JP3587559B2 - 光束分割素子 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、光学機器に用いられる、光束を二以上に分割する光束分割素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
光束を分割する周知の手段として、ふたつの45度三角プリズムの斜面同志を合わせてキューブ状とし、その合わせ面に半透膜を設けたビームスプリッタがある。このビームスプリッタの合わせ面に対向する一つの面から光を入射させると、半透膜を透過する光はそのまま直進して出射し、反射する光は45度の斜面によって直角に反射して出射する。したがって入射光は、進行方向が90度異なる二つの光に分割される。
【0003】
ところで、一般に半透膜は、波長に対する分光透過率、分光反射率が一様でなく、ある特性を有している。そのため、半透膜を通過または反射した光の分光特性は入射光と異なったものとなり、さらに、分割された透過光と反射光相互でも異なることになる。光の分光特性が異なるということは、色温度が異なることを意味している。したがって、たとえば複数の観察者が同時に観察できるように対物レンズからの光を複数に分けて、それぞれを観察者が観察するディスカッション顕微鏡の観察光の分割にこのビームスプリッタが使用された場合、各観察者はそれぞれ異なった色温度の観察像を見ることになり、特に染色標本等、色が重要な情報を与える画像の観察に不都合を生じる。
【0004】
この色温度差を補正するために、光路中に色温度変換フィルタ等の色温度変換素子を挿入する方法が一般に用いられていた。色温度変換フィルタは、平板ガラスの表面に色温度を変換する膜を積層して成るもので、この素子に入射した光束は所定の色温度変換を受けて出射する。したがって、適切な変換値の色温度変換フィルタを選定して使用することにより、色温度ずれを補正することができる。
【0005】
また、近年では光学機器においても装置の小型化の要請が強く、内部に組み込まれる各光学要素もいっそうの省スペース化が望まれている。このため、ビームスプリッタの色温度補正方法も、なるべくスペースをとらない方法が採用されるようになっている。
その方法として、半透膜の製作を高度な精度管理の下におこない、さらに、出来上がった半透膜の分光特性が一定の規格に収まっているものだけを選別して使用することによってビームスプリッタでの色温度ずれの発生を防ぎ、色温度補正を不要とする方法がとられていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した前者の方法では、光路中に色温度変換素子を挿入するためのスペースや該素子の保持部材が必要となるため、このビームスプリッタを組み込む装置の小型化に不利である。また、ビームスプリッタを交換する場合、交換するビームスプリッタに合った色温度変換素子を選択して同時に交換しなければならないため、交換作業が繁雑になり装置の保守性が低下するという問題がある。さらに、色温度変換フィルタは所定の厚みを有しているから、光軸に対して傾いて設置されていると入射光軸と出射光軸がずれてしまう。そのため、色温度変換フィルタの保持部材は、その取り付け角度を微調整可能にしなければならず、構成が複雑で高価なものとなる。
【0007】
上述した後者の方法では、半透膜の製作を高精度でおこなわなければならないから、製作コストの点で非常に不利である。また、選別の段階で不良となったものは使用できないために廃棄しなければならず、実質的な完成品のコストはさらに高くなってしまう。
【0008】
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、出射光束の分光特性を単体で任意に制御でき、しかも安価で効率的に製作可能な光束分割素子を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために次のような手段を講じた。請求項1に係わる本発明の光束分割素子は、光束の入射する一の入射面と、該入射面に対し所定の傾きをもって設けられた半透膜と、該半透膜によって反射または透過した光束が出射する出射面とを有する光学的に透明な材質から成るプリズムと、該プリズムの前記入射面または前記出射面の少なくとも一の面に一体的に設けられた光の分光特性を変化させる分光特性変換手段と、を有する構成とした。
【0010】
請求項2に係わる本発明の光束分割素子は、前記分光特性変換手段を、前記プリズムの出射面から出射する光束相互の分光特性が等しくなるように該出射面に設けた構成とした。
【0011】
請求項3に係わる本発明の光束分割素子は、前記分光特性変換手段を、プリズムの入射面または出射面に蒸着によって形成される蒸着膜とした。
【0012】
【作用】
請求項1に係わる本発明の光束分割素子によれば、プリズムに一体的に設ける分光特性変換手段の分光特性を任意に選択することによって、出射光束の分光特性が光束分割素子単体で自在に制御される。
【0013】
請求項2に係わる本発明の光束分割素子によれば、半透膜により発生する出射光相互の色温度ずれは、相互の色温度が等しくなるような色温度変換素子を選定して出射面に一体的に設けることによって補正される。
【0014】
請求項3に係わる本発明の光束分割素子によれば、色温度変換素子はプリズムの該当する面に直接形成される極めて薄い蒸着膜であるから、膜厚の不均一による光軸の傾きや接着層の介在による歪みの発生がなく、また必要スペースが最小で済み、最も理想的に出射光束の分光特性が制御される。
【0015】
【実施例】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例について説明する。図1は、本発明の一実施例を示す構成図である。ふたつの45度の三角プリズム11、12がその斜面を合わせて接合され、その接合面には半透膜13が設けられてビームスプリッタを構成している。ここでは、半透膜13は入射光束に対して、反射光束には例えば−10ミレッド、透過光束には例えば+10ミレッドの色温度ずれを生じさせる分光特性を有しているものとする。
三角プリズム11の直交する2面のうちの一方の面11aが入射面で、他方の面11bが反射光束の出射面となる。この出射面11bに、分光特性変換手段としての+10ミレッドの変換値を有する色温度変換フィルタ14が接着剤によって接着されている。なお色温度変換フィルタは、平板ガラスの表面に膜を積層したものである。また、入射面11aと対向する三角プリズム12の面12bが透過光束の出射面となり、同様に−10ミレッドの色温度変換フィルタ5が接着されている。
【0016】
次に、このような構成を有する上記実施例の作用について説明する。
入射面に垂直に入射した光束は、半透膜13で二つの光束に分割される。まず、反射した光束は進行方向を90度変えて出射面11bから出射する。半透膜13で反射した際に−10ミレッドの色温度ずれを生じているが、出射面に接着されている色温度変換フィルタ14によって+10ミレッドの色温度変換を受け、最終的に出射する光束の色温度ずれは差し引きゼロとなる。一方、透過した光束も同じように半透膜13で生じた色温度ずれが出射面12bに設けられた色温度変換フィルタ15によって相殺され、最終的な出射光束の色温度ずれはゼロとなる。
【0017】
このように、種々の補正値を有する色温度変換フィルタをあらかじめ用意しておき、出来上がったプリズムの分光特性から適切なものを選定して接着するだけで希望するビームスプリッタを製作できるから、良否選別によって不良品となることがない。また、プリズムの出射面にフィルタが一体的に接着されているから、フィルタが光軸に対して斜めに設置される恐れがなく、交換作業も迅速に行なえる。さらに、フィルタは耐久性に優れており、接着作業が容易なため安価に製作が可能である。
【0018】
色温度変換素子としては、この他に基材が比較的肉厚の薄い樹脂等で成る色温度変換フィルムを使用しても良い。色温度変換フィルムはフィルタに比較して肉厚が薄く、省スペース化の効果を高めることができる。
また、他の色温度変換素子として、プリズムの該当する面に蒸着膜を形成しても良い。蒸着膜は膜厚が極めて薄いため、膜厚の不均一による光軸の傾きが発生しにくく芯精度がさらに高まると共に、接着剤が不要のため接着ムラによる歪みも生じない。またスペースをいっそう削減することができる。
【0019】
図2(a)、(b)、(c)には、本発明の変形実施例として、他の色温度補正のしかたを示す構成図が示されている。図中21〜24は三角プリズム、25、26はプリズムの接合面に設けられた半透膜、31〜34は色温度変換フィルタである。半透膜25、26は、いずれも反射光には−10ミレッド、透過光には+10ミレッドの色温度ずれを生じさせる特性を有しているとする。入射面はすべて21aで、出射面は21b、22b、23b、24bである。
【0020】
図2(a)は、三角プリズム21、22を接合して成るビームスプリッタの、反射光束の出射面21bだけに−20ミレッドの色温度変換フィルタ31を配置した例で、反射光束の色温度には−30ミレッド、透過光束の色温度には+10ミレッドのずれが生じる。これは、たとえば分割された出射光束を明視野観察と位相差検鏡などの異なった検鏡法に用いるときなど、それぞれに応じた適切な色温度に変換するような場合に用いる構成の例である。
【0021】
図2(b)は、三角プリズム21、22を接合して成るビームスプリッタの、入射面21aだけに−10ミレッドの色温度変換フィルタ32を配置した例である。たとえばビームスプリッタに入射する光束がすでに+10ミレッドの色温度ずれを有している場合、色温度変換素子をこのように設けることによって色温度ずれをキャンセルできる。
【0022】
図2(c)は、三角プリズム21、23、24を接合して、入射光束を3分割するビームスプリッタの例を示す。3つの出射面21b、23b、24bのうち、出射面21bには+10ミレッドの色温度変換フィルタ33が配置され、出射面24bには−20ミレッドの色温度変換フィルタ34が配置されている。第1の半透膜25で反射された光束は、出射面21bから出射し、その際色温度変換フィルタ33によって色温度ずれを補正される。第1、第2の半透膜25、26双方を透過した光束は出射面24bから出射し、その際色温度変換フィルタ34によって色温度ずれを補正される。なお第1の半透膜25を透過して第2の半透膜26で反射した光束は、1回ずつの透過と反射によって色温度ずれが相殺され、ずれのない状態で出射面23bから出射する。
【0023】
以上の変形例の他にも、これらを適宜組み合わせることによって種々の場合に応じた構成をとることができる。また分光特性変換手段としては他にもIRカットフィルタ等を使用することができ、さらに光束の分割数は三以上でも本発明を同様に適用できる。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、出射光束の分光特性を単体で任意に制御でき、しかも安価で効率的に製作可能な光束分割素子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施例を示す構成図。
【図2】本発明の変形例を示し、(a)、(b)、(c)はそれぞれ他の色温度補正のしかたを示す構成図。
【符号の説明】
11、12 三角プリズム
13 半透膜
14、15 色温度変換フィルタ
21〜24 三角プリズム
25、26 半透膜
31〜34 色温度変換フィルタ
Claims (3)
- 光束の入射する一の入射面と、該入射面に対し所定の傾きをもって設けられた半透膜と、該半透膜によって反射または透過した光束が出射する出射面とを有する光学的に透明な材質から成るプリズムと、該プリズムの前記入射面または前記出射面の少なくとも一の面に一体的に設けられた光の分光特性を変化させる分光特性変換手段と、を有することを特徴とする光束分割素子。
- 前記分光特性変換手段を、前記プリズムの出射面から出射する光束相互の分光特性が等しくなるように該出射面に設けたことを特徴とする請求項1記載の光束分割素子。
- 前記分光特性変換手段は、前記プリズムの入射面または出射面に蒸着によって形成される蒸着膜である請求項1または2記載の光束分割素子。
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