JP3588881B2 - ディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低温予混合燃焼により、排気エミッション特性を改善するようにしたディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
排気の一部を吸気管に導く、いわゆる排気還流(EGR)を行ってゆっくりと燃焼させることによりNOxを低減することができるので、低負荷になるほどEGR率を大きくしているが、高EGR率の条件では、スモーク(主に黒煙)の排出が増加するため、吸入空気によって燃焼室内にスワール(旋回渦流)を生起するスワール生成手段を設け、拡散燃焼時の空気と燃料の混合を改善するとともに、燃料の噴射時期を上死点後まで遅らせ、着火時期の燃焼室内の温度を低温状態に保ち、予混合燃焼比率を増大させることによって、高EGR率状態でのスモークの発生を極力抑えるようにした装置が提案されている(特開平7−4287号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような装置では、NOxとスモークとが最適に低減されるように、EGR量、スワール比、噴射時期を考慮して、噴射期間を定めているのであるが、それでも燃料噴射ノズルの製作、組み付けに伴うバラツキや経時劣化により実噴射期間が長引いたり短すぎたりすることがあり、この噴射期間のずれが特に高EGR率状態で生じたときには、NOxやスモークの排出量が増大するおそれがある。
【0004】
そこで本発明では、実噴射期間が目標噴射期間よりずれているときには、実噴射期間が目標噴射期間と一致するようにその噴射期間差に応じて、多段噴射するノズルの初期リフト量や送油率制御型の燃料噴射ポンプの送油率を補正することにより、NOxやスモークの排出量が増大するおそれをなくすことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1の発明では、図27に示すように、プランジャにより燃料を圧送するジャーク式燃料噴射ポンプを備え、低負荷時にEGR率を大きくして、燃料の噴射時期を上死点後まで遅らせたディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置において、前記圧送燃料の圧力に応じて段階的にニードルがリフトして燃料を多段噴射するノズル112の初期リフト量を制御量に応じて調整可能な手段112と、目標噴射期間をエンジンの回転数と負荷に基づいて算出する手段113と、実噴射期間を検出する手段114と、この実噴射期間と目標噴射期間との比較を行い、両者が一致するように前記初期リフト量調整手段112への制御量を決定する手段115とを設けた。
【0006】
第2の発明では、第1の発明において、前記制御量決定手段115が、運転条件に応じて基本初期リフト量を算出する手段と、実噴射期間と目標噴射期間の差に応じて初期リフト補正量を算出する手段と、この初期リフト補正量で前記基本初期リフト量を補正した値を前記制御量として決定する手段とからなる。
【0007】
第3の発明では、図28に示すように、カムにより駆動されるプランジャにより燃料を圧送する燃料噴射ポンプを備え、低負荷時にEGR率を大きくして、燃料の噴射時期を上死点後まで遅らせたディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置において、進角させると送油率が大きくなり遅角させると送油率が小さくなる前記燃料噴射ポンプのカム位相を制御量に応じて調整可能な手段121と、目標噴射期間をエンジンの回転数と負荷に基づいて算出する手段113と、実噴射期間を検出する手段114と、この実噴射期間と目標噴射期間との比較を行い、両者が一致するようにカム位相を進角または遅角させる前記カム位相調整手段121への制御量を決定する手段122とを設けた。
【0008】
第4の発明では、第3の発明において、前記制御量決定手段122が、運転条件に応じて基本カム位相を算出する手段と、前記実噴射期間と目標噴射期間の差に応じてカム位相補正量を算出する手段と、このカム位相補正量で前記基本カム位相を補正した値を前記制御量として決定する手段とからなる。
【0009】
第5の発明では、第3または第4の発明において、図29に示すように、前記燃料噴射ポンプのプレストローク量を制御量に応じて調整可能な手段131と、前記実噴射期間と目標噴射期間との比較を行い、両者が一致するように前記プレストローク量調整手段131への制御量を決定する手段132とを設けた。
【0010】
第6の発明では、第5の発明において、前記前記制御量決定手段132が、運転条件に応じて基本プレストローク量を算出する手段と、前記実噴射期間と目標噴射期間の差に応じてプレストローク量補正量を算出する手段と、このプレストローク量補正量で前記基本プレストローク量を補正した値を前記制御量として決定する手段とからなる。
【0011】
第7の発明では、第1から第6までのいずれか一つの発明において、排気還流率を調整可能な手段と、スワール比を調整可能な手段と、燃料の噴射時期を調整可能な手段と、中回転・中負荷域と低回転の全負荷域で前記排気還流率が高くかつ低回転になるほど前記スワール比が大きく、さらに高排気還流率の状態で前記燃料の噴射時期が圧縮上死点後まで遅れるように、前記3つの調整手段への各制御量を決定する手段とを設けた。
【0012】
【作用】
段階的にニードルがリフトして燃料を多段噴射するノズルでは、初期リフト期間で少量の燃料が噴射され、その後のリフト期間で大量の燃料が噴射される。この場合に、第1の発明では、実噴射期間が目標噴射期間より長くなっているときに、初期リフト量を増大してやるので、噴射率特性が変化して噴射期間が短くなり、これによって実噴射期間と目標噴射期間とを一致させることができる。この逆に、実噴射期間が目標噴射期間より短いときには、初期リフト量を減少させることで噴射期間が長くなり、実噴射期間を目標噴射期間に一致する。このようにして、実噴射期間が目標噴射期間と一致するようにノズルの初期リフト量を決定することで、特に高EGR率状態において噴射期間のずれが生じることに伴うNOxやスモークの排出量の増大を防止できる。
【0013】
カム位相調整手段によれば、カム位相を進角させると、送油率が大きくなるとともに噴射期間が短くなり、この逆にカム位相を遅角させたときには送油率が小さくなるとともに噴射期間が長くなる。この場合に、第3の発明では、実噴射期間が目標噴射期間より長くなっているときに、カム位相を進角させるので、噴射期間が短くなり、これによって実噴射期間と目標噴射期間とを一致させることができる。この逆に、実噴射期間が目標噴射期間より短いときには、カム位相を遅角させることで噴射期間が長くなり、実噴射期間を目標噴射期間に一致する。このようにして、実噴射期間が目標噴射期間と一致するようにカム位相を決定することで、特に高EGR率状態において噴射期間のずれが生じることに伴うNOxやスモークの排出量の増大を防止できる。
【0014】
ただし、第3または第4の発明において、プレストローク量を大きくしていくと、噴射量は一定のまま、噴射時期が遅角するとともに、送油率が上昇していく特性の燃料噴射ポンプであるときには、実噴射期間を目標噴射期間に一致させるため、たとえばカム位相を進角させて送油率を上昇させたときに、同時に噴射時期が遅角し、またカム位相を遅角させて送油率を下降させたときに、同時に噴射時期が進角してしまうのであるが、第5の発明では、実噴射期間が目標噴射期間より長いときにはプレストローク量を小さくして噴射時期を早め、また実噴射期間が目標噴射期間より短いときにはプレストローク量を大きくして噴射時期を遅らせるため、実噴射期間と目標噴射期間とが一致するように送油率を補正する場合にも、噴射時期が変化することがない。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1において、1は燃料の噴射時期と燃料の噴射量が電子制御される分配型の燃料噴射ポンプである。この燃料噴射ポンプ1から圧送される燃料は、配管2を通って噴射ノズル3に導かれる。
【0016】
4は吸気通路、5は排気通路、6は排気中のパーティキュレート等を捕集するフィルタ、7は排気音を低減する排気マフラである。
【0017】
8は排気通路4と吸気通路5とを連通して排気還流するEGR通路、また9は制御負圧に応動してEGR量(排気還流量)を制御するダイアプラム式のEGR弁である。
【0018】
10はEGR弁9に供給する負圧の制御弁で、コントロールユニット11からのデューティ信号に応じてバキュームポンプ12からの一定負圧を3段階に調整する。たとえば、負圧制御弁10へのOFFデューティ(一定周期のOFF時間割合)が最大値で一定負圧がそのままEGR弁9に導入されるときは、排出ガスの50%が還流されるように設定する。このときのEGR率(=EGR量/新気量)は100%に相当する。OFFデューティが段階的に小さくなると、負圧制御弁10への制御負圧の減少によりEGR弁開度が段階的に小さくなってEGR率が60%、30%と小さくなる。
【0019】
こうして得られる3段階のEGR率は、運転条件に対して図2のように設定してある。図において、中速中負荷域と低速の全負荷域でEGR率は100%である。これに対して高速高負荷域においては、燃焼期間が長引いてスモークの発生を完全に抑える事ができないため、さらに排気温度の上昇およびEGR流量の増大で吸気温度が上昇し、EGRによるNOx低減の効果が減少することなどのため、EGR率を60%、30%と段階的に減少させている。
【0020】
EGR率をエンジンの運転条件に応じて制御するため、マイコンからなるコントロールユニット11が設けられ、コントロールユニット11では、アクセル開度(アクセルペダル開度)を検出するセンサ、エアクリーナ13を介して吸気通路5に取り入れられる吸入空気量Qを検出するエアフローメータ14からの信号と、回転数信号に関連するリファレンスパルス、スケールパルスに基づいてEGR流量を段階的に制御する。
【0021】
エンジンの発生するトルクとエンジン回転数に対して図2に示したEGR率(目標EGR率)の特性が得られるように、アクセル開度Accとエンジン回転数Neをパラメータとするマップ(図示せず)を設定しておき、このマップを検索して、そのときの目標EGR率を求める。これとエアフローメータ流量(新気量)とからEGR流量を、
EGR流量=エアフローメータ流量×目標EGR率
により計算し、この流量のEGRガスが流れるように負圧制御弁10へのOFFデューティを決定するのである。
【0022】
燃焼室に流入する吸気にスワールを生起する手段を、図3と図4に示す(ただし図1には図示しない)。いわゆるヘリカル型の吸気ポート21(略直線状の吸気路21aと吸気弁軸回りの渦巻状路21bとで形成される)の渦巻状路21bの近くに位置して回転自在に設けられる回転ブレード22と、このブレード22に連結させたリンク機構(図示せず)、このリンク機構を駆動するアクチュエータ(図示せず)からなり、ブレード22の回転位置でスワール比の調整が行えるようになっている。
【0023】
たとえば、ブレード22が図3の位置では高スワール比となるが、ブレード22が図4の位置までくると低スワール比になる。この回転ブレード方式はレスポンスも早く、広範囲のスワール比の制御が可能である。そのため、スワール比に敏感に反応するHCの制御に適している。
【0024】
運転条件に対するスワール比の特性を図5に示すと、エンジン低回転域ほどスワール比を高くしている。これに対して高回転域では高スワール比に伴う体積(吸気充填)効率の低下が顕著になるし、噴射圧の高圧化による燃焼改善がスワールの必要性を弱めることになることから、回転数が大きくなるほど段階的にスワール比を減少させるのである。
【0025】
なお、可変スワール用のアクチュエータは、図示しないが2ステージスプリング付きのダイアフラム式アクチュエータと、このアクチュエータに負圧源からの一定負圧に大気を希釈することにより3段階に制御負圧を作り出す負圧制御弁とから構成する。
【0026】
次に、図6に分配型燃料噴射ポンプ1の概略を示す。図6において、燃料噴射ポンプ1はポンプハウジングを形成する噴射ポンプ本体31内にカムローラと係合しつつ回転往復しながら、加圧室32内の燃料を圧縮するプランジャ33を備える。このプランジャ33の外周には、プランジャ33に形成されたカットオフポート34を開閉することにより燃料噴射量を調量するコントロールスリーブ35が摺動自由に嵌合され、このコントロールスリーブ35を駆動するロータリソレノイド36が設けられる。
【0027】
また、ポンプ駆動軸に取り付けられたフィードポンプ37からの吐出燃料は、ポンプ内部を潤滑するとともにポンプ室38に蓄圧され、ここから前記加圧室32に吸引される。
【0028】
燃料の噴射時期を制御するために、プランジャ33を駆動するカムローラと係合しつつカムローラの位相を動かす噴射時期制御部材としてのタイマピストン39が備えられる。このタイマピストン39は、一端の高圧室から低圧室側に漏らされる燃料流量を制御するタイミングコントロールバルブ40(図7参照)により、その位置が制御され、これにより燃料噴射時期を進角させたり遅角させたりする。
【0029】
そして、燃料の噴射量、噴射時期などを制御するために、コントロールユニット11を備える。このコントロールユニット11には、運転状態検出手段を構成する各種センサ、つまり、燃料噴射ノズル3に装着されて噴射時期を実測する実噴射時期検出手段としてのノズルリフトセンサ15、コントロールスリーブ35の位置を検出して燃料噴射量(負荷の代表値)を検出するスリーブ位置センサ16、冷却水温を検出する水温センサ17、エンジン回転数を検出する回転数センサ18、燃料温度を検出する燃温センサ19、エンジンの始動指令を認識する始動スイッチ20などからの各種センサの信号が入力し、これらに基づいて後述するように燃料噴射量と噴射時期を制御する。
【0030】
運転条件に対する噴射時期の特性を図8に示すと、高EGR率状態である低回転域での中高負荷域で噴射時期を上死点後(+4ATDCと+2ATDC)にしている。これは、噴射時期の大幅な遅延によって吸気をより低温状態にし、予混合燃焼の比率を増大させることによって、スモークの発生を抑制するためである。これに対して、中高回転域では、着火遅れ時間が一定であっても、着火遅れクランク角度が大きくなるので、着火時期を一定に保つため回転数が大きくなるほど噴射時期を進めている。
【0031】
図9は噴射時期制御の制御ブロック図で、S21では通常運転時にエンジン回転速度Neと負荷(燃料噴射量やアクセル開度で代表される)とにより設定されている噴射時期の回転−負荷特性に基づいて燃料噴射時期Tnlを決定する。この噴射時期の回転−負荷特性が、エンジンの発生するトルクとエンジン回転数に対して図8に示した燃料噴射時期の特性が得られるように設定したマップである。
【0032】
また、S22ではエンジンの始動時にエンジン回転速度Neと水温Twにより設定されている始動噴射時期進角特性により、燃料噴射時期ITstを決定する。
【0033】
そして、S23により前記目標噴射時期ITtと前記ノズルリフトセンサ15によって実測された実測噴射時期ITiとを比較し、PID処理により、タイマピストン39の移動量を求め、アクチュエータ指令信号(タイミングコントロールバルブ40のデューティ比等)を出力し、これにより燃料噴射時期を制御する。
【0034】
図10に燃料噴射ノズル3の断面図を示す。この噴射ノズル3は噴射開始圧力を低、高の二段階にしているもので、2個の噴射開始圧力の調整手段を備えている。
【0035】
初期噴射の噴射開始圧力の調整手段としての第1調整手段は、ノズル51の噴射の開始、噴射量、終了を規制するニードル52の上部に配設されており、ノズルホルダ53のノズル51と反対側に設けられた上部内孔54と、上部内孔54のねじ部55にねじ込まれたセットスクリュー56と、上部内孔54内に第1スプリングシート57を有しかつノズルホルダ53を貫通して下端は、ノズルホルダ53の軸方向に摺動自在な初期リフト調整用シム58を介して、ニードル52の頭部と当接するプッシュロッド59と、セットスクリュー56の下端面に配設された1段目開弁圧調整用シム60と、このシム60と第1スプリングシート57との間に張設された第1スプリング61とによりなっている。
【0036】
また、主噴射の噴射開始圧力の調整手段としての第2調整手段は、ニードル52のすぐ上部に配設されており、ノズルホルダ53のノズル側に設けられた下部内孔63と、下部内孔63の下端に配設されかつノズルホルダ53の軸方向に摺動自在で、さらに初期リフト調整用シム58との間にクリアランスL1を有する第2スプリングシート64と、下部内孔63の上端面に配設された2段目開弁圧調整用シム65と、このシム65と第2スプリングシート64との間に張設された第2スプリング66とによりなっている。
【0037】
なお、71は燃料をノズル51に供給する油路、72はノズル51とニードル52上部の摺動肩52aとの間にクリアランスL2を有するスペーサ73とをノズルホルダ53に結合するリテーニングナット、74はスピルボルト、75はキャップナットである。
【0038】
ノズル内の燃料圧力室(図示せず)に導入される燃料噴射ポンプからの燃料圧力により、ニードル52にかかる圧力が所定値以上に高まると、初期リフト調整用シム58とプッシュロッド59を介して第1スプリング61を圧縮しながら、ニードル52は一定値(初期リフト量)L1だけ上方にリフトする。これが初期噴射であり、燃料圧力が第2スプリング66の設定圧力を越えるまではこの状態を維持する。ついで第2スプリングシート64を介して第2スプリング66を圧縮しながら、ニードル52が大きくリフトし、大量の燃料を供給する主噴射が始まる。
【0039】
このようにして、初期リフト(初期噴射)期間に少量の燃料を噴射し、ついでメインリフト(主噴射)期間に大量の燃料を噴射するという、段階的な燃料噴射が行われるのである。
【0040】
さて、NOxとスモークとが最適に低減されるように、噴射期間を定めているのであるが、それでも実噴射期間が長引いたり短すぎたりすることがあり、この噴射期間のずれが特に高EGR率状態である低中負荷域において生じたときには、NOxやスモークの排出量が増大するおそれがある。
【0041】
これに対処するため、本発明では、実噴射期間が目標噴射期間よりずれているときには、実噴射期間が目標噴射期間と一致するように上記燃料噴射ノズル3の初期リフト量を補正する。
【0042】
まず、初期リフト量L1を調整可能とするため、図10において、スペーサ73の上端側に、ノズル51側に向けて穿設した段付き部73aと第2スプリングシート64の下端との間に、ノズルホルダ53の軸方向に伸縮自在なリング状の圧電素子77を設けている。
【0043】
なお、実噴射期間を測定するため1段目開弁圧調整用シム60とセットスクリュー56との間にもリング状の圧電素子を78を設けている。これは、ニードル51のリフトによりプッシュロッド59を介して第1スプリング61が圧縮されると、その圧縮荷重により圧電素子78に歪みが生じるため、その歪みを電圧変換することで、実噴射期間を測定することができるわけである。
【0044】
次に、コントロールユニット11で実行される初期リフト量の補正内容を図11のフローチャートを参照しながら説明する。
【0045】
S31、32ではエンジン回転数Ne、アクセル開度Acc等の各種の運転条件とともに実噴射期間Tを読み込み、S33、S34において基本初期リフト量L1Nと目標噴射期間TNをマップ検索により求める。エンジンの発生するトルクとエンジン回転数に対して図12に示した基本初期リフト量の最適な特性が得られるように、またトルクとエンジン回転数に対して図13に示した目標噴射期間の最適な特性が得られるように、アクセル開度Accとエンジン回転数Neをパラメータとするマップ(図示せず)を設定しており、これらのマップを検索して求めるわけである。
【0046】
ここで、基本初期リフト量L1Nは、図12のようにエンジン回転数とトルクが高くなるほどその値が大きくなるように設定している。これは、高回転域や高負荷域でも初期リフト量を小さくしていると、噴射期間が長くなり、その結果、燃焼期間が長引いて等容度が悪化し、熱効率が悪くなる(燃費の悪化とともにスモーク排出特性も悪くなる)ので、これを避けるためである。
【0047】
図11のS35では、実噴射期間Tと目標噴射期間TNとの比較を行い、両者が同等であれば、図11のフローを終了する。両者が同等でないときには、S36、37で
ΔTN=T−TN
の式により噴射期間補正量ΔTNを算出し、この噴射期間補正量ΔTNと目標噴射期間TNとからテーブル検索により初期リフト補正量ΔL1を求める。初期リフト補正量ΔL1は、図14の特性に設定してあり、TNが一定の条件ではΔTNが大きくなるほど大きく、またΔTNが一定の条件ではTNが大きくなるほど大きくなる値である。
【0048】
この補正量ΔL1をS38において基本初期リフト量L1Nに加えた値を目標初期リフト量L1として算出し、これらを所定のアドレスに格納する。ΔTNが正(つまり実噴射期間が目標噴射期間より長い)のときには初期リフト量をΔL1だけ増大側に、この逆にΔTNが負(実噴射期間が目標噴射期間より短い)になると、初期リフト量をΔL1だけ減少側に補正するわけである。
【0049】
たとえば、実噴射期間が目標噴射期間より長くなっているときには、初期リフト量を増大側に補正すると、図15に示したように噴射率特性が変化して噴射期間が短くなり、これによって実噴射期間と目標噴射期間を一致させることができるのである。この逆に、実噴射期間が目標噴射期間より短いときには、初期リフト量を減少側に補正することによって、実噴射期間を目標噴射期間に一致させることができる。
【0050】
このようにして、実噴射期間が目標噴射期間と一致するように噴射ノズル3の初期リフト量を補正することで、特に高EGR率状態である低回転域での中高負荷域において噴射期間のずれが生じることに伴うNOxやスモークの排出量の増大を防止できる。
【0051】
図16は第2実施形態で、図示の燃料噴射ポンプ81は、いわゆるプレストローク量の調整手段を備えた送油率制御型の燃料噴射ポンプ(特開昭61−218769号公報参照)である。なお、EGR率の制御、スワール比の制御、噴射時期の遅角制御を行っている点は、第1実施形態と同じである。
【0052】
プレストローク量の調整手段は、図17に示すようにプランジャ84にガイドされた制御スリーブ86によるもので、回動可能なコントロールロッド89に取り付けたピン90の移動に合わせて、制御スリーブ86がプランジャ84の軸方向に上下運動を行い、これによって噴射ポンプのプレストローク量を変えることができる。なお、91はコントロールロッド89を駆動するためのアクチュエータ(ロータリソレノイド)、83はバレルである。
【0053】
噴射ポンプ81の詳細は次の通りである。図16において、プランジャ84の周囲に制御スリーブ86が装着され、この制御スリーブ86の位置により燃料圧送の開始時期が決まる。スリーブ85は燃料が送り込まれる燃料室87と加圧室85との間を連通する、プランジャ84軸心に設けた通路84aの燃料室側への開口(給油孔)84bを開閉し、プランジャ84が上昇する過程で、スリーブ86の下端より開口84bが閉じられると、燃料室87との連通が遮断され、加圧室85の圧力が高まり始める。その後、プランジャ84の上昇により加圧室85の圧力が吐出弁88の開弁圧を超えると、燃料噴射ノズルに向け燃料が圧送される。
【0054】
また、プランジャ84の上昇により、通路84aから分岐するポート84cがスリーブ86の途中に設けたスピルホート86aに連通すると、加圧室85が再び燃料室87と連通して、燃料の圧送が終了する。
【0055】
そして、図16の紙面と直角な方向に軸線を有しその軸線回りに回動可能なコントロールロッド89と、このコントロールロッド89に固定され制御スリーブ86の外周面に設けた切欠溝84c(図17参照)にはまり込むピン90とからなるスリーブ位置調整機構により、スリーブ86の位置を上下させることにより、燃料の圧送開始時期を進めたり、遅らせたりすることができる。
【0056】
また、分岐ポート84cはプランジャ84周囲に傾斜溝として開口しているので、プランジャ84の軸線回りの回転位置を、スリーブ92上に固着されたボール93に係合するラック(プランジャ回転調整機構)94を図16の紙面と直角な方向に変位させることにより、スピルホート86aに対する連通時期が変化し、燃料の圧送終了時期、すなわち燃料噴射量を変化させることができる。
【0057】
次に、図18、図19には、前記燃料噴射ポンプ81のカム位相を進角、遅角させる位相調整機構100である(特開昭58−48719号公報参照)。
【0058】
これは燃料噴射ポンプ81のポンプ軸(カム軸)81aと、エンジン回転が伝達される回転体101との連結部分に介装され、エンジン回転のポンプ軸81aに対する伝達位相を可変的に調整する。
【0059】
ポンプ軸80aに同軸結合される回転盤103の軸部102に、回転自由に回転体101が支持される。
【0060】
そして、回転体101から回転盤103に伝達される回転に必要に応じて位相差を付与するため、回転盤103と回転体101とを回転(円周)方向に相対変位可能に連結する機構として、まず回転盤103にはその回転中心から等距離位置に一対の円形孔103aが明けられ、ここに第1の偏心カム105が挿入される。また、この偏心カム105に設けた円形孔105aには第2の偏心カム106が挿入される。
【0061】
第2の偏心カム106の偏心ピン106bは、前記回転体101に側面から貫入し、また、第1の偏心カム105の偏心ピン105bは、シリンダ107に収装したピストン107aに連結する。
【0062】
シリンダ107は軸部102の放射方向に回転盤103に一体に取り付けられ、その油室107bには、軸部102の内周通路102aを介して供給される圧油が導かれる。ピストン107aはこの供給圧力と、リターンスプリング107cとがバランスする位置へと移動する。
【0063】
したがって、ピストン107aの位置に応じて偏心ピン105bにより第1の偏心カム105が回動し、これにより第2の偏心カム106が回転盤103に対して円周方向に変位し、その偏心ピン106bを介して連結する回転体101と回転盤103との回転方向の位相を変化させる。
【0064】
これにより、エンジン回転に対して、燃料噴射ポンプ80のポンプ軸80a、つまりカム81の回転位相が変化し、燃料の送油率が変わる。
【0065】
シリンダ107の油室107bへ導かれるオイルポンプ109からの油圧は、制御弁108の開度に応じて変化し、制御弁開度が増加すると油圧は低下する。
【0066】
さて、第1実施形態では、実噴射期間と目標噴射期間の差に応じて、図10に示した2スプリングノズルの初期リフト量を補正するように構成したが、第2実施形態では、実噴射期間と目標噴射期間の差に応じて送油率制御型の燃料噴射ポンプ81の送油率を補正するように構成する。第2実施形態では2スプリングノズルは必要ない。
【0067】
これを図20のフローチャートにより説明する。図20は図11に対応するもので、S41、S42、S43、S44、S45、S46が図11と異なる。図11と同じ部分の説明は省略する。
【0068】
なお、先にS41、S43、S45を説明し、S42、S44、S46はまとめて後述する。
【0069】
図20のS41では基本カム位相DQNをマップ検索により求める。基本カム位相DQNは、エンジン回転数Neとアクセル開度Accに基づいて図21の特性に設定してあるが、これは送油率を制御するもので、図25にも示すように、燃料噴射ポンプのカムの位相によってカム速度(リフト速度)が異なるため、このカム位相を変えることにより燃料送油率を変化させることができる。燃料噴射ポンプからの燃料圧送期間(スリーブ86により加圧室85と燃料室87の連通が遮断されてから、連通が再開するまでの期間)が同じでも、カム位相を進角させればカム速度の速い領域を利用できるので送油率は高まり、逆に遅角させれば送油率が低くなる。基本的な送油率は、アクセル開度が小さいときほど大きくなるように設定してあり、したがって低アクセル開度域でカム位相の進角値を大きくしている。
【0070】
S43では、噴射期間補正量ΔTNからテーブル検索によりカム位相補正量ΔDQを求め、このカム位相補正量ΔITをS45において基本カム位相DQNに加えることによってカム位相を補正し、補正後の値を目標カム位相DQとして所定のアドレスに格納する。
【0071】
カム位相補正量ΔDQは、図22に示したように、ΔTNが大きくなるほど大きくなる値である。たとえば、ΔTNが正(実噴射期間が目標噴射期間より長い)のときにはカム位相をΔDQだけ進角側に補正(つまり圧送開始時期を一定のままカムを図25において図中の左側に変化させる)することで、送油率が大きくなり、これによって噴射期間が短くなることから、実噴射期間と目標噴射期間を一致させることができるのである。この逆にΔTNが負(実噴射期間が目標噴射期間より短い)になると、カム位相の遅角補正により送油率を低下させる(噴射期間を長くする)ことによって、実噴射期間を目標噴射期間に一致させることができる。
【0072】
ただし、この噴射ポンプ81では、図26に示すように、プレストローク量を大きくしていくと、噴射量は一定のまま、噴射時期が遅角するとともに、送油率が上昇していく特性であるため、実噴射期間を目標噴射期間に一致させるためとはいえ、上記のようにたとえばカム位相の進角補正により送油率を上昇させたときには、同時に噴射時期が遅角してしまうので、S42、S44、S46を設けて、そのための補正を行っている。
【0073】
具体的には、S42で基本プレストローク量PSNをマップ検索により求める。エンジンの発生するトルクとエンジン回転数に対して図23に示した基本プレストローク量の最適な特性が得られるようにアクセル開度Accとエンジン回転数Neをパラメータとするマップ(図示せず)を設定しており、これらのマップを検索して求めるわけである。プレストローク量は、通常、圧送を開始するタイミングでのカムリフト量で定義しているため、プレストローク量を大きくすると、噴射時期が遅角側に移動するので、高回転域や高負荷域では噴射時期を進めるため、図23のように回転数とトルクが大きくなるほどプレストローク量を小さくしている。
【0074】
S44では、噴射期間補正量ΔTNと目標噴射期間TNとからマップ検索によりプレストローク補正量ΔPSを求め、このプレストローク補正量ΔPSをS46において基本プレストローク量PSNに加えることによってプレストローク量を補正し、補正後の値を目標プレストローク量PSとして所定のアドレスに格納する。
【0075】
プレストローク補正量ΔPSは、図24の特性に設定してあり、TNが一定の条件ではΔTNが大きくなるほど負の値で大きく、またΔTNが一定の条件ではTNが大きくなるほど負の値で大きくなる値である。
【0076】
このようにして、実噴射期間と目標噴射期間との差に応じて送油率を補正する場合に、実噴射期間が目標噴射期間より長いときにはプレストローク量をΔPSだけ小さくして圧送開始タイミングを早め、また実噴射期間が目標噴射期間より短くなると、プレストローク量をΔPSだけ大きくして圧送開始タイミングを遅らせることで、実噴射期間と目標噴射期間とが一致するように送油率を補正する場合にも、圧送開始タイミングが変化することがない。
【0077】
第1実施形態では、分配型燃料噴射ポンプと2スプリングノズルで説明したが、これに限られるものでなく、列型、カムシャフトレス型の各燃料噴射ポンプおよびユニットインジェクタについても適用することができる(これら3種類の燃料噴射ポンプはユニットインジェクタを含めてジャーク式燃料噴射ポンプと総称される)。また、第2実施形態では、送油率制御型が列型燃料噴射ポンプに適用された場合で説明したが、これに限らず、送油率制御型であれば、他の燃料噴射ポンプにも適用することができる。
【0078】
【発明の効果】
第1の発明では、実噴射期間が目標噴射期間と一致するようにノズルの初期リフト量を決定することで、特に高EGR率状態において噴射期間のずれが生じることに伴うNOxやスモークの排出量の増大を防止できる。
【0079】
第3の発明では、実噴射期間が目標噴射期間と一致するようにカム位相を決定することで、特に高EGR率状態において噴射期間のずれが生じることに伴うNOxやスモークの排出量の増大を防止できる。
【0080】
第5の発明では、プレストローク量を大きくしていくと、噴射量は一定のまま、噴射時期が遅角するとともに、送油率が上昇していく特性の燃料噴射ポンプを用いて、実噴射期間と目標噴射期間とが一致するようにカム位相を決定する場合にも、噴射時期が変化することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す全体的な概略構成図である。
【図2】排気還流率の制御特性図である。
【図3】スワール生成手段の説明図である。
【図4】同じくその作動状態を示す説明図である。
【図5】スワール比の制御特性図である。
【図6】分配型燃料噴射ポンプの断面図である。
【図7】同じくその一部の断面図である。
【図8】燃料噴射時期の制御特性図である。
【図9】燃料噴射時期の制御ブロック図である。
【図10】2スプリングノズルの断面図である。
【図11】初期リフト量の補正を説明するためのフローチャートである。
【図12】基本初期リフト量L1Nの制御特性図である。
【図13】目標噴射期間TNの制御特性図である。
【図14】初期リフト補正量ΔL1の制御特性図である。
【図15】噴射率の特性図である。
【図16】第2実施形態の送油率制御型の燃料噴射ポンプの断面図である。
【図17】プレストロークの可変機構を説明するための斜視図である。
【図18】カム位相調整機構の要部断面図である。
【図19】カム位相調整機構の正面図である。
【図20】送油率の補正を説明するためのフローチャートである。
【図21】基本カム位相DQの制御特性図である。
【図22】カム位相補正量ΔDQの制御特性図である。
【図23】基本プレストローク量PSNの制御特性図である。
【図24】プレストローク補正量ΔPSの制御特性図である。
【図25】カム速度特性図である。
【図26】送油率特性図である。
【図27】第1の発明のクレーム対応図である。
【図28】第3の発明のクレーム対応図である。
【図29】第5の発明のクレーム対応図である。
【符号の説明】
1 分配型燃料噴射ポンプ
3 2スプリングノズル
11 コントロールユニット
77 圧電素子(初期リフト量調整手段)
78 圧電素子(実噴射期間検出手段)
81 送油率制御型の燃料噴射ポンプ
100 カム位相調整機構
【発明の属する技術分野】
本発明は、低温予混合燃焼により、排気エミッション特性を改善するようにしたディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
排気の一部を吸気管に導く、いわゆる排気還流(EGR)を行ってゆっくりと燃焼させることによりNOxを低減することができるので、低負荷になるほどEGR率を大きくしているが、高EGR率の条件では、スモーク(主に黒煙)の排出が増加するため、吸入空気によって燃焼室内にスワール(旋回渦流)を生起するスワール生成手段を設け、拡散燃焼時の空気と燃料の混合を改善するとともに、燃料の噴射時期を上死点後まで遅らせ、着火時期の燃焼室内の温度を低温状態に保ち、予混合燃焼比率を増大させることによって、高EGR率状態でのスモークの発生を極力抑えるようにした装置が提案されている(特開平7−4287号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような装置では、NOxとスモークとが最適に低減されるように、EGR量、スワール比、噴射時期を考慮して、噴射期間を定めているのであるが、それでも燃料噴射ノズルの製作、組み付けに伴うバラツキや経時劣化により実噴射期間が長引いたり短すぎたりすることがあり、この噴射期間のずれが特に高EGR率状態で生じたときには、NOxやスモークの排出量が増大するおそれがある。
【0004】
そこで本発明では、実噴射期間が目標噴射期間よりずれているときには、実噴射期間が目標噴射期間と一致するようにその噴射期間差に応じて、多段噴射するノズルの初期リフト量や送油率制御型の燃料噴射ポンプの送油率を補正することにより、NOxやスモークの排出量が増大するおそれをなくすことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1の発明では、図27に示すように、プランジャにより燃料を圧送するジャーク式燃料噴射ポンプを備え、低負荷時にEGR率を大きくして、燃料の噴射時期を上死点後まで遅らせたディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置において、前記圧送燃料の圧力に応じて段階的にニードルがリフトして燃料を多段噴射するノズル112の初期リフト量を制御量に応じて調整可能な手段112と、目標噴射期間をエンジンの回転数と負荷に基づいて算出する手段113と、実噴射期間を検出する手段114と、この実噴射期間と目標噴射期間との比較を行い、両者が一致するように前記初期リフト量調整手段112への制御量を決定する手段115とを設けた。
【0006】
第2の発明では、第1の発明において、前記制御量決定手段115が、運転条件に応じて基本初期リフト量を算出する手段と、実噴射期間と目標噴射期間の差に応じて初期リフト補正量を算出する手段と、この初期リフト補正量で前記基本初期リフト量を補正した値を前記制御量として決定する手段とからなる。
【0007】
第3の発明では、図28に示すように、カムにより駆動されるプランジャにより燃料を圧送する燃料噴射ポンプを備え、低負荷時にEGR率を大きくして、燃料の噴射時期を上死点後まで遅らせたディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置において、進角させると送油率が大きくなり遅角させると送油率が小さくなる前記燃料噴射ポンプのカム位相を制御量に応じて調整可能な手段121と、目標噴射期間をエンジンの回転数と負荷に基づいて算出する手段113と、実噴射期間を検出する手段114と、この実噴射期間と目標噴射期間との比較を行い、両者が一致するようにカム位相を進角または遅角させる前記カム位相調整手段121への制御量を決定する手段122とを設けた。
【0008】
第4の発明では、第3の発明において、前記制御量決定手段122が、運転条件に応じて基本カム位相を算出する手段と、前記実噴射期間と目標噴射期間の差に応じてカム位相補正量を算出する手段と、このカム位相補正量で前記基本カム位相を補正した値を前記制御量として決定する手段とからなる。
【0009】
第5の発明では、第3または第4の発明において、図29に示すように、前記燃料噴射ポンプのプレストローク量を制御量に応じて調整可能な手段131と、前記実噴射期間と目標噴射期間との比較を行い、両者が一致するように前記プレストローク量調整手段131への制御量を決定する手段132とを設けた。
【0010】
第6の発明では、第5の発明において、前記前記制御量決定手段132が、運転条件に応じて基本プレストローク量を算出する手段と、前記実噴射期間と目標噴射期間の差に応じてプレストローク量補正量を算出する手段と、このプレストローク量補正量で前記基本プレストローク量を補正した値を前記制御量として決定する手段とからなる。
【0011】
第7の発明では、第1から第6までのいずれか一つの発明において、排気還流率を調整可能な手段と、スワール比を調整可能な手段と、燃料の噴射時期を調整可能な手段と、中回転・中負荷域と低回転の全負荷域で前記排気還流率が高くかつ低回転になるほど前記スワール比が大きく、さらに高排気還流率の状態で前記燃料の噴射時期が圧縮上死点後まで遅れるように、前記3つの調整手段への各制御量を決定する手段とを設けた。
【0012】
【作用】
段階的にニードルがリフトして燃料を多段噴射するノズルでは、初期リフト期間で少量の燃料が噴射され、その後のリフト期間で大量の燃料が噴射される。この場合に、第1の発明では、実噴射期間が目標噴射期間より長くなっているときに、初期リフト量を増大してやるので、噴射率特性が変化して噴射期間が短くなり、これによって実噴射期間と目標噴射期間とを一致させることができる。この逆に、実噴射期間が目標噴射期間より短いときには、初期リフト量を減少させることで噴射期間が長くなり、実噴射期間を目標噴射期間に一致する。このようにして、実噴射期間が目標噴射期間と一致するようにノズルの初期リフト量を決定することで、特に高EGR率状態において噴射期間のずれが生じることに伴うNOxやスモークの排出量の増大を防止できる。
【0013】
カム位相調整手段によれば、カム位相を進角させると、送油率が大きくなるとともに噴射期間が短くなり、この逆にカム位相を遅角させたときには送油率が小さくなるとともに噴射期間が長くなる。この場合に、第3の発明では、実噴射期間が目標噴射期間より長くなっているときに、カム位相を進角させるので、噴射期間が短くなり、これによって実噴射期間と目標噴射期間とを一致させることができる。この逆に、実噴射期間が目標噴射期間より短いときには、カム位相を遅角させることで噴射期間が長くなり、実噴射期間を目標噴射期間に一致する。このようにして、実噴射期間が目標噴射期間と一致するようにカム位相を決定することで、特に高EGR率状態において噴射期間のずれが生じることに伴うNOxやスモークの排出量の増大を防止できる。
【0014】
ただし、第3または第4の発明において、プレストローク量を大きくしていくと、噴射量は一定のまま、噴射時期が遅角するとともに、送油率が上昇していく特性の燃料噴射ポンプであるときには、実噴射期間を目標噴射期間に一致させるため、たとえばカム位相を進角させて送油率を上昇させたときに、同時に噴射時期が遅角し、またカム位相を遅角させて送油率を下降させたときに、同時に噴射時期が進角してしまうのであるが、第5の発明では、実噴射期間が目標噴射期間より長いときにはプレストローク量を小さくして噴射時期を早め、また実噴射期間が目標噴射期間より短いときにはプレストローク量を大きくして噴射時期を遅らせるため、実噴射期間と目標噴射期間とが一致するように送油率を補正する場合にも、噴射時期が変化することがない。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1において、1は燃料の噴射時期と燃料の噴射量が電子制御される分配型の燃料噴射ポンプである。この燃料噴射ポンプ1から圧送される燃料は、配管2を通って噴射ノズル3に導かれる。
【0016】
4は吸気通路、5は排気通路、6は排気中のパーティキュレート等を捕集するフィルタ、7は排気音を低減する排気マフラである。
【0017】
8は排気通路4と吸気通路5とを連通して排気還流するEGR通路、また9は制御負圧に応動してEGR量(排気還流量)を制御するダイアプラム式のEGR弁である。
【0018】
10はEGR弁9に供給する負圧の制御弁で、コントロールユニット11からのデューティ信号に応じてバキュームポンプ12からの一定負圧を3段階に調整する。たとえば、負圧制御弁10へのOFFデューティ(一定周期のOFF時間割合)が最大値で一定負圧がそのままEGR弁9に導入されるときは、排出ガスの50%が還流されるように設定する。このときのEGR率(=EGR量/新気量)は100%に相当する。OFFデューティが段階的に小さくなると、負圧制御弁10への制御負圧の減少によりEGR弁開度が段階的に小さくなってEGR率が60%、30%と小さくなる。
【0019】
こうして得られる3段階のEGR率は、運転条件に対して図2のように設定してある。図において、中速中負荷域と低速の全負荷域でEGR率は100%である。これに対して高速高負荷域においては、燃焼期間が長引いてスモークの発生を完全に抑える事ができないため、さらに排気温度の上昇およびEGR流量の増大で吸気温度が上昇し、EGRによるNOx低減の効果が減少することなどのため、EGR率を60%、30%と段階的に減少させている。
【0020】
EGR率をエンジンの運転条件に応じて制御するため、マイコンからなるコントロールユニット11が設けられ、コントロールユニット11では、アクセル開度(アクセルペダル開度)を検出するセンサ、エアクリーナ13を介して吸気通路5に取り入れられる吸入空気量Qを検出するエアフローメータ14からの信号と、回転数信号に関連するリファレンスパルス、スケールパルスに基づいてEGR流量を段階的に制御する。
【0021】
エンジンの発生するトルクとエンジン回転数に対して図2に示したEGR率(目標EGR率)の特性が得られるように、アクセル開度Accとエンジン回転数Neをパラメータとするマップ(図示せず)を設定しておき、このマップを検索して、そのときの目標EGR率を求める。これとエアフローメータ流量(新気量)とからEGR流量を、
EGR流量=エアフローメータ流量×目標EGR率
により計算し、この流量のEGRガスが流れるように負圧制御弁10へのOFFデューティを決定するのである。
【0022】
燃焼室に流入する吸気にスワールを生起する手段を、図3と図4に示す(ただし図1には図示しない)。いわゆるヘリカル型の吸気ポート21(略直線状の吸気路21aと吸気弁軸回りの渦巻状路21bとで形成される)の渦巻状路21bの近くに位置して回転自在に設けられる回転ブレード22と、このブレード22に連結させたリンク機構(図示せず)、このリンク機構を駆動するアクチュエータ(図示せず)からなり、ブレード22の回転位置でスワール比の調整が行えるようになっている。
【0023】
たとえば、ブレード22が図3の位置では高スワール比となるが、ブレード22が図4の位置までくると低スワール比になる。この回転ブレード方式はレスポンスも早く、広範囲のスワール比の制御が可能である。そのため、スワール比に敏感に反応するHCの制御に適している。
【0024】
運転条件に対するスワール比の特性を図5に示すと、エンジン低回転域ほどスワール比を高くしている。これに対して高回転域では高スワール比に伴う体積(吸気充填)効率の低下が顕著になるし、噴射圧の高圧化による燃焼改善がスワールの必要性を弱めることになることから、回転数が大きくなるほど段階的にスワール比を減少させるのである。
【0025】
なお、可変スワール用のアクチュエータは、図示しないが2ステージスプリング付きのダイアフラム式アクチュエータと、このアクチュエータに負圧源からの一定負圧に大気を希釈することにより3段階に制御負圧を作り出す負圧制御弁とから構成する。
【0026】
次に、図6に分配型燃料噴射ポンプ1の概略を示す。図6において、燃料噴射ポンプ1はポンプハウジングを形成する噴射ポンプ本体31内にカムローラと係合しつつ回転往復しながら、加圧室32内の燃料を圧縮するプランジャ33を備える。このプランジャ33の外周には、プランジャ33に形成されたカットオフポート34を開閉することにより燃料噴射量を調量するコントロールスリーブ35が摺動自由に嵌合され、このコントロールスリーブ35を駆動するロータリソレノイド36が設けられる。
【0027】
また、ポンプ駆動軸に取り付けられたフィードポンプ37からの吐出燃料は、ポンプ内部を潤滑するとともにポンプ室38に蓄圧され、ここから前記加圧室32に吸引される。
【0028】
燃料の噴射時期を制御するために、プランジャ33を駆動するカムローラと係合しつつカムローラの位相を動かす噴射時期制御部材としてのタイマピストン39が備えられる。このタイマピストン39は、一端の高圧室から低圧室側に漏らされる燃料流量を制御するタイミングコントロールバルブ40(図7参照)により、その位置が制御され、これにより燃料噴射時期を進角させたり遅角させたりする。
【0029】
そして、燃料の噴射量、噴射時期などを制御するために、コントロールユニット11を備える。このコントロールユニット11には、運転状態検出手段を構成する各種センサ、つまり、燃料噴射ノズル3に装着されて噴射時期を実測する実噴射時期検出手段としてのノズルリフトセンサ15、コントロールスリーブ35の位置を検出して燃料噴射量(負荷の代表値)を検出するスリーブ位置センサ16、冷却水温を検出する水温センサ17、エンジン回転数を検出する回転数センサ18、燃料温度を検出する燃温センサ19、エンジンの始動指令を認識する始動スイッチ20などからの各種センサの信号が入力し、これらに基づいて後述するように燃料噴射量と噴射時期を制御する。
【0030】
運転条件に対する噴射時期の特性を図8に示すと、高EGR率状態である低回転域での中高負荷域で噴射時期を上死点後(+4ATDCと+2ATDC)にしている。これは、噴射時期の大幅な遅延によって吸気をより低温状態にし、予混合燃焼の比率を増大させることによって、スモークの発生を抑制するためである。これに対して、中高回転域では、着火遅れ時間が一定であっても、着火遅れクランク角度が大きくなるので、着火時期を一定に保つため回転数が大きくなるほど噴射時期を進めている。
【0031】
図9は噴射時期制御の制御ブロック図で、S21では通常運転時にエンジン回転速度Neと負荷(燃料噴射量やアクセル開度で代表される)とにより設定されている噴射時期の回転−負荷特性に基づいて燃料噴射時期Tnlを決定する。この噴射時期の回転−負荷特性が、エンジンの発生するトルクとエンジン回転数に対して図8に示した燃料噴射時期の特性が得られるように設定したマップである。
【0032】
また、S22ではエンジンの始動時にエンジン回転速度Neと水温Twにより設定されている始動噴射時期進角特性により、燃料噴射時期ITstを決定する。
【0033】
そして、S23により前記目標噴射時期ITtと前記ノズルリフトセンサ15によって実測された実測噴射時期ITiとを比較し、PID処理により、タイマピストン39の移動量を求め、アクチュエータ指令信号(タイミングコントロールバルブ40のデューティ比等)を出力し、これにより燃料噴射時期を制御する。
【0034】
図10に燃料噴射ノズル3の断面図を示す。この噴射ノズル3は噴射開始圧力を低、高の二段階にしているもので、2個の噴射開始圧力の調整手段を備えている。
【0035】
初期噴射の噴射開始圧力の調整手段としての第1調整手段は、ノズル51の噴射の開始、噴射量、終了を規制するニードル52の上部に配設されており、ノズルホルダ53のノズル51と反対側に設けられた上部内孔54と、上部内孔54のねじ部55にねじ込まれたセットスクリュー56と、上部内孔54内に第1スプリングシート57を有しかつノズルホルダ53を貫通して下端は、ノズルホルダ53の軸方向に摺動自在な初期リフト調整用シム58を介して、ニードル52の頭部と当接するプッシュロッド59と、セットスクリュー56の下端面に配設された1段目開弁圧調整用シム60と、このシム60と第1スプリングシート57との間に張設された第1スプリング61とによりなっている。
【0036】
また、主噴射の噴射開始圧力の調整手段としての第2調整手段は、ニードル52のすぐ上部に配設されており、ノズルホルダ53のノズル側に設けられた下部内孔63と、下部内孔63の下端に配設されかつノズルホルダ53の軸方向に摺動自在で、さらに初期リフト調整用シム58との間にクリアランスL1を有する第2スプリングシート64と、下部内孔63の上端面に配設された2段目開弁圧調整用シム65と、このシム65と第2スプリングシート64との間に張設された第2スプリング66とによりなっている。
【0037】
なお、71は燃料をノズル51に供給する油路、72はノズル51とニードル52上部の摺動肩52aとの間にクリアランスL2を有するスペーサ73とをノズルホルダ53に結合するリテーニングナット、74はスピルボルト、75はキャップナットである。
【0038】
ノズル内の燃料圧力室(図示せず)に導入される燃料噴射ポンプからの燃料圧力により、ニードル52にかかる圧力が所定値以上に高まると、初期リフト調整用シム58とプッシュロッド59を介して第1スプリング61を圧縮しながら、ニードル52は一定値(初期リフト量)L1だけ上方にリフトする。これが初期噴射であり、燃料圧力が第2スプリング66の設定圧力を越えるまではこの状態を維持する。ついで第2スプリングシート64を介して第2スプリング66を圧縮しながら、ニードル52が大きくリフトし、大量の燃料を供給する主噴射が始まる。
【0039】
このようにして、初期リフト(初期噴射)期間に少量の燃料を噴射し、ついでメインリフト(主噴射)期間に大量の燃料を噴射するという、段階的な燃料噴射が行われるのである。
【0040】
さて、NOxとスモークとが最適に低減されるように、噴射期間を定めているのであるが、それでも実噴射期間が長引いたり短すぎたりすることがあり、この噴射期間のずれが特に高EGR率状態である低中負荷域において生じたときには、NOxやスモークの排出量が増大するおそれがある。
【0041】
これに対処するため、本発明では、実噴射期間が目標噴射期間よりずれているときには、実噴射期間が目標噴射期間と一致するように上記燃料噴射ノズル3の初期リフト量を補正する。
【0042】
まず、初期リフト量L1を調整可能とするため、図10において、スペーサ73の上端側に、ノズル51側に向けて穿設した段付き部73aと第2スプリングシート64の下端との間に、ノズルホルダ53の軸方向に伸縮自在なリング状の圧電素子77を設けている。
【0043】
なお、実噴射期間を測定するため1段目開弁圧調整用シム60とセットスクリュー56との間にもリング状の圧電素子を78を設けている。これは、ニードル51のリフトによりプッシュロッド59を介して第1スプリング61が圧縮されると、その圧縮荷重により圧電素子78に歪みが生じるため、その歪みを電圧変換することで、実噴射期間を測定することができるわけである。
【0044】
次に、コントロールユニット11で実行される初期リフト量の補正内容を図11のフローチャートを参照しながら説明する。
【0045】
S31、32ではエンジン回転数Ne、アクセル開度Acc等の各種の運転条件とともに実噴射期間Tを読み込み、S33、S34において基本初期リフト量L1Nと目標噴射期間TNをマップ検索により求める。エンジンの発生するトルクとエンジン回転数に対して図12に示した基本初期リフト量の最適な特性が得られるように、またトルクとエンジン回転数に対して図13に示した目標噴射期間の最適な特性が得られるように、アクセル開度Accとエンジン回転数Neをパラメータとするマップ(図示せず)を設定しており、これらのマップを検索して求めるわけである。
【0046】
ここで、基本初期リフト量L1Nは、図12のようにエンジン回転数とトルクが高くなるほどその値が大きくなるように設定している。これは、高回転域や高負荷域でも初期リフト量を小さくしていると、噴射期間が長くなり、その結果、燃焼期間が長引いて等容度が悪化し、熱効率が悪くなる(燃費の悪化とともにスモーク排出特性も悪くなる)ので、これを避けるためである。
【0047】
図11のS35では、実噴射期間Tと目標噴射期間TNとの比較を行い、両者が同等であれば、図11のフローを終了する。両者が同等でないときには、S36、37で
ΔTN=T−TN
の式により噴射期間補正量ΔTNを算出し、この噴射期間補正量ΔTNと目標噴射期間TNとからテーブル検索により初期リフト補正量ΔL1を求める。初期リフト補正量ΔL1は、図14の特性に設定してあり、TNが一定の条件ではΔTNが大きくなるほど大きく、またΔTNが一定の条件ではTNが大きくなるほど大きくなる値である。
【0048】
この補正量ΔL1をS38において基本初期リフト量L1Nに加えた値を目標初期リフト量L1として算出し、これらを所定のアドレスに格納する。ΔTNが正(つまり実噴射期間が目標噴射期間より長い)のときには初期リフト量をΔL1だけ増大側に、この逆にΔTNが負(実噴射期間が目標噴射期間より短い)になると、初期リフト量をΔL1だけ減少側に補正するわけである。
【0049】
たとえば、実噴射期間が目標噴射期間より長くなっているときには、初期リフト量を増大側に補正すると、図15に示したように噴射率特性が変化して噴射期間が短くなり、これによって実噴射期間と目標噴射期間を一致させることができるのである。この逆に、実噴射期間が目標噴射期間より短いときには、初期リフト量を減少側に補正することによって、実噴射期間を目標噴射期間に一致させることができる。
【0050】
このようにして、実噴射期間が目標噴射期間と一致するように噴射ノズル3の初期リフト量を補正することで、特に高EGR率状態である低回転域での中高負荷域において噴射期間のずれが生じることに伴うNOxやスモークの排出量の増大を防止できる。
【0051】
図16は第2実施形態で、図示の燃料噴射ポンプ81は、いわゆるプレストローク量の調整手段を備えた送油率制御型の燃料噴射ポンプ(特開昭61−218769号公報参照)である。なお、EGR率の制御、スワール比の制御、噴射時期の遅角制御を行っている点は、第1実施形態と同じである。
【0052】
プレストローク量の調整手段は、図17に示すようにプランジャ84にガイドされた制御スリーブ86によるもので、回動可能なコントロールロッド89に取り付けたピン90の移動に合わせて、制御スリーブ86がプランジャ84の軸方向に上下運動を行い、これによって噴射ポンプのプレストローク量を変えることができる。なお、91はコントロールロッド89を駆動するためのアクチュエータ(ロータリソレノイド)、83はバレルである。
【0053】
噴射ポンプ81の詳細は次の通りである。図16において、プランジャ84の周囲に制御スリーブ86が装着され、この制御スリーブ86の位置により燃料圧送の開始時期が決まる。スリーブ85は燃料が送り込まれる燃料室87と加圧室85との間を連通する、プランジャ84軸心に設けた通路84aの燃料室側への開口(給油孔)84bを開閉し、プランジャ84が上昇する過程で、スリーブ86の下端より開口84bが閉じられると、燃料室87との連通が遮断され、加圧室85の圧力が高まり始める。その後、プランジャ84の上昇により加圧室85の圧力が吐出弁88の開弁圧を超えると、燃料噴射ノズルに向け燃料が圧送される。
【0054】
また、プランジャ84の上昇により、通路84aから分岐するポート84cがスリーブ86の途中に設けたスピルホート86aに連通すると、加圧室85が再び燃料室87と連通して、燃料の圧送が終了する。
【0055】
そして、図16の紙面と直角な方向に軸線を有しその軸線回りに回動可能なコントロールロッド89と、このコントロールロッド89に固定され制御スリーブ86の外周面に設けた切欠溝84c(図17参照)にはまり込むピン90とからなるスリーブ位置調整機構により、スリーブ86の位置を上下させることにより、燃料の圧送開始時期を進めたり、遅らせたりすることができる。
【0056】
また、分岐ポート84cはプランジャ84周囲に傾斜溝として開口しているので、プランジャ84の軸線回りの回転位置を、スリーブ92上に固着されたボール93に係合するラック(プランジャ回転調整機構)94を図16の紙面と直角な方向に変位させることにより、スピルホート86aに対する連通時期が変化し、燃料の圧送終了時期、すなわち燃料噴射量を変化させることができる。
【0057】
次に、図18、図19には、前記燃料噴射ポンプ81のカム位相を進角、遅角させる位相調整機構100である(特開昭58−48719号公報参照)。
【0058】
これは燃料噴射ポンプ81のポンプ軸(カム軸)81aと、エンジン回転が伝達される回転体101との連結部分に介装され、エンジン回転のポンプ軸81aに対する伝達位相を可変的に調整する。
【0059】
ポンプ軸80aに同軸結合される回転盤103の軸部102に、回転自由に回転体101が支持される。
【0060】
そして、回転体101から回転盤103に伝達される回転に必要に応じて位相差を付与するため、回転盤103と回転体101とを回転(円周)方向に相対変位可能に連結する機構として、まず回転盤103にはその回転中心から等距離位置に一対の円形孔103aが明けられ、ここに第1の偏心カム105が挿入される。また、この偏心カム105に設けた円形孔105aには第2の偏心カム106が挿入される。
【0061】
第2の偏心カム106の偏心ピン106bは、前記回転体101に側面から貫入し、また、第1の偏心カム105の偏心ピン105bは、シリンダ107に収装したピストン107aに連結する。
【0062】
シリンダ107は軸部102の放射方向に回転盤103に一体に取り付けられ、その油室107bには、軸部102の内周通路102aを介して供給される圧油が導かれる。ピストン107aはこの供給圧力と、リターンスプリング107cとがバランスする位置へと移動する。
【0063】
したがって、ピストン107aの位置に応じて偏心ピン105bにより第1の偏心カム105が回動し、これにより第2の偏心カム106が回転盤103に対して円周方向に変位し、その偏心ピン106bを介して連結する回転体101と回転盤103との回転方向の位相を変化させる。
【0064】
これにより、エンジン回転に対して、燃料噴射ポンプ80のポンプ軸80a、つまりカム81の回転位相が変化し、燃料の送油率が変わる。
【0065】
シリンダ107の油室107bへ導かれるオイルポンプ109からの油圧は、制御弁108の開度に応じて変化し、制御弁開度が増加すると油圧は低下する。
【0066】
さて、第1実施形態では、実噴射期間と目標噴射期間の差に応じて、図10に示した2スプリングノズルの初期リフト量を補正するように構成したが、第2実施形態では、実噴射期間と目標噴射期間の差に応じて送油率制御型の燃料噴射ポンプ81の送油率を補正するように構成する。第2実施形態では2スプリングノズルは必要ない。
【0067】
これを図20のフローチャートにより説明する。図20は図11に対応するもので、S41、S42、S43、S44、S45、S46が図11と異なる。図11と同じ部分の説明は省略する。
【0068】
なお、先にS41、S43、S45を説明し、S42、S44、S46はまとめて後述する。
【0069】
図20のS41では基本カム位相DQNをマップ検索により求める。基本カム位相DQNは、エンジン回転数Neとアクセル開度Accに基づいて図21の特性に設定してあるが、これは送油率を制御するもので、図25にも示すように、燃料噴射ポンプのカムの位相によってカム速度(リフト速度)が異なるため、このカム位相を変えることにより燃料送油率を変化させることができる。燃料噴射ポンプからの燃料圧送期間(スリーブ86により加圧室85と燃料室87の連通が遮断されてから、連通が再開するまでの期間)が同じでも、カム位相を進角させればカム速度の速い領域を利用できるので送油率は高まり、逆に遅角させれば送油率が低くなる。基本的な送油率は、アクセル開度が小さいときほど大きくなるように設定してあり、したがって低アクセル開度域でカム位相の進角値を大きくしている。
【0070】
S43では、噴射期間補正量ΔTNからテーブル検索によりカム位相補正量ΔDQを求め、このカム位相補正量ΔITをS45において基本カム位相DQNに加えることによってカム位相を補正し、補正後の値を目標カム位相DQとして所定のアドレスに格納する。
【0071】
カム位相補正量ΔDQは、図22に示したように、ΔTNが大きくなるほど大きくなる値である。たとえば、ΔTNが正(実噴射期間が目標噴射期間より長い)のときにはカム位相をΔDQだけ進角側に補正(つまり圧送開始時期を一定のままカムを図25において図中の左側に変化させる)することで、送油率が大きくなり、これによって噴射期間が短くなることから、実噴射期間と目標噴射期間を一致させることができるのである。この逆にΔTNが負(実噴射期間が目標噴射期間より短い)になると、カム位相の遅角補正により送油率を低下させる(噴射期間を長くする)ことによって、実噴射期間を目標噴射期間に一致させることができる。
【0072】
ただし、この噴射ポンプ81では、図26に示すように、プレストローク量を大きくしていくと、噴射量は一定のまま、噴射時期が遅角するとともに、送油率が上昇していく特性であるため、実噴射期間を目標噴射期間に一致させるためとはいえ、上記のようにたとえばカム位相の進角補正により送油率を上昇させたときには、同時に噴射時期が遅角してしまうので、S42、S44、S46を設けて、そのための補正を行っている。
【0073】
具体的には、S42で基本プレストローク量PSNをマップ検索により求める。エンジンの発生するトルクとエンジン回転数に対して図23に示した基本プレストローク量の最適な特性が得られるようにアクセル開度Accとエンジン回転数Neをパラメータとするマップ(図示せず)を設定しており、これらのマップを検索して求めるわけである。プレストローク量は、通常、圧送を開始するタイミングでのカムリフト量で定義しているため、プレストローク量を大きくすると、噴射時期が遅角側に移動するので、高回転域や高負荷域では噴射時期を進めるため、図23のように回転数とトルクが大きくなるほどプレストローク量を小さくしている。
【0074】
S44では、噴射期間補正量ΔTNと目標噴射期間TNとからマップ検索によりプレストローク補正量ΔPSを求め、このプレストローク補正量ΔPSをS46において基本プレストローク量PSNに加えることによってプレストローク量を補正し、補正後の値を目標プレストローク量PSとして所定のアドレスに格納する。
【0075】
プレストローク補正量ΔPSは、図24の特性に設定してあり、TNが一定の条件ではΔTNが大きくなるほど負の値で大きく、またΔTNが一定の条件ではTNが大きくなるほど負の値で大きくなる値である。
【0076】
このようにして、実噴射期間と目標噴射期間との差に応じて送油率を補正する場合に、実噴射期間が目標噴射期間より長いときにはプレストローク量をΔPSだけ小さくして圧送開始タイミングを早め、また実噴射期間が目標噴射期間より短くなると、プレストローク量をΔPSだけ大きくして圧送開始タイミングを遅らせることで、実噴射期間と目標噴射期間とが一致するように送油率を補正する場合にも、圧送開始タイミングが変化することがない。
【0077】
第1実施形態では、分配型燃料噴射ポンプと2スプリングノズルで説明したが、これに限られるものでなく、列型、カムシャフトレス型の各燃料噴射ポンプおよびユニットインジェクタについても適用することができる(これら3種類の燃料噴射ポンプはユニットインジェクタを含めてジャーク式燃料噴射ポンプと総称される)。また、第2実施形態では、送油率制御型が列型燃料噴射ポンプに適用された場合で説明したが、これに限らず、送油率制御型であれば、他の燃料噴射ポンプにも適用することができる。
【0078】
【発明の効果】
第1の発明では、実噴射期間が目標噴射期間と一致するようにノズルの初期リフト量を決定することで、特に高EGR率状態において噴射期間のずれが生じることに伴うNOxやスモークの排出量の増大を防止できる。
【0079】
第3の発明では、実噴射期間が目標噴射期間と一致するようにカム位相を決定することで、特に高EGR率状態において噴射期間のずれが生じることに伴うNOxやスモークの排出量の増大を防止できる。
【0080】
第5の発明では、プレストローク量を大きくしていくと、噴射量は一定のまま、噴射時期が遅角するとともに、送油率が上昇していく特性の燃料噴射ポンプを用いて、実噴射期間と目標噴射期間とが一致するようにカム位相を決定する場合にも、噴射時期が変化することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す全体的な概略構成図である。
【図2】排気還流率の制御特性図である。
【図3】スワール生成手段の説明図である。
【図4】同じくその作動状態を示す説明図である。
【図5】スワール比の制御特性図である。
【図6】分配型燃料噴射ポンプの断面図である。
【図7】同じくその一部の断面図である。
【図8】燃料噴射時期の制御特性図である。
【図9】燃料噴射時期の制御ブロック図である。
【図10】2スプリングノズルの断面図である。
【図11】初期リフト量の補正を説明するためのフローチャートである。
【図12】基本初期リフト量L1Nの制御特性図である。
【図13】目標噴射期間TNの制御特性図である。
【図14】初期リフト補正量ΔL1の制御特性図である。
【図15】噴射率の特性図である。
【図16】第2実施形態の送油率制御型の燃料噴射ポンプの断面図である。
【図17】プレストロークの可変機構を説明するための斜視図である。
【図18】カム位相調整機構の要部断面図である。
【図19】カム位相調整機構の正面図である。
【図20】送油率の補正を説明するためのフローチャートである。
【図21】基本カム位相DQの制御特性図である。
【図22】カム位相補正量ΔDQの制御特性図である。
【図23】基本プレストローク量PSNの制御特性図である。
【図24】プレストローク補正量ΔPSの制御特性図である。
【図25】カム速度特性図である。
【図26】送油率特性図である。
【図27】第1の発明のクレーム対応図である。
【図28】第3の発明のクレーム対応図である。
【図29】第5の発明のクレーム対応図である。
【符号の説明】
1 分配型燃料噴射ポンプ
3 2スプリングノズル
11 コントロールユニット
77 圧電素子(初期リフト量調整手段)
78 圧電素子(実噴射期間検出手段)
81 送油率制御型の燃料噴射ポンプ
100 カム位相調整機構
Claims (7)
- プランジャにより燃料を圧送するジャーク式燃料噴射ポンプを備え、低負荷時にEGR率を大きくして、燃料の噴射時期を上死点後まで遅らせたディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置において、
前記圧送燃料の圧力に応じて段階的にニードルがリフトして燃料を多段噴射するノズルの初期リフト量を制御量に応じて調整可能な手段と、
目標噴射期間をエンジンの回転数と負荷に基づいて算出する手段と、
実噴射期間を検出する手段と、
この実噴射期間と目標噴射期間との比較を行い、両者が一致するように前記初期リフト量調整手段への制御量を決定する手段と
を設けたことを特徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置。 - 前記制御量決定手段は、運転条件に応じて基本初期リフト量を算出する手段と、実噴射期間と目標噴射期間の差に応じて初期リフト補正量を算出する手段と、この初期リフト補正量で前記基本初期リフト量を補正した値を前記制御量として決定する手段とからなることを特徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置。
- カムにより駆動されるプランジャにより燃料を圧送する燃料噴射ポンプを備え、低負荷時にEGR率を大きくして、燃料の噴射時期を上死点後まで遅らせたディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置において、
進角させると送油率が大きくなり遅角させると送油率が小さくなる前記燃料噴射ポンプのカム位相を制御量に応じて調整可能な手段と、
目標噴射期間をエンジンの回転数と負荷に基づいて算出する手段と、
実噴射期間を検出する手段と、
この実噴射期間と目標噴射期間との比較を行い、両者が一致するようにカム位相を進角または遅角させる前記カム位相調整手段への制御量を決定する手段と
を設けたことを特徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置。 - 前記制御量決定手段は、運転条件に応じて基本カム位相を算出する手段と、前記実噴射期間と目標噴射期間の差に応じてカム位相補正量を算出する手段と、このカム位相補正量で前記基本カム位相を補正した値を前記制御量として決定する手段とからなることを特徴とする請求項3に記載のディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置。
- 前記燃料噴射ポンプのプレストローク量を制御量に応じて調整可能な手段と、前記実噴射期間と目標噴射期間との比較を行い、両者が一致するように前記プレストローク量調整手段への制御量を決定する手段とを設けたことを特徴とする請求項3または4に記載のディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置。
- 前記前記制御量決定手段は、運転条件に応じて基本プレストローク量を算出する手段と、前記実噴射期間と目標噴射期間の差に応じてプレストローク量補正量を算出する手段と、このプレストローク量補正量で前記基本プレストローク量を補正した値を前記制御量として決定する手段とからなることを特徴とする請求項5に記載のディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置。
- 排気還流率を調整可能な手段と、
スワール比を調整可能な手段と、
燃料の噴射時期を調整可能な手段と、
中回転・中負荷域と低回転の全負荷域で前記排気還流率が高くかつ低回転になるほど前記スワール比が大きく、さらに高排気還流率の状態で前記燃料の噴射時期が圧縮上死点後まで遅れるように、前記3つの調整手段への各制御量を決定する手段と
を設けたことを特徴とする請求項1から6までのいずれか一つに記載のディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置。
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JPH09144567A JPH09144567A (ja) | 1997-06-03 |
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