JP3581645B2 - 能動遮音壁及び能動遮音ユニット - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は能動遮音壁及び能動遮音ユニットに係り、特に音源が移動する場合にも遮音効果を有する能動遮音壁及び能動遮音ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
騒音源から放射される騒音を検出マイクロフォンで検出し、騒音発生源からの騒音と逆位相の音をスピーカから出力することによってエラーマイクロフォンの設置位置における騒音音圧を低減するアクティブ・ノイズ・コントロール(ANC)は周知である。
【0003】
しかし、騒音と逆位相の音を発生するためには騒音源と検出マイクロフォンとの間の距離に関連するパラメータが必要となるため、高速道路の遮音壁にように移動する騒音源から放射される騒音を遮音する必要のある場合には適用が困難であった。
騒音源が移動する場合にも適用可能とすべく、検出マイクロフォン、スピーカおよびエラーマイクロフォンで構成されるユニットを複数並べたユニット群に対してDSP(ディジタル・シグナル・プロセッシング・ユニット)を適用し、騒音源の移動を考慮してスピーカから出力する音を決定するマルチチャンネル型能動制御型防音装置が既に提案されている(特公平7−82347号公報参照)。
【0004】
しかし、マルチチャンネル型能動制御型防音装置は構成が複雑であり、DSPにも高い処理能力が要求されるため高価なものとなることを回避できない。
従って、検出マイクロフォン、スピーカおよびエラーマイクロフォンで構成されるユニットごとに演算部を設けた、いわゆる単自由度能動制御型防音装置を騒音源が移動する場合にも適用できることが望ましい。
【0005】
上記観点から、スピーカを格納したエンクロージャを遮音壁の上端に並べて配置し、スピーカの音波放射開口面を回折波の進行方向へ向けた回折音抑制スピーカシステムがすでに提案されている(特開平9−54593公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記提案に係る回折音抑制スピーカシステムは、騒音源から放射された直接音が遮音壁上端で回折されて発生する回折音を抑制するために、回折音と逆位相同音圧の音波をスピーカから放射するものであるため、騒音源から放射された直接音の音圧を十分に低減することはできない。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、簡易な構成でありながら移動音源が放射する直接音の音圧を十分に低減することのできる単自由度能動制御ユニットを具備する能動遮音壁及び能動遮音ユニットを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る能動遮音壁は、音源の移動方向に平行に設置される防音壁と、音源の移動中心と防音壁の上端を結ぶ直線上に配置される音源の発生する騒音を検出する騒音検出手段であって防音壁に沿って複数個配置される騒音検出手段と、音源の移動中心と防音壁の上端を結ぶ直線上の騒音検出手段の設置位置より防音壁側に配置され音源の移動中心と防音壁の上端を結ぶ直線上に騒音相殺音を放射する騒音相殺音発生手段であって騒音検出手段に対応して複数個設置される騒音相殺音発生手段と、騒音検出手段および騒音相殺音発生手段に対応して設置され騒音検出手段によって検出される音源の発生する騒音に基づいて騒音相殺音発生手段から騒音相殺音を発生するための信号を演算する騒音相殺音演算手段を具備する。
【0009】
本発明にあっては、音源から放射され、防音壁の上端から防音壁の外側に漏洩する騒音が、騒音相殺音発生手段から放射される騒音相殺音によって直接相殺される。
第2の発明に係る能動防音壁は、騒音相殺音演算手段が、騒音相殺音発生手段から放射される音が騒音相殺音発生手段と防音壁の上端を結ぶ線分内で騒音源の発生する騒音を相殺する相殺音となる信号を演算する。
【0010】
本発明にあっては、騒音相殺音発生手段と防音壁の上端を結ぶ線分内のいずれかの点で騒音と騒音相殺音の合成音圧は最小となる。
第3の発明に係る能動遮音壁は、複数の騒音検出手段のなかの1個の騒音検出手段とそれに対応する騒音相殺音発生手段の1個がエンクロージャに格納される。
【0011】
本発明にあっては、1個の騒音検出手段と1個の騒音相殺音発生手段が1つの能動騒音制御ユニットとしてエンクロージャに格納されるので、騒音相殺音発生手段相互の干渉が低減される。
第4の発明に係る能動遮音壁は、エンクロージャの幅が消音される騒音の最高周波数の波長の略1/2である。
【0012】
本発明にあっては、エンクロージャの幅は消音される騒音の最高周波数の波長の略1/2に設定されるので、より効率的に騒音が消音される。
第5の発明に係る能動遮音壁は、騒音相殺音発生手段が、音源の移動中心と防音壁の上端を結ぶ直線を中心に複数配置される複数のスピーカである。
本発明にあっては、複数のスピーカが1つの大口径スピーカとして機能するので騒音球面波と騒音相殺波の一致範囲が広くなり、減音ゾーンが大となる。
【0013】
第6の発明に係る能動遮音壁は、音源の移動中心と防音壁の上端を結ぶ直線上の騒音検出手段より内側に上端を有する騒音回折壁をさらに具備する。
本発明にあっては、音源から放射される雑音が騒音回折壁で回折されて騒音検出手段で検出される。
第7の発明に係る能動遮音ユニットは、音源の移動方向に平行に設置される防音壁に取り付けられる騒音検出手段であって音源の発生する騒音を検出するために音源の移動中心と防音壁の上端を結ぶ直線上に前記防音壁に沿って複数個設置される騒音検出手段と、音源の移動方向に平行に設置される防音壁に取り付けられる騒音相殺音発生手段であって音源の移動中心と防音壁の上端を結ぶ直線上に騒音相殺音を放射するために音源の移動中心と防音壁の上端を結ぶ直線上の騒音検出手段の設置位置より防音壁側に防音壁に沿って騒音検出手段に対応して複数個設置される騒音相殺音発生手段と、騒音検出手段及び騒音相殺音発生手段に対応して設置され騒音検出手段によって検出される音源の発生する騒音に基づいて騒音相殺音発生手段から騒音相殺音を発生するための信号を演算する騒音相殺音演算手段と、を具備する。
【0014】
本発明によれば騒音検出手段で検出された騒音を相殺する騒音相殺音が騒音相殺音発生手段から放射される。
第8の発明に係る能動遮音ユニットは、騒音相殺音発生手段を防音壁に取り付ける取り付け手段と、をさらに具備する。
本発明によれば、騒音相殺音発生手段が防音壁に取り付けられる。
【0015】
第9の発明に係る能動遮音ユニットは、複数の騒音検出手段の中の1個とそれに対応する騒音相殺音発生手段の中の1個を格納する複数のエンクロージャと、エンクロージャを防音壁に取り付ける取り付け手段をさらに具備する。
本発明によれば、騒音検出手段及び騒音相殺音発生手段がエンクロージャに格納されて防音壁に取り付けられる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第一実施形態に係る能動遮音壁の斜視図であって、例えば自動車である音源10は道路上をX方向に移動するものとする。
道路側端には道路に沿って高さ8〜10メートルの防音壁11が垂直に設置され、防音壁11の内側に道路側に能動遮音ユニット12が設置される。
【0017】
図2は第一実施形態において使用される能動遮音ユニットの断面図であって、能動遮音ユニット12は音源10と防音壁11の上端道路側縁を結ぶ仮想軸Y上に、音源10から放射される騒音を検出する検出マイクロフォン121、および音源10と反対方向に騒音相殺音を放射するスピーカ122が配置される。なお、検出マイクロフォン121およびスピーカ122はエンクロージャ123に収納されている。
【0018】
なお、上記第一実施形態にあっては、スピーカをエンクロージャの前面に設置しているが、音源と遮音壁上端を結ぶ仮想軸Y近傍に騒音相殺音を放射できればスピーカの取り付け方向はエンクロージャ前面に限定されない。
例えば、図3に示すようにエンクロージャ上側面にスピーカを設置してもよい。
【0019】
即ち、エンクロージャ123の音源側は裏板1231で覆われ、音源の反対側はスピーカ122から出力される騒音相殺音を放射するために開口している。なお、裏板1231のほぼ中央には音源10から放射される騒音を検出する検出マイクロフォン121が取り付けられている。また、スピーカ122はバッフル板1232に取付けられて、エンクロージャ123内に格納されている。
【0020】
さらに、マイクロフォン121の出力は演算部124に導かれ、演算部124の出力はスピーカ122に供給される。
図4は能動遮音ユニットの機能線図であって、能動遮音ユニット12の演算部124は、基本的には目標音圧(通常は略零)に比例する電圧を発生する目標音圧設定部1241、目標音圧設定部1241で発生される目標音圧に比例する電圧と検出マイクロフォン121で検出された騒音に比例した電圧との偏差を演算する偏差演算部1242及び偏差演算部1242で演算された偏差に基づいて防音壁11とスピーカ122を結ぶ線分のいずれかの点における騒音の音圧及び位相に対し同音圧で逆位相の騒音相殺音を生成する制御部1243から構成される。騒音相殺音はスピーカ122から放射される。これにより騒音と騒音相殺音の合成音は防音壁11の上端とスピーカ122を結ぶ線分の1点で音圧は略零となり、その点より外側に騒音が伝播することを防止できる。
【0021】
さらに、より効果的に消音するために、破線で示す適応制御を適用してもよい。即ち、実際に消音したい領域の音圧を監視マイクロフォン1244で検出し、適応制御部1245で実際に消音したい領域の音圧と偏差演算部1242で演算された偏差に基づいて制御部1243の制御パラメータを演算する。なお、制御部1243の出力は目標音圧設定部1241に帰還され目標音圧を調整する。
【0022】
図5は本発明に係る能動遮音壁の効果を示すグラフであって、実線は騒音の音圧を、破線は防音壁11に吸音材を貼り付ける等のパッシブ対策後の音圧を示すが、パッシブ対策によれば500Hz以上の高周波成分の音圧を低減できる。
しかし、100〜500Hzの低周波成分の音圧はパッシブ対策では十分に低減されない。低周波成分の音圧は、上記の能動遮音ユニットを使用するというアクティブ対策によって約5デシベル程度低減することができる。
【0023】
なおアクティブ対策によれば補償周波数範囲を100〜500Hzより拡大することも可能である。
また本発明にあってはスピーカ122が防音壁11上端に沿って並べて配置されているが、隣接するスピーカの影響を排除するためにスピーカの間に仕切り板125(図1参照)を設置してもよい。
【0024】
仕切り板125の間隔Wは、消音したい騒音の周波数帯域の最高周波数の波長Lの1/2程度とすることが望ましい。例えば、最高周波数を1KHzとすれば、波長は340ミリメートルとなるので、仕切り板の設置間隔は170ミリメートルとなる。
また、本発明によれば、検出マイクロフォンとスピーカを近接して設置することが可能であるので、エンクロージャ123の奥行きD(図2参照)を小とすることができる。奥行きDは、遮音壁近傍の日照の劣化、あるいは電波障害の発生を防止するために1000ミリメートル(=1メートル)以下とすることもできる。
【0025】
さらに、奥行きをさらに小とするためにバッフル板1232にスピーカ122を逆向きに取り付けてもよい。この場合には、遮音壁の内側(道路側)及び外側(反道路側)の制約を満たすコンパクトな遮音壁とすることが可能となる。
騒音は音源10を中心とする球面波として放射され、騒音相殺音はスピーカ122を中心とする球面波として放射される。従って、音源10と防音壁11の上端道路側縁を結ぶ仮想軸Y上に1つのスピーカ122が配置される第一実施形態においては、仮想軸Y上では騒音球面波と相殺音球面波が一致して騒音が相殺されるものの、仮想軸Yから偏倚した位置においては曲率の相違により騒音球面波と相殺音球面波にずれが生じ騒音相殺能力は低下する。即ち、減音ゾーンZは仮想軸Yを中心とする狭い範囲に限定される(図2参照)。
【0026】
図6は本発明の第二実施形態において使用される能動遮音ユニットの断面図であって、上記課題を解決することを目的とする。
即ち第二実施形態に係る能動遮音ユニット12にあっては、音源10と防音壁11の上端道路側縁を結ぶ仮想軸Yを中心に複数のボックス61i(2≦i)が設置される。
【0027】
そして、各ボックス61iの前面はスピーカ62iが取り付けられたバッフル板63iで覆われ、背面にはマイクロフォン64iが取り付けられた裏板65iで覆われる。
マイクロフォン64iで検出された騒音は演算部66iに導かれ、演算部66iは入力された騒音に基づいて騒音相殺信号を発生してスピーカ62iから騒音相殺音として放射する。
【0028】
第二実施形態にあっては、複数のスピーカ62iは仮想軸Yを中心とする口径Dの1つの大口径スピーカとして機能するため、放射される騒音相殺音の球面波の曲率は前述の実施形態の場合より大となり騒音球面波と一致する範囲は大きくなるので、減音ゾーンZは前述の実施形態の場合より拡大される。
なお、図6は仮想軸Yを中心として上下に2つのスピーカ621及び622並びにマイクロフォン641及び642が配置された場合を図示しているが、仮想軸Yに垂直な平面内の仮想軸Yを中心とする円の円周上に複数のスピーカ及びマイクロフォンを配置してもよい。またマイクロフォンは円周上に配置せず、一ヶ所に集中配置してもよい。
【0029】
上記は複数の演算部66iは同一の周波数特性を有するものとしているが、制御部ごとに異なる周波数帯域を処理することとしてもよい。
第一及び第二実施形態にあっては、音源10である自動車は道路のほぼ中央を走行するとしているが、音源である自動車が防音壁に近づいて走行した場合にはマイクロフォンへの音の入射角が鋭角となり、能動遮音効果が低減するおそれがある。
【0030】
図7は本発明の第三実施形態に係る能動遮音壁の斜視図であって、防音壁11は防音壁11の内側、即ち道路側にマイクロフォン121より内側まで斜め上方に延びる騒音回折壁110を具備する。
そして騒音回折壁110の上端である騒音回折部は、自動車が道路のほぼ中央を走行するとした場合の音源と防音壁11の上端道路側縁を結ぶ仮想軸Y近傍に位置する。即ちエンクロージャ裏板に取り付けられたマイクロフォンは防音壁11と騒音回折壁110の間に位置する。
【0031】
従って、音源である自動車が防音壁11に近づいて走行した場合に騒音回折壁110の上端の回折部で回折された騒音がマイクロフォン121に入射され、マイクロフォン121への入射角は自動車が道路の中央を走行する場合とほぼ同一に維持されるので、騒音を十分に収集することが可能となる。
なお、図7で回折壁は防音壁中ほどからY字型に分岐するものとしたが、マイクロフォンより音源側に存在する騒音回折部で回折した騒音がマイクロフォンの検出範囲に入る構造であれば構造はこれに限られない。例えば騒音回折壁を防音壁の内側に独立に設置してもよい。また図8に示すように、上端に騒音回折部を有する騒音回折壁110を取り付けてもよい。
【0032】
上記第一〜第三実施形態においては、防音壁、エンクロージャに格納されたスピーカ及びマイクロフォン並びに演算部は同時に設置されるものとしているが、既設の防音壁にエンクロージャに格納されたスピーカ及びマイクロフォン並びに演算部からなる能動遮音ユニット12を追設することにより能動遮音壁とすることも本発明の範囲に含まれる。
【0033】
図9及び図10は既設の防音壁への能動遮音ユニットの取り付け方法の説明図であって、図9はフックにより取り付ける場合を、図10は溶接により取り付ける場合を示す。
即ち図9の場合は、通常防音壁11を連結するH型鋼13の鍔に能動遮音ユニット12に取り付けられたフック14をひっかけるとともにフック14の下端141をH型鋼にボルト締めすることにより能動遮音ユニット12を防音壁11に固定する。
【0034】
又図10の場合はH型鋼13の底面に能動遮音ユニット12に取り付けられた鋼板15を溶接又はボルト締めにより固定する。
また、図11に示すように既設の防音壁11の上端にさらに能動遮音ユニット12を取り付けた追設防音壁111をボルト締め等により継ぎ足すこととしてもよい。
【0035】
さらに図12に示すように騒音回折壁110が追設防音壁111と一体に形成されていてもよい。
また本発明は音源が静止している場合にも適用できることは明らかである。
【0036】
【発明の効果】
第1の発明に係る能動遮音壁によれば、防音壁の上端から防音壁の外側に漏洩する音源から放射される騒音を、騒音相殺音発生手段から放射される騒音相殺音によって直接相殺することが可能となる。
第2の発明に係る能動遮音壁によれば、騒音相殺音発生手段と防音壁上端とを結ぶ線分内で騒音を相殺することが可能となるので、防音壁をコンパクトに構成できる。
【0037】
第3の発明に係る能動遮音壁によれば、1個の騒音検出手段と1個の騒音相殺音発生手段が1つの能動騒音制御ユニットとしてエンクロージャに格納されるので、騒音相殺音発生手段相互の干渉が低減されるので、効果的に騒音を相殺することが可能となる。
第4の発明に係る能動遮音壁によれば、エンクロージャの幅は消音すべき騒音の最高周波数の波長の略1/2に設定されるので、より効率的に騒音を抑制することが可能となる。
【0038】
第5の発明に係る能動遮音壁によれば、複数のスピーカが1つの大口径スピーカとして機能するので、減音ゾーンを大とすることが可能となる。
第6の発明に係る能動遮音壁によれば、自動車が防音壁に近づいて走行した場合であっても騒音が騒音回折壁上端で回折されて検出されるので、騒音を確実に低減することが可能となる。
【0039】
第7〜第9の発明に係る能動遮音ユニットによれば、既設の防音壁に能動遮音ユニットを追設することにより、簡易に能動遮音壁を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態に係る能動遮音壁の斜視図である。
【図2】第一実施形態において使用される能動騒音制御ユニットの断面図である。
【図3】第一実施形態において使用される能動騒音制御ユニットの変形例である。
【図4】能動騒音制御ユニットの機能線図である。
【図5】本発明に係る能動遮音壁の効果を示すグラフである。
【図6】第二実施形態において使用される能動騒音制御ユニットの断面図である。
【図7】本発明の第三実施形態に係る能動遮音壁の斜視図である。
【図8】本発明の第三実施形態に係る能動遮音壁の変形例である。
【図9】防音壁への能動遮音ユニットの取り付け方法の説明図である。
【図10】防音壁への能動遮音ユニットの取り付け方法の説明図である。
【図11】本発明の第四実施形態に係る能動遮音壁の斜視図及び断面図である。
【図12】本発明の第五実施形態に係る能動遮音壁の斜視図及び断面図である。
【符号の説明】
10…音源
11…防音壁
110…騒音回折壁
12…能動遮音ユニット
121…検出マイクロフォン
122…スピーカ
123…エンクロージャ
1231…背板
1232…バッフル板
124…演算部
【発明の属する技術分野】
本発明は能動遮音壁及び能動遮音ユニットに係り、特に音源が移動する場合にも遮音効果を有する能動遮音壁及び能動遮音ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
騒音源から放射される騒音を検出マイクロフォンで検出し、騒音発生源からの騒音と逆位相の音をスピーカから出力することによってエラーマイクロフォンの設置位置における騒音音圧を低減するアクティブ・ノイズ・コントロール(ANC)は周知である。
【0003】
しかし、騒音と逆位相の音を発生するためには騒音源と検出マイクロフォンとの間の距離に関連するパラメータが必要となるため、高速道路の遮音壁にように移動する騒音源から放射される騒音を遮音する必要のある場合には適用が困難であった。
騒音源が移動する場合にも適用可能とすべく、検出マイクロフォン、スピーカおよびエラーマイクロフォンで構成されるユニットを複数並べたユニット群に対してDSP(ディジタル・シグナル・プロセッシング・ユニット)を適用し、騒音源の移動を考慮してスピーカから出力する音を決定するマルチチャンネル型能動制御型防音装置が既に提案されている(特公平7−82347号公報参照)。
【0004】
しかし、マルチチャンネル型能動制御型防音装置は構成が複雑であり、DSPにも高い処理能力が要求されるため高価なものとなることを回避できない。
従って、検出マイクロフォン、スピーカおよびエラーマイクロフォンで構成されるユニットごとに演算部を設けた、いわゆる単自由度能動制御型防音装置を騒音源が移動する場合にも適用できることが望ましい。
【0005】
上記観点から、スピーカを格納したエンクロージャを遮音壁の上端に並べて配置し、スピーカの音波放射開口面を回折波の進行方向へ向けた回折音抑制スピーカシステムがすでに提案されている(特開平9−54593公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記提案に係る回折音抑制スピーカシステムは、騒音源から放射された直接音が遮音壁上端で回折されて発生する回折音を抑制するために、回折音と逆位相同音圧の音波をスピーカから放射するものであるため、騒音源から放射された直接音の音圧を十分に低減することはできない。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、簡易な構成でありながら移動音源が放射する直接音の音圧を十分に低減することのできる単自由度能動制御ユニットを具備する能動遮音壁及び能動遮音ユニットを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る能動遮音壁は、音源の移動方向に平行に設置される防音壁と、音源の移動中心と防音壁の上端を結ぶ直線上に配置される音源の発生する騒音を検出する騒音検出手段であって防音壁に沿って複数個配置される騒音検出手段と、音源の移動中心と防音壁の上端を結ぶ直線上の騒音検出手段の設置位置より防音壁側に配置され音源の移動中心と防音壁の上端を結ぶ直線上に騒音相殺音を放射する騒音相殺音発生手段であって騒音検出手段に対応して複数個設置される騒音相殺音発生手段と、騒音検出手段および騒音相殺音発生手段に対応して設置され騒音検出手段によって検出される音源の発生する騒音に基づいて騒音相殺音発生手段から騒音相殺音を発生するための信号を演算する騒音相殺音演算手段を具備する。
【0009】
本発明にあっては、音源から放射され、防音壁の上端から防音壁の外側に漏洩する騒音が、騒音相殺音発生手段から放射される騒音相殺音によって直接相殺される。
第2の発明に係る能動防音壁は、騒音相殺音演算手段が、騒音相殺音発生手段から放射される音が騒音相殺音発生手段と防音壁の上端を結ぶ線分内で騒音源の発生する騒音を相殺する相殺音となる信号を演算する。
【0010】
本発明にあっては、騒音相殺音発生手段と防音壁の上端を結ぶ線分内のいずれかの点で騒音と騒音相殺音の合成音圧は最小となる。
第3の発明に係る能動遮音壁は、複数の騒音検出手段のなかの1個の騒音検出手段とそれに対応する騒音相殺音発生手段の1個がエンクロージャに格納される。
【0011】
本発明にあっては、1個の騒音検出手段と1個の騒音相殺音発生手段が1つの能動騒音制御ユニットとしてエンクロージャに格納されるので、騒音相殺音発生手段相互の干渉が低減される。
第4の発明に係る能動遮音壁は、エンクロージャの幅が消音される騒音の最高周波数の波長の略1/2である。
【0012】
本発明にあっては、エンクロージャの幅は消音される騒音の最高周波数の波長の略1/2に設定されるので、より効率的に騒音が消音される。
第5の発明に係る能動遮音壁は、騒音相殺音発生手段が、音源の移動中心と防音壁の上端を結ぶ直線を中心に複数配置される複数のスピーカである。
本発明にあっては、複数のスピーカが1つの大口径スピーカとして機能するので騒音球面波と騒音相殺波の一致範囲が広くなり、減音ゾーンが大となる。
【0013】
第6の発明に係る能動遮音壁は、音源の移動中心と防音壁の上端を結ぶ直線上の騒音検出手段より内側に上端を有する騒音回折壁をさらに具備する。
本発明にあっては、音源から放射される雑音が騒音回折壁で回折されて騒音検出手段で検出される。
第7の発明に係る能動遮音ユニットは、音源の移動方向に平行に設置される防音壁に取り付けられる騒音検出手段であって音源の発生する騒音を検出するために音源の移動中心と防音壁の上端を結ぶ直線上に前記防音壁に沿って複数個設置される騒音検出手段と、音源の移動方向に平行に設置される防音壁に取り付けられる騒音相殺音発生手段であって音源の移動中心と防音壁の上端を結ぶ直線上に騒音相殺音を放射するために音源の移動中心と防音壁の上端を結ぶ直線上の騒音検出手段の設置位置より防音壁側に防音壁に沿って騒音検出手段に対応して複数個設置される騒音相殺音発生手段と、騒音検出手段及び騒音相殺音発生手段に対応して設置され騒音検出手段によって検出される音源の発生する騒音に基づいて騒音相殺音発生手段から騒音相殺音を発生するための信号を演算する騒音相殺音演算手段と、を具備する。
【0014】
本発明によれば騒音検出手段で検出された騒音を相殺する騒音相殺音が騒音相殺音発生手段から放射される。
第8の発明に係る能動遮音ユニットは、騒音相殺音発生手段を防音壁に取り付ける取り付け手段と、をさらに具備する。
本発明によれば、騒音相殺音発生手段が防音壁に取り付けられる。
【0015】
第9の発明に係る能動遮音ユニットは、複数の騒音検出手段の中の1個とそれに対応する騒音相殺音発生手段の中の1個を格納する複数のエンクロージャと、エンクロージャを防音壁に取り付ける取り付け手段をさらに具備する。
本発明によれば、騒音検出手段及び騒音相殺音発生手段がエンクロージャに格納されて防音壁に取り付けられる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第一実施形態に係る能動遮音壁の斜視図であって、例えば自動車である音源10は道路上をX方向に移動するものとする。
道路側端には道路に沿って高さ8〜10メートルの防音壁11が垂直に設置され、防音壁11の内側に道路側に能動遮音ユニット12が設置される。
【0017】
図2は第一実施形態において使用される能動遮音ユニットの断面図であって、能動遮音ユニット12は音源10と防音壁11の上端道路側縁を結ぶ仮想軸Y上に、音源10から放射される騒音を検出する検出マイクロフォン121、および音源10と反対方向に騒音相殺音を放射するスピーカ122が配置される。なお、検出マイクロフォン121およびスピーカ122はエンクロージャ123に収納されている。
【0018】
なお、上記第一実施形態にあっては、スピーカをエンクロージャの前面に設置しているが、音源と遮音壁上端を結ぶ仮想軸Y近傍に騒音相殺音を放射できればスピーカの取り付け方向はエンクロージャ前面に限定されない。
例えば、図3に示すようにエンクロージャ上側面にスピーカを設置してもよい。
【0019】
即ち、エンクロージャ123の音源側は裏板1231で覆われ、音源の反対側はスピーカ122から出力される騒音相殺音を放射するために開口している。なお、裏板1231のほぼ中央には音源10から放射される騒音を検出する検出マイクロフォン121が取り付けられている。また、スピーカ122はバッフル板1232に取付けられて、エンクロージャ123内に格納されている。
【0020】
さらに、マイクロフォン121の出力は演算部124に導かれ、演算部124の出力はスピーカ122に供給される。
図4は能動遮音ユニットの機能線図であって、能動遮音ユニット12の演算部124は、基本的には目標音圧(通常は略零)に比例する電圧を発生する目標音圧設定部1241、目標音圧設定部1241で発生される目標音圧に比例する電圧と検出マイクロフォン121で検出された騒音に比例した電圧との偏差を演算する偏差演算部1242及び偏差演算部1242で演算された偏差に基づいて防音壁11とスピーカ122を結ぶ線分のいずれかの点における騒音の音圧及び位相に対し同音圧で逆位相の騒音相殺音を生成する制御部1243から構成される。騒音相殺音はスピーカ122から放射される。これにより騒音と騒音相殺音の合成音は防音壁11の上端とスピーカ122を結ぶ線分の1点で音圧は略零となり、その点より外側に騒音が伝播することを防止できる。
【0021】
さらに、より効果的に消音するために、破線で示す適応制御を適用してもよい。即ち、実際に消音したい領域の音圧を監視マイクロフォン1244で検出し、適応制御部1245で実際に消音したい領域の音圧と偏差演算部1242で演算された偏差に基づいて制御部1243の制御パラメータを演算する。なお、制御部1243の出力は目標音圧設定部1241に帰還され目標音圧を調整する。
【0022】
図5は本発明に係る能動遮音壁の効果を示すグラフであって、実線は騒音の音圧を、破線は防音壁11に吸音材を貼り付ける等のパッシブ対策後の音圧を示すが、パッシブ対策によれば500Hz以上の高周波成分の音圧を低減できる。
しかし、100〜500Hzの低周波成分の音圧はパッシブ対策では十分に低減されない。低周波成分の音圧は、上記の能動遮音ユニットを使用するというアクティブ対策によって約5デシベル程度低減することができる。
【0023】
なおアクティブ対策によれば補償周波数範囲を100〜500Hzより拡大することも可能である。
また本発明にあってはスピーカ122が防音壁11上端に沿って並べて配置されているが、隣接するスピーカの影響を排除するためにスピーカの間に仕切り板125(図1参照)を設置してもよい。
【0024】
仕切り板125の間隔Wは、消音したい騒音の周波数帯域の最高周波数の波長Lの1/2程度とすることが望ましい。例えば、最高周波数を1KHzとすれば、波長は340ミリメートルとなるので、仕切り板の設置間隔は170ミリメートルとなる。
また、本発明によれば、検出マイクロフォンとスピーカを近接して設置することが可能であるので、エンクロージャ123の奥行きD(図2参照)を小とすることができる。奥行きDは、遮音壁近傍の日照の劣化、あるいは電波障害の発生を防止するために1000ミリメートル(=1メートル)以下とすることもできる。
【0025】
さらに、奥行きをさらに小とするためにバッフル板1232にスピーカ122を逆向きに取り付けてもよい。この場合には、遮音壁の内側(道路側)及び外側(反道路側)の制約を満たすコンパクトな遮音壁とすることが可能となる。
騒音は音源10を中心とする球面波として放射され、騒音相殺音はスピーカ122を中心とする球面波として放射される。従って、音源10と防音壁11の上端道路側縁を結ぶ仮想軸Y上に1つのスピーカ122が配置される第一実施形態においては、仮想軸Y上では騒音球面波と相殺音球面波が一致して騒音が相殺されるものの、仮想軸Yから偏倚した位置においては曲率の相違により騒音球面波と相殺音球面波にずれが生じ騒音相殺能力は低下する。即ち、減音ゾーンZは仮想軸Yを中心とする狭い範囲に限定される(図2参照)。
【0026】
図6は本発明の第二実施形態において使用される能動遮音ユニットの断面図であって、上記課題を解決することを目的とする。
即ち第二実施形態に係る能動遮音ユニット12にあっては、音源10と防音壁11の上端道路側縁を結ぶ仮想軸Yを中心に複数のボックス61i(2≦i)が設置される。
【0027】
そして、各ボックス61iの前面はスピーカ62iが取り付けられたバッフル板63iで覆われ、背面にはマイクロフォン64iが取り付けられた裏板65iで覆われる。
マイクロフォン64iで検出された騒音は演算部66iに導かれ、演算部66iは入力された騒音に基づいて騒音相殺信号を発生してスピーカ62iから騒音相殺音として放射する。
【0028】
第二実施形態にあっては、複数のスピーカ62iは仮想軸Yを中心とする口径Dの1つの大口径スピーカとして機能するため、放射される騒音相殺音の球面波の曲率は前述の実施形態の場合より大となり騒音球面波と一致する範囲は大きくなるので、減音ゾーンZは前述の実施形態の場合より拡大される。
なお、図6は仮想軸Yを中心として上下に2つのスピーカ621及び622並びにマイクロフォン641及び642が配置された場合を図示しているが、仮想軸Yに垂直な平面内の仮想軸Yを中心とする円の円周上に複数のスピーカ及びマイクロフォンを配置してもよい。またマイクロフォンは円周上に配置せず、一ヶ所に集中配置してもよい。
【0029】
上記は複数の演算部66iは同一の周波数特性を有するものとしているが、制御部ごとに異なる周波数帯域を処理することとしてもよい。
第一及び第二実施形態にあっては、音源10である自動車は道路のほぼ中央を走行するとしているが、音源である自動車が防音壁に近づいて走行した場合にはマイクロフォンへの音の入射角が鋭角となり、能動遮音効果が低減するおそれがある。
【0030】
図7は本発明の第三実施形態に係る能動遮音壁の斜視図であって、防音壁11は防音壁11の内側、即ち道路側にマイクロフォン121より内側まで斜め上方に延びる騒音回折壁110を具備する。
そして騒音回折壁110の上端である騒音回折部は、自動車が道路のほぼ中央を走行するとした場合の音源と防音壁11の上端道路側縁を結ぶ仮想軸Y近傍に位置する。即ちエンクロージャ裏板に取り付けられたマイクロフォンは防音壁11と騒音回折壁110の間に位置する。
【0031】
従って、音源である自動車が防音壁11に近づいて走行した場合に騒音回折壁110の上端の回折部で回折された騒音がマイクロフォン121に入射され、マイクロフォン121への入射角は自動車が道路の中央を走行する場合とほぼ同一に維持されるので、騒音を十分に収集することが可能となる。
なお、図7で回折壁は防音壁中ほどからY字型に分岐するものとしたが、マイクロフォンより音源側に存在する騒音回折部で回折した騒音がマイクロフォンの検出範囲に入る構造であれば構造はこれに限られない。例えば騒音回折壁を防音壁の内側に独立に設置してもよい。また図8に示すように、上端に騒音回折部を有する騒音回折壁110を取り付けてもよい。
【0032】
上記第一〜第三実施形態においては、防音壁、エンクロージャに格納されたスピーカ及びマイクロフォン並びに演算部は同時に設置されるものとしているが、既設の防音壁にエンクロージャに格納されたスピーカ及びマイクロフォン並びに演算部からなる能動遮音ユニット12を追設することにより能動遮音壁とすることも本発明の範囲に含まれる。
【0033】
図9及び図10は既設の防音壁への能動遮音ユニットの取り付け方法の説明図であって、図9はフックにより取り付ける場合を、図10は溶接により取り付ける場合を示す。
即ち図9の場合は、通常防音壁11を連結するH型鋼13の鍔に能動遮音ユニット12に取り付けられたフック14をひっかけるとともにフック14の下端141をH型鋼にボルト締めすることにより能動遮音ユニット12を防音壁11に固定する。
【0034】
又図10の場合はH型鋼13の底面に能動遮音ユニット12に取り付けられた鋼板15を溶接又はボルト締めにより固定する。
また、図11に示すように既設の防音壁11の上端にさらに能動遮音ユニット12を取り付けた追設防音壁111をボルト締め等により継ぎ足すこととしてもよい。
【0035】
さらに図12に示すように騒音回折壁110が追設防音壁111と一体に形成されていてもよい。
また本発明は音源が静止している場合にも適用できることは明らかである。
【0036】
【発明の効果】
第1の発明に係る能動遮音壁によれば、防音壁の上端から防音壁の外側に漏洩する音源から放射される騒音を、騒音相殺音発生手段から放射される騒音相殺音によって直接相殺することが可能となる。
第2の発明に係る能動遮音壁によれば、騒音相殺音発生手段と防音壁上端とを結ぶ線分内で騒音を相殺することが可能となるので、防音壁をコンパクトに構成できる。
【0037】
第3の発明に係る能動遮音壁によれば、1個の騒音検出手段と1個の騒音相殺音発生手段が1つの能動騒音制御ユニットとしてエンクロージャに格納されるので、騒音相殺音発生手段相互の干渉が低減されるので、効果的に騒音を相殺することが可能となる。
第4の発明に係る能動遮音壁によれば、エンクロージャの幅は消音すべき騒音の最高周波数の波長の略1/2に設定されるので、より効率的に騒音を抑制することが可能となる。
【0038】
第5の発明に係る能動遮音壁によれば、複数のスピーカが1つの大口径スピーカとして機能するので、減音ゾーンを大とすることが可能となる。
第6の発明に係る能動遮音壁によれば、自動車が防音壁に近づいて走行した場合であっても騒音が騒音回折壁上端で回折されて検出されるので、騒音を確実に低減することが可能となる。
【0039】
第7〜第9の発明に係る能動遮音ユニットによれば、既設の防音壁に能動遮音ユニットを追設することにより、簡易に能動遮音壁を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態に係る能動遮音壁の斜視図である。
【図2】第一実施形態において使用される能動騒音制御ユニットの断面図である。
【図3】第一実施形態において使用される能動騒音制御ユニットの変形例である。
【図4】能動騒音制御ユニットの機能線図である。
【図5】本発明に係る能動遮音壁の効果を示すグラフである。
【図6】第二実施形態において使用される能動騒音制御ユニットの断面図である。
【図7】本発明の第三実施形態に係る能動遮音壁の斜視図である。
【図8】本発明の第三実施形態に係る能動遮音壁の変形例である。
【図9】防音壁への能動遮音ユニットの取り付け方法の説明図である。
【図10】防音壁への能動遮音ユニットの取り付け方法の説明図である。
【図11】本発明の第四実施形態に係る能動遮音壁の斜視図及び断面図である。
【図12】本発明の第五実施形態に係る能動遮音壁の斜視図及び断面図である。
【符号の説明】
10…音源
11…防音壁
110…騒音回折壁
12…能動遮音ユニット
121…検出マイクロフォン
122…スピーカ
123…エンクロージャ
1231…背板
1232…バッフル板
124…演算部
Claims (13)
- 音源の移動方向に平行に設置される防音壁と、
前記音源の移動中心と前記防音壁の上端を結ぶ直線上に配置される前記音源の発生する騒音を検出する騒音検出手段であって、前記防音壁に沿って複数個設置される騒音検出手段と、
前記音源の移動中心と前記防音壁の上端を結ぶ直線上の前記騒音検出手段の設置位置より前記防音壁側に配置され、前記音源の移動中心と前記防音壁の上端を結ぶ直線上に騒音相殺音を放射する騒音相殺音発生手段であって、前記騒音検出手段に対応して複数個設置される騒音相殺音発生手段と、
前記騒音検出手段および前記騒音相殺音発生手段に対応して設置され、前記騒音検出手段によって検出される前記音源の発生する騒音に基づいて前記騒音相殺音発生手段から騒音相殺音を発生するための信号を演算する騒音相殺音演算手段と、を具備する能動遮音壁。 - 前記騒音相殺音演算手段が、前記騒音相殺音発生手段から放射される音が前記騒音相殺音発生手段と前記防音壁の上端を結ぶ線分内で前記騒音源の発生する騒音を相殺する相殺音となる信号を演算するものである請求項1に記載の能動遮音壁。
- 前記複数の騒音検出手段のなかの1個の騒音検出手段とそれに対応する前記騒音相殺音発生手段の1個がエンクロージャに格納される請求項1又は2に記載の能動遮音壁。
- 前記エンクロージャの幅が、消音すべき騒音の最高周波数の波長の略1/2である請求項3に記載の能動遮音壁。
- 前記騒音相殺音発生手段が、前記音源の移動中心と前記防音壁の上端を結ぶ直線上の少くとも前記防音壁側に騒音相殺音を放射する請求項1から4のいずれか1項に記載の能動遮音壁。
- 前記騒音相殺音発生手段が、前記音源の移動中心と前記防音壁の上端を結ぶ直線上の前記防音壁外側に背面が向けられたスピーカである請求項1から4のいずれか1項に記載の能動遮音壁。
- 前記エンクロージャの奥行きが略500ミリメートル以下である請求項1から6のいずれか1項に記載の能動遮音壁。
- 前記エンクロージャの奥行きが略250ミリメートル以下である請求項1から6のいずれか1項に記載の能動遮音壁。
- 前記騒音相殺音発生手段が、前記音源の移動中心と前記防音壁の上端を結ぶ直線を中心に複数配置される請求項1から4のいずれか1項に記載の能動遮音壁。
- 前記防音壁が、前記音源の移動中心と前記防音壁の上端を結ぶ直線上の前記騒音検出手段より内側に上端を有する騒音回折壁をさらに具備する請求項1から9のいずれか1項に記載の能動遮音壁。
- 音源の移動方向に平行に設置される防音壁に取り付けられる騒音検出手段であって、前記音源の発生する騒音を検出するために前記音源の移動中心と前記防音壁の上端を結ぶ直線上に前記防音壁に沿って複数個設置される騒音検出手段と、
音源の移動方向に平行に設置される防音壁に取り付けられる騒音相殺音発生手段であって、前記音源の移動中心と前記防音壁の上端を結ぶ直線上に騒音相殺音を放射するために前記音源の移動中心と前記防音壁の上端を結ぶ直線上の前記騒音検出手段の設置位置より前記防音壁側に前記防音壁に沿って前記騒音検出手段に対応して複数個設置される騒音相殺音発生手段と、
前記騒音検出手段及び前記騒音相殺音発生手段に対応して設置され、前記騒音検出手段によって検出される前記音源の発生する騒音に基づいて前記騒音相殺音発生手段から騒音相殺音を発生するための信号を演算する騒音相殺音演算手段と、を具備する能動遮音ユニット。 - 前記騒音相殺音発生手段を前記防音壁に取り付ける取り付け手段をさらに具備する請求項11に記載の能動遮音ユニット。
- 前記複数の騒音検出手段の中の1個とそれに対応する前記騒音相殺音発生手段の中の1個を格納する複数のエンクロージャと、
前記エンクロージャを前記防音壁に取り付ける取り付け手段と、をさらに具備する請求項11に記載の能動遮音ユニット。
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