JP3587269B2 - シルキー調織編物の製造方法 - Google Patents

シルキー調織編物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3587269B2
JP3587269B2 JP34042694A JP34042694A JP3587269B2 JP 3587269 B2 JP3587269 B2 JP 3587269B2 JP 34042694 A JP34042694 A JP 34042694A JP 34042694 A JP34042694 A JP 34042694A JP 3587269 B2 JP3587269 B2 JP 3587269B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
main body
polyester component
shrinkage
polyester
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP34042694A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08188940A (ja
Inventor
宏之 川元
太一 久保
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP34042694A priority Critical patent/JP3587269B2/ja
Publication of JPH08188940A publication Critical patent/JPH08188940A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3587269B2 publication Critical patent/JP3587269B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
  • Multicomponent Fibers (AREA)
  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)
  • Woven Fabrics (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ポリエステル系複合繊維よりなる糸条を使用したシルキー調織編物の製造方法に関し、特に独特なきしみ感及び優雅な光沢を持つと共に、適度な張り・腰を有するシルキー調織編物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ポリエステルマルチフィラメント糸等の合成繊維マルチフィラメント糸を使用して、シルキー調織編物を得る方法が、種々検討されている。例えば、ポリエステルフィラメントの横断面を三角形状やV字型形状等の異形断面とし、シルキー調の優雅な光沢を与えた織編物が知られている。また、特開平2−112434号公報には、異形断面を持つ高収縮性ポリエステルフィラメントと異形断面を持つ低収縮性ポリエステルフィラメントとを混用し、シルキー調の優雅な光沢を与えると共に、高収縮性ポリエステルフィラメントの収縮による張り・腰を与えた織編物も知られている。
【0003】
しかしながら、従来のいずれの方法によって得られた織編物も、シルク織編物の持つ独特のきしみ感を与えるものではなかった。この理由は、横断面が異形断面であるポリエステルフィラメントを使用していても、皮膚(肌)との接触が滑らかであり、またポリエステルフィラメント同士の接触も滑らかであるため、物と物とが擦れ合うきしみ感が得られないからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このため、本発明者等は、織編物を構成するポリエステルフィラメントの横断面が異形断面になっているにも拘らず、何故、皮膚との接触が滑らかであり、またフィラメント同士の接触も滑らかであるのかを検討した。その結果、それはポリエステルフィラメントの製造上の理由であることが判明した。即ち、三角形やV字形の紡糸孔を持つノズルを使用し、溶融紡糸法によってポリエステルフィラメントを製造すると、紡糸後においてもポリエステルはその表面積が最大となるように流動し、その結果、得られたほぼ三角形又はV字形のポリエステルフィラメントの頂点は、丸みを持つ滑らかな面となっているからである。
【0005】
そこで、本発明の基本的な考え方は、溶融紡糸法によって得られた異形断面のポリエステルフィラメントを用い、製編織して生地を得た後、ポリエステルフィラメントの各頂点に溝部を設けることによって、各頂点の滑らかさを減少させ、シルク織編物特有のきしみ感を得ようということにある。このような基本的な考え方に基づき、本発明は、元々各頂点に溝部を持つ繊維本体と、この溝部を充填している溶解成分とよりなる多葉断面形状のポリエステルフィラメントを使用し、生地を得た後に、溶解成分を除去することによって、シルク織編物特有のきしみ感を得ようということにある。また、このポリエステルフィラメントとして、高収縮性のものと低収縮性のものを使用することによって、きしみ感を向上させると共に得られた織編物に張り・腰を付与し、良好なシルキー調を呈する織編物を得ようというものである。
【0006】
即ち、本発明は、ポリエステル系成分A1よりなり、その横断面が3個以上の凸部を有する多葉断面形状で且つ熱水収縮率が15%以上である繊維本体Xの凸部頂点付近に、繊維軸方向に連続して存在する複数個の溝部が形成されていると共に、該溝部は下記(1)及び(2)式を満足し、該溝部には該ポリエステル系成分A1よりもアルカリ溶解性の大きいポリエステル系成分B1が充填されてなる高収縮性複合繊維と、ポリエステル系成分A2よりなり、その横断面が3個以上の凸部を有する多葉断面形状で且つ熱水収縮率が10%以下である繊維本体Yの凸部頂点付近に、繊維軸方向に連続して存在する複数個の溝部が形成されていると共に、下記(1)及び(2)式を満足し、該溝部には該ポリエステル系成分A2よりもアルカリ溶解性の大きいポリエステル系成分B2が充填されてなる低収縮性複合繊維とが、混繊されてなる混繊糸条を用いて製編織し、得られた生地にアルカリ減量処理を施して、該高収縮性複合繊維及び該低収縮性複合繊維中に存在する該ポリエステル系成分B1及び該ポリエステル系成分B2を溶解除去し、該繊維本体X及び該繊維本体Yを生成せしめた後、熱水処理を施し、該繊維本体Xに該繊維本体Yよりも高い収縮性を発現させることを特徴とするシルキー調織編物の製造方法に関するものである。
9≦N≦25 ………(1)
0.1μm≦H≦8μm………(2)
(但し、Nは全凸部における溝部の合計数であり、Hは各溝部の深さである。)
【0007】
まず、本発明においては、高収縮性繊維と低収縮性繊維とを準備する。高収縮性繊維は、ポリエステル系成分A1よりなる繊維本体Xと、このポリエステル系成分A1よりもアルカリ溶解性の大きいポリエステル系成分B1とが複合されてなるものである。繊維本体Xは、その横断面が凸部を有する多葉断面形状であり、その凸部頂点付近には、繊維軸方向に連続して存在する複数個の溝部を備えている。そして、ポリエステル系成分B1は、この溝部に充填された状態で、繊維本体Xと複合され、高収縮性繊維が形成されているのである。
【0008】
多葉断面形状を持つ繊維本体Xの有する凸部は、3個以上であることが必要である。この凸部が3個未満であると、得られた織編物にシルキー調のきしみ感や優雅な光沢を与えにくくなるので、好ましくない。また、繊維本体Xの凸部に形成されている溝部は、各凸部に複数個設けられており、且つ、全凸部における合計数が9〜25である。この溝部が9未満であると、得られた織編物にシルキー調のきしみ感を付与しにくくなるので、好ましくない。一方、この溝部が25を超えると、一の頂点に多数の溝部が形成されることになり、隣合う溝部の間隔が狭くなって、溝部間にポリエステル系成分A1で形成されている襞状部が欠損しやすくなり、溝部が消失する恐れがあり、シルキー調のきしみ感が低下する恐れがあるので、好ましくない。更に、繊維本体Xに形成されている溝部の深さは0.1〜8μmである。溝部の深さが0.1μm未満であると、得られた織編物にシルキー調のきしみ感を付与しにくくなるので、好ましくない。一方、溝部の深さが8μmを超えると、隣合う溝部の底部が連結してしまう恐れがあり、溝部間にポリエステル系成分A1で形成されている襞状部が脱落しやすくなり、シルキー調のきしみ感が低下する恐れがあるので、好ましくない。以上のような形態で繊維本体Xに形成されている溝部は、実質的に繊維軸方向に連続した状態になっている。溝部が繊維軸方向に連続せず、不連続な状態になっていると、部分的に溝部の存在しない箇所が生じる恐れがあり、シルキー調のきしみ感が低下する恐れがあるので、好ましくない。
【0009】
このような繊維本体Xの熱水収縮率は15%以上である。熱水収縮率が15%未満であると、製編織した生地を熱水処理しても十分な収縮効果が得られず、織編物に十分な張り・腰を与えることができず、またシルキー調のきしみ感も十分なものとならないので、好ましくない。なお、本発明で言う熱水収縮率は以下の方法で測定されるものである。即ち、任意の長さLを持つ試料を準備し、この試料を100℃の沸騰水中で且つ無緊張状態で30分間処理して、処理後の試料の長さLを測定し、[(L−L )/L]×100なる式で算出されるものである。但し、試料の長さを測定するときには、(試料のデニール)×(1/30)gの荷重を負荷して測定する。
【0010】
繊維本体Xを形成しているポリエステル系成分Aとしては、ポリエステル系成分BやBと比べて、相対的にアルカリに溶解しにくいものであれば、どのようなものでも採用できる。例えば、エチレングリコールとテレフタル酸とが縮合されてなるポリエチレンテレフタレートや、90%以上がエチレングリコールとテレフタル酸であり、一部が他のジオール成分或いは他の酸成分よりなる共重合ポリエステル等を採用することができる。
【0011】
繊維本体Xに形成されている溝部に充填されているポリエステル系成分Bとしては、ポリエステル系成分AやAと比べて、相対的にアルカリに溶解しやすいもの(アルカリ溶解性が大であるもの)であれば、どのようなものでも採用できる。例えば、ナトリウムスルホイソフタル酸1〜5モル%と、ポリアルキレングリコール10〜30重量%と、従来用いられているジオール成分及び酸成分とを共重合してなる共重合ポリエステル等を採用することができる。
【0012】
次に、本発明において用いる低収縮性複合繊維も、繊維本体Yの熱水収縮率が10%未満である他は、高収縮性複合繊維と基本的に同様の構成を持つものである。即ち、ポリエステル系成分A2よりなる繊維本体Yと、このポリエステル系成分A2よりもアルカリ溶解性の大きいポリエステル系成分B2とが複合されてなるものである。繊維本体Yは、その横断面が凸部を有する多葉断面形状であり、その凸部頂点付近には、繊維軸方向に連続して存在する複数個の溝部を備えている。そして、ポリエステル系成分B2は、この溝部に充填された状態で、繊維本体Yと複合され、低収縮性複合繊維が形成されているのである。繊維本体Yの有する凸部の数、繊維本体Yに形成されている溝部の合計数、及び溝部の深さは、高収縮性繊維である繊維本体Xの場合と同様である。
【0013】
低収縮性複合繊維の繊維本体Yの熱水収縮率を10%未満としたのは、高収縮性複合繊維の繊維本体Xとの熱水収縮差を大きくし、織編物全体としての収縮を抑制すると共に、織編物中において低収縮性複合繊維の繊維本体Yに若干の浮き上がりや弛みを持たせるためである。従って、繊維本体Yの熱水収縮率が10%を超えると、全体が大きく収縮し、風合的にボテボテした感じになり、更に繊維本体Yと繊維本体Xとの間におけるきしみ感及び皮膚と繊維本体Yとの間におけるきしみ感が低下するので、好ましくない。なお、繊維本体Yの熱水収縮率の測定方法も、繊維本体Xの場合と同様である。
【0014】
低収縮性複合繊維の繊維本体Yを構成しているポリエステル系成分Aは、ポリエステル系成分BやBと比べて、相対的にアルカリに溶解しにくいものであれば、どのようなものでも採用できる。また、繊維本体Yに形成されている溝部に充填されているポリエステル系成分Bとしては、ポリエステル系成分AやAと比べて、相対的にアルカリに溶解しやすいもの(アルカリ溶解性が大であるもの)であれば、どのようなものでも採用できる。このような条件を満足するものであれば、ポリエステル系成分Aとポリエステル系成分Aとは同一であっても、異なっていても良い。また、ポリエステル系成分Bとポリエステル系成分Bについても、同一であっても、異なっていても良い。一般的には、ポリエステル系成分Aとポリエステル系成分Aとが同一で、且つポリエステル系成分Bとポリエステル系成分Bとが同一であるのが好ましい。何故なら、アルカリ溶解性の大なるポリエステル系成分B及びBを溶解除去し、アルカリ溶解性の小なるポリエステル系成分A及びAを残存させるアルカリ減量処理工程における条件(アルカリ濃度,時間,温度等)を単一にすることができるからである。
【0015】
本発明において使用する高収縮性複合繊維又は低収縮性複合繊維の横断面形状の一例としては、図1及び図2に示したような形状のものが挙げられる。即ち、ポリエステル系成分A又はAで形成されてなる繊維本体X又はYは、凸部1を3個有しており、且つ各凸部頂点付近には5個づつ、合計15個の溝部2’が形成されている。そして、この溝部2’は繊維軸方向に連続しており、各溝部2’には、アルカリ溶解性の大なるポリエステル系成分B又はBよりなる充填体2が充填されている。このような複合繊維は、特殊形状の紡糸孔を使用して、ポリエステル系成分A又はAとポリエステル系成分B又はBとを溶融複合紡糸することによって、容易に得ることができる。そして、この充填体2が、アルカリ減量処理によって溶解除去されると、図2に示したように、溝部2’が顕現化した繊維本体X又はYが生成するのである。
【0016】
以上のようにして準備した高収縮性複合繊維と低収縮性複合繊維とを、従来公知の方法で混繊して、混繊糸条を得る。この際、混繊糸条中における高収縮性複合繊維と低収縮性複合繊維との重量割合は、特に限定されるものではないが、高収縮性複合繊維100重量部に対して、低収縮性複合繊維が80〜120重量部であるのが好ましい。低収縮性複合繊維が80重量部未満であると、熱水処理後において相対的に収縮の少ない繊維本体Yが少なくなり、全体として得られた織編物に付与されるシルキー調の風合が低下する傾向が生じる。一方、低収縮性複合繊維が120重量部を超えると、相対的に収縮の大きい繊維本体Xが少なくなり、得られる織編物の張り・腰が低下する傾向が生じる。
【0017】
この混繊糸条を製編織して生地を得る。製編織の際の織組織や編組織は、従来公知の任意の組織を採用することができる。そして、この生地にアルカリ減量処理を施す。アルカリ減量処理は、従来公知の方法を採用することができ、例えば、アルカリ性に調整した水溶液中に生地を浸漬することによって行われる。このアルカリ減量処理によって、混繊糸条を構成している高収縮性複合繊維及び低収縮性複合繊維中の充填体(即ち、アルカリ溶解性の大なるポリエステル系成分B1 及びB)が溶解除去され、3個以上の凸部を有する多葉断面形状であって、その凸部頂点付近に複数の溝部が形成されている繊維本体X及びYが生成するのである。
【0018】
次いで、この生地に熱水処理を施すことにより、繊維本体X及びYに収縮を発現させる。熱水処理は、生地に加熱された水蒸気を吹き付けたり、或いは沸騰水中に生地を通過させる等の手段で行われる。特に、染色仕上工程において、染色又は仕上が一般的に熱水で行われることから、染色又は仕上と共に熱水処理を施すことが、別途熱水処理工程を付加する必要がないので好ましい。この熱水処理によって、繊維本体Yは、繊維本体Xよりも熱水収縮率が低いので、混繊糸条中において浮き上がり或いは弛んで、皮膚とのきしみ感或いは繊維本体Xとのきしみ感が良好に発揮されるようになる。一方、繊維本体Xは熱水収縮率が大きいので、生地の内部に偏在化することになり、織編物に良好な張り・腰を与えることになる。以上の如き方法で、本発明の目的とするきしみ感及び優雅な光沢を呈すると共に、適度な張り・腰を有するシルキー調織編物を得ることができるのである。
【0019】
【実施例】
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、実施例中における各物性及び評価は、以下の方法で行った。
(1)相対粘度
フェノールと四塩化エタンの等重量混合溶媒を用い、濃度0.5g/dl、温度20℃で測定した。
(2)溝部の深さ及びその個数
測定すべきポリエステル系複合繊維よりなる糸条を用いて筒編し、NaOH濃度0.5%,処理温度95℃,処理時間30分の条件でアルカリ減量処理して、易溶解成分を完全に除去した。次いで、水洗乾燥した筒編地を解編し、得られた糸条を構成している異形断面繊維を走査型電子顕微鏡で写真に撮り、写真上で溝部の深さを測定し、また溝部の個数を数えた。
(3)風合評価
織物技術者,編物技術者及び染色技術者からなるパネラー10人を選定し、触感での官能検査によって、以下の四段階評価で行った。◎:非常に良好、○:良好、△:やや劣る、×:劣る。
【0020】
実施例1〜及び比較例1〜4
ポリエステル系成分A1及びA2として、相対粘度が1.38のポリエチレンテレフタレートを準備した(A1とA2は同一という意味である。)。一方、ポリエステル系成分B1及びB2として、分子量7000のポリエチレングリコール12重量%と、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を1.5モル%とを、エチレングリコール及びテレフタル酸と共に共重合した、相対粘度が1.55の共重合ポリエステルを準備した(B1とB2は同一という意味である。)。このポリエチレンテレフタレート6重量部と共重合ポリエステル1重量部を使用して、溶融複合紡糸を行い、ポリエチレンテレフタレートが繊維本体を形成し、共重合ポリエステルが充填体を形成するようにして、図1に示す如き横断面及びその他の横断面を持つ未延伸ポリエステルフィラメントNo1、2及び4〜6を得た。なお、未延伸ポリエステルフィラメントNo1、2及び4〜6の断面形状、溝部の合計数、溝部の深さは、表1に示したとおりである。なお、未延伸ポリエステルフィラメントNo6だけは、ポリエチレンテレフタレートのみの単一溶融紡糸によって得られたものであり、共重合ポリエステルは使用していないものである。
【0021】
【表1】
Figure 0003587269
【0022】
次いで、この未延伸ポリエステルフィラメントを延伸工程に導入した。この際、熱処理温度と延伸倍率とを適宜変更して、表2に示す如き、各種の熱水収縮率を持つ繊維本体Xを具備する高収縮性複合繊維、及び各種の熱水収縮率を持つ繊維本体Yを具備する低収縮性複合繊維を得た(なお、未延伸ポリエステルフィラメントNo6は複合繊維ではなく繊維本体のみで構成されている。)。そして、高収縮性複合繊維24本と低収縮性複合繊維24本とを混繊して、100d/48fの混繊マルチフィラメント糸条を得た。この混繊マルチフィラメント糸条を経糸及び緯糸として使用し、ウォータージェットルームにより、経糸密度90本/吋,緯糸密度85本/吋の平織物生地を製織した。この平織物生地にアルカリ減量処理(苛性ソーダ水溶液濃度10g/l,水溶液温度100℃,浸漬時間30分の条件下)を施して、混繊マルチフィラメント糸条を構成している各複合繊維中のポリエステル系成分B及びBを溶解除去した。その後、染色リラックス処理を施して、高収縮性複合繊維を構成していた繊維本体X及び低収縮性複合繊維を構成していた繊維本体Yに収縮を発現させて平織物を得た。ここで、染色リラックス処理は、下記組成の染液を使用して130℃で30分間染色後、ビスノールP−70濃度が5g/lの浴で80℃で20分間の還元洗浄を行い、更にピンテンターを用いて170℃で1分間のファイナルセットを行ったものである。
[染液組成]
染料(Foron Rubin S−CTC) 0.5%o.w.f.
染料(Foron N Blue S−CTC) 3.0%o.w.f.
助剤(ニッカサンソルトSN−130) 0.5g/l
酢酸 0.2cc/l
以上のようにして得られた平織物について、きしみ感,光沢感及び張り・腰を官能によって検査した結果は、表2に示したとおりであった。
【0023】
【表2】
Figure 0003587269
【0024】
以上の実施例1〜及び比較例1〜4の結果から明らかなように、実施例1〜に係る平織物は、きしみ感,光沢感及び張り・腰のいずれも良好であるシルキー調織物であった。特に、実施例1に係る平織物は、きしみ感,光沢感及び張り・腰の全ての面で最も優れたシルキー調織物であった。これに対し、比較例1に係る平織物は、繊維本体X及びYに形成されている溝部の数が少なく、また溝部の深さも浅いため、きしみ感及び光沢感に欠けるものであった。比較例2に係る平織物は、繊維本体X及びYの熱水収縮率が同等であるため、張り・腰に欠けると共に、きしみ感及び光沢感も若干低下したものであった。比較例3に係る平織物は、繊維本体X及びYの横断面形状が多葉断面ではなく、円形断面であるため、きしみ感に欠け、光沢感もやや劣るものであった。比較例4に係る平織物は、繊維本体に溝部が形成されていないため、タフタ調のぬめり感を呈した風合を持つものであり、きしみ感に欠けるものであった。〔発明の名称〕シルキー調織編物の製造方法
【0025】
【作用】
本発明に係る方法で得られた織編物は、繊維本体Xと繊維本体Yとで構成されるものである。各繊維本体は多葉断面形状であるため、織編物に優雅な光沢及びきしみ感を与えることができる。また、各繊維本体の凸部には、所定数で所定深さの溝部が形成されているため、溝部同士の引っ掛りや、この溝部が皮膚に当接することによって、独特のきしみ感を与える。特に、高収縮した繊維本体Xと低収縮した繊維本体Yとによって収縮差が生じ、この収縮差による繊維本体X及びYの引っ掛りが助長され、きしみ感が向上する。また、この収縮差によって、繊維本体Yが浮き上がり或いは弛みを持っているため、皮膚との間におけるきしみ感も向上する。更に、高収縮し内部に偏在化した繊維本体Xによって、織編物には適度の張り・腰が付与される。
【0026】
【発明の効果】
従って、本発明に係る方法で得られた織編物は、きしみ感,優雅な光沢及び適度の張り・腰という風合を兼備したものであり、全体として良好なシルキー調を呈するという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において使用する高収縮性複合繊維又は低収縮性複合繊維の一例に示す横断面図である。
【図2】図1に示した複合繊維にアルカリ減量処理を施した後における、繊維本体の横断面図である。
【符号の説明】
1 繊維本体
2 充填体
2’ 溝部

Claims (1)

  1. ポリエステル系成分A1よりなり、その横断面が3個以上の凸部を有する多葉断面形状で且つ熱水収縮率が15%以上である繊維本体Xの凸部頂点付近に、繊維軸方向に連続して存在する複数個の溝部が形成されていると共に、該溝部は下記(1)及び(2)式を満足し、該溝部には該ポリエステル系成分A1よりもアルカリ溶解性の大きいポリエステル系成分B1が充填されてなる高収縮性複合繊維と、
    ポリエステル系成分A2よりなり、その横断面が3個以上の凸部を有する多葉断面形状で且つ熱水収縮率が10%以下である繊維本体Yの凸部頂点付近に、繊維軸方向に連続して存在する複数個の溝部が形成されていると共に、下記(1)及び(2)式を満足し、該溝部には該ポリエステル系成分A2よりもアルカリ溶解性の大きいポリエステル系成分B2が充填されてなる低収縮性複合繊維とが、
    混繊されてなる混繊糸条を用いて製編織し、得られた生地にアルカリ減量処理を施して、該高収縮性複合繊維及び該低収縮性複合繊維中に存在する該ポリエステル系成分B1及び該ポリエステル系成分B2を溶解除去し、該繊維本体X及び該繊維本体Yを生成せしめた後、熱水処理を施し、該繊維本体Xに該繊維本体Yよりも高い収縮性を発現させることを特徴とするシルキー調織編物の製造方法。
    9≦N≦25 ………(1)
    0.1μm≦H≦8μm………(2)
    (但し、Nは全凸部における溝部の合計数であり、Hは各溝部の深さである。)
JP34042694A 1994-12-28 1994-12-28 シルキー調織編物の製造方法 Expired - Fee Related JP3587269B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34042694A JP3587269B2 (ja) 1994-12-28 1994-12-28 シルキー調織編物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34042694A JP3587269B2 (ja) 1994-12-28 1994-12-28 シルキー調織編物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08188940A JPH08188940A (ja) 1996-07-23
JP3587269B2 true JP3587269B2 (ja) 2004-11-10

Family

ID=18336849

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34042694A Expired - Fee Related JP3587269B2 (ja) 1994-12-28 1994-12-28 シルキー調織編物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3587269B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102011244A (zh) * 2010-12-14 2011-04-13 浙江正凯集团有限公司 仿真丝闪光面料及其制备方法
CN102317518A (zh) * 2009-02-26 2012-01-11 东洋纺高机能制品贸易株式会社 织物

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108893793B (zh) * 2018-09-06 2020-07-14 福建永荣锦江股份有限公司 一种喷丝板、异形锦纶6牵伸丝及其制备方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102317518A (zh) * 2009-02-26 2012-01-11 东洋纺高机能制品贸易株式会社 织物
CN102317518B (zh) * 2009-02-26 2013-06-19 东洋纺高机能制品贸易株式会社 织物
CN102011244A (zh) * 2010-12-14 2011-04-13 浙江正凯集团有限公司 仿真丝闪光面料及其制备方法
CN102011244B (zh) * 2010-12-14 2011-12-21 浙江正凯集团有限公司 仿真丝闪光面料的制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08188940A (ja) 1996-07-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3587269B2 (ja) シルキー調織編物の製造方法
JP3648635B2 (ja) ポリエステル系織編物の製造方法
JP2970350B2 (ja) 異繊度混繊糸使い織編物の製造方法
JP3253040B2 (ja) 編織物の製造方法
JP3470514B2 (ja) 高密度嵩高布帛の製造方法
JP3598027B2 (ja) 特殊複合捲縮糸
JP4733879B2 (ja) 潜在捲縮性能を有するポリエステル複合斑糸
JP3695959B2 (ja) 高発色性シルキー織物の製造方法
JPH0978449A (ja) シルキー調高密度布帛の製造方法
JPH0813272A (ja) 芯鞘構造糸及びその製造方法
JPH04240247A (ja) パイル製品およびその製造法
JPH04361650A (ja) 伸縮性ピーチ調編地の製造方法
JPH08291437A (ja) 異繊度混繊糸使い織編物およびその製造方法
JP3469338B2 (ja) 特殊交絡糸
KR860002172B1 (ko) 플리에스테르 이수축(異收縮) 혼섬사 및 그 직, 편물의 제조방법
JP2001115334A (ja) ポリエステル異形断面中空繊維
JPH09302579A (ja) 融着捲縮加工糸を用いた編織物の製造方法
JP2001248034A (ja) 混繊糸からなる織編物およびその製造方法
JPH07229027A (ja) 混繊複合糸およびそれを用いてなる織編物
JPH07316946A (ja) 軽量布帛の製造方法
JPH08284034A (ja) 異収縮混繊糸
JPH08284037A (ja) 特殊交絡混繊糸
JPS6253409A (ja) 複合異形断面繊維およびその製造方法
JPH07238437A (ja) ポリエステル軽量布帛の製造方法
JPS6227175B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040803

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040804

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees