JP3592244B2 - 磁気抵抗素子および磁気抵抗効果型記憶素子 - Google Patents

磁気抵抗素子および磁気抵抗効果型記憶素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気抵抗効果(以下、MRという。)を利用した記憶素子に関し、特に、高感度かつ高密度の磁気抵抗素子および磁気抵抗効果型記憶素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
MR膜を用いた固体記憶デバイスは、シュヴェー(L.J.Schwee)、プロシーディングス オブ インターマグ コンファレンス アイイーイーイー トランスザクション オン マグネティックス キョウト(Proc.INTERMAG Conf. IEEE Trance. on Magn. Kyoto)(1972)405.によって提案され、記録磁界発生用の電流線であるワ−ド線とMR膜を用いた読み出し用のセンス線よりなる様々なタイプのMRAM(magnetic random−access memoryが提案されている(ポーン(A.V.Pohm)ら、アイイーイーイー トランスザクション オン マグネティックス(IEEE Trance. on Magn.)28.(1992)2356.)。これらの記憶デバイスにはMR変化率が2%程度の異方性MR効果(AMR)を示すNiFe膜等が使用され、出力の向上が問題であった。
【0003】
非磁性膜を介して交換結合した磁性膜より成る人工格子膜が、巨大磁気抵抗効果(GMR)を示すことが発見され(バイビッヒ(A.V.Baibich)ら、フィジカル レビュー レター(Phys.Rev.Lett.)61(1988)2472)、GMR膜を用いたMRAMの提案がなされた(ランムトゥ(K.T.Ranmuthu)ら、アイイーイーイー トランスザクション オン マグネティックス(IEEE Trance. on Magn.)29.(1993)2593.)。しかしながら、この反強磁***換結合をした磁性膜より成るGMR膜は、大きなMR変化率を示すものの、AMR膜に比べ大きな印加磁界を必要とし、大きな情報記録及び読み出し電流を必要とする問題点がある。
【0004】
上記の交換結合型GMR膜に対して、非結合型GMR膜としてはスピンバルブ膜があり、反強磁性膜を用いたもの(ディニー(B.Dieny)ら、ジャーナル オブ マグネティック マテリアルズ 93.(1991)101.)、及び(半)硬質磁性膜を用いたもの(榊間(H.Sakakima)ら、ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジックス(Jpn. J. Appl. Phys.)33.(1994)L1668)があり、これらはAMR膜と同様の低磁界で、かつAMR膜より大きなMR変化率を示す。この提案は、反強磁性膜、または硬質磁性膜を用いたスピンバルブ型を用いたMRAMであり、この記憶素子が非破壊読み出し特性(NDRO:Non−destructive Read−Out)を有することを示すものである(入江(Y.Irie)ら、ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジックス(Jpn. J. Appl. Phys.)34.(1995)L415)。
【0005】
上記のGMR膜の非磁性層はCu等の導体膜であるが、非磁性層にAl等の絶縁膜を用いたトンネル型GMR膜(TMR:tunnel magneto resistance)の研究も盛んとなり、このTMR膜を用いたMRAMも提案されている。特にTMR膜はインピ−ダンスが高いことより、より大きな出力が期待される。
【0006】
磁気抵抗素子を並べてMRAMとして動作させる場合、磁気抵抗素子である記憶セルを選択する際、直行するビット線とワード線を選び出すことにより行う。素子の選択性が優れているTMR膜を用いた場合においても、選択していない素子を通過する経路が存在し、抵抗が並列に繋がっているのと等価になり、素子一つのMRが出力として十分に生かせないという問題があった。また、この問題は、記憶容量の増大に伴って、出力のS/N低下を招くことになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、選択性および、出力信号を改善した磁気抵抗素子および磁気抵抗効果型記憶素子を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の磁気抵抗素子は、第1の抵抗素子と、第2の抵抗素子とが直列に接続され
前記第1および前記第2の抵抗素子の両方が磁気抵抗素子であり、
前記第1および前記第2の抵抗素子の磁気抵抗素子間で互いに独立に磁気抵抗を制御することが可能であることを特徴とする。
【0009】
また本発明の磁気抵抗効果型記憶素子は、第1の抵抗素子と、第2の抵抗素子とが直列に接続され、
前記第1および前記第2の抵抗素子の両方が磁気抵抗素子であり、
前記磁気抵抗素子を単一の記憶素子として2次元的、または3次元的に複数個配置し、
前記第1および前記第2の抵抗素子の磁気抵抗素子間で、互いに独立に磁気抵抗を制御することが可能であることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、2つの抵抗素子のうち少なくとも一方を磁気抵抗素子とし、もう一方に磁気抵抗素子または非線形な電流電圧特性を有する抵抗素子を用いて構成し、両素子を直列に連ねて構成し、磁気抵抗素子にバイアス制御性を付加する。このような非線形な電流電圧特性を有する抵抗素子としては、バリスター型素子や、動作原理として、バンド間トンネル効果、共鳴トンネル効果、単一電子トンネル効果、ジョセフソン効果を用いた少なくとも一つの素子を用いることが好ましい。2つの抵抗素子に磁気抵抗素子を用いる場合には、磁気抵抗素子を構成する強磁性体の磁化方向に応じて、互いに独立に磁気抵抗を制御することを可能にすることで、一方は記憶素子として、もう一方はバイアス制御用素子として動作させることができる。このような構成の場合、一方の磁気抵抗素子は非磁性体が導電体または半導体または電気絶縁体にて構成され、もう一方の磁気抵抗素子は非磁性体が導電体または半導体にて構成することが好ましく、後者の磁気抵抗素子をバイアス制御素子として動作させ、前者の磁気抵抗素子の特性制御を行うことにより、構成した磁気記憶素子の選択性の改善を可能にするものである。
【0011】
また一方を磁気抵抗素子、もう一方を非線形な電流電圧特性を有する抵抗素子として構成する場合、バリスター型素子のバリスター電圧を、トンネル効果素子の場合にはギャップ電圧を最適値に設計・作製することにより、構成した磁気記憶素子の選択性の改善を可能にするものである。ここでの、バリスター電圧やギャップ電圧は、非線形特性のダイナミック抵抗の最も変化率の高い電圧点を示し、その他の非線形な電流電圧特性を有する抵抗素子を用いる場合にもこの電圧点を閾値として利用する。
【0012】
さらに、後段に配する非線形な電流電圧特性を有する抵抗素子にもう一つの磁気抵抗素子を並列に連ねて構成し、バリスター電圧やギャップ電圧に対して、磁気抵抗素子のバイアス電圧が磁気抵抗効果によって上下させることによっても、所望の選択的読み出し動作を向上させることができる。この場合の磁気抵抗素子には、非磁性体が導電体または半導体または電気絶縁体にて構成されることが好ましい。さらに、非磁性体が電気絶縁体のものは磁気抵抗効果が大きく、より好ましい。
【0013】
以下、図面を用いて説明する。
【0014】
図1は反強磁性膜(または磁化回転抑制膜)を用いたスピンバルブ型記憶素子の構成概略図を示す。MR素子部の強磁性膜(M)19は反強磁性膜(AF)18と交換結合(exchanged−coupled)しており、強磁性膜(M)19は固定層を形成している。ワ−ド線17の電流及び/またはセンス線あるいはビット線(14、15)の電流によって発生する磁界により、主に軟質磁性膜が用いられる自由層13が磁化回転し、強磁性膜(M)19(固定層)に対する磁化方向によって記憶状態を保持する。図1において、12は非磁性層電気絶縁膜(NM)、14、15はセンス線あるいはビット線を形成する導電膜、16は層間の絶縁膜(I)である。
【0015】
これらMR素子を、図2Aに示したように行列状に配置すればMRAMデバイスが得られる。すなわち、磁気抵抗効果型記憶素子21を行列状に配置し、導電膜14、15により格子状に結合する。ここで導電膜(ワード線)17は、導電膜14と重なるように並んで配置されているが、図2Aでは省略されている。
【0016】
図2Bは、図2Aの斜視図である。導電膜(ワード線)17は導電膜14と電気的に絶縁して並走するように配されている。
【0017】
磁気抵抗効果型記憶素子21は、導電膜14、15により格子点に位置し、導電膜14,15によって上下に接して配置され、導電膜(ワード線)17は磁気抵抗効果型記憶素子21に最も効果的に磁界印加が可能になるように配置する。図の場合には磁気抵抗効果型記憶素子21の直上にくるように配置した場合を示している。
【0018】
図2のように磁気抵抗効果型記憶素子21のほぼ直上にくるように配置した場合、導電膜(ワード線)17を用いて、磁気抵抗効果型記憶素子21の記憶セルである自由層13に効果的に磁界印加を行うために、自由層13と導電膜(ワード線)17との距離は約500nm以下であることが好ましい。導電膜(ワード線)17に印加する電流密度を1×10A/cm以下にするようにした場合には、自由層13と導電膜(ワード線)17との距離は約300nm以下であることがさらに好ましい。
【0019】
磁気抵抗効果型記憶素子21の記憶内容の読み出しは、センス線、ビット線である導電膜14、15を用いて、磁気抵抗効果型記憶素子21の抵抗値の変化をモニターして行う。このとき、定電流印加の下で抵抗変化を電圧変化としてモニターする場合と、低電圧印加の下で抵抗変化を電流変化としてモニターする場合があるが、回路構成上の簡便さなどを考慮して両者を使い分ける。
【0020】
ただし素子を単に並列に繋げるだけでは、記憶素子の選択性の低下は免れず、S/Nの劣化を招いてしまう。図3に示した太い実線43は選択した素子を経由するバイアスラインを示し、太い破線44は非選択の素子を経由するバイアスラインの一例を示している。このように並列に非選択のバイアスラインが繋がることにより、記憶容量の増大に伴って、MRAMデバイスのS/Nの低下はより顕著になってくる。
【0021】
本発明では、強磁性体で非磁性体を挟んで構成する磁気抵抗素子を2つ直列に連ねて構成し、互いに独立に素子の磁気抵抗を制御することによりかかる課題の解決を図った。すなわち、前記磁気抵抗素子の一方である第1磁気抵抗素子は非磁性体が電気絶縁体であり、もう一方の第2磁気抵抗素子は非磁性体が導電体であることにより、第2の磁気抵抗素子をバイアス制御素子として動作させ、第1磁気抵抗素子の特性制御を行うことにより、MRAMデバイスのS/Nの改善を可能にした。
【0022】
また、磁気抵抗素子と非線形電流電圧特性を有する抵抗素子とを直列に連ねて構成し、非線形抵抗素子の強い非線形性を利用して、選択した記憶素子にかかるバイアスを、周囲にかかるバイアスよりも高く設定することにより、MRAMデバイスのS/Nの改善を可能にした。
【0023】
さらに、記憶セルとしての第1の磁気抵抗素子の後段に、第2の磁気抵抗素子と非線形抵抗素子とを並列に組み合わせて構成される素子を配し、非線形素子の強い非線形性によって生じるスウィッチング特性を利用し、第2の磁気抵抗素子にて得られる磁気抵抗変化範囲内に、前記特性電圧を設定することにより、第2の磁気抵抗素子をバイアス制御素子として動作させ、第1磁気抵抗素子の特性制御を行うことにより、MRAMデバイスのS/Nの改善を可能にした。
【0024】
図4AはAFスピンバルブ型記憶素子の動作原理である。固定層である強磁性膜(M)19はAF層18と交換結合するように形成されており、その磁化は一方向にピン止めされている。ワ−ド線(W)17に流す電流の方向を変えて自由層13を異なる方向に磁化反転して、”1”、”0”の記録を行う。
【0025】
選択した記憶の読み出しには、適正な参照抵抗素子との抵抗差を測ることにより、”1”か”0”を識別する。すなわち、図4Bの場合は、抵抗差が0であるので”0”と識別し、図4Cの場合は、抵抗差が0ではないので”1”と識別する。ここでは便宜上、”1”と”0”の状態を特定したが、もちろん逆でも構わない。この場合の参照抵抗は、記憶素子である磁気抵抗素子と同程度の抵抗を用いるのが好ましく、図4B、図4Cのように磁気抵抗素子そのものを参照抵抗として用いてもよい。
【0026】
本実施例ではAF層18で強磁性膜19を固定層とした一例を示しているが、AF層18を用いないで、強磁性膜19と軟磁性膜の層13の保持力差を用いて構成した磁気抵抗素子において、強磁性膜19を記憶層として用いても良い。このような素子の場合、強磁性膜19の保持力(HC2)は軟磁性膜の層13の保持力(HC1)よりも大きくし、記憶書き込み時にはH>HC2(あるいはH<−HC2)にて行い、読み出し時にはHC2>H>HC1(あるいは−HC1>H>−HC2)の範囲の磁界を印加して行う。この際に、HC2>H>HC1、−HC1>H>−HC2)の範囲において正負方向に磁界を印加して軟磁性膜13の磁化方向を反転させ、強磁性膜19に対する磁気抵抗変化の値をモニターすることにより、記憶状態を非破壊にて読み出すことが可能であるので、この構成を用いて本発明を構成しても良い。
【0027】
以上は1ビットの素子についての動作原理の説明であるが、実際の記憶素子を構成する場合は図2Aに示したようにこれら素子を行列状に配置する必要がある。その場合は各素子に対して、例えば(N,M)番地の素子近傍で直交する2本のワ−ド線か、同じく直交する様に配置されたセンス線(あるいはビット線)とワード線、またはセンス線とビット線を用いて、合成磁界を発生して、情報の書き込みを行い、書き込み選択性の向上を図ることができる。
【0028】
また読み出しに対して、互いに交差するセンス線群とビット線群との交点に、本発明の磁気抵抗素子と磁気抵抗制御素子とをそれぞれ並列配置し、番地指定の信号により、N行のセンス線とM列のビット線を選択して、(N,M)番地の記憶セルを選択することができる。この際、信号パルスを効率よく伝送するために、特に他経路を介した信号パルスの流入や信号パルスの高速化に伴う高調波成分の逆戻りを防止するのに本発明の磁気抵抗を制御する素子が有用である。
【0029】
図1に示した磁気抵抗素子の自由層13として一般には、Ni−Co−Fe合金が適している。Ni−Co−Fe膜の原子組成比としては、NiCoFe、ここで、0.6≦x≦0.9、0≦y≦0.4、0≦z≦0.3のNi−richの軟磁性膜、もしくは、Nix’Coy’Fez’、ここで、0≦x’≦0.4、0.2≦y’≦0.95、0≦z’≦0.5のCo−rich膜を用いるのが望ましい。
【0030】
これらの組成の膜はセンサーやMRヘッド用として要求される低磁歪特性(1×10−5以上)を有する。
【0031】
また、自由層の膜厚としては1nm以上10nm以下がよい。膜厚が厚いとシャント効果でMR比が低下するが、薄すぎると軟磁気特性が劣化する。より望ましくは2nm以上7nm以下である。
【0032】
磁気抵抗素子を行列状に配置したMRAMを構成する際には、図5Aに示すように、第1の磁気抵抗素子70と、第2の磁気抵抗素子もしくは非線型抵抗素子または両者を組み合わせた素子50とを直列につないで構成するのが好ましい。より具体的には、導電膜14と第1の磁気抵抗素子70と、第2の磁気抵抗素子もしくは非線型抵抗素子または両者を組み合わせた素子50と、導電膜15とを直列につなぐ。また、第1の磁気抵抗素子70の抵抗値は可変である。
【0033】
前記したように、記憶セルの選択性を得るために、図5Bに示すように第1の抵抗素子70と直列に、素子の特性を制御する第2の抵抗素子(NL)71を配置することが望ましい。図5Bでは、TMR素子70に対して、下部にNL71を配置しているが、もちろん上部に配しても構わない。
【0034】
本発明によれば、素子の特性を制御する抵抗素子(NL)は、強磁性体(固定層および自由層)で非磁性導電体(または半導体)を挟んで構成する磁気抵抗素子が望ましい。このとき、磁気抵抗素子である71は非トンネル型GMR(giant magneto resistance)素子である。この非磁性導電体に適当なロード素子(たとえば負荷抵抗など)LR73を連ねて、図5Cのような素子を作成する。この場合、NLを構成する2つの強磁性体71の磁化方向が平行であれば、印加バイアス電流はセンス線へと流れ、反平行であれば、バイアス電流の一部はLR方向へ分流される。この分流は、NLの磁気抵抗素子とLR素子とのインピーダンス差を発生する磁界スイッチング動作で発生し、結果としてのセンス部へのバイアス低下分が、非選択の磁気抵抗素子を経由した並列抵抗分の影響を押さえ、本発明の磁気抵抗素子で構成した磁気抵抗型磁気記憶素子を用いることでMRAMデバイスのS/Nの改善を可能にする。
【0035】
さらに図6Aに示すような、磁気抵抗素子70と非線形抵抗素子60を直列に連ねて構成される磁気抵抗素子からなるMRAMデバイスにおいても、記憶セルの選択性を向上できた。
【0036】
図6Bは、図6Aの等価回路の一例の断面概略図である。すなわち、上部に導電膜(ワード線)17があり、その下に導電膜14と、導電膜(コンタクト電極)61と、前記導電膜(コンタクト電極)61の間の磁気抵抗素子70と、非線形抵抗素子60と導電膜15を直列に積層する。
【0037】
ここでの非線形な電流電圧特性を有する抵抗素子としては、バリスター型の特性を有する素子や、バンド間トンネル効果素子、共鳴トンネル効果素子、単一電子トンネル効果素子、ジョセフソン効果素子の少なくとも一つを用いることが好ましい。
【0038】
すなわち、図3に示すような、非選択記憶セルを介して選択記憶セル部に印加される電圧(破線部44参照)をバリスター電圧やトンネルギャップ電圧以下に、選択記憶セルへの印加電圧をバリスター電圧やトンネルギャップ電圧以上になるように非線形抵抗素子を作製することにより、記憶セルの選択性を向上させ、MRAMデバイスのS/Nの改善を可能にすることができる。
【0039】
図7は本発明の磁気抵抗素子で構成されるMRAMデバイス構成図を、図10は本発明の磁気抵抗素子の電気特性の一例を示す。図7に示すように、N行のセンス線14およびM列のビット線15を選択し、選択素子をS点にバイアスするとき、N行センス線に連なるM列以外の素子群はU点に、M列に連なるN行以外の素子群はV点に、それ以外はO点にそれぞれバイアスするものとする。このとき、バリスター電圧やトンネルギャップ電圧などを表す特性電圧Vbに対して、Vs>Vb、Vb>Vu、Vv、Voと設定され、S点以外は特性電圧以下となり、かかる課題である選択素子のみの記憶情報を取り出すことが可能となる。
【0040】
また図8に示すパルスバイアス印加のタイミングチャートのようにバイアスレベルを3値設定することにより、デバイス動作を安定化させることに効果がある。非選択時のセンス線は、L−levelにて、非選択時のビット線にはM−levelにてバイアスすることにし、また選択時のセンス線はH−level、選択時のビット線はL−levelにてバイアスすることにする。この動作により、選択したい素子の読み出し動作を可能にする。さらに、H−levelとM−levelとのバイアス差をM−levelとL−levelのバイアス差に対して大きく設定することで、動作安定性が向上する。図8に示す例によれば、Vs>Vb>>Vu>Vo>Vvとなり、選択した記憶セルの読み出しが可能となる。
【0041】
さらに、図11に示すように、第1の磁気抵抗素子70の後段に、第2の磁気抵抗素子71と非線形抵抗素子111とを並列に組み合わせて構成される素子を配して記憶素子を構成した。この場合、非線形素子の強い非線形性によって生じるスウィッチング特性を利用し、第2の磁気抵抗素子にて得られる磁気抵抗変化範囲内に、前記特性電圧を設定することにより、第2の磁気抵抗素子をバイアス制御素子として動作させ、第1磁気抵抗素子からの出力を分流させることにより、記憶読み出しのオン・オフを切り替えることができる。図12には後段に配する抵抗素子の特性図を示す。一定電流印加の下で、第2の磁気抵抗素子の低抵抗状態の時のバイアス電圧点をP点、高抵抗状態の時のバイアス電圧点をQ点とするとき、P点にバイアスされた状態では、並列につながった非線形素子は第2の磁気抵抗素子に比べて極めて大きな抵抗を有しているため、電流はセンス線15を通じて出力される。Q点にバイアスされた状態では、非線形素子は第2の磁気抵抗素子に比べて抵抗が小さいことから、電流は非線形素子の方を流れ、終端され、センス線への出力は大きく低下させることができる。このとき、電流分流率は、非線形素子のダイナミック抵抗Rdの変化率に直接依存する。P点とQ点で、非線形素子のRdが約10倍に変化する場合、その分流率は10倍とすることができる。このように、ダイナミック抵抗Rdの変化率を大きくとれればとれるほど、出力の急峻なオン・オフが可能になり、記憶素子の読み出しの選択性を向上させることができる。
【0042】
固定層の金属磁性膜としては、Co、FeまたはCo−Fe,Ni−Fe,Ni−Fe−Co合金等の材料が優れている。特にCo、FeまたはCo−Fe合金が大きなMR比を得るのに良いので非磁性層との界面に、これらを用いることが望ましい。
【0043】
更にXMnSb(但し、XはNi、Pt、Pd、Cuを示す。)は、高い磁性分極率を有するため、MR素子を構成した際、大きなMR比が得られるので好ましい。
【0044】
固定層の酸化物磁性膜としてはMFe(MはFe,Co,Niから選ばれる1種もしくは2種以上の元素)が望ましい。これらは比較的高温まで強磁性を示し、Fe−richに比べCo,Ni−richは極めて抵抗が高い。又Co−richは磁気異方性が大きい特長があるので、これらの組成比の調整により所望の特性のものが得られる。
【0045】
固定層に接するAF層(または磁化回転抑制層)としては、金属膜としては不規則合金系のIr−Mn,Rh−Mn,Ru−Mn,Cr−Pt−Mn等があり、磁界中で成膜することにより磁性膜と交換結合させることができ工程が簡便となる利点がある。一方規則合金系のNi−Mn,Pt−(Pd)−Mn等は規則化のための熱処理が必要であるが、熱的安定性に優れており、特にPt−Mnが好ましい。
【0046】
また酸化物膜としては、α−FeやNiO、あるいはLTO(LはCeを除く希
土類元素を示し、TはFe、Cr、Mn、Coを示す。)が好ましい。
【0047】
自由層としては、一般には、Ni−Co−Fe合金が適している。Ni−Co−Fe膜の原子組成比としては、NixCoyFez、ここで、0.6≦x≦0.9、0≦y≦0.4、0≦z≦0.3のNi−richの軟磁性膜、もしくは、Nix’Coy’Fez’、ここで、0≦x’≦0.4、0.2≦y’≦0.95、0≦z’≦0.5のCo−rich膜を用いるのが望ましい。
【0048】
自由層13と固定層19の間の非磁性層12として電気絶縁体を用いる場合には、AlまたはMgOといった酸化物、炭化物、または窒化物が優れている。特に窒化物の場合には、MN(O)(ここで、MはAl,B,Inのうち少なくとも一種から選ばれる。また(O)は酸素の混入を示す。)が好ましい。または、エネルギーギャップ値が2〜6eVの値を有するワイドギャップ半導体も好ましい。
【0049】
また、磁気抵抗効果素子の抵抗は、電気絶縁体である非磁性体の厚みに依存している。磁気抵抗素子として動作させるためには、0.5nm〜5nm程度の範囲にて構成する必要がある。すなわち、磁気抵抗素子の抵抗は、非磁性体の厚みを制御することにより、所望の値を実現することができる。
【0050】
また自由層13と固定層19の間の非磁性層12として金属を用いる場合には、Cu,Ag,Au,Ruなどがあるが、とくにCuが優れている。非磁性層の膜厚としては、磁性層間の相互作用を弱くするために少なくとも0.9nm以上は必要である。また非磁性層が厚くなるとMR比が低下してしまうので膜厚は10nm以下、望ましくは3nm以下とするべきである。また、この非磁性層の膜厚が3nm以下の場合は、各層の平坦性は重要で、平坦性が悪いと、非磁性層で磁気的に分離されているはずの2つの磁性層13と11または19との間に磁気的結合が生じてMR比の劣化と感度の低下が生ずる。したがって、磁性層/非磁性層の界面の凹凸は0.5nm以下であることが望ましい。
【0051】
【実施例】
以下に、さらに具体的な例について説明する。
【0052】
(実施例1)
ビット線用のコンタクト部として用いる導電部をあらかじめ設けた基板上に、多元スパッタ装置、ホトリソグラフィー技術、ドライエッティング技術、研磨平坦化技術を用いて、図9に示すような断面構造を有する磁気抵抗効果型記憶素子を作製した。
【0053】
記憶素子部分は基板90上に形成された、2つの磁気抵抗素子70,71にて構成されており、一方の磁気抵抗素子71には、自由層に用いる軟質磁性膜71CとしてNi0.68Co0.2Fe0.12、固定層として用いる硬質磁性膜71aとしてCo0.75Pt0.25を用い、非磁性導電膜71bとしてCuを用いて構成した。非磁性導電膜71bのCuは電極91としても引き出され、コンタクト層61またはもう一方の磁気抵抗素子70に対するワード電極体17と同時に作製される抵抗体73に接続されている。また、コンタクト電極またはセンス線用導電膜61にはPtやAuやCu、あるいはAl、AuCr、Ti/Au、Ta/Pt、Cr/Cu/Pt/Taなどを用い、ワード線用導電膜17,72にはAlまたはAuCr、Ti/Au、Ta/Pt、Cr/Cu/Pt/Taなどを用いた。各層間絶縁層74にはAlまたはCaFまたはSiOまたはSiなどを用いて電気的絶縁をはかっている。
【0054】
もう一方の磁気抵抗素子70はTMR型素子を配し、Co0.9Fe0.1、Al、Co0.5Fe0.5、IrMn、Ni0.8Fe0.2なるターゲット材からスパッタ法を用いて(組成は全て原子比)、NiFe(20)/CoFe(4)/Al(1.2)/CoFe(4)/IrMn(20) (カッコ内は厚さ(nm)を表す)の磁気抵抗素子を作製した。
【0055】
ここでの非磁性絶縁層70bのAlは、Alを製膜したうえで酸化工程を経て作製したものを用意した。酸化工程においては、真空漕内での自然酸化によるもの、真空漕内での加温下での自然酸化によるもの、または真空漕内でのプラズマ中においての酸化によって行った。いずれの工程に対しても良好な非磁性絶縁膜が得られることを確認した。
【0056】
本実施例の場合には、真空槽内での加温下での自然酸化による方法に従った。また、このときの非磁性絶縁層(12a,70b)の厚みは絶縁性確保のために0.3nm以上は必要である。非磁性絶縁層(12a,70b)の膜厚が厚くなりすぎるとトンネル電流が流れなくなるため、膜厚は3nm以下にするのが望ましい。この際の非磁性絶縁層(12a,70b)の膜厚は、素子の抵抗に直接関係するので、所望の素子抵抗に応じてこの膜厚を調製して作製するのがよい。ただし、この場合においても、各層の平坦性が重要で、平坦性が低下すると非磁性絶縁層(12a,70b)が破れて、トンネルリークが起こるか、あるいは2つの強磁性膜(13と19、70aと70c)間に、磁性的結合が生じて、MR素子部(21,70)のMR比の劣化と感度の低下が生じる。従って、各強磁性膜と非磁性絶縁膜との界面の凹凸は0.5nm以下、更に好ましくは0.3nm以下が良い。
【0057】
TMR素子単独としてのMR特性を室温、印加磁界40 Oeで測定したところ、MR比は約36%であった。このときの接合面積は、縦約0.5μm、横約1.5μmにて作製したものである。
【0058】
センス線14からセンス線15に定電流駆動にてバイアス電流を印加し、測定を行ったところ、第2の磁気抵抗素子71の2つの強磁性体の磁化方向が平行の時には、第1の磁気抵抗素子70の磁化方向の平行・反平行に応じた抵抗変化が検出された。すなわち、平行、反平行を”0”,”1”と対応させることで、記憶を読み出しできたことがわかる。まず、ワード線17に電流を流して第1磁気抵抗素子のSM膜を一方向に磁化し、次にやはりワード線17に電流パルスを印加して、センス線を通じて測定した記憶素子の電圧変化をモニターした。ワード線印加の電流パルスの正負に応じて第1の磁気抵抗素子70に記憶された、情報の出力変化が検出でき、配した磁気抵抗素子70が記憶素子として動作することが確認された。
【0059】
次に、ワード線72に電流を流して、第2の磁気抵抗素子71の2つの磁性膜の磁化方向を反平行にした時には、平行の時に比べて、検出される出力が低下した。このことは、反平行の場合には印加電流がLR素子73方向へ分流されたことを示している。本実施例ではLR部には、1〜10Ωの負荷抵抗を用いた。
【0060】
すなわち、この動作結果より、後段の磁気抵抗素子の磁化方向が平行状態の時は、前段の記憶素子の読み出しが可能、後段の磁気抵抗素子の磁化方向が反平行状態の時は、前段の記憶素子の読み出しが困難な状態を作ることができ、本発明の磁気抵抗効果型記憶素子を実現できた。
【0061】
このことにより、前段の磁気抵抗素子による記憶素子の出力を、後段の磁気抵抗素子にの抵抗変化よって、その出力パスを分配し、記憶素子の情報読み出しを選択的に行えることが可能となった。
【0062】
(実施例2)
下部電極コンタクトとして用いる導電部をあらかじめ設けた基体上にAlまたはSiOを堆積させて形成した層間絶縁層にコンタクト用ホールを設け、その上にAr雰囲気中にてSiCの直接スパッタにより、SiC多結晶膜層を形成した。基板は200〜750℃、スパッタ電力は400〜500Wにて作製を行った。またこのSiC層はC雰囲気中によるSi熱蒸着においても形成できる。この上に絶縁層を更に設け、コンタクト部を所望位置に設けた後、銅メッキを用いてコンタクト部を形成し、平坦化処理を行い、バリスター素子部を形成した。バリスター型素子部は多結晶体の膜の粒成長や粒界結合状態を制御することにより、その特性を調整した。
【0063】
更に多元スパッタ装置を用いて、磁気抵抗素子部を作製した。磁気抵抗素子はTMR型素子を配し、Co0.9Fe0.1、Al、Co0.5Fe0.5、IrMn、Ni0.8Fe0.2なるターゲット材からスパッタ法を用いて(組成は全て原子比)、
NiFe(20)/CoFe(4)/Al(1.2)/CoFe(4)/IrMn(20) (カッコ内は厚さ(nm)を表す)の構成で作製した。
【0064】
非磁性絶縁層のAlは、Alを製膜したうえで酸化工程を経て作製したものを用意した。酸化工程においては、真空漕内での自然酸化によるもの、真空漕内での加温下での自然酸化によるもの、または真空漕内でのプラズマ中においての酸化によって行った。いずれの工程に対しても良好な非磁性絶縁膜が得られることを確認した。本実施例においては、真空槽内での自然酸化による方法によって作製した。
【0065】
素子のMR特性を室温、印加磁界40Oeで測定したところ、MR比は約36%、このときの接合面積は、約0.5μm×約1.5μmであった。
【0066】
この様な膜を利用して加工作製した磁気抵抗素子を、図6で示す概略図のように単一の記憶セルとして構成・作製し、電圧駆動にて動作確認を行った。記憶素子部分は磁気抵抗素子とバリスター型素子の直列接続されて構成している。センス線用導電膜にはPtまたはCu、Auを用い、ワード線用導電膜にはAlまたはCu、AuCr、Ti/Au、Ta/Pt、Cr/Cu/Pt/Taなどを用いた。記憶素子とワード線との絶縁にはAlまたはCaF、SiO、Siなどを用いている。
【0067】
図10は作製した記憶セルへの電圧バイアス印加の状態を示している。選択した記憶セルであるSタイプではバリスター電圧以上のS点にバイアスされるため、所望の出力電圧を確保できた。
【0068】
そのほかの非選択の記憶セル(図7参照)であるUタイプ、Vタイプ、Oタイプは、それぞれU点、V点、O点にバイアスされ、いずれも、急激に抵抗の低下するバリスター電圧以上にバイアスされないため、記憶セルからの出力には影響を与えないことが分かった。
【0069】
このことにより、本発明の磁気抵抗効果型記憶素子を用いてMRAMデバイスを構成することにより、記憶セルの選択性を向上させ、MRAMデバイスのS/Nの改善を実現できる。
【0070】
(実施例3)
ビット線用のコンタクト部として用いる導電部をあらかじめ設けた基板上に、多元スパッタ装置、ホトリソグラフィー技術、ドライエッティング技術、研磨平坦化技術などを用いて、図11に示す等価回路で表される磁気抵抗効果型記憶素子を作製した。
【0071】
記憶素子部分は2つの磁気抵抗素子にて構成されており、下部に配した一方の磁気抵抗素子はTMR型素子で、Co0.9Fe0.1、Al、Co0.5Fe0.5、IrMn、Ni0.8Fe0.2なるターゲット材からスパッタ法を用いて(組成は全て原子比)、
NiFe(20)/CoFe(4)/Al(1.2)/CoFe(4)/IrMn(20) (カッコ内は厚さ(nm)を表す)にて作製した。
【0072】
更に、この磁気抵抗素子と並列にバリスター型抵抗素子が接続されるように構成した。磁気抵抗素子の後段に負荷抵抗を配することでバリスター電圧付近に昇圧させ、磁気抵抗値に応じて、バリスター型素子にはバリスター電圧の上下にバイアス点がかかるようになっている。
【0073】
ここで、コンタクト電極またはセンス線用導電膜にはPt、Cu、Auなどを用い、ワード線用導電膜にはAlまたはCu、AuCr、Ti/Au、Ta/Pt、Cr/Cu/Pt/Taなどを用いた。各層間絶縁層にはAlまたはCaFまたはSiOまたはSiなどを用いて絶縁をはかっている。
【0074】
もう一方の上部に配した磁気抵抗素子もTMR型素子で、Co0.9Fe0.1、Al、Co0.5Fe0.5、IrMn、Ni0.8Fe0.2なるターゲット材からスパッタ法を用いて(組成は全て原子比)、
NiFe(20)/CoFe(4)/Al(1.2)/CoFe(4)/IrMn(20) (カッコ内は厚さ(nm)を表す)にて作製した。
【0075】
ここでの非磁性絶縁層のAlは、Alを製膜したうえで酸化工程を経て作製したものを用意した。酸化工程においては、真空漕内での自然酸化によるもの、真空漕内での加温下での自然酸化によるもの、または真空漕内でのプラズマ中においての酸化によって行った。いずれの工程に対しても良好な非磁性絶縁膜が得られることを確認した。
【0076】
TMR素子単独としてのMR特性を室温、印加磁界40のOeで測定したところ、MR比は約36%であった。このときの接合面積は、縦約0.5μm、横約1.5μmにて作製したものである。
【0077】
本デバイスにおいては、定電流バイアス駆動により、センス線14からセンス線15にバイアス電流を印加し、動作を確認した。動作測定を行ったところ、下部の磁気抵抗素子71の2つの強磁性体の磁化方向が平行の時には、上部の磁気抵抗素子70の磁化方向の平行・反平行に応じた抵抗変化が検出された。
【0078】
次に、ワード線72に電流を流して、第2の磁気抵抗素子71の2つの磁性膜の磁化方向を反平行にした時には、バリスター型素子側に電流が大きく分流されることが確認された。このことにより、本発明の磁気抵抗型記憶素子により記憶セルにかかるバイアスを制御することが確認された。
【0079】
(実施例4)
強い非線形を示す抵抗素子として(図6Aの60参照)、トンネル素子(M−I−M)を用いて、図6Aのように単一の記憶セルとして構成・作製し、電圧駆動にて動作確認を行った。磁気抵抗素子は実施例2に示した構成で作成を行った。ここでのM−I−M素子には、Al−Al−Auを用いた。
【0080】
図13は作製した記憶セルへの電圧バイアス印加の下での磁気抵抗変化の状態を示している。第1磁気抵抗素子70の固定層および自由層の磁化が互いに平行(P)、反平行(AP)に応じて生じる磁気抵抗差が出力として得られる様子が示されている。図13においては、電圧駆動の場合には磁気抵抗効果を電流変化として得られるだけでなく、電流駆動の場合には磁気抵抗効果を電圧変化として得られる様子を示している。
【0081】
このことにより、本発明の磁気抵抗効果型記憶素子を用いてMRAMデバイスを構成することにより、記憶セルの選択性を向上させ、MRAMデバイスのS/Nの改善を実現できる。
【0082】
実施例にて用いた磁気抵抗素子はTMR型素子で限定されるものではなくGMR型素子においても利用可能である。
【0083】
また、以上のような実施例にて示された本発明の磁気抵抗効果型記憶素子にてMRAMデバイスを構成することにより、セル選択性の優れたMRAMデバイスを構築することができる。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、磁気抵抗素子への印加バイアスを制御でき、MRAMを構成した場合においても、行列状に配置した際の磁気記憶セルの選択性に優れ、記憶容量の高密度化に対してもS/Nの劣化を抑制する効果的な磁気抵抗効果型記憶デバイスを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の記憶素子の基本構成図
【図2】本発明の一実施形態の記憶素子の基本構成図
【図3】本発明の一実施形態の磁気抵抗型記憶素子の動作原理を示す図
【図4】本発明の一実施形態の記憶素子の動作原理を示す図
【図5】本発明の一実施形態の記憶素子の構成概略図
【図6】本発明の一実施形態の記憶素子の構成概略図および等価回路図
【図7】本発明の一実施形態の記憶素子の構成概略図
【図8】本発明の一実施形態の記憶素子の動作原理を示す図
【図9】本発明の一実施形態の記憶素子の構成概略図
【図10】本発明の一実施形態の記憶素子の基本特性図
【図11】本発明の一実施形態の記憶素子の等価回路図
【図12】本発明の一実施形態の記憶素子の基本特性図
【図13】本発明の一実施形態の記憶素子の基本特性図
【符号の説明】
12 非磁性絶縁膜
13 軟質磁性膜(自由層)
14 導電膜
15 導電膜
16 層間絶縁膜
17 導電膜(ワード線)
18 反強磁性膜または磁化回転抑制層
19 強磁性膜
21 磁気抵抗効果型記憶素子
41 選択した記憶セル
42 非選択の記憶セル
43 選択した記憶セルを通過するセンスパルスの経路
44 非選択の記憶セルを通過するセンスパルスの経路
50 抵抗素子(磁気抵抗素子または非線形抵抗素子)
60 非線形抵抗素子(バリスター型抵抗素子)
61 導電膜(コンタクト電極)
70 第1の磁気抵抗素子
71 第2の磁気抵抗素子
72 導電膜(第2の磁気抵抗素子のワード線)
73 負荷抵抗(LR)
74 層間絶縁膜
90 基体
91 非磁性導電体膜
110 負荷抵抗
111 非線形抵抗素子(バリスター型抵抗素子)

Claims (2)

  1. 第1の抵抗素子と、第2の抵抗素子とが直列に接続され
    前記第1および前記第2の抵抗素子の両方が磁気抵抗素子であり、
    前記第1および前記第2の抵抗素子の磁気抵抗素子間で互いに独立に磁気抵抗を制御することが可能である、磁気抵抗素子。
  2. 第1の抵抗素子と、第2の抵抗素子とが直列に接続され、
    前記第1および前記第2の抵抗素子の両方が磁気抵抗素子であり、
    前記磁気抵抗素子を単一の記憶素子として2次元的、または3次元的に複数個配置し、
    前記第1および前記第2の抵抗素子の磁気抵抗素子間で、互いに独立に磁気抵抗を制御することが可能である、磁気抵抗効果型記憶素子。
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