JP3590658B2 - ロール曲げ装置の上ロール跳ね上げ装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ロール曲げ装置、とくに、その上ロール跳ね上げ装置に関するものでありる。
【0002】
【従来技術及び課題】
ウレタン層を外表面に形成した上ロールと下ロールのみからなるロール曲げ装置や、金属製の3本ロール式のロール曲げ装置、さらには、上ロールの下方に下ロールを設けてこの両側に一対のサイドロールを設けた4本ロール式のロール曲げ装置が、金属板を円弧状または円筒状に曲げる為のロール曲げ装置として利用される。
【0003】
この種ロール曲げ装置では、ロールの長さが長い場合、通常、上記上ロールの先端部はフレームから伸びる腕によって回動自在に支持されている。この腕は、金属板(以下、ワークという)を曲げた後製品を取り出すために、上ロールの先端とフレームとの間を開放した位置に移動できるようになっている。
また、大型で且長尺のロール曲げ装置では、これに加えて、上ロールを移動させることにより下ロールとの間隔を調節できるようにしている。従って、製品の取り出しの際に、前記上ロールを水平姿勢のままで上昇させると、これと、フレームとの間隔も大きくなるから、製品が大きな場合でも一層取り出し易い。
【0004】
ところが、大型長尺のロール曲げ装置の場合には、上ロール自体が極端に高重量であるから、これを水平姿勢のままで上昇させる場合には、その動作が円滑には行えなず、移動速度も遅いものとなる。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、『フレーム両端の側部フレームにより架橋状に支持される上ロール(1) と下ロール(2) との間にワーク(W) をクランプして、このワーク(W) を円弧状又は円筒状に曲げる装置であって、前記上ロール(1) の先端部を回転自在に支持する補助腕(12)を下方に回動させることにより前記上ロール(1) の先端部とこの下方の側部フレームとの間を開放するようにしたロール曲げ装置』において、製品を取り出し易くするとともに、このときに上ロールの持ち上げ動作が円滑且高速に行えるようにすることをその課題とする。
【0005】
【技術的手段】
上記課題を解決するための本発明の技術的手段は、『上ロール(1)の基端部を、その下方の側部フレームの軸支部により回動可能に支持された主腕(11)により回転自在に支持し、この主腕(11)と前記側部フレームとの間には前記主腕(11)を直立姿勢とこれから外側に回動した傾斜姿勢とに支持するための斥力付与機構を設け、
前記主腕 (11) の上端部には水平方向に延びる上辺部を具備させ、主腕 (11) 側の一方の側部フレームには、前記主腕 (11) の上辺部に至らしめた一対の腕フレーム (610)(610) を具備させ、前記主腕上辺部の先端部を前記腕フレーム (610)(610) 間に摺動自在に密に挿通させた』ことである。
【0006】
【作用】
上記技術的手段を採用するものでは、ロール曲げ終了後に補助腕(12)を上ロール(1) の先端から下方外側に倒すと、側部フレームと上ロール(1) の先端とが開放して製品が取り出せる。
このとき、斥力付与機構を作動させて、上ロール(1) の基端部を支持する主腕(11)と側部フレームとの間に斥力を作用させると、前記主腕(11)が直立姿勢から外側に傾斜したものとなる。これにより、上ロール(1) の先端部が持ち上げられる。
【0007】
従って、上ロール(1)と下ロール(2)との間隔は基端部から先端部に向かって拡大したものとなる。これらロールを支持するフレームと上ロール(1)との間隔も同様な態様となる。従って、大型長尺の製品であっても、上ロール(1)の先端側から簡単に取り出せる。
また、主腕 (11) の上端部には水平方向に延びる上辺部を具備させ、主腕 (11) 側の一方の側部フレームには、前記主腕 (11) の上辺部に至らしめた一対の腕フレーム (610)(610) を具備させ、前記主腕上辺部の先端部を前記腕フレーム (610)(610) 間に摺動自在に密に挿通させたので、主腕 (11) の上部を側部フレームによって前後に挟持でき、主腕 (11) による上ロール (1) の前後方向の支持強度が向上される。すなわち、上ロール (1) の基端部、つまり、主腕 (11) の上端部に作用する前後方向の外力は、側部フレームの上部の腕フレーム (610)(610) の対向内面によって受け止められるから、上ロール (1) の基端部は前後方向に於いて強固に支持される。
【0008】
【効果】
上ロール(1) は主腕(11)の回動によって持ち上げられるから、製品取り出しの際や曲げ加工状態にセットする際には、前記持ち上げ動作が円滑且速やかに行える。
従って、製品が取り出し易く且このための操作又は動作の所要時間が短いものとなる。
【0009】
[その他の発明]
【0010】
請求項2に定義する発明は、『フレーム両端の側部フレームにより架橋状に支持される上ロール (1) と下ロール (2) との間にワーク (W) をクランプして、このワーク (W) を円弧状又は円筒状に曲げる装置であって、前記上ロール (1) の先端部を回転自在に支持する補助腕 (12) を下方に回動させることにより前記上ロール (1) の先端部とこの下方の側部フレームとの間を開放するようにしたロール曲げ装置において、
上ロール (1) の基端部を、その下方の側部フレームの軸支部により回動可能に支持された主腕 (11) により回転自在に支持し、この主腕 (11) と前記側部フレームとの間には前記主腕 (11) を直立姿勢とこれから外側に回動した傾斜姿勢とに支持するための斥力付与機構を設け、
前記斥力付与機構は、主腕(11)の上部を直角方向に貫通する回転軸(14)と、この回転軸(14)の前記主腕(11)からの両方の突出部に設けた円盤状の偏心軸(13)(13)と、前記各偏心軸(13)(13)に外嵌する軸受リング(15)(15)と、主腕(11)に取り付けられ前記回転軸(14)を回転駆動する駆動装置(16)とからなり、前記軸受リング(15)(15)を主腕(11)の両側の側部フレーム外面に対接させ、主腕(11)が直立姿勢にあるとき前記偏心軸(13)(13)の中心が前記側部フレーム外面から最も離れる様にした』ことである。
【0011】
このものでは、上ロールを持ちあげるには、駆動装置(16)により回転軸(14)を回転駆動し、偏心軸(13)(13)を、その中心が側部フレームの外面に最も接近した状態に回転させる。このとき軸受リング(15)(15)が前記偏心軸(13)に回動自在に外嵌するから、側部フレームの外面と前記軸受リング(15)(15)が転がり接触する態様で移動するから、偏心軸(13)(13)の移動抵抗が少ない。
【0012】
また、偏心軸(13)の中心が側部フレームから最も離れた姿勢から、逆に最も接近した姿勢に回動するとき、また、この逆に回動するとき、主腕(11)の回転軸(14)の挿通部の移動速度は、低速−高速−低速と変化して、この速度変化は所謂サインカーブを示す。
従って、上ロール(1) が持ち上げ状態(製品取り出し状態)と水平状態(曲げ加工状態)との間で移動するときの動作が滑らかで、しかも、前記移動区間の両端での移動停止時の衝撃が少ない。
【0013】
長尺大型の上ロール(1)を備えたロール曲げ装置では、この点は、特に有益で且安全性の点でも利点がある。
請求項3に定義する発明は、請求項1又は2の発明に於いて、『主腕(11)の側部フレームによる軸支部と前記主腕(11)による上ロール(1)の軸受部とを結ぶ線を前記主腕(11)を軸支する側部フレームの断面中心線に一致させ、補助腕(12)の側部フレームによる軸支部と前記補助腕(12)による上ロール(1)の軸受部とを結ぶ線を側部フレームの断面中心線に一致させた』ものであり、このものによれば、曲げ加工時に主腕(11)及び補助腕(12)に生じる張力は、側部フレームの断面中心と一致するから、曲げ加工時にこの側部フレームには曲げ応力が生じない。従って、この側部フレームの撓みによる上ロールや下ロールの回転の非円滑さや曲げ加工精度の低下が防止出来る。
【0014】
【実施例】
次に、上記した本発明の実施例を図面に従って詳述する。
図1〜図9に示す実施例は、胴部が太鼓形になった上ロール(1) と、この下方に設けた下ロール(2) と、前記下ロール(2) の側方に設けた一対のサイドロール(4)(4)と、からなる4本ロール式のロール曲げ装置に、本発明を実施したものである。また、この装置では、下ロール(2) の支持位置が固定され、これと上ロール(1) との間隔は、この上ロール(1) の昇降によって調節される構成であり、サイドロール(4)(4)は前記下ロール(2) との関係で決定された固定の支点を中心にして一定範囲で揺動する構成であり、上記上ロール(1) の先端側が左側の補助腕(12)により、又、基端側は右側の主腕(11)により、夫々回転自在に支持されている。
【0015】
以下、各部について詳述する。
[上ロール(1) と下ロール(2) の支持構造]
下ロール(2) の両端は、図1、2のように、ロール曲げ装置のフレームの左右の両端部に設けた側部フレーム(61)(61)の上部によって回転自在に支持されている。
【0016】
この下ロール(2) に対して上ロール(1) は、昇降自在に支持される。
このため、前記側部フレーム(61)(61)には、高さ調節可能にした支持体(60)が内蔵され、これの上部にて往復回動自在に取り付けた主腕(11)と補助腕(12)によって前記上ロール(1) の両端が支持される。
支持体(60)を昇降自在とするため、図5のように、側部フレーム(61)の中央下部に形成した矩形の開口部(612) 内に矩形のブロックからなる前記支持体(60)が収容されて、その側辺部が前記開口部(612) の側辺との上下移動可能に嵌合している。また、この支持体(60)の高さをネジ機構によって調節できるようにしている。このために、図6のように、側部フレーム(61)の下端部から直立させ且回転自在としたネジ軸(63)が前記支持体(60)に螺合している。そして、左右のネジ軸(63)(63)相互を共通の第1駆動軸(64)と傘歯車機構(630) を介して伝動させている。従って、左右の支持体(60)(60)は前記第1駆動軸(64)の回転に応じて同期して昇降する。
【0017】
左側の支持体(60)には、図5〜7のように、これの外面に設けた軸支部(122) により補助腕(12)が回動自在に支持されている。この補助腕(12)は、一対の側板(123)(123)の上端間に上記軸受部(121) を架設固定したもので、前記軸支部(122) の構成は、前記側板(123)(123)の下端部に架設した軸受け筒に、上記支持体(60)の断面中心に設けた軸部が貫通する態様である。
【0018】
また、前記支持体(60)には油圧シリンダー(62)が揺動自在に取り付けられており、その出力軸が補助腕(12)の下端の軸支部(122) の近傍に回動自在に連結されている。従って、この油圧シリンダー(62)を作動させてその出力軸を進出させると補助腕(12)が直立して先端の軸受部(121) が上ロール(1) の先端部に嵌合した支持姿勢となり、この状態から前記出力軸を後退させると補助腕(12)が外側に倒れて上ロール(1) と側部フレーム(61)との間が開放された開放姿勢となる。そして、前記軸受部(121) は、補助腕(12)の前記支持姿勢において側部フレーム(61)の真上に位置するように、各部が設定されている。
【0019】
軸支部(122) は支持体(60)の断面中心に位置することから、又、この支持体(60)は側部フレーム(61)の断面中心にあることから、補助腕(12)の軸支部(122) と軸受部(121) とを結ぶ線は側部フレーム(61)の断面中心線上に位置するものとなる。
一方の主腕(11)は、図1〜4のように、全体としてJ字状に形成されて右側の側部フレーム(61)に内蔵される支持体(60)の断面中心に設けた軸支部(112) により外側に回動出来るように支持されている。この主腕(11)の上端部右端に上ロール(1) の駆動モータ(113) を具備させ、上端部左端で側部フレーム(61)の真上に位置するように設けた軸受部(111) によって前記上ロール(1) の前記駆動モータとの連結部近傍を回動自在に支持している。
【0020】
上記支持体(60)は、側部フレーム(61)の断面の中心に位置するから、この主腕(11)においても、軸支部(112) と軸受部(111) を結ぶ線が側部フレーム(61)の断面の中心線上に位置することとなる。
また、右側の側部フレーム(61)には、前後に一対の腕フレーム(610) (610) が延長形成され、その上端は主腕(11)の水平方向に延びる上辺部に達している。そして、主腕(11)の上辺部の前方端部は前記腕フレーム(610) (610) 間を挿通する。そして、前記主腕(11)の前後の両側面は前記腕フレーム(610) (610) の対向内面に形成したメタル部材(611) を介して摺動自在に接触している。従って、主腕(11)は側部フレーム(61)の上部にて前後に挟持された態様にあり、これにより、主腕(11)の上部の前後方向の移動が阻止されている。つまり、上ロール(1) の基端部の前後方向に於ける保持強度が向上したものとなる。
【0021】
さらに、主腕(11)の上部には、偏心軸(13)を設けた回動軸(14)と、前記偏心軸(13)に嵌合する軸受リング(15)と、前記回転軸(14)を回転駆動する駆動装置(16)とからなるカム機構が装備されており、前記軸受リング(15)(15)が側部フレーム(61)における主腕(11)の収容部の外面に設けたレール(17)に転がり自在に対接する。従って、駆動装置(16)によって回転軸(14)が回転駆動されると、このカム機構により主腕(11)が一定範囲揺動される。
【0022】
従って、補助腕(12)が上記した開放状態にあるときに、前記揺動によって主腕(11)が直立姿勢から外側に倒れると、図4の破線で示すように、上ロール(1) の先端部が上方に持ち上げられて下ロール(2) との間隔が開くこととなる。
また、図6、図7のように、前記補助腕(12)の一対の側板(123)(123)の中程で側部フレーム(61)に対向する部分に被係合部(72)が、前記側部フレーム(61)の外面で前記被係合部(72)と対向する部分には係合部(71)が設けられる。これら、係合部(71)及び被係合部(72)の対向端面は、共に、V字状断面の凸条と凹溝とが交互に設けられた表面形状でこれら凸条及び凹溝が上下に延びている。
【0023】
そして、軸受部(122)が上ロール(1)に嵌合した補助腕(12)の支持姿勢では、係合部(71)と被係合部(72)の前記凸条と凹溝相互が密に嵌合した状態となる。従って、補助腕(12)は、その下端部が軸支部(121)によって側部フレーム(61)の外面に沿う方向(前後方向)への移動が阻止されると共に、前記凸条と凹溝との係合によっても、この補助腕(12)の前後方向の移動が阻止されたものとなる。これにより、補助腕(12)の上記支持姿勢に於ける前後方向の剛性(前後方向に於ける耐荷重性)が向上したものとなる。
【0024】
[サイドロール(4) について]
サイドロール(4) は、下ロール(2) の側方にて、上ロール(1) に対して斜め下方から接離自在に設けられる。
このため、各サイドロール(4) の両端部は、図1、5のように、側部フレーム(61)内に設けた支持腕(65)によって回動自在に支持される。前記支持腕(65)は、側部フレーム(61)における下ロール(2) の側方下方を支点(650) とし、その先端側周縁部が歯車部(66)となっている。
【0025】
前記歯車部(66)に第2駆動軸(67)に伝動させた歯車列(671) が噛み合っている。したがって、前記第2駆動軸(67)の回転によって各下ロール(2) の両端を支持する前記支持腕(65)(65)が同期的に回動されて、円弧の方向に回動する。
サイドロール(4) の中程には、図1、図8、図9のように、その下方から一対のバックアップロール(41)(41)が対接する。このバックアップロール(41)(41)は一対の腕(42)(42)によって回転自在に支持され、この腕(42)(42)は前記支持腕(65)の支点(650) と同軸で且中央の一対の第1フレーム板(68)(68)間に架設した支点軸(69)によって揺動自在に支持されている。また、前記腕(42)の先端部には歯車部(43)が設けられて、これに前記第2駆動軸(67)に設けた歯車列(673) がかみ合っている。これらがサイドロール(4) の支持機構(400) となる。そして、この腕(42)は上記支持腕(65)と同期的に同じ角度だけ回動されることとなり、上ロール(1) に対してサイドロール(4) が接離する様に回動されたとしても、このサイドロール(4) の中程は常時前記バックアップロール(41)(41)に対接した状態に支持される。
【0026】
[下ロール(2) について]
両端部が側部フレーム(61)(61)によって回転自在に支持される下ロール(2) は、その中央部が、図1のように、上記した各第1フレーム板(68)と、その外側に設けた第2フレーム板(31)との間に設けた支持装置(3)(3)によって下方から支持されている。
【0027】
前記支持装置(3) は、上端に設けた一対の支持ロール(32)(32)と、これらを回転自在に支持する軸受台(33)と、この軸受台(33)を昇降駆動するための昇降装置(300) とからなり、前記軸受台(33)の両側は、第2フレーム板(31)と各フレーム板(68)に対して上下方向に移動できる関係にかみ合っている。
前記昇降装置(300) は、図9のように、前記軸受台(33)から下方に突出させた一対の昇降軸(36)(36)と、この昇降軸の下端に設けた当て板(361) に対接する様にした偏心カム部(34)と、この偏心カム部を具備する第3駆動軸(35)とからなる。前記第3駆動軸(35)は両方の支持装置(3)(3)の昇降装置(300) と伝動する。
【0028】
また、前記第3駆動軸(35)は油圧モータ(37)によって回転駆動されるとともに、昇降軸(36)の下死点位置からの上昇寸法が距離計(38)によって測定され、その測定値と中央支持力設定器(391)から入力される設定値に応じて前記油圧モータ(37)の作動角度を制御するための制御装置(39)が設けられている。従って、支持装置(3)の上昇ストロークの設定値が入力されて油圧モータ(37)が作動すると、前記制御装置(39)によってこの油圧モータ(37)の作動量が制御されて、距離計(38)による計測値が前記設定値になると、油圧モータ(37)の駆動圧力はその状態に維持されて、第3駆動軸(35)の回転は停止され支持ロール(32)(32)の位置が固定される。これにより、下ロール(2)の中央部が上方に撓んだ状態に維持されるものとなる。
【0029】
[ロール曲げの実際]
曲げ加工工程は、従来の4本ロール式のロール曲げ装置と同様である。
ワーク(W) を上ロール(1) と下ロール(2) の間に投入する為に、先ず、補助腕(12)をその軸受部(121) が上ロール(1) の先端部に嵌合させた支持姿勢として、油圧モータ(640) によって第1駆動軸(64)を駆動して、主腕(11)及び補助腕(12)を取付けた支持体(60)を昇降させて、上ロール(1) と下ロール(2) の間隔を曲げ加工条件に合わせて適正にセットしておく。
【0030】
この後、上ロール(1) を降下駆動させてワーク(W) の先端を上ロール(1) と下ロール(2) との間にクランプさせる。
このとき、曲げ加工時の上ロール(1) 及び下ロール(2) の撓みを補正する為にワーク(W) の板厚及び曲げ曲率に合わせて支持装置(3) による支持ロール(32)(32)の支持高さを上記手法により設定する。
【0031】
そして、下ロール(2) の正面側のサイドロール(4) を曲げ曲率に合わせて上ロール(1) 側に接近させて、ワーク(W) の端曲げをする。次いで、前記状態で上ロール(1) を回転駆動させると、ワーク(W) の先端側が設定曲率に曲げられる。そして、曲げ加工の施されたワーク(W) の先端部が背面側のサイドロール(4) に達するまでの間に、背面側のサイドロール(4) を上ロール(1) 側に接近させる。すると、この背面側のサイドロール(4) に前記ワーク(W) の先端部が達した後は、上ロール(1) と下ロール(2) とによってワーク(W) がクランプされ、回転方向の前後が前記一対のサイドロール(4)(4)に対接された態様で曲げ加工が進行する。
【0032】
前記端曲げのとき、及び、サイドロール(4)(4)を用いた曲げ加工のとき、主腕(11)には軸受部(111)と軸支部(112)との間に張力が作用し、補助腕(12)にも同様の張力が作用するが、これらの張力の方向が何れも各腕を具備させた側部フレーム(61)の断面中心線と一致する。従って、前記曲げ加工時に生じる前記張力によっては側部フレーム(61)には曲げ応力が作用しないものとなる。従って、側部フレーム(61)(61)を軽量にしてもこれには撓みが生じない。
【0033】
また、上ロール(1) には前後方向の曲げ力が作用し、それによる撓みが前記主ロール(1) の先端部に於いて最大となるが、この先端部を支持する補助腕(12)は、その下端部が軸支部(122) によって、また、その中程が係合部(71)と被係合部(72)との係合によって、前後方向の移動が阻止されているから、これら2点によって支持された状態の補助腕(12)により前記撓みが防止されたものとなる。
【0034】
また、この実施例では、下ロール(2)は円柱状であるが、上ロール(1)が太鼓型に形成されており、中央支持力設定器(391)からの出力値を設定することにより、下ロール(2)の中央部における支持装置(3)からの支持圧力が、ワーク(W)の板厚、曲げ曲率に応じて設定され、下ロール(2)の中央部が適正度合い上方に撓んだ状態にできる。
【0035】
これにより、上ロール(1) と下ロール(2) の中央部の撓みが補正でき、曲げ加工時における上ロール(1) と下ロール(2) によるワーク(W) のクランプ圧力がその幅方向に於いて一定となる。
従って、ワーク(W) の板厚の厚い場合や曲げ曲率の大きな場合の曲げ加工の際、上ロール(1) 及び下ロール(2) の剛性不足による撓みが防止出来るから、かかる条件での曲げ加工精度も向上したものとなり、これら上ロール、下ロールの軸受部の耐久性が向上する。
【0036】
また、曲げ加工が終了すると、油圧シリンダー(62)を作動させて補助腕(12)を上記支持姿勢から外側下方に倒されて上ロール(1) と側部フレーム(61)との間が開放され、このあと、駆動装置(16)によって回転軸(14)が回転駆動されると、これと連動するカム機構の上記作用により主腕(11)が一定範囲外側に回動される。これにより、図4の破線で示すように、上ロール(1) の先端部が上方に持ち上げられて下ロール(2) との間隔及び左側の側部フレーム(61)との間隔が大きく開き、曲げ加工完了後の製品が取り出される。
【0037】
同じ条件の曲げ加工を行うときには、補助腕(12)の開閉と、上ロール(1) の上記した回動のみによって、製品取り出し状態と曲げ加工状態とにセットできることとなり、使い勝手が良い。
上記実施例は4本ロールを例に説明したが、本発明は、2本ロールや3本ロールの上ロール支持装置としても利用できる。
【0038】
また、上記実施例では、上ロール(1) を昇降させる形式のロール曲げ装置に実施したが、これを、上ロール(1) の支持位置が固定されて下ロールが昇降する形式のロール曲げ装置にも実施でき、補助腕(12)の軸支部(122) 及び主腕(11)の軸支部(112) に直接配設される構成であってもよい。
斥力付与機構としては、上記実施例では、回転軸(14)と、この回転軸の前記主腕(11)からの両方の突出部に設けた偏心軸(13)(13)と、前記各偏心軸に外嵌する軸受リング(15)と、主腕(11)に取り付けられ前記回転軸(14)を回転駆動する駆動装置(16)との組み合わせとしたが、他の機構も採用出来る。例えば、主腕(11)と上ロール(1) の基端側の側部フレーム(61)との間に介装されるトグル機構と、この機構を駆動する為の駆動装置との組み合わせが採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の全体の正面図
【図2】その平面図
【図3】主腕(11)の平面図
【図4】主腕(11)の作動説明図
【図5】左側の側部フレーム(61)の側面図
【図6】支持体(60)の昇降機構の説明図
【図7】係合部(71)と被係合部(72)の関係図
【図8】サイドロール(4) の中央支持機構の説明図
【図9】支持装置(3) 及びバックアップロール部の正面図
【符号の説明】
(1) ・・・上ロール
(2) ・・・下ロール
(W) ・・・ワーク
(11)・・・主腕
(12)・・・補助腕
(14)・・・回転軸
(13)・・・偏心軸
(15)・・・軸受リング
(16)・・・駆動装置
(610) ・・・腕フレーム
Claims (3)
- フレーム両端の側部フレームにより架橋状に支持される上ロール(1)と下ロール(2)との間にワーク(W)をクランプして、このワーク(W)を円弧状又は円筒状に曲げる装置であって、前記上ロール(1)の先端部を回転自在に支持する補助腕(12)を下方に回動させることにより前記上ロール(1)の先端部とこの下方の側部フレームとの間を開放するようにしたロール曲げ装置において、
上ロール(1)の基端部を、その下方の側部フレームの軸支部により回動可能に支持された主腕(11)により回転自在に支持し、この主腕(11)と前記側部フレームとの間には前記主腕(11)を直立姿勢とこれから外側に回動した傾斜姿勢とに支持するための斥力付与機構を設け、
前記主腕 (11) の上端部には水平方向に延びる上辺部を具備させ、主腕 (11) 側の一方の側部フレームには、前記主腕 (11) の上辺部に至らしめた一対の腕フレーム (610)(610) を具備させ、前記主腕上辺部の先端部を前記腕フレーム (610)(610) 間に摺動自在に密に挿通させたロール曲げ装置の上ロール跳ね上げ装置。 - フレーム両端の側部フレームにより架橋状に支持される上ロール(1)と下ロール(2)との間にワーク(W)をクランプして、このワーク(W)を円弧状又は円筒状に曲げる装置であって、前記上ロール(1)の先端部を回転自在に支持する補助腕(12)を下方に回動させることにより前記上ロール(1)の先端部とこの下方の側部フレームとの間を開放するようにしたロール曲げ装置において、
上ロール(1)の基端部を、その下方の側部フレームの軸支部により回動可能に支持された主腕(11)により回転自在に支持し、この主腕(11)と前記側部フレームとの間には前記主腕(11)を直立姿勢とこれから外側に回動した傾斜姿勢とに支持するための斥力付与機構を設け、
前記斥力付与機構は、主腕 (11) の上部を直角方向に貫通する回転軸 (14) と、この回転軸 (14) の前記主腕 (11) からの両方の突出部に設けた円盤状の偏心軸 (13)(13) と、前記各偏心軸 (13)(13) に外嵌する軸受リング (15)(15) と、主腕 (11) に取り付けられ前記回転軸 (14) を回転駆動する駆動装置 (16) とからなり、前記軸受リング (15)(15) を主腕 (11) の両側の側部フレーム外面に対接させ、主腕 (11) が直立姿勢にあるとき前記偏心軸 (13)(13) の中心が前記側部フレーム外面から最も離れる様にしたロール曲げ装置の上ロール跳ね上げ装置。 - 主腕(11)の側部フレームによる軸支部と前記主腕(11)による上ロール(1)の軸受部とを結ぶ線を前記主腕(11)を軸支する側部フレームの断面中心線に一致させ、補助腕(12)の側部フレームによる軸支部と前記補助腕(12)による上ロール(1)の軸受部とを結ぶ線を側部フレームの断面中心線に一致させた請求項1または2に記載のロール曲げ装置の上ロール跳ね上げ装置。
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JP26077594A JP3590658B2 (ja) | 1994-10-25 | 1994-10-25 | ロール曲げ装置の上ロール跳ね上げ装置 |
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JPH08117871A JPH08117871A (ja) | 1996-05-14 |
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