JP3580650B2 - 電力用抵抗体、その製造方法及び電力用遮断器 - Google Patents

電力用抵抗体、その製造方法及び電力用遮断器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力用抵抗体、その製造方法及び電力用遮断器に関し、具体的には、例えば高電圧装置、大容量コンデンサの充放電装置に用いられている中性点接地抵抗器、固定抵抗器、可変抵抗器、巻線抵抗器又は抵抗器アレーとして好適な電力用抵抗体、その製造方法及びその電力用抵抗体を投入抵抗体として備えた電力用遮断器に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電力用抵抗器の材料は、金属系抵抗材料、金属酸化物系抵抗材料および非金属系抵抗材料に大別される。これらのうち、金属酸化物系抵抗材料は、他の材料に比べて耐熱性、耐電圧電流性および高電気エネルギーを吸収する耐エネルギー量が高いという特徴を有する。
【0003】
代表的な金属酸化物系抵抗体としては、特開昭58−139401号公報および特開昭59−217668号公報に開示されている。
特開昭58−139401号公報には、絶縁性の酸化アルミニウム結晶中に導電性のカーボン粉末を分散させ、粘土で焼き固めた炭素粒子分散型セラミック抵抗体が記載されている。かかる抵抗体としては、カーボン含有量が1.5〜2.0重量%であることが記載されている。
【0004】
また、特開昭59−217668号公報には、酸化アルミニウム、ムライト、焼成粘土の絶縁性無機質材料粉末に炭素粉末及び結合材を加え、混合、混練、加熱処理した原料を主原料として用いた炭素系電力用抵抗対について記載されており、このときの炭素粉末が0.1μm以下の微粉で、1.5〜5重量%の含有量であることが記載されている。
【0005】
また、特開昭57−52101号公報には、酸化アルミニウムを主成分とし、他に酸化珪素、酸化マグネシウムなどの粘土材、さらに導電材としてのカーボンを3〜10重量%含有量する抵抗部材について記載されている。
【0006】
ところで、一般的に、酸化アルミニウム粉末にカーボン粉末を添加し焼結体を製造しようとすると、酸化アルミニウムの焼結性が阻害される。このため、前述した炭素粒子分散型セラミック抵抗体は、酸化アルミニウム粉末にカーボン粉末を添加しているため、酸化アルミニウムの焼結性が阻害される。このため、前述した炭素粒子分散型セラミック抵抗体は、酸化アルミニウム粉末にカーボン粉末を添加し、さらに酸化アルミニウム粉末の焼結性を補う目的で粘土を加えて焼結している。しかしながら、粘土の添加は単に酸化アルミニウムとカーボン粉末を結合させるが、焼結性を向上させないため、得られた抵抗体の気孔率は10〜30%と高く緻密性が低下しているため、次のような問題を招く。
【0007】
すなわち、抵抗体の開閉時に発生するサージを吸収したり、遮断容量を増加させるために遮断接点と並列に接続される遮断器の投入抵抗体として用いた場合、抵抗体の緻密性の低下に起因して体積当りの熱容量が2J/cm ・K程度と小さくなるために、サージ等のエネルギーの吸収に伴って抵抗体の温度上昇が著しくなる。また通電時にカーボン粉末が気孔内で放電を起こし、貫通放電が発生する。したがって、前述した炭素粒子分散型セラミック抵抗体を用い遮断器は、抵抗体の格納スペースが大きくなるとともに信頼性を確保するたには遮断容量を低く抑える必要があった。
【0008】
さらに、このような抵抗体において、10 ・Ω・cmを超える高抵抗率の焼結体を得たい場合に、導電性をもたらすカーボン粒子がわずかな数で接続されることから製造条件の変動が敏感に反映されるため、優れた均一性をもつ焼結体を歩留まり良く製造することが困難であった。
【0009】
また、米国特許第4418327号公報には、酸化アルミニウムとカーボンおよび焼結助材としての酸化マグネシウムを添加した抵抗体についての記載がある。しかしながら、このような抵抗体においても、十分緻密な焼結体を得ることは容易でなく、また、優れた均一性をもつ焼結体を歩留まり良く製造することは困難であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように電力用抵抗体には、十分緻密でかつ高均一性を有する焼結体を歩留まりよく製造することが困難であるという問題がある。
また、特に緻密性の低下に伴い、熱容量の低下、顕著な温度上昇、貫通放電、格納スペースの増大、遮断容量の低下などの諸問題が発生する。
【0011】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、単位体積あたりの熱容量が大きく、適切かつ安定した電気抵抗値を有し、サージ吸収による抵抗値の経時変化が小さく、焼結体の均一性に優れ、再現性良く製造可能な電力用抵抗体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第2の目的は、遮断容量が大きく、遮断性能の安定した投入抵抗ユニットを備え、小型、高性能化を達成した電力用遮断器を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に対応する発明は、酸化アルミニウム及びカーボンを含む焼結体と、前記焼結体の対向する2つの面に形成された一対の電極とを具備した電力用抵抗体であって、前記焼結体としては、カーボン含有量が少ないかもしくはカーボンを含まない第1領域と、この第1領域よりカーボン含有量が多く、かつ前記一対の電極につながるように配置された第2領域とを有し、かつ二酸化珪素、酸化カルシウム、酸化マグネシウムを0.1〜5重量%の範囲で含んでいる電力用抵抗体である。
【0013】
また請求項2に対応する発明は、酸化アルミニウム及びカーボンを含む焼結体と、前記焼結体の対向する2つの面に形成された一対の電極とを具備した電力用抵抗体であって、
前記焼結体は、
カーボン含有量が少ないかもしくはカーボンを含まない第1領域と、
この第1領域よりカーボン含有量が多く、かつ前記一対の電極に繋がるように配置された第2領域とを有し、
且つ二酸化珪素(SiO )、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)を二酸化珪素/酸化カルシウム/,酸化マグネシウムの含有比がモル比で35〜60/30〜45/5〜25で合計量が0.1〜5重量%の範囲で含んでいることを特徴とする電力用抵抗体である。
【0014】
また、請求項3に対応する発明は、請求項1に対応する電力用抵抗体において、前記第1の領域はカーボン含有量が1重量%未満であり、前記第2の領域はカーボン含有量が1〜10重量%の範囲にある電力用抵抗体である。
【0015】
さらに、請求項4に対応する発明は、請求項1に対応する電力用抵抗体において、前記第1の領域を形成する第1の造粒粉末に対し、前記第2の領域を形成する第2の造粒粉末が20〜60重量%の範囲で混合された電力用抵抗体である。
【0016】
また、請求項5に対応する発明は、請求項1に対応する電力用抵抗体において、前記第2の領域の酸化アルミニウム粒子は平均粒径が0.4〜1μmの範囲にあり、前記第1の領域の酸化アルミニウム粒子は前記第2の領域の酸化アルミニウム粒子の2〜5倍の大きさを有する電力用抵抗体である。
【0017】
そして請求項6に対応する発明は、酸化アルミニウム及びカーボンを含む焼結体と、この焼結体の対向する2つの面に形成された一対の電極とを具備した電力用抵抗体であって、
前記焼結体は、
酸化アルミニウムの粒界に少なくとも二酸化珪素、酸化カルシウム及び酸化マグネシウムを含み
カーボン粒界には二酸化珪素、酸化カルシウム及び酸化マグネシウムを酸化アルミニウムの粒界より少ないか又は含まないように構成したことを特徴とする電力用抵抗体である。
【0018】
さらに、請求項7に対する発明は、カーボン粉末が少ないかもしくはカーボン粉末を含まず、酸化アルミニウム粉末を含み、かつ二酸化珪素、酸化カルシウム、酸化マグネシウムを含有する第1の領域を形成する第1の造粒粉末を調整する工程と、前記第1の領域よりも多くカーボン粉末を含むと共に、酸化アルミニウムの粉末を含み、かつ二酸化珪素、酸化カルシウム、酸化マグネシウムを含有する第2の領域を形成する第2の造粒粉末を調整する工程と、前記第1の造粒粉末と前記第2の造粒粉末とを混合した後、成形、焼結することにより焼結体を作成する工程と、前記焼結体の対向する主面に一対の電極を形成する工程とを含んでいる電力用抵抗体の製造方法である。なおこの発明における焼結体は請求項2又は6のようなものであっても良い。
【0019】
また、請求項8に対応する発明は、電流経路に配置される主開閉手段と前記電流経路に前記主開閉手段に対して電気的に並列に接続され、前記主開閉手段の閉状態への切替えよりも先行して閉状態に切替えられる補助開閉手段と、前記補助開閉手段に電気的に直列に接続され、焼結体及びこの焼結体の対抗する2つの面に形成された一対の電極を有する抵抗体が組み込まれ、前記焼結体としては、カーボン量が少ないかもしくはカーボンを含まない第1領域とこの第1領域よりカーボン量が多く含まれ、かつ前記一対の電極に繋がるように配置された第2領域とを有し、かつ二酸化珪素、酸化カルシウム、酸化マグネシウムを含む電力用遮断器である。
【0020】
従って、請求項1に対応する発明は以上のような手段を講じたことにより、焼結体としては、カーボン含有量が少ないかもしくはカーボンを含まない第1領域と、この第1領域よりカーボン含有量が多く、かつ一対の電極に繋がるように配置された第2領域とを有し、かつ二酸化珪素、酸化カルシウム、酸化マグネシウムを0.1〜5重量%の範囲で含んでいるので、焼結体の緻密性及び均一性を向上できることにより、単位体積あたりの熱容量が大きく、適切かつ安定した電気抵抗値を有し、サージ吸収による抵抗値の経時変化が小さく、焼結体の均一性に優れ、再現性良く製造することができる。又請求項2に対応する発明のように第1の領域に含む二酸化珪素、酸化カルシウム、酸化マグネシウムのモル比を規定すれば、その効果はなお顕著である。
【0021】
また、請求項3に対応する発明は、第1の領域はカーボン含有量が1重量%未満であり、第2の領域はカーボン含有量が1〜10重量%の範囲にあるので、請求項1に対応する作用に加え、電力用抵抗体として好適な抵抗率と十分な緻密性とを確保することができる。
【0022】
さらに請求項4に対応する発明は、第1の領域を形成する第1の造粒粉末に対し、第2の領域を形成する第2の造粒粉末が20〜60重量%の範囲で混合されているので、請求項1に対応する作用に加え、第2の領域どうしの電気的接続が容易な程度に含有される一方、第1の領域を無視するほどには含有されないので、容易に抵抗率を制御することができる。
【0023】
また、請求項5に対応する発明は、第2の領域の酸化アルミニウム粒子は平均粒径が0.4〜1μmの範囲にあり、第1の領域の酸化アルミニウム粒子は第2の領域の酸化アルミニウム粒子の2〜5倍の大きさを有するので、請求項1に対応する作用に加え、良好な焼結性を確保でき、且つ第2の造粒粉末の混合割合を、第1及び第2の造粒粉末の平均粒子径が等しい場合に比べて小さくすることができる。
【0024】
さらに、請求項7に対応する発明は、カーボン粉末がすくないかもしくはカーボン粉末を含まず、酸化アルミニウム粉末を含み、かつ二酸化珪素、酸化カルシウム、酸化マグネシウムを含有する第1の領域を形成する第1の造粒粉末を調整する工程と、第1の領域よりも多くカーボン粉末を含むと共に、酸化アルミニウム粉末を含み、かつ二酸化珪素、酸化カルシウム、酸化マグネシウムを含有する第2の領域を形成する第2の造粒粉末を調整する工程と、第1の造粒粉末と第2の造粒粉末とを混合した後、成形、焼結することにより焼結体を作成する工程と、焼結体の対向する主面に一対の電極を形成する工程とを含んでいるので、請求項1に対応する作用と同様の作用を奏することができる。
【0025】
また、請求項8に対応する発明は、請求項1に対応する焼結体からなる抵抗体を有しているので、遮断容量が大きく、遮断性能の安定した投入抵抗ユニットを備え、小型、高性能化を達成することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る電力用抵抗体の構成を示す断面図、図2は図1の焼結体の微構造を模式的に示す図、図3は図2の第2領域を拡大して模式的に示す図である。抵抗体1は、円板上の焼結体2と、焼結体2の円形両面に形成された一対の電極3と、焼結体2の外周面に被覆された絶縁層4とから構成されている。
【0027】
焼結体2は、酸化アルミニウムおよびカーボン、二酸化珪素、酸化カルシウム、酸化マグネシウムを含む組成を有する。
焼結体2は、図2に示すように、カーボン量が少ないかもしくはカーボンを含まない第1領域5と、この第1領域5よりカーボン量の多い第2領域6とからなり、第1領域5は実質的に絶縁性を示し、第2領域6は導電性を示す。焼結体2において、第2領域6は3次元的なネットワーク構造で互いに接続されると共に、一対の電極3に繋がるように配置される。第2領域6の接続状態及び抵抗率により、焼結体2の抵抗値が制御される。
【0028】
第2領域6は、図3に示すように、絶縁性の酸化アルミニウム粒子7の粒界に導電性のカーボン8が存在する形態を有し、カーボン8により複数の第2領域6を相互に電気的に接続している。
【0029】
第2領域6では、該領域のカーボン含有量と、二酸化珪素(SiO )、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)を含む粉末原料の添加量とにより、該領域の抵抗率が制御可能となっている。比較的高抵抗率をもつ焼結体を得る場合、第2領域6の抵抗率を適度に大きくして第2の領域6間の接続数を十分大きくとることが可能となる。これにより、製造時の焼結雰囲気、温度分布等による焼結体内部の均一性への悪影響を相対的に小さくでき、製造歩留まりを向上できる。焼結体は、第1の領域の酸化アルミニウム粒子の会合部9と第2の領域のカーボン8の部分には、SiO 、CaO、MgOが存在し、焼結途中で液相を形成する。このため、焼結体にSiO 、CaO、MgOを含む粉末原料の所定量の添加により、焼結が容易で、均一性良く、安定的に製造可能となっている。
【0030】
本発明の電力抵抗体は、例えば以下のようにして作製可能である。
酸化アルミニウムは、平均粒子径が1μm以下であり、焼結性を良くするために好ましくは粒子径が0.5μm以下のものが原料粉末とされる。
【0031】
カーボン粉末は、0.1μm以下の粒子径が焼結性の確保のために好ましく、微粉になる程好ましい。
このような酸化アルミニウム原料粉末と平均粒子径が0.1μm以下のカーボン粉末、およびSiO 、CaO、MgOを含む粉末原料を水又は有機溶媒を用い、ボールミル中で混合し、第1及び第2の混合粉末をそれぞれ得る。
【0032】
焼結体のカーボン含有量の異なる第1又は第2領域を形成する際に該領域のカーボン含有量は電機的性質に合わせて制御可能である。
すなわち、実質的に絶縁性の第1の領域を形成するためのカーボン含有量が少ない第1の混合粉末と、導電性の第2の領域を形成するためのカーボン含有量が多い第2の混合粉末とは、それぞれの電気的性質を表す範囲でカーボン含有量を制御可能である。第1領域及び第2領域におけるSiO 、CaO、MgOを含む粉末原料についても同様に、電気的性質を表わす範囲内でその含有量を制御可能である。
【0033】
これらカーボン含有量の異なる夫々の混合粉末に、成形体を作成するときのために所望により適宜パラフィン、ポリビニルアルコール等の成形用バインダーが添加可能であるが、この場合、これら成形用バインダーも焼結体中のカーボン原になるため、それを考慮し、予めカーボン粉末量の調整の必要がある。
【0034】
成型用バインダーを添加混合後、メッシュを通過する等により造粒し、第1及び第2の造粒粉末が調整される。
夫々の造粒粉末を得る方法として、カーボン含有量の異なる第1の混合粉末と第2の混合粉末とを、夫々有機溶媒、成型用バインダーとともに混合し、スラリー化し、スプレードライヤー等を用いて、溶媒を除去することにより、第1の造粒粉末及び第2の造粒粉末とすることができる。
【0035】
各造粒粉末は、所定の比率により、例えばV型ミキサーにより混合され、混合造粒粉末となる。混合造粒粉末を形成し、焼結し、焼結体とする。
成形は金型プレス、押出し及び射出成形などが適用可能である。金型成形を用いる場合、焼結体の密度を高めるために200kg/cm 以上の形成圧力が望ましい。なお、これ以下の成形圧力だと焼結体の相対密度が低く、単位体積当たりの熱容量が低下する。
【0036】
焼成は非酸化ガス中で行なわれる脱脂の熱処理に続けて真空中または不活性ガス中、1300〜1800℃で1〜4時間保持することによって行われる。但し、脱脂の熱処理後、一度室温まで降温したのち再度昇温し焼成してもよい。
【0037】
得られた焼結体の両主面を研磨し、溶射、焼き付け、スパッタリングなどの手段により一対の電極を形成する。この電極は、アルミニウムまたはニッケルなどから構成することが望ましい。
【0038】
この後、焼結体の外周面および中空部の内周面に所望により、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、ホウ珪酸ガラスの如き絶縁性セラミック、またはポリイミドのような樹脂を焼き付け、溶射または塗布、乾燥等により絶縁層を形成して抵抗体を製造する。
【0039】
焼結体のカーボン含有量は0.3〜5重量%の範囲にあることが望ましい。カーボン含有量が0.3重量%以下であると、抵抗率が10 Ω・cm以上となり電力用抵抗体としては抵抗率が高すぎる。カーボン含有率が5重量%以下では抵抗率が10Ω・cm以下と低下するとともに、焼結体が緻密性に欠け、やはり電力用抵抗体には不適となる。
【0040】
第1領域を形成する混合粉末は第1領域が実質的に絶縁性を示す観点から、第2の領域よりもオーダー的に抵抗率が高くなるカーボン含有量が好ましい。
第2領域を形成する混合粉末はカーボン含有量が1.1〜10重量%の範囲にあることが好ましい。カーボン含有量が1.0重量%未満であると、抵抗率が10 Ω・cmを超え電力用抵抗体として抵抗率が高すぎる。また、カーボン含有量が10重量%を超えると、焼結体の緻密性にかけ、本発明の効果が得られにくくなる。
【0041】
第1の領域を形成する第1の造粒粉末に対し、第2の領域を形成する第2の造粒粉末の混合割合が20重量%以上、60重量%以下が好ましい。第2の造粒粉末の混合割合が10重量%以下の場合には、第2の領域どうしの電気的な接続が困難になり、焼結体の抵抗率制御が困難になる。第2の造粒粉末の混合割合が60重量%を超えると抵抗率は実質的に第2領域の抵抗率に近くなり、本発明の効果が得られにくくなる。第1及び第2領域におけるSiO 、CaO、MgOを含む粉末原料の添加量は0.1〜5重量%の範囲にあることが好ましい。これら粉末原料の添加量が0.1重量%未満あるいは5重量%を超えると焼結体を均一に、再現性良く作成可能な効果がなくなる。
【0042】
なお、第2の造粒粉末の平均粒子径は、第1の造粒粉末の平均粒子径よりも小さくしてもよい。この場合、第2の造粒粉末の混合割合は、第1及び第2の造粒粉末の平均粒子径が等しい場合に比べ、小さくすることができる。
【0043】
なお、本発明に係る電力用抵抗体は前述した円板形状を有する構造に限定されない。例えば、図5および図6に示すように環状の焼結体11と、焼結体11の対向する環状両面に形成された電極12と、焼結体11の外周面および円周面に被覆された絶縁層13,14とから電力用抵抗体15を構成してもよい。
【0044】
また、本発明に係る電力用抵抗体を後述する電力用遮断器の投入抵抗体や高電圧装置、大容量コンデンサの充放電装置等に用いられる固定抵抗器、可変抵抗器、抵抗器アレーに適用することができる。
【0045】
次に、本発明に係る電力用遮断器を図7および図8を参照して説明する。
図7は、本発明に係る遮断器の構成図、図8は投入抵抗体を示す斜視図である。遮断器21は、消弧室22内に配置され電流経路に接続された主接点23を備えている。補助接点24は、電流経路に主接点23に対して並列に接続されている。投入抵抗ユニット25は、補助接点24に直列に接続されている。上下動する絶縁ロッド26は、傾動するレバー27に連結されている。
【0046】
このような構成の電力用遮断器において、前記絶縁ロッド26が上方に駆動されると、主接点23のONに先立って補助接点24がONされる。この際、投入抵抗ユニット25は補助接点24に直列に接続されているため、補助接点24が介装された電流経路を流れる電流の電圧を投入抵抗ユニット25に下げられる。主接点23がONされる直前においては電流は投入抵抗ユニット25および補助接点24が介装された電流経路を流、主接点23が介装された電流経路に電流が流れていないため、主接点23がONした時にその接点に高電圧がかからない。その結果、主接点23のON時にアークが発生するのを防止できる。
【0047】
投入抵抗ユニット25は、例えば図8に示すような主に絶縁性支持棒28と、一対の絶縁性支持板29a,29bと、複数の中空円筒状の抵抗体30と、弾性体31とから構成されている。一対の絶縁性支持板29a、29bは、支持棒28に嵌入されている。複数の中空円筒状の抵抗体30は、支持板29a,29b間に位置する支持棒28部分に嵌入されている。弾性体31は、一方(右端)の支持板29aと複数の抵抗体30の間に配置されると共に、支持棒28に嵌入されている。弾性体31は、複数の抵抗体30に弾性力を付与してそれらを支持棒28に積層するために用いられる。ナット32a,32bは、支持棒28の両端に螺合されている。ナット32a,32bは、支持板29a,29b間に配置された弾性体31を押圧するために用いられる。絶縁性支持棒28は、高強度、軽量化、易加工性などの理由から有機系の材料が用いられる。一般に、投入抵抗体は開閉サージ吸収時に温度上昇を生じる。このため、耐熱性が劣る有機系材料からなる支持棒は強度を維持することが困難になる。ただし、後述する組成の投入抵抗体は熱容量が大きいために開閉サージ吸収時における温度上昇を一定温度以下に抑制することが可能になる。その結果、有機系材料からなる支持棒の使用が可能になる。また、熱容量の大きな投入抵抗体ほど容積を小さくすることが可能になる。
【0048】
投入抵抗ユニット25に組込まれた抵抗体(電力用抵抗体)30は、前述した図5および図6に示すように環状の焼結体11と、焼結体11の環状両面に形成された一対の電極12と、焼結体11の外周面および内周面に被覆された絶縁層13,14とから構成されている。
【0049】
上述したように本実施の形態に係る電力用遮断器は、前述した構成の焼結体を含み、単位体積当たりの熱容量が大きく、経時的な抵抗値変動が小さく、かつ所期目的の抵抗値を有する抵抗体が組み込まれた投入抵抗ユニットを備えている。このような投入抵抗ユニットは、遮断容量が大きく、従来のカーボン分散型セラミック抵抗体が組込まれた投入抵抗ユニットに比べて容積を小さくでき、さらに安定した遮断性能を有する。したがって、投入抵抗ユニットを備えた電力用遮断器は小型化および高性能化を図ることができる。
その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0050】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
[実施例1〜14]
本発明の電力用抵抗体は以下の様に製造された。
【0051】
図4中の点ABCDで囲まれた成分比範囲のSiO 、CaO、MgO粉末原料の所定量に10〜30重量%のAl 粉末原料を加え、混合した後、1200℃〜1500℃の温度で加熱・反応させた後、粉砕し、SiO 、CaO、MgOを含む加熱反応粉末をあらかじめ作製した。ここに各点の成分比をモル比で(SiO 、CaO、MgO)の順に、Aは(35,45,20)、Bは(35,40,25)、Cは(45,30,25)、Dは(60,30,10)、Eは(60,35,5)、Fは(50,45,5)で表される。
【0052】
G点は同様に(4,9,38,14)のモル比で表され、さらに17重量%のAl を含むことで、これら成分系の共晶点(共晶温度1230℃)をなす。
【0053】
平均粒径0.4μmの酸化アルミニウム粉末にSiO 、CaO、MgOを含む加熱反応粉末を所定量加え、エタノールを溶媒とし、Al 製ポットおよびアルミナ製ボールを用いて混合、粉砕を行い、第1の混合粉末を得る。これを乾燥後、さらに成型用バインダーとしてパラフィンを固形分として5wt%加え、キシレンを溶媒としてスラリー化した後、乾燥を行い、第1の造粒粉末を得た。また、第1の造粒粉末に使用したものと同じ酸化アルミニウム粉末を出発原料として、平均粒子型50nmのカーボン粉末、および、SiO 、CaO、MgOを含む加熱反応粉末を所定量加え、さらにエタノールを溶媒とし、アルミナ製ポットおよびアルミナ製ボールを用いて混合、粉砕を行い、第2の混合粉末を得て、これを乾燥後、さらに成型用バインダーとしてパラフィンを固形分として5wt%加え、第1の造粒粉末と同じ方法で、第2の造粒粉末を得た。第1の造粒粉末に対して第2の造粒粉末を40wt%の割合でV型混合器により混合し、混合造粒粉末を得た。
【0054】
なお、SiO 、CaO、MgOを含む加熱反応粉末を添加量はAl 、SiO 、CaO、MgO成分のうち、SiO 、CaO、MgO成分に換算した量を用いた。
【0055】
これらの混合造粒粉末は鋼鉄製金型を用いてシリンダ型の円板状に形成され、窒素中600℃の脱脂過程を経て、アルゴン中1500℃で2時間の焼成を行った。この焼結体の側面に、ホウケイ酸ガラス粉末を塗布、焼き付けて絶縁層を形成した。その後、この焼結体の両端面を研削後、外径120mm、内径35mm、高さ25mmの寸法とし、両端面にアルミニウム電極を溶射により形成して、抵抗素子を得た。
【0056】
また、第1と第2の領域を持たない、すなわち、焼結体全体にカーボン濃度が均一になるように、上記酸化アルミニウム粉末に、実施例と同じカーボン粉末、およびSiO 、CaO、MgOを含む加熱反応粉末をSiO 、CaO、MgO成分に換算して0.5wt%加え、一括して混合し、造粒、成形し、以降、上記実施例と同様な方法で比較例の抵抗素子を得た。
表1に、第2の領域におけるカーボン添加量、焼結体中の第2の領域の割合、抵抗率、素子内及び素子間の抵抗比、抵抗変化率を比較例と合わせて示した。
【0057】
【表1】
Figure 0003580650
【0058】
抵抗素子の製造安定性を調べるために、同一ロットの抵抗素子20個の抵抗値を測定し、その最大値と最小値の比を素子間抵抗比とした。また、焼結体内部の抵抗率の均一性を評価するために、抵抗素子の一方の面の電極を除去し、直径3mmのアルミニウム電極を20個、溶射により電極面に均等に配置、形成した。これらの電極と他方の面の電極との間の抵抗を測定し、その最大値と最小値の比を素子内抵抗比とした。実用上、素子間抵抗比は5以下が好ましく、素子内抵抗分布は10以下が好ましい。
【0059】
抵抗変化率は、抵抗素子に200J/cm のエネルギーに相当するサージ電圧を素子冷却を考慮した一定間隔の時間をおいて10回繰り返し印加し、発生した抵抗変化を初期値に対する百分率で示した。実用上、抵抗変化率は10%以下が好ましい。
【0060】
表1によれば、カーボン含有量の異なる第1の領域と第2の領域を備えた抵抗体において、抵抗率が10 Ω・cmを超える場合においても、素子内抵抗比は10以下の値を示し、均一性に優れるとともに、素子間抵抗比も5以下であり、安定に製造できることが明かである。さらに、サージ電圧を繰り返し印加したときの電圧変化率は5%以下であり、抵抗特性が良好な安定性を有しているものであった。また、SiO 、CaO、MgOを含む加熱反応粉末をSiO /CaO/MgOの含有比がモル比で35〜60/30〜45/5〜25で合計量が0.1〜5重量%の範囲で添加することにより、抵抗分布の均一性に優れ、素子間ばらつきも十分小さく、耐サージ性に優れた安定な抵抗特性を示すものであった。なお、第1および第2の領域構造を持たない比較例1〜3の場合には、均一な抵抗体が得られにくくなるとともに、製造安定性に劣るものであった。
【0061】
[実施例15〜21]
平均粒径0.2μmの酸化アルミニウム粉末にSiO 、CaO、MgOの少なくとも一種の粉末原料を所定量加え、エタノールを溶媒とし、アルミナ製ポットおよびアルミナ製ボールを用いて混合、粉砕を行い、第1の混合粉末を得る。これを乾燥後、さらに成型用バインダーとしてパラフィンを固形分として5wt%加え、キシレンを溶媒としてスラリー化した後、乾燥を行い、第1の造粒粉末を得た。また、第1の造粒粉末に使用したものと同じ酸化アルミニウム粉末を出発原料として、平均粒子型50nmのカーボン粉末、および、SiO 、CaO、MgOを含む加熱反応粉末を所定量加え、さらにエタノールを溶媒とし、アルミナ製ポットおよびアルミナ製ボールを用いて混合、粉砕を行い、第2の混合粉末を得て、これを乾燥後、さらに成型用バインダーとしてパラフィンを固形分として5wt%加え、第1の造粒粉末と同じ方法で、第2の造粒粉末を得た。第1の造粒粉末に対して第2の造粒粉末を20〜60wt%の割合でV型混合器により混合し、混合造粒粉末を得た。この後実施例1〜14と同様な方法で抵抗素子を作製した。結果を実施例15〜21として表2に示す。
【0062】
【表2】
Figure 0003580650
【0063】
表2に示すように、素子内および素子間の抵抗比、さらに電圧変化率はいずれも良好な値を示し、第1の造粒粉末に対する第2の造粒粉末の割合が20〜60wt%の範囲で良好な値を示し、SiO 、CaO、MgOの加熱反応粉末の添加効果が発揮されている。
【0064】
本発明に係る電力用抵抗体の相対密度は92%以上と緻密に焼結されているため、従来例とは異なり、熱容量はほぼ3J/cm と大きな値を有しており、電力用抵抗体として好適である。
【0065】
本発明により得られた抵抗体において、透過型電子顕微鏡で観察した焼結体の微構造を図2及び図3に示す。カーボン粒子は第1の領域にはほとんど見られず、第2の領域に多く見られ、領域構造を示していることがわかる。第2の領域の酸化アルミニウムの粒径は0.4〜1μmと非常に細かく、また、カーボン粒子は酸化アルミニウム粒子の粒界の会合部(3重点)に平均粒子径50nm程度の粒子が多数集まった構造をしており、このような構造が電流経路となるカーボン粒子同志の接続を安定に形成しているものと考えられる。また、第1の領域に見られるように、酸化アルミニウムの粒子は2〜5μmと粒成長しており、焼結体の組織は緻密である。焼結体に見られる様な領域構造にすることにより、カーボンを含むことで難焼結性となる酸化アルミニウムに対して焼結性を向上させていることがわかる。さらに、第1の領域の酸化アルミニウム粒子の会合部および第2の領域のカーボン粒子が多数集まっている構造にはSiO 、CaO、MgO成分が存在していることがEDS(エネルギー分散型X線スペクトル分光)分析により確認される。図4のABCDで囲まれた成分比のSiO 、CaO、MgOに所定量のAl を加え加熱して得られる反応物は成分比に応じて1230℃またはこれ以上の温度で液相を生ずるため、焼結時にこれら反応物が酸化アルミニウム粒子の会合部で液相を生じ焼結をさらに向上させているものと理解される。
【0066】
(遮断器の評価例)
前述した実施例2、3、7、9、13、15および比較例1の電力用抵抗体を前述した図8に示すように所定枚数積み重ね、各抵抗体30の中心部を貫通する樹脂からなる絶縁性支柱棒28と弾性体31により支持し、円筒状容器に収めて投入抵抗ユニット25を構成した。これら投入抵抗ユニットを前述した図6に示すように組込んで7種の電力用遮断器41を組み立てた。
【0067】
得られた7種の電力用遮断器について、それらの投入抵抗体に脱調投入し、抵抗体の温度上昇が80℃以内になるときの抵抗体に注入可能なエネルギー(エネルギー容量)を測定した。また、実施例2、3、7、9、13、15の電力用抵抗体を組み込んだ電力用遮断器について、比較例1の電力用抵抗体を組み込んだ電力用遮断器に対する体積縮小率を測定した。これらの結果を下記表3に示す。
【0068】
【表3】
Figure 0003580650
【0069】
表3のNo.2〜7の電力用遮断器について、遮断性能の安定性を調べるために脱調投入相当のエネルギーを20回印加し、投入抵抗体の抵抗率変化を測定した。その結果、いずれの電力用遮断器も抵抗率変化が10%以下であり、十分に遮断性能の安定性が高いことが確認された。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明によれば、焼結体としては、カーボン含有量が少ないかもしくはカーボンを含まない第1領域と、この第1領域よりカーボン含有量が多く、かつ一対の電極に繋がるように配置された第2領域とを有し、且つ二酸化珪素、酸化カルシウム又は酸化マグネシウムのうち少なくとも一種を0.1〜5重量%の範囲で含んでいるので、焼結体の緻密性及び均一性を向上できることにより、単位体積あたりの熱容量が大きく、適切かつ安定した電気抵抗値を有し、サージ吸収による抵抗値の経時変化が小さく、焼結体の均一性に優れ、再現性良く製造電力用抵抗体を提供できる。請求項6によっても同様な効果が得られる。
【0071】
また請求項1の発明によれば、焼結体としては、カーボン含有量が少ないかもしくはカーボンを含まない第1領域と、この第1領域よりカーボン含有量が多く、かつ一対の電極に繋がるように配置された第2領域とを有し、且つ二酸化珪素、酸化カルシウム、酸化マグネシウムを二酸化珪素/酸化カルシウム/,酸化マグネシウムの含有比がモル比で35〜60/30〜45/5〜25で合計量が0.1〜5重量%の範囲で含んでいるので、焼結体の緻密性および均一性を向上でき、より単位体積あたりの熱容量が大きく、適切かつ安定した電気抵抗値を有し、サージ吸収による抵抗値の経時変化が小さく、焼結体の均一性に優れ、再現性良く製造できる電力用抵抗体を提供できる。
【0072】
また、請求項3の発明によれば、第1の領域はカーボン含有量が1重量%未満であり、第2の領域はカーボン含有量が1〜10重量%の範囲にあるので、請求項1の効果に加え、電力用抵抗体として好適な抵抗率と十分な緻密性を確保できる電力用抵抗体を提供できる。
【0073】
さらに、請求項4の発明によれば、第1の領域を形成する第1の造粒粉末に対し、前記第2の領域を形成する第2の造粒粉末が20〜60重量%の範囲で混合されているので、請求項1の効果に加え、第2の領域どうしの電気的接続が容易な程度に含有される一方、第1の領域を無視するほどには含有されないので、容易に抵抗率を制御できる電力用抵抗体を提供できる。
【0074】
また、請求項5の発明によれば、第2の領域の酸化アルミニウム粒子は平均粒径が0.4〜1μmの範囲にあり、第1の領域の酸化アルミニウム粒子は第2の領域の酸化アルミニウム粒子の2〜5倍の大きさを有するので、請求項1の効果に加え、良好な焼結性を確保でき、かつ第2の造粒粉末の混合割合を、第1及び第2の造粒粉末の平均粒子径が等しい場合に比べて小さくできる電力用抵抗体を提供できる。
【0075】
さらに、請求項7の発明によれば、カーボン粉末が少ないかもしくはカーボン粉末を含まず、酸化アルミニウム粉末を含み、かつ二酸化珪素、酸化カルシウム、酸化マグネシウムを二酸化珪素/酸化カルシウム/酸化マグネシウムの含有比がモル比で35〜60/30〜45/5〜25で合計量が0.1〜5重量%の範囲で含有する第1の領域を形成する第1の造粒粉末を調整する工程と、第1の領域よりも多くカーボン粉末を含むと共に、酸化アルミニウム粉末を含み、かつ二酸化珪素、酸化カルシウム、酸化マグネシウムを二酸化珪素/酸化カルシウム/酸化マグネシウムの含有比がモル比で35〜60/30〜45/5〜25で合計量が0.1〜5重量%の範囲で含有する第2の領域を形成する第2の造粒粉末を調整する工程と、第1の造粒粉末と第2の造粒粉末とを混合した後、成形、焼結することにより焼結体を作成する工程と、焼結体の対向する主面に一対の電極を形成する工程とを含んでいるので、請求項1の同様の効果を奏することができる電力用抵抗体の製造方法を提供できる。
【0076】
また、請求項8の発明によれば、請求項1に対応する焼結体からなる抵抗体を有しているので、遮断容量が大きく、遮断性能の安定した投入抵抗ユニットを備え、小型、高性能化を達成できる電力用遮断器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る電力用抵抗体の構成を示す断面図、
【図2】同実施の形態における焼結体の微構造を模式的に示す図、
【図3】同実施の形態における第2領域を拡大して模式的に示す図、
【図4】同実施に係わる二酸化珪素、酸化カルシウム、酸化マグネシウムを含む加熱反応物の成分比範囲を示す図、
【図5】本発明の他の実施の形態に係る電力用抵抗体の構成を示す斜視図、
【図6】図4の電力用抵抗体のV−V線矢視断面図、
【図7】本発明の実施の形態に係る電力用遮断器を示す構成図、
【図8】同実施の形態における電力用遮断器の投入抵抗ユニットを示す構成図。
【符号の説明】
1,15…抵抗体
2,11…焼結体
3,12…電極
4…側面高抵抗層
5…第1領域
6…第2領域、
7…酸化アルミニウム粒子
8…カーボン
9…二酸化珪素、酸化カルシウム、酸化マグネシウムを含む相
21…遮断器
22…消弧室
23…主接点
24…補助接点
25…投入抵抗体
26…絶縁ロッド
30…抵抗体

Claims (8)

  1. 酸化アルミニウム及びカーボンを含む焼結体と、前記焼結体の対向する2つの面に形成された一対の電極とを具備した電力用抵抗体であって、
    前記焼結体は、
    カーボン含有量が少ないかもしくはカーボンを含まない第1領域と、
    この第1領域よりカーボン含有量が多く、かつ前記一対の電極に繋がるように配置された第2領域とを有し、
    且つ二酸化珪素、酸化カルシウム又は酸化マグネシウムのうちの少なくとも一種を0.1〜5重量%の範囲で含んでいることを特徴とする電力用抵抗体。
  2. 酸化アルミニウム及びカーボンを含む焼結体と、前記焼結体の対向する2つの面に形成された一対の電極とを具備した電力用抵抗体であって、
    前記焼結体は、
    カーボン含有量が少ないかもしくはカーボンを含まない第1領域と、
    この第1領域よりカーボン含有量が多く、かつ前記一対の電極に繋がるように配置された第2領域とを有し、
    且つ二酸化珪素(SiO )、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)を二酸化珪素/酸化カルシウム/酸化マグネシウムの含有比がモル比で35〜60/30〜45/5〜25で合計量が0.1〜5重量%の範囲で含んでいることを特徴とする電力用抵抗体。
  3. 請求項1に記載の電力用抵抗体において、
    前記第1の領域はカーボン含有量が1重量%未満であり、
    前記第2の領域はカーボン含有量が1〜10%重量%の範囲にあることを特徴とする電力用抵抗体。
  4. 請求項1に記載の電力用抵抗体において、
    前記第1の領域を形成する第1の造粒粉末に対し、前記第2の領域を形成する第2の造粒粉末が20〜60重量%の範囲で混合されたことを特徴とする電力用抵抗体。
  5. 請求項1に記載の電力用抵抗体において、
    前記第2の領域の酸化アルミニウム粒子は平均粒径が0.2〜0.5μmの範囲にあり、
    前記第1の領域の酸化アルミニウム粒子は前記第2の領域の酸化アルミニウム粒子の2〜8倍の大きさを有することを特徴とする電力用抵抗体。
  6. 酸化アルミニウム及びカーボンを含む焼結体と、この焼結体の対向する2つの面に形成された一対の電極とを具備した電力用抵抗体であって、
    前記焼結体は、
    酸化アルミニウムの粒界に少なくとも二酸化珪素、酸化カルシウム及び酸化マグネシウムを含み
    カーボン粒界には二酸化珪素、酸化カルシウム及び酸化マグネシウムを酸化アルミニウムの粒界より少ないか又は含まないように構成したことを特徴とする電力用抵抗体。
  7. カーボン粉末が少ないかもしくはカーボン粉末を含まず、
    酸化アルミニウム粉末を含み、かつ二酸化珪素、酸化カルシウム、酸化マグネシウムを含有する第1の領域を形成する第1の造粒粉末を調整する工程と、
    前記第1の領域よりも多くカーボン粉末を含むと共に、酸化アルミニウム粉末を含み、かつ二酸化珪素、酸化カルシウム、酸化マグネシウムを含有する第2の領域を形成する第2の造粒粉末を調整する工程と、
    前記第1の造粒粉末と前記第2の造粒粉末とを混合した後、成形、焼結することにより焼結体を作成する工程と、
    前記焼結体の対向する主面に一対の電極を形成する工程と
    を含んでいることを特徴とする電力用抵抗体の製造方法。
  8. 電流経路に配置される主開閉手段と、
    前記電流経路に前記主開閉手段に対して電気的に並列に接続され、前記主開閉手段の閉状態への切替えよりも先行して閉状態に切替えられる補助開閉手段と、前記補助開閉手段に電気的に直列に接続され、焼結体及びこの焼結体の対向する2つの面に形成された一対の電極を有する抵抗体が組み込まれ、
    前記焼結体は、
    カーボン量が少ないかもしくはカーボンを含まない第1領域とこの第1領域よりカーボン量が多く含まれ、かつ前記一対の電極に繋がるように配置された第2領域とを有し、かつ二酸化珪素、酸化カルシウム、酸化マグネシウムを含むことを特徴とする電力用遮断器。
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