JP3588545B2 - ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リサイクル性に優れたポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィンの発泡体は、機械的物性と熱的物性のバランスに優れ、さらに後に加熱賦形できるので、工業資材として広く利用されている。これらのうち例えば自動車のドア、天井などの内装材としては、ポリプロピレン系樹脂を主体とした発泡体が、その良好な耐熱性のため主流をなしている。
【0003】
従来より、ポリオレフィン系樹脂のシート状発泡体を製造するには、同樹脂が発泡可能な融体強度を有したものとなるようにこれを架橋する必要がある。例えばポリプロピレン系樹脂組成物に発泡剤を加えて同組成物をシート状に成形し、これを30〜50%程度のゲル分率を示すまで架橋した後、架橋物を加熱して発泡剤を熱分解させ発泡させる製造方法が採られている。
【0004】
上記シート状ポリオレフィン系樹脂組成物の架橋方法としては、放射線や電子線の照射による方法、紫外線の照射による方法、有機過酸化物などの熱分解型化学架橋剤による方法、あるいはポリオレフィンにアルコキシシリル基を導入しそれを縮合反応させる方法などがある。
【0005】
またこれらの架橋による融体強度の向上によって、得られた発泡体を後の工程で加熱賦形し、任意の形状に加工することも可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
これらの方法のうち、電子線による架橋方法は生産性に優れ工業的に広く実施されており、例えば特公平6−45717号公報には、ポリプロピレン系樹脂に特定のエチレン共重合体と特定のエチレン−α−オレフィン共重合体と特定のビニルモノマーを加え、更に発泡剤を加えた溶融混和物のシート状成形体に、連続して電子線を照射してゲル分率を20〜60%とした後に、得られた連続架橋シートを発泡させる架橋発泡体の製法が開示されている。
【0007】
しかしながら、この方法では、電子線照射装置のための多大な設備投資が必要であり、しかも架橋がポリマーの非結晶部分でしか起きないため、その後の発泡が不均一なものとなりピンホールなどを有する不良品が生じる嫌いがある。また、成形品の形状がシート状に限定され、棒状、厚物ボード、異型形状等は困難である。
【0008】
他方、特公昭58−57452号公報には、ポリプロピレン系樹脂に特定の多官能モノマーと熱分解型発泡剤を加えて全体を溶融混和してなる組成物を、加熱によって架橋発泡させる架橋発泡体の製造方法が記載されている。
【0009】
また、特開昭48−100470号ではケイ素含有化合物をグラフトまたは共重合した樹脂に、熱分解型発泡剤を混練賦型後、脱水縮合反応により架橋させ、加熱により発泡する架橋発泡体の製造方法が開示されている。これらの方法は電子線や放射線による架橋法と比較して、設備投資は少なくて済み、得られた架橋発泡体の均質性にも優れる。また、これらの方法はある程度異型形状のものにも対応が可能である。しかしながら、架橋時間が長くかつ架橋度を一定に保つことが困難であるため、生産性および品質の安定保持がしにくい問題がある。
【0010】
近年、環境資源問題に対する方策として、例えば自動車部材においては部材のリサイクル性が要求されており、バンパーや内装用の表皮材などのポリプロピレン製部材に関しては既に技術的な取組みがなされている。しかしながらポリプロピレン系樹脂を始めとするポリオレフィン系樹脂発泡体は、上記のとおり通常は架橋されているため、使用後に回収しても再溶融できずリサイクルに適しないのが実状である。
【0011】
本発明の目的は、上記の点に鑑み、設備投資が少なくて済み、得られた架橋発泡体の均質性、形状対応力に優れ、発泡倍率の調整が容易であり、さらには使用後の発泡体を回収して再び溶融、成形することができるポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明によるポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法は、ポリオレフィン系樹脂(A) 100重量部とジオキシム化合物0.05〜5重量部を170℃〜ポリオレフィン系樹脂(A) の分解温度の温度範囲で溶融混和して樹脂を改質し、得られた改質樹脂組成物(B) に未改質のポリオレフィン系樹脂(C) を、重量比(B) :(C) =20〜80:80〜20(ただし(B) +(C) =100)でブレンドし、得られたブレンド物に熱分解型化学発泡剤を混練し、得られた発泡性樹脂組成物を加熱して発泡剤の分解によって発泡させることを特徴とする方法である。
【0013】
本発明方法における未改質のポリオレフィン系樹脂(A) およびポリオレフィン系樹脂(C) の主体をなすポリオレフィンは、オレフィン性モノマーの単独重合体、または主成分オレフィン性モノマーと他のモノマーとの共重合体であり、特に限定されるものではないが、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン、ホモタイプポリプロピレン、ランダムタイプポリプロピレン、ブロックタイプポリプロピレン等のポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、エレチン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等のエチレンを主成分とする共重合体などが例示され、またこれらの2以上の組合わせであってもよい。
【0014】
ポリオレフィン系樹脂とは上記ポリオレフィンの割合が70〜100重量%である樹脂組成物を指す。ポリオレフィン系樹脂を構成するポリオレフィン以外の樹脂は限定されないが、例えば、ポリスチレン、スチレン系エラストマーなどが挙げられる。ポリオレフィン系樹脂中のポリオレフィンの割合が70重量%を下回ると、ポリオレフィンの特徴である軽量、耐薬品性、柔軟性、弾性等が発揮できないばかりか、発泡に必要な溶融粘度を確保することが困難となる場合があるので好ましくない。
【0015】
本発明方法における未改質のポリオレフィン系樹脂(A) およびポリオレフィン系樹脂(C) は、互いに同一樹脂でも異質樹脂でもよいが、ポリエチレンやポリプロピレンの1種もしくは2種以上の組みあわせが好ましい。
【0016】
特に、ポリオレフィン系樹脂(A) は、230℃におけるメルトフローレートが4g/10分未満であるポリプロピレン樹脂が好ましい。メルトフローレート4以上の樹脂は、改質が不十分で、充分な溶融張力を有していないことがあり、発泡時に倍率低下を引き起こす嫌いがある。
【0017】
ここでいうメルトフローレートとは、ASTM D 1238で規定された押出型プラストメータを用いて、一定の温度圧力でオリフィスから熱可塑性樹脂を押出し、押出量を10分間あたりのグラム数に換算して表した数値である。
【0018】
改質樹脂組成物を得るには、ポリオレフィン系樹脂とジオキシム化合物を所定条件で溶融混和する。具体的には、スクリュー押出機やニーダーなどの混練装置に上記両物質を所要量ずつ投入し、溶融混和する。この溶融混和温度は170℃以上かつポリオレフィン系樹脂の分解温度(通常約300℃)以下、好ましくは200℃〜250℃である。溶融混和温度が170℃を下回ると改質が不十分で、最終的に得られる発泡体の発泡倍率が十分高くならないことがあり、約300℃を越えるとポリオレフィン系樹脂が分解し易くなる。
【0019】
本発明方法で用いるジオキシム化合物とは、以下の一般式で示されるような、オキシム基(化学式I)またはその水素原子が他の原子団(主に炭化水素基)で置換された構造(化学式II)を分子内に2個有する化合物であり、例えばp−キノンジオキシム(化学式III )、p,p−ジベンゾイルキノンジオキシム(化学式IV)が例示される。ジオキシム化合物は2種以上の組合わせで使用することもできる。
【0020】
【化1】
【0021】
【化2】
【0022】
【化3】
【0023】
【化4】
【0024】
ジオキシム化合物の添加量はポリオレフィン系樹脂(A) 100重量部に対して0.05〜5重量部であり、好ましくは0.2〜3重量部である。この添加量が0.05重量部未満であると、発泡に必要な溶融粘度を付与できず、5重量部を越えると、架橋度が上がりすぎ、押出成形性が悪くなる(例えば、高負荷がかかる、メルトフラクチャーが発生する)上に、後で添加する発泡剤を樹脂組成物中に均一に混練できず、不必要にゲル分率が上がりすぎ、リサイクル性を損なう。加えて、未反応物のジオキシムが製品中に残留する割合が多くなり、人体に刺激を及ぼすと共に、原料に対する製品生成効率が低くなる。
【0025】
上記溶融混和に用いる混練装置は、スクリュー押出機の他、一般的にプラスチック成形加工で使用されうる溶融混練装置であればよく、例えばニーダー、ローター、連続混練機などが例示される。このうち連続運転が行えるスクリュー押出機が好ましく、1軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、3本以上のスクリューを備えた多軸スクリュー押出機などがいずれも好適に用いられる。1軸スクリュー押出機としては、一般的なフルフライト型スクリューに加え、不連続フライト型スクリュー、ピンバレル、ミキシングヘッドなどを有する押出機なども用いられる。また、上記2軸スクリュー押出機としては、噛み合い同方向回転型押出機、噛み合い異方向回転型押出機、非噛み合い異方向回転型押出機などが好適に使用し得る。なお、押出機の後段に真空ベントを設けることは、樹脂組成物中に揮発物が残存するのを防ぐのに効果的である。
【0026】
スクリュー押出機を用いる場合、ポリオレフィン系樹脂(A) は通常はホッパーから押出機へ投入されるが、定量性を増すため、スクリュー式フィーダー、重量管理式フィーダーなどを用いることも好ましい。
【0027】
ジオキシム化合物は、ポリオレフィン系樹脂(A) と同時にホッパーから押出機へ投入してもよいが、定量フィーダー等を用い、ポリオレフィン系樹脂(A) と同じ位置で押出機内に投入するか、押出機にてポリオレフィン系樹脂が溶融する位置より後流部に設けられた注入孔から、サイドフィーダー等を用い、押出機途中で投入してもよい。
【0028】
次に、上記工程で得られた改質樹脂組成物(B) に未改質のポリオレフィン系樹脂(C) を、重量比(B) :(C) =20〜80:80〜20(ただし(B) +(C) =100)でブレンドする。
【0029】
本工程で改質樹脂組成物(B) の割合は全体の20%以上、好ましくは30%以上である。20%以上の改質樹脂組成物(B) が存在すれば、発泡に必要な溶融張力保持が可能となり、良好な発泡性を発現する。ポリオレフィン系樹脂(C) としては、目的に応じて、必要な物性に最も適した樹脂を選択する。例えば、発泡体原反の流れ性をよくしたければ、ブレンドする樹脂(C) として粘度の低い樹脂を用いる。柔らかい発泡体を得たければ、ポリオレフィン系樹脂(C) として密度の低い樹脂を用いる。このように、改質樹脂組成物(B) にポリオレフィン系樹脂(C) をブレンドすることによって、原反や発泡体に幅広い性能を持たせることが可能になる。改質樹脂組成物(B) の割合が全体の20%未満であると、発泡に必要な溶融張力が保持できないため、発泡倍率の低下を引き起こし、良好な発泡体が得られない。
【0030】
また、改質樹脂組成物(B) の割合は全体の80%以下、好ましくは70%以下である。改質樹脂組成物(B) の割合が大き過ぎると、押出時の成形性が悪くなり、成形品の表面性を損なう恐れがある。
【0031】
更に、上記工程で得られたブレンド物に熱分解型化学発泡剤を混練し、発泡性樹脂組成物を得る。
【0032】
本発明で用いる熱分解型化学発泡剤は、加熱により分解ガスを発生するものであれば特に限定されるものではない。熱分解型化学発泡剤の代表的な例は、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)である。これらは単独で用いてもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。その中でもアゾジカルボンアミドが特に好適に用いられる。
【0033】
上記ブレンド物に熱分解型化学発泡剤を混練する際は、押出機内で発泡剤が予め1次発泡しない温度条件で混練を行うことが重要である。例えば、アゾジカルボンアミドに発泡助剤を加えない場合、その分解温度は185℃付近であるので、発泡剤をブレンド物に混ぜる時の温度条件は185℃以下にする。温度が185℃を越えると、混練機内で初期発泡が発生し、原反に不均一な気泡が混入し、その結果、発泡倍率の低下、発泡体中の不均一粗大気泡の発生、発泡体の品質低下といった問題が生じる恐れがある。
【0034】
熱分解型化学発泡剤は、改質樹脂組成物(B) 100重量部に対して、1〜50重量部、好ましくは2〜35重量部の範囲で所望の発泡倍率に応じて適宜の量で使用される。
【0035】
このようにして、ポリオレフィン系樹脂(A) とジオキシム化合物から得られた改質樹脂組成物(B) に未改質のポリオレフィン系樹脂(C) をブレンドし、得られたブレンド物に熱分解型化学発泡剤を混練して発泡性樹脂組成物を得るには、上述の改質用の溶融混練装置と、これとは別の発泡剤混和用の混練装置(構造は改質用の溶融混練装置のそれと同じであってもよい)とを用いて、同発泡剤が実質的に分解しない最高温度以下で両者を混合する。この溶融混練の態様としては下記のものがある。
【0036】
(a) 改質用の回分式あるいは連続式の溶融混練装置において、ポリオレフィン系樹脂(A) とジオキシム化合物を溶融混和し、得られた改質樹脂組成物(B) を同溶融混練装置から取り出して固化、造粒などを行った後、同樹脂組成物(B) を発泡剤混和用の回分式あるいは連続式の混練装置に移し、これに未改質のポリオレフィン系樹脂(C) ついで発泡剤を投入し、三者を溶融混練し、発泡性樹脂組成物を得る。
【0037】
(b) 改質用の回分式の溶融混練装置において、ポリオレフィン系樹脂とジオキシム化合物を190℃以上の温度で溶融混和して改質を行い、得られた改質樹脂組成物を同混練装置内で、例えば185℃の温度まで冷却した後、これに未改質のポリオレフィン系樹脂(C) ついで発泡剤を追加投入し、三者を溶融混練し、発泡性樹脂組成物を得る。
【0038】
(c) 改質用のスクリュー押出機(連続式の溶融混練装置)において、ポリオレフィン系樹脂とジオキシム化合物を190℃以上の温度で溶融混和し、得られた改質樹脂組成物を185℃以下の温度まで降温させた後、さらに同スクリュー押出機の途中に設けた供給口より未改質のポリオレフィン系樹脂(C) ついで発泡剤を投入し、三者を溶融混練し、発泡性樹脂組成物を得る。
【0039】
(d) 連続操作のもう一つの形態では、2台のスクリュー押出機などを連結して、1台目でポリオレフィン系樹脂とジオキシム化合物を溶融混和し、得られた改質樹脂組成物を上記と同様に降温させた後、同樹脂組成物を2台目に移し、これに未改質のポリオレフィン系樹脂(C) ついで発泡剤を投入し、三者を溶融混練し、発泡性樹脂組成物を得る。
【0040】
ブレンド物に熱分解型化学発泡剤を混練してなる発泡性樹脂組成物は、必要に応じて賦形されてもよい。賦形の方法は押出成形の他、プレス成形、ブロー成形、カレンダリング成形、射出成形など、プラスチックの成形加工で一般的に行われる方法が適用可能である。
【0041】
特に、上記(a)(b)の方法にしたがって得られる発泡性樹脂組成物を、回分式の発泡剤混和用混練装置より取り出し、これをスクリュー押出機に投入して連続的にシート形状に賦形する方法、あるいは、上記(a)(c)(d) の方法にしたがって、スクリュー押出機より吐出する発泡性樹脂組成物を、直接賦形する方法が、生産性の観点より好ましい。
【0042】
こうして得られた発泡性樹脂組成物またはその賦形物は、適切な温度条件で加熱することにより、一定圧力下で所望の発泡倍率に発泡させることができる。上記加熱は、通常は熱分解型化学発泡剤の分解温度から、分解温度+100℃までの温度範囲で行われる。これを行うための発泡装置としては、一般的に、空気雰囲気中で運転する、縦型または横型発泡炉、熱風恒温槽や、あるいはオイルバス、メタルバス、ソルトバスなどの熱浴が用いられる。
【0043】
このような方法によって製造される発泡体原反は、発泡性を確保しつつ流れ性が良好であり、異形品の成形が可能であるほか、さらには製品成形後も溶融、ペレット化すれば再度利用するできるものである。
【0044】
このような特性を示す理由は定かでないが、本樹脂は微架橋の状態で、架橋樹脂が未改質樹脂中に微分散されていて、架橋樹脂を未改質の樹脂が包み込むような構造をとっているため、発泡に必要な溶融張力を保持しつつ、流れ性が確保できるものと考えられる。
【0045】
本発明の方法により製造された発泡体の発泡倍率(発泡体の比容)は、好ましくは10倍(cc/g)以上、より好ましくは12倍(cc/g)以上である。発泡倍率が10倍未満であると、断熱性、緩衝性、遮音性、柔軟性、浮揚性などに優れた発泡体が得られないことがある。
【0046】
【作用】
本発明方法で製造される発泡体原反は、微架橋成形体となっているため、発泡に必要な溶融張力をこの架橋部分により保持することができる。一方、架橋に寄与していない成分も多量に存在するため、混練や賦型が可能な程、溶融流動性を維持することができる。このため、異形成形が可能な他、成形後もこれを再度融解して再利用するリサイクル性能を有する。
【0047】
【発明の実施の形態】
本発明を実施例によってより具体的に説明する。
【0048】
(実施例1)
i)発泡性樹脂組成物の製造
始めに、本発明方法において、樹脂の改質および発泡剤混練およびブレンドに使用する装置について、説明をする。
【0049】
図1中、改質用スクリュー押出機(1) は、その先端に設けられた連結管と、発泡剤混練および樹脂ブレンド用スクリュー押出機(2) の長さ中間部に設けられた連結管とを介して、スクリュー押出機(2) に連結している。発泡剤混練および樹脂ブレンド用スクリュー押出機(2) は先端寄りに発泡剤供給サイドフィーダー(3) を有し、先端に成形ダイ(4) を有する。これら2基のスクリュー押出機(1) (2) の各先端部には揮発分吸引ポンプ(5)(6)が接続され、またこれら押出機は樹脂温度測定用の熱電対(7) (8) (9) (10)を備えている。
【0050】
改質用スクリュー押出機(1) はBT40(プラスチック工学研究所社製)同方向回転2軸スクリュー押出機であり、これはセルフワイピング2条スクリューを備え、そのL/Dは35、Dは39mmである。
【0051】
発泡剤混練および樹脂ブレンド用スクリュー押出機(2) はTEX−44型(日本製鋼所社製)同方向回転2軸スクリュー押出機であり、これはセルフワイピング2条スクリューを備え、そのL/Dは45.5、Dは47mmである。
【0052】
成形ダイはシート形状Tダイ(幅200mm×厚み1mm)である。
【0053】
上記構成の装置において、まず、改質用スクリュー押出機(1) にポリオレフィン系樹脂(A) およびジオキシム化合部を、その後端ホッパーから投入し、全区間設定温度220℃、150rpmの条件で両者を溶融混和し、改質樹脂組成物(B) を得た。このとき、押出機内で発生した揮発分は吸引ポンプ(5) により真空引きした。
【0054】
ポリオレフィン系樹脂(A) はポリプロピレン系ランダムコポリマー(三菱化学社製「EG8」、230℃でのメルトフローレート;0.7g/10分)であり、その供給量は5kg/hとした。
【0055】
ジオキシム化合物としてキノンジオキシム(大内新興化学社製)をポリオレフィン系樹脂(A) 100重量部に対して1.5重量部供給した。
【0056】
改質用スクリュー押出機(1) において熱電対(7) で測定した樹脂の改質温度は228℃であった。
【0057】
次に、発泡剤混練および樹脂ブレンド用押出機(2) に未改質のポリオレフィン系樹脂(C) をその後端ポッパーから投入し、改質用押出機(1) より連結部を経て改質樹脂組成物(B) を供給し、これらを充分に混練分散させた。改質樹脂組成物(B) と未改質のポリオレフィン系樹脂(C) の重量比は5:5とした。そののち、この押出機(2) のサイドフィーダー(3) から発泡剤を供給し、分散させ、押出機先端のTダイ(4) よりシート状の成形物を得た。
【0058】
未改質ポリオレフィン計樹脂(C) はポリプロピレンのホモポリマー(三菱化学社製「EA7」、230℃でのメルトフローレート;1.2g/10分)、発泡剤はアゾジカルボンアミド(ADCA)であり、押出機条件は185℃×30rpm、押出量は5kg/h、金型温度は165℃とした。熱電対(8) (9) (10)で測定した樹脂の温度はそれぞれ190℃、185℃および163℃であった。
【0059】
ii) 発泡体の作成
得られた発泡性樹脂組成物からなる成形シートを100mm角に切断し、この切断片を230℃の熱風乾燥器内に5分間放置し、発泡させた。
【0060】
iii )発泡体の物性
得られた発泡体の発泡倍率(発泡体サンプルの比容測定値)は30cc/gであった。
【0061】
再流動性の評価はつぎのように行った。上記改質スクリュー押出機(1) と同じ仕様で、先端に径3mmのストランドダイを取り付けた押出機を用い、シリンダーバレル温度を220℃に設定した。この押出機で、得られた発泡体の粉砕品20重量%と元のポリオレフィン系樹脂(A) 80重量%を混練押し出し、押出物の外観をチェックした。再流動性評価結果は成形性良好、異物なしであった。
【0062】
(実施例2)
改質樹脂組成物(B) と未改質のポリオレフィン系樹脂(C) の重量比を3:7に変え、キノンジオキシムの添加量をポリオレフィン系樹脂(A) 100重量部に対して2.5重量部とした以外、実施例1と同じ操作を行った。
【0063】
得られた発泡体の発泡倍率は30cc/gであった。また、再流動性評価結果は良好で、リサイクル性に問題はなかった。
【0064】
(実施例3)
ポリオレフィン系樹脂(A) および未改質のポリオレフィン系樹脂(C) として、いずれもポリエチレン(ダウ・ケミカル社製「アフィニティ PL1880」、190℃でのメルトフローレート;1.0g/10分)を用い、改質樹脂組成物(B) と未改質のポリオレフィン系樹脂(C) の重量比を5:5とし、キノンジオキシムの添加量をポリオレフィン系樹脂(A) 100重量部に対して0.1重量部とし、改質用スクリュー押出機(1) の回転数を50rpmとした以外、実施例1と同じ操作を行った。
【0065】
得られた発泡体の発泡倍率は30cc/gであった。また、再流動性評価結果は良好で、リサイクル性に問題はなかった。
【0066】
(実施例4)
ポリオレフィン系樹脂(A) および未改質のポリオレフィン系樹脂(C) として、いずれもポリプロピレンのホモポリマー(三菱化学社製「FY4」、230℃でのメルトフローレート;5g/10分)を用い、改質樹脂組成物(B) と未改質のポリオレフィン系樹脂(C) の重量比を5:5とし、キノンジオキシムの添加量をポリオレフィン系樹脂(A) 100重量部に対して4重量部とした以外、実施例1と同じ操作を行った。
【0067】
得られた発泡体の発泡倍率は23cc/gであった。また、再流動性評価結果は良好で、リサイクル性に問題はなかった。
【0068】
実施例1〜4の構成および評価結果を表1にまとめて示す。
【0069】
【表1】
【0070】
(比較例1)
改質用スクリュー押出機(1) において樹脂の改質温度を160℃にした以外、実施例1と同じ操作を行った。
【0071】
得られた発泡体の発泡倍率は8cc/gであった。また、リサイクル性に問題はなかった。
【0072】
(比較例2)
改質樹脂組成物(B) と未改質のポリオレフィン系樹脂(C) の重量比を1:9に変え、キノンジオキシムの添加量をポリオレフィン系樹脂(A) 100重量部に対して7.5重量部とした以外、実施例1と同じ操作を行った。
【0073】
得られた発泡体の発泡倍率は9cc/gであった。また、再流動性についてはストランドにメルトフラクチャー発生が発生し、リサイクル性はやや悪かった。
【0074】
(比較例3)
ポリオレフィン系樹脂(A) および未改質のポリオレフィン系樹脂(C) として、いずれもポリエチレン(旭ダウ社製「アフィニティ EG8150」、190℃でのメルトフローレート;0.5g/10分)を用い、改質樹脂組成物(B) と未改質のポリオレフィン系樹脂(C) の重量比を1:9とし、キノンジオキシムの添加量をポリオレフィン系樹脂(A) 100重量部に対して0.04重量部とし、改質用スクリュー押出機(1) の回転数を50rpmとした以外、実施例1と同じ操作を行った。
【0075】
得られた発泡体の発泡倍率は6cc/gであった。また、リサイクル性に問題はなかった。
【0076】
(比較例4)
発泡剤混練および樹脂ブレンド用スクリュー押出機(2) を用いて、ポリオレフィン系樹脂(A) としてのポリプロピレン系ランダムコポリマー(三菱化学社製「EG8」、230℃でのメルトフローレート;0.5g/10分)100重量部に対しキノンジオキシム1重量部、ADCA15重量部を添加して、幅200mm×厚み1mmのシートを成形した。次に、電子線照射機(日新ハイボルテージ社製)により600kevでシート両面を10Mradで電子線照射した。得られた発泡性樹脂組成物からなる成形シートを200mm角に切断し、この切断片を230℃の熱風乾燥器内に5分間放置し、発泡させた。
【0077】
得られた発泡体の発泡倍率は28cc/gであった。また、再流動性評価(リサイクル性)については、押出機の背圧が上がりすぎ、押し出すことができなかった。
【0078】
比較例1〜4の構成および評価結果を表2にまとめて示す。
【0079】
【表2】
【0080】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、微量なポリマー架橋により、後に発泡剤との混練や賦形が可能な程度の融流動性を維持しつつ、同時に発泡が可能な程度の融体強度を有する改質樹脂組成物を得ることができ、この改質樹脂組成物に更に未改質樹脂を付加することによって、均質性に優れ、使用後の発泡体を回収して再び溶融、成形することができるリサイクル性に優れたポリオレフィン系樹脂発泡体を少ない設備投資で製造することができる。
【0081】
また、請求項2記載の発明によれば、高倍率の発泡体が安定して得られ易い 上に、耐熱性や強度の点で優れた発泡体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は樹脂の改質および発泡剤混練および樹脂ブレンドに使用する連続式発泡性樹脂組成物の製造装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1:改質用スクリュー押出機
2:発泡剤混練および樹脂ブレンド用スクリュー押出機
3:発泡剤供給サイドフィーダー
4:成形ダイ
5、6:揮発分吸引ポンプ
7、8、9、10:熱電対
Claims (2)
- ポリオレフィン系樹脂(A) 100重量部とジオキシム化合物0.05〜5重量部を170℃〜ポリオレフィン系樹脂(A) の分解温度の温度範囲で溶融混和して樹脂を改質し、得られた改質樹脂組成物(B) に未改質のポリオレフィン系樹脂(C) を、重量比(B) :(C) =20〜80:80〜20(ただし(B) +(C) =100)でブレンドし、得られたブレンド物に熱分解型化学発泡剤を混練し、得られた発泡性樹脂組成物を加熱して発泡剤の分解によって発泡させることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
- ポリオレフィン系樹脂(A) が、230℃におけるメルトフローレートが4g/10分未満であるポリプロピレン樹脂であることを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
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