JP3577557B2 - 圧延機における板クラウン・形状操作量設定値の決定装置及び方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、熱間圧延における鋼板の性状において、圧延材の形状を制御し、特に連続圧延や多パス圧延において、各スタンドの板クラウン形状操作量をバランスよく決定し、目標板クラウンや目標形状を達成するための板クラウン・形状操作量設定値の決定装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種板クラウン・形状制御装置を備えた圧延機が実用化されており、又圧延現象を表現する精度よい物理モデルも開発されている。しかしながら、連続圧延や多パス圧延においては、各スタンド又は各パスの板クラウンの目標値を決定する方法が難しく、圧延機の能力を十分生かせないばかりか、精度よいモデルも生かせなかった。
【0003】
一般に、熱間圧延での板クラウン・形状の制御においては、板クラウン・形状制御用アクチュエータの操作量の上下限と、形状の許容範囲内で、最終スタンドの目標板クラウンを達成するためのスケジュールを決定し、アクチュエータの操作量を決定することが重要である。
【0004】
この時、途中スタンドの形状については、例えば、特公平3−33041、特公平3−72364に開示されているように、できるだけ板クラウン比率一定に近い状態で圧延することにより、平坦な形状を得ようとする方法がある。この時、各スタンドの目標板クラウンを決定する際に、従来は上記特公平3−33041のように、板クラウン比率変化による形状の乱れのみを考慮し、アクチュエータの操作量の上下限値を考慮していなかった。
【0005】
即ち、特公平3−33041においては、各スタンド形状許容範囲、板クラウン形状制御操作量許容範囲に基づいて達成できる各スタンドの最大・最小板クラウン比率を算出し、これに基づいて、目標製品板クラウン比率に対して、下流スタンドにおいて板クラウン比率のスタンド間変化が小さくなるように(即ち、下流スタンドにおいて、スタンド間の板平坦度が小さくなるように)、各スタンドの目標板クラウン比率を決定し、これを基に各スタンドの板クラウン形状制御操作量を決定していた。
【0006】
このアクチュエータの操作量の上下限値も考慮する方法として、例えば、特開平1−181911や特開平1−254305では、線形計画法を用いた方法が提案されている。
【0007】
又、スタンド間形状を目標通りにするため、制御モデルでは認識できない中間スタンド板形状を、オペレータによる視覚的な判断で形状修正操作量の上下限値として、オペレータインターフェイスからオペレータにより入力してもらい、アクチュエータの操作量を決定する方法として特開平1−245907がある。
【0008】
又、別の例として、特開平6−134508(最初の出願時には未公知)がある。これは、前記特公平3−33041の方法と、各スタンドの最大・最小板クラウン比率を算出するまでは同じであるが、、各スタンドの目標板クラウン比率を決定するにあたり、全スタンドのバランスを考慮している点が改善されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スタンド間形状をできるだけ良好にするために、従来の、できるだけ板クラウン比率一定になるように圧延する方法においては、板クラウン比率一定圧延を行っても、実際には形状は平坦にはならない場合が多いという問題点があった。更に、操作上耳伸び形状の方が安定して通板できるため、平坦な形状を狙うこと自体も問題である。
【0010】
又、オペレータの目視によりスタンド間形状の上下限値を判断し入力する方法においては、オペレータの個人差があることと、オペレータの負荷が問題になる。
【0011】
又、各スタンドの最大・最小板クラウン比率を算出した後、各スタンドの目標板クラウンを決める際に、アクチュエータの操作量の上下限値を考慮せず、形状にのみ注目して決定する方法では、アクチュエータの能力上、実現不可能な目標板クラウンを決定してしまうケースが生じ、結果として目標板クラウン・形状を得ることができないことがあるという問題がある。
【0012】
又、各スタンドの目標板クラウン比率を算出する際に、各スタンド形状許容範囲を考慮していないために、各スタンド毎の形状の目標を実現できない。例えば、上流側スタンドで形状を腹波側にして、下流側スタンドでは耳波側で圧延するといったような、通常よく行われる形態の圧延方法が実現できないという問題がある。
【0013】
更に、アクチュエータの上下限値を考慮して、線形計画法を用いる方法では、線形計画法の性質上行列演算が必要で煩雑であった。
【0014】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、所望の板クラウンと形状を得ることのできる圧延機における板クラウン・形状操作量設定値の決定装置及び方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、板クラウン・形状制御用アクチュエータを有する圧延機により、板材のクラウン及び形状を制御する、圧延機における板クラウン・形状操作量設定値の決定装置において、板厚、板幅、圧延荷重等の圧延条件を入力する圧延条件入力手段と、前記圧延条件入力手段からの出力を受け、最大板クラウン比率及び最小板クラウン比率を算出する最大・最小板クラウン比率算出手段と、前記最大・最小板クラウン比率算出手段からの出力を受け、各スタンド又は各パスの目標板クラウン比率を決定する目標板クラウン比率決定手段と、前記目標板クラウン比率決定手段の出力を受け、各スタンド又は各パスの板クラウン・形状操作量を決定する板クラウン・形状操作量決定手段とを備え、前記目標板クラウン比率決定手段において、最終スタンドの最大板クラウン比率と最小板クラウン比率の間を最終スタンド目標板クラウン比率が内分する比と、各スタンドの最大板クラウン比率と最小板クラウン比率の間を、各スタンド目標板クラウン比率が内分する比が、同一になるように、目標板クラウン比率を決定するようにしたことにより、前記目的を達成したものである。
【0018】
又、本発明は、更に、最終スタンドの板クラウン目標を変更する手段を備えたことにより、同様に前記目的を達成したものである。
本発明は、又、板クラウン・形状制御用アクチュエータを有する圧延機により、板材のクラウン及び形状を制御する、圧延機における板クラウン・形状操作量設定値の決定方法において、板厚、板幅、圧延荷重等の圧延条件から、最大板クラウン比率及び最小板クラウン比率を算出し、算出された最大板クラウン比率及び最小板クラウン比率から、最終スタンドの最大板クラウン比率と最小板クラウン比率の間を最終スタンド目標板クラウン比率が内分する比と、各スタンドの最大板クラウン比率と最小板クラウン比率の間を、各スタンド目標板クラウン比率が内分する比が、同一になるように、各スタンド又は各パスの目標板クラウン比率を決定し、決定された目標板クラウン比率から、各スタンド又は各パスの板クラウン・形状操作量を決定するようにして、同様に前記目的を達成したものである。
【0022】
【作用】
本発明によれば、目標板クラウン比率の決定に際して、最終スタンドの最大板クラウン比率と最小板クラウン比率の間を最終スタンド目標板クラウン比率が内分する比と、各スタンドの最大板クラウン比率と最小板クラウン比率の間を各スタンド目標板クラウン比率が内分する比が同一になるようにしたので、各スタンドの目標板クラウン比率を算出する際に、各スタンドの形状許容範囲と、各スタンドの板クラウン形状制御操作量の許容範囲の両方を考慮した、クラウンスケジュール(各スタンド目標板クラウン)を容易に算出することができる。
【0023】
更に、本発明によれば、必要に応じて最終スタンドの板クラウン目標を変更するようにした場合には、実現可能な各スタンドの板クラウン目標値を容易に得ることができる。
【0024】
【実施例】
以下図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0025】
図1は、本実施例による7スタンドからなる圧延機の板クラウン・形状操作量設定値の決定装置の概略構成図である。
【0026】
図1において、2はF1スタンド、4はF7スタンド、6はベンダである。又、20は板クラウン・形状制御操作量設定装置であり、圧延条件入力部22、最大・最小板クラウン比率算出部24、目標板クラウン比率算出部26、板クラウン形状制御操作量算出部28を含んでいる。
【0027】
又、本実施例では、板クラウン・形状制御アクチュエータは、ベンダ及びワークロールのクロスとしており、図2は、ロールクロスの様子を示す側面図である。又、図3は同じくロールクロスを示す平面図であり、θはクロス角を表わす。各スタンドのロールクロス方式は、図2に示すように上バックアップロール(BUR)と上ワークロール(WR)の平行に並んだ一対と、下バックアップロール(BUR)と下ワークロール(WR)の平行に並んだ一対とを図3に示すように、圧延方向と直角な水平な線に対して、それぞれ所要の角度θi に交差させる、いわゆるペアクロス方式である。
【0043】
以下、本実施例の作用、特に最大・最小板クラウン比率等の算出方法について詳しく説明する。
【0044】
まず、圧延条件入力部22に、圧延条件や材料特性等が入力される。これを基に、最大・最小板クラウン比率算出部24において、最大・最小板クラウン比率を算出する。
【0045】
最大・最小板クラウン比率の算出にあたり、まず基本となるのは次の(1)、(2)、(3)式である。
【0046】
Cri=αi ・Cmi+βi ・Cri-1 …(1)
Cmi=fi(Pi ,PBi,θi ,Ci ) …(2)
CPi=Cri/hi …(3)
【0047】
ここで、添字iはスタンドNO又はパスNOを示しており、Criは板クラウン、Cmiはメカニカルクラウン(幅方向の圧延荷重分布を一様とした場合のロールクラウン)、αiは転写率(メカニカルクラウンが板クラウンに与える影響を示す値)、βiは遺伝係数(入側板クラウンが出側板クラウンに与える影響を示す値)、CPiは板クラウン比率、hiは板厚、fiはメカニカルクラウンを、Pi、PBi、θi、Ciで表わした関数、Piは圧延荷重、PBiはベンダー力、θiはクロス角、Ciは無負荷時ロールクラウンである。又、特にC r0 はシートバークラウンとして、h 0 はシートバー厚として与えられる。
【0048】
なお、(2)式は、板クラウン形状制御装置として、ロールベンダとロールクロス装置を備えた場合の例であるが、ロールシフト装置を持つ場合にも、(2)式と同様の式を使って、同様に考えることができる。
【0049】
次に、形状許容範囲上限λmax i 及び下限λmin i が予め与えられているものとする。急峻度λiが形状許容範囲内にあると言うのは、λiが次の(4)式を満すことである。
【0050】
λmin i ≦λi ≦λmax i …(4)
【0051】
但し急峻度λi は、ξi を形状変化係数として以下の式で与えられる。
【0052】
CPi−CP(i-1)≧0のとき
λi =2/π√(ξi (CPi−CP(i-1)))
CPi−CP(i-1)<0のとき
λi=−2/π√(ξi(CP(i-1)−CPi)) …(5)
【0053】
又は、(4)、(5)式を変形して、次の(6)式のように扱ってもよい。
【0054】
ここで、記号 sign (λ)は、λが正のときは+、λが負のときは−の符号をとることを表わす。
【0055】
又、ベンダー力の上下限値とクロス角の上下限値等の板クラウン形状制御装置の操作量が与えられているとする。即ち、ベンダー力上限PB max i及び下限PB min iと、クロス角上限θmax i及び下限θmin iが与えられている。
【0056】
この時のメカニカルクラウンの最大値(Cm max i と最小値Cm min i はそれぞれ以下の式で与えられる。
【0057】
Cm max i =fi(Pi ,PB min i ,θmin i ,Ci ) …(7)
Cm min i =fi(Pi ,PB max i ,θmax i ,Ci ) …(8)
【0058】
この時、板クラウンCriが板クラウン・形状制御操作量許容範囲内にあるとは、以下の式を満足することを言う。
【0059】
【0060】
(9)式を変形して、次の(10)式のように扱う場合もある。
【0061】
αi ・Cm min i ≦Cri−βi Cri-1≦αi ・Cm max i …(10)
【0062】
最大板クラウン比率とは、各スタンドで(6)、(10)式を満たすような板クラウンのうち、最大のものを言い、この算出方法を以下に示す。なお、最大板クラウン比率をCP max i と表す。
【0063】
(1)CP max o =CPo(CPoは予め与えられている)
(2)i =1〜Zについて、以下の(11)、(12)式を両方とも満たすような、CPiのうち、最大のものを求め、CP max i とする。(ここで、両方を満すCPiが存在しないような操業条件は通常はないので、考慮する必要はないが、ロジックとしては作っておいてもよい。例えば(12)式を満たすCPiの中で(11)式の範囲に最も近い値をCP max i とするなど。)
【0064】
[形状許容範囲]
【0065】
[板クラウン形状制御操作量許容範囲]
【0066】
なお、(11)式は、(6)式のCP(i-1)をCP max(i-1)に置換え、(12)式は(10)式のCri-1を h(i-1) ・CP max(i-1)に置換えたものである。
【0067】
又、最小板クラウン比率の算出方法も今示した最大板クラウン比率の算出方法と同様である。即ち、最小板クラウン比率をCP min i と表すと、以下のように求められる。
【0068】
(1)CP min o =CPo
(2)i =1〜Zについて、以下の(13)、(14)式を両方とも満たすようなCPiのうち最小のものを求め、CP min i とする。
【0069】
[形状許容範囲]
【0070】
[板クラウン形状制御操作量許容範囲]
【0071】
又、後で使用するために、最大板クラウンCr max i 及び最小板クラウンCr min i を次の式で定義する。
【0072】
Cr max i =CP max i ・hi …(15)
Cr min i =CP min i ・hi …(16)
【0073】
次に、目標板クラウン比率算出部26において各スタンド目標板クラウン比率を算出するのであるが、ここで次の前提条件が成り立つとする。
【0074】
(前提条件1)各スタンド毎に、最大板クラウン比率CP max i及び最小板クラウン比率CP min iが求められている。
(前提条件2)最終スタンド(又は最終パス)CPTzが与えられている。(添字zは、最終スタンド又は最終パスを示す。この前提は、製品の板クラウン目標が予め決められていことに対応している。)
(前提条件3)CP min z≦CPTz≦CP max z(この前提は、製品の板クラウン目標が実現可能であることを示している。もし、この条件が満たされない場合は、この条件を満たすように、CPTzを修正しておく。)
【0075】
この条件の下で各スタンド目標板クラウン比率(CPTi(i=1〜Z−1)を下記(17)式を満たすように、i=Z−1から順にi=1に向って決めていく。
【0076】
【0077】
次に、このようにして求められた各スタンド目標板クラウン比率CPTiが形状許容範囲を満たすことを示す。
【0078】
まず(17)式より、次の(18)式が得られる。
【0079】
【0080】
ここで、CP max i、CP min i は形状許容範囲を満たすように決めたので、次の(19)、(20)式が成り立つ。
【0081】
【0082】
更に(前提条件3)より、次の(22)、(23)式が成立する。
【0083】
【0084】
以上の(18)〜(23)式より、次の(24)式が成立する。
【0085】
【0086】
従って、各スタンド目標板クラウン比率CPTi(i=0〜Z)は形状許容範囲を満たすことが判る。
【0087】
次に、板クラウン形状制御操作量算出部28において、各スタンド目標板クラウンCrTiを算出し、これにより、形状制御が行われる。
【0088】
各スタンド目標板クラウンCrTiは次の(25)式で与えられる。
【0089】
CrTi =CPTi ・hi …(25)
(i =0〜Z)
【0090】
この各スタンド目標板クラウンCrTiが板クラウン形状制御操作量許容範囲を満たすことを次に示す。
【0091】
(17)式と(25)、(15)、(16)式を使うと、次の(26)式が得られる。
【0092】
【0093】
ここで、Cr max i、Cr min iは、板クラウン形状制御操作量許容範囲を満たすように決めたので、次の(27)、(28)式が成り立つ。
【0094】
【0095】
又、(26)、(27)、(28)、(21)、(22)、(23)式を使うと、次の(29)式が得られる。
【0096】
【0097】
従って、各スタンド目標板クラウンCrTi(i=0〜Z)は、板クラウン形状制御操作量許容範囲を満たす。これは、言い替えるならば、各スタンド目標板クラウン比率CPTi(i=0〜Z)が、板クラウン形状制御操作量許容範囲を満たしていることになる。
【0098】
以上示したように、最大板クラウン比率及び最小板クラウン比率を入力として、本実施例の方法で各スタンドの目標板クラウンを算出した場合、算出した各スタンドの目標板クラウンは、形状許容範囲と板クラウン形状制御操作量許容範囲の両方を自動的に満たしていることが判る。
【0099】
本実施例の結果を図4、図5に示す。
【0100】
図4は、特公平3−33041に示された従来法と本実施例の方法を比較したものであり、図5は、特開平6−134508に示された従来法と本実施例の方法を比較したものである。いずれの図においても、従来法を黒丸で、本実施例の方法を白い四角の記号で表している。
【0101】
最大板クラウン比率CP max iと最小板クラウン比率CP min iの間にある点は、形状許容範囲と板クラウン形状制御操作量範囲を満たすように、各スタンドの板クラウン比率目標値CPTiを決定することが可能であることを示している。
【0102】
しかし、各スタンドばらばらに、CP max i とCP min i の間の値をとってよいわけではなく、隣接するスタンド間で(6)式と(10)式の両方を満足するように、各スタンド板クラウン比率目標値CPTi を決定しなければならない。
【0103】
従来は、最大・最小板クラウン比率を求めた後、各スタンドの板クラウン比率目標値CPTiを求める際に(6)式と(10)式を考慮していなかったために、最終的に決められたCPTiは、形状許容範囲を満足していなかったり、板クラウン形状制御操作量許容範囲を満たしていない場合があったため、途中スタンドの形状を思うように制御できなかったり、各スタンド目標板クラウン比率を達成するために、実現不可能な操作量を設定してしまうケースがあった。
【0104】
これに対し、本実施例の方法では、最大板クラウン比率と最小板クラウン比率を目標板クラウン比率が内分する割合が、全スタンドとも等しくなるように、目標板クラウンを決定しているため、全スタンドとも形状許容範囲と板クラウン形状制御操作量許容範囲を満たすように、目標板クラウンを容易に決定できる。
【0105】
従って、本実施例の方法では、簡単な計算により、形状許容範囲と板クラウン形状操作量許容範囲の両方を満たすように、各スタンド目標板クラウン比率を決定できるために、形状許容範囲の与え方によっては、途中スタンドの形状を望みのままに設定することができ、なおかつ、板クラウン形状制御操作量許容範囲を満たすように、操作量を決定することができる。
【0106】
図4、図5において、本実施例の方法では、前段スタンドで腹波、後段スタンドでは耳波側に形状許容範囲を設定することで、前段スタンドでは腹波、後段スタンドでは耳波側のクラウンスケジュール(各スタンド目標板クラウン比率)を達成しているが、従来法では、各スタンドともに、耳波側のスケジュールしか得られないことを示している。
【0108】
【発明の効果】
本発明は、目標板クラウン比率の決定に際して、最終スタンドの最大板クラウン比率と最小板クラウン比率の間を最終スタンド目標板クラウン比率が内分する比と、各スタンドの最大板クラウン比率と最小板クラウン比率の間を各スタンド目標板クラウン比率が内分する比が同一となるようにして、形状許容範囲と板クラウン形状制御操作量許容範囲の両方を満たすクラウンスケジュール(各スタンド板クラウン比率目標値)を得るようにしたため、容易に形状許容範囲と板クラウン形状制御操作量許容範囲の両方を満たすクラウンスケジュール(各スタンド板クラウン比率目標値)を得られるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による7スタンドからなる圧延機の板クラウン・形状操作量設定装置の概略構成を示す説明図
【図2】ワークロールクロスの様子を示す側面図
【図3】同じくワークロールクロスの様子を示す平面図
【図4】従来法と本実施例の方法を比較して示す線図
【図5】同じく従来法と本実施例の方法を比較して示す線図
【符号の説明】
2…F1スタンド
4…F7スタンド
6…ベンダ
20…板クラウン・形状制御操作量設定装置
22…圧延条件入力部
24…最大・最小板クラウン比率算出部
26…目標板クラウン比率算出部
28…板クラウン形状制御操作量算出部
Claims (3)
- 板クラウン・形状制御用アクチュエータを有する圧延機により、板材のクラウン及び形状を制御する、圧延機における板クラウン・形状操作量設定値の決定装置において、
板厚、板幅、圧延荷重等の圧延条件を入力する圧延条件入力手段と、
前記圧延条件入力手段からの出力を受け、最大板クラウン比率及び最小板クラウン比率を算出する最大・最小板クラウン比率算出手段と、
前記最大・最小板クラウン比率算出手段からの出力を受け、各スタンド又は各パスの目標板クラウン比率を決定する目標板クラウン比率決定手段と、
前記目標板クラウン比率決定手段の出力を受け、各スタンド又は各パスの板クラウン・形状操作量を決定する板クラウン・形状操作量決定手段とを備え、
前記目標板クラウン比率決定手段において、最終スタンドの最大板クラウン比率と最小板クラウン比率の間を最終スタンド目標板クラウン比率が内分する比と、各スタンドの最大板クラウン比率と最小板クラウン比率の間を、各スタンド目標板クラウン比率が内分する比が、同一になるように、目標板クラウン比率を決定するようにしたことを特徴とする圧延機における板クラウン・形状操作量設定値の決定装置。 - 請求項1において、更に、最終スタンドの板クラウン目標を変更する手段を備えたことを特徴とする圧延機における板クラウン・形状操作量設定値の決定装置。
- 板クラウン・形状制御用アクチュエータを有する圧延機により、板材のクラウン及び形状を制御する、圧延機における板クラウン・形状操作量設定値の決定方法において、
板厚、板幅、圧延荷重等の圧延条件から、最大板クラウン比率及び最小板クラウン比率を算出し、
算出された最大板クラウン比率及び最小板クラウン比率から、最終スタンドの最大板クラウン比率と最小板クラウン比率の間を最終スタンド目標板クラウン比率が内分する比と、各スタンドの最大板クラウン比率と最小板クラウン比率の間を、各スタンド目標板クラウン比率が内分する比が、同一になるように、各スタンド又は各パスの目標板クラウン比率を決定し、
決定された目標板クラウン比率から、各スタンド又は各パスの板クラウン・形状操作量を決定することを特徴とする圧延機における板クラウン・形状操作量設定値の決定方法。
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