JP3592460B2 - プリント配線板及び無線機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、アンテナを接続可能なプリント配線板及びこのプリント配線板を備える無線機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、携帯電話機やその他の無線機においては、製品の性能テストを行うために、図8、図11に示されるように、アンテナ40と無線通信用の回路の一部を構成する無線部との間に同軸コネクタ1を設け、アンテナ40を接続せぬ状態で、上記同軸コネクタ1に同軸ケーブル23を接続して同軸ケーブル23につながっている測定回路20から試験を行うようにしている。
【0003】
ここで、プリント配線板のアンテナ40を接続する部分は、図12に示されるように構成されていた。つまり、図8に示すアンテナ40から延びる舌片状の端子61が接する方形状の面に対応して、中央が円形に抜かれたアンテナ給電パターン2Aがプリント配線板4の隅部に形成されている。上記アンテナ給電パターン2Aの中央部にはネジ穴25が形成され、このネジ穴25には、アンテナ40の端子61の穴を介してネジ62が螺合され、プリント配線板4にアンテナ40が固定されるように構成されている。
【0004】
また、プリント配線板4には、アースパターン5及び無線通信用の回路に接続される第1のパターン11が形成されており、この第1のパターン11上には、同軸ケーブル23を接続する同軸コネクタ1が配置されている。同軸コネクタ1には、図9のようなピンジャック22が介装されてピンジャック22に接続された同軸ケーブル23を介して無線用の回路の性能テストを行うための測定回路20が接続される。このようにして測定回路20が接続され、無線通信用の回路が所定の周波数の信号を送受信できるか等の試験が行われる。
【0005】
上記の試験のために、同軸コネクタ1とアンテナ給電パターン2Aとの間は分離されている。つまり、予め同軸コネクタ1とアンテナ給電パターン2Aとの間を接続しておくと、アンテナ給電パターン2Aが有しているリアクタンス成分のために、測定回路20による適切な試験が行えない。即ち、同軸コネクタ1にピンジャック22を介装し測定回路20を接続した時に、恰もアンテナ40が接続された状態における無線通信用の回路の状態を実現させるためには、アンテナ給電パターン2Aのリアクタンスがじゃまとなるため、同軸コネクタ1とアンテナ給電パターン2Aとの間を切り離しておく必要がある。
【0006】
そこで、従来においては、アンテナ給電パターン2Aから補助パターン13を同軸コネクタ1の方向に僅かに延ばして形成すると共に、同軸コネクタ1の部分から補助パターン12をアンテナ給電パターン2Aの方向に僅かに延ばして形成しておき、上記測定回路20による試験を行って無線通信用の回路が適正であることが検出されると、同軸コネクタ1からピンジャック22を外し、補助パターン12、13間を、例えば、半田により接続し、完成品としていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このため、半田付け等の作業が基本的に終了している無線通信用の回路の試験を行った後に、再び半田付け等の作業をする必要があり、作業の流れが悪く生産性を低下させる原因となっていた。
【0008】
本発明は上記のような従来の無線機及びそれに用いられているプリント配線板が有する問題点を解決せんとしてなされたもので、その目的は、無線通信用の回路の性能テストを適切に行うことができると共に、性能テスト終了後に半田付け等の作業を行う必要がなく、作業の流れを改善でき生産性の向上を図ることが可能なプリント配線板を提供し、又、このプリント配線板を用いた無線機を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載のプリント配線板は、無線通信用の回路に接続するための第1のパターンと、アンテナから延びる端子を結合させるためのネジ穴と、前記ネジ穴の周囲に多数分割されて配置され、前記アンテナから延びる端子の接続面の一部にてそれぞれ接する複数のパターンからなるアンテナ給電パターンとを有し、前記第1のパターンに同軸ケーブルを接続する同軸コネクタが配置され、前記アンテナ給電パターンを構成する複数のパターンのうちの一つのパターンから上記同軸コネクタまでの間が第2のパターンにより結合されていることを特徴とする。この構成により、アンテナ給電パターンを構成する1パターンと同軸コネクタとの間が第2のパターンにより結合されており、半田付けを不要とし、また、アンテナ給電パターンを構成するパターンの面積がアンテナから延びる端子の接続面の一部にて接するだけの大きさであり、その1パターンが同軸コネクタに接続されているだけであるから、リアクタンス成分が従来に比べて少なく、同軸コネクタに測定回路を接続して無線通信用の回路の性能テストを行う場合にも好適なテストを可能とする。
【0015】
本発明の請求項 2に記載の無線機は、請求項1に記載のプリント配線板と、アンテナと、無線通信用の回路とを備えることを特徴とする。この構成により、無線機を制作する場合に、性能テストを適切に行うことが可能であり、また、無線通信用の回路の性能テスト後に半田付け作業を不要とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して本発明の実施の形態に係るプリント配線板及び無線機を説明する。各図において、同一の構成要素には同一の符号を付し重複する説明を省略する。図11には、無線機の構成図が示されている。無線機には、無線部31、モデム部32、TDMA部33、通話部34、制御部35、メモリ部36、サウンダ37、バイブレータ21、操作部38、表示部54が備えられている。無線部31のアンテナスイッチ(SW)39にはアンテナ40が接続されており、送信部42からの信号をアンテナ40側に送出し、アンテナ40から取り込んだ信号を受信部41にて受信するように構成されている。受信部41はシンセサイザ43から与えられる周波数により信号を中間周波数に変換し、送信部42は信号を無線周波数へ変換する。シンセサイザ43には、発振子44が接続されており、シンセサイザ43へ所定の基準周波数が供給されている。モデム部32は、信号の復調を行う復調部45と、信号の変調を行う変調部46とから構成されている。TDMA部33には、復調された信号からチャネル毎の信号を取り出すTDMAデコード部47、送信信号を各チャネルに配置するTDMAエンコード部48が設けられている。また、TDMA部33には、グループ呼出符号の端末間登録モードに移行された場合に、通常の通信に用いられるチャネルをグループ呼出符号の登録のためのチャネルに転用し、親機との間におけるグループ呼出符号の登録の通信タイミングに等しいタイミングにより信号の送受を管理するタイミング管理部49が設けられている。
【0017】
TDMAデコード部47によりデコードされた信号は、通話部34のADPCMトランスコーダ50において適応差分PCM方式によるデコードを受け、更にPCMコーディック51に至って音声信号へ戻され、受話器52へ送られる。この結果、受話器52から受信音声が送出されることになる。一方、送話器53から入力された音声信号は、PCMコーディック51においてPCM符号化を受け、更に、ADPCMトランスコーダ50へ送られて適応差分PCM方式による符号化を受け、TDMAエンコード部48に至ってエンコードされる。
【0018】
制御部35は、タイマを内蔵していると共に、マイクロプロセッサ等から構成され、メモリ部36に記憶されたプログラムやデータに基づき各部を制御する。制御部35は、TDMAデコード部47を介して呼出信号を受け取ったときに、サウンダ37により呼出音を発生させ、同時に、バイブレータ21の振動を生じさせ、または、呼出音の発生を行わずにバイブレータ21の振動を生じさせる。また、操作部38には、テンキーや無線通信に必要な各種キーが備えられている。例えば、テンキーを用いて通話相手のダイヤル番号を入力すると、これを受けて表示部54の画面に、入力に係るダイヤル番号の表示が行われる。ここに、表示部54は、例えば、ドットマトリックス表示を行うLCDとLCDドライバ等から構成される。
【0019】
アンテナ40とアンテナスイッチ39との間には、同軸コネクタ1が設けられており、上記無線機の無線通信用の回路の性能テストを行うための測定回路20を同軸ケーブル23を介してピンジャック22により接続可能となっている。なお、無線機を製造し上記測定回路20による性能テストを行う段階では、アンテナ40は取り付けられていない。
【0020】
即ち、測定回路20による性能テストを行う段階の無線機を示すと、図8に示されるようである。この図8では、無線機の筐体の裏蓋を取り外した状態が示されている。シールドケース24により無線部31、モデム部32等が覆われている。この無線部31等の電子部品を搭載するためにプリント配線板4が設けられており、アンテナ40及びピンジャック22を接続するための構成を含む一点鎖線により描かれた円の部分を拡大すると図1のようである。
【0021】
プリント配線板4の左方上端部は、取り付けられるアンテナ40の方向に突出しており、この突出部の手前側には、円筒形のアンテナ40の底部から延びる舌片状の端子61がネジ62により取り付けられるネジ穴25が穿設されている。このネジ穴25の周囲には、上記端子に対応して中央部が円形に抜けた方形状のアンテナ給電パターン2が形成されている。アンテナ給電パターン2は、中央部が円形に抜けた方形を上下に2分し、この2分された下側のパターンを左右に2分したパターン2−1、2−2、2−3から構成される。アンテナ給電パターン2の分割の方法は上記に限らず、一般的に、ネジ穴25の周囲に多数分割されて配置されていれば十分である。
【0022】
アンテナ給電パターン2を構成するパターン2−1〜2−3の内の1パターン2−3と同軸コネクタ1との間は、第2のパターン3により結合されている。同軸コネクタ1は無線部31からなる無線通信用の回路に接続する第1のパターン11上に設けられている。
【0023】
この様に構成されたプリント配線板を有する無線機を製造して、無線通信用の回路の性能テストを行う場合には、同軸ケーブル23を介して測定回路20に接続されているピンジャック22を同軸コネクタ1に挿入して第1のパターン11との電気的接続を得る。ピンジャック22は、図9、図10に示される円筒状の外ケース内の中央部に、同軸ケーブル23のピン1A(図10)が挿入される小円筒接続部27が設けられており、外ケースの先端部及び内側、更には上記の小円筒接続部27の外側がアース側接続部28となっている。一方、図10に示されるように、同軸コネクタ1は、凹型の金属からなるアース側接続部28の受部1Bと信号導出用のピン1Aからなっている。アース側接続部28はプリント配線板4の所定位置においてアースされている。また、プリント配線板4には、アースパターン5が形成されている。
【0024】
以上のようなプリント配線板を備える無線機を製造して、無線通信用の回路の性能テストを行う場合には、図8、図10に示されるように、同軸ケーブル23を介して測定回路20に接続されているピンジャック22を同軸コネクタ1に挿入して第1のパターン11との電気的接続を得る。そして、測定回路20側から所定の周波数の信号を送って無線機が着信動作を行うか、または、無線機からの発信が所定の周波数により行われるか等の各種の試験を行う。このとき、第2のパターン3を介してアンテナ給電パターン2を構成する1つのパターン2−3が接続されているが、パターン2−3が小片であるからリアクタンス成分が少なく適切なテストの実行が可能である。逆に言うと、第2のパターン3に接続されるパターン(この実施の形態では、2−3)は、測定回路20による測定の場合に測定の妨げとならない程度のリアクタンス成分を有するだけである。
【0025】
そして、性能テストを終了し、無線機が正常に動作することが確認されると、ピンジャック22を同軸コネクタ1から取り外し、アンテナ40から延びる端子61の穴を介してネジ62をネジ穴25に螺合してアンテナ40をプリント配線板4に結合する。これによって、分離されたパターン2−1〜2−3は全てが端子61によって接続され、適切な電気的結合が得られ、無線通信を的確に行うことができる無線機を、回路の測定の後に半田付けの作業無しに完成できる。
【0026】
図2には、プリント配線板の第2の実施の形態が示されている。この実施の形態においては、図1の実施の形態に対し、コイル6を第2のパターン3とアースパターン5との間に接続したものである。この実施の形態は、第1の実施の形態におけるアンテナ給電パターン2を構成する1つのパターン2−3と第2のパターン3が容量性のリアクタンスを有する場合に、これを打ち消すために有効であり、測定回路20による性能テストを適切に行うことができる。
【0027】
図3には、プリント配線板の第3の実施の形態が示されている。この実施の形態においては、図1の実施の形態に対し、コンデンサ7を第2のパターン3とアースパターン5との間に接続したものである。この実施の形態は、第1の実施の形態におけるアンテナ給電パターン2を構成する1つのパターン2−3と第2のパターン3が誘導性のリアクタンスを有する場合に、これを打ち消すために有効であり、測定回路20による性能テストを適切に行うことができる。
【0028】
図4には、プリント配線板の第4の実施の形態が示されている。この実施の形態においては、図1の実施の形態に対し、第3のパターン8を第2のパターン3とアースパターン5との間に接続したものである。第3のパターン8は図4に示すようにジグザクに形成され誘導性リアクタンスを有するものである。この実施の形態は、第1の実施の形態におけるアンテナ給電パターン2を構成する1つのパターン2−3と第2のパターン3が容量性のリアクタンスを有する場合に、これを打ち消すために有効であり、測定回路20による性能テストを適切に行うことができる。
【0029】
図5には、プリント配線板の第5の実施の形態が示されている。この実施の形態においては、図1の実施の形態に対し、アンテナ給電パターン2を構成するパターンの形状を変えたものである。アンテナ給電パターン2は、方形状のパターンの中央部を円形に抜いたパターンの第2のパターン3に接続しているパターンを切り離したパターン2−4と、残りのパターン2−5から構成される。パターン2−4は第2のパターン3に接続されているため、第2のパターン3をアンテナ40の端子61が位置付けられる部分まで延長した如くになっている。
【0030】
上記第5の実施の形態においても、アンテナ給電パターン2を構成する1つのパターン2−4が第2のパターン3を介して同軸コネクタ1に接続されているが、パターン2−4が小片であるからリアクタンス成分が少なく適切なテストの実行が可能である。この第5の実施の形態に対し、図2〜図4に示すように、コイル6、コンデンサ7、または、第3のパターン8を設けて、リアクタンス成分を打ち消すようにしても良い。
【0031】
図6には、第6の実施の形態が示されている。この実施の形態では、図1の実施の形態の構成に対し、アンテナ給電パターン2を構成するパターン2−1、2−2を除去したものである。この構成では、アンテナ40の端子61がパターン2−3の部分でのみアンテナ給電パターン2に接触するため、接触安定度がやや劣るが、図1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0032】
図7には、第7の実施の形態が示されている。この実施の形態では、図5の実施の形態の構成に対し、アンテナ給電パターン2を構成するパターン2−5を除去したものである。この構成では、アンテナ40の端子61がパターン2−4の部分でのみアンテナ給電パターン2に接触するため、接触安定度がやや劣るが、図5の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0033】
以上の第6の実施の形態と、第7の実施の形態に対し、図2〜図4に示すように、コイル6、コンデンサ7、または、第3のパターン8を設けて、リアクタンス成分を打ち消すようにしても良い。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の本発明によれば、アンテナ給電パターンを構成するパターンの面積がアンテナから延びる端子の接続面の一部にて接するだけの大きさであり、その1パターンが同軸コネクタに接続されているだけであるから、リアクタンス成分が従来に比べて少なく、同軸コネクタに測定回路を接続して無線通信用の回路の性能テストを行う場合にも好適なテストを可能とする。また、アンテナ給電パターンを構成する1パターンと同軸コネクタとの間が第2のパターンにより結合されており、測定後の半田付けが不要であり、作業の流れを改善でき生産性の向上を図ることができる。しかも、アンテナをネジ穴によりプリント配線板に結合するときに、上記ネジ穴周囲の一部に多数分割されて形成されているアンテナ給電パターンにアンテナの端子が接触しアンテナと無線通信用の回路との確実な導通を図ることができる。
【0040】
以上説明したように請求項2に記載の本発明によれば、無線機が上記請求項1のプリント配線板を備えるので、無線機を制作する場合に、アンテナ給電パターンのリアクタンスによる影響を受けることなく性能テストを適切に行うことが可能であり、また、無線通信用の回路の性能テスト後に半田付け作業を不要とし作業の流れを改善でき生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るプリント配線板の要部構成図。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係るプリント配線板の要部構成図。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係るプリント配線板の要部構成図。
【図4】本発明の第4の実施の形態に係るプリント配線板の要部構成図。
【図5】本発明の第5の実施の形態に係るプリント配線板の要部構成図。
【図6】本発明の第6の実施の形態に係るプリント配線板の要部構成図。
【図7】本発明の第7の実施の形態に係るプリント配線板の要部構成図。
【図8】本発明のプリント配線板を備えた無線機の分解斜視図。
【図9】本発明の無線機に接続されるピンジャックの斜視図。
【図10】本発明のプリント配線板に設けられた同軸コネクタとピンジャックとの接続状態の断面図。
【図11】本発明のプリント配線板を備えた無線機の構成図。
【図12】従来のプリント配線板の要部構成図。
【符号の説明】
1 同軸コネクタ 2 アンテナ給電パターン
3 第3のパターン 4 プリント配線板
5 アースパターン 6 コイル
7 コンデンサ 8 第3のパターン
11 第1のパターン 20 測定回路
22 ピンジャック 23 同軸ケーブル
24 シールドケース 25 ネジ穴
31 無線部 32 モデム部
33 TDMA部 34 通話部
40 アンテナ 61 端子
62 ネジ
Claims (2)
- 無線通信用の回路に接続するための第1のパターンと、
アンテナから延びる端子を結合させるためのネジ穴と、
前記ネジ穴の周囲に多数分割されて配置され、前記アンテナから延びる端子の接続面の一部にてそれぞれ接する複数のパターンからなるアンテナ給電パターンとを有し、
前記第1のパターンに同軸ケーブルを接続する同軸コネクタが配置され、
前記アンテナ給電パターンを構成する複数のパターンのうちの一つのパターンから上記同軸コネクタまでの間が第2のパターンにより結合されていることを特徴とするプリント配線板。 - 請求項1に記載のプリント配線板と、
アンテナと、
無線通信用の回路とを備えることを特徴とする無線機。
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