JP3591686B2 - プラグキャップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関用の点火装置を構成するプラグキャップに関し、更に詳しくは、イグニッションコイルを内蔵したケースと直接連結するプラグキャップに関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関用の点火装置として、例えば、ディストリビュータによって各点火プラグに高電圧を分配する場合に、配電部の摩耗や配電部から電気ノイズが発生するなどの不都合があるため、これらの不都合を防止する目的でディストリビュータのない点火システムが開発されている。
このような点火システムの一つに、高電圧を発生するコイル部本体と点火プラグとを導電体接続部により直接接続し、コイル部本体の高電圧を点火プラグに供給するようにしたものがある。
【0003】
図6は、イグニッションコイルケースとプラグキャップを一体化する従来の点火装置を分解斜視図にて示す。図7は、点火装置の装着状態における要部断面図である。
この点火装置は、イグニッションコイルケース55と、プラグキャップ51とを組み合わせる構成である。
イグニッションコイルケース55は、その下端面に、イグニッションコイルの接続端子を内蔵する筒部56が突設されており、また、該下端面の一つの辺に開口するエア抜き溝58が設けられている。
【0004】
一方、プラグキャップ51は、略筒形の形状であり、一端側に円形状のつば部53が形成されて、イグニッションコイルケース55の下端面に面接触する接触面54が構成されている。このつば部53の中央には、イグニッションコイルの接続端子と接続可能な接続端子が内蔵された嵌合穴52が設けられている。
また、つば部53には、嵌合穴52の周辺が他の部分より凹んだ円形の凹部59が形成され、該凹部59内には、つば部53び裏面側まで貫通した貫通孔57が設けられている。
【0005】
このように構成されたイグニッションコイルケース55とプラグキャップ51とを組み立てるときは、筒部56を嵌合穴52内に押し込むように嵌合し、該ケース55の下端面とプラグキャップ51の接触面54とを当接させる。この嵌合によって、貫通孔57とエア抜き溝58とは連通することができる。
すなわち、貫通孔57が円形の凹部59内に形成されている一方、エア抜き溝58が該凹部59に達するように形成されているので、イグニッションコイルケース55とプラグキャップ51と嵌合向きを特定しなくても、該エア抜き溝58と貫通孔57とを容易に連通することができる構成となっている。
【0006】
このようにして組み立てられた点火装置を、シリンダヘッドのプラグホール31に装着することによって、図7に示すように、例えば、つば部53がシリンダヘッド30に当接してプラグホール31を塞ぐようになるが、該プラグホール31が貫通孔57、凹部59およびエア抜き溝58を介して外気aに連通することができる。
【0007】
図8は、図6に示した点火装置とは、エア抜きの連通構造が多少異なったイグニッションコイルケースとプラグキャップを示す。
この点火装置では、下面にエア抜き構造を有するイグニッションコイルケース65と、該ケース65に対応するエア抜き構造を備えたプラグキャップ61とを組み合わせる構成である。
すなわち、イグニッションコイルケース65には、下端面に、筒部66が突設され、該筒部66を囲むように円形の台座部70が形成されており、この台座部70に環状の凹部69が形成され、且つ台座部70の外周に開口するエア抜き溝68が設けられている。
プラブキャップ61には、貫通孔67が形成された平坦なつば部63が設けられている。
図8に示した点火装置においても、図6に示す点火装置と同様に、プラグホールは、貫通孔67、凹部69およびエア抜き溝68を介して外気に連通することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図6並びに図8に示した従来の点火装置においては、イグニッションコイルケースとプラグキャップとを組み立てる際に、両部材の組み込む向きが規制されないので組み立て易いという利点があるものの、第1の問題点として、エア抜き部分よりプラグホールに水が侵入し易い欠点を有している。
特に、図7に示すように、エア抜き溝58と貫通孔57とが接近した位置になるように組み立てられた場合には、水が容易にプラグホールに侵入してしまい、電気的なトラブルを引き起こす、という問題があった。
第2の問題点として、従来のイグニッションコイルケースとプラグキャップとにおいては、図6および図8に示すように、イグニッションコイルケースとプラグキャップとの両方にエア抜き構造を必要とすることから、両部材に対してエア抜き用の加工が必要となり、該両部材の複雑化並びに両部材を製造する金型の構造が各部材とも複雑化する等の問題があった。
【0009】
本発明の目的は上記課題を解消することにあり、イグニッションコイルケースに組み付けるプラグキャップにおいて、プラグホールへの水の侵入を効果的に防止でき、プラグキャップを提供することを第1の目的とする。
本発明の第2の目的は、イグニッションコイルケース並びにプラグキャップの両部材の複雑化を回避できるプラグキャップを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、前記つば部には、該つば部厚み方向に沿って前記プラグホールと連通可能な貫通孔が設けられ、かつ前記イグニッションコイルケースの外面と接触する側面に、前記貫通孔に繋がるエア抜き用の連通溝が形成され、前記連通溝が、少なくとも二重の環状部分を有し、且つ前記貫通孔が内側の環状部分に位置しており、外部から前記プラグホールへの水の侵入を阻止する堰が、前記貫通孔を囲むように該貫通孔の周縁と、前記二重の環状部分を繋ぐ領域と、に設けられたことを特徴とするプラグキャップにより達成することができる。
【0011】
このような本発明に係るプラグキャップは、つば部には、該つば部厚み方向に沿ってプラグホールと連通可能な貫通孔が形成され、かつイグニッションコイルケースの外面と接触する側面に、貫通孔に繋がる空気抜き用の通気孔を形成する連通溝が形成され、さらに、連通溝に堰が設けられたことにより、該連通溝に外部から水が侵入したときに、この堰により水の流れをせき止めることができるので、プラグホールへの水の侵入を阻止することができる。
【0012】
また、本発明に係るプラブキャップにおいて、前記堰が、前記貫通孔の周縁に、該貫通孔を囲むように形成されたことにより、堰による溝の貯水量を最大限に利用することができる。
【0013】
また、本発明に係るプラグキャップにおいて、連通溝が、少なくとも二重の環状部分を有し且つ前記貫通孔が内側の環状部分に位置していることにより、該連通溝を長くすることができ、さらに、堰が、前記環状部分をつなぐ領域に設けられたことにより、各環状部分をそれぞれ独立したせき止め領域にすることができる。
【0014】
また、本発明に係るプラグキャップにおいて、貫通孔と連通溝の外部との連通口とは、該連通溝を介して最も離れた箇所に位置にしている構成により、水の侵入防止機能を有効に利用することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るプラグキャップの実施の形態について、図1〜図5を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係るプラグキャップを用いた点火装置の全体構造を示す。
同図から分かるように、この点火装置100は、イグニッションコイルケース20と、例えば硬質ゴムなどからなる略筒形状のプラグキャップ1とを備えている。
【0016】
イグニッションコイルケース20は、点火プラグ32(図5参照)に高電圧を供給するものであり、例えば直方体状に形成されている。そして、イグニッションコイルケース20の下端面21は、その中心に筒部22が突設されただけの極めてシンプルな構造である。
なお、筒部22は、図示しないが、イグニッションコイルの接続端子を内蔵している。
【0017】
プラグキャップ1は全体形状が筒状に形成されており、その胴部2の一端(図中においては上端)には適宜直径のつば部3が設けられている。
このつば部3には、図2にも示すように、イグニッションコイルケース20の下端面21に接触する接触面4側に、多重、本実施の形態では二重の環状部分5、6(内環状部分5と外環状部分6)を有する連通溝12が形成されている。この連通溝12には、外部につながる連通口9、プラグホール31につながる貫通孔7が設けられている。さらに、連通溝12の途中、本実施の形態では、内環状部分5と外環状部分6との連結部分10に堰11が設けられ、また、貫通孔7の縁部にも堰11が設けられている。
【0018】
前掲の堰11は、連通溝12の底が浅くなるように構成されたものであり、本実施の形態においては、図3および図4に示すように、内環状部分5と外環状部分6との連結部分並びに貫通孔7の縁部を囲む部分に設けられている。
【0019】
また、図2に示すように、連通口9は、内環状部分5の図中左端の領域に設けられており、内環状部分5と外環状部分6との連結部分10は連通口9とは反対側(右側)に設けられ、さらに、貫通孔7は、連結部分10とは反対側(左側)に設けられている。
このように、貫通孔7と連通口9とは、連通溝12を介して最も離れた箇所に位置にしている。この構成により、例えば、連通口9から水が侵入した場合、貫通孔7に達するには、かなり長い距離を通過する必要があり、僅かな水量の場合には、貫通孔7まで達することがない。
更にまた、このように長い連通溝12の構造に加えて、堰11が、連結部分10並びに貫通孔7の周縁に設けられていることにより、連通溝12のせき止め機能(貯水機能)が高まる。
【0020】
次に、図1のように構成されたプラグキャップ1の嵌合穴15にイグニッションコイルケース20の筒部22を奥までしっかりと嵌入する。
これによって、イグニッションコイルケース20とつば部3の接触面4とは密着される。
【0021】
このようにして、プラグキャップ1、イグニッションコイルケース20が組み立てられて、一体化した状態で、図5に示すように、プラグキャプ1をシリンダヘッド30のプラグホール31に装着する。
すなわち、点火装置を組み立てた後に、プラグキャップ1をシリンダヘッド30のプラグホール31に挿入し、プラグキャップ1を点火プラグ32に嵌着するとともに、つば部3をシリンダヘッド30に密着させる。これにより、点火装置の装着が完了する。
【0022】
また、上記実施の形態においては、連通溝を二重の環状に構成について説明したが、本発明に係るプラグキャップにおいて、連通溝は、このような形態に限るものではなく、直線形状、屈曲形状など種々の形態を採用することができ、また、堰の数についても、特に限定するものではなく、図示した形態に何ら限定されるものではなく、その形状についても適宜変更できるものである。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るプラグキャップは、つば部の厚み方向に沿ってプラグホールと連通可能な貫通孔が形成され、かつイグニッションコイルケースの外面と接触する側面に、貫通孔に繋がるエア抜き用の通気孔を形成する連通溝が形成されている。
したがって、本発明によるプラグキャップによれば、プラグキャップの構造のみにより、エア抜き構造が構成されるので、従来のように、イグニッションコイルケースとプラグキャップとの組み合わせ状態による不具合の問題が解消され、更に、イグニッションコイルケースの側面(底面)には、エア抜き用の構造を必要としないので、該ケースの表面構造を簡素化でき、且つ成形金型の複雑化を回避することができる。
また、本発明に係るプラグキャップは、連通溝に堰が設けられているので、連通溝に外部から水が侵入したときに、この堰により水の流れをせき止めることができ、プラグホールへの水の侵入を阻止でき、プラグホールに水が侵入することによるトラブルを回避することができる。
さらに、少なくとも二重の長い連通溝の構造に加えて、堰が、連通溝の連結部分ならびに貫通孔の周縁に設けられていることにより、連通溝の堰き止め機能が高められているものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプラグキャップを示す斜視図である。
【図2】図1に示すプラグキャップの平面図である。
【図3】図1に示すプラグキャップの要部断面図である。
【図4】図1に示すプラグキャップの要部断面図である。
【図5】本発明に係るプラグキャップを有する点火装置をプラブホールに組み込んだ状態を示す部分断面図である。
【図6】従来例の点火装置の構造を示す分解図である。
【図7】従来例の点火装置におけるエア抜き構造を示すための断面図である。
【図8】従来例の他の点火装置の構造を示すための分解図である。
【符号の説明】
1 プラグキャップ
2 プラグキャップの胴部
3 つば部
4 接触面
5 内環状溝
6 外環状溝
7 貫通孔
9 連通口
10 連結部分
11 堰
12 連通溝
15 嵌合穴
20 イグニッションコイルケース
100 点火装置
Claims (2)
- 一端側につば部を有し、該つば部がイグニッションコイルケースの外面に面接触するように組み付けられてプラグホールに装着されるプラグキャップにおいて、
前記つば部には、該つば部厚み方向に沿って前記プラグホールと連通可能な貫通孔が設けられ、かつ前記イグニッションコイルケースの外面と接触する側面に、前記貫通孔に繋がるエア抜き用の連通溝が形成され、
前記連通溝が、少なくとも二重の環状部分を有し、且つ前記貫通孔が内側の環状部分に位置しており、
外部から前記プラグホールへの水の侵入を阻止する堰が、前記貫通孔を囲むように該貫通孔の周縁と、前記二重の環状部分を繋ぐ領域と、に設けられたことを特徴とするプラグキャップ。 - 前記貫通孔と前記連通溝の外部との連通口とは、該連通溝を介して最も離れた箇所に位置にしていることを特徴とする請求項1に記載のプラグキャプ。
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