JP3591818B2 - 配線基板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体素子や容量素子、抵抗器等の電子部品が搭載される配線基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子や容量素子、抵抗器等の電子部品が搭載される配線基板は、酸化アルミニウム質焼結体から成る絶縁基体の内部及び表面にタングステン、モリブデン等の高融点金属材料から成る配線導体層、スルーホール導体層、電源導体層および接地導体層を形成した構造を有しており、絶縁基体表面に半導体素子や容量素子、抵抗器等の電子部品が搭載されるとともに各電子部品の電極が配線導体層等に電気的に接続させるようになっている。
【0003】
かかる配線基板は、一般に、セラミックスの積層技術及びスクリーン印刷等の厚膜形成技術を採用することによって製作されており、具体的には以下の方法によって製作される。
【0004】
即ち、
(1)まず、酸化アルミニウム(Al)、酸化珪素(SiO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)等から成るセラミックス原料粉末に有機溶剤、溶媒を添加混合して泥漿物を作り、次にこれを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等によりシート状に形成して複数枚のセラミックグリーンシート(セラミック生シート)を得る。そして各セラミックグリーンシートの上面側から下面側にかけて金属製の打ち抜きピンを押圧し、各セラミックグリーンシートの所定位置に厚み方向に貫通するスルーホールを形成する。
【0005】
(2)次に、前記セラミックグリーンシートの表面及びスルーホール内に、タングステンやモリブデン粉末に有機溶剤、溶媒を添加混合して得た導電ペーストをスクリーン印刷法により所定パターンに印刷塗布する。
【0006】
(3)そして最後に前記導電ペーストを印刷塗布した各セラミックグリーンシートを上下に積層するとともに還元雰囲気中、約1600℃の温度で焼成し、有機溶剤、溶媒を気化除去するとともに、セラミックグリーンシートと導電ペーストとを焼結一体化することによって絶縁基体の内部及び表面に所定パターンの配線導体層を有する配線基板が完成する。
【0007】
しかしながら、この従来の配線基板においては、スルーホール導体層を形成するためのスルーホールがセラミックグリーンシートの上面側から下面側にかけて金属製の打ち抜きピンを押圧することによって形成されており、該打ち抜きピンは機械的強度の関係から直径を80μm未満とすることができず、その結果、打ち抜きピンを用いて形成されるスルーホール及び該スルーホール内に形成されるスルーホール導体層は直径が80μm以上となり、スルーホール導体層を高密度に形成することができないという欠点を有していた。
【0008】
そこで上記欠点を解消するためにセラミックグリーンシートを感光性とし、所定領域に光を照射して光硬化させるとともに非硬化領域を現像により除去する、いわゆるフォトリソグラフィー技術を採用することによって直径が約60μm程度の微細なスルーホールを形成することが提案されている(特開平6−305814号公報参照)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、感光性のセラミックグリーンシートを用いて配線基板を製造した場合、光硬化後のセラミックシートは内部および表面に網目状の構造を有する有機樹脂が存在し、該網目状の有機樹脂はその構造上変形し難いものであるため光硬化後のセラミックシートも変形し難いものとなっている。そのため上面に配線導体層となる導電ペーストが印刷塗布されている光硬化後のセラミックシートを上下に積層したとき、上下の光硬化セラミックシート間に配線導体層となる導電ペーストの厚みに起因して隙間が形成され、この隙間によって得られる絶縁基体に剥離やフクレ等が発生するとともに該剥離等によって配線導体層等に断線が生じるという欠点を有していた。
【0010】
またこの従来の配線基板においては、配線導体層がセラミックグリーンシートに導電ペーストをスクリーン印刷法により所定パターンに印刷塗布することによって形成されており、該スクリーン印刷法による導電ペーストの印刷塗布はスクリーンメッシュの関係から線幅及び隣接間隔を70μm以下とすることができず、その結果、形成される配線導体層はその線幅が太く、隣接間隔も広いものとなり、配線導体層を高密度に形成することができないという欠点も有していた。
【0011】
本発明は上記欠点に鑑み案出されたもので、その目的は配線導体層及びスルーホール導体層を高密度に形成することができるとともに、絶縁基体に剥離やフクレ等が発生するのを有効に防止し、配線導体層等の導通を確実とした配線基板の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の配線基板の製造方法は、
(1)感光性樹脂組成物にセラミック粉末を分散させた複数枚の感光性セラミックグリーンシートと、感光性樹脂組成物に金属粉末を分散混入させた感光性導電ペーストを作製する工程と、
(2)前記感光性セラミックグリーンシートの所定領域に光を照射し所定領域の感光性樹脂組成物を光硬化させるとともに現像して厚み方向に貫通するスルーホールを有する複数枚の光硬化セラミックシートを形成する工程と、
(3) 前記光硬化セラミックシートの下面にエッチングにより所定パターンの溝部を形成する工程と、
(4)前記光硬化セラミックシートの上面及びスルーホール内に感光性導電ペーストを被着充填させるとともに該感光性導電ペーストの所定位置に光を照射し、所定領域の感光性樹脂組成物を光硬化させるとともに現像して光硬化セラミックシートの表面及びスルーホール内に所定パターンの配線用導体層及びスルーホール用導体層を形成する工程と、
(5)前記複数枚の光硬化セラミックシートを、下部に位置する光硬化セラミックシートの上面に形成した配線用導体層と上部に位置する光硬化セラミックシートの下面に形成した溝部とが嵌合するように積層するとともに焼成し、セラミックから成る絶縁基体の内部及び表面に配線導体層及びスルーホール導体層を形成する工程とから成ることを特徴とするものである。
【0013】
また本発明の配線基板の製造方法は、
(1)感光性樹脂組成物にセラミック粉末を分散させた複数枚の感光性セラミックグリーンシートと、感光性樹脂組成物に金属粉末を分散混入させた感光性導電ペーストを作製する工程と、
(2)前記感光性セラミックグリーンシートの所定領域に光を照射し所定領域の感光性樹脂組成物を光硬化させるとともに現像して、厚み方向に貫通するスルーホール及び下面に溝部を有する光硬化セラミックシートを形成する工程と、
(3) 感光性樹脂組成物に金属粉末を分散混入させた感光性導電ペーストを、前記光硬化セラミックシートの上面及びスルーホール内に被着させるとともに該感光性導電ペーストの所定位置に光を照射し、所定領域の感光性樹脂組成物を光硬化させるとともに現像して光硬化セラミックシートの上面及びスルーホール内に所定パターンの配線用導体層及びスルーホール用導体層を形成する工程と、
(4)前記複数枚の光硬化セラミックシートを、下部に位置する光硬化セラミックシートの上面に形成した配線用導体層と上部に位置する光硬化セラミックシートの下面に形成した溝部とが嵌合するように積層するとともに焼成し、セラミックから成る絶縁基体の内部及び表面に配線導体層及びスルーホール導体層を形成する工程とから成ることを特徴とするものである。
【0014】
本発明の配線基板の製造方法によれば、絶縁基体を形成するためのセラミックグリーンシートを、感光性樹脂組成物にセラミック粉末を添加分散させて感光性となしたことから、セラミックグリーンシートの所定位置に光を照射し所定領域の感光性樹脂組成物を光硬化させるとともに未硬化の領域の感光性樹脂組成物を現像により除去することによってスルーホールを極めて簡単に、かつ直径を60μm以下の小さな径に形成することができ、これによってスルーホール内に形成されるスルーホール導体層もその直径を60μm以下の小さいものとしてスルーホール導体層を高密度に形成することが可能となる。
【0015】
また、本発明の配線基板の製造方法によれば、上下に積層される光硬化セラミックシートのうち、下部側に配される光硬化セラミックシートの上面に配線用導体層を、上部側に配される光硬化セラミックシートの下面に溝部を各々形成したことから積層時、下部側に配される光硬化セラミックシート上面の配線用導体層が、上部側に配される光硬化セラミックシート下面の溝部に嵌合して上下の光硬化セラミックシートが密着し、その結果、上下の光硬化セラミックシート間に配線導体層となる導電ペーストの厚みに起因して隙間が形成されることはなく、得られる絶縁基体も剥離やフクレ等の発生が有効に防止され、配線導体層等の導通を確実となすことができる。
【0016】
さらに本発明の配線基板の製造方法によれば、配線導体層を形成するための導電ペーストを感光性樹脂組成物に金属粉末を分散混入させて感光性となしたことから光硬化セラミックシートの上面に感光性導電ペーストを被着させ、その後、所定位置に光を照射し、所定領域の感光性樹脂組成物を光硬化させるとともに未硬化の領域の感光性樹脂組成物を現像除去することによって配線用導体層を形成する、所謂、フォトリソグラフィー技術を採用することによって形成することができるため配線用導体層の線幅、隣接間隔は60μm以下と細く、狭いものになすことができ、これによって配線導体層も線幅が細く、隣接間隔が狭いものとなって配線導体層を高密度に形成することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に本発明の配線基板の製造方法を図1(a)乃至(i)に示す実施例に基づいて説明する。
【0018】
まず図1(a)に示す如く、感光性セラミックグリーンシート1を複数枚形成する。
前記感光性セラミックグリーンシート1はセラミック粉末に、光反応性化合物、光重合開始剤、光重合促進剤から成る感光性樹脂組成物および必要に応じて有機バインダー、紫外線吸収剤、熱重合禁止剤、非感光性ポリマー等を混合して感光性泥漿物を作り、前記感光性泥漿物をドクターブレード法やカレンダーロール法等によりシート状に成形することによって形成される。
【0019】
前記感光性セラミックグリーンシート1を形成する際に用いられるセラミック粉末としてはガラスセラミックス粉末、酸化アルミニウム粉末、ムライト粉末、窒化アルミニウム粉末、結晶化ガラス粉末等が使用され、例えば、ガラスセラミックス粉末が使用される場合には、酸化マグネシウム(MgO)10.8重量%、酸化アルミニウム(Al)28.0重量%、酸化珪素(SiO)43.8重量%、酸化亜鉛(ZnO)7.1重量%、残部がホウ素(B)から成るガラス成分80重量%に対し、酸化珪素(SiO)粉末を20重量%としたものが好適に使用される。
【0020】
また前記感光性セラミックグリーンシート1を形成する際に用いられる光反応性化合物は光反応性の炭素−炭素不飽和結合を有するアクリル系またはメタクリル系のモノマーもしくはオリゴマーであり、光硬化して感光性セラミックグリーンシート1を後述する現像液に不溶となすことにより、フォトリソグラフィー法によるスルーホール形成を可能とする作用を有し、例えば、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、ステアリルアクリレート、テトラヒドラフルフリルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、トリデシルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、エトキシ化ノニルフェニールアクリレート、ジンクジアクリレート、1,3ブタンジオールジアクリレート、1.4ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、プロピシ化ネオペンチルグリコールアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリストールトリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロキシ化グリセリルトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリストールヒドロキシペンタアクリレート、エトキシ化ペンタエリストールテトラアクリレート、ペンタアクリレートエステル及び上記のアクリレートをメタクリレートに置き換えたものがあり、これらの1種または2種以上を混合したものを用いることができる。
【0021】
また前記感光性セラミックグリーンシート1を形成する際に用いられる光重合開始剤は紫外線等の光エネルギーによりラジカルを生じ、このラジカルにより光反応性化合物に光硬化の反応を開始させる作用を有し、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジル、ベンジルジメチルケタノール、ベンジル−メトキシエチルアセタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンゾアントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソビチロニトリル、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ベンジル−2ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,2−4ジエチルチオキサントン、2,2ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ジフェニルジスルフィド、ベンゾチアゾールジスルフィド、トリフェニルホルフィン、カンファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、及び、エオシン、メチレンブルーなどの光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミンなどの還元剤の組み合わせなどが挙げられ、上記化合物中の1種または2種以上を用いることができる。
【0022】
また前記感光性セラミックグリーンシート1を形成する際に用いられる光重合促進剤は光反応性化合物の光硬化の反応を促進する作用をなし、例えば4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエート、4−ジメチルアミノエチルベンゾエートなどがあり、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0023】
また前記感光性セラミックグリーンシート1を形成する際に用いられる有機バインダーは、セラミック粉末と結合してこれを有機溶剤中に分散させる作用をなし、イソブチルメタクリレート(i−BMA)とアクリル酸またはメタクリル酸との共重合体を用いることができる。
【0024】
また前記感光性セラミックグリーンシート1を形成する際に用いられる紫外線吸収剤は、光硬化の反応を起こすために照射された紫外線が感光性セラミックグリーンシート1の内部でセラミック粉末により散乱されて不要な部分まで光硬化をさせてしまい、例えばスルーホールの形成精度を劣化させてしまうということを防ぐ作用をなし、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ビンダードアミン系の化合物の1種または2種以上を用いることができる。
【0025】
また前記感光性セラミックグリーンシート1を形成する際に用いられる熱重合禁止剤はフリーラジカルを吸収する性質があり、感光性セラミックグリーンシート1に環境中から加わる弱い熱エネルギーにより感光性樹脂組成物の一部から小量のフリーラジカルを生じ、このフリーラジカルにより光反応性化合物が部分的に重合して現像液に溶解し難くなってフォトリソグラフィー法によるスルーホールの形成が困難になるのを防止する作用をなし、例えば、キノン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ニトロソアルミニウム塩、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−t−ブチル−p−クレゾール、2,3−ジメチル−6−t−ブチルフェノールが挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0026】
また前記感光性セラミックグリーンシート1を形成する際に用いられる非感光性ポリマーは、光反応性化合物の作用を補完してセラミック粉末をシート状に成形することを補助する作用をなし、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等の樹脂にカルボン酸を置換した樹脂を置換した樹脂が挙げられ、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸nブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸イソボニル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸2ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸2−エトキシエチル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3ブチレングリコール、ジメタクリル酸1,6ヘキサンジオール、ジメタクリル酸ポリプロピレングリコール、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、コハク酸2−メタクリロイルオキシエチル、マレイン酸2−メタクリロイルオキシエチル、フタル酸2−メタクリロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸2−メタクリロイルオキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸ヘプタデカフルオデシル及びこれらの有機酸をアクリル酸で置き換えたものの共重合体が挙げられ、置換するカルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酸およびこれらの酸無水物が使用される。
【0027】
次に前記感光性セラミックグリーンシート1の上面に図1(b)に示す如く、フォトマスクパターン2を被着形成する。
【0028】
前記フォトマスクパターン2は微細加工が可能なフォトリソグラフィー技術を採用することによって感光性セラミックグリーンシート1の上面に形成され、その形状は形成しようとするスルーホールの形状に対応したものとなっている。
【0029】
次に前記上面にフォトマスクパターン2が被着されている感光性セラミックグリーンシート1に対し、フォトマスクパターン2側から、例えば、約300mj/cmの強度の紫外線を照射し、フォトマスクパターン2の存在しない部分に紫外線を照射させ、紫外線が照射された領域の感光性樹脂組成物に光重合を起こさせて光硬化させるとともにフォトマスクパターン2で覆われた紫外線の照射されていない領域、即ち、未硬化の領域を現像により除去することによって図1(c)に示す如く、所定位置にスルーホール3が形成された光硬化セラミックシート1aを得る。
【0030】
前記感光性セラミックグリーンシート1に紫外線等の光を照射してスルーホール3を有する光硬化セラミックシート1aを形成した場合、フォトマスクパターン2が微細加工の可能なフォトリソグラフィー技術を採用することによって形成されているためスルーホール3の径は60μm以下の小さな径とすることができ、同時にスルーホール3の形成がフォトマスクパターンを介して紫外線等の光を照射し、未硬化の領域を現像で除去するという極めて簡単な作業で行うことができる。
【0031】
なお、前記スルーホール3を形成するための未硬化の感光性樹脂組成物を除去する現像液としては、例えば、トリエタノールアミン等の有機アルカリの溶液が使用され、該トリエタノールアミン等の有機アルカリから成る溶液は未硬化の感光性セラミックグリーンシート1中の有機バインダーの有するカルボキシル基から水素イオンを奪い、このカルボキシル基をイオン化することによって水溶性となし、現像液または洗浄水中に溶解させる。
【0032】
また前記スルーホール3を有する光硬化セラミックシート1aを形成する場合、感光性セラミックグリーンシート1に含有されているセラミック粉末の平均粒径を約2μm(マイクロトラック法でD50)としておくと、紫外線の透過が良好で光硬化を均一に行わせることができる。従って、前記感光性セラミックグリーンシート1のセラミック粉末はその平均粒径を約2μmとしておくことが好ましい。
【0033】
また前記感光性セラミックグリーンシート1に含有されている光反応性化合物は、その添加量をセラミック粉末100重量部に対して5〜12重量部としておくとスルーホール3を感光性セラミックグリーンシート1の厚み方向に均一に形成することが容易となる。従って、前記感光性セラミックグリーンシート1に含有されている光反応性化合物はその添加量をセラミック粉末100重量部に対して5〜12重量部としておくことが好ましい。
【0034】
また前記感光性セラミックグリーンシート1に含有されている光重合開始剤は、その添加量をセラミック粉末100重量部に対して0.5〜5重量部としておくと光硬化の反応を感光性セラミックグリーンシート1中で均一に開始させることができる。従って、前記感光性セラミックグリーンシート1に含有されている光重合開始剤はその添加量をセラミック粉末100重量部に対して0.5〜5重量部としておくことが好ましい。
【0035】
また前記感光性セラミックグリーンシート1に含有されている光重合促進剤は、その添加量をセラミック粉末100重量部に対して2〜5重量部としておくと感光性セラミックグリーンシート1中で均一に光硬化の反応を促進させることができる。従って、前記感光性セラミックグリーンシート1に含有されている光重合促進剤はその添加量をセラミック粉末100重量部に対して2〜5重量部としておくことが好ましい。
【0036】
また前記感光性セラミックグリーンシート1に含有される有機バインダーは、その添加量をセラミック粉末100重量部に対して10〜25重量部としておくと、セラミック粉末を有機溶剤中に均一に分散させることが容易であり、また後の焼成の際に容易に分解してセラミックから成る絶縁基体中に残留することがない。従って、前記感光性セラミックグリーンシート1に含有される有機バインダーはその添加量をセラミック粉末100重量部に対して10〜25重量部としておくことが好ましい。
【0037】
また前記感光性セラミックグリーンシート1に含有される紫外線吸収剤は、その添加量をセラミック粉末100重量部に対して0.01〜2重量部としておくと紫外線を過度に吸収することなく効果的に吸収し、不要な部分の光硬化を抑えることができる。従って、前記感光性セラミックグリーンシート1に含有される紫外線吸収剤はその添加量をセラミック粉末100重量部に対して0.01〜2重量部としておくことが好ましい。
【0038】
また前記感光性セラミックグリーンシート1に含有される熱重合禁止剤はセラミック粉末100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲としておくと熱エネルギーにより生じた小量のフリーラジカルを効果的に吸収することができるとともに、光硬化の反応を妨げることがなく、スルーホール3を任意の箇所に精度良く形成することができる。従って、前記感光性セラミックグリーンシート1に含有される熱重合禁止剤はその添加量をセラミック粉末100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲としておくことが好ましい。
【0039】
また前記感光性セラミックグリーンシート1は、その厚みが10μm未満の場合、機械的強度が弱く、容易に破断して、取扱いが困難となり、また60μmを超えると、光硬化のために照射される紫外線等の光が感光性セラミックグリーンシート1の下面側に到達し難くなってスルーホール3の形成の解像度が低下する恐れがある。従って、前記感光性セラミックグリーンシート1は、その厚みを10〜60μmの範囲としておくことが好ましい。
【0040】
次に、図1(d)に示す如く、前記スルーホール3を有する光硬化セラミックシート1aの下面に感光性レジストフィルムを被着させメタルマスク等を介して光を照射し所定領域を光硬化させるとともに非硬化領域を現像により除去して所定パターンの貫通穴を有するレジスト膜4を形成し、しかる後、光硬化セラミックシート1a下面でレジスト膜4により被覆されていない露出部位を炭酸ナトリウム溶液等のエッチング液を用いてエッチングすることにより、図1(e)に示す如く、所定の深さ及びパターンの溝部5を形成する。
【0041】
前記溝部5は、後述する複数枚の光硬化セラミックシート1aを上下に積層する際、下部側に配される光硬化セラミックシート1aの上面に被着形成される配線用導体層を嵌合収容する作用をなし、そのパターンの形状、深さは下部側に配される光硬化セラミックシート1aの上面に被着形成される配線用導体層と同じになっている。
【0042】
そして次に図1(f)に示す如く、前記スルーホール3を有する光硬化セラミックシート1aの上面およびスルーホール3内に感光性導電ペースト6をスクリーン印刷法やスピンコート法等によって所定厚みに被着充填する。
【0043】
前記感光性導電ペースト6は、金、銀、白金、パラジウム、銅、ニッケル、モリブデン、タングステンまたはこれらの合金、あるいはこれらを主成分とする合金等から成る金属粉末に、光反応性化合物、光重合開始剤、光重合促進剤から成る感光性樹脂組成物および有機バインダー、さらに必要に応じて紫外線吸収剤、熱重合禁止剤、無機添加物を混合して形成される。
【0044】
次に前記光硬化セラミックシート1aの表面に被着させた感光性導電ペースト6は更に図1(g)に示す如く、フォトマスクパターン7が被着される。
【0045】
前記フォトマスクパターン7は、例えば、感光性導電ペースト上に感光性フォトレジストを被着させるとともに所定パターンのメタルマスクを介して光を照射し、所定領域を光硬化させるとともに非硬化領域を現像により除去する、所謂、フォトリソグラフィー技術を採用することによって形成され、その形状は形成しようとする配線導体層の形状に対応したものとなっている。
【0046】
次に前記上面にフォトマスクパターン7が被着されている感光性導電ペースト6に対し、フォトマスクパターン7側から、例えば、約50〜3000mj/cmの強度の紫外線を照射し、フォトマスクパターン7の存在しない部分に紫外線を照射させ、紫外線が照射された領域の感光性樹脂組成物に光重合を起こさせて光硬化させるとともにフォトマスクパターン7で覆われた紫外線の照射されていない領域、即ち、未硬化の領域を現像により除去することによって図1(h)に示す如く、所定位置に所定パターンの配線用導体層8及びスルーホール用導体層9が被着充填された光硬化セラミックシート1aを得る。
【0047】
この場合、メタルマスクを上述の溝部5を形成する際に用いたメタルマスクに対し同じものを使用するようにしておくと、溝部5と同じパターンの貫通穴を有するフォトマスクパターンが形成されるため、溝部5と同じパターンに配線用導体層8を容易に形成することができる。
【0048】
前記感光性導電ペースト6に紫外線等の光を照射して所定パターンの配線用導体層8及びスルーホール用導体層9を形成した場合、フォトマスクパターン7が微細加工の可能なフォトリソグラフィー技術を採用することによって形成されているため配線用導体層8はその線幅、隣接間隔を60μm以下の細く、狭いものとなすことができ、同時に配線用導体層8及びスルーホール用導体層9の形成がフォトマスクパターンを介して紫外線等の光を照射し、未硬化の領域を現像で除去するという極めて簡単な作業で行うことができる。
【0049】
なお、前記感光性導電ペースト6における未硬化の感光性樹脂組成物を除去する現像液としては、例えば、前述の感光性セラミックグリーンシート1にスルーホールを形成する際に使用される現像液と同様のものが使用される。
【0050】
また前記感光性導電ペースト6中に含有される金属粉末は、その粒径が0.5μm未満となると光硬化のために照射される紫外線等の光に散乱が生じやすく、また10μmを超えると形成される配線用導体層8の表面が粗くなり、かつ線幅が100μm以下の微細な配線用導体層8を精度良く形成することが難しくなる傾向がある。従って、前記感光性導電ペースト6中の金属粉末はその粒径を0.5μm〜10μmの範囲としておくことが好ましい。
【0051】
また前記感光性導電ペースト6中に含有される光反応性化合物は、光反応性の炭素−炭素二重結合を有する有機化合物であり、重合反応で光硬化することにより導電ペーストを現像液に不溶性となす作用を有し、例えば、ジエチレングリコール、モノエチレングリコール、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、トリデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0052】
前記光反応性化合物は、その添加量が金属粉末100重量部に対して0.1重量部以下では硬化が弱いため良好な配線用導体層5を形成することが困難となる傾向があり、また10重量部を超えると導電ペーストの表面がべとついて作業性が低下する恐れがある。従って、前記光反応性化合物はその添加量を金属粉末100重量部に対して0.1から0重量部の範囲としておくことが好ましい。
【0053】
また、前記感光性導電ペースト6中に含有される光重合開始剤は光エネルギーによりラジカルを生じて光反応性化合物に重合反応を生じさせる作用を有し、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2,4ジエチルチオキサントン等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0054】
前記光重合開始剤はその添加量が金属粉末100重量部に対して0.1重量部未満となると光硬化のための重合反応が開始され難くなる傾向があり、また5重量部を超えると硬化が進行し過ぎて所定パターンの配線用導体層8を形成することが難しくなる。従って、前記光重合開始剤はその添加量を金属粉末100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲としておくことが好ましい。
【0055】
また前記感光性導電ペースト6中に含有される光重合促進剤は光反応性化合物の重合反応を促進する作用を有し、例えば4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル等を用いることができる。
【0056】
前記光重合促進剤はその添加量が金属粉末100重量部に対して0.1重量部未満では光硬化を促進する効果が得られず、また10重量部を超えると重合が不必要な部分まで過度に進んで所定パターンの配線用導体層8を形成することが難しくなる。従って、前記光重合促進剤はその添加量を金属粉末100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲としておくことが好ましい。
【0057】
また前記感光性導電ペースト6中に含有される有機バインダーは金属粉末を均一に分散させる作用を有し、例えばメタクリル酸エステルとアクリル酸エステルとの共重合体を用いることができる。
【0058】
前記有機バインダーは、その添加量が金属粉末100重量部に対して1重量%未満となると感光性導電ペーストの流動性が高くなりすぎて、スルーホール3を有する光硬化セラミックシート1aの表面に均一厚みに被着させることが困難となり、また15重量%を超えるとこの感光性導電ペーストを使用して形成される配線導体やスルーホール導体の電気抵抗が高くなってしまう。従って、前記有機バインダーはその添加量を金属粉末100重量部に対して1〜15重量部とすることが好ましい。
【0059】
また前記感光性導電ペースト6中に含有される紫外線吸収剤は照射された紫外線が感光性導電ペーストの内部で金属粉末により散乱されて不要な部分まで光硬化してしまうのを防ぐ作用を有し、例えば、2−(2′−ヒドロキシ−5′メチル−フェニル)−ベンゾトリアゾール等を用いることができる。
【0060】
また前記紫外線吸収剤は、その添加量が金属粉末100重量部に対して0.1重量部未満では紫外線の散乱を防ぐ作用が不十分であり、10重量部を超えると紫外線の吸収量が大きくなるため光硬化が進み難くなり露光効率が低下して生産性が低下してしまう傾向にある。従って、前記紫外線吸収剤はその添加量を金属粉末100重量部に対して0.1〜10重量部としておくことが好ましい。
【0061】
また前記感光性導電ペースト6中に含有される熱重合禁止剤は、感光性導電ペーストに加わる熱エネルギーにより感光性樹脂組成物の一部が分解してフリーラジカルを生じ、このフリーラジカルにより光反応性化合物が部分的に重合して感光性導電ペーストの粘度が高くなってしまい、光硬化セラミックシート1の表面に印刷塗布することが困難になるという問題を防ぐ作用を有し、例えば、メトキノン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン等を用いることができる。
【0062】
前記熱重合禁止剤は、その添加量が金属粉末100重量部に対して0.1重量部未満ではフリーラジカルを吸収する作用が弱く、また5重量部を超えると感光性導電ペーストの表面がべとつき作業性が低下するおそれがある。従って前記熱重合禁止剤はその添加量を金属粉末100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲とすることが好ましい。
【0063】
また前記感光性導電ペースト6中に含有される無機添加物は、酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ホウ素等の金属酸化物やガラスから成り、この感光性導電ペースト6を使用して形成される配線導体およびスルーホール導体を絶縁基体に強固に接合させる作用を有する。
【0064】
前記無機添加物は金属粉末100重量部に対して0.1重量部未満では配線導体及びスルーホール導体と絶縁基体との接合強度を強くする作用が不十分となり、また10重量部を超えると形成される配線導体やスルーホール導体の電気抵抗が高くなる恐れがある。従って、前記無機添加物はその添加量を金属粉末100重量部に対して0.1〜10重量部とすることが好ましい。
【0065】
そして最後に、前記配線用導体層8、スルーホール用導体層9、及び溝部5を有する複数枚の光硬化セラミックシート1aを、上部に位置する光硬化セラミックシート1aの溝部5と、下部に位置する光硬化セラミックシート1aの配線用導体層8とが嵌合するようにして積層するとともに焼成し、セラミック粉末および金属粉末を一体焼結させることにより、図1(i)に示す如くセラミックから成る絶縁基体1bの内部及び表面に配線導体層8a及びスルーホール導体層9aを有する製品としての配線基板が完成する。
【0066】
この場合、下部に位置する光硬化セラミックシート1aの上面に形成された配線用導体層8が、上部に位置する光硬化セラミックシート1aの下面に形成された溝部5内に嵌合、収容されてしまうことから、配線用導体層8と溝部5の内壁面とを密着させるとともに上下の光硬化セラミックシート1a同士を密着させることができ、積層された上下の光硬化セラミックシート1a間に隙間が生じることはなく、同時に得られる絶縁基体1bも剥離やフクレ等の発生が有効に防止されて隣接する配線導体層8a間及び配線導体層8aとスルーホール導体層9aとの間の導通を確実となすことができる。
【0067】
次に本発明の他の実施例を図2(a)乃至(h)に基づき説明する。
なお、図中、図1と同一箇所には同一符号が付してある。
まず図2(a)に示す如く、感光性セラミックグリーンシート1を複数枚形成する。
この感光性セラミックグリーンシート1は、前述の図1に示す感光性セラミックグリーンシート1に使用した材料、方法を用いることによって形成される。
【0068】
次に前記感光性セラミックグリーンシート1の上面に図2(b)に示す如く、フォトマスクパターン2aを被着形成する。
【0069】
前記フォトマスクパターン2aは微細加工が可能なフォトリソグラフィー技術を採用することによって感光性セラミックグリーンシート1の上面に形成され、その形状は形成しようとするスルーホールの形状に対応したものとなっている。
【0070】
次に前記上面にフォトマスクパターン2aが被着されている感光性セラミックグリーンシート1に対し、フォトマスクパターン2a側から、例えば、約300mj/cmの強度の紫外線を照射し、フォトマスクパターン2aの存在しない部分に紫外線を照射させ、紫外線が照射された領域の感光性樹脂組成物に光重合を起こさせる。そしてその後、この感光性セラミックグリーンシート1の下面に図2(c)に示す如く、フォトマスクパターン2bを被着形成する。
【0071】
前記フォトマスクパターン2bは微細加工が可能なフォトリソグラフィー技術を採用することによって感光性セラミックグリーンシート1の下面に形成され、その形状は形成しようとする溝部の形状に対応したものとなっている。
【0072】
次に前記下面にフォトマスクパターン2bが被着されている感光性セラミックグリーンシート1に対し、フォトマスクパターン2b側から、例えば、約300mj/cmの強度の紫外線を照射し、フォトマスクパターン2bの存在しない部分に紫外線を照射させ、紫外線が照射された領域をさらに光重合させて光硬化の硬化度を高くさせる。
【0073】
そして次にフォトマスクパターン2a及び2bで覆われており、紫外線の照射されていない領域及び紫外線の照射が少ない領域、即ち、未硬化の領域と硬化度の低い領域を現像により除去し、これによって、図2(d)に示す如く、所定位置にスルーホール3及び溝部5が形成された光硬化セラミックシート1aを得る。
【0074】
この場合、現像は前述の図1と同様の現像液、例えば、トリエタノールアミン等の有機アルカリの溶液を用いることができ、未硬化の領域と硬化度の低い領域との間で現像除去の速度が大きく異なることを利用して、未硬化の領域では完全に貫通されてスルーホール3が形成され、硬化度の低い領域では表層部のみが現像除去されて所定の深さの溝部7が形成される。
【0075】
そして次に、前記スルーホール3を有する光硬化セラミックシート1aの少なくとも1つの上面およびスルーホール3内に、前述の図1に示す製造方法に使用した材料、方法を用いることによって、所定厚みの配線用導体層及びスルーホール用導体層を形成する。
【0076】
前記配線用導体層及びスルーホール用導体層の形成は、まず図2(e)に示す如く、前記スルーホール3を有する光硬化セラミックシート1aの上面およびスルーホール3内に感光性導電ペースト6をスクリーン印刷法やスピンコート法等によって所定厚みに被着充填し、次に図2(f)に示す如く、前記光硬化セラミックシート1aの表面に被着させた感光性導電ペースト6上に、フォトマスクパターン7を被着形成し、最後に、前記上面にフォトマスクパターン7が被着されている感光性導電ペースト6に対し、フォトマスクパターン7側から、例えば、約50〜3000mj/cmの強度の紫外線を照射し、フォトマスクパターン7の存在しない部分に紫外線を照射させ、紫外線が照射された領域の感光性樹脂組成物に光重合を起こさせて光硬化させるとともにフォトマスクパターン7で覆われた紫外線の照射されていない領域、即ち、未硬化の領域を現像により除去することによって図2(g)に示す如く、所定位置に所定パターンの配線用導体層8及びスルーホール用導体層9が被着充填された光硬化セラミックシート1aを得る。
【0077】
なお、前記感光性導電ペースト6は図1に示す製造方法に使用した材料、方法を用いることによって形成され、また前記フォトマスクパターン7も、例えば、図1に示す製造方法に使用した材料、方法を用いるフォトリソグラフィー技術により形成され、その形状は形成しようとする配線導体層の形状に対応したものとなっている。
【0078】
またこの場合も図1の場合と同様、フォトマスクパターン7が微細加工の可能なフォトリソグラフィー技術を採用することによって形成されているため配線用導体層8はその線幅、隣接間隔を60μm以下の細く、狭いものとなすことができ、同時に配線用導体層8及びスルーホール用導体層9の形成がフォトマスクパターンを介して紫外線等の光を照射し、未硬化の領域を現像で除去するという極めて簡単な作業で行うことができる。
【0079】
そして最後に、前記配線用導体層8、スルーホール用導体層9、及び溝部5を有する複数枚の光硬化セラミックシート1aを、上部に位置する光硬化セラミックシート1aの溝部と、下部に位置する光硬化セラミックシート1aの配線用導体層8とが嵌合するようにして積層するとともに焼成し、セラミック粉末および金属粉末を一体焼結させることにより、図2(h)に示す如くセラミックから成る絶縁基体1bの内部及び表面に配線導体層8a及びスルーホール導体層9aを有する製品としての配線基板が完成する。
【0080】
この場合も、図1の場合と同様、積層された上下の光硬化セラミックシート1a間に隙間が生じることはない。
【0081】
かくして得られた配線基板は、絶縁基体1bの上面に半導体素子や容量素子、抵抗器等の電子部品が搭載されるとともに各電子部品の電極が配線導体層8a等に電気的に接続され、これによって各電子部品はその各々が配線導体層8a等を介して互いに電気的に接続されるとともに外部電気回路に接続されることとなる。
【0082】
なお本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。
【0083】
【発明の効果】
本発明の配線基板の製造方法によれば、絶縁基体を形成するためのセラミックグリーンシートを、感光性樹脂組成物にセラミック粉末を添加分散させて感光性となしたことから、セラミックグリーンシートの所定位置に光を照射し所定領域の感光性樹脂組成物を光硬化させるとともに未硬化の領域の感光性樹脂組成物を現像により除去することによってスルーホールを極めて簡単に、かつ直径を60μm以下の小さな径に形成することができ、これによってスルーホール内に形成されるスルーホール導体層もその直径を60μm以下の小さいものとしてスルーホール導体層を高密度に形成することが可能となる。
【0084】
また、本発明の配線基板の製造方法によれば、上下に積層される光硬化セラミックシートのうち、下部側に配される光硬化セラミックシートの上面に配線用導体層を、上部側に配される光硬化セラミックシートの下面に溝部を各々形成したことから積層時、下部側に配される光硬化セラミックシート上面の配線用導体層が、上部側に配される光硬化セラミックシート下面の溝部に嵌合して上下の光硬化セラミックシートが密着し、その結果、上下の光硬化セラミックシート間に配線導体層となる導電ペーストの厚みに起因して隙間が形成されることはなく、得られる絶縁基体も剥離やフクレ等の発生が有効に防止され、配線導体層等の導通を確実となすことができる。
【0085】
さらに本発明の配線基板の製造方法によれば、配線導体層を形成するための導電ペーストを感光性樹脂組成物に金属粉末を分散混入させて感光性となしたことから光硬化セラミックシートの上面に感光性導電ペーストを被着させ、その後、所定位置に光を照射し、所定領域の感光性樹脂組成物を光硬化させるとともに未硬化の領域の感光性樹脂組成物を現像除去することによって配線用導体層を形成する、所謂、フォトリソグラフィー技術を採用することによって形成することができるため配線用導体層の線幅、隣接間隔は60μm以下と細く、狭いものになすことができ、これによって配線導体層も線幅が細く、隣接間隔が狭いものとなって配線導体層を高密度に形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)乃至(i)は本発明の配線基板の製造方法を説明するための各工程毎の断面図である。
【図2】(a)乃至(h)は本発明の他の実施例を説明するための各工程毎の断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・感光性セラミックグリーンシート
1a・・・・光硬化セラミックシート
1b・・・・絶縁基体
3・・・・・スルーホール
6・・・・・感光性導電ペースト
5・・・・・溝部
8・・・・・配線用導体層
8a・・・・配線導体層
9・・・・・スルーホール用導体層
9・・・・・スルーホール導体層

Claims (2)

  1. (1)感光性樹脂組成物にセラミック粉末を分散させた複数枚の感光性セラミックグリーンシートと、感光性樹脂組成物に金属粉末を分散混入させた感光性導電ペーストを作製する工程と、
    (2)前記感光性セラミックグリーンシートの所定領域に光を照射し所定領域の感光性樹脂組成物を光硬化させるとともに現像して厚み方向に貫通するスルーホールを有する複数枚の光硬化セラミックシートを形成する工程と、
    (3) 前記光硬化セラミックシートの下面にエッチングにより所定パターンの溝部を形成する工程と、
    (4)前記光硬化セラミックシートの上面及びスルーホール内に感光性導電ペーストを被着充填させるとともに該感光性導電ペーストの所定位置に光を照射し、
    所定領域の感光性樹脂組成物を光硬化させるとともに現像して光硬化セラミックシートの表面及びスルーホール内に所定パターンの配線用導体層及びスルーホール用導体層を形成する工程と、
    (5)前記複数枚の光硬化セラミックシートを、下部に位置する光硬化セラミックシートの上面に形成した配線用導体層と上部に位置する光硬化セラミックシートの下面に形成した溝部とが嵌合するように積層するとともに焼成し、セラミックから成る絶縁基体の内部及び表面に配線導体層及びスルーホール導体層を形成する工程とから成る配線基板の製造方法。
  2. (1)感光性樹脂組成物にセラミック粉末を分散させた複数枚の感光性セラミックグリーンシートと、感光性樹脂組成物に金属粉末を分散混入させた感光性導電ペーストを作製する工程と、
    (2)前記感光性セラミックグリーンシートの所定領域に光を照射し所定領域の感光性樹脂組成物を光硬化させるとともに現像して、厚み方向に貫通するスルーホール及び下面に溝部を有する光硬化セラミックシートを形成する工程と、
    (3) 感光性樹脂組成物に金属粉末を分散混入させた感光性導電ペーストを、前記光硬化セラミックシートの上面及びスルーホール内に被着させるとともに該感光性導電ペーストの所定位置に光を照射し、所定領域の感光性樹脂組成物を光硬化させるとともに現像して光硬化セラミックシートの上面及びスルーホール内に所定パターンの配線用導体層及びスルーホール用導体層を形成する工程と、
    (4)前記複数枚の光硬化セラミックシートを、下部に位置する光硬化セラミックシートの上面に形成した配線用導体層と上部に位置する光硬化セラミックシートの下面に形成した溝部とが嵌合するように積層するとともに焼成し、セラミックから成る絶縁基体の内部及び表面に配線導体層及びスルーホール導体層を形成する工程とから成る配線基板の製造方法。
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