したが、密閉型の空冷式を
用いても良い。
【0037】各熱媒体(加熱水、昇圧水、放熱水、冷熱
出力水)を各室(上段室S1 、中段室S2 、下段室S3
)に接触させる手段として、熱媒体をポンプで圧縮し
て多数のノズルNから噴射させて、各室に熱媒体が触れ
るように設けた。このことを図1を参照して具体的に説
明する。
【0038】加熱水の噴射について説明する。上段容器
K1 の加熱域α1 の部分に多数のノズルNを設け、加熱
水循環ポンプP1 で圧送された加熱水を、加熱域α1を
移動する上段室S1 に向けて吹き付けるように設けた。
上段室S1 に吹き付けられた加熱水は、上段室S1 の表
面を膜状に伝わって上段室S1 を80℃ほどに加熱した
後に滴下し、加熱域α1 内に溜められ、排出口Hより加
熱水循環路14に戻される。
【0039】昇圧水の噴射について説明する。中段容器
K2 の中段昇圧域α2 の部分と、上段容器K1 の上段昇
圧域β1 の部分とに多数のノズルNを設け、昇圧水循環
ポンプP1 ’で圧送された昇圧水を、中段昇圧域α2 を
移動する中段室S2 と、上段昇圧域β1 を移動する上段
室S1 とに向けて吹き付けるように設けた。中段室S2
に吹き付けられた昇圧水は、中段室S2 の表面を膜状に
伝わって中段室S2 を56℃ほどに加熱した後に滴下
し、中段昇圧域α2 内に溜められ、排出口Hより昇圧水
循環路9に戻される。上段室S1 に吹き付けられた昇圧
水は、上段室S1 の表面を膜状に伝わって上段室S1 を
58℃ほどに冷却した後に滴下し、上段昇圧域β1 内に
溜められ、排出口Hより昇圧水循環路9に戻される。
【0040】放熱水の噴射について説明する。下段容器
K3 の下段放熱域α3 の部分と、中段容器K2 の中段放
熱域β2 の部分と、上段容器K1 の上段放熱域γ1 の部
分とに多数のノズルNを設け、放熱水循環ポンプP3 で
圧送された放熱水を、下段放熱域α3 を移動する下段室
S3 と、中段放熱域β2 を移動する中段室S2 と、上段
放熱域γ1 を移動する上段室S1 とに向けて吹き付ける
ように設けた。下段室S3 に吹き付けられた放熱水は、
下段室S3 の表面を膜状に伝わって下段室S3 を28℃
ほどに放熱させた後に滴下し、下段放熱域α3 内に溜め
られ、排出口Hより放熱水循環路18に戻される。中段
室S2 に吹き付けられた放熱水は、中段室S2 の表面を
膜状に伝わって中段室S2 を28℃ほどに放熱させた後
に滴下し、中段放熱域β2 内に溜められ、排出口Hより
放熱水循環路18に戻される。上段室S1 に吹き付けら
れた放熱水は、上段室S1 の表面を膜状に伝わって上段
室S1 を28℃ほどに放熱させた後に滴下し、上段放熱
域γ1 内に溜められ、排出口Hより放熱水循環路18に
戻される。
【0041】冷熱出力水の噴射について説明する。下段
容器K3 の下段冷熱出力域β3 の部分と、中段容器K2
の中段冷熱出力域γ2 の部分とに多数のノズルNを設
け、冷熱出力水ポンプP2 で圧送された冷熱出力水を、
下段冷熱出力域β3 を移動する下段室S3 と、中段冷熱
出力域γ2 を移動する中段室S2 とに向けて吹き付ける
ように設けた。下段室S3 に吹き付けられた冷熱出力水
は、下段室S3 の表面を膜状に伝わる際に内部の低温合
金LMの吸熱作用によって13℃ほどに冷却された後に
滴下し、下段冷熱出力域β3 内に溜められ、排出口Hよ
り冷熱出力水循環路17に供給される。中段室S2 に吹
き付けられた冷熱出力水は、中段室S2 の表面を膜状に
伝わる際に内部の中温合金MMの吸熱作用によって13
℃ほどに冷却された後に滴下し、中段冷熱出力域γ2 内
に溜められ、排出口Hより冷熱出力水循環路17に供給
される。
【0042】ここで、上記に示す加熱水循環路14、冷
熱出力水循環路17および放熱水循環路18は、それぞ
れシスターンT1 、T2 、T3 を備えており、シスター
ンT1 、T2 、T3 内の水位が所定水位以下に低下する
と、それぞれに設けられた給水バルブT4 、T5 、T6
が開き、給水管19から供給される水道水をシスターン
T1 、T2 、T3 内に補充するように設けられている。
また、ヒートポンプサイクル2の下部にはドレンパンP
が配置され、ヒートポンプサイクル2に発生したドレン
水を排水管20から排水するように設けられている。な
お、放熱水冷却手段4で溢れた水も排水管20から排水
するように設けられている。
【0043】この実施例では、熱媒体(加熱水、昇圧
水、放熱水あるいは冷熱出力水)を室(上段室S1 、中
段室S2 あるいは下段室S3 )に接触させる手段とし
て、熱媒体を室に噴射させた例を示したが、熱媒体を室
に滴下して与えても良い。また、熱交換の要求能力に応
じて、噴射と滴下を組み合わせて用いても良い。
【0044】(制御装置6の説明)制御装置6は、室内
空調機5に設けられたコントローラ(図示しない)から
の操作指示や、複数設けられた各センサの入力信号に応
じて、上述の加熱水循環ポンプP1 (昇圧水循環ポンプ
P1 ’)、冷熱出力水ポンプP2 、放熱水循環ポンプP
3 、給水バルブT4 、T5 、T6 、放熱水冷却手段4の
放熱ファンなどの電気機能部品、および燃焼装置3の電
気機能部品(燃焼ファン12、ガス量調節弁21、ガス
開閉弁22、図示しない点火装置等)を制御するととも
に、室内空調機5に室内ファン16の作動指示を与える
ものである。
【0045】(冷房運転の作動説明)上記の冷房装置1
による冷房運転の作動を、図6のPT冷凍サイクル線図
を参照して説明する。冷房運転が室内空調機5のコント
ローラによって指示されると、制御装置6によって、燃
焼装置3、セル移動手段、放熱ファンおよび加熱水循環
ポンプP1 (昇圧水循環ポンプP1 ’)、冷熱出力水ポ
ンプP2 、放熱水循環ポンプP3 が作動するとともに、
冷房が指示された室内空調機5の室内ファン16をONす
る。
【0046】セル移動手段によって、複数のセルSがゆ
っくりと連続的に回転移動する。これによって、複数の
セルSが、水素駆動部α→第1冷熱出力部β→第2冷熱
出力部γの順で移動する。つまり、各上段室S1 が加熱
域α1 →上段昇圧域β1 →上段放熱域γ1 の順で移動
し、各中段室S2 が中段昇圧域α2 →中段放熱域β2 →
中段冷熱出力域γ2の順で移動し、各下段室S3 が下段
放熱域α3 →下段冷熱出力域β3 →不問域γ3 の順で移
動する。
【0047】水素駆動部αを移動するセルSは、図1の
(α)に示すように、上段室S1 が加熱域α1 で加熱水
(約80℃)に触れ、中段室S2 が中段昇圧域α2 で昇
圧水(約56℃)に触れ、下段室S3 が下段放熱域α3
の放熱水(約28℃)に触れる。この結果、上段室S1
内が80℃:1.0MPa、中段室S2 内が56℃:
1.0MPa、下段室S3 内が28℃:0.9MPaと
なる。この時、上段室S1 が80℃に加熱(図6の)
され、下段室S3 が28℃に冷却(図6の)されるこ
とにより、上段室S1 の高温合金HMが水素を放出し、
下段室S3 の低温合金LMが水素を吸蔵する。なお、中
段室S2 は昇圧水によって中温合金MMが水素を吸蔵し
ない圧力となる温度に加熱されるため、中段室S2 の中
温合金MMは水素の吸蔵は行わない。そして、水素駆動
部αを通過したセルSは、その後第1冷熱出力部βへ移
動する。
【0048】第1冷熱出力部βを移動するセルSは、図
1の(β)に示すように、上段室S1 が上段昇圧域β1
で昇圧水(約58℃)に触れ、中段室S2 が中段放熱域
β2で放熱水(約28℃)に触れ、下段室S3 が下段冷
熱出力域β3 の冷熱出力水に触れる。この結果、上段室
S1 内が58℃:0.5MPa、中段室S2 内が28
℃:0.4MPa、下段室S3 内が13℃:0.5MP
aとなる。この時、中段室S2 が28℃に冷却されて内
圧が低下するため、下段室S3 の低温合金LMが水素を
放出し(図6の)、中段室S2 の中温合金MMが水素
を吸蔵する(図6の)。下段室S3 の低温合金LMが
水素を放出する際、吸熱作用が発生し、下段室S3 に触
れる冷熱出力水から熱を奪う。この結果、下段冷熱出力
域β3 内の冷熱出力水の温度が低下する(例えば、13
℃)。なお、上段室S1 は昇圧水によって高温合金HM
が水素を吸蔵しない圧力となる温度に保たれるため、上
段室S1 の高温合金HMは水素の吸蔵は行わない。そし
て、第1冷熱出力部βを通過したセルSは、その後第2
冷熱出力部γへ移動する。
【0049】第2冷熱出力部γを移動するセルSは、図
1の(γ)に示すように、上段室S1 が上段放熱域γ1
で放熱水(約28℃)に触れ、中段室S2 が中段冷熱出
力域γ2 の冷熱出力水に触れ、下段室S3 が不問域γ3
の熱媒体(水)に触れる。この結果、上段室S1 内が2
8℃:0.1MPa、中段室S2 内が13℃:0.2M
Pa、下段室S3 内は不問状態となる。この時、上段室
S1 が28℃に冷却されて内圧が低下するため、中段室
S2 の中温合金MMが水素を放出し(図6の)、上段
室S1 の高温合金HMが水素を吸蔵する(図6の)。
中段室S2 の中温合金MMが水素を放出する際、吸熱作
用が発生し、中段室S2 に触れる冷熱出力水から熱を奪
う。この結果、中段冷熱出力域γ2 内の冷熱出力水の温
度が低下する(例えば、13℃)。なお、下段室S3 の
温度は無関係で、下段室S3 の低温合金LMは水素の吸
蔵は行わない。そして、第2冷熱出力部γを通過したセ
ルSは、その後水素駆動部αへ移動する。
【0050】なお、ヒートポンプサイクル2の下段冷熱
出力域β3 および中段冷熱出力域γ2 で熱を奪われた低
温の冷熱出力水は、冷熱出力水循環路17を介して室内
空調機5の室内熱交換器15に供給されて、室内に吹き
出される空気と熱交換されて室内を冷房する。
【0051】〔実施例の効果〕上記の作動で示したよう
に、本実施例の冷房装置1は、水素駆動部αで中段室S
2 を昇圧して、中段室S2 の中温合金MMが水素の吸蔵
を行わないようにしている。同様に、第1冷熱出力部β
で上段室S1 を昇圧して、上段室S1 の高温合金HMが
水素の吸蔵を行わないようにしている。この結果、上段
室S1 、中段室S2 および下段室S3 は水素通路S4 に
よって連通しているのみで、水素通路S4 に開閉バルブ
を用いることなく、1つのセルS内で2段式サイクルを
構成できる。
【0052】また、従来技術のように水素吸蔵合金を収
納するチューブに接触する熱媒体の種類を切り換えて水
素吸蔵合金と熱交換を行うのではなく、セル移動手段が
複数のセルSを移動することで水素吸蔵合金を収納する
上段室S1 、中段室S2 、下段室S3 自体が移動して熱
媒体の種類(加熱水、放熱水、昇圧水、冷熱出力水)を
変更しているので、ヒートポンプサイクル2において熱
媒体の種類を切り替える切替バルブが不要となる。この
ように、本実施例の冷房装置1は、ヒートポンプサイク
ル2において熱媒体を頻繁に切り替える切替バルブや、
水素通路S4 を開閉する開閉バルブが不要であるため、
従来に比較して故障確率が小さく、結果的に長期の信頼
性を高めることができる。
【0053】本発明を適用した冷房装置1は、水素吸蔵
合金を内蔵する上段室S1 、中段室S2 、下段室S3 を
水素通路S4 で連通したセルSを複数用いているため、
シェル&チューブタイプの熱交換器に比較して水素移動
時の圧力損失が小さく抑えられるとともに、熱交換に関
与しない部分の熱授受が少なくヒートロスが低減するた
め、結果的にヒートポンプサイクル2の冷却効率を向上
することができ、冷房効率が向上する。
【0054】本発明を適用した冷房装置1は、複数のセ
ルSを、水素駆動部α→第1冷熱出力部β→第2冷熱出
力部γの順に回転移動することで冷熱出力を得るため、
シェル&チューブタイプの熱交換器に比較してヒートポ
ンプサイクル2の体格を小型化することができ、結果的
に冷房装置1の室外機7を小型化できる。
【0055】本発明を適用した冷房装置1は、加熱水、
昇圧水、放熱水、冷熱出力水を、それぞれ上段室S1 、
中段室S2 、下段室S3 に吹き付けている。このため、
各熱媒体(加熱水、昇圧水、放熱水、冷熱出力水)と、
各室(上段室S1 、中段室S2 、下段室S3 )との熱交
換効率が向上し、結果的にヒートポンプサイクル2の冷
却効率が向上して、冷房効率を高めることができる。ま
た、各熱媒体(加熱水、昇圧水、放熱水、冷熱出力水)
が、他の領域に拡散する不具合が防げる。つまり、例え
ば冷熱出力水に放熱水が混入して冷熱出力水の温度が上
昇する不具合等が防がれる。
【0056】〔第2実施例〕次に、本発明の水素吸蔵式
冷却装置を冷暖房装置に適用した第2実施例を示す。な
お、図7は本発明を適用した冷暖房装置の概略構成図で
ある。本実施例の冷暖房装置30は、上記第1実施例で
示した冷房運転の実施に加え、暖房運転時に、燃焼装置
3で加熱された加熱水を室内空調機5の室内熱交換器1
5に導いて室内暖房を行うもので、第1実施例で示した
加熱水循環路14と冷熱出力水循環路17とを接続し、
その接続部分に流路切替用の3つの切替バルブV1 、V
2 、V3 (冷房と暖房の切替バルブ)を設けたものであ
る。なお、室内空調機5の他に、床暖房マットや浴室乾
燥機などを接続し、加熱水の供給によって、床暖房や浴
室乾燥などを行うように設けても良い。
【0057】〔変形例〕上記の第1、第2実施例では、
説明を容易化するために、図面の上下に応じて上段室S
1 、中段室S2 、下段室S3 とした例を示したが、セル
Sの回転方向を横に向けたり、反転させるなど、他の向
きに配置しても良い。また、上段室S1、中段室S2 、
下段室S3 の配置を入れ換えても良い。さらに、セルS
の移動方向を逆にしても良い。このような場合は、勿
論、各室に接触する各熱媒体の配置位置もヒートポンプ
サイクルが成り立つように入れ換える。
【0058】上記の実施例では、第1室を2つに分割し
(中段室S2 、下段室S3 )、1サイクル内で2回冷熱
出力を得る2段式サイクルに本発明を適用した例に示し
たが、1サイクル内で1回冷熱出力を得る1段式サイク
ルや、第1室を3つ以上分割して1サイクル内で3回以
上冷熱出力を得る3段式以上のサイクルに本発明を適用
しても良い。
【0059】上記の実施例では、昇圧用の熱媒体とし
て、加熱域α1 で温度上昇した上段室S1 を冷却して温
度上昇した熱媒体(実施例中では昇圧水)を用いた例を
示したが、加熱手段(例えば、燃焼装置による昇温、電
気ヒータによる昇温、排熱による昇温など)によって昇
温した熱媒体を用いても良い。
【0060】上記の実施例では、1つの室外機7に複数
の室内空調機5が接続可能なマルチエアコンを示した
が、1つの室外機7に1つの室内空調機5が接続される
エアコンに本発明を適用しても良い。上記の実施例で
は、ヒートポンプサイクル2によって得られた冷熱出力
用の熱媒体(実施例中では冷熱水)で室内を冷房する例
を示したが、冷熱出力用の熱媒体で冷蔵運転や冷凍運転
に用いるなど、本発明を他の冷却装置として用いても良
い。
【0061】上記の実施例では、1つのヒートポンプユ
ニット(1つの容器K内に複数のセルSを収納したユニ
ット)を用いた例を示したが、複数のヒートポンプユニ
ットを搭載して冷却能力を増大させ、ビル用空調システ
ムなど大きな冷却能力が要求される冷却装置に用いても
良い。
【0062】上記の実施例では、加熱用の熱媒体(実施
例中では加熱水)を加熱する加熱手段として、ガスを燃
焼するガス燃焼装置を用いたが、石油を燃焼する石油燃
焼装置など、他の燃焼装置を用いても良いし、内燃機関
の排熱によって加熱用の熱媒体を加熱する加熱手段、ボ
イラーによる蒸気、電気ヒータを用いた加熱手段など、
他の加熱手段を用いても良い。なお、内燃機関の排熱を
利用する際は、車両用に用いることもできる。
【0063】上記の実施例では、各熱媒体の一例とし
て、水道水を用いたが、不凍液やオイルなど他の液体に
よる熱媒体や、空気など気体による熱媒体を用いても良
い。上記の実施例では、複数のセルSをセル移動手段に
よって連続的に回転させた例を示したが、セルSを間欠
的に回転移動させたり、上下や左右等の直線移動や、蛇
行移動等を伴うように移動させても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒートポンプサイクルの作動説明図である(第
1実施例)。
【図2】冷房装置の概略構成図である(第1実施例)。
【図3】セルの斜視図である(第1実施例)。
【図4】複数のセルの配置状態を示す斜視図である(第
1実施例)。
【図5】容器の斜視図である(第1実施例)。
【図6】PT冷凍サイクル線図である(第1実施例)。
【図7】冷暖房装置の概略構成図である(第2実施
例)。
【図8】冷房装置の概略構成図である(従来例)。
【符号の説明】
HM 高温合金(水素吸蔵合金) MM 中温合金(水素吸蔵合金) LM 低温合金(水素吸蔵合金) S セル S1 上段室(第1室) S2 中段室(第2室) S3 下段室(第2室) S4 水素通路 α 水素駆動部 α1 加熱域 α3 下段放熱域(第1放熱域) γ 第2冷熱出力部(冷熱出力部) γ1 上段放熱域(第2放熱域) γ2 中段冷熱出力域(冷熱出力域) K1 上段容器(第1容器) K2 中段容器(第2容器) K3 下段容器(第2容器)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水素吸蔵合金の水素の放出時の吸熱を利用
    した水素吸蔵式冷却装置において、 水素吸蔵合金が封入された第1室、この第1室内と水素
    通路を介して連通し、水素吸蔵合金が封入された第2室
    を備えた複数のセルと、 前記第1室と接触可能に設けられた加熱用の熱媒体が配
    された加熱域を備えるとともに、前記第2室と接触可能
    に設けられた放熱用の熱媒体が配された第1放熱域を備
    える水素駆動部と、 前記第1室と接触可能に設けられた放熱用の熱媒体が配
    された第2放熱域を備えるとともに、前記第2室と接触
    可能に設けられた冷熱出力用の熱媒体が配された冷熱出
    力域を備える冷熱出力部と、 前記複数のセルを前記水素駆動部および前記冷熱出力部
    に繰り返し移動させるセル移動手段と、を備え、 前記加熱用の熱媒体、前記放熱用の熱媒体、前記冷熱出
    力用の熱媒体の少なくとも1種以上の熱媒体は、前記第
    1室あるいは前記第2室の少なくとも一方に、噴射ある
    いは滴下されることを特徴とする水素吸蔵式冷却装置。
  2. 【請求項2】請求項1の水素吸蔵式冷却装置において、 前記第1室および前記第2室は、それぞれ偏平状を呈す
    るとともに、一方の面が凸状に湾曲し、一方の面に対向
    する他方の面が凹状に湾曲して設けられたことを特徴と
    する水素吸蔵式冷却装置。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2の水素吸蔵式冷却
    装置において、 前記第1室および前記第2室がそれぞれ放射状を呈する
    ように前記複数のセルを配置し、 前記セル移動手段が前記複数のセルを放射状に回転駆動
    し、 前記加熱域と前記第2放熱域は、前記第1室の群を覆う
    第1容器内で区画され、 前記第1放熱域と前記冷熱出力域は、前記第2室の群を
    覆う第2容器内で区画されたことを特徴とする水素吸蔵
    式冷却装置。
  4. 【請求項4】請求項1ないし請求項3のいずれかの水素
    吸蔵式冷却装置において、 前記複数のセルは、前記第2室が2つに分割して設けら
    れ、 前記第1室から分割された一方の第2室に水素の移動を
    行い、この一方の第2室から他方の第2室へ水素を移動
    させて1段目の冷熱出力を得るとともに、前記他方の第
    2室から前記第1室へ水素を移動させて2段目の冷熱出
    力を得るように設けられたことを特徴とする水素吸蔵式
    冷却装置。
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