JP3580403B2 - 環状オリゴシロキサンの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、本発明はシリコーン工業で原料として用いられる下記一般式(III)
【0002】
【化12】
【0003】
で表される環状オリゴシロキサンの製造方法に関する。
【0004】
【従来の技術】
ポリシロキサンを不均化する方法としては、酸性あるいはアルカリ性触媒を用いる方法が一般的に知られている。しかしながら、このような酸性あるいはアルカリ性触媒を用いる方法は反応条件が過酷であり、工業的に安定に製造するためには有利とは言えない。中性条件での不均化方法については例えばポリシロキサンの加熱分解によるシクロシロキサンの生成が知られているが、この方法は300℃程度の非常に高い温度が必要であり、この方法もまた工業的に安定に製造するために有利な方法とは言えない。その他に、中性条件での不均化方法として遷移金属触媒を用いる方法が知られているが、この方法はPt、Pdといった高価な金属の触媒を用いる必要があり、コスト的な観点も考慮すると工業的に有利な方法とは言えない。
【0005】
環状オリゴシロキサンはシリコーン工業において高分子量ポリシロキサン製造の原料として使用される。また、Si−H基を含有する環状オリゴシロキサンはシリコーン工業においてシーラント等に用いられる室温架橋型シリコーンゴムの製造原料として使用される。室温架橋型シリコーンゴムはSi−H基を含有する環状オリゴシロキサンとビニル基を含有するポリシロキサンとを白金触媒の存在下で反応させ架橋させることにより得られる。また、Si−H基を含有する環状オリゴシロキサンは接着性促進剤等として用いられる有機官能基結合オリゴシロキサンの製造原料としても用いられる。有機官能基結合オリゴシロキサンはSi−H基を含有する環状オリゴシロキサンとビニル基を含有する有機基を白金触媒の存在下で反応させることにより得られる。
【0006】
環状オリゴシロキサンの製造方法としては、例えばジメチルジクロロシランなどのケイ素上に2個の加水分解性基を有するオルガノシラン類を加水分解縮合する方法が一般的に知られている。しかしながら、このような加水分解縮合反応条件下では反応系が酸性の過酷な状態になり、工業的に安定に製造するためには有利とは言えない。
【0007】
また、特にSi−H基を含有する環状オリゴシロキサンの製造においては、Si−H基はかかる酸性条件下では反応性が非常に高く、反応系内に共存する水あるいはシラノール基と反応を起こし、目的とする化合物の収率は低い。そこで、この問題を解決するために以下の(イ)あるいは(ロ)の方法が提案されている。
【0008】
すなわち、(イ)メチルジクロロシランをテトラヒドロフランと炭化水素溶剤との混合溶剤の存在下で加水分解する方法(特開平6ー80680号公報)、および、(ロ)ジクロロジシロキサンをt−ブチルアルコールの存在下で加水分解する方法(特開平7ー285974号公報)である。
しかしながら、前記(イ)の方法では高い収率で生成物である環状オリゴシロキサンを得るためには、炭化水素溶剤としてベンゼンを用いる必要があるが、ベンゼンに対する安全性の点から、本方法を工業的に実用化する場合には問題となることがある。また、前記(ロ)の方法では、原料として用いられるジクロロジシロキサンが汎用品として流通している原料ではないために、一般に本技術を実施しようとする場合に原料の入手性が問題となり、工業的な技術の汎用性に欠ける点で問題がある。
【0009】
さらに、(イ)および(ロ)の方法はいずれもクロロシランを加水分解することによるが、その際副生成物として塩化水素が生成するため、製品中にも微量の塩化水素が混入することが知られている。しかしながら、塩化水素を含んだ製品を電子材料等の用途に用いた場合、塩化物イオン等のイオン成分を含有する製品は電極の腐食等の観点から好ましくない。このことからかかる方法で製造された製品は電子材料等の用途には適さず、その工業的利用価値が低下するものである。また、(イ)および(ロ)の方法はいずれも強酸性条件下に反応を行うので、後工程でpHを調整する等、工程が繁雑となるだけでなく、原料を取り扱う上でも慎重さが要求されルという問題点もある。
【0010】
環状オリゴシロキサンの別の製造方法として、種々の条件で、鎖状ポリシロキサンあるいは高重合度環状ポリシロキサンを酸性あるいはアルカリ性の触媒の存在下に反応させることによる方法が提案されている。
酸性触媒を用いる方法としては例えば、(ハ)Si−H基含有ポリシロキサンを水および活性白土の存在下に反応させる方法(特告昭54ー13480号公報)、(ニ)メチルハイドロジェンポリシロキサンを酸触媒の存在下に加熱し反応させる方法(特告昭55ー11697号公報)、(ホ)オルガノポリシロキサンを減圧下、加熱した固定触媒床に接触させて反応させる方法(特開平2ー129192号公報)、(ヘ)メチルハイドロジェンポリシロキサンを反応させる際に高沸点のオルガノジシロキサン存在下で行う方法(特開平7ー242678号公報)、(ト)オルガノハイドロジェンポリシロキサンを塩化アルミニウムの存在下に反応させる方法(特開平7ー316167号公報)がある。
【0011】
しかしながら、前記(ハ)の方法では、特にSi−H基が酸性状態で水と反応性が高いために反応系がゲル化するという工業的に大きな問題を有し、工業的に用いる場合には問題がある。前記(ニ)および(ホ)の方法では、反応に250〜500℃という非常に高い温度を必要とし、工業的に用いる場合に問題がある。前記(ヘ)の方法では主原料の他に副原料として高沸点のジシロキサンを用いる必要がある。ところが、これらの特殊ジシロキサンは、汎用品として流通している原料ではないために、一般に本技術を実施しようとする場合に原料の入手という点で工業的な技術の汎用性に欠ける。また、コストの観点からも工業的に有利な方法ではない。
【0012】
また、前記(ハ)乃至(ト)の方法はいずれも酸触媒を使用する。特に前記(ト)の方法は塩化アルミニウムという非常に酸性の強い触媒を使用する。これらの方法ではまた、Si−H基を含有する系においては酸性条件下ではSi−H基が水等に本質的に不安定であることから、酸性触媒を用いることは好ましくなく、例えば、原料あるいは空気中等から系内に微量でも水分が混入した場合に、Si−Hが水分と反応し生成物である環状オリゴシロキサンの収率を低下させるだけでなく、反応系のゲル化をひきおこす原因となる。従って、酸性触媒を用いる前記(ハ)乃至(ト)の方法は、安定に製造するという工業的観点から実用性に問題がある技術である。
【0013】
アルカリ性触媒を用いる方法としては例えば、(チ)アルカリ金属の炭酸塩を触媒に用いる方法(特公昭45−15036号公報)、(リ)アルカリ金属シラノーレトを触媒に用いる方法(特公昭33−2149号公報)がある。
しかしながら、いずれもアルカリ触媒を用いているため、酸性触媒の場合と同様に後工程でpHを調整する等、工程が繁雑となるだけでなく、原料を取り扱う上でも慎重さが要求されるという工業的に安定に製造するためには問題点がある。また、Si−H基を含有する系においてはアルカリ性条件下ではSi−H基が非常に不安定であることから実質的にこれらの方法は適用することが出来ない。従って、アルカリ性触媒を用いる前記(チ)、(リ)のような方法は、安定に製造するという工業的観点から実用性に問題がある技術であり、また汎用性にも欠ける技術である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は前記の問題を解決するため、安価に入手できる原料を使用し、中性条件かつ比較的低温という平易な条件で反応を実施でき、特にSi−H基を含有する系の場合にも反応系のゲル化を伴わない、工業的に実施する際に実用的な、環状オリゴシロキサンの製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために本発明者らは鋭意研究の結果、金属アルコキシドの存在下に反応を行うことにより、実用的に環状オリゴシロキサンが製造できることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明は、鎖状あるいは環状のポリシロキサンを金属アルコキシドの存在下に加熱することを特徴とする環状オリゴシロキサンの製造方法(請求項1)であり、
下記一般式(I)
【0016】
【化13】
【0017】
(式中、R1は一価の置換または非置換の炭化水素基、R2は水酸基または一価の置換または非置換の炭化水素基、R3は水素原子または一価の置換または非置換の炭化水素基、R4乃至R6は同種または異種の一価の置換または非置換の炭化水素基を表し、kおよびlはそれぞれ独立に0または1〜1000の数であり、かつkおよびlは4≦k+l≦1000を満足する数を表す。)で表される鎖状ポリシロキサンおよび/または下記一般式(II)
【0018】
【化14】
【0019】
(式中、R4乃至R6は同種または異種の一価の置換または非置換の炭化水素基を表し、mおよびnはそれぞれ独立に0または1〜1000の数であり、かつmおよびnは3≦m+n≦1000を満足する数を表す。)で表される環状ポリシロキサンを金属アルコキシドの存在下に加熱することを特徴とする、下記一般式(III)
【0020】
【化15】
【0021】
(式中、R4乃至R6は同種または異種の一価の置換または非置換の炭化水素基を表し、pおよびqはそれぞれ独立に0または1〜10の数であり、かつpおよびqは3≦p+q≦10を満足する数を表す。)で表される環状オリゴシロキサンの製造方法(請求項2)であり、
前記kおよびmがそれぞれ独立に0または1〜999の数であり、かつ前記lおよびnがそれぞれ独立に1〜1000の数であり、かつ前記pが0または1〜9の数であり、かつ前記qが1〜10の数である請求項2記載の環状オリゴシロキサンの製造方法(請求項3)であり、
前記k、l、m、n、p、qが5≦m+n≦1000かつp+q<k+lかつp+q<m+nを満足する数である請求項3記載の環状オリゴシロキサンの製造方法(請求項4)であり、
前記R1、R4およびR6がメチル基、R2は水酸基またはメチル基、R3は水素原子またはメチル基である請求項2乃至請求項4いずれか記載の環状オリゴシロキサンの製造方法(請求項5)であり、
前記k、l、m、n、p、qがk<lかつm<nかつp<qである請求項2乃至請求項5いずれか記載の環状オリゴシロキサンの製造方法(請求項6)であり、
k=m=p=0である請求項3乃至請求項5いずれか記載の環状オリゴシロキサン製造方法(請求項7)であり、
[1]下記一般式(IV)
【0022】
【化16】
【0023】
(式中、R1は一価の置換または非置換の炭化水素基、R2は水酸基または一価の置換または非置換の炭化水素基、R3は水素原子または一価の置換または非置換の炭化水素基、R4は一価の置換または非置換の炭化水素基を表し、kは4〜1000の数を表す。)で表される鎖状ポリシロキサンおよび/または下記一般式(V)
【0024】
【化17】
【0025】
(式中、R5は同種または異種の一価の置換または非置換の炭化水素基を表し、lは4〜1000の数を表す。)で表される環状ポリシロキサンで構成されるポリシロキサン成分と、
[2]下記一般式(VI)
【0026】
【化18】
【0027】
(式中、R6は水酸基または一価の置換または非置換の炭化水素基、R7乃至R10は同種または異種の一価の置換または非置換の炭化水素基を表し、mは4〜1000の数を表す。)で表される鎖状ポリシロキサンおよび/または下記一般式(VII)
【0028】
【化19】
【0029】
(式中、R11、R12は同種または異種の一価の置換または非置換の炭化水素基を表し、nは4〜1000の数を表す。)で表される環状ポリシロキサンで構成されるポリシロキサン成分とを、
金属アルコキシドの存在下に加熱することを特徴とする、下記一般式(VIII)
【0030】
【化20】
【0031】
(式中、R4、R5、R9、R10、R11、R12は同種または異種の一価の置換または非置換の炭化水素基を表し、p、q、r、sは0〜9の数であり、かつp、q、r、sは3≦p+q+r+s≦10、かつ1≦p+q、かつ1≦r+sを満足する数を表す。)で表される環状オリゴシロキサンの製造方法(請求項8)であり、
下記一般式(IV)
【0032】
【化21】
【0033】
(式中、R1は一価の置換または非置換の炭化水素基、R2は水酸基または一価の置換または非置換の炭化水素基、R3は水素原子または一価の置換または非置換の炭化水素基、R4は一価の置換または非置換の炭化水素基を表し、kは4〜1000の数を表す。)で表される鎖状ポリシロキサンと、下記一般式(VI)
【0034】
【化22】
【0035】
(式中、R6は水酸基または一価の置換または非置換の炭化水素基、R7乃至R10は同種または異種の一価の置換または非置換の炭化水素基を表し、mは4〜1000の数を表す。)で表される鎖状ポリシロキサンとを、金属アルコキシドの存在下に加熱することを特徴とする、下記一般式(IX)
【0036】
【化23】
【0037】
(式中、R4、R9、R10は同種または異種の一価の置換または非置換の炭化水素基を表し、p、rは1〜9の数であり、かつpおよびrは3≦p+r≦10を満足する数を表す。)で表される環状オリゴシロキサンの製造方法(請求項9)であり、
前記R1、R4、R5、R7、R8、R9、R10、R11、R12がメチル基、R2、R6は水酸基またはメチル基、R3は水素原子またはメチル基である請求項8あるいは請求項9いずれか記載の環状オリゴシロキサンの製造方法(請求項10)であり、
前記金属アルコキシドがアルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、スズアルコキシド、あるいは亜鉛のアルコキシドである請求項1乃至請求項10いずれか記載の環状オリゴシロキサンの製造方法(請求項11)であり、
前記金属アルコキシドがアルミニウムアルコキシドである請求項1乃至請求項10いずれか記載の環状オリゴシロキサンの製造方法(請求項12)であり、
減圧下で生成する環状オリゴシロキサンを留去することによる請求項1乃至請求項12いずれか記載の環状オリゴシロキサンの製造方法(請求項13)である。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
前記一般式(I)で表される鎖状ポリシロキサンのR1、前記一般式(IV)で表される鎖状ポリシロキサンのR1および前記一般式(VI)で表される鎖状ポリシロキサンのR7およびR8は一価の置換または非置換の炭化水素基であり、炭化水素基の例としてはハロゲン化アルキル基、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、あるいはアリール基等が挙げられる。これらの内、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、フェニル基が挙げられ、さらに好ましくはメチル基、フェニル基が挙げられる。最も好ましいものはメチル基である。
【0039】
前記一般式(I)で表される鎖状ポリシロキサンのR2、前記一般式(IV)で表される鎖状ポリシロキサンのR2および前記一般式(VI)で表される鎖状ポリシロキサンのR6は水酸基または一価の置換または非置換の炭化水素基であり、一価の置換または非置換の炭化水素基の例は前記R1と同じである。
前記一般式(I)で表される鎖状ポリシロキサンのR3および前記一般式(IV)で表される鎖状ポリシロキサンのR3は水素原子または一価の置換または非置換の炭化水素基であり、一価の置換または非置換の炭化水素基の例は前記R1と同じである。
【0040】
前記一般式(I)で表される鎖状ポリシロキサンのR4、R6、前記一般式(II)で表される環状ポリシロキサンのR4、R6、前記一般式(III)で表される環状オリゴシロキサンのR4、R6、前記一般式(IV)で表される鎖状オリゴシロキサンのR4、前記一般式(V)で表される環状ポリシロキサンのR5、前記一般式(VI)で表される鎖状ポリシロキサンR9、前記一般式(VII)で表される環状ポリシロキサンのR11、前記一般式(VIII)で表される環状オリゴシロキサンのR4、R5、R9、R11および前記一般式(IX)で表される環状オリゴシロキサンのR4、R9は一価の置換または非置換の炭化水素基であり、例は前記R1と同じである。また、前記一般式(I)、(II)、(III)のR4、R6および前記一般式(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)のR4、R5、R9、R11はそれぞれ繰り返し単位ごとに同一であっても異なっていても構わない。
【0041】
前記一般式(I)で表される鎖状ポリシロキサンのR5、前記一般式(II)で表される環状ポリシロキサンのR5、および前記一般式(III)で表される環状オリゴシロキサンのR5、前記一般式(VI)で表される鎖状ポリシロキサンのR10、前記一般式(VII)で表される環状ポリシロキサンのR12、前記一般式(VIII)で表される環状オリゴシロキサンのR10、R12および前記一般式(IX)で表される環状オリゴシロキサンのR10は一価の置換または非置換の炭化水素基であり、炭化水素基の例としてはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、あるいはアリール基等が挙げられる。これらの内、好ましくはメチル基、エチル基、CH2CH2X1で表される置換アルキル基(ここでいうX1はハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基等の一価の有機基を表す。)、CH2CH(CH3)X2で表される置換アルキル基(ここでいうX2はハロゲン原子、フェニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基等の一価の有機基を表す。)、CH2CH2CH2X3で表される置換アルキル基(ここでいうX3はハロゲン原子、水酸基、置換あるいは非置換のアルコキシ基等の一価の有機基を表す。)、ビニル基、フェニル基が挙げられる。また、前記一般式(I)、(II)、(III)のR5および前記一般式(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)のR10、R12はそれぞれ繰り返し単位ごとに同一であっても異なっていても構わない。
【0042】
前記一般式(I)で表される鎖状ポリシロキサンの具体例としては、
Me3SiO−(Me3SiO)x−SiMe3、
Me3SiO−(Ph2SiO)x−SiMe3、
Me3SiO−(MePhSiO)x−SiMe3、
Me2PhSiO−(Me2SiO)x−SiMe2Ph、
MePh2SiO−(Me2SiO)x−SiMePh2、
Me2Si(OH)O−(Me2SiO)x−SiMe2(OH)、
Me3SiO−(MeHSiO)x−SiMe3、
Me2PhSiO−(MeHSiO)x−SiMe2Ph、
MeHSi(OH)O−(MeHSiO)x−SiMe(OH)H、
(ここでいうxは4〜1000の数を表し、好ましくは20〜500の数を表し、さらに好ましくは35〜200の数を表す。)
Me3SiO−(MeSi(CH2CH2C6H4CH3)O)5−(MeHSiO)5−SiMe3、
MeHSi(OH)O−(MeSi(CH2CH2C6H4CH3)O)5−(MeHSiO)5−SiMe(OH)H、
Me3SiO−(Me2SiO)x−(MeHSiO)y−SiMe3、
Me3SiO−(MePhSiO)x−(MeHSiO)y−SiMe3、
Me3SiO−(MeSi(CH2CH(CH3)C6H5)O)x−(MeHSiO)y−SiMe3、
Me3SiO−(MeSi(CH2CH2CH2(OCH2CH2)nOMe)O)x−(MeHSiO)y−SiMe3、
(ここでいうx、yは4〜1000の数を表し、好ましくはx+yが20〜500の数を表し、さらに好ましくはx+yが35〜200の数を表し、また、ここでいうnは0または1〜100の数を表し、好ましくは1〜20の数を表し、さらに好ましくは5〜10の数を表す。)等が挙げられる。
【0043】
前記一般式(II)で表される環状ポリシロキサンの例としては、
【0044】
【化24】
【0045】
【化25】
【0046】
【化26】
【0047】
(ここでいうx、yは0または1〜1000の数を表し、好ましくはx+yが4〜100の数を表し、さらに好ましくはx+yが4〜10の数を表し、また、ここでいうnは0または1〜100の数を表し、好ましくは1〜20の数を表し、さらに好ましくは5〜10の数を表す。)等が挙げられる。
前記一般式(III)で表される環状オリゴシロキサンの例としては、
【0048】
【化27】
【0049】
【化28】
【0050】
【化29】
【0051】
(ここでいうx、yは0または1〜10の数を表し、x+yが3〜10の数を表す。好ましくはx、yが0または1〜6の数を表し、x+yが3〜6の数を表す。より好ましくはx、yが0または1〜4の数を表し、x+yが4である。また、ここでいうnは0または1〜100の数を表し、好ましくは1〜20の数を表し、さらに好ましくは5〜10の数を表す。)等が挙げられる。
【0052】
前記一般式(IV)で表される鎖状ポリシロキサンの具体例としては、
Me3SiO−(MeHSiO)x−SiMe3、
Me2PhSiO−(MeHSiO)x−SiMe2Ph、
MeHSi(OH)O−(MeHSiO)x−SiMe(OH)H、
Me3SiO−(PhHSiO)x−SiMe3、
Me2PhSiO−(PhHSiO)x−SiMe2Ph、
MeHSi(OH)O−(PhHSiO)x−SiMe(OH)H、
(ここでいうxは4〜1000の数を表し、好ましくは20〜500の数を表し、さらに好ましくは35〜200の数を表す。)
等が挙げられる。
【0053】
前記一般式(V)で表される環状ポリシロキサンの例としては、
【0054】
【化30】
【0055】
【化31】
【0056】
(ここでいうxは4〜1000の数を表し、好ましくは4〜100の数を表し、さらに好ましくは4〜10の数を表す。)等が挙げられる。
前記一般式(VI)で表される鎖状ポリシロキサンの例としては、
Me3SiO−(Me2SiO)x−SiMe3、
Me3SiO−(Ph2SiO)x−SiMe3、
Me3SiO−(MePhSiO)x−SiMe3、
Me2PhSiO−(Me2SiO)x−SiMe2Ph、
MePh2SiO−(Me2SiO)x−SiMePh2、
Me2Si(OH)O−(Me2SiO)x−SiMe2(OH)、
Me3SiO−(MeSi(CH2CH2CH2(OCH2CH2)nOMe)O)x−SiMe3
(ここでいうxは4〜1000の数を表し、好ましくは20〜500の数を表し、さらに好ましくは35〜200の数を表し、また、ここでいうnは0または1〜100の数を表し、好ましくは1〜20の数を表し、さらに好ましくは5〜10の数を表す。)等が挙げられる。
【0057】
前記一般式(VII)で表される環状ポリシロキサンの具体例としては、
【0058】
【化32】
【0059】
【化33】
【0060】
【化34】
【0061】
【化35】
【0062】
(ここでいうxは4〜1000の数を表し、好ましくは4〜100の数を表し、さらに好ましくは4〜10の数を表し、また、ここでいうnは0または1〜100の数を表し、好ましくは1〜20の数を表し、さらに好ましくは5〜10の数を表す。)等が挙げられる。
前記一般式(VIII)および前記一般式(IX)で表される環状オリゴシロキサンの例としては、
【0063】
【化36】
【0064】
【化37】
【0065】
(ここでいうx、yは1〜9の数を表し、x+yが3〜10の数を表す。好ましくはx、yが1〜5の数を表し、x+yが3〜6の数を表す。より好ましくはx、yが1〜3dの数を表し、x+yが4である。また、ここでいうnは0または1〜100の数を表し、好ましくは1〜20の数を表し、さらに好ましくは5〜10の数を表す。)等が挙げられる。
【0066】
本発明において使用される金属アルコキシドは例えば下記一般式(X)
【0067】
【化38】
【0068】
(式中R1は一価の置換または非置換の炭化水素基であり、炭化水素基の例としては前記一般式(I)のR1に同じであり、Y1およびY2は炭素数が1〜8のアルキル基、アリール基、あるいはアルコキシ基、Mは2価乃至4価の金属元素で表され、rおよびsは0、1、2、3、4であり、r+sは2乃至4である)で表すことができる。これらのうち、好ましくはMがAl、Ti、Zr、Sn、Znである金属アルコキシドが用いられ、さらに好ましくはMがAl、Ti、Zrである金属アルコキシドが用いられ、最も好ましくはアルミニウムアルコキシドが用いられる。
【0069】
具体的に例示すると、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリブトキシド、アルミニウムトリ第2ブトキシド、アルミニウムジイソプロポキシ第2ブトキシド、アルミニウムジイソプロポキシアセチルアセトナート、アルミニウムジ第2ブトキシアセチルアセトナート、アルミニウムジイソプロポキシエチルアセトアセタート、アルミニウムジ第2ブトキシエチルアセトアセタート、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセタート、アルミニウムアセチルアセトナートビスエチルアセトアセタート、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンジイソプロポキシビスアセチルアセトナート、チタンジイソプロポキシビスエチルアセトアセタート、チタンテトラ2―エチルヘキシルオキシド、チタンジイソプロポキシビス(2―エチル−1、3−ヘキサンジオラート)、チタンジブトキシビス(トリエタノールアミナート)、ジルコニウムテトラブトキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムトリブトキシドモノアセチルアセトナート、ジルコニウムジブトキシドビスアセチルアセトナート、ジルコニウムブトキシドトリスアセチルアセトナート、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムトリブトキシドモノエチルアセトアセタート、ジルコニウムジブトキシドビスエチルアセトアセタート、ジルコニウムブトキシドトリスエチルアセトアセタート、ジルコニウムテトラエチルアセトアセタート、である。その他、環状の1、3、5―トリイソプロポキシシクロトリアルミノキサン等も使用することもできる。これらのうち好ましくはアルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリ第2ブトキシド、アルミニウムジイソプロポキシエチルアセトアセタート、アルミニウムジ第2ブトキシエチルアセトアセタート、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、ジルコニウムテトラブトキシドが用いられる。もっとも好ましいものはアルミニウムトリイソプロポキシドである。
【0070】
これらの金属アルコキシドは単独で用いても良いし、任意の割合で組み合わせて用いても良い。
本発明における金属アルコキシドの使用量は反応速度に応じ種々選択できるが、一般には原料ポリシロキサンを基準に0.01〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部、さらに好ましくは0.01〜1重量部を使用することができる。
【0071】
本発明における反応温度は反応が進行する温度であればよく、一般には60〜300℃の温度が用いられるが、副反応を抑制しかつ反応を効率良く進行させるために100〜200℃の温度が好ましい。
本発明の反応は常圧あるいは減圧下に実施することが可能であるが、生成物を逐次留去して比較的低温で反応を効率よく進めるためには減圧下に行うことが好ましい。この場合例えば10〜300mmHgの減圧下に反応を実施できる。
【0072】
本発明の反応には必要に応じ適切な溶媒を使用することができる。溶媒としては金属アルコキシドと化学的な反応性を有さず、生成する環状オリゴシロキサンよりも沸点の高いものを用いることができる。溶媒の具体例としては、デカン、ドデカン、ミネラルオイル、メシチレン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等を挙げることができる。使用量も任意の量を使用できる。
【0073】
溶媒以外の添加剤としてアルコキシシランを少量共存させても本件の実施は可能であるが、アルコキシシランの添加量が多いほど目的とするシクロシロキサンの収率が低下するので、実用性が低くなる。
本発明の反応は原料ポリシロキサンと金属アルコキシドを混合加熱し反応させた後生成物を蒸留等により精製することもできるし、反応進行中に生成物を逐次留去しながら反応を行うこともできる。副反応を抑制するためには、生成物を逐次留去しながら反応を行うことが望ましい。 生成物を留去する場合には必要に応じ各種充填塔などの精留塔を使用することができる。精留塔を用いた場合には製品の純度を高くすることができる。
【0074】
本発明の反応では、高分子量の鎖状あるいは環状のポリシロキサンから低分子量の環状オリゴシロキサンを製造することができるが、逆に低分子量体を高分子量体へと変換することもできる。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。ただし、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0075】
【実施例】
実施例1
温度計、磁気攪拌子、精留塔(Vigreaux型、15cm)つきの留出管、および留出物の捕集器を備えた300mLの三首丸底フラスコを、トラップを通じて減圧ポンプに接続した。フラスコ中にMe3SiO−(MeHSiO)40−SiMe3で表される両末端トリメチルシリルポリメチルハイドロジェンシロキサン150g、およびアルミニウムトリイソプロポキシド1.5gを入れ、常圧にて150℃の油浴中で30分間加熱した。つづいてフラスコを150〜160℃の油浴中で加熱しながら系を100mmHgの減圧度に保ち、留出温度65〜70℃で留出する留分を2時間にわたって回収して、113gの留分を得た。残さは白濁した液状物であった。得られた留分はガスクロマトグラフィーによる分析の結果、1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン1.8重量%、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン59.1重量%、1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン31.5重量%、1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロヘキサシロキサン5.7重量%、その他の高沸点成分が1.9重量%の組成を有していた。
実施例2
温度計、磁気攪拌子、精留塔(マクマホン充填、30cm)つきの留出管、および留出物の捕集器を備えた1Lの三首丸底フラスコを、トラップを通じて減圧ポンプに接続した。フラスコ中にMe3SiO−(MeHSiO)40−SiMe3で表される両末端トリメチルシリルポリメチルハイドロジェンシロキサン750g、およびアルミニウムトリイソプロポキシド0.75gを入れ、常圧にて180℃の油浴中で30分間加熱した。つづいてフラスコを180〜190℃の油浴中で加熱しながら系を100mmHgの減圧度に保ち、留出温度69〜78℃で留出する留分を9時間にわたって回収して、690gの留分を得た。残さは液状物であった。得られた留分はガスクロマトグラフィーによる分析の結果、1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン4.3重量%、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン82.3重量%その他の高沸点成分が13.4重量%の組成を有していた。
実施例3
温度計、磁気攪拌子、精留塔(Vigreaux型、15cm)つきの留出管、および留出物の捕集器を備えた300mLの三首丸底フラスコを、トラップを通じて減圧ポンプに接続した。フラスコ中に粘度100センチポイズの両末端トリメチルシリルポリメチルハイドロジェンシロキサン150g、粘度100センチポイズの両末端トリメチルシリルポリジメチルシロキサン150g、およびアルミニウムトリイソプロポキシド1.5gを入れ、常圧にて150℃の油浴中で30分間予備加熱した。つづいてフラスコを150〜160℃の油浴中で加熱しながら系を50mmHgの減圧度に保ち、反応とともに留出する留分を2時間にわたって回収して、220gの留分を得た。残さは白濁した液状物であった。得られた留分はガスクロマトグラフィーおよびNMRによる分析の結果、平均的にモル分率で46%のMeHSiO単位と54%のMe2SiO単位を有する、一分子中に主に3〜6のシロキシ単位を有するシクロシロキサンの混合物であった。
実施例4
磁気攪拌子、還流コンデンサーをつけた30mLフラスコ中に、テトラメチルシクロテトラシロキサン15.0gおよびアルミニウムトリイソプロポキシド0.15gを入れ、常圧にて150℃の油浴中で加熱した。1時間後に反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、4.8重量%のペンタメチルシクロペンタシロキサンと0.8重量%のヘキサメチルシクロヘキサシロキサンが生成していた。
比較例
300mLの三首丸底フラスコ中にMe3SiO−(MeHSiO)40−SiMe3で表される両末端トリメチルシリルポリメチルハイドロジェンシロキサン50gを入れ、アルカリ性触媒としてナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加したところ激しく気体を発生して原料の分解が起るとともに反応系の一部がゲル化して反応を実施することができなかった。
【0076】
【発明の効果】
本発明によれば、容易に入手できる原料を使用して、中性条件かつ比較的低温という平易な条件で反応を実施でき、反応系のゲル化をともわない、工業的に実用性の高い方法で、収率よく環状オリゴシロキサンを製造することができる。
Claims (10)
- 下記一般式( I )
前記金属アルコキシドがアルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、スズアルコキシド、あるいは亜鉛のアルコキシドである、環状オリゴシロキサンの製造方法。 - 前記k、l、m、n、p、qが5≦m+n≦1000かつp+q<k+lかつp+q<m+nを満足する数である請求項1記載の環状オリゴシロキサンの製造方法。
- 前記R 1 、R 4 およびR 6 がメチル基、R 2 は水酸基またはメチル基、R 3 は水素原子またはメチル基である請求項1または請求項2いずれか記載の環状オリゴシロキサンの製造方法。
- 前記k、l、m、n、p、qがk<lかつm<nかつp<qである請求項1乃至請求項3いずれか記載の環状オリゴシロキサンの製造方法。
- k=m=p=0である請求項1乃至請求項3いずれか記載の環状オリゴシロキサン製造方法。
- [1]下記一般式( IV )
前記金属アルコキシドがアルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、スズアルコキシド、あるいは亜鉛のアルコキシドである、環状オリゴシロキサンの製造方法。 - 下記一般式( IV )
前記金属アルコキシドがアルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、スズアルコキシド、あるいは亜鉛のアルコキシドである、環状オリゴシロキサンの製造方法。 - 前記R 1 、R 4 、R 5 、R 7 、R 8 、R 9 、R 10 、R 11 、R 12 がメチル基、R 2 、R 6 は水酸基またはメチル基、R 3 は水素原子またはメチル基である請求項6あるいは請求項7いずれか記載の環状オリゴシロキサンの製造方法。
- 前記金属アルコキシドがアルミニウムアルコキシドである請求項1乃至請求項8いずれか記載の環状オリゴシロキサンの製造方法。
- 減圧下で生成する環状オリゴシロキサンを留去することによる請求項1乃至請求項9いずれか記載の環状オリゴシロキサンの製造方法。
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