JP3590071B2 - 音声の効率的な符号化のためのスペクトルパラメータの予測分割マトリックス量子化 - Google Patents
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Description
1.発明の分野
本発明は、多数の音声および/またはオーディオ符号化技術に使用されるスペクトルパラメータを量子化するための改良された技術に関するものである。
2.従来技術の簡単な説明
十分な主観的品質/ビット伝送速度のトレードオフを有する大部分の性能の良いディジタル音声符号化技術は、時間で変動するスペクトル情報を伝送するために線形予測モデルを使用する。
G729 ITU-Tを含んでいるいくつかの国際規格にある1つのこのような技術は、ACELP(Algebraic Code Excited Linear Prediction)(代数符号励振線形予測)[1]技術である。
ACELPと同様な技術において、サンプル音声信号は、フレームと呼ばれるL個のサンプルのブロックで処理されている。例えば、20msは多数の音声符号化システムでは一般のフレームの継続時間である。この継続時間は、電話音声のためのL=160サンプル(8000サンプル/秒)あるいは7KHzの広域音声に関する場合にL=320サンプル(16000サンプル/秒)に変換される。
スペクトル情報は、しばしば、LPC情報と呼ばれる音声の周知の線形予測モデル[2、3]から得られた量子化スペクトルパラメータの形式の各フレームの間に伝送される。
10maと30maとの間のフレームに関連した従来技術では、フレーム毎に伝送されたLPC情報は単一のスペクトルモデルである。
時間で変動するスペクトルを10msのリフレッシュ速度で伝送する際の確度は、30msのリフレッシュ速度の場合よりももちろん良いが、その違いは符号化速度を3倍にする価値がない。
本発明は、2つの技術、すなわち、いくつかのフレームからのLPCモデルが同時に量子化される非常に低いビット伝送速度で使用されるマトリックス量子化[4]およびフレーム間予測のマトリックスの拡張[5]を結合することによってスペクトル確度/符号化速度のジレンマを回避する。
参考文献
[1]1992年9月10日出願された発明者が“J-P Adoul&C.Laflamme”であり、名称が“代数符号に基づいた性能が良い音声符号化のためのダイナミックコードブック”の米国特許第927,528号。
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[4]C.Tsao & R.Gray著の論文“汎用ロイドアルゴリズムを使用するLPC音声のためのマトリックス量子化設計(Matrix Quantizer Design for LPC Speech Using the Gnneralized Lloyd Algorithm),IEEE trans.ASSP Vol.33,No.3,pp537-545,June 1985。
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発明の目的
本発明の主目的は、単一のスペクトルモデル伝送に関して符号化速度が全然あるいはほとんど増加しない、フレーム当たり1つ以上のスペクトルモデルを量子化する方法である。したがって、この方法は、著しい符号化速度増加のコストなしでより正確な時間で変動するスペクトル表現を達成する。
新規の発明の要約
より詳細には、本発明によれば、フレーム当たりN個のLPCスペクトルモデルの性能の良い量子化のための方法が規定されている。この方法は、音声および/またはオーディオ信号のディジタル符号化のために使用されたいろいろな技術のスペクトル確度/符号化速度のトレードオフを高めるのに有利である。
前記方法は、
(a)その行がN個のLPCスペクトルモデルベクトルであるマトリックスFを形成するステップと、
(b)残差マトリックスRを得るために1つ以上の前のフレームに基づいて時間で変動する予測マトリックスP(および、可能な定マトリックス項)をFを取り除くステップと、
(c)前記マトリックスRをベクトル量子化するステップとを組合せている。
前記マトリックスRをベクトル量子化することの複雑さを減少させることは、前記マトリックスRをN行を有するq個のサブマトリックスに分割し、かつ各サブマトリックスを独立にベクトル量子化することによって可能である。
この方法で使用される時間で変動する予測マトリックスPは、非再帰予測方式を使用して得ることができる。時間で変動する予測マトリックスPを計算する1つの非常に有効的な方法は下記の式で表される。
P=ARb′
ここで、Aは、その成分がスカラー予測係数であるN×bのマトリックスであり、Rb′は、前のフレームのFマトリックスをベクトル量子化することから得られるマトリックスR′の最後のb行で構成されているb×Mのマトリックスである。
この時間で変動する予測マトリックスPは再帰予測方式を使用して得ることもできることに注目。
符号速度および複雑さを減少する前記方法の変形において、フレーム当たりN個のLPCスペクトルモデルは、m−1個のサブフレームに散在させるN個のサブフレームに一致する。
ここで、前記散在されたサブフレームに対応するN(m−1)個のLPCスペクトルモデルベクトルは線形補間を使用して得られる。
最後に、フレーム当たりN個のスペクトルモデルは、フレーム内の特定のスペクトルモデルのオーダーにより異なるウィンドウ形を使用できるLPC分析から生じる。図1に実証されたこの手段は、特に、十分な“先取り”が許されないか、あるいは“先取り”が全く許されない(フレーム境界を越える次のサンプルがない)場合、使用可能な情報から大部分を形成するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
添付図面では、
図1は、L=160サンプルの20msフレームが、異なる形状のウィンドウと関連した2つのサブフレームに細分される典型的なフレーム・ウィンドウ構造を示している。
図2は、好ましい実施形態の概略ブロック図を提供する。
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明は、処理されたL=N×K個のフレームのサンプル当たりN(N>1)個のスペクトルモデル(すなわち、ひとつのフレームがサイズKのN個のサブフレームに細分される)を一緒に、差動的に符号化する符号化速度の有効な方法を示している。この方法は、確率、あるいは代数符号の励振線形予測技術、波形補間技術、調和/確率符号化技術のような技術であるが、これに限定されない、音声および/またはオーディオ信号のディジタル符号化のために使用されたいろいろな技術に有用である。
音声信号から線形予測符号化(LPC)スペクトルモデルを抽出する方法は、音声符号化技術で周知である[1、2]。電話音声に関しては、オーダーM=10のLPCモデルが概して使用されているのに対して、オーダーM=16以上のモデルは広帯域音声アプリケーションのために好ましい。
所与のサブフレームに対応するオーダーMのLPCスペクトルモデルを得るために、所与のサブフレームの周囲に中心を置かれたLAのサンプルの長い分析ウィンドウがサンプル音声に応用される。LAのウィンドウ入力サンプルに基づいたLPC分析は、前記サブフレームの音声スペクトルを特徴付けるM個の実成分のベクトルfを発生する。
一般的には、サブフレームの周囲に中心を置かれた標準ハミングウィンドウは、通常サブフレームのサイズKよりも大きいウィンドウサイズLAと併用される。ある場合には、フレーム内のサブフレーム位置に応じて異なるウィンドウを使用することが好ましい。この場合は図1に示されている。L=160サンプルの20msのフレームは、サイズK=80の2つのサブフレームに細分される。サブフレーム#1はハミングウィンドウを使用する。フレーム境界を越えて延びる次の音声サンプルは分析の時点あるいは音声エキスパート言語で利用できないので、サブフレーム#2は非対称ウィンドウを使用する。すなわち十分な“先取り”が許されないか、あるいは“先取り”が全く許されない。図1では、ウィンドウ#2は、1/2ハミングウィンドウと1/4コサインウィンドウとを結合する。
LPCスペクトルモデルfのいろいろな等価のM次元表現は音声符号化の文献で使用されていた。これらの文献には、“部分相関”、“ログエリアレシオ”、LPCケプストラムおよびラインスペクトル周波数(LSF)が含まれている。
好ましい実施形態では、たとえ本発明で記載された方法を既に述べられたモデルを含むLPCスペクトルモデルの任意の等価な表現に適用するとしても、LSF表現がとられ、音声符号化技術に精通した誰にでも明らかである最少調整をできる。
図2は、好ましい実施形態によるフレームのN個のスペクトルモデルを一緒に量子化するために必要とされるステップを示している。
ステップ1:LSFベクトルf1を発生するLPC分析は、各サブフレームi(i=1,...N)に対して(並列にあるいは逐次的に)実行される。
ステップ2:サイズN×MのマトリックスFは行ベクトルとしてとられた前記抽出LSFベクトルから形成される。
ステップ3:平均マトリックスは、サイズN×MのマトリックスZを生じるようにFから除去される。平均マトリックスの行は互いに同一であり、ある行における第j番目の要素は、LPC分析から生じるLSFベクトルfのj番目の成分予測値である。
ステップ4:予測マトリックスPは、サイズN×Mの残差マトリックスRを生じるようにZから除去される。マトリックスPは、Zが過去のフレームに基づいてとるであろう最も可能性がある値を推測する。Pを得るための手順はその後のステップに詳述される。
ステップ5:残差マトリックスRは、量子化の複雑性を減らす目的でq個のサブマトリックスに分割される。より詳細には、Rは下記のように分割される。
R=[V1 V2...Vq]
ここで、V1は、m1+m2...+mq=MであるようなサイズN×m1のサブマトリックスである。
N×m1ベクトルとみなされる各サブマトリックスV1は、デコーダに伝送される量子化インデックスおよび前記インデックスに対応する量子化サブマトリックスV1′の両方を生じるように別々に量子化されたベクトルである。量子化残差マトリックスR′は下記のように再構成される。
R′=[V1′ V2′...Vq′]
全てのその後のステップと同様にこの再構成はデコーダで同様に実行されることに注目。
ステップ6:予測マトリックスPは、R′に逆に加算され、Z′を生じる。
ステップ7:平均マトリックスは、さらに加算され、量子化マトリックスF′を生じる。前記F′マトリックスの第i番目の行は、関連ディジタル音声符号化技術によって有利に使用することができるサブフレームiの(量子化)スペクトルモデルf1′である。スペクトルモデルf1′の伝送は、スペクトルモデルf1′が他のサブフレームともに差動的に、一緒に量子化されているために、最小符号化速度を必要とすることに注目。
ステップ8:最終のテストの目的は、次のフレームを処理する際に使用される予測マトリックスPを決定することにある。明瞭にするために、フレームインデックスnを使用する。予測マトリックスPn+1は、再帰式あるいは非再帰式のいずれかで得ることができる。
より直感的である再帰方法は、過去のZn′ベクトルの関数、すなわち
Pn+1=g(Zn′,Zn-1′...)
として作動する。
図2に示された実施形態では、本来チャネル誤差に強いために、非再帰方式の方が、好ましい。この場合、一般的な場合は、過去のRn′マトリックスの関数h、すなわち、
Pn+1=h(Rn′,Rn-1′...)
を使用して表すことができる。
本発明は、h関数の下記の簡単な実施形態が最も予測的な情報を獲得していることをさらに開示している。
Pn+1=ARb′
P=ARb′
ここで、Aは、その成分がスカラー予測係数であるN×bのマトリックスであり、Rb′は、マトリックスR′の最後のb行で構成されているb×Mのマトリックスである。(すなわち、フレームnの最後のb個のサブフレームに対応する)
補間サブフレーム:次に、フレームが多数のサブフレームに分割される場合、ある程度の符号化速度を使用しないで複雑さを簡素化する、本発明の方法に開示された基本方法の変形を説明する。
フレームがNm個のサブフレームに細分する場合を考察する。ここで、Nおよびmは整数である(例えば、12=4×3サブフレーム)。
符号化速度および量子化の複雑さの両方を除くために、前述された“予測分割マトリックス量子化”方法は、線形補間が使用されるm−1個のサブフレームに散在されたN個のサブフレームだけに適用される。
より正確には、その添字がmの倍数であるスペクトルモデルは、予測分割マトリックス量子化を使用して量子化される。
fmは、fm′に量子化される。
f2mは、f2m′に量子化される。
… …
fkmは、fkm′に量子化される。
… …
fNmは、fNm′に量子化される。
k=1,2,...Nは、このように量子化されたこれらスペクトルモデルに対する自然添字であることに注目。
次に、残りのスペクトルモデルの“量子化”を検討する。この目的のために、前のフレームの最後のサブフレームの量子化スペクトルモデルをf0′と呼ぶ(すなわち、場合k=0)。形式i=km+j(すなわちj≠0)の添字を有するスペクトルモデルは、下記のようにfkm′およびf(k+1)m′の線形補間によって“量子化”される。
fkm+j′=j/m fkm′+(m−j)/m f(k+1)m′
ここで、比j/mおよび(m−j)/mは補間係数として使用される。
本発明の好ましい実施形態は、ここでは上記に詳述されているけれども、これらの実施形態は、本発明の特徴および精神から逸脱しないで、添付の請求の範囲内に任意に修正することができる。さらに、本発明は音声信号の処理に限定されない。オーディオのような他の種類の音信号は処理できる。基本原理を保持するこのような修正は主題発明の明らかに範囲内である。
Claims (11)
- サンプル音声信号をディジタル符号化するための技術におけるスペクトル確度/符号化速度というトレードオフを増すために、該サンプル音声信号のフレーム当たりN個(N>1)の線形予測符号化スペクトルモデルを一緒に量子化する方法であって、
前記方法が、
(a)N個の行を有するマトリックスであり、かつ、該行の各々が現在のフレームの線形予測符号化スペクトルモデルベクトルであるマトリックスFを形成するステップと、
(b)少なくとも1つ以上の前のフレームに基づいて、時間で変動する予測マトリックスPを形成するステップと、
(c)残差マトリックスRを得るために、時間で変動する予測マトリックスPをマトリックスFから取り除くステップと、
(d)前記残差マトリックスRをベクトル量子化するステップと
を具備することを特徴とする方法。 - 前記残差マトリックスRをベクトル量子化することの複雑さを減少させるために、前記ステップ(d)は、前記残差マトリックスRをN個の行を有するq個のサブマトリックスに分割し、各々のサブマトリックスを独立にベクトル量子化するステップを具備することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記時間で変動する予測マトリックスPを、非再帰予測方式を使用して得るステップを具備することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記非再帰予測方式が、下記の式に従って時間で変動する予測マトリックスPを計算することからなることを特徴とする請求項3に記載の方法。
P=ARb′
ここで、Aは、その成分がスカラー予測係数であるN×bのマトリックス(N,bは整数)であり、Rb′は、前のフレームの残差マトリックスRのベクトル量子化から生じたマトリックスR′の最後のb行で構成されているb×Mのマトリックスである。 - 前記サンプル音声信号の各フレームがNm個の(mは整数)サブフレームのセットに細分され、
前記フレーム当たりN個の線形予測符号化スペクトルモデルが、前記セットのうちのN個の第1サブフレームに一致し、各々の前記第1のサブフレームの間にm−1個の第2サブフレームが配置され、
前記m−1個の第2サブフレームに対応する線形予測符号化スペクトルモデルベクトルが線形補間を使用して得られることを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 前記時間で変動する予測マトリックスPを、再帰予測方式を使用して得るステップをさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記フレーム当たりN個の線形予測符号化スペクトルモデルが、前記フレーム内の特定のスペクトルモデルの順序に従って異なるウィンドウ形を使用して線形予測符号化分析から得られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記ステップ(b)の前に、互いに同一である行を有する平均マトリックスをマトリックスFから取り除くステップをさらに具備し、前記行は、前記N個のベクトルのj番目の成分予測値である第j番目の成分を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 量子化残差マトリックスに、平均マトリックスを加算するステップをさらに具備することを特徴とする請求項8に記載の方法。
- 量子化残差マトリックスに、時間で変動する予測マトリックスPを加算するステップと、
時間で変動する予測マトリックスPを加算された量子化残差マトリックスに、平均マトリックスを加算するステップと
をさらに具備することを特徴とする請求項8に記載の方法。 - 量子化残差マトリックスに、時間で変動する予測マトリックスPを加算するステップをさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の方法。
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