JP3252642B2 - シラノール基を有する低分子量のオルガノシラン又はシロキサンの製造方法 - Google Patents

シラノール基を有する低分子量のオルガノシラン又はシロキサンの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、末端基にシラノール基
を有する低分子量のオルガノシラン又はシロキサンの簡
便な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】分子内
にシラノール基を有する低分子量のオルガノポリシロキ
サンは、シリコーンゴムコンパウンドを製造する際の分
散剤として有用であり、種々の分散剤が広く用いられて
いる。この場合、分散剤としての効能は水酸基の含有量
に比例し、水酸基の含有量の多いポリシロキサン、即
ち、末端基にシラノール基を有する低分子量の直鎖状オ
ルガノテトラシロキサンを使用すると添加量が少なくて
すみ、またシリコーンゴムコンパウンドの加工性を考え
た場合により有効であるが、現在工業的に用いられてい
るものはオルガノテトラシロキサン以上の直鎖オルガノ
ポリシロキサンであり、より有効なモノマージオール、
ダイマージオール、トリマージオールのような短鎖のシ
ラノール基含有オルガノポリシラン又はシロキサンを工
業的に有利に得る方法は殆ど提案されていない。
【0003】即ち、従来より短鎖ヒドロキシシラン及び
シロキサンを合成する方法はいろいろ研究がなされてい
る。実験室的には、緩衝溶液等を用いてアルコキシシラ
ンの溶液を中性の状態に保ちながら加水分解する方法が
知られているが、この方法は実用化には向いていない。
また、ジメトキシシランを過剰の中性の蒸留水と混合し
て還流させる方法もみられるが、目的物の収率はさほど
よくない。
【0004】通常、シラノール末端基を有する低分子量
の直鎖状オルガノポリシロキサンを工業的に得るには、
両末端に塩素原子を有する直鎖状のオルガノクロルシラ
ン又はクロルシロキサンを環状体にならないよう弱アル
カリ性水溶液中で加水分解を行って製造している。しか
しながら、この方法では、シラノール基が酸或いはアル
カリに対して不安定であることに関連して、加水分解に
よって生成したHClによる縮合反応が起こり、目的の
オルガノポリシロキサン以外に、より分子量の多いオル
ガノポリシロキサンや環状のポリシロキサン等の副生成
物が同時に生成してしまうという問題があった。従っ
て、この方法では加水分解水を厳密に中性に保つ手法を
とらなければ上記直鎖状オルガノポリシロキサンを合成
することは困難である。
【0005】また、オルガノクロルポリシロキサンを酢
酸でアセトキシ化した後、加水分解する方法があるが、
この方法では、加水分解を完全に行うことが困難で、得
られたオルガノポリシロキサンはシリコーンゴムに用い
る分散剤としては好ましくない。
【0006】一方、米国特許第3925285号には、
へキサメチルシクロトリシロキサン、メタノール、蟻
酸、水を反応させ、メトキシ基が多少残留したシラノー
ル末端基を有する低分子量の直鎖状オルガノポリシロキ
サンの合成方法が記載されているが、比較的高価なへキ
サメチルシクロトリシロキサンを使用するためにコスト
がかかり、また、D単位[(CH32SiO]が3より
少ないシラノール末端基を有する低分子量の直鎖状オル
ガノポリシロキサンは生成され得ず、反応上1,5−ジ
ヒドロキシトリシロキサンより短いものは生成し得ない
ので、水酸基含有量に限界があるという問題があった。
【0007】更に、米国特許第5057620号には、
相当するクロルシロキサンを水を含んだプロピレンオキ
サイド、ブチレンオキサイド等のエポキシ系溶媒に滴下
する方法が記載されているが、この方法も比較的高価な
へキサメチルシクロトリシロキサンを使用するほかに、
溶媒が低沸点のものでは静電気着火といった安全上の問
題があった。
【0008】また、特公昭64−5604号公報には、
アルコキシシランを活性化白土のような固体酸触媒によ
り加水分解する短鎖シラノールの合成方法が記載されて
いるが、この方法では、固体酸を中和する必要があるた
め操作が煩雑になっている。しかも、この方法では各種
短鎖シラノールの混合物が得られ、ダイマージオールの
収率は50%内外である。また、モノマージオールに関
しては、実施例29に示されているとおり84モル%純
度で10%以下の収率で得られているに過ぎない。
【0009】なお、米国特許第3304318号には、
カチオン交換樹脂を用いてアルコキシシランを加水分解
し、高重合度のレジンを製造する方法が開示されてい
る。しかしながら、短鎖シラノール、特に、モノマージ
オール、ダイマージオール、トリマージオールの合成方
法、収率については何も触れていない。
【0010】このように、シラノール基を含有する低分
子量のオルガノシラン又はシロキサンは、その製造工程
が複雑であるにもかかわらず、シリコーンゴムの用途拡
大に伴って、その価格が低下しており、安価でしかも簡
便に製造することが望まれている。
【0011】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
シラノール基を有する低分子量のオルガノシラン又はオ
ルガノシロキサン、特に対応するモノマージオール、ダ
イマージオール、トリマージオールを簡便にしかも安価
に得ることができる製造方法を提供することを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者らは、
上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、下記
一般式(2)〜(4)で示される含有塩素分200pp
m以下のアルコキシシラン又はシロキサンと、電気伝導
度が1010MΩ以上の水とを攪拌し、触媒成分として硫
酸処理された酸化ジルコニウムを使用することにより、
反応中は溶液のpHが中性付近に保たれた状態で緩やか
に反応を行うことができ、反応終了後は該硫酸処理され
た酸化ジルコニウムを系外から除去するだけでアルカリ
等の中和剤を使用することなく反応が停止し、しかも、
除去された硫酸処理された酸化ジルコニウムは特別な処
理なしで再利用することができること、それ故、シラノ
ール基を有する低分子量のオルガノシラン又はオルガノ
シロキサン、特に対応するモノマージオール、ダイマー
ジオール、トリマージオール等を高収率で簡単に得るこ
とができ、上記方法が製造工程の簡略化及び大幅なコス
トダウンが図れる工業的に有利な製造方法であることを
見い出し、本発明をなすに至ったものである。
【0013】
【化3】 (但し、R1は置換もしくは非置換の一価炭化水素基を
示し、R2は炭素数1〜4の低級アルキル基を示す。)
【0014】従って、本発明は上記一般式(2)〜
(4)で示される含有塩素分200ppm以下のアルコ
キシシラン又はシロキサンに電気伝導度が1010MΩ以
上の水を混合し、これに硫酸処理された酸化ジルコニウ
ムを添加、攪拌し、上記アルコキシシラン又はシロキサ
ンを加水分解して、そのアルコキシ基を水酸基に転換し
た後、上記硫酸処理された酸化ジルコニウムを除去する
ことを特徴とするシラノール基を有する低分子量のオル
ガノシラン又はシロキサンの製造方法を提供する。
【0015】以下、本発明につき更に詳しく説明する
と、本発明のシラノール基を含有する低分子量オルガノ
シラン又はシロキサンの製造方法は、下記一般式(1)
で示される含有塩素分が200ppm以下のアルコキシ
シラン又はシロキサン、電気伝導度が1010MΩ以上の
水を混合し、硫酸処理された酸化ジルコニウムを添加し
て加水分解を行い、短鎖シラノールを得るものである。
【0016】
【化4】 (式中、R1は置換もしくは非置換の一価炭化水素基を
示し、R2は炭素数1〜4の低級アルキル基を示す。
m,nはm≧0,n>0,m+n=2〜4を満足する数
である。)
【0017】ここで、式(1)中、R1は互いに同一又
は異種の置換又は非置換の好ましくは炭素数1〜8の一
価炭化水素基を示し、具体的には、メチル基,プロピル
基,ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,オクチル基,
デシル基,ドデシル基等のアルキル基、フェニル基,ト
リル基等のアリール基、β−フェニルエチル基等のアラ
ルキル基などや、これらの炭化水素基中の水素原子の一
部又は全部がハロゲン原子や、シアノ基などで置換され
た基、例えば、3,3,3−トリフルオロプロピル基や
シアノエチル基が挙げられる。これらの中では、メチル
基、ビニル基、フェニル基等が好適である。
【0018】R2は互いに同一又は異種の炭素数1〜4
のアルキル基を示し、具体的には、メチル基,エチル
基,プロピル基,ブチル基等であり、この中でもメチル
基、エチル基が好ましい。
【0019】このようなアルコキシシラン又はシロキサ
ンとしては、分子中のケイ素原子の数が1〜5、特に1
〜3であるものが好ましく、例えば、下記一般式(2)
〜(4)で示されるアルコキシシラン又はシロキサンを
用いることができる。具体的には、ジメチルジメトキシ
シラン、フェニルメチルジメトキシシラン、メチルビニ
ルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェ
ニルメチルメトキシエトキシシラン、1,3−ジメトキ
シテトラメチルジシロキサン、1,1−ジメトキシテト
ラメチルジシロキサン、1−メトキシペンタメチルジシ
ロキサン、1,5−ジメトキシへキサメチルトリシロキ
サン、1,7−ジメトキシオクタメチルテトラシロキサ
ン、3−メトキシヘプタメチルトリシロキサン、1,3
−ジメトキシ−1,3−ジビニルジメチルジシロキサ
ン、1,3−ジメトキシ−1,3−ジフェニルジメトキ
シジシロキサン等を挙げることができ、この中でも、ジ
メチルジメトキシシラン、ジメトキシテトラメチルジシ
ロキサンが特に好ましい。
【0020】
【化5】 (但し、式中R1及びR2は上記と同様の基を示す。)
【0021】なお、上述したアルコキシシラン又はシロ
キサンは1種を単独で又は2種以上を混合して使用する
ことができるが、2種以上を混合使用する場合、各々の
加水分解速度が異なるために均一に反応しない場合があ
るので注意が必要である。
【0022】上記一般式(1)のアルコキシシラン又は
シロキサンは塩素分を200ppm以下、好ましくは1
00ppm以下、更に好ましくは50ppm以下含有す
るものを使用する。これは、本発明の目的物質である短
鎖シラノールが酸、アルカリ性条件下で非常に不安定で
あるため、短鎖シラノールを製造する際、加水分解反応
時及び減圧蒸留時には系を中性に保つ必要があるが、通
常、アルコキシシラン又はシロキサンは対応するクロル
シランから合成されるため、その中にはクロルシランが
多く存在する。このクロルシランは水と速やかに反応し
て塩酸を生成するため、塩素分が200ppmを超えて
含まれていると反応系が酸性になることは避けられず、
これにより、シラノールの縮合が起こるおそれがあり、
従って、このような不都合を避けるため、塩素分が20
0ppm以下のものを使用することが必要である。
【0023】次に、水は加水分解させるための必須成分
であり、電気伝導度が1010MΩ以上、好ましくは10
15MΩ以上のイオン交換水又は蒸留水等を使用する。こ
こで、電気伝導度が1010MΩ未満の水を使用すると、
水中に含まれるNa,Ca,Mg等の他の陽イオンが触
媒の硫酸処理された酸化ジルコニウム中の水素イオンと
イオン交換反応を起こして系を酸性にし、短鎖シラノー
ルを高収率で得ることができず、鎖長延長されたポリシ
ロキサンや環状ポリシロキサンが多量に生成するおそれ
がある。
【0024】上記電気伝導度が1010MΩ以上の水の使
用量は特に制限されるものではないが、通常はアルコキ
シシラン又はシロキサン中のアルコキシ基のモル量に対
して1倍モル以上、好ましくは1〜5倍モルになるよう
に使用することが好ましい。ここで、アルコキシ基に対
する水の量が少なすぎると水酸基含有量が足りず、アル
コキシシラン又はシロキサンが完全に加水分解せず、ま
た、水の量が多すぎると反応生成物中の水、メタノール
等をストリップ時に除去する工程に時間がかかり、工業
化の面で推奨されない。
【0025】本発明では、加水分解時には触媒として硫
酸処理された酸化ジルコニウムを使用する。この硫酸処
理された酸化ジルコニウムは、系のpHを中性付近に保
持しながら緩やかに反応を進めるための必須成分であ
り、またこのものは酸強度が100%硫酸より高く、加
水分解時に良好な触媒活性が得られるので、短鎖シラノ
ールを収率よく得ることができる。更に、短鎖シラノー
ル形成の加水分解は、硫酸処理された酸化ジルコニウム
を除去するだけで簡単に停止することができ、これによ
り、短鎖シラノールの縮合をも抑えることができるの
で、中和剤等の反応停止剤が不要である上、除去後の硫
酸処理された酸化ジルコニウムは特別な処理を施すこと
なく触媒として再利用することができるので、工業的に
製造する際の作業性やコスト等を大幅に削減することが
できる。
【0026】硫酸処理された酸化ジルコニウムとして
は、硫酸イオンを含有する酸化ジルコニウム(SO2- 4
/ZrO2で表されるもの)が好適で、特に硫酸イオン
として1〜5重量%、好ましくは2〜3重量%含有する
ものが好ましい。このような硫酸処理された酸化ジルコ
ニウムを得るには、公知の方法を採用することができ、
例えば、特公昭59−6181号公報に記載されている
ように水酸化ジルコニウムに希硫酸を加え、濾過した
後、これを焼成して得ることができる。また、市販され
ているものを使用してもよく、例えば、商品名硫酸ジル
コニア(ジャパンエナジー社製)等を好適に使用するこ
ともできる。
【0027】なお、上述した硫酸処理された酸化ジルコ
ニウムの使用量は特に制限されるものではなく、アルコ
キシシラン又はシロキサンと水の量等によって適宜選択
されるが、更に、アルコキシシラン又はシロキサン10
0重量部に対して0.0001〜30重量部、特に0.
1〜1重量部が好ましい。添加量が30重量部を越える
と、生成したシラノールの縮合が進行して短鎖シラノー
ルを収率よく得られない場合があり、0.0001重量
部より少ないと、加水分解時に十分な触媒活性が得られ
ず、アルコキシシラン又はシロキサン中のアルコキシ基
が未反応のまま残留してしまい、目的組成物に十分なシ
ラノール基を与えられない場合がある。また、硫酸処理
された酸化ジルコニウムは、その強い触媒活性から、上
記アルコキシシラン又はシロキサンと水からなる溶液中
に加水分解後において長時間含まれていると、更に反応
が進み、生成した短鎖シラノールを縮合して、長鎖・環
状構造になる場合があるので、溶液中には短鎖シラノー
ルの生成に必要な時間だけ添加し、短鎖シラノール形成
後は速やかに硫酸処理された酸化ジルコニウムを除去す
ることが推奨される。
【0028】本発明のシラノール基を有する低分子量の
オルガノシラン又はオルガノシロキサンを得るには、上
述したアルコキシシラン又はシロキサン、水、硫酸処理
された酸化ジルコニウムを用いて処理するもので、具体
的には、硫酸処理された酸化ジルコニアを充填カラムに
詰め、アルコキシシラン又はシロキサンと水とをダイナ
ミックミキサー等の混合機でよく攪拌し、流量を調節し
て連続的に供給しながら加水分解する方法、アルコキシ
シラン又はシロキサンと水とをよく攪拌し、この中へ硫
酸処理された酸化ジルコニウムを添加混合して加水分解
した後、硫酸処理された酸化ジルコニウムを濾過して除
去する方法等を挙げることができる。
【0029】本発明の製造方法において、反応時間、反
応温度等については、使用材料の量、製造工程等によっ
て適宜選択され、これらは特に制限されるものではない
が、反応時間は、通常3時間以内が好ましく、反応終了
後は速やかに硫酸処理された酸化ジルコニウムを除去し
て反応を停止することが推奨される。反応時間が3時間
を越えると、生成したシラノールの縮合が起こり、短鎖
シラノールが得られない場合がある。また、反応温度は
80℃以下、好ましくは50℃以下がよく、80℃より
高いと、やはり生成したシラノールの縮合が起こりやす
くなる。
【0030】また、アルコキシシラン又はシロキサンと
水は単に混合しただけでは2相に分離する恐れがある。
一方、硫酸処理された酸化ジルコニウムは溶液中で溶出
せず、反応はこの触媒の固体表面で行うので、溶液が分
離しないようによく攪拌して硫酸処理された酸化ジルコ
ニウムを添加する必要がある。しかし、加水分解反応開
始後、しばらくするとメタノール等の生成で反応系は均
一化する。なお、反応系の均一化のため、必要によって
は極性有機溶媒を添加してもよく、例えば、メタノー
ル、エタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラ
ン、アセトン等の使用が可能である。この場合、極性溶
媒の添加量は多すぎると除去に時間がかかるため、アル
コキシシラン又はシロキサンと水が均一化する最低量の
添加が好ましく、アルコキシシラン又はシロキサンと同
量程度の添加量で十分である。
【0031】上記反応生成物は任意の温度、圧力下でス
トリッピングされ、メタノール等の副生成物及び残留す
る水を除去することが好ましい。この場合、ストリッピ
ング時の温度は、80℃以下、特に50℃以下が望まし
く、80℃より高いと、シラノールの縮合が起こるおそ
れがある。
【0032】
【実施例】以下、実施例と比較例とを示し、本発明を具
体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるも
のではない。なお、硫酸処理された酸化ジルコニウムと
しては、(株)ジャパンエナジー社製の商品名硫酸ジル
コニアを使用した。また、下記例において、%は重量%
を示す。
【0033】[実施例1]攪拌子、温度計を備え、N2
置換した200mlのフラスコに、ジメチルジメトキシ
シラン(含有塩素分5ppm)を85.5g(0.71
1mol)入れ、これに電気伝導度1015MΩのイオン
交換水を30.0g(1.67mol)加えて攪拌し、
更に硫酸処理された酸化ジルコニウム0.093gを添
加後、20℃で30分間攪拌した。この場合、フラスコ
中の溶液は初めは2相に分離していたが、15分後には
均一溶液になった。次に、硫酸処理された酸化ジルコニ
ウムを濾過して除去し、反応を終了させた。
【0034】得られた加水分解生成物から20℃、5m
mHgの条件下で副生するメタノール、水等を除去した
ところ、白色板状結晶51.7gが得られた。この白色
板状結晶をテトラヒドロフランに溶解し、ガスクロマト
グラフィーにより分析したところ、 ジヒドロキシジメチルシラン 74.7% 1,3−ジヒドロキシテトラメチルジシロキサン 17.1% が含まれていた。
【0035】[実施例2]攪拌子、温度計を備え、N2
置換した200mlのフラスコに、ジメチルジメトキシ
シラン(含有塩素分5ppm)を28.5g(0.23
7mol)入れ、これに電気伝導度1010MΩのイオン
交換水を10.0g(1.557mol)加えて攪拌
し、更に硫酸処理された酸化ジルコニウム0.031g
を添加後、20℃で5時間攪拌した。この場合、フラス
コ中の溶液は初めは2相に分離していたが、15分後に
は均一化した。次に、硫酸処理された酸化ジルコニウム
を濾過して除去し、反応を終了させた。
【0036】得られた加水分解生成物から20℃、5m
mHgの条件下で副生するメタノール、水を除去したと
ころ、無色透明油状物22.5gが得られた。この無色
透明油状物をガスクロマトグラフィーにより分析したと
ころ、 ジヒドロキシジメチルシラン 19.9% 1,3−ジヒドロキシテトラメチルジシロキサン 41.7% 1,5−ジヒドロキシへキサメチルトリシロキサン 18.4% 1,7−ジヒドロキシオクタメチルテトラシロキサン 4.6% が含まれていた。
【0037】[実施例3]攪拌子・温度計を備え、N2
置換した50mlのフラスコに、ジメトキシビニルメチ
ルシラン(含有塩素分10ppm)を10.0g(0.
756mol)入れ、これに電気伝導度1015MΩのイ
オン交換水を3.6g(0.2mol)加えて攪拌し、
更に硫酸処理された酸化ジルコニウム0.0109gを
添加後、20℃で45分間攪拌した。次に、硫酸処理さ
れた酸化ジルコニウムを濾過して除去し、反応を終了さ
せた。
【0038】得られた加水分解生成物から40℃、5m
mHgの条件下で副生するメタノール、水を除去したと
ころ、白色結晶6.4gが得られた。この白色結晶をテ
トラヒドロフランに溶解し、ガスクロマトグラフィーに
より分析したところ、 ジヒドロキシジビニルメチルシラン 73.3% 1,3−ジヒドロキシ−1,3−ジビニルジメチルシラン 15.1% が含まれていた。
【0039】[実施例4]攪拌子、温度計を備え、N2
置換した50mlのフラスコに、1,3−ジメトキシテ
トラメチルジシロキサン(含有塩素分10ppm)を1
0.0g(0.514mol)入れ、これに電気伝導度
1015MΩのイオン交換水を2.0g(0.111mo
l)加えて攪拌し、更に硫酸処理された酸化ジルコニウ
ム0.015gを添加後、20℃で60分間攪拌した。
次に、硫酸処理された酸化ジルコニウムを濾過して除去
し、反応を終了させた。
【0040】得られた加水分解生成物から40℃、5m
mHgの条件下で副生するメタノール、水を除去したと
ころ、白色結晶7.6gが得られた。この白色結晶をテ
トラヒドロフランに溶解し、ガスクロマトグラフィーに
より分析したところ、 1,3−ジヒドロキシテトラメチルジシロキサン 82.6% が含まれていた。
【0041】[実施例5]攪拌子、温度計を備え、N2
置換した50mlのフラスコに、1,5−ジメトキシへ
キサメチルトリシロキサン(含有塩素分10ppm)を
10.0g(0.372mol)入れ、これに電気伝導
度1015MΩのイオン交換水を2.0g(0.111m
ol)加えて攪拌し、更に硫酸処理された酸化ジルコニ
ウム0.015gを添加後、20℃で75分間攪拌し
た。次に、硫酸処理された酸化ジルコニウムを濾過して
除去し、反応を終了させた。
【0042】得られた加水分解生成物から40℃、5m
mHgの条件下で副生するメタノール、水を除去したと
ころ、無色透明液体8.0gが得られた。この無色透明
液体を、ガスクロマトグラフィーにより分析したとこ
ろ、 1,5−ジヒドロキシへキサメチルトリシロキサン 85.2% が含まれていた。
【0043】[実施例6]攪拌子、温度計を備え、N2
置換した50mlのフラスコに、1,1−ジメトキシテ
トラメチルジシロキサン(含有塩素分10ppm)を1
0.0g(0.514mol)入れ、これに電気伝導度
1015MΩのイオン交換水を2.0g(0.111mo
l)加えて攪拌し、更に硫酸処理された酸化ジルコニウ
ム0.015gを添加後、20℃で60分間攪拌した。
次に、硫酸処理された酸化ジルコニウムを濾過して除去
し、反応を終了させた。
【0044】得られた加水分解生成物から40℃、5m
mHgの条件下で副生するメタノール、水を除去したと
ころ、白色結晶75.7gが得られた。この白色結晶
を、ガスクロマトグラフィーにより分析したところ、 1,1−ジヒドロキシテトラメチルジシロキサン 75.7% が含まれていた。
【0045】[実施例7]攪拌子、温度計を備え、N2
置換した50mlのフラスコに、1−メトキシペンタメ
チルジシロキサン(含有塩素分10ppm)を10.0
g(0.561mol)入れ、これに電気伝導度1015
MΩのイオン交換水を1.1g(0.062mol)加
えて攪拌し、更に硫酸処理された酸化ジルコニウム0.
015gを添加後、20℃で70分間攪拌した。次に、
硫酸処理された酸化ジルコニウムを濾過して除去し、反
応を終了させた。
【0046】得られた加水分解生成物から40℃、5m
mHgの条件下で副生するメタノール、水を除去したと
ころ、無色透明液体82.4gが得られた。この無色透
明液体を、ガスクロマトグラフィーにより分析したとこ
ろ、 1−ヒドロキシペンタメチルジシロキサン 84.2% が含まれていた。
【0047】[実施例8]実施例1の条件で加水分解を
行い、濾過した硫酸ジルコニアを再度生成物中に添加し
て同様の操作を10回繰り返した後、硫酸ジルコニアを
除去した。
【0048】得られた加水分解生成物から20℃、5m
mHgの条件下で副生するメタノール、水等を除去し、
得られた白色結晶をテトラヒドロフランに溶解し、ガス
クロマトグラフィーにより分析したところ、 ジヒドロキシジメチルシラン 72.7% 1,3−ジヒドロキシテトラメチルジシロキサン 15.1% が含まれていた。
【0049】[比較例1]攪拌子、温度計を備え、N2
置換した50mlのフラスコに、ジメチルジメトキシシ
ラン(含有塩素分10ppm)を20.0g(0.16
6mol)入れ、、これにpH4.2に調整した塩酸水
6.58g(0.366mol)を加えると、40℃ま
で昇温し、均一溶液となった。次いで、5分間攪拌を続
けた後、酸化マグネシウム0.2g(0.00496m
ol)及び硫酸マグネシウム15g(0.125mo
l)を添加し、更に3時間攪拌した。次に、濾過し、得
られた加水分解生成物につき20℃、5mmHgの条件
下でストリッピングを行ったところ無色透明液体12.
5gが得られた。
【0050】この無色透明液体をガスクロマトグラフィ
ーにより分析したところ、 ジヒドロキシジメチルシラン 1.0% 1,3−ジヒドロキシテトラメチルジシロキサン 27.8% 1,5−ジヒドロキシへキサメチルトリシロキサン 21.9% 1,7−ジヒドロキシオクタメチルテトラシロキサン 15.3% 1,9−ジヒドロキシデカメチルペンタシロキサン 6.6% が含まれており、このことからシラノール基の縮合が起
ったことが確認され、ジメチルジヒドロキシシランは得
られないことが認められた。
【0051】[比較例2]pH4.2に調整した塩酸水
の代わりにpH4.0に調整した硫酸水を使用した以外
は比較例1と同様の操作で加水分解を行ったところ、無
色透明液体11.8gが得られた。
【0052】この無色透明液体をガスクロマトグラフィ
ーにより分析したところ、 1,3−ジヒドロキシテトラメチルジシロキサン 20.8% 1,5−ジヒドロキシへキサメチルトリシロキサン 29.1% 1,7−ジヒドロキシオクタメチルテトラシロキサン 17.9% 1,9−ジヒドロキシデカメチルペンタシロキサン 8.0% が含まれており、このことからシラノール基の縮合が起
ったことが確認され、ジメチルジヒドロキシシランは得
られないことが認められた。
【0053】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、短鎖シラノ
ール、特にモノマージオール、ダイマージオール、トリ
マージオールを高収率で簡便にしかも安価に得ることが
できる。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(2)〜(4) 【化1】 (但し、R1は置換もしくは非置換の一価炭化水素基を
    示し、R2は炭素数1〜4の低級アルキル基を示す。)
    で示される含有塩素分200ppm以下のアルコキシシ
    ラン又はシロキサンに電気伝導度が1010MΩ以上の水
    を混合し、これに硫酸処理された酸化ジルコニウムを添
    加、攪拌し、上記アルコキシシラン又はシロキサンを加
    水分解して、そのアルコキシ基を水酸基に転換した後、
    上記硫酸処理された酸化ジルコニウムを除去することを
    特徴とするシラノール基を有する低分子量のオルガノシ
    ラン又はシロキサンの製造方法。
  2. 【請求項2】 硫酸処理された酸化ジルコニウムを除去
    した後、ストリッピングを行って揮発性成分を除去する
    ようにした請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 アルコキシシラン又はシロキサンが、ジ
    メチルジメトキシシラン又はジメトキシテトラメチルジ
    シロキサンである請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 シラノール基を有する低分子量のオルガ
    ノシラン又はシロキサンがシリコーンゴム組成物を製造
    する際の分散剤用である請求項1〜3のいずれか1項記
    載の製造方法。
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