JP3584687B2 - 制振構造体及びそのための発泡性ゴム組成物 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、制振材及びそのための発泡性ゴム組成物に係り、特に車両用として好適に用いられる、軽量な制振材と、それを与える発泡性ゴム組成物に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、制振材は、各種の用途において、振動するパネルや構造体に対して適用されて、その振動の伝播を抑制乃至は遮断する材料として用いられてきており、例えば、自動車のボディパネル用制振材としては、アスファルトシートやIIRゴムシート等が知られ、それらシート状の制振材が、近年において要請されるキャビン内の低騒音化を図るために、多量に用いられてきているが、その多量の使用によって、車両重量が増大することは避けられず、そのために、このような制振材にあっても、車両の軽量化の観点から、その優れた制振特性を確保しつつ、軽量化を図ることが要請されている。
【0003】
また、かかる従来のシート状の制振材は、パネル等の振動面乃至は振動伝達面に貼り付けられて、振動の伝播を抑制乃至は遮断するものであるところから、パネル振動の如き膜振動に対しては効果があるものの、スポット溶接された自動車のボディ骨格やサブフレーム等の曲げ若しくは捩じり共振に対しては、殆ど効果のないものであった。特に、自動車の車内騒音の中でも、ボディの共振による騒音、取り分けロードノイズに関する騒音に対する対策に、充分に応え得るものではなかったのである。そのようなロードノイズは、路面状態とシャシーやボディ特性が複雑に絡むために、対策が取り難いのである。
【0004】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景として為されたものであって、その主たる解決課題とするところは、軽量性に優れた、制振性能の高い制振材並びにそれを与え得る発泡性ゴム組成物を提供することにあり、また他の課題とするところは、自動車のボディの曲げや捩じり共振に対して、優れた制振性能を発揮し得る制振材と、それを与える発泡性ゴム組成物を提供することにある。
【0005】
【解決手段】
そして、本発明にあっては、そのような課題を解決するために、結合アクリロニトリル量が31%以上のNBRの100重量部に対して、5〜25重量部の硫黄、5〜200重量部のフェノールレジン及び5〜40重量部の発泡剤を配合してなる発泡性ゴム組成物を加熱、発泡せしめて得られた、0.25よりも大なるtanδを有する発泡体からなることを特徴とする制振材を、その要旨とするものである。
【0006】
すなわち、かかる本発明に従う制振材にあっては、ゴム材料として特定のNBRを用い、それを比較的高割合の硫黄にて加硫せしめると共に、所定量のフェノールレジンを配合せしめることによって、常温付近での制振効果を高め、更に発泡剤を用いて発泡構造としたところに、大きな特徴を有するものであって、これにより、粘弾性特性が効果的に改善され、tanδが0.25よりも大なる、優れた制振特性を有する制振材を与える発泡体が実現され得ると共に、そのような発泡体にて制振材が構成されているところから、制振材の有効な軽量化が実現され得ることとなったのである。
【0007】
なお、このような本発明に従う制振材の好ましい態様の一つによれば、制振材を構成する発泡体を与えるNBRとして、36%以上の結合アクリロニトリル量を有するものが、有利に用いられ、また、他の好ましい態様によれば、前記フェノールレジンが、100重量部を越える割合において配合せしめられることとなる。このように、結合アクリロニトリル量が大なるNBRを用いたり、フェノールレジンの配合量を高めることにより、低周波振動、特に500Hz以下の振動に対する制振性能を、有利に発揮せしめ得るのである。
【0008】
また、本発明に従う制振材は、それを構成する発泡体がシート状を呈し、その一方の側の面において振動面乃至は振動伝達面に対して貼り付けられるようになっている、貼り付けタイプの制振材としても、用いられ得るものであって、このような用途においても、優れた制振性能と共に、その軽量化の利点を享受することが出来る。
【0009】
特に、本発明にあっては、上述の如き制振材を、中空の構造体内に充填せしめることによって、軽量で且つ高性能な特徴に加えて、そのような中空構造体の曲げや捩じり共振に対して、大幅な制振性能を発揮せしめ得るものであって、そのような充填によって得られた制振構造体は、結合アクリロニトリル量が31%以上のNBRの100重量部に対して、5〜25重量部の硫黄、5〜200重量部のフェノールレジン及び5〜40重量部の発泡剤を配合してなる発泡性ゴム組成物を加熱、発泡せしめて得られた、0.25よりも大なるtanδを有する発泡体が、構造体を与える閉断面構造の中空部材の内部に充填せしめられていることを特徴とするものである。
【0010】
このような制振構造体にあっては、その中空部材の閉断面構造の内部が、制振性能の高いゴム発泡体にて充填されていることにより、そのような中空部材の骨格の断面変形を効率的に熱エネルギーに変換することが出来、以て、かかる中空部材の曲げや捩じり共振に対して、大幅な制振性能を得ることが出来ることとなったのである。
【0011】
そして、これにより、かかる発泡体は、前記中空部材としての車両の骨格部材への充填に有利に用いられ、自動車のボディ骨格やサブフレーム、ピラー等の内部に充填されて、その内部を流れる音の伝播を遮断すると共に、その曲げや捩じり共振に対して、優れた制振効果を発揮するのである。
【0012】
また、本発明にあっては、上述の如き制振材乃至は制振構造体を構成する発泡体を得るために、構造体を与える閉断面構造の中空部材の内部に充填せしめられる制振材を与える発泡性ゴム組成物として、結合アクリロニトリル量が31%以上のNBRの100重量部に対して、5〜25重量部の硫黄、5〜200重量部のフェノールレジン及び5〜40重量部の発泡剤を配合してなる制振材用発泡性ゴム組成物を用いることを、その特徴としている。
【0013】
さらに、本発明にあっては、上記と同様な目的において、振動面乃至は振動伝達面に貼り付けられるシート状の制振材を与える発泡性ゴム組成物として、結合アクリロニトリル量が31%以上のNBRの100重量部に対して、5〜25重量部の硫黄、5〜200重量部のフェノールレジン及び5〜40重量部の発泡剤を配合してなる制振材用発泡性ゴム組成物を用いることをも、その特徴としているのである。
【0014】
【発明の実施の形態】
ところで、本発明に従う制振材やそれを与える発泡性ゴム組成物において用いられるNBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム:ニトリルゴム)としては、公知のものの中から、結合アクリロニトリル量が31%以上のものが選択されることとなる。この結合アクリロニトリル量が31%以上のNBRは、中高ニトリル、高ニトリル、極高ニトリルの範疇に属するものであって、このような高い結合アクリロニトリル量のNBRを使用することにより、優れた制振特性が発揮され得るのである。
【0015】
特に、かかる結合アクリロニトリル量が高いNBRの中でも、本発明にあっては、36%以上の結合アクリロニトリル量を有するNBRが有利に用いられることとなる。このような36%以上の結合アクリロニトリル量のNBRの使用によって、低周波振動、特に500Hz以下の振動に対する制振特性が、より一層有利に発揮せしめられ得るからである。
【0016】
また、硫黄は、上記のNBRを架橋するために用いられるものであるが、その使用量は、従来の通常の使用量範囲よりも高い、比較的高配合量において用いられ、これによって、NBR架橋物の粘弾性特性を改善して、tanδを高め、制振特性を向上せしめるものである。この硫黄の配合量は、NBRの100重量部に対して、5〜25重量部、好ましくは10〜15重量部の範囲内とされる。硫黄の配合割合が5重量部よりも少なくなると、粘弾性特性(弾性率)が低くなり過ぎ、また25重量部よりも多くなると、粘弾性特性が高くなり過ぎるようになり、結局、tanδが0.25よりも大きな物性を実現することが困難となるのである。
【0017】
さらに、フェノールレジンは、その添加によって、ガラス転移温度(Tg)を高温側に移行せしめ、以て常温付近での制振効果を向上せしめるものであって、本発明では、NBRの100重量部に対して5〜200重量部、好ましくは40〜150重量部の割合において配合せしめられるものである。けだし、このフェノールレジンの配合量が少な過ぎても、また多過ぎても、粘弾性特性の有効な改善が図り得ず、従ってtanδの向上が期待され得ないからである。
【0018】
なお、このようなフェノールレジン(樹脂)としては、一般に、従来からゴム配合において有機系充填剤として知られているものの中から、目的に応じて適宜に選択して用いられることとなるが、特に有利には、変性フェノールレジン、例えばカシュ変性フェノール樹脂、テルペン・フェノール共重合体等が用いられることとなる。
【0019】
また、そのようなフェノールレジンは、NBRの100重量部に対して、100重量部を越える割合において用いられることによって、低周波振動、特に500Hz以下の振動に対して、優れた制振特性を発揮し得る制振材を与え得るものである。
【0020】
そして、本発明に従う発泡性ゴム組成物を構成するために、上記のNBR、硫黄及びフェノールレジンと共に配合される発泡剤は、ゴム組成物が加硫のために加熱されたときに、分解して、二酸化炭素や窒素ガス等の気体を放出することにより、発泡体が形成されるように、添加されるものであって、従来から公知のものが適宜に採用され得るものであるが、そのような発泡剤の具体例としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等の無機系のものや、ジアゾアミノ誘導体、アゾニトリル系、アゾジカルボン酸誘導体、ジニトロソペンタメチレンテトラミン等の有機系のもの、更にはマイクロカプセル型のもの等を挙げることが出来る。そして、この発泡剤は、NBRの100重量部に対して、5〜40重量部の配合割合で、添加せしめられる。けだし、かかる配合割合が5重量部よりも少ない場合には、充分な発泡作用が発揮され得ないからであり、また40重量部よりも多い場合には、より一層の発泡作用が発揮されるという訳ではないからである。
【0021】
なお、本発明における発泡性ゴム組成物には、前記したNBR、硫黄、フェノールレジン及び発泡剤の他にも、更に制振特性を付与する充填剤、例えば炭酸カルシウム、マイカ、フェライト等を適宜に加えても、何等差し支えなく、また、従来から知られている各種の配合剤、例えば加硫促進剤、加硫助剤、加工助剤、充填剤等も、必要に応じて添加され、それらの何れのものも、発泡や制振特性を著しく阻害しない程度において、従来と同様に配合されても、何等差し支えないことは言うまでもない。例えば、加硫助剤としては、酸化亜鉛等の金属酸化物が用いられ、一般に、NBRの100重量部に対して3〜15重量部程度の割合で配合せしめられる。また、加工助剤として、ステアリン酸等の脂肪酸が、NBRの100重量部に対して0.5〜5重量部程度の割合で用いられる。更に、軟化剤としては、液状ゴム、パラフィン系、ナフテン系、アロマ系のプロセスオイルや、エステル系可塑剤等があり、NBRの100重量部に対して0〜100重量部程度の割合で用いられ、更にまた、充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、タルク、クレー等が、NBRの100重量部に対して0〜150重量部程度の割合で用いられることとなる。また、フェノールレジンに対して、ヘキサミン等の硬化剤を組み合わせて用いることも有効であり、その場合においては、かかるレジンの理論等モル量の20〜30%程度の割合において、添加せしめることが望ましい。
【0022】
ところで、本発明に従う制振材を与える発泡性ゴム組成物は、従来と同様な混合手法に従って、前述せる如き特定のNBRに対して、所定量の硫黄及びフェノールレジン並びに発泡剤を配合せしめ、更に前記の如き各種の配合剤を必要に応じて配合せしめることによって、調製されることとなるのである。
【0023】
そして、上記の如く調製された発泡性ゴム組成物を加熱して、加硫と共に、発泡せしめることにより、常温(25℃)下におけるtanδが、0.25よりも大なる特性を有する発泡体からなる制振材を、容易に得ることが出来るのである。即ち、前記の発泡性ゴム組成物を加熱せしめると、それは容易に発泡、硬化(加硫)して、目的とする発泡体となるのである。そして、その際、得られる発泡体において、そのtanδが、常温(25℃)下において、0.25よりも大となるように加熱条件が選定されて、発泡、硬化せしめられるのである。より具体的には、一般に、160〜210℃の温度条件で、15〜30分間程度加熱されることとなる。
【0024】
従って、このような発泡体から構成される、本発明に従う制振材にあっては、かかる発泡体の大なるtanδ(損失正接)の故に、高い制振効果が発揮されることとなるのであり、加えて、発泡体であるが故に、その著しい軽量化が達成され得たのであり、これによって優れた制振効果を有する軽量な制振材として、各種の用途に、中でも自動車用として好適に用いられ、車両の軽量化に著しく寄与し得るものである。
【0025】
特に、かかる本発明に従う制振材は、自動車のサブフレームやサスペンションアーム、メインボディの骨格の如き構造体を与える閉断面構造の中空部材の内部に、一般に、隙間なく充填せしめられることによって、そのような構造体の曲げ若しくは捩じり共振に対して、優れた制振効果を発揮するものとなるのであり、また、そのような構造体を与える中空部材の内部を流れる音の伝播を遮断することが出来ることとなることは勿論、路面からボディへの振動伝達の低減を効果的に図り得る等の優れた特徴を発揮するものである。
【0026】
そして、そのような本発明に従う制振材を、構造体に充填せしめる方法としては、具体的には、前述の如き発泡体を、そのまま、構造体内に装入乃至は配置せしめて充填する方式の他、未発泡の状態の発泡性ゴム組成物を用い、それをシート状等の所定の形状に加工した後、構造体内部の所定位置に固定せしめ、加熱、加硫・発泡操作を加えることにより、かかる発泡性ゴム組成物を発泡体と為して、構造体内に隙間なく充填せしめる方式等を、採用することが出来る。例えば、実際に自動車の骨格部材(構造体)に適用する場合には、先ず、シート状に加工された発泡性ゴム組成物を、中空部材の内部空隙に位置固定的に配置した後、溶接、脱脂・洗浄、電着等の通常の自動車製造の構造を経てから、塗装焼き付け等の工程において加熱されることにより、発泡硬化せしめることによって、かかる骨格部材の内部空隙を生成した発泡体(制振材)にて充填せしめる手法が採用され得るものであって、これにより、何等特別な加熱工程を設ける必要もないという利点を享受することが出来る。
【0027】
なお、本発明に従う制振材は、上述の如く、構造体内への充填に好適に用いられるのみならず、従来と同様に、シート状等の形状の貼り付けタイプの制振材としても、有利に用いられ得るものであって、その場合においては、発泡体はシート状を呈するものとされ、その一方の側の面において、所定の振動面乃至は振動伝達面に対して、従来と同様に貼り付けられるようになっている。このような用途においては、シート状の発泡体からなる制振材が、最終的に振動面乃至は振動伝達面に貼り付けられてなる形態となっておれば、その貼り付け方法には、何等の制限もなく、例えば、発泡して得られた発泡体を貼り付ける場合の他、未発泡の発泡性ゴム組成物をシート状に加工して、それを振動面乃至は振動伝達面に貼り付けた後、加熱、発泡せしめる方式も採用することが出来る。また、そのようなシート状の発泡体からなる制振材には、従来と同様に、必要に応じて、アルミ箔、鉄板、不織布等の拘束層を設けることも出来る。
【0028】
【実施例】
以下に、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の代表的な実施例を示すこととするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
【0029】
先ず、下記表1に示される如き組成を有する、各種の発泡性ゴム組成物を調製した。また、この表1に示される成分の他に、各組成物には、加硫助剤として酸化亜鉛:5重量部、加工助剤としてステアリン酸:1重量部、充填剤の1つとしてFEFカーボン:5重量部、加硫促進剤の1つとしてテトラメチルチウラムジサルファイド:0.5重量部が、それぞれ、配合せしめられている。なお、充填剤の1つであるFTカーボンについては、その30重量部が、本発明例1〜4及び比較例1〜2のゴム組成物に対して配合され、また加硫促進剤の1つである2−メルカプトベンゾチアゾールの1.5重量部が、本発明例1〜5及び比較例1〜2のゴム組成物に対して配合されると共に、その2.5重量部が、本発明例6〜7のゴム組成物に対して配合せしめられた。
【0030】
【表1】
【0031】
次いで、上記で得られた各種の発泡性ゴム組成物を用いて、それぞれ、縦300mm×横300mm×厚さ1mmの大きさの未加硫シートに加工し、更にその得られた未加硫シートを、加硫金型の2mmの隙間内に充填した後、180℃×20分の加硫条件下に、加熱せしめることにより、下記表2、3に示される如き比重、面密度及び厚みを有する、各種の試料(発泡体シート)を得た。
【0032】
そして、この得られた各種の試料について、その粘弾性特性及び制振特性(片持ち梁法)を調べ、その結果を、下記表2、3に併せ示した。
【0033】
なお、各試料の粘弾性特性は、「日本ゴム協会誌」第51巻、第4号(1978)、第37〜39頁に記載の強制振動法に準拠して、周波数:100Hz、振幅:±20μmの条件下において、貯蔵弾性率(E1 :dyn/cm2 )及び損失弾性率(E2 :dyn/cm2 )を求め、そしてそれら弾性率から、tanδ(=E2 /E1 )を算出した。また、この粘弾性特性は、RT(室温:25℃)及び各試料のTg(ガラス転移点)の2種類の温度下において、評価された。更に、測定試料は、幅:5mm、厚さ:2mm、チャック間距離:30mmのサイズにおいて用いられた。
【0034】
また、制振特性は、平成7年9月、制振材料研究会計測・評価技術分科会企画調査サブワーキンググループ頒布の「損失係数測定解説書」第13〜24頁に記載の、一端固定法(片持ち梁法)の半値幅法に準拠して、室温(25℃)下における周波数依存性として、250Hz〜1500Hzでの損失係数:η(−)を求めた。なお、測定試料として、鋼板(SPCC)の幅:10mm×長さ:220mm×厚さ:1.0mmの大きさのものに、上記の発泡体試料の幅:10mm×長さ:200mmのものを貼り付けて、用いた。
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
かかる表2、3に示された結果から明らかなように、本発明例1〜7において得られた発泡体は、何れも、0.25を越える大きなtanδを有するものであって、制振特性の評価においても、大なる損失係数を有するものであり、それ故に、それら本発明例の発泡体から構成される制振材は、何れも、軽量で、優れた制振特性を有するものであることが理解されるのである。これに対して、比較例の発泡性ゴム組成物から得られた発泡体は、tanδの小さなものであって、それ故に、制振特性も充分ではなく、制振材としての利用が不可であることは、明らかである。
【0038】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明に従う制振材は、大きなtanδを有するが故に、優れた制振特性を発揮するものであると共に、発泡体から構成されているために、従来の制振材に比べて、著しい軽量化が達成されているのであって、例えば自動車への適用により、車両の軽量化の要請にも、充分に応え得るものとなったのである。
【0039】
また、自動車のボディ骨格やサブフレーム等の骨格部材の中空部内に、本発明に従う制振材を構成する発泡体を充填せしめるようにすれば、そのような骨格部材にて与えられる構造体の曲げや捩じり共振に対する制振効果も、著しく高められ得るのであり、また、路面からボディへの振動伝達の低減が、効果的に為され得るのである。
Claims (5)
- 結合アクリロニトリル量が31%以上のNBRの100重量部に対して、5〜25重量部の硫黄、5〜200重量部のフェノールレジン及び5〜40重量部の発泡剤を配合してなる発泡性ゴム組成物を加熱、発泡せしめて得られた、0.25よりも大なるtanδを有する発泡体が、構造体を与える閉断面構造の中空部材の内部に充填せしめられていることを特徴とする制振構造体。
- 前記中空部材が、車両の骨格部材である請求項1記載の制振構造体。
- 構造体を与える閉断面構造の中空部材の内部に充填せしめられる制振材を与える発泡性ゴム組成物にして、結合アクリロニトリル量が31%以上のNBRの100重量部に対して、5〜25重量部の硫黄、5〜200重量部のフェノールレジン及び5〜40重量部の発泡剤を配合してなることを特徴とする制振材用発泡性ゴム組成物。
- 前記NBRが、36%以上の結合アクリロニトリル量を有する請求項3記載の制振材用発泡性ゴム組成物。
- 前記フェノールレジンが、100重量部を越える割合において配合されている請求項3又は請求項4記載の制振材用発泡性ゴム組成物。
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