JP3585666B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷などにおける静電荷像を現像するためのトナーに関するもので、特にレーザプリンタ用、その他熱ロール定着機構を有する複写機に適した静電荷像現像用トナー(静電荷像現像用磁性一成分トナーを含む)に関する。
【0002】
【従来の技術】
加熱ローラーの定着機構を備えた複写装置に使用される現像用トナーは、加熱ローラー表面とトナー像が溶解状態で加圧下で接触するため、トナー像の一部がローラーの表面を介しペーパーオフセット現象を生じさせる。オフセット現象を回避するための手段として、結着樹脂として架橋された重合体を用いたトナー(特公昭51−23354号公報)や、ポリプロピレン、ポリエチレン等の低分子量のポリオレフィンを含有させたトナー(特開昭49−6523号公報)などが提案されている。これらの方式に従がえば、耐オフセット性及び耐摩擦性の改良には効果があるが、同時に定着性までも満足するものは得られていない。
【0003】
また、結着樹脂として、低温定着性と高温下での耐オフセット性にすぐれるポリエステル樹脂にその構成単位としてノボラック型フェノール樹脂を用いるものが提案されている。これによれば、耐オフセット、低温定着ともに効果が認められるはずであるが、それらを満足するのに必要な温度巾が十分でないため、双方満足する結果は得られていない。更に、オレフィンを含有するトナーにおいて、オレフィンが比較的軟質であるためわずかな力によりオレフィンが遊離し、これがキャリア粒子の表面に付着して汚染する。この汚染によりトナーとキャリアの摩擦帯電性が大きく阻害され、その結果、帯電不安定さが早期に発生し画像にカブリがみられるようになる。またオレフィンを含有するトナーは流動性が低いため現像部へのトナー供給量が不安定となり画像ムラが発生しやすくなる。
【0004】
また従来より、加熱ローラー定着方式では、定着ローラー表面にトナーを付着させないために、例えば定着ローラー表面を弗素系樹脂などのトナーに対して離型性の優れた材料で形成するとともにその表面にさらにシリコンオイルなどのオフセット防止用液体を供給して、液体の薄膜でローラー表面を被覆することが行われている。この方法はトナーのオフセット防止する点では極めて有効なものであるが、オフセット防止用液体が加熱されることにより臭気を発生し、またオフセット防止用液体を供給するための装置を必要とするため、複写装置の機構が複雑になるとともに、安定性のよい画像を得るために高い精度が要求されるので、複写装置が高価なものになるという欠点がある。
【0005】
これらに加えて、静電荷像現像用トナーが磁性トナーである場合には、定着法として好ましい熱ローラ定着法により磁性トナー像を定着処理すると、磁性トナー中に熱的に溶融しない磁性体粒子が存在するため、特に低温低湿の環境条件下において定着不良が発生しやすい問題がある。
また、磁性トナーに含有される磁性体粒子が硬質であり、しかも磁性トナー粒子の表面にも露出した状態で磁性体粒子が存在するため、このような磁性トナーを用いて磁気ブラシ現像法により現像を行なうと、潜像担持体の表面に磁気ブラシによる擦過傷が発生しやすく、特に低温低湿の環境条件下においては擦過傷が顕著に発生する。更に、多数回にわたる画像の形成を繰り返すと、上記擦過傷が増大し、その結果、擦過傷が生じやすい有機感光層を備えた潜像担持体を用いた場合に、上記クリーニング不良が著しくなり、擦過傷部分の現像性が低下して画像荒れが顕著となる。
【0006】
オフセット現象の生じないトナーを得ることは、定着器に多くの電力を使わず、しかもヒートロールを使用した高速な複写機、いわゆる省力高速複写機への適用を考えるとき、より困難な問題にあう。即ち、オフセット現象がおこらないためにはトナーに使うバインダーポリマーは、できるだけ強靱であり、かつ十分な溶融流動性が要求される。だが、溶融流動性を持たせるためには相当高温までトナーを加熱しなければならず、このことは省力という要請を満たさないことになる。従って、省力であるためには、低温で定着することが要求され、ガラス転移点および分子量の低い樹脂を使用することが好ましい。しかし、分子量の低い樹脂は当然強靱性がなくオフセット現象を生じやすくなる。
【0007】
従来、オフセット防止のためのトナーの強靱化は、通常約10万以上の平均分子量の高分子ポリマー、特にビニル系ポリマーを用いる場合が多い。高分子量ビニルポリマーを用いたトナーを低温で定着させるためには、ポリマーのガラス転移点をブロッキングをおこさない限りできるだけ低く下げるか或いは可塑剤の添加によって定着温度を下げる等の方法がある。しかしながら、これらの方法はただ定着点(完全に定着の行われる最低温度)を下げるだけでなくホットオフセット温度(オフセットのおこりはじめる温度)をも同時に下げてしまい、このため定着点とホットオフセット温度との間の温度範囲、いわゆるフュージング・ラッテイチュードを低温側に移動するだけになるという結果を招く。また、重量平均分子量の増大によりホットオフセット温度の下降を防止しようとすると、樹脂の高粘度化のため、ガラス転移点降下や可塑剤添加の効果が減殺され、さらには架橋分が多いことによる粉砕性悪化を伴う。
【0008】
一方、ポリエステル樹脂は、ビニル系ポリマーと異なりガラス転移点が低く、しかも低分子量の樹脂を容易に得ることができる。このことは低温定着性トナーが容易に得られることを意味する。しかしながら、ポリエステル樹脂は低分子量樹脂であるためオフセットの程度がはげしくヒートロール用トナーには、そのままでは使用することはできない。
【0009】
そこで、ビニル系ポリマーの高温までオフセットのおこらない性質とポリエステルの低温においても定着可能であるという両者の長所を生かすために、両方の樹脂をブレンドすることが考えられ、例えば特開昭54−114245号公報に記載されている。だが、高分子量のビニル系ポリマーと低分子量のポリエステル樹脂では、樹脂同士の相溶性が悪く不均一な分散状態となる。特に両者の分子量が異なるほど相溶性が悪化し、分散状態を位相差顕微鏡などで観察すると海の中に島があるような状態で観察される。こうしたことは相溶性の悪いプラスチックをブレンドした時にも観察され、海−島理論として、プラスチックス、13、No.9,1(1962)に掲載されている。
【0010】
トナー樹脂中に上記のような海−島が形成されると、トナーの他の成分である染料のような極性制御剤やカーボンブラック、磁性体等の着色剤は分散が不十分となり、くり返しコピーで逆帯電トナーなどが発生し、いわゆるかぶりが発生する。他方、ポリエステル樹脂とビニル系ポリマーとの分散性を改良するために、両者に共通セグメントを導入し、グラフト共重合体を形成する方法も提案されている。しかし、このような共重合体になった樹脂では、耐ホットオフセット性及び低温定着性の互いの樹脂の長所を生かせず平均化されてしまう。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、熱ロール定着方式に適し、低温定着が行なえかつホットオフセット性のすぐれた静電荷像現像用トナーを提供することにある。本発明第2の目的は、帯電環境安定性の良好な静電荷像現像用トナ−を提供することにある。本発明の第3の目的は、粉砕式トナー生産ラインにおいてトナー混練時動力負荷の少ないバインダー樹脂を提供し高い生産性(原料の粉砕性)を発揮させることのできる静電荷像現像用トナーを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、
(1)バインダー樹脂に着色剤を分散させ、該バインダー樹脂がポリカルボン酸成分(A)とポリオール成分(B)とを構成単位としたポリエステル樹脂であり、ポリオール成分(B)の少なくとも一部がノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル(B1)であって、しかも下記(イ)及び(ロ)
(イ)テトラヒドロフラン(THF)不溶解分を含まないこと、
(ロ)分子量1×10以上の成分を5〜20重量%含有すること、
の状態でトナー中に存在し、さらにトナー中に存在する該バインダー樹脂はそのTHF溶解分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量分布が2000〜10000の領域にメインピークを有し、かつ、分子量10000以下が50〜70重量%であることを特徴とする静電荷像現像用トナー、
(2)前記(1)において、粒径0.1μm以下の磁性体粒子を分散含有していることを特徴とする静電荷像現像用トナー(磁性一成分トナー)、
が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、
(3)前記(1)又は(2)において、バインダー樹脂がポリカルボン酸成分(A)とポリオール成分(B)とを構成単位としたポリエステル樹脂にビニル樹脂をブレンドしたものである(ここでビニル樹脂の量はバインダー樹脂全体の30重量%以下となる量が適当である)ことを特徴とする静電荷像現像用トナー、
)前記(1)(2)又は(3)において、バインダー樹脂は、ガラス転移点50〜65℃、酸価が1〜5mgKOH/g、水酸基価が30〜80mgKOH/gの特性を有することを特徴とする静電荷像現像用トナー、
)前記(1)(2)(3)又は(4)において、バインダー樹脂の含水率が30℃、60%(24時間調湿)において5000ppm以下好ましくは3000ppm以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナー、
)前記(1)(2)(3)(4)又は(5)において、ワックスを含有し、このワックスの分散粒子径が2μm以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナー、
)前記(1)(2)(3)(4)(5)又は(6)において、高架式フローテスターにおいて軟化点が70〜85℃でかつ流出開始温度が115〜135℃の範囲にあることを特徴とする静電荷像現像用トナー、
が提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
本発明トナーにおけるバインダー樹脂は、ポリカルボン酸成分(A)とポリオール成分(B)とを構成単位としたポリエステル樹脂、又はこのポリエステル樹脂にビニル樹脂をブレンドしたものであるが、ポリオール成分(B)の少なくとも一部はノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル(B1)であり、しかも該バインダー樹脂はトナー中に、(イ)実質的にテトラヒドロフラン不溶解分を含まないで、かつ、(ロ)分子量1×10以上の成分を5〜20重量%含有する状態で存在する。ここで前記(イ)、(ロ)の状態は、トナー製造における混練的な機械的エネルギーによる分子剪断により得ることができる。なお、前記(ロ)で「分子量1×10以上」としたのは10以上の分子量は現在のところ測定できないためである。
【0015】
また、本発明のトナーは、トナー中に存在する該バインダー樹脂のTHF溶解分のGPCによる分子量分布において重量平均分子量が2000〜10000の領域にメインピークを有し、かつ、分子量10000以下が50〜70重量%含有することにより粉砕性、低温定着性が向上する。THF不溶解分の存在又は分子量1×10以上の成分が20重量%超えると定着性の低下や顔料、ワックスの分散性低下が生じる。
【0016】
さらに、ポリエステル樹脂特有の環境安定性悪化傾向に対しては空気中の水分の影響が受けにくくするためノボラック型フェノール樹脂を用いると効果が有るが、その際、バインダー樹脂のTgを50〜65℃にし、酸価、水酸基を可能な限り減らし酸価が1〜5mgKOH/g、水酸基価が30〜80mgKOH/g、の範囲にすると低温定着性がさらに向上し、高温環境下での帯電安定性が改善される。
【0017】
加えて、ビニル樹脂を樹脂系の30%以下の量でブレンドすると、ビニル樹脂の環境性の良さがポリカルボン酸成分(A)とポリオール成分(B)とを構成単位としたポリエステル樹脂単独で使用することより更に向上する。 この時バインダー樹脂の含水分は(30℃、60%、24時間調湿)で5000ppm以下(好ましくは3000以下)にすると高温環境下での帯電安定性はさらに向上する。
【0018】
上記の他、さらにホットオフセット性を向上させる手段として離型性に効果があるワックスを含有させるのが有利である。しかし、ワックスは増すに従いキャリアとのスペント化、帯電制御剤との分散性低下による帯電低下等の問題を引き起こすので、ワックスの分散粒径を2μm以下としてスペント化を防止するのが望ましい。
また、クリーニング性を向上させるには、トナー中に粒径0.1μm以下の磁性体粒径を含有させておくのが望ましい。このクリーニング性向上のために添加される磁性体粒子の量はトナー全体の30〜50重量%くらいが適当である。
【0019】
その他、トナーの定着領域を広げる為(定着とホットオフセットの範囲)トナーの混練中の条件をバインダー樹脂が剪断エネルギーを適度に与えトナー溶融開始温度が最適な領域を得るのも効果的である。この時のトナー溶融範囲を高架式フローテスターにより軟化温度と流出開始温度を測定した結果軟化点が70〜85℃、流出開始温度が115〜135℃である。
【0020】
従来より、トナー製造においては架橋分(THF(テトラヒドロフラン)不溶解分として測定)の割合とTHF可溶分の割合を工夫することで定着性、粉砕性、ホットオフセットのバランスをとってきている。そして、分子量分布に基づく粉砕性と定着性及びホットオフセット等の関係はバインダー樹脂をTHFなどの溶剤に溶すと不溶解分と可溶分に分離でき、可溶分はGPCで分子量分布を測定することができる。
【0021】
THF不溶解分と可溶分の分子量分布のピーク位置及び成分量に着目すると、THF不溶解分は定着性に不利に働くがホットオフセットには有効となる。不溶解分が多すぎると混練機でトナーを混練する際負荷がかかりすぎるため材料の供給量を少なくしなければならないという生産性に悪い結果や品質がバラツキやすい等の問題を発生させる。
【0022】
これまでにも、1×10未満の分子量域をもつバインダー樹脂を使用したトナーは幾つか知られているが、いずれも満足する結果とはなっていない。本発明者らはこれらについて研究した結果、新しい分子量分布に基づく粉砕性と定着性及びホットオフセット等について既に若干触れた、及び後記の事実を発見した。その結果、ポリエステル樹脂の課題である帯電の環境安定性について、本発明におけるポリエステル樹脂とビニル樹脂とのブレンドタイプのバインダー樹脂は改善され湿度依存性を押さえ、良好な帯電特性を示すトナーを得るに至ったものである。
【0023】
ここで、GPCによる測定法を説明しておけば次のとおりである。すなわち、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6重量%に調製した樹脂のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えばPressureChemical Co.或いは東洋ソーダ工業社製の分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。
【0024】
検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。この様にしてトナーの分子量分布を測定するわけであるが、現在のカラムでは分子量10以上の検出は実質的に難しい。一方、THF可溶部の中にも実験的にGPCの分子量測定検出限界10以上の分子量域の存在、つまりミクロゲル分が発見され、かつこの分子量域が定着性、粉砕性、オフセットに影響を与えている。ミクロゲル分の測定方法としてはトナーの分別方法を利用すると求めることができる。つまりTHFにトナー不溶解な溶剤を加えていき、分子量分布を見ながらTHFとその溶剤の比率を決定してやればよい。
【0025】
此の度、THFとイソドデカンの混合溶剤を使用し25℃において分別を行った。THF/イソドデカンの比率(容量割合)は2±0.5/3±1.5が適当であり、この比率でトナーを溶解した液がGPCの分子量測定範囲域である。また、THF不溶解分及び分別する場合の試験法は次の様にして行う。トナー約1.0gを秤量しこれにTHF約50gを加えて20℃で24時間静置する。これをまず遠心分離で分けJIS規格(P3801による)5種Cの定量濾紙を用いて常温で濾過する。続いて濾紙残渣が不溶分であり、用いたトナーと濾紙残渣の比(重量%)で表わす。この残渣の中にはカーボン、その他の固形物が存在するので熱分析により別途求める。分別用の溶剤の場合はTHFをこの溶剤に変更すれば良い。THF溶解成分の量からTHF/イソドデカン可溶分及びTHF不溶解分を計算することによりミクロゲル分が算出できる。
【0026】
本発明においてポリカルボン酸成分(A)は、2価カルボン酸類(A1)および必要により3価以上のカルボン酸類(A2)からなる。2価カルボン酸類(A1)の具体例としては、(1)マレイン酸、フマール酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、アゼライン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸等の炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸;(2)シクロヘキサンジカルボン酸、メチルメジック酸等の炭素数8〜20の脂環式ジカルボン酸;(3)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸などの炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸;(4)イソドデセニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸等の側鎖に炭素数4〜35の炭化水素基を有するアルキルもしくはアルケニルコハク酸;並びに、これら2価カルボン酸の無水物や低級アルキル(メチル、ブチルなど)エステルが挙げられる。
【0027】
これらの中では上記(1)、(3)、(4)およびこれらジカルボン酸の無水物や低級アルキルエステルが好ましく、(無水)マレイン酸、フマール酸、イソフタル酸、テレフタ酸、ジメチルテレフタレート、n−ドデセニル(無水)コハク酸が更に好ましい。
(無水)マレイン酸及びフマール酸は反応性が大きい点で好ましく、イソフタル酸及びテレフタル酸はポリエステルのガラス転移温度を高くする点で好ましい。また、アルキルもしくはアルケニル(無水)コハク酸はトナーの粉砕性を良くする利点がある。
【0028】
3価以上のポリカルボン酸類(A2)の具体例としては、(1)1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸等の炭素数7〜20の脂肪族ポリカルボン酸;(2)1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸等の炭素数9〜20の脂環式ポリカルボン酸;(3)1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸および1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸;並びにこれらの無水物や低級アルキル(メチル、ブチル等)エステルが挙げられる。(A2)を用いる場合、これらの中では(3)およびその無水物や低級アルキルエステルが好ましく、特に1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸およびこれらの無水物や低級アルキルエステルが価格及びトナーの耐オフセット性付与の点で好ましい。
ポリカルボン酸成分(A)中の(A2)の使用割合は、通常0〜30モル%、好ましくは0〜20モル%、さらに好ましくは0〜10モル%である。
【0029】
本発明において、ポリオール成分(B)は、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル(B1)、必要により他の2価アルコール類(B2)及び他の3価アルコール類(B3)からなる。
【0030】
ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル(B1)は、ノボラック型フェノール樹脂(a)と分子中1個のエポキシ環を有する化合物(b)との反応物である。
【0031】
ノボラック型フェノール樹脂(a)としては、塩酸、リン酸、硫酸などの無機酸又はパラトルエンスルホン酸、シュウ酸などの有機酸又は酢酸亜鉛などの金属塩を触媒として、フェノール類とアルデヒド類とからの重縮合により製造されるものが挙げられる。
【0032】
フェノール類としては、フェノールや炭素数1〜35の炭化水素基及び/又はハロゲン基を1個以上置換基として有する置換フェノールが挙げられる。置換フェノールの具体例としては、クレゾール(オルソ体、メタ体もしくはパラ体)、エチルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノール、フェニルフェノール、スチレン化フェノール、イソプロペニルフェノール、3−クロルフェノール、3−ブロムフェノール、3,5−キシレノール、2,4−キシレノール、2,6−キシレノール、3,5−ジクロルフェノール、2,4−ジクロルフェノール、3−クロル−5−メチルフェノール、ジクロルキシレノール、ジブロムフェノール、2,4,5−トリクロルフェノール、6−フェニル−2−クロルフェノール等が挙げられる。フェノール類は2種以上併用してよい。
【0033】
これらの中ではフェノール及び炭化水素基で置換された置換フェノールが好ましく、その中でも特にフェノール、クレゾール、t−ブチルフェノールおよびノニルフェノールが好ましい。フェノールとクレゾールは価格及びトナーの耐オフセット性を付与する点で好ましく、t−ブチルフェノール及びノニルフェノールに代表される炭化水素基で置換された置換フェノールはトナーの帯電量の温度依存性を小さくする点で好ましい。アルデヒド類としては、ホルマリン(各種濃度のホルムアルデヒド溶液)、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、ヘキサメチレンテトラミン等が挙げられる。ノボラック型フェノール樹脂(a)の数平均分子量は通常300〜8000、好ましくは450〜3000、更に好ましくは400〜2000である。
【0034】
ノボラック型フェノール樹脂(a)中の数平均のフェノール類の核体数は通常3〜60、好ましくは3〜20、更に好ましくは4〜15である。また(a)の軟化点(JIS K2531;環球法による)は、通常40〜180℃、好ましくは40〜150℃、更に好ましくは50〜130℃である。(a)の軟化点が40℃未満では常温でブロッキングし取り扱いが困難となる。また軟化点が180℃を越えるとポリエステル樹脂の製造過程でゲル化を引き起こし好ましくない。
【0035】
分子1個のエポキシ環を有する化合物(b)の具体例としてはエチレンオキサイド(EO)、1,2−プロピレンオキサイド(PO)、1,2−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン等を挙げることができる。また(b)として炭素数1〜20の脂肪族1価アルコールもしくは1価フェノールのグリシジルエーテルも使用できる。これらの中ではEOおよび/またはPOが好ましい。
【0036】
ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル(B1)を構成する(a)1モルに対する(b)の付加モル数は通常1〜30モル、好ましくは2〜15モル、更に好ましくは2.5〜10モルであり、また(a)中のフェノール性水酸基1個に対する(b)の平均付加モル数は通常0.1〜10モル、好ましくは0.1〜4モル、更に好ましくは0.2〜2モルである。
【0037】
(B1)の数平均分子量は通常300〜10000、好ましくは350〜5000、更に好ましくは450〜3000である。(B1)の数平均分子量が300未満ではトナーの耐オフセット性が充分でなく、10000を越えるとポリエステル樹脂の製造過程でゲル化を引き起こして好ましくない。(B1)の水酸基価(アルコール性及びフェノール性水酸基の合計)は通常10〜550、好ましくは50〜500、更に好ましくは100〜450mgKOH/gである。また、水酸基価のうち、フェノール性水酸基価は通常0〜500、好ましくは0〜350、更に好ましくは5〜250mgKOH/gである。
【0038】
(B1)の製法を例示すると、必要により触媒(塩基性触媒又は酸性触媒)の存在下、ノボラック型フェノール樹脂(a)に分子中1個のエポキシ環を有する化合物(b)を付加反応させることによりノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル(B1)が得られる。反応温度は通常20〜250℃、好ましくは70〜200℃であり、常圧下、又は加圧下、更には減圧下においても行うことができる。また反応は溶媒(例えばキシレン、ジメチルホルムアミドなど)あるいは他の2価アルコール類(B2)及び/又は他の3価以上のアルコール類(B3)の存在下で行うこともできる。
【0039】
他の2価アルコール類(B2)としては、例えば(1)エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の炭素数2〜12のアルキレングリコール;(2)ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のアルキレンエーテルグリコール類;(3)1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の炭素数6〜30の脂環式ジオール;および(4)ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類;並びに、(5)上記ビスフェノール類のアルキレンオキシド(EO、PO、ブチレンオキシド等)2〜8モル付加物を挙げることができる。
(B2)を用いる場合、これらのうち(1)及び(5)が好ましく、(5)が更に好ましい。上記(1)の中ではエチレングリコールは反応速度を増大し、1,2−プロピレングリコール及びネオペンチルグリコールは低温定着性の点で好ましい。また、上記(5)の中では、特にビスフェノールAのEO及び/又はPO2〜4モル付加物がトナーに良好な耐オフセット性を与える点で好ましい。
【0040】
他の3価以上のアルコール類(B3)の具体例としては、(1)ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の炭素数3〜20の脂肪族多価アルコール;(2)1,3,5−トリヒドロキシルメチルベンゼン等の炭素数6〜20の芳香族多価アルコール;並びにこれらのアルキレンオキサイド付加物を挙げることができる。
(B3)を用いる場合、これらの中では(1)の化合物が好ましく、その中でも安価な点からグリセロール、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールが好ましい。
【0041】
ポリオール成分(B)中の(B1)、(B2)、(B3)の構成割合は、それぞれ通常(B1)2〜100%、(B2)0〜98%、(B3)0〜20%、好ましくは(B1)4〜70%、(B2)30〜96%、(B3)0〜10%、更に好ましくは(B1)4〜50%、(B2)50〜96%、(B3)0〜5%であり、B1+B2+B3=100%である。
【0042】
本発明におけるポリエステル樹脂に必要によりバインダー樹脂全体の30重量%以下の量でブレンドされるビニル樹脂(ビニル系重合体)は、その成分として、スチレンが50〜100重量%、好ましくは60〜90重量%重合されたビニル系共重合体を使用するのが好ましい。スチレン共重合量が50重量%未満であると、トナーの熱溶融性が劣り、その結果、定着性が不充分となる傾向にある。
【0043】
本発明において、ビニル系重合体の成分となるスチレン以外のビニル系単量体としては、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−クロロスチレン等のスチレン誘導体、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸プロポキシエチル、メタクリル酸ブトキシエチル、メタクリル酸メトキシジエチレングリコール、メタクリル酸エトキシジエチレングリコール、メタクリル酸メトキシエチレングリコール、メタクリル酸ブトキシトリエチレングリコール、メタクリル酸メトキシジプロピレングリコール、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸フェノキシジエチレングリコール、メタクリル酸フェノキシテトラエチレングリコール、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸ジシクロペンテニル、メタクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、メタクリル酸N−ビニル−2−ピロリドン、メタクリロニトリル、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル、ジアセトンアクリルアミド、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸プロポキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸メトキシジエチレングリコール、アクリル酸エトキシジエチレングリコール、アクリル酸メトキシエチレングリコール、アクリル酸ブトキシトリエチレングリコール、アクリル酸メトキシジプロピレングリコール、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸フェノキシジエチレングリコール、アクリル酸フェノキシテトラエチレングリコール、アクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸ジシクロペンテニル、アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、アクリル酸N−ビニル−2−ピロリドン、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル、アクリル酸グリシジル、アクリロニトリル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ビニルピリジン等の1分子中に1個のビニル基を有するビニルモノマーを主成分として用いるが、加えてジビニルベンゼン、グリコールとメタクリル酸或いはアクリル酸との反応生成物、例えばエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリットトリメタクリレート、ペンタエリトリットテトラメタクリレート、トリスメタクリロキシエチルホスフェート、ビス(メタクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、トリス(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリットトリアクリレート、ペンタエリトリットテトラアクリレート、トリスアクリロキシエチルホスフェート、ビス(メタクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、トリス(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌート、メタクリル酸グリシジルとメタクリル酸或いはアクリル酸の半エステル化物、ビスフェノール型エポキシ樹脂とメタクリル酸或いはアクリル酸の半エステル化物、アクリル酸グリシジルとメタクリル酸或いはアクリル酸の半エステル化物等の1分子中に2個以上のビニル基を有するビニルモノマーを使用する。
【0044】
これらのうち、好ましいビニル系単量体としては、1分子中に1個のビニル基を有するビニル系単量体では、スチレン、スチレン誘導体、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル等であり、特にスチレン並びにアルキル基に1〜5個の炭素原子を有するメタクリル酸或いはアクリル酸のアルキルエステルが好ましい。1分子中に2個以上のビニル基を有するビニル系単量体では、ジビニルベンゼン、炭素原子数2〜6のメチレングリコールのジメタクリレート及びジアクリレート等が好ましい。
【0045】
これらの単量体は、合計が100重量%になるように配合される。このうち、1分子中に2個以上のビニル基を有するビニル系単量体の量は0.1〜1重量%であるのが好ましい。
【0046】
上記の単量体又は単量体混合物は、懸濁重合、溶液重合、乳化重合、塊状重合等、任意の方法で重合させることができるが、経済性、製造時の安定性等の点から、水性懸濁重合によって製造するのが好ましい。
【0047】
上記の単量体又は単量体混合物の重合に用いられるラジカル開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過安息香酸2−エチルヘキシル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化イソブチリル、過酸化オクタノイル、ジ−tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、4,4,6−トリメチルシクロヘキサノンジ−tert−ブチルペルオキシケタール、シクロヘキサノンペルオキシド、メチルシクロヘキサノンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、シクロヘキサノンジ−tert−ブチルペルオキシケタール、2−オクタノンジ−tert−ブチルペルオキシケタール、アセトンジ−tert−ブチルペルオキシケタール、ジイソプロピルペンゼンヒドロペルオキシド等の過酸化物系ラジカル開始剤、2,2’−アゾビスイソブチロイトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルパレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾビス系ラジカル開始剤などがある。これらは、単量体の総量に対して好ましくは0.01〜20重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%使用する。
【0048】
その他、重合時にブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、メチル2−メルカアプトプロピオネート、エチル2−メルカプトプロピオネート、ブチル2−メルカプトプロピオネート、オクチル2−メルカプトプロピオネート、ペンタエリトリットテトラ(2−メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールジ(2−メルカプトプロピオネート)、グリセリントリ(2−メルカプトプロピオネート)等のメルカプタン類、クロロホルム、ブロモホルム、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素等のラジカル重合分子量調整剤を使用することもできる。これらの分子量調整剤は、単量体の総量に対して0〜3重量%使用されるのが好ましい。
【0049】
水性懸濁重合を実施する場合には、部分ケン化ポリビニルアルコール、アルキルセルロース、ヒドロキシ−アルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸及びそのアルカリ金属塩、ポリメタクリル酸及びそのアルカリ金属塩等の水溶性高分子分散剤、燐酸カルシウム、ヒドロキシアバタイト、燐酸マグネシウム、ピロ燐酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、疎水性シリカ等の難溶性無機分散剤を用いることができる。分散剤は、水溶性高分子分散剤の場合は水性媒体に対して0.0001〜5重量%、難溶性無機分散剤の場合は水性媒体に対して0.01〜15重量%使用するのが好ましい。
【0050】
ところで、ポリエステル樹脂をバインダー樹脂に使用したトナーは高湿時における帯電量変化や帯電立上りが遅い等があり、複写する場合において環境変動を受け帯電量不足による濃度低下かぶりが発生する、といった不都合が報告されている。帯電立上りが遅いことは地汚れの原因になったりする。従って、これらの課題を防止し鮮明な画像を得る事が必要かつ不可欠である。
【0051】
こうしたことから、本発明トナーにおいては、バインダー樹脂(ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂にビニル樹脂をブレンドしたもの)として、Tgが50〜65℃、酸価が1〜5mgKOH/g、好ましくは1〜3mgKOH/g、水酸基価が30〜80mgKOH/g、好ましくは30〜60mgKOH/gのものを用いるのが有利である。
バインダー樹脂のTgはDSC曲線において吸熱ピークが50〜65℃の範囲にあるのが良い。Tgが50℃より低いとトナーが保存時固化してしまうことがあり、65℃より高いと低温定着性が満足しにくくなる。特に最近は消費電力を低くおさえる為、低温定着のバインダーを望む傾向にあるので保存性が確保できればよりTgは低温が好ましい。
【0052】
また、帯電に関しては、環境変動を極力押さえる為には気中の水分を吸着しにくいバインダー樹脂を選択することが望ましい。このため、本発明で此の度使用したノボラック型フェノール樹脂は他のポリオール成分に比較し、空気中の水分を吸着しにくく好適であり、5000ppm以下が可能となり環境安定性が良い。この材料を使用し、酸価を5mgKOH/g以下、水酸基価30〜80mgKOH/gにする事により更に水分の吸着を防ぐことができ、3000ppm以下が可能となる。3000ppm以下の場合は環境安定性は更に良くなる。
【0053】
酸価は可能な限り低い方が良いが、ポリエステルの反応上、酸価1以下では合成上むずかしいので範囲として3000ppm以下を得るには1〜5mgKOH/gとなる。
水酸基価もエステル化反応の工業的限界の30mgKOH/gから80mgKOH/gに押さえることが望ましい。30mgKOH/g以下は未確認の領域であり、また、酸価同様、バインダー樹脂含水分量をおさえる為に80mgKOH/g以下、好ましくは60mgKOH/g以下が必要である。
酸価、水酸基価をそれぞれ適当な範囲にすることにより水分3000ppm以下が得られる。
【0054】
ここで、バインダー樹脂の水分量測定法について説明すれば次のとおりである。まず樹脂を200μm以下に粉砕し30℃、60%RHの環境下に24時間保存する。この樹脂をカールフィーシャー水分滴定装置の気化装置を用い水分量を測定する。この他必要な帯電量を得る為、帯電調節剤を少なくする効果(安価なトナー)もあわせもつ。
【0055】
以上の様にして得られるトナーのバインダー樹脂は、着色剤及び/又は磁性粉並びに必要に応じて、帯電制御剤、その他の添加剤と適宜溶融混合して静電荷像現像用トナーとすることができる。
【0056】
着色剤としては、カーボンブラック、酸化鉄顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ローダミン6Gケーキ、ウォッチングレッドストロンチウム等、従来公知のものを使用することができる。トナー中に含まれる着色剤の量は1〜60重量%の範囲で適宜選択して使用する。
【0057】
帯電制御剤としては、ニグロシン染料、脂肪酸変性ニグロシン染料、含金属ニグロシン染料、含金属脂肪酸変性ニグロシン染料、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のクロム錯体等を使用することができ、通常、トナー中に0〜20重量%使用する。
【0058】
離型剤としては融点が70℃〜170℃にあるワックスが用いられる。離型剤の具体例としては、カルナバワックス、モンタンワックス、サゾールワックス、パラフィンワックス、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、エチレン−酢ビ共重合体などがあげられる。これらはトナー中に1〜10重量%の範囲で加えられる。
【0059】
ワックスを加える事は離型性を与え、ホットオフセットは確実に向上するが、一方樹脂との相溶性に問題があり、量が増すに従い現像性が悪くなる。またキャリアとのスペントも起こるので、帯電量不足、帯電不安定が発生する。この為ワックスは極力少ない方が好ましいが、キャリアスペント化や帯電量不足等を発生させる事なく離型性を得ることができる。
【0060】
使用するワックスの粒径を100μm以下として混練時、高剪断エネルギーで混練する事によりトナー中のワックスが2μm以下となることがわかった。2μm以下になる事によりトナー中に10%加えても上記のワックスによる副作用は起こる事なく離型性の効果は得られる。
なお、粒径2μm以下のワックスはトナーの断面をTEM写真で確認する事により行なった。
【0061】
その他の添加剤としては、シリカ粉末、疎水性シリカ粉末、ポリオレフィン、パラフィンワックス、フルオロカーボン化合物、脂肪酸エステル、部分ケン化脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩等を使用することができ、これらは通常、トナー中に0.1〜5重量%使用される。
【0062】
本発明トナーは乾式一成分系現像剤及び二成分系現像剤のいずれにも使用できる。一成分系現像剤の場合の磁性体としては、フェライト、マグネタイトなどをはじめとする鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性を示す元素を含む合金、あるいは化合物又は強磁性元素を含まないが適当に熱処理することによって強磁性を示すようになった合金、例えばマンガン−銅−アルミニウムあるいはマンガン−銅−スズなどのマンガンと銅とを含むホイスラー合金と呼ばれる種類の合金、または二酸化クロム等を挙げることができる。磁性体は粒径0.3〜30μmの微粉末の形でバインダー樹脂中に均一に分散される。磁性体粒子の含有量は、トナー中20〜70重量%、好ましくは40〜70重量%が望ましい。
【0063】
一成分磁性トナーの調整あるいはクリーニング性を良好にするためトナー中に添加される磁性体の粒径は0.1μm以下でバインダー樹脂中に好ましくはワックスと共に微分散される。投入する磁性体は0.1μm以下を使用するが、今までの事例をみると、磁性体は0.1μm以下を使用しても十分微分されず凝集体となり、TEM観察する限り0.1〜1μmが通常の分散状態であった。しかし、樹脂(ポリエステル樹脂)の粘性及び混練時の高エネルギーせん断により磁性体が十分分散される条件となった。一成分磁性トナーにおける磁性体の含有量は、トナー中20〜70重量%、好ましくは40〜70重量%である。
【0064】
二成分系現像剤におけるトナーとしては一般に用いられているのと同様に、着色剤、結着樹脂及び荷電制御剤を主成分としたもので構成される。
【0065】
本発明に係るトナー組成物は任意の周知のトナー混合法及び粉砕法によって作られる。例えば、すべての成分をそれぞれ所定量で配合し、混合し、かつ粉砕することによって全成分を充分に混合し、次いで得られた混合物を微粉化する。トナー粉末を形成する他の周知の方法においては着色剤、樹脂及び溶媒をボールミルにかけ、そのトナー調合品混合物を噴霧乾燥させる。
【0066】
本発明に係るトナー組成物をカスケード現像法、磁気ブラシ現像法などによって使用するためには、該組成物は、重量百分率であらわした平均粒度が約30μm以下でなければならず、最適結果を生むためにはこの平均粒度が約4〜20μmの間にあることが望ましい。粉末雲現像法において使用するためには1μmよりもわずかばかり小さい粒径のものが望ましい。
【0067】
カスケード現像法、磁気ブラシ現像法などで使用される被覆されたキャリア及び被覆されていないキャリアは周知であるが、トナー粉末がキャリア粒子に付着してそれらを包囲するようにキャリア粒子がトナー粉末と密接に接触させられる時に、トナー粉末がキャリア粒子の電荷とは反対極性の電荷を獲得するものであればキャリア粒子は任意の適当な材料で形成されてもよい。従って本発明に係るトナー組成物は、従来の光導電性表面を含んだ任意の適当な静電潜像を帯びた表面上で静電潜像を現像するために通常のキャリアと混合して使用される。
【0068】
(トナー製造法)
ミクロゲル域の成分を5〜20重量%含まれるものを得る方法として、THF不溶解分の分子領域の分子を機械的エネルギーにより切断する方法がある。この方法はTHF不溶解分10〜40重量%含まれるポリエステル樹脂と、ビニル樹脂とのバインダー樹脂を、カーボンブラックや帯電制御剤、磁性体、その他の添加剤を混合して機械的剪断エネルギーを与えながら混練する。
【0069】
混練する場合はまずVブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合機で予備混合した後、熱ロール、加圧ニーダ、ハンバリーミキサー、一軸又は二軸連続混練機等で、一般的には100〜200℃で混練する。このように混練する場合、機械的剪断エネルギーにより分子が切断される領域がある。これは主に混練時の粘度に支配される。この粘度は10〜10ポイズが適当である。この粘度域より低い粘度で混練された場合は、分子は切断されにくくTHF不溶解分がトナー中に残ってしまう。逆に、高い粘度で混練した場合は他の材料と分散しないことに加え、機械の負荷が大きく機械破損につながるケースもでてくる。分子切断は重量平均分子量でおよそ1×10付近以上の網目構造をもつ高分子が切断されることによると考えられる。混練前後の分子量分布をみると約1×10以下の分子量域は変化していない。この分子の切断は合成で得ることは難しい。
【0070】
トナー特性としてこの範囲の分子量はホットオフセット、フィルミングに効果がある。しかしその反面、粉砕性、定着性には不利な方向にはたらくので、粉砕性、定着性をあげるには混練後の分子量分布を規定することが望ましい。つまり、前記の粘度範囲内で混練しGPCにおいて2000〜10000の領域にメインピークを有し、分子量(Mw)10000以下が50〜70重量%含有することにより、定着性、粉砕性が向上する。特に分子量(Mw)は低い成分が好ましく、Mwが2000〜10000好ましくは2000〜4000にメインピークがあるものが良い。
【0071】
本発明におけるバインダー樹脂に占めるビニル樹脂が30重量%を越えると耐塩ビマット性が低下し定着性も悪くなる。環境安定性においてはビニル樹脂系、特にスチレンを主体としてアクリル、メタクリル、又はブタジエンとの共重合体が疎水性を増し、ポリエステル単独より環境安定性に効果がある。耐塩ビマット性、帯電環境安定性、定着性を考慮し30重量%以下でビニル樹脂は使われるのがよい。
【0072】
混練時の粘度1×10〜1×10ポイズはワックス成分を2μm以下に分散するのにも適する。樹脂としてはビニル系樹脂の他、トナー用として使用可能な樹脂(例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂など)も30重量%以下で使用可能である。
【0073】
次にさらにポリオレフィンが2μm以下で微分散されているトナーを得る方法について記す。ポリオレフィンワックスの分散性はバインダー樹脂中にミクロゲル分が存在することにより非常に良好となる。これはミクロゲル分がレオロジー特性におおきなかかわりあいがある為である。つまり高分子ポリマーは典型的な粘弾性性挙動を示す物質である。ポリエステル又はビニル樹脂の架橋型樹脂分子を切断してできた分岐型構造であり、かつ混練時の貯蔵弾性率G’が大きい。トナーの混練時の温度は100〜200℃の範囲であることが一般的であるが、この範囲においても分岐型構造を有する高分子では流動せず、少なくとも10dyne/cm程度の弾性率が維持されていることが知られている(岡 小天著「レオロジー入門」p83、工業調査会発行)。弾性率は物質の凝集力に関するものであり、ポリオレフィンワックスはミクロゲル分を含むトナー相全体からの凝集力をうけた状態で、混練されるため強い剪断がかかり、分散性が良好になる。
【0074】
一方、サブピークを含有していない系、つまり線形高分子をバインダー樹脂として使用した場合、一般的な混練条件下においては樹脂が流動をおこし弾性率はゼロに向かうことが知られている。これまでポリオレフィンワックスを使用した発明は、いくつか提案されているが、バインダー樹脂との相溶性が悪く分散不良となるケースがほとんどであった。しかしポリエステル樹脂とビニル樹脂をブレンドしミクロゲル分が含まれた系は混練に適切な粘弾性挙動を示すことからポリオレフィンワックスが2μm以下で微分散される。
【0075】
本発明で用いられるトナーは、その軟化点が70〜85℃の範囲にあることが望ましい。軟化点が70℃より低い場合はトナーの保存性が低下し、85℃を超える場合はトナーの低温定着性が悪化する傾向がみられる。また、流出開始点も軟化点と同じように動き115〜135℃の範囲であるのが望ましい。
これら2つの特性は各々に満足して定着性が確保される。ここで軟化点とは島津製作所社製の高架式フローテスター「CFT−500型」を用いて、測定条件は荷重10kg/cm、ノズルの直径1mm、ノズルの長さ1mm、昇温速度10℃/分として計測器から算出されるTsを軟化点とし、Ttbを流出開始点とした。
【0076】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。ここでの部は重量基準である。
【0077】
表1に実施例、比較例で用いられるポリエステル樹脂組成及びその物性を示す。
【0078】
【表1】
Figure 0003585666
【0079】
(表1に示した原料の略称)
(1)グリコールA:ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(水酸基価 315)
(2)グリコールB:ポリオキシエチレン(2,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(水酸基価 340)
(3)グリコールC:ポリ(オキシエチレン−プロピレン)−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン(水酸基価 320)
(4)グリコールD:ポリオキシプロピレン(3,1)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(水酸基価 275)
(5)EG :エチレングリコール
(6)NPG :ネオペンチルグリコール
(7)TPA :テレフタル酸
(8)IPA :イソフタル酸
(9)FA :フマール酸
(10)AA :アジピン酸
(11)DMT :ジメチルテレフタレート
(12)DSA :ドデセニル無水コハク酸
(13)TMA :無水トリメリット酸
【0080】
(ポリエステル樹脂の物性測定法)
1.酸価及び水酸基価
JISK0070に規定の方法による。但し、サンプルが溶解しない場合は溶媒にジオキサンまたはテトラヒドロフラン等の溶媒を用いる。
2.ガラス転移温度(Tg)
ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)による。
【0081】
実施例1〜4及び比較例1
表1の条件よりなる樹脂3000g、カーボンブラック(三菱化学社製#40)20g、オイルブラックBY(オリエント化学社製)250gを二本ロールで加熱溶融混練した。混練条件は及び評価をまとめて表2に示した。
【0082】
各評価は以下の方法で行った。
(画像評価方法)
粒径10〜11μmにそろえたトナー50部とEFV200/300(日本鉄粉社製)950部とを混合し充分振り混ぜて現像剤とした。この現像剤を用い高速複写機(リコー社製FT8200)を用いて画像評価を実施する。
(最低定着温度)
未定着画像を画像形成装置(定着部をはずす)により作成し、別に用意した熱ロール定着器に通す。この時、定着ロール温度を任意に変更し定着状態をチェックする。チェックは定着した画像部を綿でこすり、綿がトナーで汚れない温度を定着温度とする。
(ホットオフセット温度)
画像形成装置にて画像形成する際、熱ロールに付着したトナーを白紙ペーパーて通紙し、通紙ペーパー上のトナー汚れの有無でチェックする。判定はトナー汚れが確認されなかった上限の熱ロール温度で表した。
(帯電環境安定性)
高温高湿(30℃、90%RH)の帯電と低温低湿(10℃、30%RH)の帯電とを比較し変動巾で評価する。
(トナー粉砕性)
混練したトナーをハンマーミルで粗粉砕しジェット式エアーミルで微粉砕した。この時、体積平均粒径10μmを得るために必要な供給量を測定し粉砕性の指標とした。吐出エア圧力は5.0kg/cmとした。
【0083】
【表2】
Figure 0003585666
【0084】
表2の結果から、実施例1〜4に比較して、ミクロゲル分が多い比較例1は定温定着性や粉砕性が悪い。従って、実施例1〜4は定着性、ホットオフセット性、粉砕性、帯電環境安定性のバランスの良いことが判る。
【0085】
実施例5〜8及び比較例2
実施例1〜4及び比較例1と同様に、樹脂I〜Vを使用してトナーを作製した。但し、その中にワックスを5重量%加えた。比較例2としてはワックスの分散粒径が2μmを超えるものを評価した。結果を表3に示す。
【0086】
【表3】
Figure 0003585666
【0087】
表2及び表3の比較から、実施例5〜8(トナー中にワックスを添加したもの)ではホットオフセット温度が5〜20℃向上している。
【0088】
実施例9〜12及び比較例3、4
表1の樹脂I〜IVで表4の条件よりなる樹脂1500g、オイルブラックBY(オリエント化学社製)250g及び磁性体(マグネタイト)1500gを二本ロールで加熱溶融混練した。混練条件及びトナーの評価をまとめて表4に示した。なお、評価にはクリーニング性、画像濃度を加えた。
(クリーニング性)
複写画像の形成後、クリーニングブレードによりクリーニングされた直後の潜像担持体の表面を目視により観察し、クリーニング不良物のい有無により判定した。評価は、クリーニング不良物がほとんど認められず良好である場合を「○」、クリーニング不良物が若干認められるが実用レベルにある場合を「△」、クリーニング不良物が多く認められ実用的には問題のある場合を「×」とした。
(画像濃度)
20万回後の複写画像についてマクベス濃度計を用いて原稿濃度が0.0の白地部分の複写画像に対する相対濃度を測定して判定する。実用レベルは0.8以上である。
【0089】
【表4】
Figure 0003585666
【0090】
表4の結果から、実施例9〜12に較べて、磁性体の粒径が大きくかつミクロゲル分が多い比較例3やTHF不溶解分が残存する比較例4は低温定着率性や粉砕性、クリーニング性が悪い。これに対して、実施例9〜12は定着性、ホットオクセット性、粉砕性、クリーニング性などのバランスがよいことが判る。なお、磁性体を含まない実施例1〜4のクリーニング性は△である。
【0091】
実施例13〜16及び比較例5、6
実施例1〜4及び比較例1において、表1の条件よりなるポリエステル樹脂300gの代わりに、そのポリエステル樹脂240g及び表5のビニル樹脂60gを用いた以外は、まったく同様にして現像用トナーを作成した。
【0092】
ビニル樹脂の合成(ビニル系樹脂A−1、A−2の合成)
冷却管、撹拌器、ガス導入管及び温度計を取り付けた3リットルのフラスコにイオン交換水及びモノマーを仕込む。その処方例は表2にA−1、A−2として記す。液は撹拌しながら加熱し、規定の反応温度まで昇温し反応する時間はすべて12時間とした。得られた重合物は水洗し常温10トールにて乾燥し、揮発分1%以下の粉状体を得た。
【0093】
【表5】
Figure 0003585666
【0094】
これらのトナー品質は表6のように評価された。
【0095】
【表6】
Figure 0003585666
【0096】
実施例17〜19及び比較例7、8
実施例13〜15及び比較例5,6と同様な樹脂を使用してトナーを作製した。但し、その中にワックスを5重量%となるように加えた。比較例としてはワックスの分散粒径が2μmを超えるものも評価した。結果を表7に示す。
【0097】
【表7】
Figure 0003585666
【0098】
実施例20〜23及び比較例9、10
実施例13〜16及び比較例5,6と同様な樹脂を使用しトナーを作製した。但し、その中にワックスを5重量%及び磁性体を50重量%となるように加えた。比較例としてはワックスの分散粒径が2μmを超えるものも評価した。結果を表8に示す。
【0099】
【表8】
Figure 0003585666
【0100】
【発明の効果】
(1)請求項1に記載したバインダー樹脂を使用し、かつトナー中にレジンTHF不溶解分を含有せずミクロゲル分を5〜20重量%含有し、かつ分子量分布を特定することにより、低温定着性とホットオフセット性が向上した定着温度範囲が広くホットオフセットの温度巾の広いトナーを得ることが出来る。
(2)請求項2に記載した磁性粉を含有するものは一成分トナーとして用いられるだけでなく、トナーのクリーニング性を良好にすることができる。
(3)請求項3に記載したバインダー樹脂を使用することにより、上記(1)(2)の効果はより向上したものとなる。
)請求項を満足するトナーは帯電環境安定性のすぐれたものとである。
)請求項のバインダーレジンを使用することにより、トナーの帯電環境安定性にすぐれたトナーを提供できる。
)請求項のワックスを使用し、かつ分散粒径を2μm以下にすることによりホットオフセットを更に向上させることが出来る。
)請求項を満足するトナーは定着とホットオフセット巾を満足出来るトナーを得ることができる。

Claims (7)

  1. バインダー樹脂に着色剤を分散させてなる静電荷像現像用トナーにおいて、該バインダー樹脂がポリカルボン酸成分(A)とポリオール成分(B)とを構成単位としたポリエステル樹脂であり、ポリオール成分(B)の少なくとも一部がノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル(B1)であり、しかも下記(イ)及び(ロ)の状態でトナー中に存在し、さらにトナー中に存在する該バインダー樹脂はそのテトラヒドロフラン溶解分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量分布において2000〜10000の領域にメインピークを有し、かつ、分子量10000以下が50〜70重量%であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
    (イ)テトラヒドロフラン不溶解分を含まないこと、
    (ロ)分子量1×10以上の成分を5〜20重量%含有すること。
  2. 請求項1のトナー中に粒径0.1μm以下の磁性体粒子を分散含有させたことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  3. バインダー樹脂がポリカルボン酸成分(A)とポリオール成分(B)とを構成単位としたポリエステル樹脂にビニル樹脂をブレンドしたものからなる請求項1又は2記載の静電荷像現像用トナー。
  4. バインダー樹脂はガラス転移点50〜65℃、酸価が1〜5mgKOH/g、水酸基価が30〜80mgKOH/gの特性を有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  5. バインダー樹脂の含水率が30℃、60%(24時間調湿)において5000ppm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  6. ワックスを含有し、このワックスの分散粒子径が2μm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  7. 高架式フローテスターにおいて軟化点が70〜85℃でかつ流出開始温度が115〜135℃の範囲にあることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
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